説明

表示装置

【課題】
【0008】
上下フレームの嵌合状態が、外部からの荷重に対しても容易に外れないよう構成し、表示モジュール全体の機械的強度を向上させた表示装置を提供すること。
【解決手段】
表示パネルと、該表示パネルの表面側から該表示パネルを支持する上フレーム2と、該表示パネルの裏面側から該表示パネルを支持する下フレームとを有する表示装置において、該上フレーム又は該下フレームのうち、一方のフレームの側面には突起部が形成され、他方のフレームの側面には該突起部と係合する係合部20が形成され、該上フレームと該下フレームとが該表示パネルを挟持する状態で嵌合された際には、該突起部と該係合部とが係合するよう構成され、該上フレーム2と該下フレームとが嵌合した状態において、外側に位置するフレームには、該突起部又は該係合部のいずれか一方の近傍に切り欠き21が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に、表示パネルを上フレームと下フレームとで支持する構造を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、マルチメディアプレーヤーなど、多くの携帯型の情報機器の表示装置に液晶モジュール(液晶表示装置)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの各種表示装置が利用されている。
【0003】
これらの薄型の表示装置には、モジュール強度を確保するため、例えば液晶表示パネル(LCD)や、液晶表示パネルと該液晶表示パネルを照明するバックライトモジュールとを、該表示パネルの表面側と裏面側の両方から金属製のフレーム等で挟み込む構造が、広く利用されている。
【0004】
図1は、表示装置モジュールの一例であり、液晶表示パネル又は有機エレクトロルミネッセンス表示パネル1を、上フレーム2と下フレーム(不図示)で挟み込んだ構造を例示している。図1(a)は表示装置モジュールの上面側の平面図であり、図1(b)は側面図である。また、符号3は、表示パネル1を駆動するための電気信号等を供給する配線が形成された、フレキシブル・プリント回路(FPC)である。
【0005】
上下フレームの固定は、特許文献1に開示されているように、上側または下側のフレーム側面に嵌合用の爪(図1(b)の点線部分参照)を設け、両者を組み合わせた際に他方のフレーム側面の穴に、該爪を引っかけることで嵌合、固定を行っている。図1(a)の一点鎖線A−A’における断面図を図2に示す。図2では、上フレーム2と下フレーム5とが嵌合しており、嵌合状態では、下フレームに設けられた突起部である爪50が、上フレームの係合部である穴20に係合している。上フレーム2と下フレーム5との間には、例えば、液晶表示パネル1とそれを照明するバックライト6とが支持されている。
【0006】
図1及び2に示すような構成により、表示パネルの表示面への荷重に対し、液晶表示パネル1やバックライトモジュール6に加え、上下フレーム2,5で支持することが可能となり、液晶モジュール全体としての機械的強度を確保している。しかし、図2の矢印Bのような、表示面へ荷重が加わった際に、上フレーム自体の変位量や荷重によるフレーム側面部の拡がり(矢印C)によって、図3に示すように、上下フレームの嵌合が外れ、上フレーム2が矢印Dのように移動し、上フレーム2の支持が無くなることにより、強度が低下する問題を生じていた。特に、上フレーム2は、表示パネル1の表示画面領域に対応した部分が開口し、該表示画面領域の周囲を取り囲む枠状部材で構成されるため、外部からの荷重に対して変形し易く、上下フレームの嵌合状態が外れ易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−39280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、上述した問題を解消し、上下フレームの嵌合状態が、外部からの荷重に対しても容易に外れないよう構成し、表示モジュール全体の機械的強度を向上させた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、以下のような手段が利用可能である。
(1)表示パネルと、該表示パネルの表面側から該表示パネルを支持する上フレームと、該表示パネルの裏面側から該表示パネルを支持する下フレームとを有する表示装置において、該上フレーム又は該下フレームのうち、一方のフレームの側面には突起部が形成され、他方のフレームの側面には該突起部と係合する係合部が形成され、該上フレームと該下フレームとが該表示パネルを挟持する状態で嵌合された際には、該突起部と該係合部とが係合するよう構成され、該上フレームと該下フレームとが嵌合した状態において、外側に位置するフレームには、該突起部又は該係合部のいずれか一方の近傍に切り欠きが形成されていることを特徴とする。
【0010】
(2)上記(1)に記載の表示装置において、該突起部又は該係合部が該フレームの側面の長手方向の中央付近にある場合は、該切り欠きは、該突起部又は該係合部を挟むように両側に形成されていることを特徴とする。
【0011】
