説明

表面増強ラマン分光(SERS)用基板表面の製造方法及びシステム、及びそれを用いた装置

本発明は化学及び生物学的検出及び識別、さらに詳細には、表面増強ラマン分光を用いて化学物質や生体材料を低濃度で迅速に検出及び識別するための方法及びシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する出願の相互参照]
本出願は、“表面増強ラマン分光用基板表面の製造方法及びシステム”と題され、2004年6月7日に出願された、シリアル番号 60/557,753の仮出願に対して、37 C.F.R.§1.19(e)による優先権を主張する。その完全な内容は、ここで言及することで、あたかもここですべてが述べられたかのように、全体中に明確に組み込まれる。
【0002】
[発明の背景]
本発明は化学及び生物学的検出及び識別、さらに詳細には、表面増強ラマン分光を用いて化学物質や生体材料を低濃度で迅速に検出及び識別するための方法及びシステムに関する。
【0003】
[関連する技術の記述]
1977年に表面増強ラマン分光が発見されて以来、分析技術としての表面増強ラマン分光(SERS)は、貧弱な効率の基板に悩まされてきており、化学分析の信頼性のある方法として科学界に受け入れられることはなかった。1997年にSERSに関して単一分子での感度が発見され、その後にSERSにおける興味の増大が生じたにも関わらず、商業的な生産に適した有用な基板の開発において殆ど進歩がなかった。ここで開示されクレームされた発明の理念において具体化された技術革新の一つの面は、理論的及び実験的な面を伴った基板設計へのシステマティックなアプローチの実施である。このユニークなアプローチまたは方法は、基板の製造プロセスを、製造された基板の増強係数の性能に関する製造工程におけるパラメータの影響を定量化することで、最適化する。同時に、基板設計がどのように増強メカニズムに影響するかを分析するために理論的なアップローチが適用される。このプロセスは、所定の使用、即ち、特に所望する波長に使う基板を製造する可能性を提供する。これらの基板は、調理台のSERS器具から、携帯形化学検出器や安い化学/生物学的軍用センサまで、幅広い範囲の用途がある。
【0004】
ラマン分光の化学及び生物材料への幅広い適用により、このシステムは、化学及び生物学的な分析物の幅広い範囲で効果的である。検出器は、単一の胞子、分子、ビールス及びバクテリアを潜在的に検出し、特定するだけの本質的な感度を持っている。そこで、科学的及び生物学的な分析物の全体の範囲は単一の器具で検出することが出来る。
【0005】
振動分光技術として、ラマン分光は、分析物分子を特定するために有用な、化学構造情報に富んだサインを生成する。生物学的な材料から集められたラマンスペクトルの文献に印象的な例がある(文献1,2)。Naumannは、生物学的な材料のラマンスペクトルで典型的に観測された、突出したスペクトル特性の振動帰属を表にしている(文献1)。
【0006】
ラマン分光は、単色放射が分子と相互作用する、化学分析方法であり、散乱として知られる過程を介して周波数が変わる。散乱放射の周波数変動は、分子中の原子間結合の振動周波数に等しい。従って、多数の結合を持った分子は多くの周波数の散乱放射を生じさせる。殆どの結合の振動周波数は既知であり、一定なので、散乱放射のスペクトルを測定することで、決定すべき周波数変動及び推定すべき分析物の分子内の結合を識別することができる。散乱放射の強さは、照射された分子の数に比例するので、ラマンスペクトルは存在する分析物の量を測定するために使用することが出来、振動数の変動で分析物を識別することが出来る。ラマン散乱は、入射する10の光子のたった一つがラマン散乱である、非常に非効率的な工程である。センサとして利用するには、散乱工程を大幅に増幅しなければならない。以後に議論し、クレームするように、ここで開示され、クレームされた基板は、散乱を大幅に増幅し、従って、商業的に効率的でかつ所望の方法で表面増強ラマン分光の使用が、初めて可能となる。
【0007】
歴史的に、多数の挑戦が行われたが、SERS基板の発展と商業化は妨げられてきた。幅広い検体分子に対して増強係数が≫10となる有用なSERS基板は存在せず、現在の基板は、染料などの高度に共役された有機分子の非常に限られた範囲について、大きな増強を示す。製造方法は、一般的に複雑な多数の段階を有する実験室的な工程であり、生産製造レベルにまで拡大するには適さない。最後に、ナノスケール上の基板形態は再生産が困難であり、また、基板のナノスケールにける形態とSERSの増強係数の関係はよく理解されていない。
【0008】
表面増強ラマン分光は、振動スペクトル分析技術であり、分析方法において究極のものであるかもしれない。即ち、非常に高感度であり、同時検体識別能力を有する。SERSを使用した被吸収剤のサブ単分子層の検出は、1980年代に達成された(文献3−5)。1997年に、NieとEmory(文献6)及びKneipp他(文献7)は、個別的に極めて高いSERS増強ファクター(〜1014ロダーミン6G)を報告しており、最初にこの技術を用いて単一分子の検出を行った。単一分子実験の試料の準備は、検体を希釈銀コロイド液に、検体分子の数がコロイド液内の金属粒子の数とほぼ同じとなるように加えることを伴う。そして、銀粒子は分析のため表面に移動させられる。以来、他のグループは、試料の準備のこの方法をうまく実現することが出来た(文献8〜10)。最近、Aroca他(文献11,12)は、ガラスの顕微鏡スライド上に熱蒸着により配置された銀から製造された乾燥銀アイランドフィルム上で、表面増強共鳴ラマン分光(SERRS)により、単一分子検出を行った。試料は、銀フィルム上に有機染料を染みこませたLangmuir-Blodgett単一分子層を配置することで、準備された。結果として出来た脂肪酸フィルム内の染料濃度は十分に低く、測定中、たった一つの染料分子が調査した容積中に存在した。
【0009】
これらの感度における非常な進歩はSERSに対する興味を世界中で生じさせ、指数関数的な増強係数の下のメカニズムを理解せんとするように一部は流れた。今日まで、増強のメカニズムに関する詳細の多くは、不明である。しかしながら、いくつかは知られている。例えば、ラマン散乱放射の強度における十分な増強を達成するのに必要な条件は、十分ではないが、入射放射波長、散乱放射波長及び基板の表面プラスモン共鳴波長(SPRW)の重なりである(文献13−17)。今日までの殆どの仕事は、この条件を達成するための入射レーザ波長を変化させることであった。基板の表面プラスモン共鳴波長を調整することが出来ることはとても望ましい。これにより、基板の表面プラスモン共鳴を、経済的で容易に入手することの出来るレーザの固定波長と一致させることが出来る。
【0010】
上述したSERSにおける最近の科学的な進歩は、金属ナノ材料における、現在の広く広がった興味から生じている。それは、それらのユニークな光学的な特性からきている(文献18−27)。超高速光学スイッチ、光学ピンセット、生体分子のラベル、光学フィルタ、バイオセンサ、表面増強分光、プラスモニクス(plasmonics)及び化学センサを含むナノ光学材料に関する多様な潜在的な用途がある(文献28−30)。これらの応用の多くは、ナノ粒子を基板上に支持された金属アイランドフィルムの形にする必要がある。これらの応用は、ナノ粒子の大きさに依存した光学的な特性を開発することとなる。例えば、金属ナノ粒子による光学的な吸収及び散乱は、表面プラスモンとして知られる表面電子の集合的な振動より生じ、これは、電磁放射線の入射により励起される。10ナノメートルから100ナノメートルの寸法範囲の貴金属粒子の場合、表面プラスモン共鳴は、電磁スペクトルの可視及び近赤外線領域の波長で生じる。大きな増強された光学的吸収及び散乱がこれらの表面プラスモン共鳴波長で生じる。応用の基礎を形成する、金属ナノ粒子幾何学及び環境におけるこれらの光学的な特性の高感度の結果は、上に記載されている。
【0011】
具体化されるべきSER基板及び金属ナノ粒子材料に対する他の商業的な応用のために、商業的な製造工程が開発され評価されなければならない。金属ナノ粒子フィルムの準備のための多数の実験室的な方法が開発された。これらには、蒸着配置、(文献31−34)電気化学、(文献35)レーザアブレション(laser ablation), (文献36−37)クエン酸還元(citric reduction),(文献38)湿式の化学合成、(文献39−40)金のクラスター形成、(文献41)ナノ粒子の自己集積、(文献42−45)電子ビームリソグラフィ、STMによるナノ構造物の形成、(文献46−48)及びナノ球体リソグラフィ(文献49−53)などがある。
【0012】
不幸なことに、上述したSERS基板を製造する方法は、大規模な製造工程へは発展していない。ナノスケールの金属粒子の大規模製造に適した多数の技術のなかで、熱蒸発が、もっとも古く安価な方法の一つとして知られている。また、熱蒸発の装置は、殆どの材料研究や製造設備で共通に入手可能である(文献54)。しかし、この方法の機能に関しては、その正確な配置工程の制御及び配置された材料特性の再現性に関して、懸念がある(文献55)。本発明は、これらの障害を克服するものである。
【0013】
SERS基板材料及び設計の多様性を述べた極めて多数の文献がある。回折格子、表面のコロイド粒子、透過無機材料及びポリマに埋め込まれたコロイド粒子などのSERS動作に関して、多数のナノスケール構造が評価されてきた。殆どのSERS動作は、10以上の増強ファクタを達成することはなく、SPRWの同調可能性を越えた高い程度のものは無かった。極め多数の、SERSの理論に関する文献がある。しかし、実験に裏打ちされた一般的に適用可能なモデルがもう現れるべきである。SERSの状況は、いくつかの論評で記録化されている(文献56−60)。ここで、より有望な設計が強調される。
【0014】
Natanは、いくつかの賢明な方法を開発した。それれは、自分で組み立て、表面上で金及び銀のコロイド粒子を操作し、表面プラスモン共鳴波長を制御するものである(文献61−64)。この研究は、これらの基板から集められたSERSスペクトルの再現性に顕著な改善をもたらした。Natanは、コロイド状の銀ゾル内で使用するための、金/シトクロム−C(Cytochrome-C)共役を開発することにより、生体分子を検出するためのSERSの使用をも、示した(文献65,66)。Mirkinは、DNAのSERAマーカーとして使用するために、有機染料に装着された金のナノ粒子を使用することを報告している(文献67)。Van Duyne は、ナノ球体リソグラフィと呼ばれる調整可能な銀フィルム基板を製造する的確な方法を開発した。それは、最密球体の単一層を蒸着マスクとして使用したものである。材料が球体の間の開いたスペースの下にのみ配置されるので、アイランドの、従って、表面プラスモン共鳴波長の正確な配置が達成される(文献28,68,69)。金属フィルムの表面プラスモン共鳴波長を調整または補正する能力について、いくつかの他のグループによる注目すべき進歩も報告されている(文献17,34,45,70−74)。
【0015】
分析技術としてのSERSの開発に関する進歩も、最近報告されている。Smithは、表面増強共鳴ラマン分光学(SERRS)についての分析的な応用を開発し、極めて低い濃度でDNAを検出し(文献76)、SERRS用の銀コロイドの分析的な効用を示した(文献77−79)。VietsとHillは、SERS増強とSERAとレーザ出力間の線形な関係を維持するためには、銀アイランドフィルムのレーザ出力は、<4.5kW/cmでなければならないことを示した(文献80)。SERSの信号増強効果は、7A゜と25A゜間の距離の金属表面でその値の50%に低下することが示され(文献81−84)、それは、大きな分子でSERS表面を機能化することの実現性への疑問をもたらした。
【0016】
SERSのとても一般的な問題は、銀の炭素による汚染である(文献85−88)。炭素の実際の源は、真空ポンプのオイルの逆流や、大気中の有機物の自然な分解や、SERS測定中の有機物の光分解、金属原料の汚染などであり、銀基板が多様な方法を用いて製造されることから、完全に特定することは出来ない。銀は、それらもっと高い増強を示すことから、SERS基板用金属として最も一般的に使用されている。炭素に対するSERS信号は銀により強く増強される。実際、炭素の増強信号は、高感度のSERS測定を示すために使用されてきた(文献34,89)。SERSスペクトルにおける大きな炭素の特徴の存在は、信頼性の有るスペクトル基準線を確立することが非常に難しい(多分、克服出来ない)。安定的な基準線が無いことは、SERSの定量的な測定の利用を大幅に制限する。この炭素の特性の強さと可変性は、低濃度でのどのような分析物の量の決定をも困難なものとする。この問題は、多分どこにでも有るものであり、定量的で超高感度が要求されるSERSの適用を制限しそうである。R6Gの単一分子検出が金粒子上で行われた(文献90)ことを考慮すると、一般的にSERS基板用に、金を銀の上にすることが望ましいかもしれない。発表されたSERSスペクトルに、しばしば認識可能な炭素の特性がみられる。スペクトルにおける潜在的な炭素の特質により、最近いくつかのSERSスペクトル解釈が疑問を呈されている(文献88)。
【0017】
SERS増強の係数は、測定されたSERS信号強度を、514.5nmで励起されたロダマイン6G(R6G)のような既知の蛍光の断面の蛍光性分子の測定強度を比較し、式1を適用することで、決定される。本発明の実施例では、SERSと蛍光の測定は、該蛍光測定が非増強基板上で行われた以外、同一の実験的な条件で行われた。こうして、増強係数Eは、以下のように定義される。
【数1】

