説明

表面処理電気器具

【課題】良好な清掃効率を得つつ、分離装置のサイズをできるだけ小さくすること。
【解決手段】表面処理電気器具は、少なくとも1つの第1のサイクロンを含む第1のサイクロン分離ユニットの下流に配置されて、軸線の周りに並列に配置された複数の第2のサイクロンを含む第2のサイクロン分離ユニットと、第2のサイクロン分離ユニットの下流に配置された複数の第3のサイクロンを含む第3のサイクロン分離ユニットとを備え、第2及び第3のサイクロンの各々は外壁を有するテーパ付き本体を備える。複数の第3のサイクロンは、少なくとも第1のセット及び第2のセットに分割され、複数の第2のサイクロン及び第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第2のセットの周りに配置される。複数の第2のサイクロンの各々、及び第3のサイクロンの第1のセットの各々の外壁の少なくとも一部は表面処理電気器具の外面の一部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理電気器具に関する。好ましい実施形態において、電気器具は直立型真空掃除機の形態である。
【背景技術】
【0002】
サイクロン分離装置を利用した真空掃除機は従来から公知である。このような真空掃除機の例は、米国特許第4,373,228号、米国特許第3,425,192号、米国特許第6,607,572号、及び欧州公開特許1268076に開示されている。分離装置は、流入空気が順次通過する第1及び第2のサイクロン分離ユニットを備える。これにより、第1の分離ユニットにおいて空気流から大きな汚れ及びデブリを抽出することが可能になり、第2のサイクロンは最適な状態で作動できるので効果的な方法で微細な粒子を効果的に取り除くことができる。
【0003】
場合によっては、第2のサイクロン分離ユニットは、並列に配置された複数のサイクロンを含むことができる。これらのサイクロンは、通常、分離装置の長さ方向軸線の周りに環状に配置される。比較的大型のただ一つサイクロンではなく複数の比較的小型のサイクロンを並列に備えることで、分離ユニットの分離効率、つまり分離ユニットが取り込んだ粒子を空気流から分離する能力を高くすることができる。このことは、ほこり粒子を空気流から取り除くサイクロン内で発生する遠心力の増大に起因している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,373,228号明細書
【特許文献2】米国特許第3,425,192号明細書
【特許文献3】米国特許第6,607,572号明細書
【特許文献4】欧州公開第1268076号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
並列サイクロンの数が増えると、同じ全圧力抵抗に対して分離ユニットの分離効率又は圧力効率がさらに高くなる。しかしながら、サイクロンを環状に配置すると分離ユニットの外径が大きくなり、結果的に分離装置のサイズが大きくなり望ましくない場合もある。サイズが大きくなることは個々のサイクロンのサイズを小さくすることで改善できるが、サイクロンのサイズを小さくするにも限界がある。非常に小型のサイクロンではすぐに詰まってしまい、真空掃除機を通る空気流量つまり清掃効率に好ましくない影響をもたらす場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は表面処理電気器具を提供し、該表面処理電気器具は、
少なくとも1つの第1のサイクロンを含む、第1のサイクロン分離ユニットと、
第1のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置された複数の第2のサイクロンを含む、第2のサイクロン分離ユニットと、
第2のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置された複数の第3のサイクロンを含む第3のサイクロン分離ユニットと、
を備え、
第2のサイクロン及び第3のサイクロンの各々は、外壁を有するテーパ付き本体を備え、
複数の第3のサイクロンは、少なくとも第3のサイクロンの第1のセット及び第3のサイクロンの第2のセットに分割され、複数の第2のサイクロン及び第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第2のセットの周りに配置され、複数の第2のサイクロンの各々、及び第3のサイクロンの第1のセットの各々の外壁の少なくとも一部は表面処理電気器具の外面の一部を形成する。
【0007】
従って、本発明は、少なくとも3段のサイクロン分離を含む分離装置を備える表面処理電気器具を提供し、第3のサイクロン分離ユニットのサイクロンは、複数のセットにグループ分けされる。第3のサイクロン分離ユニットのサイクロンを第1のセット及び第2のセットにグループ分けすることで、分離装置は、第3のサイクロン分離ユニットの第3のサイクロンの数を最大にしながらコンパクトな配列が可能になる。
【0008】
第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第2のセットの一部の周りに配置されるので、第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第2のセットの円周方向部、好ましくは上部と重なり合う。これにより、第3のサイクロンの第1及び第2のセットが互いに近くなるので分離装置の全高を低減できる。また、複数の第2のサイクロンは第3のサイクロンの第2のセットの一部の周りに配置されるので、第2のサイクロンは、第3のサイクロンの第2のセットの円周方向部、好ましくは上部と重なり合う。第2のサイクロン及び第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第2のセットの共通環状セクションと重なり合うことができる。この場合、第2のサイクロンは、第3のサイクロンの第1のセットの周りに延びることができる。複数の第2のサイクロンは、第3のサイクロンの各セットとそれぞれ異なる大きさで重なり合うことができる。
【0009】
第2のサイクロンのテーパ付き本体の外壁及び第3のサイクロンの第1のセットのサイクロンの少なくとも一部を電気器具の外面に組み込むと、更に全容積を最小限に抑えることが可能になる。
【0010】
各セットは、同じ数の第3のサイクロンを含むことができる。例えば、第3のサイクロン分離ユニットに関するサイクロンの最適数が24個の場合、分離装置の最大径及び/又は分離装置の最大高さに応じて、これらのサイクロンは、12個のサイクロンの2セット、8個のサイクロンの3セット、又は6個のサイクロンの4セットに配置することができる。もしくは、各セットは、それぞれ異なる数のサイクロンを含むことができる。例えば、第3のサイクロン分離ユニットのサイクロンの最適数が36個の場合、これらのサイクロンは、18個のサイクロンの第1のセット、12個のサイクロンの第2のセット、及び6個のサイクロンの第3のセットに配置することができる。
【0011】
電気器具は、第1のサイクロン分離ユニットからのほこりを受け入れる第1のほこりコレクタ、第2のサイクロン分離ユニットからのほこりを受け入れる第2のほこりコレクタ、及び第3のサイクロン分離ユニットからのほこりを受け入れる第3のほこりコレクタを備えることが好ましい。第3のサイクロンの各セットの関して共通のほこりコレクタを準備すると、第3のサイクロン分離ユニットの中身を空にしてきれいにすることが容易になる。第1のほこりコレクタは、第2のほこりコレクタ及び第3のほこりコレクタの周りに延びることができる。第2のほこりコレクタは、第3のほこりコレクタの周りに延びることができる。例えば、第3のほこりコレクタは略円筒形とすることができ、第1及び第2のほこりコレクタの各々は、円筒形の第3のほこりコレクタの周りに延びる環状形とすることができる。もしくは、第3のほこりコレクタは環状形とすることもできる。各ほこりコレクタは同時に中身を空にできるように配置することが好ましい。
【0012】
第2のほこりコレクタは、第1及び第3のほこりコレクタよりも大きな容積をもつことが好ましい。第2のほこりコレクタの容積は、第1及び第3のほこりコレクタの総容積よりも大きいことが好ましい。
【0013】
第3のサイクロンの各セットの流体入口は複数の異なる配列の1つで配置できる。例えば、入口は、軸線の周りに延びる螺旋配列で配置できるので、流体入口は異なる軸方向位置に配置される。もしくは、流体入口の第1のグループは第1の環状配列で配置でき、流体入口の第2のグループは、第1の環状配列に対して前記軸線に沿って離間した第2の環状配列で配置できる。環状配列は実質的に同じサイズとすること、又はそれぞれ異なるサイズとすることができる。流体入口の各配列は、前記軸線に対して略直交することができる。各配列内で、流体入口は、前記軸線に対して傾くことができるので、流体入口は、前記軸線に対するサイクロンの傾斜角に応じて、前記軸線の周りに延びる略切頭円錐形配列であるか、又は前記軸線に対して略直交することができる。
【0014】
各セット内で、第3のサイクロンは、軸線から実質的に等距離であることが好ましい。別の方法として又は追加的に、第3のサイクロンは、前記軸線の周りで略等間隔又は等角度で離間することが好ましい。
【0015】
