説明

表示装置

【課題】 額縁が視認され難い直視型の表示装置を提供する。
【解決手段】 直視型の表示装置は、表示領域と表示領域の外側に設けられた額縁領域とを有する表示パネルと、表示パネルの観察者側に配置された透光性カバーとを備え、透光性カバーは、表示パネルの額縁領域の一部と、額縁領域の一部に隣接する表示領域内の周辺表示領域の一部とを含む領域に重なる位置に配置されたレンズ部を有し、表示パネルの側面に配置された横筐体部を少なくとも有する筐体を更に備え、透光性カバーのレンズ部は、レンズ部の外側端部が、横筐体部の外側端面の観察者側に存在するように配置されており横筐体部は透光性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特に直視型の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶表示パネル、バックライト装置、液晶表示パネルに各種の電気信号を供給する回路や電源、およびこれらを収容する筐体を備えている。液晶表示パネルは、複数の画素が配列された表示領域と、その周辺の額縁領域とを有している。表示領域には、画素電極やTFTが設けられている。額縁領域には、シール部や駆動回路実装部等が設けられている。額縁領域には画素が配列されていないので、額縁領域は表示に寄与しない。液晶表示装置は、狭額縁化されてきているが、額縁領域は、原理的に無くすことはできない。
【0003】
複数の表示パネルを配列することによって大画面を構成すると、表示パネルの額縁領域は表示に寄与しないので、画像に継ぎ目が生じてしまう。そこで、継ぎ目が無い画像を表示するために、特許文献1および2には、表示パネルの観察者側に透光性カバーを設けた表示装置が開示されている。この透光性カバーのエッジ部分は、観察者側の表面が屈曲した部分を有している。屈曲した部分はレンズとして機能するので、以下では「レンズ部」ということにする。透光性カバーのレンズ部は、表示パネルの額縁領域と、表示領域内の額縁領域に隣接する領域の一部に重なるように設けられている。表示領域のうち、レンズ部と重なる部分を「周辺表示領域」という。周辺表示領域に配列された画素から出射された光は、レンズ部によって額縁領域側へ屈折される。その結果、額縁領域の前面にも画像が表示され、画面全体として継ぎ目が無い画像が表示される。
【0004】
また、特許文献3には、円形又は楕円形の表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−188873号公報
【特許文献2】特表2004−524551号公報
【特許文献3】特開2006−276580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、唯一の表示パネルを備える表示装置において、額縁が視認され難い新規な表示装置を実現することを検討した。
【0007】
表示パネルの額縁領域にレンズ部が重なるように、特許文献1および2に記載のレンズ部を有する透光性カバーを配置すると、表示パネルの額縁領域を見え難くすることができる。しかしながら、表示パネルが筐体に収容されるので、表示パネルの額縁領域の外側に筐体の一部が存在することとなる。従って、レンズ部によって額縁領域を見え難くしても、額縁領域の外側の筐体の一部が視認される。すなわち、筐体の一部が額縁として見えてしまう。これまで、筐体までもが見え難い表示装置は提案されていない。上記では、液晶表示装置について説明したが、プラズマディスプレイ(PDP)、有機EL表示装置、および電気泳動表示装置等のフラットパネルディスプレイにおいても、額縁領域は存在し、上述の方法によって見え難くすることができるが、筐体まで見え難くすることは提案されていない。
【0008】
本発明は、唯一の表示パネルを備え、額縁が視認され難い直視型の表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の直視型の表示装置は、表示領域と前記表示領域の外側に設けられた額縁領域とを有する表示パネルと、前記表示パネルの観察者側に配置された透光性カバーとを備え、前記透光性カバーは、前記表示パネルの前記額縁領域の一部と、前記額縁領域の前記一部に隣接する前記表示領域内の周辺表示領域の一部とを含む領域に重なる位置に配置されたレンズ部を有し、前記表示パネルの少なくとも側面に配置された筐体部を有する筐体をさらに備え、前記筐体部の観察者側には、前記周辺表示領域の前記一部から出射された光の一部および/または背面側から入射する光が出射される。
【0010】
ある実施形態において、前記筐体部は透光性であり、前記筐体部の外側端面は、前記透光性カバーの前記レンズ部の外側端部の外側にある。
【0011】
ある実施形態において、前記透光性カバーの前記レンズ部は、前記レンズ部の外側端部が、前記筐体部の外側端面の観察者側に存在するように配置されている。
【0012】
ある実施形態において、前記筐体と前記透光性カバーとは一体に形成されている。
【0013】
ある実施形態において、前記筐体と前記透光性カバーとは一体に形成されており、前記筐体部の観察者側表面と背面側表面との少なくとも一部はレンズ面である。
【0014】
ある実施形態において、前記筐体部は、前記筐体部の観察者側表面が、前記レンズ部の前記観察者側表面と境界を形成するように設けられており、前記境界は、前記額縁領域の前記一部の観察者側にあり、前記筐体部の観察者側表面はレンズ面である。
【0015】
ある実施形態において、前記表示領域のうち、前記周辺表示領域以外の領域の少なくとも一部に形成される画像は、前記周辺表示領域の前記一部に形成される画像と異なる種類のコンテンツの画像である。
【0016】
ある実施形態において、前記透光性カバーの前記レンズ部の観察者側表面と、観察者側と反対側の表面との少なくとも一方は曲面である。
【0017】
ある実施形態において、前記透光性カバーの前記レンズ部の観察者側表面と、観察者側と反対側の表面の少なくとも一方は円柱曲面である。
【0018】
ある実施形態において、前記透光性カバーの前記レンズ部の観察者側表面と、観察者側と反対側の表面の少なくとも一方の、前記表示パネルの表示面に垂直な平面との交線は、非球面関数によって規定される曲線である。
【0019】
ある実施形態において、前記レンズ部の観察者側表面と、観察者側と反対側の表面との少なくとも一方は、フレネルレンズ形状である。
【0020】
ある実施形態において、前記筐体部の観察者側表面は曲面であり、前記筐体部の前記観察者側表面は、外側端部から内側に向かって、前記表示パネルの前記表示面に平行な平面からの距離が減少する。
【0021】
ある実施形態において、前記筐体部の観察者側表面と背面側表面の少なくとも一方は、曲面である。
【0022】
ある実施形態において、前記筐体部の観察者側表面と背面側表面の少なくとも一方は、前記表示パネルの前記表示面に平行である。
【0023】
ある実施形態において、前記筐体部の観察者側表面はフレネルレンズ面である。
【0024】
ある実施形態において、前記透光性カバーおよび前記筐体部は、透明な粘着テープで固定されている。
【0025】
ある実施形態において、前記筐体は前記表示パネルの背面側に配置された底筐体部をさらに有し、前記筐体部と前記底筐体部とは、前記表示パネルの背面側で、固定されている。
【0026】
ある実施形態において、前記表示パネルは円形である。
【0027】
ある実施形態において、前記表示パネルは矩形である。
【0028】
本発明による携帯電話は、上記の構成を有する表示装置を有する。
【0029】
ある実施形態において、前記表示パネルの表示領域に、背景が表示される。
【0030】
ある実施形態において、前記透光性カバーは前記レンズ部以外の部分に、観察者側表面が前記表示パネルの表示面と略平行な平面で形成される平板部をさらに有し、前記レンズ部の前記観察者側表面と、前記平板部の前記観察者側表面と、前記筐体部の前記観察者側表面の少なくとも1つには、反射防止処理が施されている。
【0031】
ある実施形態において、前記レンズ部の前記観察者側表面と、前記平板部の前記観察者側表面と、前記筐体部の前記観察者側表面の少なくとも1つには、反射防止膜が貼り付けられている。
【0032】
ある実施形態において、前記反射防止処理は、LR処理である。
【0033】
ある実施形態において、前記反射防止膜は、モスアイ構造を有する。
【0034】
ある実施形態において、前記反射防止膜は、誘電体多層膜である。
【0035】
ある実施形態において、前記表示パネルの前記表示領域には第1および第2の方向に複数の画素が等間隔に配列されており、前記表示領域は、前記周辺表示領域と、前記周辺表示領域以外の領域の中央表示領域から構成され、前記周辺表示領域に配列された画素に供給される表示信号は、前記中央表示領域に配列された画素に供給される表示信号と比較して、前記第2の方向に圧縮されている。
【0036】
ある実施形態において、本発明による表示装置は、前記表示パネルに向けて光を出射するバックライト装置をさらに備え、前記周辺表示領域に配列された画素に向けて出射される光の強度は、前記中央表示領域に配列された画素に向けて出射される光の強度よりも高い。
【0037】
本発明によるデジタルフォトフレームは、前記表示パネルと、前記透光性カバーと、前記筐体部とを備える。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、唯一の表示パネルを備え、額縁が視認され難い直視型の表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による実施形態の表示装置100Aの模式的な断面図である。
【図2】液晶表示装置100Aの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図3】観察者から見た液晶表示装置100Aを模式的に示す図である。
【図4】本発明による実施形態の表示装置100Bの模式的な断面図である。
【図5】液晶表示装置100Bの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図6】観察者から見た液晶表示装置100Bを模式的に示す図である。
【図7】本発明による実施形態の表示装置100Cの模式的な断面図である。
【図8】液晶表示装置100Cの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図9】観察者から見た液晶表示装置100Cを模式的に示す図である。