【0018】
ここで、σはR6G蛍光断面(σ=10−16cm)で(文献91)、σは分析物の非増強ラマン断面(σ=10−30cm)(文献6,91)、IERは、cpsにおける測定された分析物のSERS強さ、Iは、cpsにおいて514.5nm励起を用いたR6G蛍光の強度、kは、器具のスペクトル応答及びラマンと蛍光測定間の励起レーザ強度に対する補正係数である。こうしてSERS断面はわかりやすい形で明快に計算することが出来、蛍光分子の正確な既知の断面にまでさかのぼることが出来る。他の蛍光物質をR6Gと置き換えることが出来、式1を用いて、その蛍光断面を十分に正確に知ることが出来る。
【発明の開示】
【0019】
本発明は、荒い金属表面に接触した分子及び/又は生物学的材料により生成されるラマンスペクトルの強さは、荒い金属が無い同じ分子により生成されるラマンスペクトルの強さに比して、大きさで多くの桁数分増強され得るという、事実を利用したものである。この方法は、ラマン表面増強分光(“SERS”)として知られている方法である。本発明は、10桁より大きな強さでラマンスペクトルの強さを増強するSERS表面を経済的に製造する方法及びシステムである。ラマンスペクトルの高い増強に加えて、ここで述べる表面は、検体分子及び生物学的材料の幅広い範囲で再生産可能な増強を示す。
【0020】
本発明は、表面増強ラマン分光を用いて分子を分析する方法及びシステムに関連する。本発明の実施例では、利用された基板は、望ましくは、低い濃度の化学及び生物学的材料を検出し、同時にそれを明確に特定するに十分な、ラマン信号の最適レベルを生成するように作られる。本発明の実施例は更に、表面増強ラマン分光により検出するための基板表面上に、液体検体溶液の既知量を最適に配置するために、オンデマンド形のインクジェット滴分配装置を使用するものである。滴配置を基板上で正確に制御することで、効果的な溶媒の蒸発及び表面上への検体の物理吸着を可能とし、これにより、ラマン信号の極めて大きな増強の生成が可能となる。本発明の実施例は、更に、検体の濃度の特定及び定量的な決定のために、測定されたスペクトルとデータベースに格納されたスペクトルを比較する目的で、スペクトルデータベース及びソフトウエアアルゴリズムを使用する。
【0021】
本発明の実施例は、基板のナノスケールの組織を、化学及び生物学的材料の、任意的な検出及び特定のために、都合よく制御することが出来る。ナノスケールの組織の正確な制御は、バックグランドの物質や乱れが存在する中で、化学的及び生物学的物質の検出をしながら、基板に分子の特異性を付与することが出来る。例えば、特別な生物学的検体を、予備検出の分離工程を行うことなく、血液中から検出することが出来る。本発明の実施例は、ラマン信号を再現性を有する形で増強する基板能力の制御を、基板を製造するために利用される、ペリメータシャドウマスクの使用及び蒸着工程(例えば、熱蒸発工程、スプラッタ蒸着又は化学蒸気蒸着)の制御により、可能にする。例えば、特定の蒸着工程は、任意的に設計されたペリメータシャドウマスクを利用して、許容レベルを下げ、有害なエッジ効果(蒸着中に露出した基板端部により不均一なフィルムが生じる)を消す。こうして、多様なサンプル基板が、それぞれの蒸着パラメータ値に基づいて、各基板が特別の検体又は検体グループのために最適化されて製造される形で得られる。最も大きな表面増強されたラマン分光増強を生成するサンプル基板は、適切な検出システムのために選択された基板として利用される。最も大きな表面増強されたラマン分光増強を生成するサンプル基板は、実験的又はコンピュータによる方法を利用して決定される。
【0022】
先述したのもは、後述する本発明の詳細な記述をよく理解してもらうために、本発明の特色及び利点を概略的に述べた。本発明の追加的な特色及び利点は後に述べられ、本発明のクレームの対象となる。当業者であるならば、開示された概念及び特定の実施例は、本発明と同一の目的を達成するために実行される他の構造を設計し、変更するための基礎として容易に利用することが出来ることは、考慮されるべきである。こうした均等な構造は、添付したクレームで述べられた発明の範囲及び精神から離れるものではないことが、当業者に理解されるべきである。本発明の特徴と思われる新たな特徴は、構造及び運転方法の両方において、更なる対象と利点と共に、引き続く添付した図面と関連して考慮される記述から理解される。しかし、図面のそれぞれは図示及び記述の目的でのみ用いられており、本発明の領域を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のより完全な理解のために、添付した図面に関連して以下の記述をなす。
【0024】
図1は、花粉(生きているオーク)、バチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス セレウス(Bacillus
cereus)、バチルス サブチルス(Bacillus subtilis)及び人間の腸のコロナビールスについての、単一胞子/ビールス信号増強を示す測定されたラマンスペクトルを示す図である。
【0025】
図2は、生きている及び熱で殺したバチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の胞子のSERSスペクトルを示す図で、胞子サンプルは、示された温度に約8分間加熱された。ラマンスペクトルのピーク高は、温度が上がるにつれて低下した。300°Cで、胞子は、炭素が優位を占めるラマンスペクトルによって示されるように、変性した。
【0026】
図3は、全尿及び全血サンプルのSERSスペクトルを示す。
【0027】
図4は、SERS基板の極めて高い増強と再現性を示す、いろいろな位置で集めたロダマイン6GのSERSスペクトルを示す。
【0028】
図5は、SERS基板をトリニトロトルエン(TNT)の蒸気に何度も晒すことで、得られたSERSスペクトル。
【0029】
図6Aは、表Aにリストされた金フィルムの吸光スペクトル、図6Bは、表Aにリストされたフィルム1,2及び15の吸光スペクトル。
【0030】
図7は、最適化された周辺シャドウマスクの一実施例の断面図を示す。
【0031】
図8は、エッジ効果による不均一フィルム特性を示した写真図である。
【0032】
図9は、検出コンセプト系統図に基づく、SERSを示す。
【0033】
図10は、SERS測定用の液体サンプルの分配を示す。
【0034】
図11は、センサ部品サブシステムのブロック図を示す。
【0035】
図12は、完全な検出時間が1分の、提案された化学及び生物学剤の検出システム用タイミング図を示す。
【0036】
図13は、計算された表面増強ラマン信号を示すものであり、多様なSERS増強係数で濃縮された(a)は、毒素、(b)は、胞子が空気で運ばれてものである。ここで、垂直の点線は、検出要求(LOD)の実際的な限界を示し、(b)の階段状のカーブは、1,2及び3個の胞子の検出を反映したものである。
【0037】
図14は、計算されたエラーの確率を示す。
【0038】
少なくとも一つの本発明の実施例を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の記載で述べられ、図面に示された部品の配置や構成の詳細に限られるものではないことは、理解されるべきである。本発明は、他の実施例が可能であり、また、多様な形で実施され実行され得る。また、ここで使用される表現方法及び用語は、記述目的であり、限定的に解釈されるべきではない。
【0039】
本発明は、迅速な検出が求められる、多くの化学的、生物学的検出及びセンサ用途に効果的である。本発明は、表面増強ラマン分光(SERS)に基づく化学的及び生物学的な検出プラットフォームであり、超高感度で行うことの出来る分子検出技術である。ここで開示され、請求される出願にかかわる超高感度化学的及び生物学的検出方法としてのSERSの実現を可能とする、技術的なブレークスルーは、個々で述べるように極めて高い増強係数(enhancement-factors)を示すSERS基板の開発である。SERS基板を導入したシステムでは、ラマン信号を少なくとも大きさで8桁分、時には、大きさで11桁分増幅する。これらの基板は、システムに分析物の振動スペクトルを生成させることが出来、それは、毒や化学物質を単一の胞子またはアトグラム(10−18g)レベルで検出及び識別を可能とする。
【0040】
ここで開示されクレームされた発明の製造方法論は、SERS基板を生み出す。この基板は、単一の基板上の多様な位置に、また異なった同一に準備された基板上に、同じサンプルについて、スペクトルを高度に再現することが出来る。ナノスケールレベルで基板の形態を制御することにより、分子の特異性をシステム内に導入することが出来、これが標的となる分析物の選択的な増幅を可能とする。制御可能な分子の特異性により、干渉や背後のクラッターが多く存在する中でも、標的となる化学的及び生物学的分析物の検出及び識別が可能となる。信号の増強が極めて大きいので、システムにおいて比較的安価で性能の悪い光学部品の使用が可能となり、システムを購入しやすくする。
【0041】
図1に、生物戦争の手段となる刺激的なサンプルについて、本発明の実績を示す。比較のために、生きているオークの花粉の単一胞子、バチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis) の単一胞子、バチルス セレウス(Bacillus
cereus) の単一胞子、バチルス サブチルス(Bacillus subtilis) の単一胞子及び、単一の人間の腸のコロナビールス(文献92)から集めたスペクトルを示す。これらのサンプルは、水中で懸濁され、分析前に基板上にドロップキャストされた。スペクトルはデジタル的にフィルターされ、蛍光の背景は除去された。スペクトルは、区別及び識別に必須な、生物学的材料のラマンスペクトルに含まれた高レベルの情報を示している。1000cpsまでのピーク高さを達成し、信号は総和で100秒間だった。632.8nmで2.5mWの低い入射レーザ出力が使用された。スペクトルの対ノイズ信号比(SNR)の値は、“フィンガープリント”領域の10から、主ピークにおける39を越えるまでに渡った。
【0042】
図1のスペクトルのスペクトル特性は広いので、低いスペクトル分解能で、高い光学情報処理の小型分光計を使用してSERSスペクトルを集めることが出来る。1500から1750cm−1のスペクトル領域を見てみると、この領域が全ての5つのスペクトルにおいて独特なものであることがわかる。バチルス サブチルス(Bacillus subtilis)とコロナビールスのこの領域のピークは極めて似ているが、2800から3100cm−1のピークの形状は極めて異なる。こうしてスペクトルの全体の形状はサンプル中のバクテリアの存在を確認するために使用され、それぞれの種に独特な特徴は特定の化学的または生物学的な物質を確認するために使用することが出来る。例えば、Wardのクラスター分析(文献2)を導入したロバストパターン認識プロセスアルゴリズムは図1に示された線を、解かれたスペクトルとスペクトルライブラリデータベースを比較してサンプル中のバクテリアの存在を認識することで、容易に解くことが出来る。振動スペクトルのクラスター分析はサンプル中の異なるバクテリア間の区別をすることが出来ることが示されたばかりか、単一のバクテリアの個々の系統間の区別もすることが出来ることが示されている。
【0043】
多様な生物学的な物質検出システムの現在の深刻な制限は、死んだ生体材料と生きている生体材料間の区別が出来ないことである。この制限に関してSERSを勇気づける結果が図2に示される。スペクトルは、100°C、150°C、200°C、300°Cまで加熱された、生きたバチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の胞子サンプルについて集めたスペクトルである。生きた胞子のスペクトルに比べたスペクトルは、蛍光性及びラマン信号が共に100°Cの加熱で低下していることが分かる。更に、150°Cへの加熱で蛍光性及びラマン強度が低下している。200°Cへの加熱で蛍光強度は更に低下し、ラマンスペクトルはもはや観測されない。最後に、300°Cへの加熱で、生体材料は分解し、炭素のスペクトル特性が観測された。
【0044】
図3において、開示されクレームされた発明の多様性は、全尿及び全血などの高度に複合した生物学的なサンプルに対して強いスペクトルを生成することにある。これらのスペクトルは、図1のスペクトルと同様に集められ、40秒以上集積された。基板上へのドロップキャスト以外で、これらの材料のサンプル準備を行うことは出来なかった。サンプルは、室温で乾燥された。これらのサンプルは、生物学的なサンプルの、高度に複合した混合物でさえ、多量のスペクトル情報を得て、後の測定プロセスアルゴリズムに成分スペクトルを効果的に抽出させることができることを示した。これらの成分スペクトルは、サンプル混合物中の多様な材料を定量化し識別するために使用することが出来る。
【0045】
本発明により達成された実績の主要な進歩は、増強係数及び基板へのサンプル適用における再現性である。図4において、SERSスペクトルはその再現性を示している。1.0×10−6モルのR6Gのドロップキャストサンプルから集めたスペクトルであり、図4に示すように、サンプルの半分はSERS表面上であり、半分は異なる。サンプルはR6Gが、SERS表面上に無いサンプルがある領域からサンプルがSERS領域上にある領域まで、2.0mmの距離上にサンプルされているので、スペクトルは等しい距離間隔で集められた。明らかにSERS表面にないところから集められたスペクトルはラマン特性を示さず、また、SERS表面から集められたスペクトルは高度に増強され、強度において高い安定性、即ち再現性を示した。各スペクトルは、632.8nmでたった2.5mWの入射レーザ出力を使用して集められ、わずか1秒間の間、集積された。単一基板における異なる位置での再現性の提示に加えて、異なる基板上においても同様なレベルの再現性が提示されている。
【0046】
本発明から導かれる基板は、大規模な製造レベルへのスケールアップが可能な安価な工程で製造されるばかりか、その実績は、信号の再現性の前例のないレベルと高いSERS増強を示す。図1から4のデータは、本発明の他用途性を示し、化学及び生物の両方の分析物の多様な範囲のラマン信号を再現可能な形で増幅することが出来る。
【0047】
本発明の非常な感度は、図5で述べられる。ここで、SERSスペクトルは、一般的な爆発性材料であるトリニトロトルエン(TNT)の蒸気に晒された基板から示される。10マイクログラムの量のTNTを含んだキャップを取り外した2mlのバイアルを、SERS基板と共にポリカーボネートの4インチ×4インチのペトリ皿内に配置する。SERS基板は、通常のガラス顕微鏡スライドの表面に配置されたSERSフィルムを有している。ペトリ皿は閉じられ、TNTはペトリ皿内部の囲まれた空間を満たす。図5のスペクトルは、測定可能なSERS信号がTNT蒸気に1時間、露出したものから得られ、より大きな信号が3時間から得られることを示している。SERS基板に利用できるTNT源だけがTNT片から放出されたTNT蒸気に露呈される。TNTの開放されたバイアル近くの作業領域近くで、SERS基板を単に扱うだけで、小さなSERS信号が5分以内で観測されたことは注目すべきである。これらのスペクトルは、SERS基板を爆発性蒸気のセンサ用途に使用する可能性を示している。
SERS基板の製造
【0048】
ここで開示しクレームされた発明の1実施例であるSERS基板の製造は、下の基板材料を準備し、蒸着を行い、蒸着後の処理を行い、そして基板性能を確かめることを含む。SERS基板の性能の、単一で最も重要なパラメータは、表面上の、そして同様に準備された異なる基板の、全ての点における高い信号増幅の再現性である。
SERS基板設計
【0049】
最初に、SERS増幅表面を蒸着する材料を選択しなければならない。基板材料の役割は主にフィルムの支持であるが、材料の光学的な特性は、SERSフィルムを拡大する方法にある程度影響を与える。
【0050】
実験の設計(DOE)は、こうして構築され、蒸着パラメータ空間の定義と、フィルムのSERS増幅及び再現性に関するそれぞれのパラメータの影響を定量化することが行われる。実験的な設計は、最小の実験の実行で製造に関する工程パラメータの影響を定量化するための統計的なロバストな方法である(文献93)。マスクデザイン、基板温度、蒸着速度、SERSフィルム厚さ、蒸着後のアニーリング時間及び温度などの蒸着パラメータは、DOEで最適化されるべきフィルム蒸着パラメータに含まれる。与えられた分析物に対する蒸着パラメータの最適化は、DOEで製造されたSERSフィルムのそれぞれに適用された、同一に準備されたサンプルについて、SERS測定を行うことで達成される。
【0051】
SERSの調整可能なフィルムに対する熱蒸着を評価するための効果的なアプローチがDOEで達成される。これにより、所定のパラメータ値の組み合わせで、特定の数の蒸着が実行され、最小の数の実験で、工程についての最大の情報が生じる。このアプローチは、工程における制御パラメータの効果を効果的に評価するために産業界でよく使用されるものである。この最適化の努力の結果、熱蒸着工程はメタルアイランドフィルムを製造することが出来、これによりフィルムのSERSは電磁スペクトルの可視光線及び近赤外線領域まで全てに渡り変質することが出来る。例えば、フィルムは、所望設計波長の±1nm以内の表面プラスモン共鳴波長で製造することが出来る。
【0052】
DOE工程の一例として、我々は、特定のパラメータセットの組み合わせで、15配置が規定された熱蒸着として、3要素Box-Behnken DOEを用いた(例えば、R.Gupta, M.J.Dyer, 及びW.A. Weimer,
J. Appl. Phys., 92, 5264(2002)を参照)。我々が評価のために選択した三つのDOE要素(または、配置パラメータ)は、基板温度(T)、蒸着速度(R)及びフィルム厚さ(T)であり、それらの範囲は、それぞれ31−120°C、0.3−1.2Å/s、及び10−30Åである。DOEは15実行のうち3回を、パラメータをその中央値、T=75.5°C、R=0.75Å/s、及びT=30Åにセットして繰り返し行う。DOEに規定された金フィルムを製造するための15の配置の正確な順序は、表Aに示される。各フィルムは、直径18mm、厚さ0.15mmの円形のホウケイ酸塩のガラスカバースリップ(Fisher Scientificより)上に直径11.4mmを越えて蒸着された。表Aには、図6Aに示した吸光スペクトルから求められる各フィルムの測定されたSPRW値を示す。各スペクトルにおいて、SPRW値は最大吸光に対応する波長に割り当てられている。表Aの計算されたSPRW値は、以下に述べるようにDOEの統計的分析から生成される経験式から得られた。
【表1】

