説明

表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子のコアシェル粒子

コア、コアを取り囲む第一被覆層、及び第一被覆層を取り囲む第二被覆層からなる表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子であって、その際該コアは、結晶質であり、かつ一次粒子直径10〜75nmを有する凝集酸化亜鉛の一次粒子からなり、第一被覆層は、元素Zn、Si及びOを含有する1つ以上の化合物からなり、第二被覆層は、化学的に第一被覆層と結合する、直鎖状並びに/又は分枝鎖状の、炭素原子1〜20個を有するモノアルキルシリル基Si−アルキル及び/又はジアルキルシリル基Si−(アルキル)2を有し、それらの平均凝集物面積は、40000nm2未満であり、かつそれらの平均凝集物直径(ECD)は、300nm未満であり、それらの炭素含有率は、0.4〜1.5質量%であり、かつそれらのBET表面積は、10〜60m2/gである、表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子に、及びそれらの製造及び使用に関する。
【0002】
UV吸収物質の光触媒活性を低減するために、それらに不活性被覆を提供することが公知である。該UV吸収物質は、有機又は無機物質であってよい。本質的に日焼け防止調合物において使用される、二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタン及び酸化亜鉛が、特に重要である。それらの被覆された生成物の欠点は、化粧品、有機構成成分を含む媒体における該生成物の不十分な分散性である。
【0003】
US 6534044号において、この問題は、二酸化ケイ素で被覆された疎水性酸化亜鉛粒子の使用によって解決される。その被覆された粒子は、酸化亜鉛粒子、媒体の存在下で二酸化ケイ素に加水分解されるテトラアルコキシシランを含む水溶性アルコール分散液に添加することによって得られる。続いて、二酸化ケイ素で被覆された酸化亜鉛粒子は、疎水性被覆を提供する。該疎水性被覆は、非疎水化粒子と比較して、有機媒体中への組込性を改良する。この改良された組込性は、US 6534044号において記載されている二酸化ケイ素で被覆された疎水性酸化亜鉛粒子の高い相互成長度(degree of intergrowth)におけるその制限を見出している。
【0004】
従って本発明の目的は、先行技術と比較して、有機構成成分を含有する化粧品媒体において、改良された取込性を有する同時に低い光触媒活性を有する高いUV吸収を有する粒子を提供することであった。
【0005】
本発明の目的は、コア、コアを取り囲む第一被覆層、及び第一被覆層を取り囲む第二被覆層からなる表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子によって達成され、その際、
− 前記のコアは、結晶質であり、かつ一次粒子直径10〜75nmを有する凝集酸化亜鉛の一次粒子からなり、
− 第一被覆層は、元素Zn、Si及びOを含有する1つ以上の化合物からなり、
− 第二被覆層は、化学的に第一被覆層と結合する、直鎖状並びに/又は分枝鎖状の、炭素原子1〜20個を有するモノアルキルシリル基Si−アルキル及び/又はジアルキルシリル基Si−(アルキル)2を有し、
− それらの平均凝集物面積は、40000nm2未満であり、かつそれらの平均凝集物直径(ECD)は、300nm未満であり、
− それらの炭素含有率は、0.4〜1.5質量%であり、かつ
− それらのBET表面積は、10〜60m2/gである。
【0006】
酸化亜鉛のコアの一次粒子直径は、10〜75nm、有利には20〜50nmであり、かつ画像解析によって決定される。HR−透過型電子顕微鏡写真から決定された、格子平面間の距離は、前記のコアが、結晶質の酸化亜鉛からなることを示す。
【0007】
本発明による表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子の平均凝集物面積は、画像解析によって同様に決定される。該粒子は、40000nm2未満の小さい平均凝集物面積によって特徴付けられる。好ましい一実施態様において、前記平均凝集物面積は、1000〜10000nm2の範囲が特に好まれてよい場合に、20000nm2未満である。
【0008】
画像解析によって同様に決定された本発明による表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物の平均凝集物直径(ECD)は、300nm未満である。有利には、平均凝集物直径(ECD)は、100〜200nmである。