【図10】液晶表示装置100Dの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図11】液晶表示装置100Eの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図12】液晶表示装置100Fの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図13】液晶表示装置100Gの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図14】本発明による実施形態の表示装置100Hの模式的な断面図である。
【図15】液晶表示装置100Hの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図16】観察者から見た液晶表示装置100Hを模式的に示す図である。
【図17】液晶表示装置100Iの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図18】液晶表示装置100Jの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図19】液晶表示装置100B’の端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図20】液晶表示装置100C’の端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図21】液晶表示装置100I’の端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図22】液晶表示装置100D’の端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図23】液晶表示装置100E’の端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図24】液晶表示装置100Cの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【図25】液晶表示装置100Cの模式的な断面図である。
【図26】(a)は、観察者から見た液晶表示装置200Aを模式的に示す図であり、(b)は、(a)の26B−26B’線に沿った断面図であり、(c)は、(a)の26C−26C’線に沿った断面図である。
【図27】(a)は、観察者から見た液晶表示装置200Bを模式的に示す図であり、(b)は、(a)の27B−27B’線に沿った断面図であり、(c)は、(a)の27C−27C’線に沿った断面図である。
【図28】携帯電話300Aを模式的に示す図である。
【図29】(a)および(b)は、デジタルフォトフレーム300Bを模式的に示す図である。
【図30】(a)および(b)は、液晶表示装置500aの構成を示す図であり、(a)は模式的な平面図であり、(b)は(a)における線30B−30B’に沿った模式的な断面図である。
【図31】液晶表示パネル500の端部の模式的な上面図である。
【図32】液晶表示装置500aの端部の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明による実施形態を説明するが、本発明は例示する実施形態に限定されるものではない。
【0041】
図1に、本発明による実施形態の直視型の液晶表示装置100Aの模式的な断面図を示す。
【0042】
図1に示すように、液晶表示装置100Aは、唯一の液晶表示パネル10と、液晶表示パネル10の観察者側に配置された透光性カバー20と、筐体30とを備える。
【0043】
液晶表示パネル10は、表示領域10Aと表示領域10Aの外側に設けられた額縁領域10Fとを有する。液晶表示パネル10は、公知の任意の透過型の液晶表示パネル10であってよい。液晶表示パネル10の下方にはバックライト装置40が設けられている。なお、バックライト装置は、表示パネルとして有機EL表示パネル等の自発光型の表示パネルを用いるときは不要である。
【0044】
透光性カバー20は、レンズ部22と平板部24とを有している。透光性カバー20のレンズ部22は、液晶表示パネル10の額縁領域10Fと、額縁領域10Fに隣接する表示領域10A内の周辺表示領域10Dとを含む領域に重なる位置に配置されている。周辺表示領域10Dから出射される光をレンズ部22によって屈折させることによって、周辺表示領域10Dに形成される画像を周辺表示領域10Dおよび額縁領域10Fから構成される領域に拡大する。液晶表示パネル10には額縁領域10Fが存在するが、液晶表示パネル10の観察者側にレンズ部22を有する透光性カバー20を設けることによって、額縁領域10Fを見え難くすることができる。
【0045】
筐体30は、液晶表示パネル10を保護するために設けられている。本実施形態の表示装置は、筐体30を備えていることにより、表示パネルが塵や水にさらされるのを防止することができる。また、表示パネルに直接衝撃が加わるのを防止することもできる。以下、筐体の一部を「筐体部」と称することとする。筐体30は、横筐体部36と底筐体部38とを有する。横筐体部36は透光性であり、液晶表示パネル10の側面10bに配置されている。底筐体部38はバックライト装置40の下方に配置されている。
【0046】
横筐体部36は、透光性であるので、横筐体部36の観察者側には、横筐体部36に背面側から入射する光の一部が出射される。従って、観察者には、横筐体部36の背景が透けて見えるので、額縁が視認され難い表示装置が実現される。
【0047】
以下、図2および図3を参照して、液晶表示装置100Aは額縁が視認され難いことをより詳細に説明する。
【0048】
図2は、液晶表示装置100Aの端部付近を模式的に示す拡大断面図である。
【0049】
液晶表示パネル10は矩形であり、表示領域10Aには複数の画素が行および列を有するマトリクス状に配列されている。表示領域10Aは、額縁領域10Fに隣接する周辺表示領域10Dと、周辺表示領域10D以外の領域の中央表示領域10Bから構成されている。ここで、行方向を第1の方向D1(図2において紙面に垂直な方向。後述する図3に示す。)とし、列方向を第2の方向D2とする。
【0050】
液晶表示パネル10は、例えば、上基板11および下基板12を有し、上基板11と下基板12との間には液晶層13が設けられている。下基板12には、例えばTFTや画素電極が設けられ、上基板11には、例えばカラーフィルタ層や対向電極が設けられている。上基板11の上方および下基板12の下方には必要に応じて偏光板が配置される。液晶表示パネル10の額縁領域10Fには、シール部16や駆動回路等が形成されている。バックライト装置40は、例えば、LEDと、導光板と、拡散板やプリズムシート等の光学シートから構成される、エッジライト方式と呼ばれるバックライト装置である。
【0051】
透光性カバー20のレンズ部22は、液晶表示パネル10の額縁領域10Fおよび周辺表示領域10Dを含む領域に重なる位置に配置されており、レンズ部22の観察者側表面(「出射面」ともいう)22aは曲面である。平板部24は、中央表示領域10Bに重なる位置に配置されており、平板部24の出射面は液晶表示パネル10の表示面10aに平行である。透光性カバー20は矩形であり、レンズ部22は、透光性カバー20の4辺のうち第1の方向D1に延びる2辺に設けられている。
【0052】
筐体30の横筐体部36は透光性であり、液晶表示パネル10の4辺のうち第1の方向D1に延びる2辺の側面の外側に設けられている。横筐体部36の観察者側表面36aおよび背面側表面36cは液晶表示パネル10の表示面10aに平行である。
【0053】
図2に、表示領域10Aに配列された画素から出射され透光性カバー20に入射する光線、および横筐体部36の背面側から横筐体部36に入射する光線を破線で示す。図2に示すように、周辺表示領域10Dから出射された光は、レンズ部22に入射し、外側(額縁領域10Fの側)に屈折される。このとき、レンズ部22に入射した光は、レンズ部22の観察者側表面22aで屈折され、周辺表示領域10Dおよび額縁領域10Fの上に配置された、レンズ部22の観察者側表面22aから出射される。レンズ部22の観察者側表面22aから出射された光は、表示面10aに垂直な方向に直進する。従って、液晶表示パネル10の周辺表示領域10Dに形成される画像が、周辺表示領域10Dおよび額縁領域10Fから構成される領域に拡大されて表示されるので、額縁領域10Fが見え難くなる。また、中央表示領域10Bに配列された画素から出射された光は、平板部24に入射し、表示面10aに垂直な方向に直進する。従って、平板部24の観察者側には中央表示領域10Bに形成される画像が表示される。横筐体部36の背面側表面36cから横筐体部36に入射した光は、横筐体部36内を背面側表面36cに垂直な方向に直進し、観察者側表面36aから出射される。従って、観察者には横筐体部36の背景が透けて見える。よって、額縁(額縁領域10Fおよび横筐体部36)が視認され難い表示装置が実現される。
【0054】
レンズ部22は第1の方向D1に延びる2辺の額縁領域上に設けられており、第1の方向D1に延びる2辺の額縁領域10F上には画像の一部が表示される。また、横筐体部36は液晶表示パネル10の第1の方向D1に延びる2辺の外側に設けられており、観察者には液晶表示パネル10の第1の方向D1に延びる2辺の外側に横筐体部36の背景が透けて見える。従って、液晶表示装置100Aは、第1の方向D1に延びる2辺の額縁を見え難くすることができる。
【0055】
図3に、観察者から見た液晶表示装置100Aを模式的に示す。図3には、画像が表示される領域101、額縁が視認される領域102、および背景が透けて見える領域103を示す。図3に示すように、第2の方向D2に延びる2辺の額縁は視認される(額縁が視認される領域102)。一方、第1の方向D1に延びる2辺の額縁には横筐体部36の背景が透けて見える(背景が透けて見える領域103)。すなわち、液晶表示装置100Aは、第1の方向D1に延びる2辺の額縁を見え難くすることができる。
【0056】
上記では、横筐体部の観察者側に背景が透けて見える実施形態を示したが、横筐体部の観察者側に、表示領域に形成される画像の一部を表示しても額縁を見え難くすることができる。横筐体部の観察者側に、表示領域から出射される光の一部を出射させると横筐体部の観察者側に画像の一部を表示することができる。例えば、上記の実施形態では、レンズ部により、周辺表示領域から出射された光が外側に屈折され、表示パネルの額縁領域上に画像の一部が表示されるが、周辺表示領域から出射される光をさらに外側に屈折させることにより、横筐体部の観察者側に周辺表示領域に形成された画像の一部を表示することができる。また、横筐体部の観察者側に、画像の一部が表示される領域と背景が透けて見える領域とが存在する構成としても、額縁を見え難くすることができる。横筐体部の観察者側に、表示領域から出射された光の一部および横筐体部の背面側から入射する光を出射させると横筐体部の観察者側に、背景が透けて見える領域と画像が表示される領域とを存在させることができる。横筐体部の観察者側に画像の一部が表示される表示装置の例、および横筐体部の観察者側に画像の一部が表示される領域と背景が透けて見える領域とが存在する表示装置の例は、後に詳述する。