【0053】
吸光の最大値及び対応するSPRWの波長可変性(tunabiliy)は、図6Aに示されたスペクトルに明確に示されている。図6Bの吸光スペクトルを検討すると、これらのフィルムの波長可変性(tunabiliy)の有用な幅は、475nm以上の値に限られる。この限界以下では、電子の遷移による吸収が、金の光学特性を支配する。図6Bは、表Aのフィルム1,2及び15を製造する三つの同一な実行から得られた殆ど同じスペクトルを示す。図6Bの工程の再現性は、極めて優れたものである。
【数2】

【0054】
SPRWの調整可能なフィルムを製造するための工程設計での最も大きな挑戦は、再現性と所定のSPRW値を持ったフィルムを製造する能力を示すことである。DOE分析から得られた最も重要な結論の一つは、式(2)を、表Aに示された測定されたSPRW値に適用することにより求められる実験的な予測式である。式(2)の予測可能性と工程の制御のレベルを示すために、金フィルムに対するターゲットSPRWが640nmに選択された。式(2)によると、このターゲットSPRWを得るための適切な蒸着パラメータは、Ts=35°C、Rd=0.7Å/s、及びTf=26Å/sである。これらの蒸着パラメータを用いて成長させた金フィルムから得られた実際のSPRWは、641nmであり、その差は僅か1nmであった、式(2)の予測可能性と工程の制御は、従って、素晴らしいものであることが示された。

