説明

表示装置

【課題】限られたスペースで、より多くの情報を表示することができる表示装置を得る。
【解決手段】操作摘み20において凹レンズ部22と一体に設けられた筒部26は、凹レンズ部22の外周側から凹レンズ部22の光軸X方向に沿って表示体14側へ筒状に延出されかつ内周壁面26Aに補助表示28がなされている。また、凹レンズ部22は、表示体14に対して自らの光軸X方向に相対移動可能となっている。このため、操作摘み20が引き出された場合、筒部26の内周壁面26Aになされた補助表示28は、凹レンズ部22によって虚像として結像され、表示体14の表示面14Aになされた目盛表示16の外周側で視認される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示構造を備えたスイッチ部等においては、例えば、操作摘みの回動操作によって指示される表示の視認性を向上させるために、操作摘みと連動するレンズを設け、表示を拡大して視認させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−146113公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造では、限られたスペースで多くの情報を表示することができない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、限られたスペースで、より多くの情報を表示することができる表示装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の表示装置は、表示面に第1の表示がなされた表示体と、前記表示体の表示面との対向位置に設けられ、前記表示体に対して自らの光軸方向に相対移動可能とされた凹レンズ部と、前記凹レンズ部と一体に設けられ、前記凹レンズ部の外周側から前記凹レンズ部の光軸方向に沿って前記表示体側へ筒状に延出されかつ内周壁面に第2の表示がなされた筒部と、を有する。
【0007】
請求項1に記載する本発明の表示装置によれば、凹レンズ部が表示体の表示面との対向位置に設けられているので、表示体の表示面になされた第1の表示部は、凹レンズ部を介して視認される。また、凹レンズ部と一体に設けられた筒部が、凹レンズ部の外周側から凹レンズ部の光軸方向に沿って表示体側へ筒状に延出されており、この筒部の内周壁面に第2の表示がなされているので、筒部の内周壁面になされた第2の表示は、凹レンズ部によって虚像として結像されて視認可能となっている。
【0008】
ここで、凹レンズ部は、表示体に対して自らの光軸方向に相対移動可能となっているので、凹レンズ部が表示体から離間する方向に移動していくと、表示体の表示面に表示された第1の表示が縮小されて視認される。また、凹レンズ部が移動することによって、筒部の内周壁面になされた第2の表示と凹レンズ部との間の光路が表示体等の他部材に妨げられない状態になると、筒部の内周壁面になされた第2の表示は、凹レンズ部によって虚像として結像され、表示体の表示面になされた第1の表示の外周側で視認される。
【0009】
請求項2に記載する本発明の表示装置は、請求項1記載の構成において、前記凹レンズ部における前記表示体との対向面からは、前記表示体側へ筒状に延設されかつ外周壁面に第3の表示がなされた延設部が形成されている。
【0010】
請求項2に記載する本発明の表示装置によれば、凹レンズ部における表示体との対向面から表示体側へは筒状の延設部が延設されており、延設部の外周壁面に第3の表示がなされている。このため、延設部の外周壁面になされた第3の表示は、凹レンズ部によって虚像として結像されて表示される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の表示装置によれば、限られたスペースで、より多くの情報を表示することができるという優れた効果を有する。
【0012】
請求項2に記載の表示装置によれば、凹レンズ部における表示体との対向面から表示体側へ筒状の延設部を延設させると共に、当該延設部の外周壁面に第3の表示がなされることによって、凹レンズ部を介して第3の表示をも視認させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を示す外観斜視図である。図1(A)は非使用状態の図であり、図1(B)は使用状態の図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を非使用状態で示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を使用状態で示す縦断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における表示体を視線方向から見た状態で示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における操作摘みから凹レンズ部等を除いた状態を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における筒部の内周壁面の一部を展開した状態で示す展開図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る表示装置における非使用時の表示状態を示す平面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る表示装置における使用時の表示状態を示す平面図である。