軸線は第1のサイクロン分離ユニットの長さ方向軸線であることが好ましい。第1のサイクロン分離ユニットは、略円筒形であることが好ましい単一の第1のサイクロンを備えることが好ましい。第1のサイクロン分離ユニットは、第2及び第3のほこりコレクタを少なくとも部分的に取り囲むことが好ましい。
【0016】
第3のサイクロンの第1のセットは、少なくとも一部が第3のサイクロンの第2のセットの上方に配置されることが好ましい。第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第2のセットよりも多数のサイクロンを備えることが好ましい。
【0017】
第3のサイクロン分離ユニットの各サイクロンは、好ましくは切頭円錐形のテーパ付き本体を備えることが好ましい。
【0018】
第3のサイクロンの各々は長さ方向軸線を有し、第3のサイクロンは、少なくとも第3のサイクロンの第1のセットの各長さ方向軸線が互いに近づくように配置されることが好ましい。同様に、第3のサイクロンの第2のセットは、各サイクロンの長さ方向軸線が互いに近づくように配置されることが好ましい。いずれの場合も、第3のサイクロンの長さ方向軸線は、各サイクロンがその周りに配置される前記軸線と交差することが好ましく、この軸線は好ましくは第1のサイクロン分離ユニットの長さ方向軸線である。
【0019】
第3のサイクロンの第1のセットの各サイクロンの長さ方向軸線は、前記軸線に対して同じ角度で交差することが好ましい。しかしながら、第3のサイクロンの第1のセットの各サイクロンの長さ方向軸線は、前記軸線に対して2つ又はそれ以上の異なる角度で交差することができる。同様に、第3のサイクロンの第2のセットの各サイクロンの長さ方向軸線は、前記軸線に対して同じ角度で交差することが好ましいが、この場合も第3のサイクロンの第2のセットの各サイクロンの長さ方向軸線は、前記軸線に対して2つ又はそれ以上の異なる角度で交差することができる。
【0020】
第3のサイクロンの第1のセットの長さ方向軸線が前記軸線と交差する角度は、第3のサイクロンの第2のセットの長さ方向軸線が前記軸線と交差する角度と実質的に同じとすることができる。もしくは、第3のサイクロンの第1のセットの長さ方向軸線が前記軸線と交差する角度は、第3のサイクロンの第2のセットの長さ方向軸線が前記軸線と交差する角度と異なることができる。例えば、第3のサイクロンの第1のセットの長さ方向軸線が前記軸線と交差する角度は、第3のサイクロンの第2のセットの長さ方向軸線が前記軸線と交差する角度より大きくすることができる。サイクロンの各セットのうちの1つが軸線に対して傾斜する角度を増大させると分離装置の全高を抑えることができる。
【0021】
第3のサイクロンの第1及び第2のセットに加えて、第3のサイクロン分離ユニットは、第3のサイクロンの第3のセットを備えることができる。第3のサイクロンの第3のセットの流体入口は、前記軸線に沿って第1のグループ及び第2のグループから離間した第3のグループで配置できる。同様に、第3のサイクロンの第3のセットの入口は軸線の周りに延びる螺旋配列で配置できる。しかしながら、好ましくは、流体入口の第3のグループは、前記軸線に沿って第1及び第2の環状配列から離間した第3の環状配列で配置される。前述のように、流体入口の配列は、前記軸線に対して直交するとみなすことができる。この第3の配列内で、流体入口は、前記軸線に対するサイクロンの傾斜角に応じて、前記軸線の周りに延びる略切頭円錐形配列であるか、又は前記軸線に対して略直交することができる。
【0022】
第3のサイクロンの第2のセットは、少なくとも一部が第3のサイクロンの第3のセットの上方に配置されることが好ましい。分離装置の全高を低減するために、第3のサイクロンの第2のセットは、第3のサイクロンの第3のセットの一部の周りに配置することができるので、第3のサイクロンの第2のセットは、第3のサイクロンの第3のセットの円周方向部、好ましくは上部と重なり合う。また、第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第3のセットの一部の周りに延びることができので、第3のサイクロンの第1のセットは、サイクロンの第2及び第3のセットの少なくとも一部の円周方向で重なり合う。これにより、第3のサイクロンの各々が互いに近くなるので分離装置の全高を更に低減できる。
【0023】
流体入口の第2のグループの第2の環状配列の半径は、流体入口の第3のグループの第2の環状配列の半径よりも大きくすることができる。この場合、第3のサイクロンの第2のセットは、第3のサイクロンの第3のセットよりも多数のサイクロンを備えることができる。
【0024】
前述のように、第3のサイクロン分離ユニットの各サイクロンは、好ましくは切頭円錐形のテーパ付き本体をもつことが好ましい。第3のサイクロンの第3のセットの各サイクロンは、その長さ方向軸線の各々が互いに近づくように配置できる。もしくは、第3のサイクロンの第3のセットの各サイクロンは、その長さ方向軸線の各々が略平行であるように配置できる。これらの長さ方向軸線は、第3のサイクロンがその周りに配置される軸線に対して略平行であるように配置できる。
【0025】
第2のサイクロンの前記軸線の周りの配列は、第3のサイクロンの第1のセットの前記軸線の周りの配列と実質的に同一とすることができる。複数の第2のサイクロン及び第3のサイクロンの第1のセットは、前記軸線から等距離とすることができる。第2のサイクロンの各々は、第3のサイクロンの第1のセットのそれぞれのサイクロンの真下に配置できる。もしくは、複数の第2のサイクロンは、第3のサイクロンの第1のセットに対して前記軸線の周りで角度オフセットすることができる。
【0026】
第3のサイクロンの数は、第2のサイクロンよりも多数とすることができる。第2のサイクロン分離ユニット及び第3のサイクロンの第1のセットは、同じ数のサイクロンを含むことができる。
【0027】
第2のサイクロンの各々は、好ましくは切頭円錐形のテーパ付き本体をもつことができる。第2のサイクロンの各々は長さ方向軸線をもつことができ、第2のサイクロンは、該第2のサイクロンの長さ方向軸線の各々が互いに近づくように配置される。第2のサイクロンの長さ方向軸線は、その周りにサイクロンが配置される軸線に対して、第3のサイクロンの第1のセットの長さ方向軸線と同じ角度で交差することができる。換言すれば、複数の第2のサイクロン及び第3のサイクロンの第1のセットは、軸線に対して第1の方向で配置すること、及び第3のサイクロンの第2のセットは、第1の方向とは異なる第2の方向で配置することができる。
【0028】
第2のサイクロンの各々は、弾性部を備えることができる。第2のサイクロンの各々に弾性部を設けると、表面処理電気器具の使用時にサイクロン内部に汚れが蓄積するのを防止できる。第2のサイクロンの各々は、比較的広い部分と比較的狭い部分を有するテーパ付き本体を備えることができ、第2のサイクロンの比較的狭い部分が弾力性をもっている。比較的広い部分は、比較的狭い部分よりも剛性が高いことが好ましい。例えば、テーパ付き本体の比較的広い部分は、テーパ付き本体の比較的狭い部分よりも剛性の高い材料で形成できる。比較的広い部分は、例えば、ポリプロピレン、ABS、又はアルミニウム等のプラスチック又は金属材料で形成できるが、比較的狭い部分は、熱可塑性エラストマー、TPU、シリコンゴム、又は天然ゴム等で形成できる。もしくは、テーパ付き本体の比較的広い部分は、テーパ付き本体の比較的狭い部分よりも大きな厚みをもつことができる。比較的狭い部分は、サイクロン先端とすることができる。先端は、電気器具の使用時に振動することができ、ほこり堆積物を集塊してサイクロンを閉塞する前に砕くことができる。
【0029】
また、少なくとも第3のサイクロンの第1のセットは前述の弾性部を備えることができる。
【0030】
電気器具は、第1のサイクロン分離ユニットからの流体を受け入れると共にこの流体を第2のサイクロン分離ユニットへ運ぶ第1のマニホルドを備えることができる。この場合、第2のサイクロンの各流体入口は、第1のマニホルドから流体を受け入れるように配置される。電気器具は、第1のサイクロン分離ユニットからの出口を形成するシュラウドを備えることが好ましく、シュラウドは多数の貫通孔をもつ壁を備え、第1のマニホルドはシュラウドからの流体を受け入れるように配置される。
【0031】
電気器具は、第2のサイクロン分離ユニットからの流体を受け入れると共にこの流体を第3のサイクロン分離ユニットへ運ぶ第2のマニホルドを備えることができる。この場合、第3のサイクロンの各流体入口は、第2のマニホルドから流体を受け入れるように配置される。第2のマニホルドは第1のマニホルドの上方に配置することが好ましい。
【0032】
電気器具は、第3のサイクロンの流体出口からの流体を受け入れる出口チャンバを備えることができる。第3のサイクロンの第3のセットは出口チャンバの下方に配置すること、及び第3のサイクロンの第1及び第2のセットは出口チャンバの周りに配置することが好ましい。第3のサイクロンの第3のセットを出口チャンバの下方に配置すると、第3のサイクロン分離ユニットのサイクロンの数を更に最大化できる。この場合、第2のマニホルドは出口チャンバの周り及び下方に延びて、流体の流れを第3のサイクロン分離ユニットのサイクロンへ運ぶことができる。
【0033】