【0057】
筐体30の底筐体部38は、横筐体部36と別部材としてもよいし、省略してもよく、いずれの場合も本発明の効果は損なわれない。また、底筐体部38は表示に影響しないので、透光性でなくてもよい。また、横筐体部36の観察者側表面36aおよび背面側表面36cは表示面10aに平行な平面であるが、横筐体部の観察者側表面および背面側表面の形状はこれに限られない。他の例は後述する。
【0058】
また、上記の実施形態では、表示パネルとして液晶表示パネルを用いた液晶表示装置を例示しているが、本発明による実施形態の表示装置に用いる表示パネルは、これに限られない。表示パネルとして、例えば、PDP用表示パネル、有機EL表示パネル、電気泳動表示パネル等を用いることもできる。また、液晶表示パネルの形状が矩形である例を説明したが、他の形状の表示パネルについても適用できる。
【0059】
また、上記の液晶表示装置100Aは、4辺のうち、第1の方向D1に延びる2辺の額縁を見え難くすることができるが、他の額縁を見え難くしてもよい。他の額縁が視認され難い表示装置の例は後述する。
【0060】
ここで、レンズ部22の観察者側表面22aの形状を説明する。レンズ部22の観察者側表面22aは、周辺表示領域10Dに配列された画素から出射された光を観察者側に屈折させるレンズ面である。例えば、レンズ部22の観察者側表面22aは、液晶表示パネル10の表示面10aに垂直な平面であって、且つ第1の方向D1と直交する平面との交線が円弧である。また、観察者側表面22aと、表示面10aに垂直な平面であって、且つ第1の方向D1と直交する平面との交線は、円弧ではない曲線であってもよい。特に、国際公開第2009/157150号に記載の非球面関数によって規定される曲線であることが好ましい。参考のために、国際公開第2009/157150号の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0061】
例えば、周辺表示領域10Dに形成する画像を、中央表示領域10Bに形成する画像と比較して画像圧縮率aだけ圧縮して形成し、レンズ部22の観察者側表面22a上に、周辺表示領域20Dに形成される画像を1/a倍に拡大して表示するようなレンズ部22の観察者側表面22aの形状は、以下のように求めることができる。
【0062】
非球面関数f(x)として、以下の関数を用いる。
f(x)=h-cx2/(1+(1-(1+k)c2x2)1/2)+A4x4+A6x6+A8x8+A10x10
ここで、
c:レンズ部22の曲率(曲率半径の逆数)
h:平板部24の厚さ
k:円錐定数(「コーニック定数」又は「conic constant」ともいう。)
である。xは、レンズ部22の観察者側表面22a上の各点の第2の方向D2における位置を示し、中央表示領域10B側を零(0)とし、額縁領域10F側ほど数値が大きくなる。
【0063】
例えば、
周辺表示領域10Dの幅L1:12mm
額縁領域10Fの幅L2:3mm
画像圧縮率a:0.8
平板部24の厚さh:13mm
曲率半径(レンズ部22の曲率cの逆数、1/c):23mm
レンズ部22の屈折率n:1.49(アクリル樹脂)
とすると、
k=1.15
4=−7.86×10-7
6=1.89×10-8
8=−1.62×10-10
10=4.95×10-13
となる。
【0064】
また、kの値は、a=0.4〜0.89のとき、下記の式で与えられる。
k=89.918a4-194.57a3+159.82a2-57.099a+7.1865
【0065】
なお、画像圧縮率が小さい(例えばa<0.7)と、1/aの値が大きくなり、各画素は大きく拡大される。このため、画素と画素の間にあるブラックマトリクスが目立って見えてしまうことがあり、表示不良となる場合が多い。また画像圧縮率が大きい(例えばa>0.9)と、額縁領域の幅に対して大きいレンズ部が必要となるために、あまり好ましくない。例えば、画像圧縮率a=0.95のとき、a=L1/(L1+L2)=0.95であるから、レンズ部の幅(L1+L2)は額縁領域の幅L2の20倍となる。上記の例のように額縁領域の幅L2が3mmであれば、レンズ部の幅L1+L2が60mmとなる。例えば携帯電話用の表示装置等では、装置の幅が60mm以下である場合が多く、レンズ部の幅L1+L2が60mmのレンズ部材を配置できない。従って、画像圧縮率aは0.7〜0.9程度が好ましい。上記の式から、画像圧縮率a=0.7、0.9における円錐定数kは、それぞれk≒0.38、2.4と算出されるので、円錐定数kの好ましい範囲は、0.38以上2.4以下である。
【0066】
上記kの値を用いて上記非球面関数f(x)を求め、f(x)で表される観察者側表面22aを有するレンズ部22を作製すれば、周辺表示領域10Dおよび額縁領域10Fに、歪みが無い画像を表示することができる。
【0067】
なお、レンズ部22の表面形状は上述の曲面に限られず、例えば、フレネルレンズ形状としてもよい。
【0068】
上述したように、唯一の表示パネルを備える表示装置は、額縁領域および額縁領域の外側に設けられた筐体の一部(横筐体部)が視認されるが、横筐体部の観察者側に周辺表示領域から出射された光の一部が出射されると横筐体部の観察者側に画像の一部が表示され、また、横筐体部の観察者側に背面側から入射する光が出射されると観察者に横筐体部の背景が透けて見えるので、横筐体部を視認され難くすることができる。従って、額縁を視認され難くすることができる。
【0069】
本実施形態の液晶表示装置のように、透光性カバーと筐体とを別部材とした表示装置は、テレビやモニタ、デジタルフォトフレーム等、室内据置型の製品に好適に用いることができる。
【0070】
次に、図4〜6を参照して、本発明の他の実施形態の液晶表示装置(図4に示す液晶表示装置100B)を説明する。
【0071】
図4に示す液晶表示装置100Bは、液晶表示装置100A(図1)と比較して、横筐体部の観察者側に表示領域に形成される画像の一部を表示することによって、横筐体部を見え難くする点で異なる。また、液晶表示装置100Bは、液晶表示装置100Aと比較して、レンズ部が周辺表示領域10D、額縁領域10Fおよび後述するパネル近辺部分50Gから構成される領域に重なる位置に配置されている点で異なる。図4に示す液晶表示装置100Bは、透光性カバーおよび筐体に代えて後述するレンズ一体型筐体50を備えている。図4に示す液晶表示装置100Bは、液晶表示パネル10およびバックライト装置40も備えているが、これらは液晶表示装置100Aの液晶表示パネル10およびバックライト装置40と同様である。以下、液晶表示装置100Bを具体的に説明する。簡単のため、図4〜6において、図1〜3に示した液晶表示装置100Aと同じ構成要素には同じ参照符号を振り、説明を省略する。
【0072】
図4は、液晶表示装置100Bの模式的な断面図である。液晶表示装置100Bは、唯一の液晶表示パネル10と、バックライト装置40と、レンズ一体型筐体50とを備える。
【0073】
図4に示すように、レンズ一体型筐体50は、筐体と透光性カバーとが一体に形成されたものであり、横筐体部56、底筐体部58、レンズ部52、および平板部54を有する。横筐体部56は、液晶表示パネル10の側面10bに配置され、底筐体部58はバックライト装置40の下方に配置されている。レンズ部52は、液晶表示パネル10の額縁領域10F、周辺表示領域10D、およびパネル近辺部分50Gを含む領域に重なる位置に配置されている。パネル近辺部分50Gとは、横筐体部56のうち、観察者側にレンズ部52が配置されている領域をいう。図4に示すように、レンズ部52は、レンズ部52の外側端部52dが横筐体部56の外側端面(「側面」ともいう。)56bの観察者側に存在するように配置されている。従って、液晶表示装置100Bにおいては、レンズ部52が横筐体部56の観察者側全体に配置されているので、パネル近辺部分50Gは横筐体部56が存在する領域と一致する。
【0074】
液晶表示装置100Bは、周辺表示領域10Dから出射される光を、レンズ部52によって屈折させることによって、周辺表示領域10Dに形成される画像を、周辺表示領域10D、額縁領域10F、およびパネル近辺部分50Gから構成される領域に拡大する。上記のようにレンズ部52は横筐体部56の観察者側全体を含む領域に配置されているので、レンズ部52によって横筐体部56の観察者側に画像の一部が表示される。従って、額縁領域10Fおよび横筐体部56の観察者側に画像の一部が表示されるので、額縁が視認され難い表示装置が実現される。
【0075】
以下、図5および図6を参照して、液晶表示装置100Bは額縁が視認され難いことをより詳細に説明する。図5は、液晶表示装置100Bの端部付近を模式的に示す拡大断面図であり、図6は、観察者から見た液晶表示装置100Bを模式的に示す図である。
【0076】
図5に示すように、レンズ一体型筐体50のレンズ部52は、液晶表示パネル10の周辺表示領域10D、額縁領域10Fおよびパネル近辺部分50Gを含む領域に配置されており、レンズ部52の観察者側表面52aは曲面である。平板部54は、液晶表示パネル10の中央表示領域10Bに重なる位置に配置されており、平板部54の観察者側表面は、表示面10aに平行である。横筐体部56は、矩形の液晶表示パネル10の4辺のうち第1の方向D1に延びる2辺の側面10bの外側に設けられている。レンズ部52は、第1の方向D1に延びる2辺の周辺表示領域10D、額縁領域10Fおよびパネル近辺部分50Gを含む領域に重なる位置に設けられている。
【0077】
図5に、表示領域10Aに配列された画素から出射されレンズ部52および平板部54に入射する光線を破線で示す。周辺表示領域10Dから出射された光は、レンズ部52に入射し、外側(額縁領域10F側)に屈折される。このとき、レンズ部52に入射した光は、レンズ部52の観察者側表面52aで屈折され、周辺表示領域10D、額縁領域10F、およびパネル近辺部分50Gの上に配置された、レンズ部52の観察者側表面52aから出射される。レンズ部52の観察者側表面52aから出射された光は、表示面10aに垂直な方向に直進する。従って、液晶表示パネル10の周辺表示領域10Dに形成される画像が、周辺表示領域10D、額縁領域10F、およびパネル近辺部分50Gから構成される領域に拡大されて表示される。中央表示領域10Bに配列された画素から出射された光は、平板部54に入射して表示面10aに垂直な方向に直進する(図5)。従って、平板部54の観察者側には中央表示領域10Bに形成される画像が表示される。
