説明

表示装置

【課題】 本発明は、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用した場合でも、均等な面光源として十分に視認することができる表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明に係る表示装置は、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する表示装置であって、光を発する光源部と、前記光源部に隣接し、前記光源部から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成された導光部と、前記導光部の前記主面に密着した状態で、前記凹部との間に空間が設けられ、前記拡散光を透過又は反射させる発光層部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プールなどの水中に設置され案内などを表示する水中表示装置に関して、基板に搭載したLEDを導通接続する中継線で接続された基板側コネクタと、基板と基板側コネクタを収容したケースと、ケースに備えたケーブルグランドとで構成された本体部と、ケーブルグランドに挿通しケーブル側コネクタに引出し部で接続されたケーブルで構成された水中表示装置であって、基板側コネクタとケーブル側コネクタが接続され、ケーブル側コネクタがケーブルグランドの管内を挿通可能な大きさに形成された構成がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、浴槽内を良好に演出できる演出照明装置に関して、浴槽内の水面に浮かせるか又は水中に水没させることのできる密閉構造のケース体と、このケース体の水面下に位置する部位に設けられた発光部と、この発光部へ電力を供給するケース体内に設けられた電池と、ケース体の外側よりLEDの発光を操作できる操作スイッチから成る構成がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、従来の水中等に浸した状態で用いる表示装置1000は、図19及び図20に示すように、発光ダイオードを設けた光源部1010と、発光ダイオード照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成された導光板1021を設けた導光部1020から構成されている。ここで、図20は、従来の表示装置1000の光学特性を示す模式図であり、各光線は、それぞれ導光板1021の内部を伝播している状態から光線の図示を開始している。また、各光線の屈折及び全反射に係る計算においては、波長をNaのd線に相当する589nmを基準として、空気Aの屈折率を1.000、水Wの屈折率を1.333、及び導光板1021の屈折率を1.490としている。
【0005】
具体的には、従来の表示装置1000において、図20に示す光線L41に示す光は、導光部1020の導光板1021から水Wとの境界面を透過し、空気Aとの境界面で全反射して該導光板1021へ入射している。また、光線L42に示す光は、該導光板1021と水Wとの境界面及び該導光板1021の凹部と水Wとの境界面の順で全反射している。また、光線L43に示す光は、該導光板1021から水Wとの境界面を透過している。また、光線L44に示す光は、該導光板1021から水Wとの境界面及び空気Aとの境界面の順で透過している。また、光線L45に示す光は、該導光板1021から水Wとの境界面を透過し、水Wと該導光板1021の凹部との境界面を透過している。また、光線L46に示す光は、該導光板1021の凹部と水Wとの境界面で全反射し、水Wとの境界面を透過している。また、光線L47に示す光は、該導光板1021から水Wとの境界面及び空気Aとの境界面の順で透過している。また、光線L48に示す光は、該導光板1021から水Wとの境界面、該導光板1021の凹部と水Wとの境界面及び該導光板1021と水Wとの境界面の順で全反射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−024947号公報
【特許文献2】特開2002−042521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の様な構成では、均等な面光源として十分に発光させて視認することが困難であるという問題があった。特に、従来の水中に浸した状態で用いる表示装置において、水面下に浸された導光板を水の上方から見た場合に、該導光板から導出された光を視認し難い問題があった。具体的には、図21(a)において、波長を589nm、水Wの屈折率を1.333、及び導光板1100の屈折率を1.490とした場合、導光板1100から水Wへ入射する光の臨界角θ1は、63.5°である。一方、図21(b)において、波長を589nm、空気Aの屈折率を1.000、及び導光板1200の屈折率を1.490とした場合、導光板1200から空気Aへ入射する光の臨界角θ3は、42.2°である。したがって、導光板1100においてθ2に示す範囲で一主面1100aに入射した光が全反射し、導光板1200においてθ3に示す範囲で主面1200aに入射した光が全反射する。このため、光の臨界角を例にした場合、図21(a)に示す水中に浸した導光板1100は、図21(b)に示す空気中に載置した導光板1200と比較して、導光板1100の内部で光が多重反射し難いことから、光源から離間する毎に導光板1100から導出される光の光量が大幅に低下することがあり、均等な面光源になり難い。
【0008】
そこで、本発明は前述の技術的な課題に鑑み、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用した場合でも、均等な面光源として十分に視認することができる表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決すべく、本発明に係る表示装置は、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する表示装置であって、光を発する光源部と、前記光源部に隣接し、前記光源部から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成された導光部と、前記導光部の前記主面に密着した状態で、前記凹部との間に空間が設けられ、前記拡散光を透過又は反射させる発光層部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る表示装置によれば、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用した場合でも、均等な面光源として十分に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る主面に凹部が形成された導光部及び発光層部をそれぞれ設けた表示装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を構成毎に分解して示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の要部を断面で示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の要部を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る主面に大きさの異なる凹部が形成された導光部を設けた表示装置を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る基材と粘着材から成る発光層部を設けた表示装置の要部を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