SERS基板の製造
【0055】
SERS基板は、基板材料をDOE基板設計工程で得られた結果から規定されたフィルムでコーティングすることで製造される。蒸着工程は、基板材料の洗浄、基板材料の熱蒸着のような蒸着装置内への取り付け、蒸着の実行、アニーリングなどの蒸着後工程の実行、及びSRES基板のキャラククタリゼーションを含む。
【0056】
洗浄:SERS増幅フィルムをその上に蒸着するために選択された基板材料にも関わらず、該材料の表面は、均一な蒸着と十分なSERSフィルムの接着を保証するために汚染されていてはならない。洗浄は、一連の洗浄液内に基板材料を浸漬させるか、超音波処理を行うことを含む。洗浄工程の1実施例では、ガラス基板材料が以下の溶液内でそれぞれに順番に、10分間超音波処理される。即ち、蒸留水中で薄めた洗剤、蒸留水及びアセトンであり、各超音波処理の間に流動窒素下での乾燥を伴う。他の多様な洗浄溶液(王水、多様な有機溶剤、酸、塩基など)及び工程(加熱超音波処理、放射線処理、苛性媒質での浸漬など)が、基板材料及び基板表面の状態に関する技術分野の当業者により想到される。
【0057】
取り付け:洗浄された基板は次に、十分に蒸着パラメータを制御するように設計された装置内に取り付けられ、設計DOEにより定められたことが行われる。本発明が開示し、クレームした発明は、蒸着中に基板表面上にペリメータシャドウマスクを前もって準備することで、均一な蒸着を保証し、基板の有効領域を最大化する取り付け方法を含むものである。このマスクは、ペリメータマスクを用いずに蒸着した場合に不均一なフィルム特性が生じるエッジ効果を最小限にすることができる。このようなマスクは、図7に示したものに似ており、基板の完全に露出した領域上の均一な蒸着条件(蒸気流量、温度、露出角度など)を保証し、大きな領域上に均一なフィルムを形成する。
【0058】
図8に、エッジ効果により生じた不均一なフィルム特性を示す。基板は、1インチ×3インチのガラス顕微鏡スライドであり、両側がきちんと固定された金アイランドフィルムでコーティングされている。端部の固定部材はシャドウマスクとしても機能する。スライドの長端に沿っては、何らの拘束もマスクも用いなかった。
【0059】
図8では、フィルムは、その端部近くは青緑色であり、その中央部付近はピンクである。明らかに、このフィルムは不均一である。中央領域は大きなアイランドサイズと大きなアイランド間の間隔によりピンク色となり、外側の領域は、より小さなアイランド直径とより近いアイランド間隔により青緑色である。不均一なフィルムの主な原因は、基板表面と交差する基板のごく近傍の局所的な蒸着条件の不均一による。どちらの固定端でも、その端部近傍のフィルムは、その固定位置までピンクであり、特に、フィルムの左側端部においそうである。固定端の青緑色のフィルム領域は、極めて狭く、最適なマスク形状により無視することができる。フィルムの長手端部に沿ってはマスクは用いなかった。フィルムの青緑色領域は基板端部からフィルム幅のほぼ4分の1にまで伸延している。明らかに、シャドウマスクを使用せず、非常に不均一なフィルムとなっており、不均一性はフィルムのかなりの領域にまで達している。より大きな基板材料により大きなフィルムを蒸着する場合、図8に示すエッジ効果はより重大である(即ち、フィルム領域内により広く広がる)。蒸着サイクル時間が短くなると、大きな領域のフィルムを製造するために、マスクを使用しないと、エッジ効果はより悪くなる。
【0060】
より大きなフィルムの場合、検体がフィルム上のどの位置にあっても一定のSERS増強係数を確保するために、フィルムは均一であることが必須である。SERSをベースにしたセンサの場合、従って、フィルムの極めて高い均一性とフィルムの範囲を最大にすることが重要である。これら両方の要求を満たすために、最適化されたペリメータシャドウマスクの使用が必要とされる。アイランド形状及び間隔の変化は、SERS信号の強さの変化を生み出す。こうした変化は、従って、定量化できない測定となってしまう。定量的な測定、信頼できる基準へ帰属可能なことは、SERSをベースにしたセンサに使用するフィルムにとって、十分に必要なことである。
【0061】
ステンレススチールのような高真空設備に適した高熱量及び伝導率のペリメータシャドウマスクの導入で、蒸着中の基板の均一な加熱が、マスクを基板加熱設計と統合することで達成される。基板端部を積極的に加熱することで、対流、伝導及び放射による熱エネルギーの損失を和らげ、蒸着中と蒸着後のアニーリング工程の基板の温度の均一化が確保される。より効果的には、マスクと基板の間の熱接触が任意的に達成されるべきである。マスクは露出した基板表面と物理的に接触する形で取り付けられ、マスクと基板間の効果的な熱エネルギー流動を確保する。
【0062】
ペリメータシャドウマスクにより、基板上に登録マークを形成することが可能となり、これは引き続き、自律的なSERSセンサ装置に使用する際に、任意の光学的なアライメント及び基板の位置決めを保証するために使用することが出来る。
【0063】
蒸着:ここで開示されクレームされた発明は、基板材料の表面上にフィルムを構成する方法を含むものである。フィルムの構成は、設計DOEから予測される蒸着パラメータが、許容範囲内に維持されるように制御されなければならない。ここで開示されクレームされた発明の1実施例では、設計DOEは、蒸着速度、基板温度及びSERSフィルムの厚さが熱蒸発器内で一定値となるように、精密な制御を要求する。蒸着速度及びフィルム厚さは、振動クリスタルセンサを用いてモニタし、基板温度は基板材料に接続された熱電対又は赤外線放射温度計のような適当な装置を用いてモニタする。
【0064】
蒸着装置は、熱蒸発器を用いることが出来る。この場合、金属蒸気は、金などの蒸着すべき金属が入ったタングステンなどの耐熱性金属容器を加熱することにより、真空チャンバ内に形成される。容器を通過する電流により、容器が抵抗熱で高温に加熱される。蒸着パラメータは蒸着中一定に保持され、または、制御された状態で変動される。容器内の金属が十分に高い温度に達すると、金属は、ガス相の金属からなる蒸気を発生する。蒸気が基板にふれると、より低い温度になり、蒸気は基板表面に凝縮し、基板表面上に金属のフィルムが集積される。蒸着金属フィルムについての多くの他の方法、例えば、レーザアブレーション、電子ビーム蒸着、プラズマを利用した化学蒸気蒸着など、が商業的に利用可能であり、開示され及びクレームされた本発明の他の実施例に使用することが出来る。
【0065】
測定方法:ここで開示されクレームされた発明は、生物的な材料から表面増強ラマンスペクトルを任意的に生成するための方法を含む。本発明は、レーザとラマンシフト波長間に局部的な表面プラスモン共鳴波長を調整することを避けるという、反直感的な工程を導入する。これは、調整することで生物学的なサンプルに有害な効果を与えるからである。レーザとラマンシフト波長間に表面プラスモンを調整して基板外表面に近接して最大の電場を生成すると、生物学的な材料が変性してしまい、炭素による非常に大きなラマン信号を観測することとなる。これらの炭素信号は、変性工程から発せられるものである。任意の表面プラスモン共鳴に関連する電場は、従って、生物学的材料に対しては望ましいものではない。実際、生物学的及び他の脆い材料は、局所的な表面プラスモン共鳴の“望ましい”波長は存在しない。
【0066】
ここで開示されクレームされた発明は、表面プラスモン共鳴を、従来任意的なものと考えられてきた十分に長い波長の範囲のいずれかに調整する方法を含む。言い換えれば、生物学的なサンプル対する適切な基板は、局所的な表面プラスモン共鳴波が、ラマンシフト波長よりも長い波長の何らかの数に調整されたものである。従って、局所的な表面プラスモン共鳴をレーザとラマン散乱波長間に置くように規定する任意的な調整に関する、従来から一般的に受け入れられてきた“規則”は、生物学的材料には普遍的に適用されない。
【0067】
装置:ここで開示されクレームされた発明の他の実施例は、高容積の空気サンプリングシステムを使用する。このシステムは、ある程度の量の検体を集めて液体に濃縮し、望ましくは、1分以内に溶液のアリコートをSERS基板表面上に配置するように設計されている。ここで開示されクレームされた発明の一実施例では、空気サンプリングシステムは、加熱、換気、及び空調(HVAC)ダクトから空気の蒸気をサンプリングし、そして吸引された粒子を集めることが出来る。空気サンプリングシステムは、生物学的な種の存在を検知することが出来るサンプリング導管中の直列の蛍光センサの導入及び、可能ならば、液体サンプルを自動的に検出システムに送ることを起動させることを含む。システムは、空気サンプラーの応答時間に関して、最初のサンプルの吸入から検出応答の記録までの時間を最小化することで、最適化することが出来る。システムは、液体相の検体の濃縮に要する時間を最小化して、実際的にサンプルの全体の収集時間を最小化することについて、更に最適化することが出来る。
【0068】
本発明は、コンピュータ制御バルブ、蠕動ポンプ、及び、高度に再現可能な抽出された液体相のアリコートをSERS基板上に分配するように構成された注入/分配装置からなる。更に、システムは、コンパクトなマイクロ位置決め装置を導入することが出来る。この装置は、サンプル分配器及び基板の正確な動きを可能とし、サンプル分配、蒸発、及びSERS測定工程の間入射されるレーザ光に対してサンプルの位置を最適化するように調節することが出来る。空気サンプリングと液体分配の構成要素は別の実施例では、一体化され、SERSをベースとしたセンサの自律的な運転を可能とするプロセスソフトウエアを使用したコンピュータ制御の下で、全自動で行うことが出来る。特に、マイクロ位置決め装置の制御と個々の動作のタイミングは、液体サンプルの移送の前の空気サンプリング及びサンプル飛沫の分配の所用時間を含むようにすることが出来る。
【0069】