【0078】
図5に示すように、液晶表示装置100Bでは、パネル近辺部分50Gは、横筐体部56が設けられている領域と一致するので、パネル近辺部分50Gに画像の一部が表示されることは、横筐体部56が見え難くなることを意味する。従って、液晶表示装置100Bは、額縁(額縁領域10Fおよび横筐体部56)が視認され難い。
【0079】
レンズ部52は第1の方向D1に延びる2辺の周辺表示領域10D、額縁領域10Fおよびパネル近辺部分50G上に設けられているので、第1の方向D1に延びる2辺の額縁領域10Fおよびパネル近辺部分50Gに画像の一部が表示される。従って、液晶表示装置100Bは、第1の方向D1に延びる2辺の額縁を見え難くすることができる。
【0080】
図6に示すように、観察者から液晶表示装置100Bを見ると、第2の方向D2に延びる2辺の額縁は視認される(額縁が視認される領域102)。一方、第1の方向D1に延びる2辺の額縁は画像が表示される領域101に含まれる。従って、液晶表示装置100Bは、第1の方向D1に延びる2辺の額縁が視認され難い。
【0081】
液晶表示装置100B(図4〜6参照)は、透光性カバーと筐体の代わりにレンズ一体型筐体50を備えているので、埃や汚れの侵入が抑制されるという利点を有する。なお、液晶表示装置100Bは、レンズ一体型筐体50の代わりに透光性カバーおよび筐体を備えていても、透光性カバーのレンズ部を上記構成とすることにより、額縁を見え難くすることができる。すなわち、透光性カバーのレンズ部を、液晶表示パネルの額縁領域と横筐体部の観察者側全体とを含む領域に設けられる構成とすることにより、額縁領域と横筐体部の観察者側全体とを含む領域に画像の一部が表示されるので、額縁(額縁領域および横筐体部)を見え難くすることができる。
【0082】
次に、図7〜9を参照して、本発明のさらに他の実施形態の液晶表示装置を説明する。
【0083】
図7に示す液晶表示装置100Cは、横筐体部の観察者側に、画像の一部を表示する領域と背景が透けて見える領域とが存在することによって額縁を見え難くする。以下、簡単のため、図1〜6と同様の構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0084】
図7は、液晶表示装置100Cの模式的な断面図である。液晶表示装置100Cは、唯一の液晶表示パネル10と、バックライト装置40と、レンズ一体型筐体50とを備える。
【0085】
レンズ一体型筐体50は、透光性であり、横筐体部56、底筐体部58、レンズ部52、および平板部54を有する。横筐体部56は、液晶表示パネル10の側面10bに配置されている。レンズ部52は、液晶表示パネル10の額縁領域10F、周辺表示領域10D、およびパネル近辺部分50Gを含む領域に重なる位置に配置されている。周辺表示領域10Dから出射される光は、レンズ部52によって外側に屈折される。従って、周辺表示領域10Dに形成される画像は、周辺表示領域10D、額縁領域10F、およびパネル近辺部分50Gから構成される領域に拡大される。
【0086】
図7に示すように、横筐体部56の側面56bは、レンズ部52の外側端部52dより外側にある。従って、横筐体部56の観察者側には、パネル近辺部分50G(横筐体部56のうち、観察者側にレンズ部52が配置されている領域)以外の部分に、レンズ部52が配置されていない領域が存在する。以下では、横筐体部56のうち、観察者側にレンズ部52が配置されていない領域を「外側部分50H」という。外側部分50Hは透光性であり、外側部分50Hの観察者側には、外側部分50Hに背面側から入射する光の一部が出射される。従って、観察者には、外側部分50Hに外側部分50Hの背景が透けて見える。
【0087】
横筐体部56の観察者側には、画像の一部が表示される領域(パネル近辺部分50G)および背景が透けて見える領域(外側部分50H)が存在するので、横筐体部56を視認され難くすることができる。従って、額縁(液晶表示パネル10の額縁領域10Fおよび横筐体部56)が視認され難い表示装置が実現される。
【0088】
以下、図8および図9を参照して、液晶表示装置100Cの額縁が視認され難いことをより詳細に説明する。図8は、液晶表示装置100Cの端部付近を模式的に示す拡大断面図であり、図9は、観察者から見た液晶表示装置100Cを模式的に示す図である。
【0089】
図8に示すように、周辺表示領域10Dから出射された光は、レンズ部52の観察者側表面52aで外側に屈折され、周辺表示領域10D、額縁領域10F、およびパネル近辺部分50Gの上に配置されたレンズ部52の観察者側表面52aから出射される。従って、周辺表示領域10Dに形成される画像が、周辺表示領域10D、額縁領域10F、およびパネル近辺部分50Gから構成される領域に拡大されて表示される。横筐体部56の観察者側表面56aおよび背面側表面56cは、表示面10aに平行である。横筐体部56の外側部分50Hに背面側から入射した光は、外側部分50H内を表示面10aに垂直な方向に直進し、観察者側に出射される。従って、外側部分50Hには外側部分50Hの背景が透けて見える。
【0090】
横筐体部56のうち、パネル近辺部分50Gには、周辺表示領域10Dに形成される画像の一部が表示され、外側部分50Hには背景が透けて見えるので、横筐体部56を視認され難くすることができる。また、液晶表示パネル10の額縁領域10Fの観察者側には、周辺表示領域10Dに形成される画像の一部が表示されるので、額縁領域10Fを視認され難くすることができる。従って、液晶表示装置100Cは、額縁(額縁領域10Fおよび横筐体部56)が視認され難い。レンズ部52および横筐体部56は液晶表示装置100Cの第1の方向D1に延びる2辺に設けられており、液晶表示装置100Cは、第1の方向D1に延びる2辺の額縁を見え難くすることができる。
【0091】
図9に示すように、観察者から液晶表示装置100Cを見ると、第2の方向D2に延びる2辺の額縁は視認される(額縁が視認される領域102)。一方、第1の方向D1に延びる2辺の額縁には背景が透けて見える(背景が透けて見える領域103)。従って、液晶表示装置100Cは第1の方向D1に延びる2辺の額縁が視認され難い。
【0092】
液晶表示装置100Cは、上述したように横筐体部56の観察者側に背景が透けて見える領域が存在する。従って、横筐体部の全体に画像を表示する表示装置(液晶表示装置100B)に比べ、画像を表示する領域(すなわち、パネル近辺部分50G)を狭くすることができる。従って、液晶表示装置100Cは、液晶表示装置100Bに比べ、レンズ部を小さくすることができる。液晶表示装置100Bは、横筐体部の観察者側全体を含む領域にレンズ部が配置されるのに対し、液晶表示装置100Cは、横筐体部のうちパネル近辺部分の観察者側のみにレンズ部が配置されるからである。
【0093】
液晶表示装置100Cの耐衝撃性を高くするために、横筐体部56の幅(図7および8において、第2の方向D2の幅)を大きくしてもよい。液晶表示装置100Cは、横筐体部56の幅を大きくするとき、パネル近辺部分の大きさを変えなくてもよい。従って、レンズ部の大きさを変えずに耐衝撃性を高くすることができる。一方、液晶表示装置100Bは、横筐体部の幅を大きくすると、パネル近辺部分が大きくなる。パネル近辺部分が大きくなるとレンズ部が大きくなるので、筐体50の重量や材料費が増大してしまう。液晶表示装置100Cは、液晶表示装置100Bに対し、耐衝撃性が高く、薄型軽量化された表示装置が低コストで実現できるという利点を有する。
【0094】
また、液晶表示装置100Cは、横筐体部の一部に画像が表示される部分(パネル近辺部分)があるので、表示装置を斜め方向から見たとき、周辺表示領域のみに画像が表示される場合に比べ、表示パネルの側面が見え難いという利点を有する。なお、パネル近辺部分が大きいほど表示パネルの側面を見え難くすることができる。
【0095】
液晶表示装置100Cのレンズ一体型筐体50の横筐体部56は、観察者側表面56aおよび背面側表面56cが表示面10aに平行であるが、横筐体部56の形状はこれに限られない。例えば、横筐体部56の観察者側表面56aおよび背面側表面56cの少なくとも一方はレンズ面であってもよい。横筐体部56の観察者側表面56aおよび背面側表面56cの少なくとも一方がレンズ面である表示装置の例を図10〜13を参照して説明する。図10〜13は、横筐体部56の観察者側表面56aおよび背面側表面56cの少なくとも一方がレンズ面である表示装置の端部付近の模式的な拡大断面図である。
【0096】
図10は、横筐体部56の観察者側表面56aが曲面である液晶表示装置100Dの端部の模式的な拡大断面図である。液晶表示装置100Dの横筐体部56の観察者側表面56aは、表示装置の内側から外側に向かって(図10において右から左に向かって、)背面側表面56cとの距離が小さくなる曲面である。このとき、図10に示すように、背面側表面56cから入射した光は、外側に屈折されて観察者側表面56aから出射される。観察者側表面56aから観察者に向けて出射される光(表示面10aの法線方向に進む光)は、図10に示すように、観察者側表面56a上の出射位置より表示パネル側から横筐体部56に入射した光である。従って、観察者には、横筐体部56より表示パネル側の背景が透けて見える。
【0097】
また、図11に示す液晶表示装置100Eのように、横筐体部56の観察者側表面56aは、表示装置の内側から外側に向かって(図11において右から左に向かって、)背面側表面56cとの距離が大きくなる曲面であってもよい。このとき、図11に示すように、背面側表面56cから入射した光は、内側に屈折されて観察者側表面56aから出射される。観察者側表面56aから観察者に向けて出射される光は、図11に示すように、観察者側表面56a上の出射位置より外側から横筐体部56に入射した光であるので、観察者には、横筐体部56より外側の背景が透けて見える。液晶表示装置100Eは、液晶表示装置100D(図10)に比べ、液晶表示パネル10の側面10bが見え難い。
【0098】
図12に示す液晶表示装置100Fは、液晶表示装置100D(図10参照)の横筐体部56の背面側表面56cを曲面にしたものである。図12に示すように、横筐体部56に入射する光は、背面側表面56cおよび観察者側表面56aで2回屈折する。横筐体部56に入射する光は、背面側表面56cで外側に屈折され、観察者側表面56aで内側に屈折される。観察者側表面56aと背面側表面56cとで、屈折される方向が逆なので、図12に示すように、表示パネルの表示面の法線方向から背面側表面56cに入射した光は、2回屈折されて観察者側表面56aから観察者に向けて出射される。従って、観察者には、横筐体部56の背景が透けて見える。液晶表示装置100Dは、上記のように、横筐体部56より表示パネル側の背景が透けて見えることがあるので、液晶表示装置100Dの外部の背景と、横筐体部56に透けて見える背景との間に違和感が生じることがある。液晶表示装置100Fは、液晶表示装置100Dに比べ、横筐体部56の外側の背景と、横筐体部56に透けて見える背景との間に違和感が生じることが抑制されるという利点を有する。
