説明

表示装置

【課題】表示装置に高い生産性を備えさせる。
【解決手段】液晶表示装置10は、表示部300を有する表示基板30と、回路基板40と、回路基板40と表示基板30とを接続するFPC50と、これらの部品の電磁シールドとして機能するフレーム20と、を備える。フレーム20は、枠状のフレーム本体200と、フレーム本体200の内面に、フレーム本体200の一部に隙間24を有するように形成された中板202と、フレーム本体200に一体的に形成され、フレーム本体200の一縁において隙間24近傍の内面から延出する底板204と、を有する。表示基板30は、中板202上に設けられ、FPC50は、隙間24に通されてフレーム本体200の内側に配置され、フレーム本体200及び底板204に覆われる。回路基板40は、表示基板30との間に中板202を挟むようにして中板202上に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ノイズを抑制する構造を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に関して、高性能化に伴う電力の増大への対策を目的として、及び環境への負荷低減を目的として、低消費電力化のニーズが広がっている。このニーズに応えるべく、半導体技術の進歩等により表示装置等の動作電圧が徐々に引き下げられてきた。
【0003】
その結果、表示装置は、動作電圧が引き下げられることによりノイズ・マージンも減少することとなり、従来より電気ノイズ(同時スイッチングノイズや、クロストークノイズ等)の影響を受けやすいものとなった。この電気ノイズによって、表示装置内の半導体に誤動作等の影響が生じることがあった。
【0004】
この電気ノイズによる誤動作を防ぐ機能を有する表示装置として、例えば特許文献1には、表示基板と、プリント基板と、表示基板とプリント基板とを接続するFPC(Flexible Printed Circuit)と、これらを覆い電磁シールドとして機能するフレームと、を備える表示装置が開示されている。このフレームは、金属製であり、上側のフレームと下側のフレームとの2部品から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−279768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術においては、上側のフレーム及び下側のフレームの2部品が、表示基板及びFPCと、プリント基板との電磁シールドとして機能する。このため、この表示装置の製造のためには、上側のフレームと下側のフレームとを嵌め込み、螺合又は接着等をしなければならず、生産性が低い。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、表示装置に高い生産性を備えさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る表示装置は、
表示部を有する表示基板と、
電子部品が実装される回路基板と、
前記回路基板と前記表示基板とを接続するフレキシブルプリント基板と、
枠状のフレーム本体と、該フレーム本体の内面に一体的に形成され、前記フレーム本体の一部との間に隙間を有するように形成された中板と、前記フレーム本体に一体的に形成され、該フレーム本体の一縁において前記隙間近傍の内面から延出する底板と、を有し、導電性を有して電磁シールドとして機能するフレームと、を備え、
前記回路基板は、前記中板の一面上に設けられ、
前記表示基板は、前記回路基板との間に前記中板を挟むようにして前記中板の他面上に設けられ、
前記フレキシブルプリント基板は、前記中板の一面側と対向する二面側とに亘るように前記隙間に通されて、前記中板上に設けられた前記回路基板と前記表示基板とを接続した状態で、前記フレーム本体及び前記底板に覆われる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示装置に高い生産性を備えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。
【図2】図1のA−A面を断面として示す液晶表示装置の斜視図である。
【図3】フレーム内への回路基板及び表示基板の搭載手順を示す側面断面図である。
【図4】図1のA−A面に対応する面を断面として示す変形例に係る液晶表示装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る表示装置の実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本実施形態に係る液晶表示装置10は、図1及び図2に示すように、電磁シールドとして機能する鉄、ステンレス又はパーマロイ等の金属製のフレーム20と、フレーム20の一面上に配設される回路基板40と、フレーム20の他面上に配設される表示基板30と、回路基板40と表示基板30とを接続するFPC(Flexible Printed Circuit;フレキシブルプリント基板)50と、を備える。