【図9】使用者の視線で見た場合における目盛表示及び補助表示の虚像位置関係及び光路を示す光路図である(凸レンズ部は省略して示す。)。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る表示装置を使用状態で示す縦断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る表示装置を使用状態で示す縦断面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る表示装置を使用状態で示す縦断面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る表示装置を使用状態で示す縦断面図である。
【図14】本発明の第6の実施形態に係る表示装置を使用状態で示す縦断面図である。
【図15】図14の矢印A方向から見た状態を示す平面図である。
【図16】本発明の第7の実施形態に係る表示装置を使用状態で示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る表示装置について図1〜図9を用いて説明する。図1には、表示装置10が外観斜視図にて示されている。図1(A)は非使用状態の図であり、図1(B)は使用状態の図である。また、図2には、非使用状態における表示装置10が縦断面図にて示され、図3には、使用状態における表示装置10が縦断面図にて示されている。
【0015】
これらの図に示される表示装置10は、車両(自動車)の空調スイッチ部に適用される表示装置とされている。なお、これらの図において適宜示される矢印Aは、使用者(乗員)が表示装置10の表示を目視する方向(視線方向)を示している。
【0016】
図2に示されるように、表示装置10は、二点鎖線で示すケース12を備えると共に、ケース12の環状リブ12A内には、プレート状の表示体14が固定された状態で収納されている。図4には、表示体14を視線方向から見た状態の平面図が示されている。図4に示される表示体14は、円板状とされ、表示体14の表示面14Aには第1の表示としての目盛表示16がなされている。これらの目盛表示16は、表示面14Aの外周方向に沿って並べられるように表記されている。なお、本実施形態では、温度を示す数値である目盛表示が第1の表示とされているが、第1の表示としては、例えば、文字、図形、記号、色彩又はこれらの結合による各種の他の表示が適用可能である。
【0017】
図2に示されるように、表示体14の表示面14A側に近接して凸レンズ部18が配置されている。凸レンズ部18は、平面視で円形状とされて表示体14の表示面14Aとの対向位置に設けられると共に、外周端側がケース12の環状リブ12Aによって支持されている。この凸レンズ部18は、表示体14よりも使用者側へ配置されることになる。また、凸レンズ部18の凸状のレンズ面18Aは、表示体14(表示面14A)側とは反対側へ向けられている。なお、凸レンズ部18の焦点距離は、凸レンズ部18の光学中心である主点から表示面14A側の焦点までの距離であり、本実施例のように表示面14Aがレンズ焦点よりも主点側に配置される場合には、焦点距離を短く設定することで虚像がより拡大される。
【0018】
凸レンズ部18の凸状のレンズ面18A側には、操作摘み20(操作部材)の天板部を構成する凹レンズ部22が対向配置されている。換言すれば、凹レンズ部22は、凸レンズ部18を介して、表示体14の表示面14Aとの対向位置に設けられている。この凹レンズ部22は、凸レンズ部18よりも使用者側へ配置されることになる。また、凹レンズ部22は、平面視で円形状とされると共に、凹レンズ部22の凹状のレンズ面22Aは、凸レンズ部18のレンズ面18A側(表示体14の表示面14A側)へ向けられている。なお、凹レンズ部22と凸レンズ部18とは、焦点距離及び屈折率が同一になるように設定されてもよい。
【0019】
また、凹レンズ部22における外周端側の一部には、平面視で円形状の凸レンズ部24が設けられている。凸レンズ部24は、凸レンズ部18のレンズ面18A側(表示体14の表示面14A側)へ向けられた第一凸面24Aと、その反対側へ向けられた第二凸面24Bとを備えている。なお、凸レンズ部24の焦点距離は、凸レンズ部24の光学中心である主点から表示面14A側の焦点までの距離であり、本実施例のように表示面14Aがレンズ焦点よりも主点側に配置される場合には、焦点距離を短く設定することで虚像がより拡大される。
【0020】
また、操作摘み20は、凹レンズ部22及び凸レンズ部24を備えた側を天板部とする有底円筒状とされており、使用時に指で摘まれて操作部として機能する筒部26を備えている。筒部26は、凹レンズ部22と一体に設けられ、凹レンズ部22の外周側から凹レンズ部22の光軸X方向に沿って表示体14側へ円筒状に延出されている。このように、凹レンズ部22と一体に筒部26が設けられる構成は、例えば、凸レンズ部と一体に設けられて当該凸レンズ部の外周側から光軸方向に沿って延出した筒部を備える対比構成に比べて、レンズ周囲に厚みがある分だけ形成しやすい。なお、凹レンズ部22と筒部26とは、一部材として一体に形成されたものであっても、別部材が固着されたものであっても、どちらでもよい。