【0099】
図13に示す液晶表示装置100Gは、液晶表示装置100E(図11)の横筐体部56の背面側表面56cを曲面にしたものであり、液晶表示装置100F(図12)と同様に、横筐体部56に入射する光は、背面側表面56cおよび観察者側表面56aで2回屈折する。液晶表示装置100Gも、液晶表示装置100Gの外部の背景と、横筐体部56に透けて見える背景との間の違和感を抑制することができる。
【0100】
次に、図14〜16を参照して、本発明のさらに他の実施形態の液晶表示装置を説明する。
【0101】
図14に示す液晶表示装置100Hは、横筐体部56の観察者側表面56aが、レンズ部52の観察者側表面52aと境界B1を形成するように設けられており、境界B1より内側には画像が表示され、境界B1より外側には背景が透けて見えることにより、額縁を見え難くする。
【0102】
図14は、液晶表示装置100Hの模式的な断面図である。液晶表示装置100Hは、唯一の液晶表示パネル10と、バックライト装置40と、レンズ一体型筐体50とを備える。
【0103】
レンズ一体型筐体50の横筐体部56は、横筐体部56の観察者側表面56aが、レンズ部52の観察者側表面52aと境界B1を形成するように設けられている。横筐体部56は液晶表示パネル10の側面10bおよび額縁領域10Fの一部に設けられている。図14に示すように、境界B1は、額縁領域10Fの観察者側にある。従って、横筐体部56は額縁領域10Fの境界B1より外側に存在する。
【0104】
横筐体部56は透光性であり、横筐体部56の観察者側表面56aはレンズ面である。横筐体部56の背面側から横筐体部56に入射する光は、内側に屈折されて観察者側に出射される。従って、観察者には、境界B1より外側に、横筐体部56の背景が透けて見える。
【0105】
レンズ部52は、周辺表示領域10Dおよび額縁領域10Fの境界B1より内側にある部分に配置されている。周辺表示領域10Dから出射される光はレンズ部52によって外側に屈折されるので、周辺表示領域10Dに形成される画像は、周辺表示領域10Dと、額縁領域10Fのうち境界B1より内側にある部分とから構成される領域に拡大される。
【0106】
液晶表示装置100Hは、境界B1より外側(すなわち、横筐体部56が存在する部分)には背景が透けて見え、境界B1より内側には画像が表示される。従って、額縁が視認され難い表示装置が実現される。
【0107】
以下、図15および図16を参照して、液晶表示装置100Hの額縁が視認され難いことをより詳細に説明する。図15は、液晶表示装置100Hの端部付近を模式的に示す拡大断面図であり、図16は、観察者から見た液晶表示装置100Hを模式的に示す図である。
【0108】
図15に示すように、周辺表示領域10Dから出射された光は、レンズ部52の観察者側表面52aで外側に屈折され、レンズ部52の観察者側表面52aから出射される。従って、周辺表示領域10Dに形成される画像が、周辺表示領域10Dおよび額縁領域10Fの一部(境界B1より内側にある部分)から構成される領域に拡大されて表示される。横筐体部56の背面側表面は表示面10aに平行な平面であり、横筐体部56の観察者側表面56aは、境界B1から外側に向かって、背面側表面56cからの距離が大きくなるレンズ面である。従って、背面側表面56cから横筐体部56に入射した光は、観察者側表面56aで内側に屈折され、横筐体部56の観察者側(境界B1より外側にある部分)から出射される。横筐体部56の観察者側表面56aから出射された光は、表示面10aに垂直な方向に直進する。従って、横筐体部56の背景が境界B1より外側にある部分に透けて見える。
【0109】
額縁領域10Fのうち境界B1より内側にある部分には画像の一部が表示され、境界B1より外側にある部分には、背景が透けて見えるので、額縁領域10Fを視認され難くすることができる。また、横筐体部56のうち液晶表示パネル10の側面10bより外側にある部分には背景が透けて見える。従って、液晶表示装置100Hは、額縁(額縁領域10Fおよび横筐体部56)が視認され難い。液晶表示装置100Hには、レンズ部52および横筐体部56が液晶表示装置100Hの第1の方向D1に延びる2辺に設けられており、液晶表示装置100Hは、第1の方向D1に延びる2辺の額縁を見え難くすることができる。
【0110】
図16に示すように、観察者から液晶表示装置100Hを見ると、第2の方向D2に延びる2辺の額縁は視認され(額縁が視認される領域102)、第1の方向D1に延びる2辺の額縁には背景が透けて見えるので(背景が透けて見える領域103)、液晶表示装置100Hは第1の方向D1に延びる2辺の額縁が視認され難い。
【0111】
液晶表示装置100Hは、額縁領域10Fに背景が透けて見える領域が存在するので、額縁領域10Fの全体に画像を表示する表示装置に比べ、画像を表示する領域を狭くすることができる。従って、レンズ部52を小さくすることができるので、薄型化および軽量化を実現することができる。
【0112】
次に、レンズ部52の観察者側表面52aの形状を説明する。以下では、上述した実施形態のレンズ一体型筐体50のレンズ部52を例に説明する。
【0113】
レンズ部52の観察者側表面52aは、周辺表示領域10Dに配列された画素から出射された光を屈折させるレンズ面である。例えば、レンズ部52の観察者側表面52aは、観察者側表面52aの、液晶表示パネル10の表示面10aに垂直な平面との交線が円弧である曲面であってよい。また、観察者側表面52aと、表示面10aに垂直な平面で且つ第1の方向D1と直交する平面との交線が円弧であってもよい。また、観察者側表面52aと、表示面10aに垂直な平面であって、且つ第1の方向D1と直交する平面との交線は、円弧ではない曲線であってもよい。特に、上述の国際公開第2009/157150号に記載の非球面関数によって規定される曲線であることが好ましい。
【0114】
例えば、観察者側表面52aと、表示面10aに垂直な平面であって、且つ第1の方向D1と直交する平面との交線が上記非球面関数となるように、レンズ部52を設計すれば、周辺表示領域10Dに形成する画像を、中央表示領域10Bに形成する画像と比較して、画像圧縮率aだけ圧縮して形成し、レンズ部52の観察者側表面52a上に、周辺表示領域10Dに形成される画像を1/a倍に拡大して表示することができる。すなわち、周辺表示領域10D、額縁領域10Fおよびパネル近辺部分50Gから構成される領域に、歪みが無い画像を表示することができる。
【0115】
上述した実施形態のレンズ部52は、いずれも、観察者側表面52aのみが曲面であるが、レンズ部52は、観察者側表面52aおよび背面側表面が曲面であってもよい。図17に、レンズ部の観察者側表面52aおよび背面側表面52cが曲面である液晶表示装置100Iを示す。図17に示す液晶表示装置100Iは、液晶表示装置100C(図8参照)のレンズ部52の観察者側表面52aおよび背面側表面52cを曲面としたものである。図17に示すように、レンズ部52に入射する光は、2回屈折されて出射される。従って、片面のみが曲面である表示装置に比べ、短い光学距離で大きく光を屈折させることができる。よって、レンズ部52の観察者側表面52aおよび背面側表面52cの曲率半径を、片面のみが曲面である表示装置に比べ大きくしたとしても、同等の光学特性を発揮させることができる。従って、レンズ部52を薄型化および軽量化することができる。
【0116】
レンズ部52の両面が曲面であるとき、観察者側表面52aの、表示面10aに垂直な平面との交線と、背面側表面52cの、表示面10aに垂直な平面との交線とは、例えばいずれも円弧であってもよく、また、上記2つの交線の少なくとも一方を、非球面関数によって規定される曲線としてもよい。また、観察者側表面52aおよび背面側表面52cの少なくとも一方を他の自由曲面としてもよい(国際公開第2009/157161号参照)。参考のために、国際公開第2009/157161号の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0117】
また、図18に示す液晶表示装置100Jのように、レンズ部52の背面側表面52cのみを曲面とし観察者側表面52aを平坦面としてもよい。液晶表示装置100Jは、観察者側表面52aに付着した埃や汚れを拭き取りやすいという利点を有する。
【0118】
また、レンズ面として曲面の例を示したが、曲面でなくてもよい。例えば、レンズ部52の観察者側表面52aおよび背面側表面52cの少なくとも一方をフレネルレンズ面としてもよい。図19〜21は、フレネルレンズ面を有する表示装置の端部の模式的な拡大断面図である。
【0119】
図19に示す液晶表示装置100B’は、液晶表示装置100B(図5参照)のレンズ部52の観察者側表面52aをフレネルレンズ面としたものである。また、図20に示す液晶表示装置100C’は、液晶表示装置100C(図8参照)のレンズ部52の観察者側表面52aをフレネルレンズ面としたものであり、図21に示す液晶表示装置100I’は、液晶表示装置100I(図17参照)のレンズ部52の観察者側表面52aおよび背面側表面52cをフレネルレンズ面としたものである。
【0120】
液晶表示装置100B’(図19)、100C’(図20)、および100I’(図21)は、レンズ部をフレネルレンズ面としたことにより、それぞれ、液晶表示装置100B(図5)、100C(図8)、および100I(図17)に比べ、薄型化および軽量化されるという利点を有する。また、レンズ部52の観察者側表面52aをフレネルレンズ面とすることで、平面に近い形状に見えるので、曲面である場合に比べ、デザインの観点から好ましいという利点を有する(国際公開第2009/066436号参照)。参考のために、国際公開第2009/066436号の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0121】
なお、フレネルレンズ面の互いに隣接する溝の間隔が、表示領域10Aの互いに隣接する画素の間隔の大きさと異なると、モアレ縞の発生が抑制されるので好ましい。例えば、互いに隣接する画素の間隔が100μmである場合には、フレネルレンズ面の溝の間隔は、20μm以下、または200μm以上であると好ましい。
【0122】