自己テスト、最適化及びキャリブレーションをセンサに導入し、長期間にわたる正確で再現可能な測定を保証することが出来る。前もって配置されたキャリブレーションサンプルがSERS表面上に配置され、この入念な自己テストを達成するために定期的に測定することが出来る。システムは、その状態を報告して、自動化された再調整工程を受けるような矯正動作を取ることで自分自身を調整することができる。矯正動作は、サンプルの再現性に関して任意的な動作を、及び規定の矯正及び測定サイクル内の制限された時間内で実行することを、維持するように行うことが出来る。全体のセンサシステムの自己テストの成功次第で、各構成要素の運転が最適化され、最大の時間効率とサンプリングの再現性を達成することが出来る。
【0070】
濡れ壁式のサイクロンによる空気サンプリングシステムの多様な商業的な設計がSERSをベースにしたセンサにおいて使用され、収集効率、運転の容易さ、及び意図した応用における特別な要求における互換性を最適化する。
【0071】
SERS基板は、特定の検体の検出用SERS基板を製造する工程を最適化することで更に、増強される。こうした最適化は、SERSフィルムそれ自身の変更、組成、形状及びSERSフィルムを支持する基板材料機能の変更を含む。SERS基板材料機能及び他のセンサ機能の最適化は、ターンテーブルの回転速度と休み時間の長さ、溶媒の蒸発工程、加熱及びSERSのレーザ出力、光学的なアライメント及び分光計の運転を含む。
【0072】
スペクトル分析と検体識別に使用するソフトウエアは、SERSセンサシステムのモデルを供給することで最適化することが出来る。このモデルは、実績を予想し、またSERS検出装置により生成されたデータに関して測定後の分析を行って、検体の濃度を検出し定量化することができる。更に、システムソフトウエアの最適化は、検体データベースのスペクトルと測定されたSERSスペクトルを統計的に一致させる検体フィンガープリントアルゴリズムの導入を含んでもよい。更に、よく試験されたWardのアルゴリズムのような、クラスターアルゴリズムも用いることが出来る。
【0073】
図9及び図10に、ここで開示され、クレームされた発明の装置に関する1実施例の模式図を示す。簡単に言うと、空気で運ばれた材料は液体に捕捉され、空気を濃縮したものの見本としてサンプル液体を生成する。この溶液のアリコートは、ここで開示された方法に基づいて製造されたSERSフィルムで覆われたターンテーブルの表面に供給される。ターンテーブルはそこで回転され、サンプルを、該サンプル検出及び識別用測定ビームに移動させる。液体サンプルを制御された形で散布することにより、検体をSERS測定に適した小さなスポットに集める。
【0074】
センサシステムコンセプトの新しい点は、検出前に、マイクロリットルスケールの液体サンプル量をSERS基板上の非常に小さな(≦100μm)スポットに散布することである。インクジェット技術が、サブナノリットルの飛沫をSERS基板上に分配するために使用される。例えば、個々の飛沫は、名目上50μmの直径であり、SERS基板上では、名義上100μmのスポットになる。小さな飛沫の容積に対するとても広い表面領域の組み合わせ、更には基板の加熱により、飛沫は僅かの間に蒸発してしまう。インクジェット工程の固有のデジタル制御を用いて、まえの飛沫が殆ど蒸発した後で、次の飛沫を供給する。この工程を、数百又は数千の滴に適用して、マイクロリットルスケールの液体サンプル容量の不揮発性の固体が、約100μmのスポット上に凝縮される。
【0075】
以下に、本発明の実績モデルを述べ、設計のサブシステム、空気サンプラー、サンプルアプリケータ、SERS検出システム、及び後検出分析のそれぞれについて機能を定量化する。これらのサブシステムのブロック図を、図11に示し、完全な検出サイクルのタイミング図を図12に示す。
【0076】
サンプルの“掃除”は、濡れ壁式サイクロンサンプラーとSERSモジュールの間の液体移送中に行われる。これは、大きさによる粒子の分離、水性及び非水性液体相間の粒子の選択的な分離、幾何的な混練り(音の)を含んだ直列な一連の素早い、オンライン工程により行われる。コンピュータ制御されたシリンジ分配器が、分配毛細管の上流である液体サンプルラインにマイクロリットルの容量の水をインクジェットし、“掃除”された液体サンプルの等しい量をインクジェット分配器、又は分配毛細管に分配することに使用される。サンプル分配に次いで、サンプル移送ラインの自動清掃/洗浄がなされる設備を設けるべきである。検出後、液相の内容物は、保管目的のため適当な容器に自動的に移送される。
【0077】
日常ベースでの検出システムの実績と信頼性を証明するために、自動品質保証(QA)スキームを用いることが出来る。そうしたQAスキームの一つは、検出器に予め配置されたサンプル又は、典型的なバックグランドと微粒子干渉を含んだ混合物内の適当な参考検体を含むサンプルを試験することを要求する。目的は、検出信号対雑音比が最低限の仕様に適合しているか、及び要求される状況の中で完全な識別を行えるかどうかを確かめることである。QA手順の結果が出ないまま、システムは自立的なモニタリング行うことが出来、または、必要な補正測定をすることができる。これには、遠隔診断を開始するための最新式又はワイヤレス又は他の手動式、自動式、又は半自動式通信手段を含む。
【0078】
本発明のこの実施例の通常運転の間、5−8mlの集積されたエアゾルを含んだ液層が、最新に配置されたサンプルのSERS識別中に濡れ壁式サイクロンサンプラ内に存在することとなる。生物学的な病原体のような検体の積極的な識別に際して、この容積の、またはそのなかのいくらかの代表的な部分を、保管目的のための適当な容器に自動的に移送することは、容易に行うことが出来る。こうした場合、液相は、後日の確認的及び法的な分析を可能とするために、十分な量の検体を含むためには都合がよい。
【0079】
高速バーチャルインパクタが空気サンプリングシステムの最初のステージに導入される。例えば、MSP社、モデル340HVVI高容量バーチャルインパクタ、サンプル空気はカットポイント2.5μmで1130L/minである。空気サンプラの第2ステージには、濡れ壁式サイクロンが導入される。濡れ壁式サイクロンサンプラは、バーチャルインパクタからサンプル空気流を抽出するために吸引を行う。抽出された空気流を濡れ壁式サイクロン内に導入したところで、入ってきた粒子はサイクロンの壁をコーティングする薄い液体フィルムと衝突し、サンプル空気流から効果的に除去される。小容量(5−8ml)の液体が常にサイクロンチャンバ中を循環しており、サンプル空気流から粒子を集める。遠隔指令の後、液相はSERS検出モジュール内に移相され、サイクロンカップは新たな液により再充填される。
【0080】
インクジェット技術は、15から100μm(2plから5nl)の直径の液球を毎秒0−25,000の速度で、単一ドロップオンデマンド印字ヘッドから、再現可能な形で分配することが出来る。分配は、非接触で、データ駆動され、流体を大きな範囲で分配することが出来る。ドロップオンデマンドインクジェットプリンタにおいては、流体は周囲の圧力に保持され、必要なときにだけ滴を生成するためにトランスデューサが使用される(図9参照)。トランスデューサは圧力波を生成する流体の容量的な変動を生成する。圧力波は、オリフィスに伝達され、流体速度に変換され、オリフィスから滴が排出される。
【0081】
デマンドモードのインクジェットシステムのトランスデューサは圧電材料を導入した構造か、薄いフィルム抵抗である。後者の場合、電流はこの抵抗を通り、温度を急速に上昇させる。抵抗に接触したインクは蒸発し、抵抗上に蒸気泡が形成される。この蒸気泡は、流体中に、圧電トランスデューサの電気機械的な動作と似た容積変位を生じさせる。デマンドモードインクジェット印字システムは、飛沫生成装置のオリフィス直径とほぼ同じ直径の飛沫を生成する。商業的に入手可能なデマンドモードインクジェットシステムの飛沫生成速度は、通常4−12kHzの範囲である。20μm以下の飛沫は、写真品質プリンタに使用され、120μmまでの直径の滴が発表されている。
【0082】
非接触印字工程として、分配中に明確な変位またはピン移送システムが流体を基板上に“発射”させた場合には、インクジェット分配の容量の正確さは、流体がどのように基板を濡らすかによっては影響を受けない。更に、流体源は、ピン移送発射中、潜在的に基板により汚染されることはない。最後に、1ミリメータ以上を流体飛沫を自由に飛行させる能力は、ウエルや他の基板の形状内に流体を配置させることが出来る(例えば、濡れや広がりの制御のために形成された形状)。
【0083】
一般的に、圧電デマンドモード技術は流体マイクロ分配装置により簡単に適用することが出来る。圧電デマンドモードで、より低い滴速度を達成することが出来る。圧電デマンドモードは、流体に、印字ヘッド及び流体の寿命を短くする熱応力を発生させない。圧電デマンドモードは、流体の熱特性に依存せず、問題に対する追加的な流体特性の評価を加えつつ、音響エネルギを動作流体に伝える。
【0084】
図9及び図10に示すように、本検出システムは、マイクロ分配装置を濡れ壁式サイクロン空気サンプラに接続して、SERS表面に再現性のあるサンプル層を生成する。サンプル分配パラメータは最も高いSERS信号の増強を生成するために最適化される。研究所は、扱いにくくはあるが、マイクロピペットを使用して、5μl滴がSERS測定に適した層を生ずることを示した。従って、5μlのサンプルを、複合(500−1000)滴を用いたマイクロ分配装置により配置することが出来る。
【0085】
検出システムの基本として、生成された信号(molecular signature amplitude)、S(e)(in e )、180°後方散乱形状及び、励起レーザの焦点合わせ及びラマン散乱の収集に使用される低いf数の光学的な特性に関する(文献94)。
【数3】