【0021】
筒部26の内周壁面26A(内側面)の一部は、環状リブ12Aの外周面に相対移動可能に接している。これにより、操作摘み20は、環状リブ12Aの延出方向に沿ってスライド移動可能とされると共に、環状リブ12Aの外周面に沿う方向に回転可能とされている。換言すれば、操作摘み20の一部を構成する凹レンズ部22は、表示体14に対して凹レンズ部22の光軸X方向に(矢印S方向及びその反対方向に)相対移動可能とされると共に、図1(B)に示されるように、凹レンズ部22の光軸X回り(矢印R方向)に回転可能とされている。なお、開示例として、筒部(26)を設けないで凹レンズ部(22)の外周端部を操作摘み部分にすることも考えられるが、本実施形態のように、筒部26を設けることで、使用時の操作性が向上する。
【0022】
図1に示されるように、筒部26の外周壁面26B(外側面)には、滑り止め用としてセレーション(凹凸を繰り返す形状)が形成されている。また、図5に示されるように、筒部26の内周壁面26Aには、第2の表示としての操作補助用の補助表示28がなされている。なお、図5は、図2に示される操作摘み20から凹レンズ部22及び凸レンズ部24を除いた状態の模式的な斜視図である。また、図5では、筒部26の外周壁面26Bに形成されたセレーションの図示が一部省略されている。
【0023】
補助表示28は、本実施形態では、「WARM」、「COOL」の文字表示及び操作方向を示す矢印記号の表示とされている。これらの補助表示28は、内周壁面26Aの周方向に沿って表記されている。なお、本実施形態では、操作補助用の補助表示28が第2の表示とされているが、第2の表示としては、例えば、文字、図形、記号、色彩又はこれらの結合による各種の他の表示が適用可能である。また、例えば、補助表示28として、「WARM」の文字に代えて赤の帯表示にすると共に、「COOL」の文字に代えて青の帯表示にしてもよい。
【0024】
図6には、筒部26の内周壁面26Aの一部を展開した状態の展開図が示されている。なお、図6では、図中上側が凹レンズ部22(図2参照)側とされている。図6に示されるように、内周壁面26Aに表示される補助表示28は、凹レンズ部22(図2参照)から離れた側ほど内周壁面26Aの円周方向(図6の左右方向)に引き伸ばされた形状で表示されている。換言すれば、補助表示28は、凹レンズ部22(図2参照)からの光軸方向での距離に対応した形状で表示されている。すなわち、内周壁面26Aに表示された補助表示28は、図3に示される凹レンズ部22を通じて視認されたときに、図8に示されるように、変形していない見やすい文字等として視認されるように設定されている。
【0025】
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0026】
図2に示されるように、凹レンズ部22が凸レンズ部18を介して表示体14の表示面14Aとの対向位置に設けられているので、表示体14の表示面14Aになされた目盛表示16(図2では模式的に図示)は、凸レンズ部18及び凹レンズ部22を介して視認される。凸レンズ部18及び凹レンズ部22と、凸レンズ部18とが最も近接した位置状態では、使用者からは図7に示されるように、非縮小表示に近い状態で目盛表示16が視認され、凸レンズ部24を介して視認される一部の目盛表示16Aが凸レンズ部24によって若干拡大されて視認される(部分拡大表示)。
【0027】
また、図2に示されるように、凹レンズ部22と一体に設けられた筒部26は、凹レンズ部22の外周側から凹レンズ部22の光軸X方向に沿って表示体14側へ筒状に延出されており、この筒部26の内周壁面26Aに補助表示28(図2では模式的に図示)がなされている。このため、筒部26の内周壁面26Aに表示された補助表示28は、補助表示28の表示位置と凹レンズ部22との間で光路が妨げられない状態では、凹レンズ部22によって虚像として結像されて視認可能となっている。
【0028】
ここで、図2に示される操作摘み20を構成する凹レンズ部22は、表示体14に対して自らの光軸X方向に相対移動可能となっている。このため、使用者は、図3に示されるように、凹レンズ部22を表示体14から離間する方向(矢印S方向)にスライド移動させること(図1(B)に示されるように、使用者側に引き出すこと)ができる。このとき、図3及び図1(B)の矢印A方向視で図示した図8に示されるように、表示体14の表示面14Aに表示された目盛表示16が凹レンズ部22(図3参照)によって、凹レンズ部22の中央寄りに縮小されて視認される(縮小表示状態)。
【0029】
但し、凸レンズ部24を介して視認される一部の目盛表示16Aは、凸レンズ部24によって部分拡大されて視認される。この拡大視認される目盛表示16Aは、操作摘み20(図1(B)参照)の操作回転位置に応じて(つまり、表示面14Aに対する凸レンズ部24の位置に応じて)視認される対象が変わることになる。したがって、使用者は、表示面14Aにおいて必要な部分のみを拡大表示するように、表示面14Aの部位(文字表示)を選択することができる。このように、必要な文字表示のみを際立って大きく示すこと(拡大率の差を大きくすること)が可能であるので、例えば、高齢者等であっても、必要な表示を判別しやすい。ちなみに、凸レンズが表示部に対して光軸方向の所定位置で固定されているような対比構造では、レンズ材質の高屈折率化や短焦点化の問題があるため、拡大率を大きくするにもおのずと限界がある。