の光学特性を示す模式図であり、(a)は光線を図示していない表示装置の要部の模式図、(b)は光線を図示している表示装置の要部の模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る導光部及び発光層部を湾曲させ水中等に浸して使用する表示装置を示す模式図であり、(a)は表示装置の全体を示す模式図、(b)は表示装置の一部を示す模式図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る屋外に配設し雨天等の中で使用する表示装置を示す模式図であり、(a)は表示装置の全体を示す模式図、(b)は表示装置の一部を示す模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る主面に凹部と該凹部の外周を囲むように突出した凸部とが形成された導光部及び発光層部をそれぞれ設けた表示装置を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る表示装置を構成毎に分解して示す斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の要部を断面で示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の要部を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の要部を拡大して示す断面図であり、図13に対応している。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る主面に大きさの異なる凹部が形成された導光部を設けた表示装置を示す断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る基材と粘着材から成る発光層部を設けた表示装置の要部を示す断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る表示装置を顕微鏡を用いて撮影して得られた主面に凹部と該凹部の外周を囲むように突出した凸部とが形成された導光部及び発光層部の構造を示す顕微鏡写真である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の光学特性を示す模式図であり、(a)は光線を図示していない表示装置の要部の模式図、(b)は光線を図示している表示装置の要部の模式図である。
【図19】従来の発光層部を設けていない表示装置を示す斜視図である。
【図20】従来の表示装置の光学特性を示す模式図である。
【図21】従来の表示装置の屈折及び全反射に係る一般的な光学特性を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の表示装置に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の表示装置は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。具体的には、以下の記述において、本発明の表示装置を構成する各構成部材の材質及び形状等は一例であり、他の材質及び形状等に適宜変更可能である。
【0013】
また、以下の説明においては、最初に本発明の第1の実施形態に係る表示装置1について図1乃至図9等を参照しながら説明する。次に本発明の第2の実施形態に係る表示装置4について図10乃至図18を参照しながら説明する。さらに本発明に係る表示装置1乃至表示装置4に設けられた各導光部の導光板の製造方法について説明する。最後に本発明に係る表示装置1乃至4の構成と主な作用効果について請求項毎に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る表示装置1について、図1乃至図9等を参照しながら、具体的に説明する。
【0015】
なお、第1の実施形態に係る表示装置1の説明については、先ず表示装置1の構成について図1乃至図6を参照しながら説明し、次に表示装置1の光学特性について図7と図19及び図20を参照しながら従来の表示装置1000と対比して説明し、さらに表示装置1の使用方法について図8及び図9を参照しながら説明する。
【0016】
先ず、表示装置1の構成について、図1乃至図6を参照しながら説明する。
【0017】
第1の実施形態に係る表示装置1は、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する。この様な表示装置1は、図1及び図2に示すように、光源部10、導光部20、及び発光層部30から構成されている。なお、図2は、発明の理解を容易にするために、導光部20の導光板21の凹部21b等及び発光層部30の発光シート31を透過させて図示している。以下、表示装置1の各構成について、順に説明する。
【0018】
表示装置1を構成する光源部10は、光を発する。この様な光源部10は、図2に示すように、光源11、基板12、保持部材13、及び保持部材蓋14から構成されている。以下、光源部10を構成する各部材について、順に説明する。光源部10の光源11には、表面実装型の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いる。具体的には、光源11は、白色、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色、又は紫色のいずれかの色若しくはそれらの色の組み合わせから成るLEDで構成する。また、光源11は、紫外域又は赤外域の光を発するLEDで構成しても良い。この様な光源11は、後述する基板12に、所定の間隔で複数個配列されている。なお、光源11は、LEDに限定されることはなく、有機発光ダイオード、蛍光管、冷陰極管、又はネオン管等で構成しても良い。また、光源部10の基板12には、板状のガラスエポキシ基板を用いる。また、光源部10の保持部材13は、アルミニウム合金から成り、断面がコの字状から成る板状に形成されている。この様な保持部材13の内部の一面13aに、光源11を複数実装した基板12が、図示せぬネジによりネジ留めされる。また、光源部10の保持部材蓋14は、アルミニウム合金から成り、板状に形成されている。この様な保持部材蓋14は、一対から成り、保持部材13の一端13b及び他端13cに、図示せぬネジによりネジ留めされる。
【0019】
表示装置1を構成する導光部20は、光源部10に隣接し、光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成された導光板21から構成されている。また、導光板21は、透明なアクリル樹脂板から成る。なお、導光板21は、透明な樹脂板に限定されることは無く、着色された樹脂板を用いても良い。さらに、導光板21には、可視域の光を照射されることにより拡散光を発する微粒子状の拡散部材を添加した樹脂板を用いても良い。同様に、導光板21には、紫外域や可視域の光を照射されることにより蛍光を発する蛍光剤を塗布又は添加した樹脂板を用いても良い。また、図4に示すように、導光部20の導光板21の主面である一主面21aに、導光板21の側面21eを介して光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部21bが形成されている。同様に、導光部20の導光板21の一主面21aに対向した主面である他主面21cに、導光板21の側面21eを介して光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部21dが形成されている。この様な凹部21b及び凹部21dは、四角錐形状から成り、一主面21a及び他主面21cに対して1mmから6mmの間隔でマトリクス状に形成されている。なお、凹部21b及び凹部21dの表面は、鏡面又は所定の面粗さを有する面から成る。ここで、導光板21の一主面21aに形成された複数の凹部21bで発生した拡散光の大部分は、略均一な面発光の光として導光板21の他主面21cから導出される。同様に、導光板21の他主面21cに形成された複数の凹部21dで発生した拡散光の大部分は、略均一な面発光の光として導光板21の一主面21aから導出される。