【0009】
前記の第一被覆層は、XPS−ESCA解析(XPS=X線光電子分光法、ESCA=化学解析のための電子分光法)及びTEM−EDX解析(固有X線のエネルギー分散解析[EDX]と連結した透過型電子顕微鏡[TEM])によって、元素Si及びOを含有する化合物を含む。さらに、その被覆は、亜鉛を含む化合物も有する。
【0010】
前記の第一被覆層における前記元素の量及び相当する化合物の量は、正確に決定されることができない。しかしながら、TEM−EDX及びXPS−ESCAスペクトルの測定は、Si及びOが、前記被覆の主な構成成分であり、かつ存在する場合にZnが、二番目の量でのみ存在することを明確に示す。前記の第一被覆層における亜鉛の存在は、本発明による表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子の特性を変化しない。
【0011】
前記の第一被覆層は、有利には非晶質形である。その被覆は、さらに、X線回折法によって検出できる小さな結晶断片を有しうる。該断片は、通常、X線回折法における検出限界をほとんど超えない。
【0012】
前記の第一被覆層が結晶構成成分を有することができる説明は、第一に、酸化亜鉛であるべきコアを明らかに示すHR−透過型電子顕微鏡写真における格子距離の評価に基づき、かつ第二にX線回折図が、酸化亜鉛を除いた低い強度の他のシグナルを示す事実に基づく。化合物に対するそれらのシグナルの指定は、現在不可能である。
【0013】
前記の第一被覆層の厚さは、制限されない。より厚い被覆層は、光触媒活性を低減するために好適であるが、前記粒子のUV吸収のためには好適ではない。0.1〜10nmの第一被覆層の厚さは、UV吸収及び光触媒活性のための特に好適な値を導き、かつ従って例えば日焼け防止調合物の分野における適用のために好ましい。特に、1〜5nmの範囲であることが非常に好ましい。
【0014】
前記の第二被覆層は、第一被覆層と化学的に結合される炭素原子1〜20個を有する直鎖及び/又は分枝鎖状のアルキルシリル基を有する。
【0015】
構造A−Jは、本発明による可能なアルキルシリル基を示す。本明細書で、それぞれの場合における−O−Si結合の酸素原子は、第一被覆層の表面の酸素原子を示す。
【0016】
【化1】

【0017】
表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子であることが特に好まれてよく、その際、
− 第二被覆層は、炭素原子1〜8個を有するアルキルシリル基からなり、
− その炭素含有率は、0.8〜1.2質量%であり、
− そのBET表面積は、20〜40m2/gであり、
− その平均凝集物面積は、20000nm2未満であり、かつそれらの平均凝集物直径は、150nm未満である。
【0018】
本発明はさらに、亜鉛−ケイ素酸化物粒子を、それぞれの場合において直鎖及び/又は分枝鎖状の炭素原子1〜20個のアルキル単位を有するシラン、ポリシロキサン及び/又はシラザンを含有する群から選択される、場合により有機溶剤中で溶解された1つ以上の表面変性剤で噴霧し、そしてその混合物を、120〜200℃の温度で0.5〜2時間にわたって、場合により保護ガス下で、熱処理する、本発明による表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子の配合物の製造方法を提供し、その際、使用される表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子は、
− 原子%/原子%で、Zn/Siの割合2〜75を有し、
− 亜鉛−ケイ素酸化物粒子に対して、少なくとも99質量%のZn、Si及びOの割合を有し、
− BET表面積10〜60m2/g、質量平均一次粒子直径10〜75nm、平均凝集物面積40000nm2未満、及び平均凝集物直径(ECD)200nm未満を有し、
− 酸化亜鉛の凝集された一次粒子の結晶コア、及び凝集された酸化亜鉛の一次粒子を取り囲む被覆、並びに元素Si及びOを含有する1つ以上の化合物からなる。
【0019】
使用される酸化亜鉛−二酸化ケイ素粒子は、未公開のドイツ特許、特許番号102006038518.7号及び出願日2006年8月17日の主題である。
【0020】
使用される亜鉛−ケイ素酸化物粒子は、次の特徴も有していてよい:
− その被覆は、元素Si、O及びZnを含有する1つ以上の化合物からなってよい。
− そのZn/Siの比は、3〜15である。
− そのBET表面積は、20〜40m2/gである。