【0030】
また、図3に示されるように、凹レンズ部22が表示体14から離間する方向(矢印S方向)にスライド移動することによって、筒部26の内周壁面26Aの補助表示28の位置と凹レンズ部22との間の光路が環状リブ12Aに妨げられない状態になると、筒部26の内周壁面26Aになされた補助表示28は、凹レンズ部22によって虚像として結像される。このとき、図8に示されるように、補助表示28は、表示体14の表示面14Aに表示された目盛表示16の外周側で視認される。すなわち、表示体14の表示面14Aの目盛表示16に加えて、補助表示28が視認される。
【0031】
ここで、目盛表示16及び補助表示28の虚像に関して補足説明する。図9には、使用者U(模式的に示す)の視線で見た場合における目盛表示16及び補助表示28(いずれも模式的に示す)の虚像位置関係及び光路を示す図が凸レンズ部18(図3参照)を省略した状態で示されている。なお、図9では、焦点を符号F、表示面14Aの目盛表示16の虚像位置を符号16X、内周壁面26Aの補助表示28の虚像位置を符号28Xで、それぞれ示している。
【0032】
図9に示されるように、目盛表示16は、凹レンズ部22が表示体14から離間していくと、凹レンズ部22の光軸X寄りに縮小されて視認される。また、内周壁面26Aの補助表示28は、凹レンズ部22から離れた位置ほど円周方向に縮んで視認されることになる。ここで、本実施形態では、図6に示されるように、補助表示28は、凹レンズ部22(図9参照)から離れた側ほど内周壁面26Aの円周方向に引き伸ばされた形状で表示されているので、凹レンズ部22(図9参照)を通じて視認されたときに、図8に示されるように、変形していない見やすい文字等として視認される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置10によれば、図2等に示される表示面14Aの面積を拡大せずに、限られたスペースで、より多くの情報を表示することができる。
【0034】
なお、図3に示される操作摘み20が引き出されたスライド状態(使用状態、図8参照)と、図2に示される操作摘み20が引き出されていない非スライド状態(非使用状態、図7参照)とでは、図8及び図7に示されるように、視認される表示構成が異なるので、使用者は、操作摘み20(図3等参照)がスライド状態(使用状態)であるか非スライド状態(非使用状態)であるかの判別を容易にすることができる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る表示装置30について、図10を用いて説明する。図10には、本発明の第2の実施形態に係る表示装置30が使用状態の縦断面図(第1の実施形態における図3に相当する図)にて示されている。この図に示されるように、表示装置30は、凸レンズ部24(図3等参照)に代えて、非レンズ部32(平板部)を備える点で、第1の実施形態に係る表示装置10(図3等参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
図10に示されるように、凹レンズ部22における外周端側の一部には、平板状の非レンズ部32が設けられている。非レンズ部32は、凸レンズ部18のレンズ面18A側へ向けられて表示体14の表示面14Aに平行な第一平面32Aと、その反対側へ向けられて第一平面32Aと平行な第二平面32Bとを備えている。
【0037】
このような構成は、凸レンズ部18と、第1の実施形態における凸レンズ部24(図3等参照)とを通して表示するほどの大きな拡大が不要な場合に適用できる。本実施形態の構成でも、表示面14Aの面積を拡大せずに、限られたスペースで、より多くの情報を表示することができる。
【0038】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る表示装置40について、図11を用いて説明する。図11には、本発明の第3の実施形態に係る表示装置40が使用状態の縦断面図(第1の実施形態における図3に相当する図)にて示されている。この図に示されるように、表示装置40は、凸レンズ部18の中央部に貫通孔42が貫通形成されると共に、貫通孔42の内側にLED44(広義には「照明源」として把握される要素である。)を配置した点で、第1の実施形態に係る表示装置10(図3等参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
図11に示されるように、表示装置40における凹レンズ部22の光軸Xに対応して、凸レンズ部18の中央部には、貫通孔42が貫通形成されており、この貫通孔42により、円柱状の空隙部42Aが形成されている。貫通孔42の内周面42Bは、光透過可能とされており、貫通孔42の内側(空隙部42A)に一個のLED44(単一の照明源)が配置されている。
【0040】
また、凸レンズ部18のレンズ面18Aは、LED44からの光線を全反射する傾斜角度に設定されている。これにより、LED44から貫通孔42の内周面42Bを透過して凸レンズ部18のレンズ面18A側で反射した反射光L2が表示体14の表示面14A側に導かれる構成となっている。
【0041】
上記構成では、レンズ面18Aの全反射を用いて照明するため、メッキ等で別途反射面を形成する必要がない。そのうえ、メッキ等による反射面を用いていないために、視線方向(矢印A方向)から凸レンズ部18を介した表示体14(表示面14A)の視認もできる。