【0013】
フレーム20は、導電性材料から形成され、枠状のフレーム本体200と、フレーム本体200の内面の略中央に一体的に形成された中板202と、フレーム本体200の下縁(一縁)の一部に一体的に形成され、隙間24側から中板202(回路基板40)の面方向に延出する底板204と、から構成される。
【0014】
フレーム本体200の上面(以下、上開放面)は、表示基板30を導入可能に開放され、下面(以下、下開放面)は、底板204によって一部が狭められて、回路基板40を導入可能に開放されている。
【0015】
中板202は、フレーム本体200の内面の略中央からフレーム本体200の一部との間に隙間24を有するように上開放面に略並行に延出して形成されている。
【0016】
底板204は、フレーム本体200における隙間24が形成されている側の下端に一体的に形成され、表示基板30と回路基板40とがフレーム20に配設されFPC50に接続された状態のときに、FPC50の下側を覆うように形成されている。また、底板204は、後述する回路基板40に設けられた接続コネクタ70を下側に開放(露出)可能な長さまで、フレーム本体200の下端から中板202の面方向に延出している。
【0017】
回路基板40には、スピーカ、アンテナ、これらの各部品に制御信号を送信するCPU(Central Processing Unit)等の複数の図示せぬ電子部品が搭載されている。また回路基板40は、FPC50に接続される接続コネクタ70を備え、CPUが、FPC50を介して後述する表示基板30のドライバIC60に接続されている。回路基板40は、中板202の下面(一面)上に配設される。
【0018】
表示基板30は、液晶表示パネルで構成される表示部300と表示部300を駆動制御するドライバIC(Integrated Circuit;制御部)60とを備え、FPC50に接続されている。表示基板30は、回路基板40との間に中板202を挟むようにして中板202の上面(他面)上に配置される。
【0019】
FPC50は、フレーム20の上面及び下面に亘るように隙間24に通されて、回路基板40の接続コネクタ70と表示基板30のドライバIC60とを接続するものである。FPC50は、表示基板30のドライバIC60に一体的に接続されており、表示基板30がフレーム20内に設けられたときに、フレーム本体200及び底板204に覆われることとなる。
【0020】
次に、図3(A)〜(C)を参照して、フレーム20内への表示基板30、回路基板40及びFPC50の搭載手順について説明する。
【0021】
まず、フレーム20を用意する。次に、図3(A)に示すように、回路基板40を、図示せぬ電子部品が載置された面が下面となるように向け、接続コネクタ70の接続口の向きが隙間24側に向くようにする。次に、回路基板40を、中板202と底板204との間を通るように傾け、フレーム20内の中板202下面における所定の位置に導入する。
【0022】
次に、図3(B)に示すように、表示基板30を、ドライバIC60の搭載面が上面となるように向け、FPC50が隙間24を通るように傾け、フレーム20内の中板202上面における所定の位置に導入する。このとき、接続コネクタ70に接続されるFPC50の端部は、底板204及びフレーム本体200の内面に当接してガイドされ、接続コネクタ70下方であるフレーム本体200の下開放面に突出する。
【0023】
次に、図3(C)に示すように、FPC50の端部を接続コネクタ70に差し込む。
このようにして、表示基板30及び回路基板40を中板202上に位置決めして導入(搭載)でき、FPC50が底板204及びフレーム本体200の内面に当接してガイドされるために、これらを容易にフレーム20内に導入(搭載)できる。なお、この状態において、本実施形態のフレーム20は、ドライバIC60を覆うことなく、これを外部に露出している。
【0024】
上記のように構成される液晶表示装置10においては、表示基板30、回路基板40及びFPC50の相互間が、これらの内側において中板202によって電磁シールドされる。更に、表示基板30、回路基板40及びFPC50の相互間が、これらの外側においてフレーム本体200及び底板204によって電磁シールドされる。これによって、液晶表示装置10は、表示基板30、回路基板40及びFPC50の相互間における電気ノイズの発生を確実に防止できる。
【0025】
また、本実施形態に係る液晶表示装置10は、フレーム本体200、中板202及び底板204が、表示基板30及び回路基板40を載置する際のガイドとして機能し、更に、隙間24が、FPC50を通して組み立てる際のガイドとして機能するため、これら各部品をフレーム20に固定しやすい。また、フレーム20は、フレーム本体200、中板202及び底板204が一体的に形成されたものであるため、個別に部品を管理する必要がなく、また、フレーム20の各部品を接着・嵌め込み等をする必要がなく組立ても容易であり、生産性が向上する。