− その平均凝集物面積は、20000nm2未満であり、かつそれらの平均凝集物直径は、150nm未満である。
− その被覆の厚さは、0.1〜10nmである。
− 450nmでの最大吸光度/吸光度の比は、4〜8である。
− 光子効率によって示され、かつジクロロ酢酸の分解によって決定される光触媒活性は、0.4未満である。
− 1400℃までの加熱に対して、該粒子は、該粒子の質量の2%未満を損失する。
− 該粒子は、多くてもPb20ppm、多くてもAs3ppm、多くてもCd15ppm、多くてもFe200ppm、多くてもSb1ppm、及び多くてもHg1ppmを含む。
【0021】
使用されうるシラン化剤は、有利には、
− X3Si(Cn2n+1)、X2(R’)Si(Cn2n+1)、X(R’)2Si(Cn2n+1)、X3Si(CH2m−R’、(R)X2Si(CH2m−R’、(R)2XSi(CH2m−R’[式中、XはCl、Brであり、Rはアルキルであり、R’はアルキルであり、nは1〜20であり、mは1〜20である]で示されるタイプのハロオルガノシラン、
− (RO)3Si(Cn2n+1)、R’x(RO)ySi(Cn2n+1)、(RO)3Si(CH2m−R’、(R’’)u(RO)vSi(CH2m−R’[式中、Rはアルキルであり、R’はアルキルであり、nは1〜20であり、mは1〜20であり、x+yは3であり、xは1、2であり、yは1、2であり、u+vは2であり、uは1、2であり、vは1、2である]で示されるタイプのオルガノシラン、
− R’R2Si−NH−SiR2R’[式中、Rはアルキルであり、R’はアルキル、ビニルである]で示されるタイプのシラザン、

【化2】

[式中、Rはアルキル、Hであり、R’はアルキル、Hであり、R’’はアルキル、Hであり、R’’’はアルキル、Hであり、YはCH3、H、Cp2p+1であり、その際pは1〜20であり、YはSi(CH33、Si(CH32H、Si(CH32OH、Si(CH32(OCH3)、Si(CH32(Cp2p+1)であり、その際pは1〜20であり、mは0、1、2、3、...∞であり、nは0、1、2、3、...∞であり、uは0、1、2、3、...∞である]で示されるタイプのポリシロキサン、又は
− D3、D4及び/又はD5のタイプの環状ポリシロキサンである。
【0022】
トリメトキシオクチルシラン[(CH3O)−Si−C817]、例えばDegussa AG製のDYNASYLAN(登録商標)OCTMO、ヘキサメチルジシラザン、例えばDegussa AG製のDYNASYLAN(登録商標)HMDS、又はシラン化剤としてポリジメチルシロキサンの使用は、特に好適であってよい。
【0023】
さらに、本発明による方法は、噴霧装置を有する加熱可能な混合器及び乾燥器中で、例えばプラウシェアミキサー、ディスク乾燥器、流動床乾燥器もしくは移動床乾燥器中で、連続的に又は不連続的に実施されうる。
【0024】
さらに、本発明による表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子を含有する分散液が、本発明によって提供されてよい。
【0025】
該分散液の液相は、水、1つ以上の有機溶媒、又は水性/有機組合せ物であってよく、その際該相は、混和性である。
【0026】
液体の有機相は、特に、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール、ブタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、グリコールエステル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノ−、ジ−、トリ−及びポリグリコールエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、塩化エチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタン、シクロヘキサン、ベンジン、石油エーテル、メチルシクロヘキサン、デカリン、ベンゼン、トルエン、並びにキシレンであってよい。エタノール、n−及びイソプロパノール、エチレングリコール、ヘキサン、ヘプタン、トルエン及びo−、m−及びp−キシレンが、有機の液相として特に好ましい。
【0027】
本発明による分散液は、さらにpH調節剤、表面活性添加剤、及び/又は防腐剤を含みうる。
【0028】
本発明による疎水性酸化亜鉛粒子の含有率は、有利には0.5〜60質量%でありうる。本発明による疎水性酸化亜鉛粒子の10〜50質量%、特に35〜45質量%を含有する分散液が特に好ましい。
