説明

表面凝結遅延剤を用いたコンクリート面への写真等画像の転写等に益する化粧コンクリート形成技術に関し、高流動コンクリートを用いたコンクリート型枠への打設技術。

【課題】凝結遅延剤を塗布したシートを張り付けた型枠にコンクリートを打設、適宜養生期間を置いた後、脱型し、凝結遅延剤により脆弱となった部分を高圧水で洗い流し、露出させた平滑面と凹面部分で図形のエッジング、または写真等画像の転写をなす転写技術に使用されるコンクリートは、一般的にレディミックス普通ポルトランドセメントが用いられるが、打ち込み時の状況によっては、コンクリート転写面にジャンカ等不具合が生じる可能性がある。このような不具合が発生した場合、その補修はほとんど不可能なため、該転写技術を採用するには慎重にならざるを得ないことが指摘されている。そこで本発明は、従来技術のマイナス誘因であるコンクリート打設技術の改善を提供し、前記のジャンカ等の不具合を解消することを課題とする。
【解決手段】以上の課題を解決するために、本発明は、標準的な配合の普通ポルトランドセメントの代わりに、高流度コンクリートを用いたコンクリート打設技術を提供した。高流度コンクリートを採用することにより、該コンクリートの特徴である自己充填性と、材料分離抵抗性が、ジャンカ、エアーによるピンホール等の発生を大幅に抑えることに寄与できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート表面凝結遅延剤を使用することによって、コンクリート面への写真等画像の転写等に益する技術における、コンクリートの打設技術に関する。
【背景技術】
【0002】
凝結遅延剤を塗布したシートを張り付けた型枠にコンクリートを打設、適宜養生期間を置いた後、脱型し、凝結遅延剤により脆弱となった部分を高圧水で洗い流し、露出させた平滑面と凹面部分で図形のエッジング、または写真等画像の転写をなす転写技術に使用されるコンクリートは、一般的にレディミックス普通ポルトランドセメントが用いられることが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在提供されている、表面凝結遅延剤を用いたコンクリート面への写真等画像の転写等に益する化粧コンクリート形成技術では、標準的な配合の普通ポルトランドセメントが用いられているが、該転写技術を施工するに当たっては、打ち込み時の状況によっては、コンクリート転写面にジャンカ等不具合が生じる可能性がある。このような不具合が発生した場合、その補修はほとんど不可能なため、該転写技術を採用するには慎重にならざるを得ないことが指摘されている。
【0004】
例えば、標準的な配合の普通ポルトランドセメントを使用して打設すると発生する可能性のある不具合としては、ジャンカ、エアーによるピンホール、そして不鮮明なコンクリート面への写真等画像の転写である。
【0005】
そこで本発明は、従来技術のマイナス誘因であるコンクリート打設技術の改善を提供し、前記のジャンカ、エアーによるピンホール、そして不鮮明なコンクリート面への写真等画像の転写の不具合を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、請求項1の発明は、標準的な配合の普通ポルトランドセメントの代わりに、高流度コンクリートを用いたコンクリート打設技術を提供した。高流度コンクリートとは、混和剤として高性能AE減水剤等を使用しフレッシュ時の材料分離抵抗性を損なうことなく流動性を確保(フロー値60cm〜65cm位)することによって、締め固め作業を行うことなく、型枠などの隅々まで材料分離を生じることなく充填できる性質(自己充填性)を特徴としたコンクリートであり、普通コンクリートと比較すると、密実度において優れており、空気量は少ない。
請求項2の発明は、混和剤として高性能AE減水剤を使用することで高い流動性を発揮させ、粉体量の増量や増粘剤の添加などで適度な材料分離抵抗性を発揮させるような高流度コンクリートを用いたコンクリート打設技術を提供した。
【発明の効果】
【0007】
表面凝結遅延剤を用いたコンクリート面への写真等画像の転写等に益する化粧コンクリート形成技術に高流度コンクリートを使用すると、標準的な配合の普通ポルトランドセメントの場合と比べて、密実度が高くなることで、化粧コンクリートの仕上がり具合が緻密になり、空気量が少ないことでピンホールの発生が減少し、コンクリートに自己充填性があることで、ジャンカの発生を大幅におさえることができる。以上のような高流度コンクリートを使用することで、従来技術に比較して大幅に不具合発生の可能性を抑えられるだけではなく、化粧コンクリートの仕上がり向上にも寄与することができる点で優れており、該化粧コンクリート形成技術には適切な性質を備えたコンクリートといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実地の形態について、説明する。
本発明の,コンクリート表面凝結遅延剤を用いて、フィルム等シート上に図形や写真等絵柄を描画し、該フィルム等シートを型枠に張り付け、コンクリートを打設後、未硬化の脆弱部分を洗い出し、露出したコンクリート面の平滑面と凹面とで、図形や写真等絵柄を転写する化粧コンクリート形成技術において、コンクリート打設に使用するコンクリートは、高流度コンクリートを使用する。
該高流度コンクリートとは、混和剤として高性能AE減水剤等を使用することにより、フレッシュ時の材料分離抵抗性を損なうことなく流動性を確保しており、加えるに、粉体量の増加により、材料分離抵抗性を高めているものである。粉体系(粉体として普通ポルトランドセメント・フライアッシュ・シリカフューム等を使用)、そして増粘剤系(セルロース系増粘剤等)、そして併用型(粉体系と増粘剤系の併用)の3種類があるが、いずれの高流度コンクリートも、該化粧コンクリート形成技術に適用できる。該高流度コンクリートを上記型枠に打設する場合、打設後の締め固めのための棒状バイブレ−タ−はエアーを出しやすい傾向にあるので使用せず、型枠の外から小槌叩きを行う。高流度コンクリートの配合例を表−1に挙げる。
【表−1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート表面凝結遅延剤を用いて、フィルム等シート上に図形や写真等絵柄を描画し、該フィルム等シートを型枠に張り付け、コンクリートを打設後、未硬化の脆弱部分を洗い出し、露出したコンクリート面の平滑面と凹面とで、図形や写真等絵柄を転写する化粧コンクリート形成技術におけるコンクリート打設に関し、高流度コンクリートを用いることを特徴とするコンクリート型枠への打設技術。
【請求項2】
前記高流度コンクリートは、混和剤として高性能AE減水剤を使用することで高い流動性を発揮させ、粉体量の増量や増粘剤の添加などで適度な材料分離抵抗性を発揮させるものであって、該高流度コンクリートを用いることを特徴とする[請求項1]にあるような、コンクリート型枠への打設技術。

【公開番号】特開2012−228863(P2012−228863A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109868(P2011−109868)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(505216771)
【出願人】(510225993)株式会社アーク (2)
【Fターム(参考)】