(3)上記(1)に記載の表示装置において、該突起部又は該係合部が該フレームの側面の長手方向の端に近い位置にある場合は、該切り欠きは、該突起部又は該係合部の片側で該長手方向の中央に近い側に形成されていることを特徴とする。
【0012】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の表示装置において、該上フレームは、該表示パネルの表示画面領域を取り囲む枠状部材であることを特徴とする。
【0013】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の表示装置において、該突起部は、前記一方のフレームの一部を折り曲げた爪状部材であり、該係合部及び該係合補助部は、前記他方のフレームの一部に形成された開口部であることを特徴とする。
【0014】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の表示装置において、該表示パネルは、液晶表示パネル又は有機エレクトロルミネッセンス表示パネルのいずれかであることを特徴とする。
【0015】
(7)上記(6)に記載の表示装置において、該表示パネルは、液晶表示パネルであり、該上フレームと該下フレームとの間には該液晶表示パネルとバックライトとが挟持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のように、上フレーム又は下フレームのうち、一方のフレームの側面には突起部が形成され、他方のフレームの側面には該突起部と係合する係合部が形成され、該上フレームと該下フレームとが嵌合した状態において、外側に位置するフレームには、該突起部又は該係合部のいずれか一方の近傍に切り欠きが形成されているため、上下フレームに荷重が加わっても、上下フレームの嵌合が外れるのを抑制でき、表示モジュール全体の機械的強度が低下するのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】表示装置全体の概略を示す平面図(a)と側面図(b)である。
【図2】図1の表示装置における一点鎖線A−A’での断面図である。
【図3】図2に示す表示装置の上下フレームが外れた状態を説明する図である。
【図4】本発明の表示装置、特に上フレームの概略を示す平面図(a)と側面図(b)である。
【図5】図4の表示装置の点線部分の拡大図である。
【図6】本発明の表示装置の他の例を示す、上フレームの側面図である。
【図7】本発明の表示装置の用いられる他の係合状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の表示装置について、以下に詳細に説明する。
本発明の表示装置の特徴は、図4乃至図6に示されているが、以下の説明では、表示装置の一部の断面図は、図2又は図7のように図示できるため、図2並びに図4乃至図7を用いて、本発明の表示装置を説明する。
【0019】
本発明の表示装置は、図2に示すように、表示パネル1と、該表示パネルの表面側から該表示パネルを支持する上フレーム2と、該表示パネルの裏面側から該表示パネルを支持する下フレーム5とを有する表示装置において、該上フレーム又は該下フレームのうち、一方のフレームの側面には突起部50が形成され、他方のフレームの側面には該突起部と係合する係合部20が形成され、該上フレームと該下フレームとが該表示パネルを挟持する状態で嵌合された際には、該突起部と該係合部とが係合するよう構成され、該上フレーム2と該下フレーム5とが嵌合した状態において、外側に位置するフレームには、該突起部又は該係合部のいずれか一方の近傍に切り欠き(図5の符号21参照)が形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の表示装置の特徴は、フレームの側面、特に、上下フレームを嵌合させた状態で、外側に位置するフレームの側面に、切り欠きを形成することである。切り欠きは、図4及び図4の点線部分7の拡大図である図5に示すように、突起部又は係合部の近傍に形成する。図4は、上記外側に位置するフレームが上フレーム2の場合を示しており、上フレームの側面には係合部である開口20が形成されている。
【0021】
図2で説明したように、上フレームの表面側から荷重Bが加わると、上フレーム2の側面は矢印Cのように外側に拡がろうとする。本発明のように、突起部又は係合部の近傍に切り欠きを形成することにより、矢印Cのように移動させる内部応力が突起部又は係合部20に伝わるのを回避することができる。これにより、上フレームの側面の一部が外側に拡がっても、突起部又は係合部20が形成された部分は外側に拡がらず、係合関係を維持することが可能となる。
【0022】
突起部又は係合部の近傍に形成する切り欠きの位置について説明すると、図6に示すように、該突起部又は該係合部が該フレームの側面の長手方向の中央付近にある場合(点線部分7)は、該切り欠きは、該突起部又は該係合部を挟むように両側に形成さていることが好ましい。これは、突起部又は係合部が形成された位置の両側から、フレームの側面を外側に拡げようとする内部応力が働く可能性があるためである。
【0023】