【0020】
また、表示装置1を構成する導光部20に関し、図5に示す導光板22は、導光板21の変形例に相当し、一主面22aの凹部22b及び他主面22cの凹部22dの深さが、光源部10の光が入射される導光板22の側面22eから離間する毎に深くなるように形成されている。ここで、導光板22の側面22eから光源部10の光が入射されると、導光板22の側面22eから離間する毎に伝播する光の光量が減少するが、導光板22の側面22eから離間しても凹部で発生する拡散光の光量の減少を抑制することができる。したがって、図5に示す導光板22は、図4に示す導光板21と比較して、導光板22の側面22eからの距離によらず、導光板22の一主面22a及び他主面22cから均一な面発光が導出される。したがって、図5に示す導光板22は、後述する発光層部30により導光板22の側面22eから離間する毎に伝播する光の光量が大きく減少する場合に有効な構成である。
【0021】
表示装置1を構成する発光層部30は、導光部20の主面に密着した状態で、凹部との間に空間が設けられ、拡散光を透過又は全反射させる。この様な発光層部30は、図2及び図4に示すように、発光シート31から構成されている。また、発光シート31は、ポリ塩化ビニル等から成り、薄膜状に形成されている。ここで、発光シート31は、導光部20の導光板21の一主面21a及び他主面21cに密着し、且つ導光板21の一主面21aに形成された凹部21b、及び他主面21cに形成された凹部21dから離間した状態で貼り付けされている。また、導光部20の導光板21の凹部21b及び凹部21dと、発光層部30の発光シート31との間に設けられた空間に、気体又は充填材が封入されている。具体的には、封入されている気体は、空気又は窒素である。また、封入されている充填剤は、導光板21又は発光シート31よりも屈折率が低いものであり、フッ素系のポリマーから成る。ここで、発光シート31は、導光部20の導光板21の凹部21b及び凹部21dで発生した拡散光を、透過又は全反射させる。なお、発光シート31は、導光部20の導光板21の一主面21a又は他主面21cのいずれか一方のみに密着して設ける構成としても良い。また、図6に示す発光シート32は、発光シート31の変形例に相当し、基材32a及び粘着材32bから成り、基材32aが、粘着材32bを介して導光板21の一主面21a又は他主面21cに密着している。また、発光シート32の基材32aは、ポリ塩化ビニル等から成り、層厚は50μm乃至100μmである。なお、発光シート32の基材32aは、紫外線を透過させない。また、発光シート32の粘着材32bは、アクリル酸エステル共重合体等から成り、層厚は30μmである。
【0022】
次に、表示装置1の光学特性について、図7と図19及び図20を参照しながら、従来の表示装置1000と対比して、具体的に説明する。
【0023】
表示装置1の光学特性に関し、図7に表示装置1の光学特性を模式図で示している。先ず、表示装置1の光学特性について、図7に示した光線L11乃至光線L18に基づいて説明する。なお、図7において、光線L11乃至光線L18は、それぞれ導光板の内部を伝播している状態から光線の図示を開始している。同様に、発明の理解を容易にするために、図7において、光線L11乃至光線L18の終端に、光線L11e乃至光線L18eの符号を付している。また、各光線の屈折及び全反射に係る計算においては、波長をNaのd線に相当する589nmを基準として、空気A及びA1の屈折率を1.000、水Wの屈折率を1.333、導光板21の屈折率を1.490、及び発光シート31の屈折率を1.550としている。なお、境界面での光の屈折及び全反射の角度は、該境界面での表面粗さ等にも依存する。また、境界面での光の屈折及び全反射の角度は、短波長から長波長にかけて屈折率が小さくなる波長の値にも依存する。
【0024】
具体的には、表示装置1の光学特性に関し、図7に示す表示装置1の光学特性に係る模式図において、光線L11に示す光は、発光シート31及び水Wを透過し、空気Aと水Wとの境界面で全反射して、発光シート31及び導光板21に再度入射している。また、光線L12に示す光は、発光シート31に透過し、水Wと発光シート31との境界面、及び空気A1と発光シート31との境界面との間で多重反射した後、導光板21に再度入射している。また、光線L13に示す光は、空気A1、発光シート31、水W、及び空気Aの順で透過している。また、光線L14に示す光は、発光シート31、水W、及び空気Aの順で透過している。また、光線L15に示す光は、空気A1を透過した後、導光板21に再度入射している。また、光線L16に示す光は、空気A1と導光板21との境界面で全反射し、発光シート31及び水Wの順で透過している。また、光線L17に示す光は、空気A1、発光シート31、水W、及び空気Aの順で透過している。また、光線L18に示す光は、空気A1と導光板21との境界面で全反射し、発光シート31に透過している。
【0025】
ここで、表示装置1の光学特性に関し、図7に示す表示装置1の光学特性に係る模式図においては、発光シート31を設け、且つ導光板21に形成された凹部21bにより、光が全反射又は屈折して透過する境界面が多く存在している。一方、図20に示す従来の表示装置1000の光学特性に係る模式図においては、発光シートを設けていないことから、図7に示す表示装置1の光学特性に係る模式図と比較して、光が全反射又は屈折して透過する境界面が相当少ない。ここで、図7に示す水中に浸した表示装置1を視認した場合、図20に示す空気中に載置した従来の表示装置1000と比較して、光が全反射又は屈折して透過する境界面が多くなり、明るく認識される。以下、その理由について3つの現象に場合分けして説明する。
【0026】
表示装置1の光学特性において、1つ目の現象に関し、表示装置1の導光部20及び発光層部30の各境界面において、光が屈折して透過し視認者の方向に伝播する場合に、該光を視認することができる。次に、2つ目の現象に関し、表示装置1の導光部20及び発光層部30の各境界面において、光が屈折して透過し視認者の方向とは異なる方向に伝播する場合でも、各境界面では透過する光と共に全反射する光が発生しているため、該全反射した光の中で視認者の方向に伝播した光を視認することができる。具体的には、伝播する光の光量の全てが各境界面で透過のみ又は全反射のみすることは極めて稀であり、境界面の法線方向に対して5度と非常に浅い角度で光が入射した場合でも、該光の数%は境界面において透過せずに反射する。なお、境界面の法線方向に対する光の入射角が大きくなる程、該光の境界面において透過せずに反射する光の割合が増加する。また、境界面の面精度が低い程、該光の境界面において透過せずに反射する光の割合が増加する。
【0027】
また、表示装置1の光学特性において、3つ目の現象に関し、表示装置1の導光部20及び発光層部30の各境界面において、光が全反射して視認者の方向に伝播する場合には、該光を視認することができる。すなわち、表示装置1では、導光部20及び発光層部30の各境界面において、光が全反射又は屈折して透過し、その光の一部が視認者の方向に伝播するため、明るく認識される。したがって、図7に示す表示装置1は、図20に示す従来の表示装置1000と比較して、光が全反射又は屈折して透過する境界面が多く、従来の表示装置1000よりも明るく認識される。
【0028】
さらに、表示装置1の使用方法について、図8及び図9を参照しながら、具体的に説明する。