出口チャンバは、分離装置からの流体流れを受け入れるために、サイクロン分離ユニットに対して可動の付勢式つまりバネ付勢式カップリング部材を備えることが好ましく、カップリング部材は、流体の流れが分離装置から排出される流体出口を備える。出口チャンバは、これにより分離装置の一部だけを付勢すること、つまりカップリング部材を出口ダクトに対して付勢することで分離装置と出口ダクトとの間の気密シールを維持できる。
【0034】
サイクロン分離ユニットは分離装置の一部を形成することが好ましく、電気器具に取り外し可能に取り付くことが好ましい。
【0035】
電気器具は、電気器具を通って空気流を吸い込むためのモーター駆動式ファンユニットを備えることが好ましい。3段のサイクロン分離を有し、第2及び第3が各々並列に配置される複数のサイクロンを備える分離装置を準備すると、分離装置の分離効率が非常に高くなり、流体流れはファンユニットの上流側に配置されるフィルタ組立体を通過することなく第3の分離ユニットから直接ファンユニットに移動できる。
【0036】
表面処理電気器具は、真空掃除式電気器具であることが好ましい。用語「表面処理電気器具」は広い意味であることが意図されており、表面にわたって移動して何らかの方法で表面を清掃又は処理するヘッドを有する広範な機械を含む。これは真空掃除機(乾燥式、湿式、及び湿式/乾燥式)等の、内部に表面に吸引力を与えて物質を吸い込む機械、並びに、研磨機/ワックスがけ機、高圧洗浄機、地面マーキング機、シャンプー機等の表面に物質を施す機械を含む。また、芝刈り機及び他の裁断機を含む。
【0037】
第2の態様において、本発明は表面処理電気器具を提供し、該表面処理電気器具は、
少なくとも1つの第1のサイクロン及び第1のほこりコレクタを含む第1のサイクロン分離ユニットと、
第1のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置される複数の第2のサイクロン及び第2のほこりコレクタを含む第2のサイクロン分離ユニットと、
第2のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置される複数の第3のサイクロン及び第3のほこりコレクタを含む第3のサイクロン分離ユニットと、
を備え、
第2のほこりコレクタの容積は、第1及び第3のほこりコレクタの各々の容積よりも大きい。
【0038】
第3の態様において、本発明はサイクロン分離装置を提供し、該サイクロン分離装置は、
第1の態様において、本発明は表面処理電気器具を提供し、該表面処理電気器具は、
少なくとも1つの第1のサイクロンを含む、第1のサイクロン分離ユニットと、
第1のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置された複数の第2のサイクロンを含む、第2のサイクロン分離ユニットと、
第2のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置された複数の第3のサイクロンを含む第3のサイクロン分離ユニットと、
を備え、
第2のサイクロン及び第3のサイクロンの各々は、外壁を有するテーパ付き本体を備え、
複数の第3のサイクロンは、少なくとも第3のサイクロンの第1のセット及び第3のサイクロンの第2のセットに分割され、複数の第2のサイクロン及び第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第2のセットの周りに配置され、
複数の第2のサイクロンの各々、及び第3のサイクロンの第1のセットの各々の外壁の少なくとも一部は分離装置の外面の一部を形成する。
【0039】
第4の態様において、本発明はサイクロン分離装置を提供し、該サイクロン分離装置は、
少なくとも1つの第1のサイクロン及び第1のほこりコレクタを含む第1のサイクロン分離ユニットと、
第1のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置される複数の第2のサイクロン及び第2のほこりコレクタを含む第2のサイクロン分離ユニットと、
第2のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置される複数の第3のサイクロン及び第3のほこりコレクタを含む第3のサイクロン分離ユニットと、
を備え、
第2のほこりコレクタの容積は、第1及び第3のほこりコレクタの各々の容積よりも大きい。
【0040】
本発明の第1の態様に関連した前述の特徴点は、本発明の第2から第4の態様の各々にも同様に適用可能であり、その逆も可能である。本発明の好ましい特徴点は、例示的に添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】真空掃除機の上から見た正面斜視図である。
【図2a】下降位置の真空掃除機ダクトを備える真空掃除機の側面図である。
【図2b】上昇位置の真空掃除機ダクトを備える真空掃除機の側面図である。
【図3】真空掃除機の分離装置を取り外した状態の、真空掃除機の上から見た正面斜視図である。
【図4】分離装置の側面図である。
【図5】分離装置の上面図である。
【図6a】図5のラインA−Aから見た分離装置の上面断面図である。
【図6b】図5のラインB−Bから見た分離装置の上面断面図である。
【図6c】図5のラインC−Cから見た分離装置の上面断面図である。
【図6d】図5のラインD−Dから見た分離装置の上面断面図である。
【図6e】図5のラインE−Eから見た分離装置の上面断面図である。
【図7a】図4のラインF−Fから見た分離装置の側面断面図である。
【図7b】図7bと同じ断面図であるが、背景の部品が省略されている。
【図8a】転動組立体の上面図である。
【図8b】図8aのラインG−Gから見た側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1及び2aは、真空掃除機10の形態の表面処理電気器具の外観図を示す。真空掃除機10は、シリンダ型又はキャニスタ型である。概して、真空掃除機10は、空気流から汚れ及びほこりを分離する分離装置12を備える。分離装置12は、サイクロン分離装置の形態であり、実質的に円筒型の外壁16を有する外側容器14を備える。外側容器14の下端は、外壁16に枢動可能に取り付けられた基部18によって閉じられている。汚れ含有空気を分離装置12に吸い込む吸引力を発生するための電動ファンユニットは、分離装置12の後方に配置される転動組立体20に収容されている。同様に図3を参照すると、転動組立体20は、本体22及び該本体22に回転可能に結合されて床面と係合する2つのホイール24、26を備える。入口ダクト28は、分離装置12の直下に配置され汚れ含有空気を分離装置12へ運び、出口ダクト30は、分離装置12からの排気を転動組立体20へ運ぶ。シャーシ32は転動組立体20の本体22に結合される。シャーシ32は略矢印形状であり、該シャーシ32は、後端において転動組立体20の本体22に結合される軸38と、略三角形のヘッド36とを備える。シャーシ32のヘッド36の側壁の傾斜は、コーナー部、家具、又は床面から直立した物品の周りの真空掃除機10の操作性を助けることができ、側壁はこのような物品に接触すると直立した物品に対して滑動する傾向にあり、転動組立体20を直立した物品の周りにガイドすることができる。
【0043】
床面と係合する一対のホイール組立体38はシャーシ32のヘッド36に結合される。各ホイール組立体38は、操縦アーム40によってヘッド36のそれぞれのコーナー部に結合され、操縦アーム40は、ホイール組立体38がシャーシ32のヘッド36の後方に配置されるが、転動組立体20のホイール24、26の前で床面に接するように形成されている。従って、ホイール組立体38は、床面にわたって操作される際に転動組立体20を支持し、ホイール組立体38の回転軸と直交すると共に真空掃除機10が操作される床面に実質的に平行な軸周りの転動組立体20の回転を制限する。各ホイール組立体38が床面と接触する各点の間の距離は、転動組立体20のホイール24、26が床面と接触する各点の間の距離よりも大きい。本実施例において、各操縦アーム40は、それぞれのハブ軸の周りで枢動するよう第1の端部においてシャーシ32に結合される。各ハブ軸は、ホイール組立体38の回転軸に対して略直交する。操縦アーム40の第2の端部は、空掃除機10が床面にわたって移動する際にホイール組立体38が自由に回転できるよう、それぞれのホイール組立体38に結合される。
【0044】
シャーシ32に対する操縦アーム40つまりホイール組立体38の動きは、細長い軌道コントロールアーム42によって制御される。軌道制御アーム42の各端部は、シャーシ32に対する軌道制御アーム42の動きにより各操縦アーム40がハブ軸の周りで枢動するように、それぞれの操縦アーム40の第2の端部に結合される。これにより結果的に、各ホイール組立体38がシャーシ32のそれぞれのコーナー部の周りで軌道を描いて回ることになり、床面にわたる真空掃除機10の移動方向が変わる。シャーシ32に対する軌道制御アーム42の動きは、シャーシ32に対する入口ダクト28の動きでもたらされる。同様に図3を参照すると、軌道制御アーム42は、転動組立体20の本体22から前側に延び、好ましくは一体になっているダクト支持部44の下方を通る。もしくは、ダクト支持部44は、シャーシ32に結合することができる。入口ダクト28は、ホイール組立体38の回転軸に略直交する軸の周りを動くようにダクト支持部44に枢動可能に結合される。入口ダクト28は、後方に延びてダクト支持部44の下方を通り軌道制御アーム42に連結するアーム46を備え、アーム46が入口ダクト28と一緒に動く際に軌道制御アーム42がシャーシ32に対して動くようになっている。