また、横筐体部56の観察者側表面56aおよび背面側表面56cの少なくとも一方をレンズ面とする場合でも、これらをフレネルレンズ面としてもよい(図22および23)。図22に示す液晶表示装置100D’は、液晶表示装置100D(図10)の横筐体部56の観察者側表面56aおよびレンズ部52の観察者側表面52aをフレネルレンズ面としたものである。図23に示す液晶表示装置100E’は、液晶表示装置100E(図11)の横筐体部56の観察者側表面56aおよびレンズ部52の観察者側表面52aをフレネルレンズ面としたものである。液晶表示装置100D’および液晶表示装置100E’は、それぞれ、液晶表示装置100Dおよび液晶表示装置100Eに比べ、薄型化および軽量化することができる。
【0123】
フレネルレンズ面を有するレンズ一体型筐体50は、例えば、切削法によりフレネルレンズ面が形成された面を有する金型を用いて射出成型によって作製することができる。
【0124】
上記の実施形態の液晶表示装置100B〜100Jは、横筐体部56、底筐体部58、レンズ部52、および平板部54が一体に形成されたレンズ一体型筐体50を備えているが、それぞれ別の部材として形成し、組み合わせて用いてもよい。例えば、複数の部材で液晶表示パネル10を挟み込んで、ネジや爪構造、粘着テープ等で固定してもよい。レンズ一体型筐体50に代えて複数の部材を組み合わせて用いるときには、以下に説明するように、部材によって透明性が異なっていてもよい。図24を参照して、横筐体部56、底筐体部58、レンズ部52、および平板部54の透明性について、液晶表示装置100C(例えば図8参照)を例に説明する。液晶表示装置100Cの画素から出射された光が透過する領域(50Aで示す。)は、透明性が高いことが好ましい。背面側から入射する光が透過する部分である横筐体部56の外側部分(50B)は、透明性が高いことが好ましい。横筐体部56およびレンズ部52のうち観察者に向けて出射される光が通過しない部分(50C)や、バックライト装置40の背面側の部分(50D)は、透明でなくてもよい。
【0125】
なお、液晶表示装置100Cを斜め方向あるいは側面方向から見た場合に液晶表示パネル10の側面を見え難くするときは、例えば、液晶表示パネル10およびバックライト装置40の側面の外側に黒色のフィルム70等を配置してもよい。フィルム70は黒色でなくてもよい。また、フィルム等別部材を設けず、例えば、横筐体部56の表示パネル側の側面に直接印刷してもよい。
【0126】
横筐体部56、底筐体部58、レンズ部52および平板部54は、材料として、例えばアクリルやポリカーボネイトを用いて、射出成型等により作製することができる。なお、上述した表示に影響しない部分は、加工が容易なABS樹脂等を用いてもよい。
【0127】
複数の部材を組み合わせて用いる場合、レンズ部52、平板部54、および横筐体部56を有する部材と、底筐体部58とは、例えばネジ60で固定してもよい(図25)。また、爪状の構造を各部材に設けて固定してもよいし、透明な粘着テープで固定してもよい。透光性ではない部材を使用して固定する場合は、例えば横筐体部の背面側で固定すると、観察者に透けて見える背景に影響するので、図25に示すように、液晶表示装置100Cの背面側で固定するのが好ましい。なお、複数の部材を組み合わせる場合、成形やデザインの観点から、全ての部材を透明としてもよい。
【0128】
なお、上述の実施形態の液晶表示装置100Aの透光性カバー20および筐体30や、液晶表示装置100B〜100Jのレンズ一体型筐体50も、例えばアクリルやポリカーボネイトを用いて、射出成形等により作製することができる。
【0129】
また、上述した実施形態の横筐体部56の観察者側表面56aや背面側表面56cは平面あるいはレンズ面である例を示したが、側面56bと観察者側表面56aとが交わる角部は、デザインや取り扱いの都合上、曲面であってよい。
【0130】
上述した実施形態の液晶表示装置は、矩形の表示パネルを有し、表示装置の額縁の4辺のうち2辺を見え難くする例を示したが、例えば1辺のみを視認され難くしてもよいし、3辺もしくは4辺全てを視認され難くしてもよい。
【0131】
図26(a)〜(c)に、4辺の額縁が視認され難い液晶表示装置200Aを示す。図26(a)は、液晶表示装置200Aの観察者から見た模式的な図であり、図26(b)および(c)は、それぞれ、図26(a)における26B−26B’線および26C−26C’線に沿った模式的な断面図である。26B−26B’線は第2の方向D2に平行であり、26C−26C’線は、第1の方向D1に平行である。従って、図26(b)は、液晶表示装置200Aの、第2の方向D2に切って得られる断面図であり、図26(c)は、液晶表示装置200Aの、第1の方向D1に切って得られる断面図である。
【0132】
図26(b)に示すように、液晶表示装置200Aは、レンズ一体型筐体50を有する。第1の方向D1に延びる、レンズ一体型筐体50の2辺には、横筐体部56およびレンズ部52が設けられている。レンズ部52は、液晶表示パネル10の周辺表示領域10D、額縁領域10F、および横筐体部のパネル近辺部分50Gを含む領域に重なる位置に配置されている。従って、液晶表示装置100C(図7)と同様の原理により、周辺表示領域10Dに形成される画像が、周辺表示領域10D、額縁領域10Fおよびパネル近辺部分50Gから構成される領域に拡大される。また、横筐体部56の、観察者側にレンズ部52が配置されていない領域(外側部分50H)には、外側部分50Hの背景が透けて見える。従って、液晶表示装置200Aは、第1の方向D1に延びる2辺の額縁(液晶表示パネル10の額縁領域10Fおよび横筐体部56)が視認され難い。
【0133】
図26(c)に示すように、第2の方向D2に延びる、レンズ一体型筐体50の2辺にも、第1の方向D1に延びる2辺と同様に、横筐体部56およびレンズ部52が設けられている。従って、液晶表示装置200Aは、第2の方向D2に延びる2辺の額縁(液晶表示パネル10の額縁領域10Fおよび横筐体部56)が視認され難い。
【0134】
図26(a)に、画像が表示される領域201、および背景が透けて見える領域203を示す。上記のように、液晶表示装置200Aのレンズ一体型筐体50により、第1の方向D1に延びる2辺および第2の方向D2に延びる2辺の額縁領域10Fおよびパネル近辺部分50Gの観察者側には画像の一部が表示され、外側部分50Hには背景が透けて見えるので、液晶表示装置200Aは、図26(a)に示すように、4辺の額縁には、画像の一部が表示されるか、または背景が透けて見える。従って、液晶表示装置200Aは、4辺の額縁を視認され難くすることができる。
【0135】
図26(a)に示す液晶表示装置200Aのように、4辺の額縁を見え難くするときは、隣接する2辺の角部を見え難くしてもよい。角部に設けるレンズ部の形状は、後述するように、例えば回転体の一部であることが好ましい(特願2008−322964号参照)。参考のために、特願2008−322964号の開示内容の全てを本明細書に援用する。なお、本明細書において、回転体とは、平面図形をそれと同平面に位置する直線の周りに360°回転することにより得られる立体図形をいうこととする。また、この直線を回転軸ということとする。
【0136】
表示パネルとして、例えば、円形の表示パネルや楕円形の表示パネルを備える表示装置にも本発明は適用できる。円形の表示パネルとしては、例えば、特許文献3に記載の公知の円形の表示パネルを用いることができる。
【0137】
図27(a)〜(c)に、円形の液晶表示パネル10を備える液晶表示装置200Bの模式的な図を示す。図27(a)は、液晶表示装置200Bの観察者から見た模式的な図であり、図27(b)および(c)は、それぞれ、図27(a)における27B−27B’線および27C−27C’線に沿った模式的な断面図である。27B−27B’線は第2の方向D2に平行であり、27C−27C’線は、第1の方向D1に平行である。従って、図27(b)は、液晶表示装置200Bの、第2の方向D2に切って得られる断面図であり、図27(c)は、液晶表示装置200Bの、第1の方向D1に切って得られる断面図である。
【0138】
液晶表示装置200Bは、円形のレンズ一体型筐体50を有する。レンズ一体型筐体50には、横筐体部56およびレンズ部52が円周状に設けられている。図27(b)および(c)からわかるように、レンズ部52は、液晶表示パネル10の周辺表示領域10D、額縁領域10F、および横筐体部56のパネル近辺部分50Gに重なる位置に配置されている。液晶表示装置200Bの液晶表示パネル10およびレンズ一体型筐体50は、いずれも円形であるので、第1の方向D1および第2の方向D2以外の方向に切って得られる、液晶表示装置200Bの断面は、いずれも、図27(b)および(c)に模式的に示した構造と同様の構造である。従って、液晶表示装置100C(図7)と同様の原理により、周辺表示領域10Dに形成される画像が、周辺表示領域10D、額縁領域10Fおよびパネル近辺部分50Gから構成される領域に拡大される。また、横筐体部56の、観察者側にレンズ部52が配置されていない領域(外側部分50H)には、外側部分50Hの背景が透けて見える。
【0139】
従って、図27(a)に示す画像が表示される領域201および背景が透けて見える領域203のように、液晶表示装置200Bの円周状の額縁(額縁領域10Fおよび横筐体部56)には、画像の一部が表示されるか、または背景が透けて見える。従って、円形の液晶表示装置200Bは、円周状の額縁を視認され難くすることができる。
【0140】
上述の液晶表示装置200A(図26)および液晶表示装置200B(図27)は、CCD等で撮影した背景の映像を表示領域に表示することにより、あたかも表示装置が存在しないようにすることができる。このように観察者に対象が視認されないようにする技術は光学迷彩と呼ばれることがある。
【0141】
透光性カバー20の観察者側表面や、横筐体部36の観察者側表面、レンズ一体型筐体50の観察者側表面には反射防止加工が施されることが好ましい。例えば蒸着や塗布工程によりレンズ一体型筐体50と屈折率の異なる薄膜層を形成することによって、表面反射を低減することができる(LR処理とも呼ばれる。)。その他、誘電体多層膜で構成された反射防止膜(AR膜とも呼ばれる。)やモスアイ構造を有する反射防止膜を貼り付けてもよい。なお、表面がフレネルレンズ面である場合にも、例えば蒸着やディップコート法等の塗布工程によって反射防止処理を施すことができる。
【0142】
また、周辺表示領域10Dに形成される画像は、レンズ部により、額縁領域10Fおよび周辺表示領域10Dから構成される領域に拡大されて表示されるので、周辺表示領域10Dに形成される画像は、中央表示領域10Bに形成される画像に比べ圧縮されていることが好ましい。画像を圧縮する方法としては、例えば、周辺表示領域10Dに配列された画素に供給される表示信号を圧縮することで、周辺表示領域10Dに圧縮された画像を形成する方法や、周辺表示領域10D内の画素の間隔を変化させる方法がある(特願2008−322964号参照)。