【0029】
表示装置1の使用方法に関し、図8に示す表示装置2は、表示装置1の変形例であり、導光部40及び発光層部50を屈曲させ水中に浸して使用する状態を模式図で表している。なお、表示装置2は、導光部40及び発光層部50を屈折又は屈曲させていることから、光源部10を水中に浸さない状態で使用することができる。ここで、図7及び図20を対比しながら装置の光学特性について前述した通り、水中に浸した場合に、従来の表示装置1000は導光部1020の導光板1021を十分に発光させることができないが、図8に示す表示装置2は導光部40の導光板41を介して発光層部50の発光シート51を十分に発光させることができる。また、図9に示す表示装置3は、表示装置1の各構成部材の大きさを変えた変形例であり、屋外に配設し雨天の中で使用している状態を模式図で表している。ここで、雨天の中で使用する場合においても、従来の表示装置1000は導光部1020の導光板1021を十分に発光させることができないが、図9に示す表示装置3は導光部60の導光板61を介して発光層部70の発光シート71を十分に発光させることができる。したがって、表示装置3は、発光層部70の発光シート71に積層され所定の情報が表示された表示部80の表示板81を十分に発光させることができることから、表示板81に表示された「○□△」から成る情報を十分に報知することができる。
【0030】
以上、第1の実施形態の表示装置1乃至3によれば、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用した場合でも、均等な面光源として十分に視認することができる。
【0031】
具体的には、第1の実施形態の表示装置1乃至3によれば、この様な請求項2に記載の表示装置1乃至3によれば、入手が容易で且つ屈折率が相対的に低い空気又は窒素を用いて、導光部20、40、又は60の凹部と発光層部30、50、又は70との間で、光を全反射又は屈折させることができる。さらに、発光層部30、50、又は70と水Wとの境界面、及び導光部20、40、又は60の凹部に封入された空気A1と発光層部30、50、又は70との境界面において、光を多重反射させることができる。
【0032】
また、第1の実施形態の表示装置1乃至3によれば、発光層部30、50、又は70と、導光部20、40、又は60の一方に形成された一主面、導光部20、40、又は60の他方に形成された他主面、又は導光部20、40、又は60の一方及び他方に形成された一主面及び他主面に密着されて形成された境界面において、光を全反射又は屈折させることができる。
【0033】
また、第1の実施形態の表示装置1乃至3によれば、図9に示す表示装置3において、発光層部70の発光シート71に積層され所定の情報が表示された表示部80の表示板81を十分に発光させることができることから、表示板81に表示された「○□△」から成る情報を十分に報知することができる。
【0034】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態に係る表示装置4について、図10乃至図18を参照しながら、具体的に説明する。
【0035】
なお、本発明の第2の実施形態に係る表示装置4は、図10及び図11に示すように、光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成され、且つ凸部が凹部の外周を囲むように主面から突出して形成された導光部90と、導光部90の主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端にそれぞれ密着した状態で、凹部及び凸部との間に空間が設けられ且つ凸部の外周との間に空間がそれぞれ設けられ、拡散光を透過又は全反射させる発光層部100とを設けていることに特徴を有している。また、それ以外の第2の実施形態に係る構成は、第1の実施形態で述べた構成と同様である。そこで、第2の実施形態においては第1の実施形態と異なる構成について中心に説明する。なお、第2の実施形態に係る表示装置4の説明については、先ず表示装置4の構成について図10乃至図17を参照しながら説明し、次に表示装置4の光学特性について図18を参照しながら説明する。
【0036】
先ず、表示装置4の構成について、図10乃至図17を参照しながら説明する。
【0037】
第2の実施形態に係る表示装置4は、第1の実施形態に係る表示装置1と同様に、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する。この様な表示装置4は、図10及び図11に示すように、第1の実施形態の表示装置1に設けられた構成と同一の光源部10、第2の実施形態の表示装置4に特有の導光部90及び発光層部100から構成されている。そこで、第2の実施形態の表示装置4に特有の導光部90及び発光層部100について中心に説明する。なお、図11は、発明の理解を容易にするために、導光部90の導光板91の凹部91b等及び発光層部100の発光シート101を透過させて図示している。また、図17には、表示装置4を、顕微鏡を用いて撮影して得られた、導光板91の一主面91aに凹部91bと該凹部91bの外周を囲むように突出した凸部91hとが形成された導光部90の導光板91及び発光層部100の発光シート101の写真を示している。
【0038】
表示装置4を構成する導光部90は、光源部10に隣接し、光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成され、且つ凸部が凹部の外周を囲むように主面から突出して形成されている。この様な導光部90は、図11乃至図16に示すように、導光板91から構成されている。なお、導光板91の材質は、第1の実施形態に係る表示装置1に設けられた導光部20の導光板21と同様である。また、導光部90の導光板91の主面である一主面91aに、導光板91の側面91eを介して光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部91bが形成されている。ここで、導光板91の一主面91aにおいて、凸部91hが、凹部91bの外周を囲むように一主面91aから突出して形成されている。同様に、導光部90の導光板91の一主面91aに対向した主面である他主面91cに、導光板91の側面91eを介して光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部91dが形成されている。ここで、導光板91の他主面91cにおいて、凸部91iが、凹部91dの外周を囲むように他主面91cから突出して形成されている。また、凹部91b及び凹部91dは、四角錐形状から成り、一主面91a及び他主面91cに対して1mmから6mmの間隔でマトリクス状に形成されている。なお、凸部91h及び凸部91iの表面は、鏡面又は所定の面粗さを有する面から成る。ここで、導光板91の一主面91aに形成された複数の凹部91bで発生した拡散光の大部分は、略均一な面発光の光として導光板91の他主面91cから導出される。同様に、導光板91の他主面91cに形成された複数の凹部91dで発生した拡散光の大部分は、略均一な面発光の光として導光板91の一主面91aから導出される。
【0039】
また、表示装置4を構成する導光部90に関し、図15に示す導光板92は、導光板91の変形例に相当し、一主面92aの凹部92b及び他主面92cの凹部92dの深さが、光源部10の光が入射される導光板92の側面92eから離間する毎に深くなるように形成されている。また、一主面92aの凸部92h及び他主面92cの凸部92iの深さが、光源部10の光が入射される導光板92の側面92eから離間する毎に高くなるように形成されている。ここで、導光板92の側面92eから光源部10の光が入射されると、導光板92の側面92eから離間する毎に伝播する光の光量が減少するが、導光板92の側面92eから離間しても凹部で発生する拡散光の光量の減少を抑制することができる。したがって、図15に示す導光板92は、図13に示す導光板91と比較して、導光板92の側面92eからの距離によらず、導光板92の一主面92a及び他主面92cから均一な面発光が導出される。したがって、図15に示す導光板92は、後述する発光層部100により導光板92の側面92eから離間する毎に伝播する光の光量が大きく減少する場合に有効な構成である。