【0045】
入口ダクト28は、比較的剛性の高い入口部48、比較的剛性の高い出口セクション50、及び入口部48と出口セクション50との間を延びる比較的可撓性のホース52を備える。入口部48は、汚れ含有空気流を入口ダクト28へ運ぶためのワンド及びホース組立体(図示せず)に結合するカップリング54を備える。ワンド及びホース組立体は、汚れ含有空気流を真空掃除機10に吸引する吸い込み口を有する清掃ヘッド(図示せず)に結合される。入口部48は、ヨーク56に結合されて支持される。ヨーク56は、床面上にヨーク56を支持する床係合転動要素58を備える。ヨーク56の後側セクションはシャーシ32に結合され、入口ダクト28の枢動軸から離間してこれに実質的に平行なヨーク枢動軸の周りを枢動する。シャーシ32は、ヨーク56のシャーシ32に対する枢動を約±65度の範囲に規制するように形成される。
【0046】
入口ダクト28の出口セクション50は、ダクト支持部44に枢動可能に結合され、分離装置12の外面に沿って延びる。床面にわたって真空掃除機10を操作するために、ユーザは、カップリング54に結合したホース及びワンド組立体のホースを引き寄せて床面にわたって真空掃除機10を引きずることになり、結果的に、転動組立体20のホイール24、26、ホイール組立体38、及び転動要素58が回転して真空掃除機10が床面にわたって移動する。例えば、床面にわたって移動中の真空掃除機10を左に操向するために、ユーザはホース及びワンド組立体のホースを左に引き寄せるので、入口ダクト28の入口部48、及びこれに結合されたヨーク56はヨーク枢動軸の周りを左に枢動する。入口部48の枢動によりホース52が屈曲して、入口ダクト28の出口セクション50に力が作用する。この力により、出口セクション50はダクト枢動軸の周りを枢動する。ホース52の可撓性により、入口部48のヨーク枢動軸周りの枢動量は、出口セクション50のダクト枢動軸周りを枢動量よりも大きくなる。例えば、入口部48が角度65度だけ枢動する場合、出口セクション50は約20度だけ枢動する。出口セクション50はダクト枢動軸の周りを枢動するので、アーム46は軌道制御アーム42をシャーシ32に対して移動させる。軌道制御アーム42が移動すると、各操縦アーム40は枢動してホイール組立体38が左を向き、その結果、真空掃除機10が床面をわたって移動する方向が変わる。
【0047】
また、入口ダクト28は、分離装置12が取り外し可能に取り付けられる支持部60を備える。支持部60は、入口ダクト28の出口セクション50に結合され、出口セクション50がダクト枢動軸の周りを枢動すると一緒に動くことができる。支持部60は、入口ダクト28のホース52上に広がるように、出口セクション50から前方かつ略水平方向に延びる。支持部60は、比較的剛性の高い材料、好ましくはプラスチック材から形成されるので、支持部60は、分離装置12が支持部60の上に取り付く場合にホース52をつぶすことはない。支持部60は差込口64を支える傾斜した前側セクション62備え、この差込口は上側に延び、外側容器14の基部18に形成された凹部66に配置される。分離装置12が支持部60に取り付けられると、外側容器14の長さ方向軸線はダクト枢動軸に対して傾き、本実施例では角度30から40度の範囲である。結果的に、真空掃除機10が床面にわたって操作される場合、入口ダクト28のダクト枢動軸周りの枢動により、分離装置12は、シャーシ32、転動組立体20、及び出口ダクト30に対してダクト枢動軸の周りを枢動又は回転する。
【0048】
入口ダクト28の出口セクション50は空気吹き出し口68を備え、ここから汚れ含有空気流が分離装置12に流入する。分離装置12は図4から7に示される。分離装置12が使用されることになる真空掃除機のサイズ及び形式に基づいて、様々な形状の分離装置12が可能である。例えば、離装置12の全長は、装置の直径に対して増減可能であり、基部18の形状は変更できる。
【0049】
前述のように、分離装置12は、略円筒型の外壁16を有する外側容器14を備える。外側容器14の下端は、外壁16に対して枢動可能に取り付けられ、外壁16に設けられた溝に係合するキャッチ72によって閉鎖位置に保持される湾曲基部18によって閉鎖される。閉鎖位置において、基部18は外壁16の下端に対して密封される。キャッチ72は、弾性変形可能なので、キャッチ72の最上部に下向きの圧力が加わると、キャッチ72は溝から離れて係合解除になることができる。この場合、基部18は外壁16から落下することができる。
【0050】
図7aを詳細に参照すると、分離装置12は、サイクロン分離の3つの段を備える。分離装置12は、第1のサイクロン分離ユニット74、第1のサイクロン分離ユニット74の下流に配置される第2のサイクロン分離ユニット76、及び第2のサイクロン分離ユニット76の下流に配置される第3のサイクロン分離ユニット78を備える。
【0051】
第1のサイクロン分離ユニット74は単一の第1のサイクロン80を備える。第1のサイクロン80は略環状形状であり、長さ方向軸線L1を有する。第1のサイクロン80は、外側容器14の外壁16と分離装置12の第1の内壁82との間に配置される。第1の内壁82は長さ方向軸線L1の周りに延びる。第1の内壁82は、略円筒形の下側セクション84及び環状の上側セクションを有する。上側セクションは、内壁セクション88、及び内壁セクション88の上部の周りに延びる略切頭円錐形の外壁部90を備える。図6a及び7aに示すように、内壁セクション88は、ホタテ貝のように波打った形状である。
【0052】
フランジ92は、外壁部90の上端から半径方向外側に延びる。外壁16の内面と係合し外壁16と第1の内壁82との間にシールを形成するために、フランジ92上に環状シール(図示せず)を配置できる。
【0053】
汚れ空気入口96は、入口ダクト28の空気吹き出し口68からの空気流を受け入れるために、外壁16の上端に向かって設けられている。汚れ空気入口96は、分離装置12が支持部60上に取り付く場合、入口ダクト28の空気吹き出し口68を横切って配置される。汚れ空気入口96は、流入する汚れた空気が分離装置12に流入する際に螺旋経路を辿らざるを得ないように、外側容器14の接線方向に配置される。
【0054】
第1のサイクロン分離ユニット74の流体出口は、孔あきシュラウド98の形態でもたらされる。シュラウド98は、第1の内壁82の上側セクションの外壁部90の外面に結合する環状の上壁100と、第1の内壁82の円筒形下側セクション84から半径方向に離間するように上壁100から垂下する略円筒形の側壁102と、第1の内壁82の下側セクション84の外面と係合するよう側壁102下端から半径方向内側に延びる環状の下壁104とを有する。本実施形態において、側壁102は、上壁100と下壁104との間に延びるメッシュを備える。図6aを参照すると、メッシュは、第1の内壁82の外面の周りで角度をもって離間した複数の軸方向に延びるリブ105によって半径方向に支持される。下壁104は、図7aに示すように略円筒形の外壁を有するか、又は側壁102の下端から外向きに傾斜した外壁を有することができる。
【0055】
分離装置12は、第1のサイクロン80によって空気流から分離されたほこりを受け入れる第1のほこりコレクタ106を含む。第1のほこりコレクタ106は略環状形状であり、シュラウド98の下壁104下端から基部18へ、及び外壁16から第1の内壁82の下側セクション84へ延びる。基部18が閉鎖位置にある場合、下側セクション84の下端は、基部18が保持する第1の環状密封部材108に対してシールされる。
【0056】
分離装置12は第2の内壁110を有する。第1の内壁82は、第2の内壁110の周りに延び、第2の内壁110に対して同軸に位置合わせされる。第2の内壁110は略漏斗状であり、内壁82の円筒形の下側セクション84から半径方向に離間してその間に環状チャンバを形成する円筒形の下側セクション112を有する。また、第2の内壁110は、第2の内壁110の下側セクション112の上端から半径方向外側に広がり、第1の内壁82の内壁セクション88から半径方向に離間する、切頭円錐形の上側セクション114を有する。
【0057】
前述のように、第2のサイクロン分離ユニット76は第1のサイクロン分離ユニット74の下流に配置される。第2のサイクロン分離ユニット76は、第1のサイクロン分離ユニット74から排気される空気流を受け入れるための少なくとも1つの第2のサイクロンを備える。本実施形態において、第2のサイクロン分離ユニット76は、並列に配置された複数の第2のサイクロン120を備える。第2のサイクロン120は、長さ方向軸線L1を中心としてこの周りに延びる略切頭円錐形配列に配置される。この配列内において、第2のサイクロン120は長さ方向軸線L1から等距離に離間すると共に、長さ方向軸線L1の周りを略等角度に離間する。第2のサイクロン120の各々は他の第2のサイクロン120と同一である。本実施形態において、第2のサイクロン分離ユニット76は、18個の第2のサイクロン120を含む。この配列内で、第2のサイクロン120は、2つの第2のサイクロン120の間に、間隙191をもつことができ、ここにはボタン121又は何らかの他のデバイス、キャッチ、又は機構が配置される。