【0143】
周辺表示領域10D内に形成される画像はレンズ部52によって拡大されるので、その拡大率に応じて輝度が低下する。従って、レンズ部52上に表示される画像と平板部54上に表示される画像との間に輝度差が発生することがある。このような輝度差は、レンズ部52に入射する光の輝度を平板部54に入射する光の輝度よりも相対的に高めることにより改善できる。例えば、中央表示領域10B内の画素の透過率を周辺表示領域10D内の画素の透過率より低くすることや、周辺表示領域10D内の画素から出射される光の輝度を中央表示領域10B内の画素から出射される光の輝度よりも高くすることにより輝度差を改善することができる(特願2008−322964号参照)。
【0144】
本発明は、携帯電話に適用してもよい。図28に、本発明による実施形態の携帯電話300Aの模式的な図を示す。携帯電話300Aの、表示面の水平方向に直交する方向に延びる2辺には、例えば、外側端部が筐体の外側端面の観察者側に存在するようにレンズ部が配置されている。このとき、携帯電話300Aは、液晶表示装置100B(図4)と同様の原理により、表示面の水平方向に直交する方向に延びる2辺の額縁(額縁領域と横筐体部とを含む領域)に画像が表示される。すなわち、携帯電話300Aは、表示面の水平方向に直交する方向に延びる2辺の額縁を視認され難くすることができる(図28に示す画像が表示される領域301)。
【0145】
上述した実施形態の液晶表示装置を、デジタルフォトフレームとして用いてもよい。表示装置の端まで画像を表示することができるレンズ部52(例えば、液晶表示装置100Bのレンズ部52)を4辺に設けると、全面に画像を表示するデジタルフォトフレームが実現される。
【0146】
デジタルフォトフレームとして用いるとき、レンズ部52上には、フレームの画像を表示させてもよい。レンズ部52上にフレームの画像を表示することで、フレームのデザインを自由に変更することができるという新しい構成のデジタルフォトフレームが実現される。
【0147】
図29(a)および(b)に、レンズ部52上にフレームの画像を表示するデジタルフォトフレーム300Bを示す。図29(a)および(b)に示すようにデジタルフォトフレーム300Bのレンズ部上の領域304には、異なるフレームの画像が表示される。従来のデジタルフォトフレームのフレームは変更することはできないが、デジタルフォトフレーム300Bでは、自由にフレームのデザインを変更することが可能であるという利点を有する。デジタルフォトフレーム300Bは、例えば、中央に表示される画像に応じてフレームのデザインを変更するという楽しみ方が可能である。また、写真等の、中央に表示する画像(図29(a)および(b)に301で示す領域に表示される画像)は変えずにフレームの画像のみを変更して、中央の画像に合う好みのフレームを選択することができる。逆に、フレームの画像は変えずに中央に表示する画像のみを変更して使用することもできる。
【0148】
レンズ部52上にフレームの画像を表示することは、例えば、周辺表示領域10D内に配列された画素にフレームの画像用の表示信号を供給することで実現される。例えば、表示装置に表示する画像を、中央に表示する画像とフレームの画像の組合せとして、ソフトウェア上で処理することにより、従来の回路構成を変えることなく容易に実現可能である。または、周辺表示領域10D内の画素に表示信号を供給する駆動回路を別途設け、中央表示領域10B内の画素と別駆動とすることで、中央に表示する画像に関係無く、フレームを自由に変更するようにしてもよい。
【0149】
また、デジタルフォトフレーム300Bは、フレームの幅を容易に変更することも可能である。例えば、周辺表示領域10Dと、中央表示領域10Bのうちの周辺表示領域10Dに隣接する部分とを含む領域内に配列された画素にフレームの画像用の表示信号を供給することで、フレームの幅をレンズ部52の幅より大きくすることができる。
【0150】
また、デジタルフォトフレーム300Bが、例えばバックライト装置を備える場合には、バックライト装置から出射される光の強度を、周辺表示領域10Dと中央表示領域10Bとで変えることで、フレームの画像と中央に表示される画像との輝度を異ならせることもできる。
【0151】
なお、デジタルフォトフレーム300Bのように、レンズ部上に表示される画像(周辺表示領域に形成される画像)を、平板部上に表示される画像(中央表示領域に形成される画像)と異なる種類のコンテンツの画像とすることは、例えば上述の携帯電話や液晶表示装置にも適用することができる。
【0152】
もちろんレンズ部52上には、フレームの画像だけでなく、例えば、模様、キャラクター、または日時ほか簡単な情報のテキストを表示してもよい。
【0153】
また、フレームの画像を表示する領域(周辺表示領域10D、またはその近辺を含む領域)と、中央の画像を表示する領域(中央表示領域10B)とは、画素の解像度を変えてもよい。例えば、フレームの画像が単純な模様等である場合には、周辺表示領域10Dの解像度を低くしてもよい。また、細かいテキスト表示をする場合には、周辺表示領域10Dの解像度を高くしてもよい。
【0154】
液晶表示装置200A(図26)のように、4辺の額縁を見え難くするときは、上述したように、隣接する2辺の角部を見え難くしてもよい。以下、図30〜32を参照して、隣接する2辺の角部を見え難くするときの、液晶表示パネルの角部の観察者側に配置されるレンズ部の構成を説明する。
【0155】
図30(a)および(b)は、液晶表示装置500aの構成を示す図であり、図30(a)は模式的な平面図であり、図30(b)は図30(a)における線30B−30B’に沿った模式的な断面図である。
【0156】
図30(a)および(b)に示すように、液晶表示装置500aは、液晶表示パネル500と、液晶表示パネル500の観察者側に配置された透光性カバー600とを備える。液晶表示パネル500は、複数の画素が行および列を有するマトリクス状に配列された表示領域520と、表示領域520の外側に設けられた額縁領域530とを有する。表示領域520は、額縁領域530に隣接する周辺表示領域525と、周辺表示領域525以外の領域の中央表示領域524から構成されている。透光性カバー600は、平板部650とレンズ部610とを有している。
【0157】
液晶表示パネル500の周辺表示領域525とは、表示領域520の内、その観察者側に透光性カバー600のレンズ部610が配置される領域をいう。平板部650は中央表示領域524上に配置される。周辺表示領域525から出射される光をレンズ部610によって屈折させることによって、周辺表示領域525に形成される画像を周辺表示領域525および額縁領域530から構成される領域に拡大する。
【0158】
ここで、行方向を第1の方向D1とし、列方向を第2の方向D2とすると、表示領域520と額縁領域530との間には、第1の方向D1に延びる第1境界線B1、および第1境界線B1と交差し第2の方向D2に延びる第2境界線B2が存在する。周辺表示領域525と中央表示領域524との間には、第1の方向D1に延びる第3境界線B3と、第3境界線B3と交差し第2の方向D2に延びる第4境界線B4が存在する。
【0159】
周辺表示領域525は、第3境界線B3と第4境界線B4とが交差する点Cを通り第1境界線B1に直交する直線L1と、点Cを通り第2境界線B2に直交する直線L2と、第1境界線B1と、第2境界線B2とで囲まれた第1周辺表示部分521を有する。
【0160】
また、額縁領域530は、第1周辺表示部分521に第1境界線B1または第2境界線B2を介して隣接する第1額縁部分531を有している。第1額縁部分531は、第1境界線B1、第2境界線B2、直線L1および直線L2と液晶表示パネル500の外縁によって規定される部分である。
【0161】
透光性カバー600のレンズ部610は、図30(b)に示すように屈曲した表面を有している。図30(a)においては、レンズ部610の表面(観察者側表面)が屈曲している様子を等高線で示している。なお、ここでは簡単のために等高線の間隔を一定にしているが、これに限られない。レンズ部610の観察者側表面の好ましい形状については後述する。
【0162】
上記のように、液晶表示装置500aが有する透光性カバー600のレンズ部610は、周辺表示領域525から出射される光を屈折させることによって、周辺表示領域525に形成される画像を周辺表示領域525および額縁領域530から構成される領域に拡大する。レンズ部610のうち、液晶表示パネル500の角部の観察者側に配置された部分(第1レンズ体と称する。)は、図30(a)に示すように、第1周辺表示部分521内の画素571から出射された光を、点Cから画素571に向かう方向X1に屈折させる。同様に、第1周辺表示部分521内の各画素から出射された光は、点Cからそれぞれその画素に向かう方向に屈折される。液晶表示装置500aの表示面に垂直な方向から画像を観察すると、液晶表示パネル500の第1周辺表示部分521に形成される画像が第1周辺表示部分521および第1額縁部分531から構成される領域に拡大されて表示されることになる。すなわち、第1周辺表示部分521および第1額縁部分531の上に配置された、レンズ部610の部分(第1レンズ体)は、第1周辺表示部分521から出射された光を、横方向D1でも縦方向D2でない方向(例えばX1)に屈折させることによって、第1額縁部分531を見え難くする。
【0163】
以下、図31および図32を参照して、より詳細に説明する。
【0164】
図31は、液晶表示パネル500の角部付近を拡大して模式的に示す上面図である。図31に示すように、表示領域520と額縁領域530との間には、第1境界線B1と第2境界線B2が存在し、周辺表示領域525と中央表示領域524との間には、第3境界線B3と第4境界線B4が存在する。第1周辺表示部分521は、直線L1、直線L2、第1境界線B1および第2境界線B2で囲まれた部分である。第1額縁部分531は、額縁領域530内の、直線L1、直線L2、第1境界線B1、第2境界線B2および額縁領域530の外縁535に囲まれた部分である。
【0165】
次に、図32を参照する。図32は、液晶表示装置500aのX1―Y1平面における断面図である。ここで、Y1軸は、図31に示した点Cを通り、液晶表示パネル500の表示面19に垂直な軸である。
【0166】