【0040】
表示装置4を構成する発光層部100は、導光部90の主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端にそれぞれ密着した状態で、凹部及び凸部との間に空間が設けられ且つ凸部の外周との間に空間が設けられ、拡散光を透過又は全反射させる。ここで、図10及び図11に示すように、発光層部100に設けられた発光シート101は、導光部90に設けられた導光板91の複数の凸部91h及び凸部91iに当接された場合に、その当接された箇所が円形状に隆起する。すなわち、図10及び図11に示すように、発光層部100の発光シート101は、導光板91にマトリクス状に形成された凸部91h及び凸部91iに当接され、マトリクス状に円形状で隆起した状態になる。この様な発光層部100は、図10及び図13に示すように、発光シート101から構成されている。また、発光シート101は、ポリ塩化ビニル等から成り、薄膜状に形成されている。ここで、発光シート101は、図13、図14、及び図17に示すように、導光部90の導光板91の一主面91aに形成された凹部91b及び他主面91cに形成された凹部91dから離間した状態で、一主面91a及び他主面91cの少なくとも一部に密着し、且つ凸部91h及び凸部91iの少なくとも先端にそれぞれ密着している。ここで、発光シート101は、図12に示すように、導光板91の凸部91h及び凸部91iの先端に密着している箇所が、導光板91の一主面91a及び他主面91cに密着した箇所に対して、円形状に隆起している。
【0041】
また、表示装置4を構成する発光層部100に関し、導光部90の導光板91の凹部91b及び凹部91dと、発光層部100の発光シート101との間に設けられた空間に、気体又は充填材が封入されている。同様に、導光部90の導光板91の凸部91hと凸部91iと、発光層部100の発光シート101との間に設けられた空間に、気体又は充填材が封入されている。具体的には、封入されている気体は、空気又は窒素である。また、封入されている充填剤は、導光板91又は発光シート101よりも屈折率が低いものであり、フッ素系のポリマーから成る。また、発光シート101は、導光部90の導光板91の凹部91b及び凹部91dで発生した拡散光を、透過又は全反射させる。なお、発光シート101は、導光部90の導光板91の一主面91a又は他主面91cのいずれか一方のみに密着して設ける構成としても良い。また、図16に示す発光シート102は、発光シート101の変形例に相当し、基材102a及び粘着材102bから成り、基材102aが、粘着材102bを介して導光板91の凹部91b及び凹部91dから離間した状態で一主面91a及び他主面91cの少なくとも一部にそれぞれ密着し、且つ凸部91h及び凸部91iの少なくとも先端にそれぞれ密着している。
【0042】
次に、表示装置4の光学特性について、図18を参照しながら、具体的に説明する。
【0043】
表示装置4の光学特性に関し、図18に表示装置4の光学特性を模式図で示している。なお、各光線は、前述した第1の実施形態の表示装置1の光学特性の説明と同様に、それぞれ導光板の内部を伝播している状態から光線の図示を開始している。なお、図18において、各光線は、それぞれ導光板の内部を伝播している状態から光線の図示を開始している。同様に、発明の理解を容易にするために、図18において、各光線の終端に、eの符号を付している。また、各光線の屈折及び全反射に係る計算においては、波長をNaのd線に相当する589nmを基準として、空気A、A1、A2、及びA3の屈折率を1.000、水Wの屈折率を1.333、導光板91の屈折率を1.490、及び発光シート101の屈折率を1.550としている。なお、境界面での光の屈折及び全反射の角度は、該境界面での表面粗さ等にも依存する。また、境界面での光の屈折及び全反射の角度は、短波長から長波長にかけて屈折率が小さくなる波長の値にも依存する。
【0044】
具体的には、表示装置4の光学特性に関し、図18に示す表示装置4の光学特性に係る模式図において、光線L22、L23、L24、L25、及びL27は、図7に示す光線L12、L13、L14、L15、及びL17に、それぞれ対応している。ここで、光線L22に示す光は、発光シート101に透過し、水Wと発光シート101との境界面、及び空気A1と発光シート101との境界面で多重反射している。また、光線L23に示す光は、空気A1、発光シート101、水W、及び空気Aの順で透過している。また、光線L24に示す光は、発光シート101、水W、及び空気Aの順で透過している。また、光線L25に示す光は、空気A1に透過した後、導光板91に再度入射している。また、光線L27に示す光は、空気A1、発光シート101、水W、及び空気Aの順で透過している。
【0045】
同様に、表示装置4の光学特性に関し、光線L31に示す光は、発光シート101及び水Wを透過し、空気Aと水Wとの境界面で全反射して、発光シート101に再度透過した後、該発光シート101と空気A3の境界面で全反射している。また、光線L32に示す光は、空気A2に透過した後、導光板91に再度入射し、空気A1と導光板91との境界面で全反射している。また、光線L33に示す光は、空気A2と導光板91の凸部91hとの境界面で全反射した後、空気A1に透過し、導光板91に再度入射した後、空気A3と導光板91の凸部91hとの境界面で全反射している。また、光線L34に示す光は、空気A1と導光板91bとの境界面で全反射した後、空気A2に透過し、発光シート101と空気A2との境界面で全反射した後、導光板91に再度入射している。また、光線L35に示す光は、空気A1と導光板91との境界面、及び空気A3と導光板91との境界面で全反射している。
【0046】
ここで、表示装置4の光学特性に関し、図18に示す表示装置4の光学特性に係る模式図においては、発光シート101を設け、且つ導光板91に形成された凹部91b、及び該凹部91bの外周に突出して形成された凸部91hにより、光が全反射又は屈折して透過する境界面が多く存在している。特に、表示装置4は、図10及び図11に示すように、発光層部100の発光シート101が導光部90の導光板91にマトリクス状に形成された凸部91hに当接されマトリクス状に円形状で隆起した状態になることから、円形状の空気層が形成されている。具体的には、発光シート101が、導光板91の凸部91hに当接することにより、図18に示す空気A1との境界面に加えて、空気A2及び空気A3との境界面においても、光を全反射又は屈折させることができる。また、導光板91の凸部91hを高くすることにより、発光シート101において円形状に隆起する部分の直径を大きくすることができる。さらに、発光シート101は、導光板91の凸部91hに当接して円形状に隆起し、その隆起した箇所では適当な張力が掛かった状態で撓んでいないことから、光を全反射又は屈折させ易い。また、図16に示す発光シート102は、発光シート101の変形例に相当し、基材102a及び粘着材102bから成り、基材102aが、粘着材102bを介して導光板91の一主面21aの一部又は他主面21cの一部に密着している。また、導光板91の凸部91hが、凹部91bの外周を囲むように一主面21aから突出して形成されていることから、該導光板91に発光シート101を貼り付けする際に、発光シート101と凹部91bとの間に空気A1に相当する空間層を形成し易い。さらに、導光板91の凸部91hの外周にも、空気A2及びA3に相当する空間層を形成し易い。