【0058】
第2のサイクロン120の各々は、円筒形の上側セクション122及び好ましくは切頭円錐形の形状のテーパ付き本体セクションを備える。本体セクションは上部124と下部126とに分割される。各々の第2のサイクロン120の本体上部124は、上側セクション122と一体であり分離装置12の第1の成形円錐パック128の一部を形成する。本体下部126は、上部124よりも可撓性が高い材料で形成される。本実施形態において、第2のサイクロン120の各々の本体は、好ましくは上部124とオーバーモールドされた下部126を有する。もしくは、下部126は、何らかの適切な方法で又は何らかの固定手段を用いて上部124に接着、固定、又はクランプ締めすることができる。下部126を上部124に結合する如何なる手法を用いるにしても、結合は、上部124と下部126との間の接合部において本体セクションの内面に著しい段差又は他の不連続が存在しないことが好ましい。下部126は、ショアA値が約20から50、好ましくは48とすることができるゴム材料で形成することが好ましく、上部124は、約60のショアD値とすることができるポリプロピレン又はABSから形成することが好ましい。
【0059】
第1の円錐パック128は、一対の外側支持壁130a、130bを有する。第1の外側支持壁130aは第1の内壁82のフランジ92上に取り付けられ、第2の外側支持壁130bは第1の内壁82の内壁セクション88の上端に取り付けられる。また、第1の円錐パック128は、第2の内壁110の上側セクション114を支持する一対の内側支持壁132a、132bを有する。
【0060】
第1の円錐パック128は、第2のサイクロン120の本体上部124が内壁82、110の間に配置されるチャンバ内に延びるように内壁82、110に対して角度をもって位置合わせされる。各々の第2のサイクロン120の下部126は、汚れ及びほこりが第2のサイクロン120から放出されるコーン開口134にて終端する。コーン開口134は内壁82、110の間に配置されるので、内壁82、110の間に配置される環状チャンバは、第2のサイクロン120によって空気流から分離されたほこりを受け入れる第2のほこりコレクタ136を提供する。従って、第2のほこりコレクタ136は略環状形状であり、基部18から第2のサイクロン120の先端の最下端の下方10mmに位置する最上端まで延びる。基部18が閉鎖位置にある場合、第2の内壁110の下側セクション112の下端は、基部18が保持する第2の環状密封部材138に対してシールされる。第1のほこりコレクタ106は第2のほこりコレクタ136の周りに延びる。
【0061】
第2のサイクロン120は、長さ方向軸線L1に対して第1の方向に配置される。各々の第2のサイクロン120は長さ方向軸線L2を有し、第2のサイクロン120は、第2のサイクロン120の各長さ方向軸線L2が互いに近づくように配置される。本実施形態において、第2のサイクロン120の長さ方向軸線L2は、本実施形態では約33度である第1の角度で第1のサイクロン80の長さ方向軸線L1と交差する。第2のサイクロン120の長さ方向軸線L1に対する方向は、第1のサイクロン80が各々の第2のサイクロン120の下側部の周りに延び、各々の第2のサイクロン120の上側部が第1のサイクロン80より上に位置するような方向である。図4から分かるように、第1の円錐パック128の外面は、各々の第2のサイクロン120の本体セクションの上側セクション122の一部及び上部124の一部を含む。また、第1の円錐パック128の外面は、分離装置12の外面の一部を形成し、結果的に真空掃除機10の外面の一部を形成する。
【0062】
各々の第2のサイクロン120は、流体入口140及び流体出口142を有する。各々の第2のサイクロン120に関して、流体入口140は、第2のサイクロン120の円筒形の上側セクション122に配置され、空気が第2のサイクロン120の接線方向に流入するよう構成される。流体入口140は、長さ方向軸線L1の周りを環状配列で構成される。環状配列は長さ方向軸線L1に略直交するが、勿論、長さ方向軸線L1に対する第2のサイクロン120の傾斜に照らして、環状配列内において流体入口140は長さ方向軸線L1に対して傾斜する。図6bは、第2のサイクロン120の流体入口140を通る平面Piから見た分離装置12の平面断面図である。平面Piは図4に示されており、長さ方向軸線L1に対して略直交する。流体出口142は、各々の第2のサイクロン120の上端に設けられる渦ファインダの形態である。渦ファインダは、第2のサイクロン120の開放上端を覆う第1の環状渦ファインダプレート144に配置される。環状密封部材145は気密シールを形成して、第1の円錐パック128と第1の渦ファインダプレート144との間からの空気漏れを防止するようになっている。
【0063】
空気は、第1のマニホルド146によって、第1のサイクロン分離ユニット74から第2のサイクロン分離ユニット76の第2のサイクロン120の流体入口140へ運ばれる。第1のマニホルド146は長さ方向軸線L1の周りに延び、シュラウド98の側壁102と第1の内壁82の下側セクション84との間からの空気を受け入れる一連の入口通路148を備える。通路148は、内壁セクション88と第1の内壁82の上側セクションの外壁部90との間に形成され、第2のほこりにコレクタ136の上端部の周りに構成される。各々の通路148は、第2のサイクロン120の隣接する各下部126の間を延びる。第2のサイクロン120の流体入口140は、第1のマニホルド146と連通して入口通路148からの空気を受け入れるようになっている。第1のマニホルド146は、第1の円錐パック128及び第2の内壁110の上側セクション114で取り囲まれている。従って、第2のサイクロン120は、第1のマニホルド146を通って延びると見なすことができる。
【0064】
前述のように、第3のサイクロン分離ユニット78は第2のサイクロン分離ユニット76の下流に配置される。第3のサイクロン分離ユニット78は、並列に配列される複数の第3のサイクロンを備える。本実施形態において、第3のサイクロン分離ユニット78は、36個の第3のサイクロンを備える。各々の第3のサイクロンは他の第3のサイクロンと同一である。また、本実施形態において、各々の第3のサイクロンは、第2のサイクロン120の各々と実質的に同じである。しかしながら、第3のサイクロンは第2のサイクロン120と異なることができる。
【0065】
第3のサイクロンは、第2のサイクロン120と実質的に同じサイズ及び形状である。第2のサイクロン120と同様に、各々の第3のサイクロンは、円筒形の上側セクション152及び好ましくは切頭円錐形のテーパ付き本体セクションを有する。本体セクションは上部154と下部156とに分割される。各々の第3のサイクロン150の上部154は、上側セクション152と一体である。第3のサイクロン本体の上部154及び下部156の各々は、第2のサイクロン120の上部124及び下部126のそれぞれと同じ材料で形成されることが好ましい。下部156は上部154に対して、第2のサイクロン120の下部126が第2のサイクロン120の上部124に結合されるのと同じ方法で結合されることが好ましい。各々の第3のサイクロンは、流体入口158及び流体出口160を有する。各々の第3のサイクロンに関して、流体入口158は、第3のサイクロンの円筒形の上側セクション152に配置され、空気が第3のサイクロンの接線方向に流入するよう構成される。流体出口160は、第3のサイクロンの上端に設けられる渦ファインダの形態である。
【0066】
分離装置12の直径を低減するために、第3のサイクロンは複数セットで構成される。本実施形態において、第3のサイクロン分離ユニット78は、第3のサイクロンの第1のセット162、第3のサイクロンの第2のセット164、及び第3のサイクロンの第3のセット166を備える。各セットは、それぞれ異なる数の第3のサイクロンを含む。第3のサイクロンの第1のセット162は18個の第3のサイクロン、第3のサイクロンの第2のセット164は12個のサイクロン、及び第3のサイクロンの第3のセット166は6個の第3のサイクロンを含む。
【0067】
第3のサイクロンの第1のセット162は第2のサイクロン120の上方に配置される。本実施例において、第3のサイクロンの第1のセット162内の第3のサイクロンの配列は、第2のサイクロン120の配列と実質的に同じである。第3のサイクロンは、長さ方向軸線L1を中心としてこれに沿って延びる略切頭円錐形配列で配置される。この配列内で、第3のサイクロンは長さ方向軸線L1から等距離に離間すると共に、長さ方向軸線L1の周りを略等角度に離間する。第3のサイクロンの長さ方向軸線L1からの半径方向の間隔は、第2のサイクロン120の長さ方向軸線L1からの半径方向の間隔と実質的に同じである。同様に、2つの第3のサイクロン162の間隙131にはボタン151又は何らかの他のデバイス、キャッチ、又は機構が配置される。
【0068】
また、第3のサイクロンの第1のセット162は、長さ方向軸線L1に対して第2のサイクロン120と同じ方向に配置される。換言すれば、このセット内では、第3のサイクロンは、長さ方向軸線L1に対して第1の方向に配置される。第3のサイクロンの第1のセット162の各々のサイクロンは長さ方向軸線L3aを有し、サイクロンは長さ方向軸線L3aが互いに近づくと共に長さ方向軸線L1と第1の角度αで交差するよう配置される。