【0042】
また、上記構成では、LED44から凸レンズ部18を通過して表示面14A側へ至る直接光L1のみならず、LED44からレンズ面18A(全反射面)で反射した反射光L2も、表示面14Aの目盛表示16側を照明するため、目盛表示16の部位を他の部位よりも明るく照明できる。また、上記構成では、照明源となるLED44が一個で足り、別途ライトガイドを設ける必要もない。
【0043】
以上説明した本実施形態の構成でも、表示面14Aの面積を拡大せずに、限られたスペースで、より多くの情報を表示することができる。
【0044】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る表示装置48について、図12を用いて説明する。図12には、本発明の第4の実施形態に係る表示装置48が使用状態の縦断面図(第1の実施形態における図3に相当する図)にて示されている。この図に示されるように、表示装置48は、LED44からの光線L3を筒部26の内周壁面26Aにおける比較的低い位置にも導くために、凸レンズ部18に凸部50(透過面)を設けた点で、第3の実施形態に係る表示装置40(図11参照)とは異なる。他の構成は、第3の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第3の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
図12に示されるように、凸レンズ部18には、貫通孔42の凹レンズ部22側の開口に凸部50が形成されている。この凸部50は、環状とされて凹レンズ部22側へ向けて互いに接近する方向へ延設されており、LED44からの光線L3を屈折させることによって筒部26の内周壁面26Aにおける比較的低い位置(凹レンズ部22から比較的離れた側)にも光線L3を導けるような形状に設定されている。
【0046】
本実施形態に係る表示装置48によれば、第3の実施形態に係る表示装置40(図11参照)と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、一個のLED44の光が凸部50(透過面)を透過することによって筒部26の内周壁面26Aの比較的低い位置にも導かれるので、内周壁面26Aの補助表示28を明るく照明することができる。
【0047】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係る表示装置54について、図13を用いて説明する。図13には、本発明の第5の実施形態に係る表示装置54が使用状態の縦断面図(第1の実施形態における図3に相当する図)にて示されている。この図に示されるように、表示装置54は、凹レンズ部22のレンズ面22Aの中央部に隠蔽部56を設けた点で、第4の実施形態に係る表示装置48(図12参照)とは異なる。他の構成は、第4の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第4の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。なお、図中では、斜め視線を模式に二点鎖線Bで示す。
【0048】
図13に示されるように、凹レンズ部22のレンズ面22Aの中央部には、隠蔽部56が一体に設けられている。この隠蔽部56は、例えば、不透明で光を透過しない薄板部材(非透過部)がレンズ面22Aに接着されたものであり、LED44に対向する位置にてLED44を隠蔽するものである。
【0049】
本実施形態に係る表示装置54によれば、第4の実施形態に係る表示装置48(図12参照)と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、使用者が視線方向(矢印A、B方向参照)から見た場合、LED44が隠蔽部56によって隠蔽されるので、見栄えを向上させることができる。
【0050】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態に係る表示装置60について、図14及び図15を用いて説明する。図14には、本発明の第6の実施形態に係る表示装置60が使用状態の縦断面図(第1の実施形態における図3に相当する図)にて示されている。また、図15には、図14の矢印A方向から見た状態の平面図が示されている。
【0051】
これらの図に示されるように、表示装置60は、隠蔽部56と一体の筒状の延設部62が形成され、その延設部62の外周壁面62Aに第3の表示としての補助表示64(図14では模式的に図示)がなされている点で、第5の実施形態に係る表示装置54(図13参照)とは異なる。他の構成は、凸部50が設けられていない点を除いて、第5の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第5の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
図14に示されるように、隠蔽部56の外周端に連続して一体に形成された延設部62は、凹レンズ部22のレンズ面22A(凹レンズ部22における表示体14との対向面)から表示体14側へ円筒状に延設されている。延設部62の外周壁面62Aには、操作補助用の補助表示64がなされている。
【0053】