これに対し、図6の点線部分8における突起部又は係合部においては、主にフレーム側面の長手方向の中央部側から内部応力が働く。このため、該突起部又は該係合部が該フレームの側面の長手方向の端に近い位置にある場合(点線部分8)は、該切り欠きは、該突起部又は該係合部の片側で該長手方向の中央に近い側に形成さている。
【0024】
本発明の表示装置に適用される突起部としては、上下フレームを金属材料で構成する場合には、フレームの一部を切り起した爪状部材や、プレス成形により形成した凸状部材などが利用可能である。また、係合部としては、図2に示すような打ち抜き加工による開口や、プレス成形により形成した凹状部材などが利用可能である。図5に示す切り抜き部分21は、開口と同様に打ち抜き加工などで形成することが可能である。
【0025】
上フレーム2の形状としては、特に、表示パネル1の表示画面領域を取り囲む枠状部材である場合には、本発明が好適に適用可能である。つまり、図2及び3を用いて説明したように、上フレームの枠状部分に荷重をかけると、上フレームの側面部分は容易に外側に拡がり、突起部と係合部との係合関係が解除されることとなる。このような、上フレームの欠点と補完するため、本発明の係合補助部を設けることは、特に、有効である。
【0026】
図2では、下フレーム5に突起部50が形成され、上フレーム2に係合部21が形成されているが、本発明の表示装置は、これに限らず、図7に示すように、上フレーム2に突起部22を形成し、下フレーム5に係合部51を形成することも可能である。
【0027】
本発明の表示装置に使用される表示パネルは、液晶表示パネルや有機エレクトロルミネッセンス表示パネルなど、薄型の表示パネルであれば、いずれでも好適に利用可能である。特に、表示パネルが液晶表示パネルである場合には、液晶表示パネルのみを上下フレームで挟持することも可能であるが、図2又は図7に示すように、上フレーム2と下フレーム5との間には液晶表示パネル1とバックライト7とを挟持するよう構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明によれば、上下フレームの嵌合状態が、外部からの荷重に対しても容易に外れないよう構成し、表示モジュール全体の機械的強度を向上させた表示装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1 表示パネル
2 上フレーム
3 フレキシブル・プリント回路
5 下フレーム
50 突起部
20 係合部
21 切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、該表示パネルの表面側から該表示パネルを支持する上フレームと、該表示パネルの裏面側から該表示パネルを支持する下フレームとを有する表示装置において、
該上フレーム又は該下フレームのうち、一方のフレームの側面には突起部が形成され、他方のフレームの側面には該突起部と係合する係合部が形成され、該上フレームと該下フレームとが該表示パネルを挟持する状態で嵌合された際には、該突起部と該係合部とが係合するよう構成され、
該上フレームと該下フレームとが嵌合した状態において、外側に位置するフレームには、該突起部又は該係合部のいずれか一方の近傍に切り欠きが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、該突起部又は該係合部が該フレームの側面の長手方向の中央付近にある場合は、該切り欠きは、該突起部又は該係合部を挟むように両側に形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、該突起部又は該係合部が該フレームの側面の長手方向の端に近い位置にある場合は、該切り欠きは、該突起部又は該係合部の片側で該長手方向の中央に近い側に形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置において、該上フレームは、該表示パネルの表示画面領域を取り囲む枠状部材であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置において、該突起部は、前記一方のフレームの一部を折り曲げた爪状部材であり、該係合部及び該係合補助部は、前記他方のフレームの一部に形成された開口部であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置において、該表示パネルは、液晶表示パネル又は有機エレクトロルミネッセンス表示パネルのいずれかであることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置において、該表示パネルは、液晶表示パネルであり、該上フレームと該下フレームとの間には該液晶表示パネルとバックライトとが挟持されることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−13759(P2012−13759A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147491(P2010−147491)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】