【0086】
ここで、Pは、入射レーザパワー密度(photons s−1cm−2)、βは、ディファレンシャルラマン断面(the differential Raman cross section)( cm2
molecule1-1 sr-1)、Nscは、SERS表面上の単位領域当たりの散乱体数(molecule cm-2)、Aは分光計によりモニタされるサンプル領域(cm2)、ΩDは、サンプルにおける分光計の収集立体角(solid angle)(steradians)、Tcolは、収集光学部品の伝導性(単位なし)、Qは、検出器の量子効率(e- per photon)、tは、観察時間(秒)である。式3において、括弧内の最初の項である、P、β、及びNscはラマン散乱フォトン生成に関連しており、残りの項は、これらフォトンの検出を記述したものである。
【0087】
空気1リットル当たり100胞子の、バチルス サブチルス(Bacillus subtilis)の胞子の空気で運ばれる濃度、を想定する、C=100L−1
【0088】
濡れ壁式サイクロンサンプラは、公称速度A=260L/min、直径1.0μmの粒子に対する50%の効率で空気サンプリングを行うことが出来る。こうして、サイクロン空気サンプラの胞子の収集速度、Rは、式4で与えられ、単に空気濃度C、サンプリング速度A及び収集効率Eの積である。
【数4】

【0089】
補足された胞子の、再循環液内の濃度、C、は式5で与えられる。サンプラ内の再循環液の容積は、Vs=10mlである。収集時間T=30sとして、サイクロン液の濃度は、式5で表される。
【数5】

【0090】
SERS表面上に配置された再循環液の容量は、V=5.0μlである。従って、再循環液から集められ、一滴でSERS表面に分配された胞子の数は、Nは、式6で表される。
【数6】

【0091】
ここで、Eは、5.0μlのサンプルを空気サンプラから配管系統を介してSERS表面にまで移送する効率であり、1.0の値を仮定する。
【0092】
式3−5を組み合わせて、サンプリング1回毎に、SERS表面に分配される胞子の数、Nは、式7で表される。
【数7】

これで、全ての項が上で定義された。
【0093】
バチルス サブチルス(Bacillus subtilis)胞子の形状は、おおよそ短軸が0.75μmで、長軸が1.25μmの、上下に長い回転楕円である(文献95)。その断面積は、従って、A´sp=π(r)=7.4×10−9cmとなる。集められた胞子は、びっしりと詰め込まれ、その充足率がF=80%の場合、約Asp=NA´sp/F=3(7.4×10−9cm)/0.8=2.8×10−8cmとなり、殆ど3.14×10−8cmの励起レーザ光を満たす。
【0094】
ここで、SERS表面上に落下し、蒸発された3個の胞子がラマンレーザ光の下で、密集しているものとすると、3個の胞子は、2.2×10−8cmの領域に結合する。レーザ光の領域は、3.14×10−8cmなので、完全に胞子はレーザに照射される。
【0095】
シフトしたラマン散乱放射の粘性率の強さ、Iは、全ての方向に、式(8)で示される(文献94)。
【数8】

【0096】
ここで、Pは、サンプルにおける入射レーザパワー密度(photons s−1cm−2)、βは、ディファレンシャルラマン断面(the differential Raman cross section)( cm2
molecule1-1 sr-1)、Nscは、SERS表面上の単位領域当たりの散乱体数(molecule cm-2)である。入射レーザパワーPは、システムに関しては、70μWであり、632.8nmにおける各フォトンのエネルギは、E=hc/□、ここで、hはプランク定数(6.626×10−34Js)、cは光速(3.0×10m/s、及び□は、レーザ波長(632.8×10−9m)である。入射レーザ放射がラマン散乱を20以上の帯域で生じさせると仮定する。従って、それぞれの与えたれた帯域で利用できるパワー密度は全入射パワーの5%である。
【数9】

【0097】
バチルス サブチルス(Bacillus
subtilis)の胞子表面は、約27のタンパク質からなる(文献96)。従って、その散乱は弱く、アミノ酸のラマン断面の典型的な値、βは、β=10−30cmsr−1molecule−1である。上記からN=3により占められる領域は、Asp=NA´sp=3(7.4×10−9cm)=2.2×10−8cmとなる。単一のアミノ酸の領域がAaa=200Å(又は、2.0×10−14cm)とすると、3胞子にの領域に含まれるアミノ酸の数は、Naa=Asp/Aaa=2.2×10−8cm/2.0×10−14cm=1.1×10となる。ここで、さらに、アミノ酸の1.1×10の表面が100%SERS表面と接触しているものと仮定する。該表面におけるレーザ光線の直径Aは、散乱体の表面密度NSCを計算するのに使用される。これにより、式10となる。
【数10】

【0098】
式9及び10の結果及びβの値を組み合わせて式8に入れた結果、式11を得る。
【数11】

【0099】
S(e)=I(AΩcolQ)tなる式3を呼び出し、ラマン散乱光の収集に関する残りの項を求める。ここで、A=3.1×10−8cm、Ω=0.4sr、Tcol=50%、Q=80%(文献94):として、式12となる。
【数12】

雑音に対する信号の比は、以下のように計算される(文献94)。
【数13】

【0100】
ここで、βSCSCは、信号に関する断面密度積であり、βは、検出バックグランドに関する断面密度積である。βは、ショットノイズ、ダークカウント、フリッカーノイズ、及び読み出しノイズなどの全てのソースからの、検出バックグランド信号への寄与分を含む。最先端のCCD検出器では、βは、およそ1e毎秒である。
【0101】
図13は、市販のサイクロン濡れ壁式サンプラ及びよく設計されたラマン分光計における実績値を用いた、多様な空気で運ばれる胞子及び毒素の濃度を計算したラマン信号を示す。これらの結果から、SERS増強係数が1010か又はそれ以上となると、システムは、空気1リットル当たり、100胞子、又は0.05ngのバクテリア及び毒素の検出要求に適合した、またはそれを越えた十分な感度を有する。これらの結果は、1010のSERS増強係数が、検出サイクルが1分以下の時間で胞子及び毒素を検出するに足る十分な強さの信号を生成することも示している。
【0102】
システムに関して誤りとなる警告量を、よく知られた閾値効果を用いて推定することが出来、統計的な分析方法が、デジタル信号のエラーレートを決定するために通信産業において発達した(文献97)。この分析に対する効果の類似は、明白である。なぜなら、(脅威となるレベルに設定された)所定の閾値より上又は下の信号を生成する検出器の統計的な重要性を確立することは、望ましいことだからである。こうして、負の警告条件(脅威レベル以下の信号)又は正の警告条件(脅威レベル以上の信号)を決定することは、ゼロ(閾値以下)か1(閾値以上)をそれぞれ示すバイナリーなデジタル信号にとって同じことである。
【0103】
正規分布ノイズを含む信号において、閾値信号以上又は以下のエラーの確率は、式14に示す。
【数14】

【0104】
ここで、Pは、エラーの可能性、Aは、信号の最大振幅、σは、信号の標準偏差、及びerfは、エラー関数である。式14で、閾値がA/2に設定されたとすると、定められた誤りとなる警告量は10−2であり、図14に示すように、式14は、雑音に対する信号の比、SNR=A/σ=4.8を要求する。明らかに、図1のデータは、この雑音に対する信号の比を越えている。式14の標準偏差の項、σ、は、空気サンプラ、サンプルアプリケータ、SERS検出器、及び検出後の識別分析装置などの、全てのサブシステムからの寄与分を含む。
【0105】
サブシステムのエラー分析の完全な伝達は、検体の識別における不確実性による寄与分に特に焦点をあてたシステムに起因する、システムの不確実性に対して十分に寄与することが出来る。加えて、スペクトルのクラッタに起因するσへの寄与分を計算するモデルを引き出すことが出来る。最後に、受信機運用特性(ROC)曲線の形状を検出する確率を計算するモデルも開発可能である。近似ROC曲線を、実験データを用いて生成し、モデルを検証することが出来る。
【0106】
空気のサンプリング及びスペクトルの入手に続いて、迅速で信頼性のある、収集されたラマン信号の解釈が、噴霧状の病原体から潜在的な脅威を検出する上で、最後で、最も重要なステップである。複合媒体からのラマンスペクトルの解釈は、サンプルの個々の振動体が極めて多数存在することによる高密度状態により、難しいものである。それらは、比較的に少ない帯域からなるスペクトルに合体する。単純なグループ周波数/構造クラス分析(group frequency/structural class analysis)はこうしたシステムに適用されない。ここで開示されたクレームされた発明では、ラマン信号の解釈は、スペクトルデータの取得に続く、3つのステージの方策を含んでいる。即ち、(1)フィンガプリント、(2)クラスタ分析、(3)脅威の評価である。
【0107】
扱いやすいようにデータセットを小さくするために、及びキーとなる様相を識別するために、ラマンスペクトルは、重要な情報を失うことなく、等しいかそれより以下の次元数の特徴的フィンガプリントに処理することが出来る。最も重要なフィンガプリントは、入力スペクトルデータであり、主としてスペクトル領域150から4000cm−1上の約2000のデータポイントからなる。生データは、ノーマライズすることが出来、一次及び二次微分スペクトルが、9−pt技術を用いて計算される。そして、避けることの出来ないベースラインのシフトの懸念を最小限にしつつ、正確な波数と、統合されたバンド強度の抽出が可能となる。第2のフィンガプリントは、第1よりも実質的によりコンパクトで、バンド分析(周波数及び強さ)、領域分析(バンドの数及び全体の統合された強さ)、ローカルモードアサイメント(local mode assignment)(キー振動識別(key vibration identification))、統計上の相関分析、及び/又はこれらの組み合わせから引き出すことが出来る。
【0108】
周知の戦う者による、検体信号の信頼性のある相互関係に関して重要なことは、スペクトルライブラリ又はデータベースの構築である。データベースの構築は、関心のある検体のフィンガプリントを含むが、検体の評価アルゴリズムを開発するためには、作業において最初に優先されるものである。
【表2】