【0047】
以上、第2の実施形態の表示装置4によれば、第1の実施形態の表示装置1乃至3と同様に、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用した場合でも、均等な面光源として十分に視認することができる。
【0048】
具体的には、第2の実施形態の表示装置4によれば、導光部90の凹部及び凸部と発光層部100との間に設けられた空間、及び導光部90の凸部の周囲に形成された空間で、光を全反射又は屈折させることができる。さらに、発光層部100と水Wとの境界面、及び導光部90の凹部に封入された空気Aと発光層部100との境界面において、光を多重反射させることができる。
【0049】
さらに、第2の実施形態の表示装置4によれば、導光部90の一方に形成された一主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端、導光部90の他方に形成された他主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端、又は導光部90の一方及び他方に形成された一主面及び他主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端に密着されて形成された境界面において、光を全反射又は屈折させることができる。具体的には、発光シート101が、導光板91の凸部91hに当接することにより、図18に示す空気A1との境界面に加えて、空気A2及び空気A3との境界面においても、光を全反射又は屈折させることができる。また、導光板91の凸部91hを高くすることにより、発光シート101において円形状に隆起する部分の直径を大きくすることができる。さらに、発光シート101は、導光板91の凸部91hに当接して円形状に隆起し、その隆起した箇所では適当な張力が掛かった状態で撓んでいないことから、光を全反射又は屈折させ易い。また、導光板91の凸部91hが、凹部91bの外周を囲むように一主面21aから突出して形成されていることから、該導光板91に発光シート101を貼り付けする際に、発光シート101と凹部91bとの間に空気A1に相当する空間層を形成し易くする効果がある。さらに、導光板91の凸部91hの外周にも、空気A2及びA3に相当する空間層を形成し易くする効果がある。
【0050】
また、本発明に係る表示装置1乃至表示装置4に設けられた各導光部の導光板の製造方法について、具体的に説明する。
【0051】
導光板の製造方法には、超音波加工、加熱加工、切削加工、レーザ加工、及び成型加工を用いることができる。以下、各製造方法について説明する。超音波加工では、導光板の主面に当接させた超音波加工用ホーンの超音波の振動を用いて、導光板の主面を部分的に溶融させることにより、該主面に凹部を形成する。また、加熱加工では、導光板の主面に当接させた加工具の熱を用いて、導光板の主面を部分的に溶融させることにより、該主面に凹部を形成する。同様に、切削加工では、導光板の主面に当接しながら回転又は付勢させた切削工具を用いて、導光板の主面を部分的に削り取ることにより、該主面に凹部を形成する。同様に、レーザ加工では、導光板の主面に集光させたレーザ光の熱を用いて、導光板の主面を部分的に溶融させることにより、該主面に凹部を形成する。同様に、成型加工では、成型する導光板の外形形状を反映させた形状を金型の内部に形成し、射出成型機に装着した金型に対して加熱して軟化させた樹脂を注入してから、該樹脂を冷却させることにより、導光板の主面に凹部を形成する。また、成型加工に用いる導光板の基材である樹脂に、拡散光を発する微粒子状の拡散部材を添加しても良い。同様に、上述した超音波加工、加熱加工、切削加工、又はレーザ加工を行う導光板の基材である樹脂に、拡散光を発する微粒子状の拡散部材を添加したものを用いても良い。なお、上述した超音波加工、加熱加工、切削加工、レーザ加工、及び成型加工を組み合わせて導光板を形成しても良い。
【0052】
最後に、本発明に係る表示装置1乃至3の構成と主な作用効果について、請求項毎に具体的に説明する。
【0053】
請求項1に記載の表示装置1乃至3は、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する表示装置であって、光を発する光源部10と、光源部10に隣接し、光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成された導光部20、40、又は60と、導光部20、40、又は60の主面に密着した状態で、凹部との間に空間が設けられ、拡散光を透過又は反射させる発光層部30、50、又は70とを有することを特徴としている。
【0054】
この様な請求項1に記載の表示装置1乃至3によれば、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用した場合でも、均等な面光源として十分に視認することができる。
【0055】
請求項2に記載の表示装置1乃至3は、請求項1に従属し、導光部20、40、又は60の凹部と発光層部30、50、又は70との間に設けられた空間に、気体又は充填材が封入されていることを特徴としている。
【0056】
この様な請求項2に記載の表示装置1乃至3によれば、入手が容易で且つ屈折率が相対的に低い空気又は窒素を用いて、導光部20、40、又は60の凹部と発光層部30、50、又は70との間で、光を全反射又は屈折させることができる。さらに、発光層部30、50、又は70と水Wとの境界面、及び導光部20、40、又は60の凹部に封入された空気Aと発光層部30、50、又は70との境界面において、光を多重反射させることができる。
【0057】
請求項3に記載の表示装置1乃至3は、請求項1に従属し、発光層部30、50、又は70は、導光部20、40、又は60の一方に形成された一主面、導光部20、40、又は60の他方に形成された他主面、又は導光部20、40、又は60の一方及び他方に形成された一主面及び他主面に密着されていることを特徴としている。
【0058】
この様な請求項3に記載の表示装置1乃至3によれば、発光層部30、50、又は70と、導光部20、40、又は60の一方に形成された一主面、導光部20、40、又は60の他方に形成された他主面、又は導光部20、40、又は60の一方及び他方に形成された一主面及び他主面に密着されて形成された境界面において、光を全反射又は屈折させることができる。
【0059】
請求項4に記載の表示装置4は、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する表示装置であって、光を発する光源部10と、光源部10に隣接し、光源部10から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成され、且つ凸部が凹部の外周を囲むように主面から突出して形成された導光部90と、導光部90の凹部から離間した状態で主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端にそれぞれ密着し、拡散光を透過又は反射させる発光層部100とを有することを特徴としている。
【0060】
この様な請求項4に記載の表示装置4によれば、少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用した場合でも、簡便な構成により均等な面光源として十分に発光させて視認することができる。
【0061】
請求項5に記載の表示装置4は、請求項4に従属し、導光部90の凹部及び凸部と発光層部100との間に設けられた空間は、円形状に形成されていることを特徴としている。