【0069】
第3のサイクロンの第1のセット162の各々のサイクロンは、各第2のサイクロン120のそれぞれ1つの真上に位置づけられる。分離装置12の高さを最小にするために、第3のサイクロンの第1のセット162は、第2のサイクロン120の上部が第3のサイクロンの第1のセット162の下部の周りを又は重なり合って延びる。
【0070】
第3のサイクロンの第1のセット162は第3のサイクロンの第2のセット164の周りに延びる。また、第3のサイクロンの第2のセット164のサイクロンは、長さ方向軸線L1を中心としてこれに沿って延びる略切頭円錐形配列で配置される。この配列内で、第3のサイクロンは長さ方向軸線L1から等距離に離間すると共に長さ方向軸線L1の周りを略等角度に離間するが、該サイクロン164の長さ方向軸線L1からの半径方向の間隔は、第3のサイクロンの第1のセット162のサイクロンの間隔よりも小さい。
【0071】
第3のサイクロンの第1のセット及び第2のセットが第3のサイクロン分離ユニット78内でコンパクトな配列となり得るように、第3のサイクロンの第2のセット164は長さ方向軸線L1に対して異なる方向で配置される。この第2のセット内で、サイクロンは長さ方向軸線L1に対して第2の方向で配置される。第3のサイクロンの第2のセット164の各々のサイクロンは長さ方向軸線L3bを有し、サイクロンは、各長さ方向軸線L3bが互いに近づくと共に、長さ方向軸線L1と角度αよりも小さい第2の角度βで交差するよう配置される。本実施形態において角度βは約20度である。
【0072】
分離装置12の高さを抑えるために、第3のサイクロンの第2のセット164は、第3のサイクロンの第1のセット162の下部が第3のサイクロンの第2のセット164の上部の周りに延びるように、部分的に第3のサイクロンの第1のセット162の下方に配置される。結果的に、第2のサイクロン120は、第3のサイクロンの第1のセット162及び第3のサイクロンの第2のセット164の両方の周りに延びて、各セットとそれぞれ異なる大きさだけ重なり合う。
【0073】
第3のサイクロンの第1のセット及び第2のセット162、164は、第3のサイクロンの第1のセット162の流体入口158が第1のグループに配置され、第3のサイクロンの第2のセット164の流体入口158が第1のグループから長さ方向軸線L1に沿って離間される第2のグループに配置されるようになっている。各々のグループ内で、流体入口158は、長さ方向軸線L1の周りで、該長さ方向軸線L1に略直交する環状配列に配置される。同様に、各々の環状配列内で、長さ方向軸線L1に対する第3のサイクロンの傾斜に照らして、流体入口158は長さ方向軸線L1に対して傾斜する。図6eは、第3のサイクロンの第1のセット162の流体入口を通る平面P1から見た分離装置12の平面断面図であり、図6eは、第3のサイクロンの第2のセット164の流体入口を通る平面P2から見た分離装置12の平面断面図である。図4に示すように、平面P1、P2の各々は長さ方向軸線L1に略直交する。平面P1、P2は長さ方向軸線L1に沿って離間しており、平面P1は平面P2の上方に配置される。
【0074】
第3のサイクロンの第2のセット164は第3のサイクロンの第3のセット166の周りに延びる。また、第3のサイクロンの第3のセット166のサイクロンは、長さ方向軸線L1を中心としてこれに沿って延びる略環状配列である。この配列内で、第3のサイクロンは、第3のサイクロンは長さ方向軸線L1から等距離に離間すると共に長さ方向軸線L1の周りを略等角度に離間するが、第3のサイクロンの長さ方向軸線L1からの半径方向の間隔は、第3のサイクロンの第1のセット及び第2のセット162、164の間隙よりも小さい。
【0075】
第3のサイクロンの第3のセット166内のサイクロン数を最大にするために、第3のサイクロンの第3のセット166は、第3のサイクロンの第2のセット164とは異なる方向に配置される。この第3のセット内において、サイクロンは長さ方向軸線L1に対して第3の方向に配置される。第3のサイクロンの第2のセット164の各々のサイクロンは長さ方向軸線L3cを有し、サイクロンは各長さ方向軸線L3cが互いに近づくと共に、長さ方向軸線L1と角度βよりも小さい第3の角度γで交差するよう配置される。本実施形態において角度γは約10度である。
【0076】
また、第3のサイクロンの第3のセット166は、第3のサイクロンの第2のセット164の下部が第3のサイクロンの第3のセット166の上部の周りに延びるように、部分的に第3のサイクロンの第2のセット164の下方に配置される。図4に示すように、第2のサイクロン120は、第3のサイクロンの各々のセットの周りに延びて、各セットとそれぞれ異なる大きさだけ重なり合う。
【0077】
また、第3のサイクロンの第3のセット166の配列は、第3のサイクロンの第3のセット166の流体入口158が第1のグループ及び第2のグループから長さ方向軸線L1に沿って離間する第3のグループに配置される。この第3のグループ内で、流体入口158は、長さ方向軸線L1の周りで、該長さ方向軸線L1に略直交する環状配列に配置される。同様に、各々の環状配列内で、長さ方向軸線L1に対する第3のサイクロンの傾斜に照らして、流体入口158は長さ方向軸線L1に対して傾斜する。図6cは、第3のサイクロンの第3のセット166の流体入口を通る平面P3から見た分離装置12の平面断面図である。図4に示すように、平面P3は長さ方向軸線L1に略直交する。平面P1、P2は平面P3の上方に配置される。
【0078】
空気は、第2のサイクロン分離ユニット76から第2のマニホルド168によって第3のサイクロン分離ユニット78に運ばれる。第2のマニホルド168は、第2のサイクロン120のそれぞれの流体出口140からの空気を受け入れる一連の入口通路170を備える。図7a及び7bを参照すると、第3のサイクロンの第1のセット162の各サイクロン本体の上部154は、各サイクロンの上側セクション152と一体になっており、分離装置12の第2の成形円錐パック172の一部を形成する。第2の円錐パック172は、第1の円錐パック128上に取り付く下側環状支持壁174を有する。支持壁174は、第1の渦ファインダプレート144の上を延び、これと共に入口通路170を形成する。図4から分かるように、第2の円錐パック172の外面は、第3のサイクロンの第1のセット162の各サイクロンの本体セクションの上側セクション152の一部及び上部154の一部を含む。また、第2の円錐パック172の外面は分離装置12の外面の一部を形成し、結果的に真空掃除機10の外面の一部を形成する。前述のように、第3のサイクロンの第1のセット162の各サイクロンの流体出口160は渦ファインダの形態であり、各サイクロン上端にもたらされる。これらの渦ファインダは、第3のサイクロンの第1のセット162のサイクロンの開放上端を覆う、第2の渦ファインダプレート176に配置される。環状密封部材179は気密シールを形成して、第2の円錐パック172と第2の渦ファインダプレート176との間からの空気漏れを防止するようになっている。
【0079】
第2のマニホルド168は、部分的に第2の円錐パック172によって形成され、同様に部分的に第3の成形円錐パック177によって形成される。第2の円錐パック172は第3の円錐パック177の周りに延びる。第2の円錐パック172は、第3の円錐パック177とは別個の構成部品であってもよく、又は第3の円錐パック177と一体であってもよい。第3の円錐パック177は、第3のサイクロンの第2のセット及び第3のセット164、166の各サイクロンの本体の上側セクション152及び上部154を形成する。従って、第3のサイクロンは、第2のマニホルド168を通って延びると見なすことができる。第3の円錐パック177は、第3の円錐パック177の外面を延び、第1の円錐パック128の上に取り付く支持部178を有する。また、第3のサイクロンの第2のセット及び第3のセット164、166の各サイクロンの流体出口160をもたらす渦ファインダは、第3のサイクロンの第2のセット及び第3のセット164、166の各サイクロンの開放上端を覆う、第2の渦ファインダプレート176に配置される。密封部材180、182は気密シールを形成して、第3の円錐パック177と第2の渦ファインダプレート176との間からの空気漏れを防止するようになっている。
【0080】
各々の第3のサイクロンの本体下部156は、第3のサイクロンからの汚れ及びほこりが排出されるコーン開口184で終端する。第2の内壁110の内面は、第3のサイクロンによって空気流から分離されたほこりを受け入れる第3のほこりコレクタ185を形成する。第3のほこりコレクタ185は略円筒形であり、基部18から第3のサイクロンの最下端の、本実施形態においては第3のサイクロンの第3のセット166の各サイクロンの先端の最下端の下方10mmに位置する最上端まで延びる。従って、長さ方向軸線L1に沿った第3のサイクロンの第3のセット166の位置に依存して、第3のほこりコレクタ185は、略切頭円錐形の上側セクションを有することができる。第1のほこりコレクタ106及び第2のほこりコレクタ136の各々は、第3のほこりコレクタ185の周りに延びる。
【0081】