【0026】
また、底板204は、FPC50の一部(下側)を覆っているため、FPC50と下側外方を電磁シールドできる。更に、底板204が接続コネクタ70を開放(露出)して延出しているため、表示基板30、回路基板40及びFPC50がフレーム20に取り付けられた後に、回路基板40とFPC50とを接続することが可能である。
【0027】
なお、上記において、本実施形態に係る液晶表示装置10おいて、FPC50と、表示基板30又は回路基板40とを別個独立に説明したが、FPC50と、表示基板30又は回路基板40のどちらかと、が一体的なもの(リジッドフレキシブル基板)であってもよい。
例えば、回路基板40とFPC50とが一体的に形成されたものであるため接続コネクタ70が設けられていないものに適用してもよい。この場合、表示基板30、回路基板40及びFPC50がフレーム20に取り付けられた後に、回路基板40とFPC50とを接続する必要がない。このため、底板204は、例えば、回路基板40を中板202に固定するためのビス等の締め込みを阻害しないように、ビス等の下側(締め込み工具を挿入する側)を開放(露出)して延出していることが望ましい。
【0028】
<変形例>
上記の実施形態に係る液晶表示装置10においては、フレーム20は、表示基板30を導入可能に上開放面が開放されており、表示基板30がフレーム20上に載置された状態において、ドライバIC60が外部に露出しているものとして、図1〜図3を参照して説明した。しかし、本発明はこの構成に限られない。その他の構成を備える変形例に係る液晶表示装置12について、図4を参照して次に説明する。
【0029】
変形例に係る液晶表示装置12は、底板204によって一部を狭められている下開放面と同様に、フレーム本体200の上開放面が天板206によって一部を狭められているフレーム22を備える。
【0030】
フレーム本体200の天板206は、フレーム22上に配設された表示基板30の表示部300を露出し、且つ、ドライバIC60を覆うように、フレーム本体200の上端(他縁)に一体的に形成され、中板202の(回路基板40の)面方向に延出している。つまり、図4に示すように、フレーム本体200において、上開放面が、天板206によって一部を狭められて、表示基板30を収容可能に開放され、下開放面が、底板204によって一部を狭められて、回路基板40を収容可能に開放されている。
【0031】
このように、変形例にかかる液晶表示装置12が天板206を備えることによって、表示基板30及びドライバIC60と回路基板40及びFPC50との間において上開放面からフレーム本体200を回り込んで影響する電気ノイズの遮断効果(電磁シールド性)が高められる。更に、天板206がドライバIC60を覆うことによって、ドライバIC60を外力から保護することもできる。
【0032】
上記実施形態及び変形例に記載において、フレーム20は、フレーム本体200と、中板202と、底板204と、(天板206と、)によって一体的に形成され、且つ、上下両端が開放されて形成されている。このため、フレーム20のための個々の部品を必要とせず管理性が良好であり、個々の部品を組み立ててフレーム20を形成する必要がなく組立て作業性が良好である。また、フレーム20は、一体的に形成されるものであるが、フレーム20の上下両端が開放されているため、表示基板30、回路基板40及びFPC50をフレーム20内に収容可能である。
【0033】
以上、本発明を実施形態及びその変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、表示部が液晶表示パネルで構成されるものとして説明したが、これに限定されず、有機EL(Electro Luminescence)、LED(Light Emitting Diode)等で構成される表示部であってもよい。
【0034】
また、本発明に係る表示装置を、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistant:個人向け携帯型情報通信機器)等の表示装置に適用するようにしてもよい。
【0035】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0036】
(付記1)
表示部を有する表示基板と、
電子部品が実装される回路基板と、
前記回路基板と前記表示基板とを接続するフレキシブルプリント基板と、
枠状のフレーム本体と、該フレーム本体の内面に一体的に形成され、前記フレーム本体の一部との間に隙間を有するように形成された中板と、前記フレーム本体に一体的に形成され、該フレーム本体の一縁において前記隙間近傍の内面から延出する底板と、を有し、導電性を有して電磁シールドとして機能するフレームと、を備え、