【0062】
この様な請求項5記載の表示装置4によれば、導光部90の凹部と発光層部100との間に設けられた空間で、光を屈折又は全反射させることができる。また、この様な請求項5記載の表示装置4によれば、導光部90の凸部の外周と発光層部100との間に設けられたリング状の空間で、光を屈折又は全反射させることができる。具体的には、発光シート101が、導光板91の凸部91hに当接することにより、図18に示す空気A1との境界面に加えて、空気A2及び空気A3との境界面においても、光を全反射又は屈折させることができる。また、導光板91の凸部91hを高くすることにより、発光シート101において円形状に隆起する部分の直径を大きくすることができる。さらに、発光シート101は、導光板91の凸部91hに当接して円形状に隆起し、その隆起した箇所では適当な張力が掛かった状態で撓んでいないことから、光を全反射又は屈折させ易い。
【0063】
請求項6に記載の表示装置4は、請求項4に従属し、導光部90の凹部及び凸部と発光層部100との間に設けられた空間、及び導光部90の凸部の外周と発光層部100との間に設けられた空間に、気体又は充填材が封入されていることを特徴としている。
【0064】
この様な請求項6記載の表示装置4によれば、図10及び図11に示すように、発光層部100の発光シート101は、導光部90の導光板91にマトリクス状に形成された凸部に当接され、マトリクス状に円形状で隆起した状態になることから、導光部90の導光板91の凹部及び凸部と発光層部100の発光シート101との間に設けられた空間、及び導光部90の導光板91の凸部の外周と発光層部100の発光シート101との間に設けられた空間で、それぞれ光を全反射又は屈折させることができる。さらに、発光層部100の発光シート101と水Wとの境界面、及び導光部90の導光板91の凹部に封入された空気Aと発光層部100の発光シート101との境界面において、光を多重反射させることができる。
【0065】
請求項7に記載の表示装置4は、請求項4に従属し、発光層部100は、導光部90の一方に形成された一主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端、導光部90の他方に形成された他主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端、又は導光部90の一方及び他方に形成された一主面及び他主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端に密着されていることを特徴としている。
【0066】
この様な請求項7に記載の表示装置4によれば、導光部90の一方に形成された一主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端、導光部90の他方に形成された他主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端、又は導光部90の一方及び他方に形成された一主面及び他主面の少なくとも一部及び凸部の少なくとも先端に密着されて形成された境界面において、光を全反射又は屈折させることができる。
【0067】
請求項8に記載の表示装置4は、請求項4に従属し、導光部90の凸部は、光源部10から離間する毎に高くなるように主面から突出して形成されていることを特徴としている。
【0068】
この様な請求項8に記載の表示装置4によれば、導光板92の側面92eからの距離によらず、導光板92の一主面92a及び他主面92cから均一な面発光を導出させることができる。
【0069】
請求項9に記載の表示装置1乃至4は、請求項1又は4に従属し、発光層部30、50、70、又は100に積層され、所定の情報が表示され発光層部からの光を透過させる表示部80を更に有することを特徴としている。
【0070】
この様な請求項9に記載の表示装置1乃至4によれば、図9に示す表示装置3において、発光層部70の発光シート71に積層され所定の情報が表示された表示部80の表示板81を十分に発光させることができることから、表示板81に表示された「○□△」から成る情報を十分に報知することができる。
【0071】
請求項10に記載の表示装置1乃至4は、請求項1又は4に従属し、発光層部30、50、70、又は100は、基材及び粘着材から成り、基材が粘着材を介して導光部20、40、60、又は90の主面に密着していることを特徴としている。
【0072】
この様な請求項10に記載の表示装置1乃至4によれば、各発光層部の発光シートの粘着材により基材を導光部20、40、60、又は90の主面に密着させることができる。
【0073】
請求項11に記載の表示装置1乃至4は、請求項1又は4に従属し、導光部20、40、60、又は90及び発光層部30、50、70、又は100は、液体よりも屈折率が高いことを特徴としている。
【0074】
この様な請求項11に記載の表示装置1乃至4によれば、導光部20、40、60、又は90及び発光層部30、50、70、又は100は、液体との境界面で光を全反射させることができる。
【0075】
請求項12に記載の表示装置1乃至4は、請求項1又は4に従属し、導光部20、40、60、又は90の凹部は、点状、線状、又はそれらの組み合わせから成ることを特徴としている。
【0076】
この様な請求項12に記載の表示装置1乃至4によれば、導光部20、40、60、又は90から所定の光強度分布を有した光を導出させることができる。
【0077】
請求項13に記載の表示装置1乃至4は、請求項1又は4に従属し、導光部20、40、60、又は90及び発光層部30、50、70、又は100は、屈折又は屈曲されていることを特徴としている。
【0078】
この様な請求項13に記載の表示装置1乃至4によれば、表示装置1乃至4を設置する環境に応じて、導光部20、40、60、又は90及び発光層部30、50、70、又は100を、屈折又は屈曲させて用いることができる。
【0079】
請求項14に記載の表示装置1乃至4は、請求項1又は4に従属し、光源部10は、液体に浸されていない状態であることを特徴としている。
【0080】
この様な請求項14に記載の表示装置1乃至4によれば、図8に示す表示装置2のように、導光部40及び発光層部50を屈折又は屈曲させることにより、光源部10を水中に浸さない状態で使用することができる。
【0081】
請求項15に記載の表示装置1乃至4は、請求項1又は4に従属し、光源部10は、導光部20、40、60、又は90の側面の片側又は両側に設けられていることを特徴としている。
【0082】
この様な請求項15に記載の表示装置1乃至4によれば、光源部10の光が導光部20、40、60、又は90の内部で減衰する度合いに応じて、光源部10を該導光部20、40、60、又は90の側面の片側又は両側に設けることができる。
【0083】
請求項16に記載の表示装置1乃至4は、請求項15に従属し、導光部20、40、60、又は90の凹部は、導光部20、40、60、又は90の側面の片側又は両側から離間する毎に深くなるように主面に形成されていることを特徴としている。
【0084】
この様な請求項16に記載の表示装置1乃至4によれば、図5に示す導光部20の導光板22の側面22eから光源部10の光が入射されると、導光板22の側面22eから離間する毎に伝播する光の光量が減少するが、導光板22の側面22eから離間しても凹部で発生する拡散光の光量の減少を抑制することができる。したがって、図5に示す導光部20の導光板22は、図4に示す導光板21と比較して、導光板22の側面22eからの距離によらず、導光板22の一主面22a及び他主面22cから均一な面発光が導出される。
【0085】
請求項17に記載の表示装置1乃至4は、請求項2又は6に従属し、気体は、空気又は窒素であることを特徴としている。