図32に、表示領域520に配列された画素から出射された光線を破線で示す。図32に示すように、第1周辺表示部分521内の画素から出射された光は、第1レンズ体611に入射し、X1方向に屈折される。このとき、第1レンズ体611に入射した光は、第1レンズ体611の観察者側表面(「出射面」ともいう。)で屈折され、第1レンズ体611の観察者側表面から出射される。第1レンズ体611の観察者側表面から出射された光は、表示面19に垂直な方向に直進する。同様に、第1周辺表示部分521内の各画素から出射された光は、点Cからそれぞれの画素に向かう方向に屈折される。液晶表示パネル500の第1周辺表示部分521に形成される画像が第1周辺表示部分521および第1額縁部分531から構成される領域に拡大されて表示されるので、液晶表示装置500aの表示面19に垂直な方向から画像を観察すると、第1額縁部分531は見え難い。
【0167】
また、図32では、中央表示領域524内の画素から出射された光線も図示している。中央表示領域524上に配置されている平板部650の出射面は、表示面19に平行である。中央表示領域524から出射された光は、平板部650に入射し、平板部650内を表示面19に垂直な方向に直進し、観察者側に出射される。
【0168】
なお、第1レンズ体611の観察者側表面とX1−Y1平面との交線611cは、例えば、上述の国際公開第2009/157150号に記載の非球面関数によって規定される曲線であることが好ましい。例えば、交線611cが、上記非球面関数によって規定される曲線となるように第1レンズ体611を設計すれば、第1周辺表示部分521に形成する画像を、中央表示領域524に形成する画像と比較して、画像圧縮率aだけ圧縮して形成し、第1レンズ体611の観察者側表面上に、第1周辺表示部分521に形成される画像を1/a倍に拡大して表示することができる。すなわち、第1周辺表示部分521、および第1額縁部分531から構成される領域に、歪みが無い画像を表示することができる。
【0169】
次に、レンズ部610のうち、第1周辺表示部分521上および第1額縁部分531上に配置された部分(第1レンズ体611)の好ましい形状を説明する。第1レンズ体611は、回転体を、回転軸を含む2つの平面で切り取って得られる立体の一部分であることが好ましい。このとき、回転軸がY1軸に一致するようにこの回転体の一部分が配置されていることが好ましい。すなわち、回転軸が、点Cを通り、第3境界線B3と第4境界線B4とに垂直となるように配置されていることが好ましい。
【0170】
第1レンズ体611の形状を、例えば、図32に示す交線611cと、X1と、Y1とで囲まれる平面を、Y1軸を回転軸として回転させて得られる回転体の一部とすると、X1−Y1平面以外の、Y1軸を通り表示面19に垂直な平面と、第1レンズ体611の観察者側表面との交線は、交線611cと同様の曲線となる。このとき、第1周辺表示部分521内の画素571以外の画素についても、それぞれの画素から出射された光を、点Cからそれぞれの画素に向かう方向に屈折させることができるので、第1周辺表示部分521に形成される画像を第1周辺表示部分521および第1額縁部分531から構成される領域に拡大することができる。
【0171】
上述のように、液晶表示装置500aでは、第1額縁部分531を見え難くすることができる。従って、図26に示した液晶表示装置200Aにおいて、レンズ一体型筐体50のレンズ部52の角部を、液晶表示装置500aの透光性カバー600のレンズ部610の角部(第1レンズ体611)と同様の構成とすることにより、液晶表示装置200Aの液晶表示パネル10の角部の額縁領域を見え難くすることができる。図26を参照して説明したように、液晶表示装置200Aは、4辺全ての額縁を見え難くすることができるので、レンズ部52の角部を第1レンズ体611と同様の構成とすることにより、角部を含む全ての額縁を見え難くすることができる。
【0172】
上述したように、本発明によると、唯一の表示パネルを備え、額縁が視認され難い直視型の表示装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明は、情報表示用の表示装置に好適に用いられる。特に、デジタルフォトフレームに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0174】
10 液晶表示パネル
10A 表示領域
10B 中央表示領域
10D 周辺表示領域
10F 額縁領域
10a 表示パネルの表示面
10b 表示パネルの側面
11 上基板
12 下基板
13 液晶層
16 シール部
20 透光性カバー
22、52 レンズ部
22a、52a レンズ部の観察者側表面
22c、52c レンズ部の背面側表面
22d、52d レンズ部の外側端部
24、54 平板部
30 筐体
36、56 横筐体部
36a、56a 横筐体部の観察者側表面
36b、56b 横筐体部の外側端面
36c、56c 横筐体部の背面側表面
40 バックライト装置
50 レンズ一体型筐体
50G パネル近辺部分
50H 外側部分
38、58 底筐体部
60 ネジ
100A 液晶表示装置
101 画像が表示される領域
102 額縁が視認される領域
103 背景が透けて見える領域
B1 境界
D1 第1の方向
D2 第2の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と前記表示領域の外側に設けられた額縁領域とを有する表示パネルと、
前記表示パネルの観察者側に配置された透光性カバーとを備え、
前記透光性カバーは、前記表示パネルの前記額縁領域の一部と、前記額縁領域の前記一部に隣接する前記表示領域内の周辺表示領域の一部とを含む領域に重なる位置に配置されたレンズ部を有し、
前記表示パネルの側面に配置された横筐体部を有する筐体を更に備え、
前記透光性カバーの前記レンズ部は、前記レンズ部の外側端部が、前記横筐体部の外側端面の観察者側に存在するように配置されており、
前記横筐体部は透光性を有する、直視型の表示装置。
【請求項2】
前記横筐体部と前記透光性カバーとは一体に形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示領域と前記額縁領域との間に境界線が存在し、
前記レンズ部の観察者側表面と前記境界線に垂直な平面との交線は円弧である、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示領域と前記額縁領域との間に境界線が存在し、
前記レンズ部の観察者側表面と前記境界線に垂直な平面との交線は円弧ではない曲線である、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記透光性カバーは、前記レンズ部以外に平板部を有し、
前記筐体は、前記横筐体部以外に底筐体部を有し、
前記レンズ部と前記平板部と前記横筐体部と前記底筐体部とが一体的に形成されている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示領域のうち、前記周辺表示領域以外の領域の少なくとも一部に形成される画像は、前記周辺画像領域の前記一部に形成される画像と異なることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルの前記表示領域には第1及び第2の方向に複数の画素が等間隔に配列されており、
前記表示領域は、前記周辺表示領域と、前記周辺表示領域以外の領域である中央表示領域とから構成され、
前記周辺表示領域に配列された画素に供給される表示信号は、前記中央表示領域に配列された画素に供給される表示信号と比較して、前記第1または第2の方向に圧縮されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示パネルは、液晶表示パネル、PDP表示パネル、有機EL表示パネル、および、電気泳動表示パネルのうちのいずれかである、請求項1から7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルに向けて光を出射するバックライト装置を更に備え、
前記バックライト装置から、前記周辺表示領域に配列された画素に向けて出射される光の強度は、中央表示領域に配列された画素に向けて出射される光の強度よりも高いことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記透光性カバーは、前記レンズ部以外の部分に、観察者側表面が前記表示パネルの表示面と略平行な平面で形成される平板部を更に有し、
前記レンズ部の前記観察者側表面と、前記平板部の前記観察者側表面との少なくともいずれかには反射防止処理が施されている、請求項1から9のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
前記反射防止処理は、LR処理である、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記レンズ部の前記観察者側表面と、前記平板部の前記観察者側表面との少なくともいずれかの上にモスアイ構造を有する反射防止膜が設けられている、請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記レンズ部の前記観察者側表面と、前記平板部の前記観察者側表面との少なくともいずれかの上に誘電体多層膜が設けられている、請求項10に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示パネルは矩形であり、前記表示パネルの周囲部分に形成された4辺の額縁のうちの1辺に沿って前記レンズ部が設けられている、請求項1から13のいずれかに記載の表示装置。
【請求項15】
前記表示パネルは矩形であり、前記表示パネルの周囲部分に形成された4辺の額縁のうちの2辺、3辺、または4辺に沿って前記レンズ部が設けられている、請求項1から13のいずれかに記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示パネルは矩形であり、前記表示パネルの周囲部分に形成された4辺の額縁のうちの隣接する2辺の角部において、回転体の一部を為すレンズ部が設けられている、請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の表示装置を備える、携帯電話。
【請求項18】
請求項1から16のいずれかに記載の表示装置を備える、デジタルフォトフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−230391(P2012−230391A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133874(P2012−133874)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2010−549394(P2010−549394)の分割
【原出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】