【0029】
前記分散液における平均粒子サイズは、適切な分散装置を使用して広範囲内で変動されうる。該装置は、例えば、ローター−ステーター機械、粒子が互いの衝突で粒子自体を研磨する高エネルギーミル、遊星型混練機、撹拌ボールミル、振盪装置として操作するボールミル、振盪パネル、超音波装置、又は前述の装置の組合せであってよい。
【0030】
特に小さい粒子サイズが、ローター−ステーター機械及び高エネルギーミルを使用することによって得られうる。平均粒子サイズd50は、本明細書で、動的光散乱によって決定される180nm未満、特に140nm未満の値を呈する。
【0031】
さらに本発明は、本発明による疎水性酸化亜鉛粒子又は本発明による分散液を含有する日焼け防止調合物を提供する。
【0032】
それらは、通常0.5〜20質量%、有利には1〜10質量%、及び特に有利には3〜8質量%の量で日焼け防止調合物中で存在する。
【0033】
本発明による日焼け防止調合物は、当業者に公知の全ての水溶性又は油溶性UVA及びUV−Bフィルターも含んでよい。
【0034】
例えば、
− パラアミノ安息香酸(PABA)及びそれらの誘導体、例えばジメチル−、エチルジヒドロキシプロピル−、エチルヘキシルジメチル−、エチル−、グリセリル−、及び4−ビス(ポリエトキシ)−PABA、
− ケイ皮酸エステル、例えばオクチルメトキシシンナメート、エチルメトキシシンナメート、2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、イソアミルp−メトキシシンナメート、ジイソプロピルシンナメート、2−エトキシエチル4−メトキシシンナメート、DEAメトキシシンナメート(p−メトキシヒドロキシケイ皮酸エステルのジエタノールアミン塩)、ジイソプロピルメチルシンナメートを含有するメチルシンナメート及びメトキシケイ皮酸エステル、
− ベンゾフェノン、例えば2,4−ジヒドロキシ−、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、ナトリウム2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、
− ジベンゾイルメタン、例えばブチルメトキシジベンゾイル−メタン、特に4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
− 2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸及びフェニルジベンゾイミダゾールスルホン酸のエステル、並びにそれらの塩、
−ジフェニルアクリレート、例えばアルキルアルファ−シアノ−ベータ,ベータ−ジフェニルアクリレート、例えばオクトクリレン、
− トリアジン、例えば2,4,6−トリアニリン(p−カルボ−2−エチルヘキシル−1−オキシ)−1,3,5−トリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、及びジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
− カンファー誘導体、例えば4−メチルベンジリデン−及び3−ベンジリデンカンファー、並びにテレフタリリデンジカンファースルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、並びにポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、
− サリチレート、例えばジプロピレングリコール、エチレングリコール、エチレンヘキシル、イソプロピルベンジル、メチル、フェニル、3,3,5−トリメチル、及びTEAサリチレート(2−ヒドロキシ安息香酸と、2,2’,2’’−ニトリロトリセタノールとの化合物)、
− 2−アミノ安息香酸のエステルである。
【0035】
前記の日焼け防止調合物は、100nm〜20μmの粒子サイズで金属酸化物顔料を含有する、当業者に公知の化合物、例えば有機溶剤、増粘剤、乳化剤、軟化剤、消泡剤、抗酸化剤、植物抽出物、湿潤化剤、香料、防腐剤及び/又は染料、錯化剤、アニオン、カチオン、非イオンもしくは両性ポリマー又はそれらの混合物、燃料ガス、並びに微粉末を含有しうる。
【0036】