前記回路基板は、前記中板の一面上に設けられ、
前記表示基板は、前記回路基板との間に前記中板を挟むようにして前記中板の他面上に設けられ、
前記フレキシブルプリント基板は、前記中板の一面側と対向する二面側とに亘るように前記隙間に通されて、前記中板上に設けられた前記回路基板と前記表示基板とを接続した状態で、前記フレーム本体及び前記底板に覆われる、
ことを特徴とする表示装置。
【0037】
(付記2)
前記フレーム本体の開放された前記一縁は、前記回路基板を前記中板上に導入可能な大きさで開放されており、前記フレーム本体の開放された他縁は、前記表示基板及び前記フレキシブルプリント基板を前記中板上に導入可能な大きさで開放されている、
ことを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0038】
(付記3)
前記回路基板は、前記フレキシブルプリント基板を接続する接続部を有し、
前記底板は、前記中板上に設けられた前記回路基板の前記接続部を露出するように形成されている、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の表示装置。
【0039】
(付記4)
前記フレーム本体は、前記中板上に設けられた前記表示基板の前記表示部を露出し、且つ、前記表示基板の一部を覆うように延出する天板を一体的に備える、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載の表示装置。
【0040】
(付記5)
前記表示基板は、前記表示部を制御する制御部を備え、
前記天板は、前記中板上に設けられた前記表示基板の前記制御部を覆うように形成されている、
ことを特徴とする付記4に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0041】
10,12 液晶表示装置(表示装置)
20,22 フレーム
200 フレーム本体
202 中板
204 底板
206 天板
24 隙間
30 表示基板
300 表示部
40 回路基板
50 FPC(フレキシブルプリント基板)
60 ドライバIC(制御部)
70 接続コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有する表示基板と、
電子部品が実装される回路基板と、
前記回路基板と前記表示基板とを接続するフレキシブルプリント基板と、
枠状のフレーム本体と、該フレーム本体の内面に一体的に形成され、前記フレーム本体の一部との間に隙間を有するように形成された中板と、前記フレーム本体に一体的に形成され、該フレーム本体の一縁において前記隙間近傍の内面から延出する底板と、を有し、導電性を有して電磁シールドとして機能するフレームと、を備え、
前記回路基板は、前記中板の一面上に設けられ、
前記表示基板は、前記回路基板との間に前記中板を挟むようにして前記中板の他面上に設けられ、
前記フレキシブルプリント基板は、前記中板の一面側と対向する二面側とに亘るように前記隙間に通されて、前記中板上に設けられた前記回路基板と前記表示基板とを接続した状態で、前記フレーム本体及び前記底板に覆われる、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記フレーム本体の開放された前記一縁は、前記回路基板を前記中板上に導入可能な大きさで開放されており、前記フレーム本体の開放された他縁は、前記表示基板及び前記フレキシブルプリント基板を前記中板上に導入可能な大きさで開放されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記回路基板は、前記フレキシブルプリント基板を接続する接続部を有し、
前記底板は、前記中板上に設けられた前記回路基板の前記接続部を露出するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記フレーム本体は、前記中板上に設けられた前記表示基板の前記表示部を露出し、且つ、前記表示基板の一部を覆うように延出する天板を一体的に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示基板は、前記表示部を制御する制御部を備え、
前記天板は、前記中板上に設けられた前記表示基板の前記制御部を覆うように形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44944(P2013−44944A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182687(P2011−182687)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】