【0086】
この様な請求項17に記載の表示装置1乃至4によれば、入手が容易で且つ屈折率が相対的に低い空気又は窒素を用いて、導光部20、40、又は60の凹部と発光層部30、50、又は70との間で、光を全反射又は屈折させることができる。
【0087】
請求項18に記載の表示装置1乃至4は、請求項2又は6に従属し、充填剤は、導光部20、40、60、又は90又は発光層部30、50、70、又は100よりも屈折率が低いことを特徴としている。
【0088】
この様な請求項18に記載の表示装置1乃至4によれば、導光部20、40、又は60の凹部と発光層部30、50、又は70との間で、光を全反射又は屈折させることができる。
【符号の説明】
【0089】
1,2,3,4,1000 表示装置
10,1010 光源部
11 光源
12 基板
13 保持部材
13a 一面
13b 一端
13c 他端
14 保持部材蓋
20,40,60,90,1020 導光部
21,22,91,92,1021,1100,1200 導光板
21a,22a,41a,61a,91a,92a,1100a,1200a 一主面
21b,22b,41b,61b,91b,92b 凹部
21c,22c,41c,61c,91c,92c 他主面
21d,22d,41d,61d,91d,92d 凹部
21e,22e,41e,61e,91e,92e 側面
91h,91i,92h,92i 凸部
30,50,70,100 発光層部
31,32,51,71,101,102 発光シート
32a,102a 基材
32b,102b 粘着材
80 表示部
81 表示板
A,A1,A2,A3 空気
W 水
L11,12,L13,L14,L15,L16,L17,L18,L22,L23,L24,L25,L27,L31,L32,L33,L34,L35,L41,L42,L43,L44,L45,L46,L47,L48,L11e,12e,L13e,L14e,L15e,L16e,L17e,L18e,L22e,L23e,L24e,L25e,L27e,L31e,L32e,L33e,L34e,L35e 光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する表示装置であって、
光を発する光源部と、
前記光源部に隣接し、前記光源部から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成された導光部と、
前記導光部の前記主面に密着した状態で、前記凹部との間に空間が設けられ、前記拡散光を透過又は反射させる発光層部とを有すること
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記導光部の前記凹部と前記発光層部との間に設けられた前記空間に、気体又は充填材が封入されていること
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記発光層部は、前記導光部の一方に形成された一主面、前記導光部の他方に形成された他主面、又は前記導光部の一方及び他方に形成された前記一主面及び前記他主面に密着されていること
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
少なくとも一部が液体に浸された状態で又は液体に触れた状態で使用する表示装置であって、
光を発する光源部と、
前記光源部に隣接し、前記光源部から照射された光を拡散光として導出させる凹部が主面に形成され、且つ凸部が前記凹部の外周を囲むように前記主面から突出して形成された導光部と、
前記導光部の前記主面の少なくとも一部及び前記凸部の少なくとも先端にそれぞれ密着した状態で、前記凹部及び前記凸部との間に空間が設けられ且つ前記凸部の外周との間に空間が設けられ、前記拡散光を透過又は反射させる発光層部とを有すること
を特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記導光部の前記凹部及び前記凸部と前記発光層部との間に設けられた前記空間は、円形状に形成されていること
を特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記導光部の前記凹部及び前記凸部と前記発光層部との間に設けられた前記空間、及び前記導光部の前記凸部の外周と前記発光層部との間に設けられた前記空間に、気体又は充填材が封入されていること
を特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光層部は、前記導光部の一方に形成された一主面の少なくとも一部及び前記凸部の少なくとも先端、前記導光部の他方に形成された他主面の少なくとも一部及び前記凸部の少なくとも先端、又は前記導光部の一方及び他方に形成された前記一主面及び前記他主面の少なくとも一部及び前記凸部の少なくとも先端に密着されていること
を特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
前記導光部の前記凸部は、前記光源部から離間する毎に高くなるように前記主面から突出して形成されていること
を特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光層部に積層され、所定の情報が表示され前記発光層部からの光を透過させる表示部を更に有すること
を特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項10】
前記発光層部は、基材及び粘着材から成り、前記基材が前記粘着材を介して前記導光部の前記主面に密着していること
を特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項11】
前記導光部及び前記発光層部は、前記液体よりも屈折率が高いこと
を特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項12】
前記導光部の前記凹部は、点状、線状、又はそれらの組み合わせから成ること
を特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項13】
前記導光部及び前記発光層部は、屈折又は屈曲されていること
を特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項14】
前記光源部は、前記液体に浸されていない状態であること
を特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項15】
前記光源部は、前記導光部の側面の片側又は両側に設けられていること
を特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項16】
前記導光部の前記凹部は、前記導光部の前記側面の片側又は両側から離間する毎に深くなるように前記主面に形成されていること
を特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記気体は、空気又は窒素であること
を特徴とする請求項2又は請求項6に記載の表示装置。
【請求項18】
前記充填剤は、前記導光部又は前記発光層部よりも屈折率が低いこと
を特徴とする請求項2又は請求項6に記載の表示装置。

【図17】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−177772(P2012−177772A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40162(P2011−40162)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000127857)株式会社エス・ケー・ジー (105)
【Fターム(参考)】