好適な軟化剤は、特にアボカド油、綿実油、ベヘニルアルコール、ブチルミリステート、ブチルステアレート、セチルアルコール、セチルパルミテート、デシルオレエート、ジメチルポリシロキサン、ジ−n−ブチルセバケート、アザミ油、エイコサニルアルコール、グリセリルモノリシノレエート、ヘキシルラウレート、イソブチルパルミテート、イソセチルアルコール、イソセチルステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソプロピルラウレート、イソプロピルリノレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソステアリン酸、カカオ脂、ココナッツオイル、ラノリン、ラウリルラクテート、コーン油、ミリスチルラクテート、ミリスチルミリステート、オオマツヨイグサ油、オクタデカン−2−オール、オリーブ油、パルミチン酸、パームコア油、ポリエチレングリコール、ナタネ油、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ステアリン酸、ステアリルアルコール、トリエチレングリコールである。
【0037】
好適な乳化剤は、特に、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、PEG1000ジラウレート、PEG1500ジオレエート、PEG200ジラウレート、PEG200モノステアレート、PEG300モノオレエート、PEG400ジオレエート、PEG400モノオレエート、PEG400モノステアレート、PEG4000モノステアレート、PEG600モノオレエート、ポリオキシエチレン(4)ソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)モノオレエート、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(14)ラウレート、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールトリオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールトリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)オキシプロピレンモノステアレート、ポリオキシエチレン(3.5)ノニルフェノール、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレン(5)モノステアレート、ポリオキシエチレン(5)ソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレン(50)モノステアレート、ポリオキシエチレン(8)モノステアレート、ポリオキシエチレン(9.3)オクチルフェノール、ポリオキシエチレンソルビトールラノリン誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールモノオレエート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールセスキオレエート、ソルビトールトリステアレート、ソルビトールトリオレエートである。
【0038】
好適な燃料ガスは、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル及び/又は二酸化炭素であってよい。
【0039】
好適な微粉末は、チョーク、タルク、カオリン、コロイド二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキル−及び/又はトリアルキルアリルアンモニウムスメクタイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウム、ヒュームド二酸化ケイ素、ヒュームド二酸化チタンであってよい。
【0040】
典型的に、本発明による日焼け防止組成物は、エマルション(O/W、W/O、又は複合)、水性もしくは水性−アルコール性ゲル又はオイルゲルの形であってよく、かつローション、クリーム、ミルクスプレー(milk spray)、ムース、スティックの形で、又は他の市販の形で供給されてよい。
【0041】
実施例:
解析方法
BET表面積をDIN 66131に従って決定する。
【0042】
透過型電子顕微鏡写真を、Hitachi社製のTEM装置H7500−2モデルを使用して得る。TEM装置のCCDカメラを使用し、続いて約1000〜2000の凝集物の画像解析を評価する。パラメータの定義は、ASTM 3849−89に従う。球状、楕円形、直鎖、及び分枝鎖状のような凝集物の形状の解析を、Herd et al.、Rubber、Chem.Technol.66(1993)491に従って実施する。
【0043】