補助表示64は、補助表示28の「WARM」の文字表示に対応する赤の帯表示、及び補助表示28の「COOL」の文字表示に対応する青の帯表示とされている。これらの補助表示64は、延設部62の外周壁面62Aの周方向に沿ってなされている。なお、本実施形態では、操作補助用の補助表示64が第3の表示とされているが、第3の表示としては、例えば、文字、図形、記号、色彩又はこれらの結合による各種の他の表示が適用可能である。
【0054】
このような構成によれば、延設部62の外周壁面62Aになされた補助表示64は、凹レンズ部22によって、図15に示されるように、虚像として結像されて視認される。このため、本実施形態に係る表示装置60によれば、使用時には目盛表示16及び補助表示28に加えて補助表示64も使用者に視認させることができ、限られたスペースで、より多くの情報を表示することができる。
【0055】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態に係る表示装置70について、図16を用いて説明する。図16には、本発明の第7の実施形態に係る表示装置70が使用状態の縦断面図(第1の実施形態における図3に相当する図)にて示されている。表示装置70は、図14に示される第6の実施形態における隠蔽部56及び延設部62に代えて、図16に示されるように、光透過可能な延設部72を備え、この延設部72の外周壁面72Aに第3の表示としての補助表示74(図16では模式的に図示)がなされている点で、第6の実施形態に係る表示装置60(図14等参照)とは異なる。他の構成は、第6の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第6の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
図16に示されるように、凹レンズ部22のレンズ面22A(凹レンズ部22における表示体14との対向面)における中央寄りの部位からは、表示体14側へ円筒状に延設された延設部72が形成されている。この延設部72は、光透過可能な照明光透過部とされていると共に、外周壁面72Aに補助表示74がなされている。
【0057】
補助表示74は、補助表示28の「WARM」の文字表示に対応する赤色の記号、及び補助表示28の「COOL」の文字表示に対応する青色の記号とされ、光透過可能とされている。これらの補助表示74は、延設部72の外周壁面72Aの周方向に沿ってなされている。なお、本実施形態では、操作補助用の補助表示74が第3の表示とされているが、第3の表示としては、例えば、文字、図形、記号、色彩又はこれらの結合による各種の他の表示が適用可能である。また、本実施形態では、補助表示74が光透過可能とされているが、第3の表示としての補助表示は光透過可能となっていなくてもよい。
【0058】
このような構成によれば、延設部72の外周壁面72Aになされた補助表示74は、LED44の光線L3を透過し、凹レンズ部22によって、虚像として結像されて視認される。このため、本実施形態に係る表示装置70によれば、使用時には目盛表示16及び補助表示28に加えて、透過照明によって補助表示74も使用者に視認させることができ、限られたスペースで、より多くの情報を表示することができる。
【0059】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態における表示装置10、30、40、48、54、60、70は、凹レンズ部22よりも表示体14側に凸レンズ部18を備えているが、表示装置は、凸レンズ部(18)を備えない構成の表示装置でもよく、また、凹レンズ部(22)を挟んで表示体(14)側とは反対側に凸レンズ部(18)を備えた構成の表示装置でもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 表示装置
14 表示体
14A 表示面
16 目盛表示(第1の表示)
22 凹レンズ部
26 筒部
26A 内周壁面
28 補助表示(第2の表示)
30 表示装置
40 表示装置
48 表示装置
54 表示装置
60 表示装置
62 延設部
62A 外周壁面
64 補助表示(第3の表示)
70 表示装置
72 延設部
72A 外周壁面
74 補助表示(第3の表示)
X 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に第1の表示がなされた表示体と、
前記表示体の表示面との対向位置に設けられ、前記表示体に対して自らの光軸方向に相対移動可能とされた凹レンズ部と、
前記凹レンズ部と一体に設けられ、前記凹レンズ部の外周側から前記凹レンズ部の光軸方向に沿って前記表示体側へ筒状に延出されかつ内周壁面に第2の表示がなされた筒部と、
を有する表示装置。
【請求項2】
前記凹レンズ部における前記表示体との対向面からは、前記表示体側へ筒状に延設されかつ外周壁面に第3の表示がなされた延設部が形成されている請求項1記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−81037(P2011−81037A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230773(P2009−230773)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】