第2のほこりコレクタ136の容積は、第1のほこりコレクタ106及び第3のほこりコレクタ185の各々の容積よりも大きい。本実施形態において、第2のほこりコレクタ136の容積は、第1のコレクタ106及び第3のほこりコレクタ185の合計容積よりも大きい。
【0082】
第3のサイクロン分離ユニット78のサイクロンから排出される空気は、流体出口チャンバ186に流入する。第3のサイクロンの第1のセット及び第2のセット162、164の上部は、流体出口チャンバ186の周りに延び、一方で第3のサイクロンの第3のセット166は流体出口チャンバ186の下方に配置される。流体出口チャンバ186は、第2の円錐パック172、第3の渦ファインダプレート180、及び分離装置12の上壁を形成するカバー188によって形成される。
【0083】
カバー188は、第2の円錐パック172の上に取り付けられる。カバー188は、分離装置12を真空掃除機の出口ダクト30に連結するカップリング部材190を備える。カップリング部材190は、カップリング支持部材192により支持される。支持部材192は、カバー188によって保持される。支持部材192は、好ましくは一体成形要素であり、好ましくはプラスチック成形品であるが、別の方法として、支持部材192は、相互に結合される複数の構成要素から形成できる。支持部材192は、略筒形であり、出口チャンバ186からの空気を受け入れる中心ボアを備える。図5及び6eを参照すると、支持部材192は、一端側の中心ハブ194、及び中心ハブ194から支持部材192の外壁まで延びる本実施例では4本である複数のスポーク196を備え、隣接する各スポーク196の間に四分円形状の複数の開口部を形成するようになっている。ハブ194は、長さ方向軸線L1に沿って延びる。図7aに戻ると、環状フランジ198は、支持部材192の外面から半径方向外側に延び、カバー188の内壁200によって支持される。
【0084】
カップリング部材190は、分離装置12から空気流が排出される空気吹き出し口202を備える。カップリング部材190は、支持部材192と実質的に同軸である。特に図7a及び7bを参照すると、カップリング部材190は、略カップ状であり、基部204及び基部204の端部から上方に延びる内壁206を備える。支持部材192と同様に、基部204は、中心ハブ210から半径方向外側に延びる複数のスポーク208を備える。また、カップリング部材190のハブ210は、長さ方向軸線L1に沿って延び、支持部材192のハブ194を取り囲む。カップリング部材190は、支持部材192と同数のスポーク208を備える。本実施例において、カップリング部材190のスポーク208の各々は、支持部材192のそれぞれのスポーク196と一致する。支持部材192のスポーク196は、図5においてカップリング部材190のスポーク208に形成された窓を通して見ることができる。従って、カップリング部材190の基部204は、隣接する各スポーク208の間に四分円形状の複数の開口部を形成し、この開口部は出口チャンバ186からの空気を受け入れる。
【0085】
カップリング部材190は支持部材192に対して可動である。カップリング部材190に対して付勢力が付与され、真空掃除機10の出口ダクト30に係合させるためにカップリング部材190を長さ方向軸線L1に沿って延びる方向に付勢する。本実施例において、付勢力は、支持部材192とカップリング部材190との間に配置された弾性要素212、好ましくは螺旋バネによって付与される。弾性要素212は、長さ方向軸線L1上に配置される。本実施例において、ハブ194、210は中空であり、弾性要素212はハブ194、210内に配置される。弾性要素212の一端は、支持部材192のハブ194に配置されたスプリングシート214に係合するが、弾性要素212の他端は、カップリング部材190のハブ210の上端216に係合する。
【0086】
カップリング部材190の内壁206は、真空掃除機10の出口ダクト30に係合する凹面状又はお椀状の内面を有する。図2b、8a、及び8bを参照すると、出口ダクト30は、出口ダクト30の空気入口302に結合され、長さ方向軸線L1の周りで連続してカップリング部材190の凹面状内面と係合する環状密封部材300を備える。出口ダクト30の空気入口302は略ドーム形である。前述のように、清掃作動時のダクト枢動軸周りの入口ダクト28の出口セクション50の動きにより、分離装置12はダクト枢動軸の周りを出口ダクト30に対して回転する。カップリング部材190の出口ダクト30への付勢と相まって、カップリング部材190の内面と出口ダクト30の密封部材300との間の連続した係合により、真空掃除機10の床面にわたる移動時に分離装置12が出口ダクト30に対して動く場合、分離装置12と出口ダクト30との間の連続した気密結合を維持できる。
【0087】
出口ダクト30は、分離装置12と転動組立体20との間を延びる略湾曲アームの形態である。長尺チューブ304は、空気を空気入口302から転動組立体20へ運ぶ通路306を提供する。
【0088】
出口ダクト30は分離装置12に対して可動であり、分離装置12は真空掃除機10から取り外し可能である。出口ダクト30の空気入口302から遠く離れたチューブ304の端部は転動組立体20の本体22に枢動可能に結合されるので、出口ダクト30は、図2aに示す出口ダクト30が分離装置12と流体連通する下降位置と、図2bに示す分離装置12を真空掃除機10から取り外すことができる上昇位置との間を移動できる。
【0089】
図8bを参照すると、出口ダクト30は、本体22に設けられたねじりバネ(図示せず)によって上昇位置に付勢される。また、本体22は、ねじりバネの付勢力に抗して出口ダクト30を下降位置に保持する付勢キャッチ312、及びキャッチ解放ボタン314を備える。出口ダクト30はハンドル316を備え、出口ダクト30が下降位置に保持された場合、ユーザは真空掃除機10を持ち運ぶことができる。キャッチ312は、出口ダクト30に結合されたフィンガー318と協働して、出口ダクトを下降位置に保持するように構成される。キャッチ解放ボタン314を押圧すると、キャッチ312は、キャッチ312に付与される付勢力に抗してフィンガー318から離れ、ねじりバネにより出口ダクト30は上昇位置に移動する。
【0090】
図8a及び8bを参照して以下に転動組立体20を説明する。前述のように、転動組立体20は、本体22、及び該本体22に回転可能に結合され床面と係合する2つの湾曲ホイール24、26を備える。本実施形態において、本体22及びホイール24、26は、略球形の転動組立体20を形成する。ホイール24、26の回転軸は、真空掃除機10が置かれる床面に対して本体22に向かって上向きに傾斜しており、ホイール24、26のリムが床面と係合するようになっている。ホイール24、26の回転軸の傾斜角は、好ましくは4から15度、より好ましくは5から10度、本実施形態においては約6度である。転動組立体20のホイール24、26の各々は、ドーム形で略球面曲率の外面をもつので、ホイール24、26の各々は略半球状である。
【0091】
転動組立体20は、モーター駆動式ファンユニット320、プラグ323で終端して特にファンユニット220のモーターへ電力を供給する電気ケーブル(図示せず)の一部を本体22に引き込み格納するケーブル巻き取り組立体322、及びフィルタ324を収容する。ファンユニット220は、モーター、及びモーターで駆動されて真空掃除機10内を通って汚れ含有空気流を吸い込むインペラを備える。ファンユニット320は、モーターバケット326に収容される。モーターバケット326は本体22に結合されるので、ファンユニット320は、真空掃除機10が床面にわたって操縦される際に回転しない。フィルタ324は、ファンユニット320の下流に配置される。フィルタ324は管状であり、モーターバケット226の一部の周りに配置される。
【0092】
本体22は、真空掃除機10から清浄空気を排出する排気ポートを更に備える。排気ポートは、本体22の背面に向かって形成される。好ましい実施形態において、排気ポートは本体22の下部に配置されると共に真空掃除機10の外側で最小の環境乱気流となるように配置された複数の出口孔328を備える。
【0093】
本体には第1のユーザ操作可能スイッチ330が設けられており、このスイッチを押圧するとファンユニット320が通電する。また、第1のスイッチ330を押圧するとファンユニット320の通電を断つことができる。第1のスイッチ330の隣に第2のユーザ操作可能スイッチ332が設けられている。第2のスイッチ332により、ユーザはケーブル巻き取り組立体22を作動できる。また、ファンユニット320及びケーブル巻き取り組立体322を駆動する電気回路は、転動組立体20内に収容できる。
【0094】
使用時、ファンユニット320はユーザにより作動され、汚れ含有空気流が清掃ヘッドの吸い込み口を通って真空掃除機10に吸い込まれる。汚れ含有空気はホース及びワンド組立体を通って入口ダクト28に流入する。汚れ含有空気は入口ダクト28を通り、汚れ空気入口96を経由して分離装置12の第1のサイクロン分離ユニット74に流入する。汚れ空気入口96の接線配列により、空気流は第1のサイクロン分離ユニット74を通って流れる際に外壁16に対して螺旋経路を辿る。大きな汚れ及びほこり粒子は、第1のほこりコレクタ106内のサイクロン作用によって堆積してこの中に捕集される。