【0109】
クラスター分析は、アルゴリズム的に規定された、類似した測定法をベースにした“クラスター”へデータを自動的にカテゴリー化するものである。現在の状況において、関心のある検体の存在を決定する目的で、データベースに入ることは、検体のフィンガプリントのシステマティクな比較に関連する。分析は、フィンガプリントのサインの比較に際して、似ているかどうかに関わる。分析は、400から900,900から1200,1200から1550,1550から1800,1800から3600cm−1の5つのスペクトル領域を考慮したフィンガプリントに基づいて行われる。これらの領域は、表Bに示すように関連した振動モードに起因する散乱に対応しているので、これらの領域は自然に自らを示唆する。
【0110】
フィンガプリント間の近似性は、固まりとしてのクラスターアプローチと共に、ユークリッド距離、最大差及び投影長さを含む多数の記述子を介して評価することが出来る。いくつかのクラスターアルゴリズムを評価する。最初に、検体とデータベーススペクトルの間の二乗偏差の総計を最小化する、確立したワードアルゴリズム(Ward’s algorithm)から始める。
【0111】
ここに開示され、クレームされた発明は、特定のターゲット分子に特有のラマンラインに関する最も高いSERS増強係数を生成するための蒸着パラメータを最適化する方法に関する。この方法は実験的設計(DOE)プロトコルに基づいた一連のフィルムの製造を含む。これにより、蒸着製造パラメータ(基板温度、蒸着速度、フィルム厚さ、チャンバ圧力、及び蒸着後のアニーリングなど)は、所定のパラメータレンジに収まり、また、DOEで特定された特別の組み合わせとなる。各フィルムのSERS増強係数は測定され、DOEの統計的な分析がその後、増強係数に関する各蒸着パラメータの影響を定量化するために行われる。この分析は、最適な蒸着製造パラメータが得られる効果の大きさ及び感度を定量化する。実験的予想式は、こうしたDOEの統計的な分析から得られ、これは、特定の分子に関して所定の増強係数を生成するための蒸着製造パラメータをセットすることが出来る。
【0112】
異なる実施例において、ここで開示され、クレームされた発明は、ラマンスペクトルの特定領域に関する任意的な表面増強特性を持った金属フィルムの製造方法を含む。ラマンスペクトルの特定領域は、しばしば、とても興味深いものがある。金属アイランドフィルムが高いSERS増強効果を生成することのできるスペクトル範囲(幅)は限られているが、この範囲を所定のスペクトル領域上で生じさせるように制御することが出来る。この方法は、実験的設計(DOE)プロトコルに基づいた一連のフィルムの製造を含む。これにより、蒸着製造パラメータ(基板温度、蒸着速度、フィルム厚さ、チャンバ圧力、及び蒸着後のアニーリングなど)は、所定のパラメータレンジに収まり、また、DOEで特定された特別の組み合わせとなる。各フィルムのSSERS増強係数のスペクトル領域及び幅は測定され、DOEの統計的な分析が、SERS増強係数のスペクトル領域及び幅に関する各蒸着パラメータの影響を定量化するために行われる。この分析は、最適な蒸着製造パラメータがその後得られる、効果の大きさ及び感度を定量化する。実験的予想式は、こうしたDOEの統計的な分析から得られ、これは、SERSスペクトルの所定の特定領域上での最大化されたSERS増強を示すフィルムを製造するための蒸着パラメータをセットすることが出来る。
【0113】
ここに開示されクレームされた発明は、更に、高いSERS増強係数を有するフィルムを蒸着し、フィルムの環境上の耐久性を増加させる方法を含む。この方法は、SPRWによりフィルムをレーザ線の赤まで蒸着し、次いで、蒸着後直ちに、フィルムは真空チャンバ内で加熱され、SPRWを青側に任意の値までシフトさせる。該工程は、高いSERS増強係数を達成し、金属アイランドをアニーリングすることでフィルムの環境上の耐久性を増加させ、高い安定な形状を形成した。蒸着後の加熱は金属アイランドの直径を縮小させ、同時にアイランドの高さを増加させる。これらのアイランドの幾何学的な変化は、共に、SPRWの青側シフトを生成する。
【0114】
ここに開示されクレームされた発明は、また、フィルム上の金のアイランドの間の間隙に分子を吸着させるように基板を扱う方法を含む。この方法は、金を蒸着する前に、ターゲットとなる検体分子に非常な親和性を示すコーティングを基板に適用する。金の蒸着後、ターゲット分子はその後、SERSフィルムにサンプルを適用した後、フィルム上の金のアイランドの間の間隙に吸着される親和性を有する。金アイランド間のギャップに検体分子を捕捉することは、表面プラスモン共鳴に関連した電場がアイランド間で最大となると考えられるので、これらの分子のSERS増強係数を最大化する。この最大電場に巻き込まれた捕捉された分子は、生成されたSERSスペクトルを最大化する。
【0115】
他の点において、ここに開示されクレームされた発明は、基板上に、同時に又は連続的に金、銀又は他の物質を蒸着する方法を含む。この方法は、同時に又は連続的に運転される二つ以上の蒸着源を用いて、多様な支持基板材料の表面上に殻構造、アマルガム、または混合物からなるアイランドを生成する。支持基板材料は、ガラスに限らず、液晶、セラミックス、半導体、半金属、ポリマー、繊維、複合材、ナノ材料及びそれらの混合及び/又は組み合わせからなるものを含む。一つの実施例では、銀のアイランドが最初に蒸着され、次いで、金が蒸着され、銀を金で覆ったアイランドが形成される。この方法により、近赤外線及びそれより長い波長のレーザ光励起を用いたSERSシステムに対する金属アイランドフィルムの最適化が可能となる。
【0116】
なお、他の実施例において、ここに開示されクレームされた発明は、基板上に金属を蒸着する間の蒸着パラメータを動的に変える方法に関する。この方法は、実験的設計(DOE)に基づいた一連のフィルムの製造を含み、これにより、蒸着製造パラメータ(基板温度、蒸着速度、フィルム厚さ、チャンバ圧力、及び蒸着後のアニーリングなど)は、所定のパラメータレンジ内で蒸着中に変化され、また、DOEで特定された特別の組み合わせとなる。各フィルムのSERS増強係数は測定され、DOEの統計的な分析がなされ、各蒸着パラメータと増強係数の変化工程の効果が定量化される。この分析は効果の感度と大きさを定量化し、それから最適な蒸着パラメータ及び変化工程を得ることが出来る。その後、経験的な予測式を、DOEの統計的な分析から得ることが出来、これは、蒸着パラメータをセットし、変えて、特定の分子に対する所定の増強係数を生成することが出来る。
【0117】
他の実施例では、ここに開示されクレームされた発明は、コロイド、ナノロッド、ナノスフィアなどのナノ粒子を操作することで、基板上に表面的な特徴を構築することが出来る。ナノテクノロジーの成長した分野として、ナノ粒子を操作し、位置決めし、配置する方法は発展し、製造工程への導入が実現可能なものとなる。これらの方法は、これらに限定されるわけではないが、自己組み立て、分子印刷、付けペンリソグラフィ、サブナノメートルリソグラフィなどである。これらの方法は、一般的に、ナノスケール、即ち、100nm以下の寸法の物質の形状を制御することが出来る。金属アイランドの配置及び分離制御に加えて、これらの方法は、アイランドの表面上に、分子同様な、潜在的にはオングストロームスケールの幾何学的寸法で特徴を導入することが出来る。
【0118】
ここに開示されクレームされた発明は更に、基板のフィルムに広い表面プラスモン共鳴スペクトルを生成し、同時にラマン散乱波長を励起させる方法を含む。この方法は、実験的設計(DOE)に基づいて一連のフィルムを製造することを含み、これにより、蒸着製造パラメータ(基板温度、蒸着速度、フィルム厚さ、チャンバ圧力、及び蒸着後のアニーリングなど)は、所定のパラメータレンジ内で蒸着中に変化され、また、DOEで特定された特別の組み合わせとなる。各フィルムのSERS増強係数のスペクトル依存は、測定され、DOEの統計的な分析がなされ、スペクトル幅に関して各蒸着パラメータと変化工程の影響が定量化され、それにより増強係数が最適化される。この分析は効果の感度と大きさを定量化し、それから最適な蒸着パラメータを得ることが出来る。その後、経験的な予測式を、DOEの統計的な分析から得ることが出来、これは、蒸着パラメータをセットし、変えて、特定のターゲット分子に対する所定の増強係数の所定のスペクトル幅を生成することが出来る。
【0119】
ここに開示されクレームされた発明は、基板の表面上への液滴の蒸発を制御し、SERSビームの中央に検体分子を置くようにする方法を含む。この方法は、検体含んだ溶液をSERS増強表面に落下させた後の、溶媒の蒸発工程を最適化する。最適化の後、溶媒の蒸発工程は検体分子又は生物学的材料を滴の中央に、分子又は生物学的材料のSERS増強表面における位置が既知であるように、密集された形で運ぶ。分子又は生物学的材料のSERS増強表面における位置が既知であるから、検体へのSERS分析レーザ光の焦点は、それらの位置決めのために検体のイメージを必要としない。
【0120】
ここに開示されクレームされた発明は、コンパクトディスクのような大きな表面領域上に均一なSERSの能動表面を生成する方法を含む。この方法は、実験的設計(DOE)工程に基づいて大きな基板材料(例えばコンパクトディスク)上に一連のフィルムを生成することを含み、これにより、蒸着製造パラメータ(基板温度、蒸着速度、フィルム厚さ、チャンバ圧力、蒸着後のアニーリング及び基板操作(例えば、遊星動作)など)は、所定のパラメータレンジ内で蒸着中にセットされ、また変化され、また、DOEで特定された特別の組み合わせとなる。各フィルムのSERS増強係数は多数の位置で測定され、DOEの統計的な分析がなされ、増強係数及び再現性に関する各蒸着パラメータと変化工程の効果が定量化される。分析は、効果の感度及び大きさを定量化し、そこから最適な蒸着パラメータと変化工程が得られる。その後、経験的な予測式を、DOEの統計的な分析から得ることが出来、これは、蒸着パラメータをセットし、変えて、特定の分子に対する所定の増強係数と可変性を生成することが出来る。
【0121】
ここに開示されクレームされた発明は、更に、蒸着中に移動マスクを使用して金属アイランドフィルムの特性を変化させる方法を含む。この方法は、実験的設計(DOE)工程に基づいて一連のフィルムを製造することを含み、これにより蒸着製造パラメータ(基板温度、蒸着速度、フィルム厚さ、チャンバ圧力、蒸着後のアニーリング及びマスクの動きなど)は、所定のパラメータレンジ内で蒸着中にセットされ、また変化され、また、DOEで特定された特別の組み合わせとなる。各フィルムのSERS層強係数は、多数の検体分子及び/又は生物学的材料に対して測定され、DOEの統計的な分析がなされ、増強係数に関する各蒸着パラメータ、変化工程及びマスクの動きの効果が定量化される。分析は、効果の感度及び大きさを定量化し、そこから最適な蒸着パラメータ、変化工程及びマスクの動きが得られる。経験的な予測式を、DOEの統計的な分析から得ることが出来、これは、蒸着パラメータをセットし、及び/又は変えて、また、マスクの動きをセットし、又は変えて、検体分子又は生物学的材料の領域についての所定の増強係数を生成することが出来る。
【0122】
本発明とその利点を詳細に述べてきたが、多様な変更、置き換え、変更が、添付したクレームに規定された本発明の範囲及び精神から離れることなく、可能である。また、本出願の範囲は、明細書で述べられた特定の工程、機械、製造、材料組成、手段、方法、ステップに限られるものではない。当業者であれば、本発明の開示から、実質的に同じ機能または同じ結果を達成する既存の、又は後に開発される、工程、機械、製造、材料組成、手段、方法又はステップを、本発明に基づいて実現されたここに述べられた対応する実施例として容易に理解するであろう。従って、添付したクレームは、こうした工程、機械、製造、材料組成、手段、方法又はステップなどを範囲内に含むものである。