【0095】
ある程度清浄になった空気流は、シュラウド98の側壁102のメッシュの穿孔を通って第1のサイクロン分離ユニット74から流出して、第1のマニホルド146へ流入する。第1のマニホルド146から、空気流は第2のサイクロン120へ流入し、ここでは更なるサイクロン分離により依然として空気流に取り込まれている汚れ及びほこりの一部を取り除く。この汚れ及びほこりは、第2のほこりコレクタ136に堆積し、同時に清浄空気は流体出口142を通って第2のサイクロン120から流出して、第2のマニホルド168へ流入する。空気流は、第2のマニホルド168から第3のサイクロンへ流入し、ここではサイクロン分離により依然として空気流に取り込まれている汚れ及びほこりを取り除く。この汚れ及びほこりは第3のほこりコレクタ185に堆積し、同時に清浄空気は流体出口160を通って第3のサイクロンから流出して、流体出口チャンバ186へ流入する。空気流は支持部材192のボアに流入し、ボア、支持部材192のスポーク196、208の間、及びカップリング部材190を沿って軸方向に進み、カップリング部材190の空気吹き出し口202を通って排出され、出口ダクト30のドーム形空気入口302へ流入する。
【0096】
空気流は出口ダクト30内の通路306を通って流れ転動組立体20の本体22に流入する。転動組立体20内において、空気流はファンユニット320に導かれる。その後、空気流は、例えば、モーターバケット326の側壁に形成された開口を通ってモーターバケット326から流出してフィルタ324を通る。最後に、空気流は本体22の出口孔328を通って排出される。
【0097】
出口ダクト30が上昇位置にある場合、分離装置12は、中身を空にしてきれいにするために真空掃除機10から取り外すことができる。分離装置12は、真空掃除機10から分離装置12を取り外し易くするためのハンドル340を備える。ハンドル340は、例えば、スナップ式結合によってカバー188に結合される。分離装置12の中身を空にするために、ユーザは、ボタンを押圧して、キャッチ72の最上部に下向きの押圧力を加える機構を作動させ、キャッチ72を変形させて外側容器14の外壁16に配置された溝から解放させる。これにより基部18が外壁16から離れ、分離装置12のほこりコレクタに捕集された汚れ及びほこりをゴミ箱又は他の容器に出すことができる。図4に示すように、作動機構は、分離装置12の外面にスライド可能に配置されるプッシュロッド機構342を備え、キャッチ72が溝から離れるようにキャッチ72を付勢するので、基部18が外壁16から落下して分離装置12に捕集された汚れ及びほこりを取り除くことが可能になる。
【0098】
本実施形態において、第3のサイクロン分離ユニット78は、3セットの第3のサイクロンを備える。勿論、第3のサイクロン分離ユニット78は3セットより多い第3のサイクロン、3セットより少ない第3のサイクロンを備えることができる。例えば、第3のサイクロンの第3のセット166が第3のサイクロンの第2のセットをもたらすように、第3のサイクロンの第2のセット164を省略できる。他の別法として、第3のサイクロンの第2のセット164が第3のサイクロンの第1のセットをもたらし、第3のサイクロンの第3のセット166が第3のサイクロンの第2のセットをもたらすように、第2のサイクロンの第1のセット162を省略できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のサイクロンを含む、第1のサイクロン分離ユニットと、
前記第1のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、軸線の周りに並列に配置された複数の第2のサイクロンを含む、第2のサイクロン分離ユニットと、
前記第2のサイクロン分離ユニットの下流に配置され、前記軸線の周りに並列に配置された複数の第3のサイクロンを含む第3のサイクロン分離ユニットと、
を備える表面処理電気器具であって、
前記第2のサイクロン及び前記第3のサイクロンの各々は、外壁を有するテーパ付き本体を備え、
前記複数の第3のサイクロンは、少なくとも第3のサイクロンの第1のセット及び第3のサイクロンの第2のセットに分割され、前記複数の第2のサイクロン及び前記第3のサイクロンの第1のセットは、第3のサイクロンの第2のセットの周りに配置され、
前記複数の第2のサイクロンの各々、及び前記第3のサイクロンの第1のセットの各々の前記外壁の少なくとも一部は前記表面処理電気器具の外面の一部を形成する電気器具。
【請求項2】
前記複数の第2のサイクロンは、前記第3のサイクロンの第1のセットの周りに延びる、請求項1に記載の電気器具。
【請求項3】
前記複数の第2のサイクロンは、前記第3のサイクロンの第1のセット及び前記第3のサイクロンの第2のセットとそれぞれ異なる大きさで重なり合う、請求項1又は請求項2に記載の電気器具。
【請求項4】
前記第2のサイクロンの前記軸線の周りの配列は、前記第3のサイクロンの第1のセットの前記軸線の周りの配列と実質的に同一である、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気器具。
【請求項5】
各セット内において、前記第3のサイクロンは前記軸線から等距離にある、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電気器具。
【請求項6】
第3のサイクロンの各々は長さ方向軸線を有し、少なくとも前記第3のサイクロンの第1のセットの前記サイクロンの前記長さ方向軸線の各々は互いに近づく、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電気器具。
【請求項7】
前記第3のサイクロンの第2のセットの前記サイクロンの前記長さ方向軸線は互いに近づく、請求項6に記載の電気器具。
【請求項8】
前記第3のサイクロンの第1のセットの前記長さ方向軸線及び前記第3のサイクロンの第2のセットの前記長さ方向軸線は、前記軸線と交差する、請求項7に記載の電気器具。
【請求項9】
前記第3のサイクロンの第1のセットの前記長さ方向軸線が前記軸線と交差する角度は、前記第3のサイクロンの第2のセットの前記長さ方向軸線が前記軸線と交差する角度とは異なる、請求項8に記載の電気器具。
【請求項10】
前記第3のサイクロンの第1のセットは、少なくとも一部が前記第3のサイクロンの第2のセットの上方に配置される、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の電気器具。
【請求項11】
前記第3のサイクロン分離ユニットは、第3のサイクロンの第3のセットを備え、前記第3のサイクロンの第2のセットは前記第3のサイクロンの第3のセットの少なくとも一部の周りに延びる、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の電気器具。
【請求項12】
前記第3のサイクロンの第2のセットは、少なくとも一部が前記第3のサイクロンの第3のセットの上方に配置される、請求項11に記載の電気器具。
【請求項13】
第3のサイクロンの各セットは、それぞれ異なる数のサイクロンを備える、請求項1〜請求項12のいずれかに記載の電気器具。
【請求項14】
第3のサイクロンの数は、第2のサイクロンの数よりも大きい、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の電気器具。
【請求項15】
前記第2のサイクロン分離ユニット及び前記第3のサイクロンの第1のセットは、同じ数のサイクロンを備える、請求項1〜請求項14のいずれかに記載の電気器具。
【請求項16】
第2のサイクロンの各々は長さ方向軸線を有し、前記第2のサイクロンの前記長さ方向軸線の各々は互いに近づく、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の電気器具。
【請求項17】
前記第2のサイクロンの前記長さ方向軸線は前記軸線と交差する、請求項16に記載の電気器具。
【請求項18】
前記複数の第2のサイクロン及び前記第3のサイクロンの第1のセットは、前記軸線から等距離にある、請求項1〜請求項17のいずれかに記載の電気器具。
【請求項19】
前記第1のサイクロン分離ユニットからのほこりを受け入れる第1のほこりコレクタ、前記第2のサイクロン分離ユニットからのほこりを受け入れる第2のほこりコレクタ、及び前記第3のサイクロン分離ユニットからのほこりを受け入れる第3のほこりコレクタを備える、請求項1〜請求項18のいずれかに記載の電気器具。
【請求項20】
真空掃除式の電気器具である、請求項1〜請求項19のいずれかに記載の電気器具。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図6d】
image rotate

【図6e】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate


【公開番号】特開2012−236033(P2012−236033A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109917(P2012−109917)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】