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【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、花粉(生きているオーク)、バチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス セレウス(Bacilluscereus)、バチルス サブチルス(Bacillus subtilis)及び人間の腸のコロナビールスについての、単一胞子/ビールス信号増強を示す測定されたラマンスペクトルを示す図である。
【図2】図2は、生きている及び熱で殺したバチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の胞子のSERSスペクトルを示す図で、胞子サンプルは、示された温度に約8分間加熱された。ラマンスペクトルのピーク高は、温度が上がるにつれて低下した。300°Cで、胞子は、炭素が優位を占めるラマンスペクトルによって示されるように、変性した。
【図3】図3は、全尿及び全血サンプルのSERSスペクトルを示す。
【図4】図4は、SERS基板の極めて高い増強と再現性を示す、いろいろな位置で集めたロダマイン6GのSERSスペクトルを示す。
【図5】図5は、SERS基板をトリニトロトルエン(TNT)の蒸気に何度も晒すことで、得られたSERSスペクトル。
【図6】図6Aは、表Aにリストされた金フィルムの吸光スペクトル、図6Bは、表Aにリストされたフィルム1,2及び15の吸光スペクトル。
【図7】図7は、最適化された周辺シャドウマスクの一実施例の断面図を示す。
【図8】図8は、エッジ効果による不均一フィルム特性を示した写真図である。
【図9】図9は、検出コンセプト系統図に基づく、SERSを示す。
【図10】図10は、SERS測定用の液体サンプルの分配を示す。
【図11】図11は、センサ部品サブシステムのブロック図を示す。
【図12】図12は、完全な検出時間が1分の、提案された化学及び生物学剤の検出システム用タイミング図を示す。
【図13】図13は、計算された表面増強ラマン信号を示すものであり、多様なSERS増強係数で濃縮された(a)は、毒素、(b)は、胞子が空気で運ばれてものである。ここで、垂直の点線は、検出要求(LOD)の実際的な限界を示し、(b)の階段状のカーブは、1,2及び3個の胞子の検出を反映したものである。
【図14】図14は、計算されたエラーの確率を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の部分的な表面プラスモン共鳴(LSPR)波長を有する金属化基板を製造する方法であって、該方法は、以下のステップを有する、
基板上に、少なくとも一つの金属を蒸着し、金属化基板を用意するステップ、
前記蒸着ステップの一つ以上の蒸着パラメータを制御して、金属化された基板のLSPRを、所望の波長に調整するステップ。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記一つ以上の蒸着パラメータは、前記蒸着ステップ中の基板温度、蒸着速度、及び前記蒸着ステップ中に蒸着される金属の量からなるグループから選択された、少なくとも一つのパラメータを含む。
【請求項3】
請求項1の方法において、
前記蒸着パラメータを制御するステップは、前記蒸着ステップ中の基板の温度、蒸着速度、及び前記蒸着ステップ中に蒸着される金属の量、の蒸着パラメータのそれぞれを制御する。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記金属は、銀、金及び銅からなるグループから選択される。
【請求項5】
請求項1の方法において、
該方法は、前記蒸着ステップを実行するために、熱蒸発器を利用するステップを更に有する。
【請求項6】
請求項1の方法において、
該方法は、更に、前記蒸着ステップを実行する際に、
熱蒸発、スプラッタ蒸着、エレクトロビームリソグラフィ、レーザアブレーション及びケミカルベーパー蒸着、
のいずれかを利用するステップを有する。
【請求項7】
請求項1の方法において、
該方法は、更に、前記所望の波長を決定するステップを有する。
【請求項8】
請求項7の方法において、
前記所望の波長は、特定の励起光源の最大吸光を提供する波長である。
【請求項9】
請求項1の方法において、
該方法は、更に、前記所望の波長を有する金属のLSPRとなる、一つ以上の蒸着パラメータのそれぞれについて、少なくとも一つの適切な値を決定するステップを有する。
【請求項10】
請求項9の方法において、
前記基板は、該基板上に前記少なくとも一つの金属を蒸着する前に、その上に前もって設けられたマスクを有する。
【請求項11】
請求項10の方法において、
前記基板に前もって設けられたマスクは、前記少なくとも一つの金属を前記基板上に蒸着する際に、エッジ効果が生じることを防止する。
【請求項12】
表面増強分光工程に使用する増強表面の製造方法であって、前記増強表面は、所望の部分的な表面プラスモン共鳴(LSPR)波長を有するものであり、
前記方法は、以下のステップを有する、
前記表面増強分光工程に使用する励起光源の波長を決定するステップ、
前記励起光源に対して最適な増強を提供するLSPR波長を持った増強表面を製造するために、基板上に金属を蒸着する際に使用する一つ以上の蒸着パラメータの適切な値を決定するステップ、
前記一つ以上の蒸着パラメータについて決定された値に基づいて、基板上に金属を蒸着し、前記励起光源に対して最適な増強を提供するLSPR波長を持った増強表面を製造するステップ。
【請求項13】
請求項12の方法において、
前記一つ以上の蒸着パラメータは、前記蒸着ステップ中の基板温度、蒸着速度、及び前記蒸着ステップ中に蒸着される金属の量からなるグループから選択された、少なくとも一つのパラメータを含む。
【請求項14】
請求項12の方法において、
前記一つ以上の蒸着パラメータの適当な値を決定するステップは、前記蒸着ステップ中の基板温度、蒸着速度、及び前記蒸着ステップ中に蒸着される金属の量からなる蒸着パラメータの、それぞれの適切な値を決定することを含む。
【請求項15】
請求項12の方法において、
前記金属は、銀、金及び銅からなるグループから選択される。
【請求項16】
請求項12の方法において、
該方法は、前記蒸着ステップを実行するために、熱蒸発器を利用するステップを更に有する。
【請求項17】
請求項12の方法において、
該方法は、更に、前記蒸着ステップを実行する際に、
熱蒸発、スプラッタ蒸着、エレクトロビームリソグラフィ、レーザアブレーション及びケミカルベーパー蒸着、
のいずれかを利用するステップを有する。
【請求項18】
請求項12の方法において、
前記励起光源は、レーザである。
【請求項19】
請求項12の方法において、
前記最適な増強を提供するLSPR波長は、前記励起光源の最大吸光を生じさせる波長である。
【請求項20】
請求項12の方法において、
前記基板は、該基板上に前記少なくとも一つの金属を蒸着する前に、その上に前もって設けられたマスクを有する。
【請求項21】
請求項20の方法において、
前記基板に前もって設けられたマスクは、前記少なくとも一つの金属を前記基板上に蒸着する際に、エッジ効果が生じることを防止する。
【請求項22】
請求項12の方法において、
前記表面増強分光工程は、表面増強ラマン分光を含む。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項記載の方法により製造された、所望の部分的な表面プラスモン共鳴(LSPR)波長を有する金属基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−501982(P2008−501982A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527711(P2007−527711)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/020245
【国際公開番号】WO2006/076040
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(506406973)
【Fターム(参考)】