実施例1:亜鉛粉末(粒子直径d50=25μm)3kg/hを、窒素流(15Nm3/h)によって、気化域中へ移動し、その際、水素14.5Nm3/h、空気30Nm3/hの水素/空気火炎が燃焼する。該亜鉛を気化する。
【0044】
気化域条件:ラムダ:0.80、平均滞留時間:1009ms、温度:1080℃
【0045】
その後、酸化空気65Nm3/hを反応混合物に添加し、そしてTEOS2.45kg/hを、酸化域中へ噴霧空気4Nm3/hによって導入する。
【0046】
亜鉛酸化域条件:ラムダ8.76;平均滞留時間:29ms、温度:800℃
【0047】
ケイ素酸化域条件:ラムダ4.04;平均滞留時間:51ms、温度:760℃
【0048】
熱い反応混合物を冷却するために、急冷空気200Nm3/hを添加する。そして得られた粉末を、ガス流から濾過によって分離する。
【0049】
該粉末は、第2表において示される物理化学的値を有する。
【0050】
実施例2及び3を、実施例1と同様に実施する。供給材料及び使用された量は、第1表において示す。
【0051】
その物理化学的値を、第2表において示す。
【0052】
本発明による表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子の製造
亜鉛−ケイ素酸化物粒子1Aを、混合器中へ最初に導入する。激しく混合しながら、該粒子を、場合により最初に水で噴霧し、そして表面変性剤で噴霧する。噴霧操作が完了した後に、該粒子をさらに約15分間、後混合し、そして熱処理をする。
【0053】
亜鉛−ケイ素酸化物粒子2A及び3Aを、同様に転化する。供給材料及び反応条件を、第3表において示す。
【0054】
日焼け防止調合物
実施例1Bからの表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子の組合せにおいて、OC=オクトクリレン、OMC=エチルヘキシルメトキシシンナメート、ISA=フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、又はBEMT=ビスエチルヘキシルオキシメトキシフェニルトリアジンのいずれとの相乗効果を示している、本発明による日焼け防止調合物を、以下に挙げる。
【0055】
SPF(日焼け防止要因)の測定を、試験管内で検眼SPF290−S装置を使用して実施する。その結果は、本発明による表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子が、優れた方法で化粧品調合物中に取り込まれうることを示す。
【0056】
実施例4A−C(第5表)
該実施例において、W/Oエマルションのための標準調合物を使用する。実施例1BからのZn−Si酸化物粒子を、その系の油相中へ導入する。
A Zn−Si酸化物を有する標準調合物W/Oエマルション
B OCを有する標準調合物W/Oエマルション
C Zn−Si酸化物とOCとを有する標準調合物W/Oエマルション
【0057】
実施例5A−D(第6表)
該実施例において、O/Wエマルションのための標準調合物を使用する。実施例1BからのZn−Si酸化物粒子を、その系の油相中へ導入する。
A Zn−Si酸化物を有する標準調合物O/Wエマルション
B OCを有する標準調合物O/Wエマルション
C Zn−Si酸化物を有する標準調合物O/Wエマルション
D Zn−Si酸化物+イソステアリン酸を有する標準調合物O/Wエマルション
【0058】
実施例6A−C(第7表)
該実施例において、W/Oエマルションのための標準調合物を使用する。実施例1BからのZn−Si酸化物粒子を、その系の油相中へ導入する。
A Zn−Si酸化物を有する標準調合物W/Oエマルション
B OMCを有する標準調合物W/Oエマルション
C Zn−Si酸化物とOMCAとを有する標準調合物W/Oエマルション
【0059】
実施例7A−D(第8表)
該実施例において、O/Wエマルションのための標準調合物を使用する。実施例1BからのZn−Si酸化物粒子を、その系の油相中へ導入する。
A Zn−Si酸化物を有する標準調合物O/Wエマルション
B OMCを有する標準調合物O/Wエマルション
C Zn−Si酸化物とOMCとを有する標準調合物O/Wエマルション
D Zn−Si酸化物とOMCとイソステアリン酸とを有する標準調合物O/W
【0060】
実施例8A−C(第9表)
該実施例において、W/Oエマルションのための標準調合物を使用する。実施例1BからのZn−Si酸化物粒子を、その系の油相中へ導入する。
A Zn−Si酸化物を有する標準調合物W/Oエマルション
B PISAを有する標準調合物W/Oエマルション
C Zn−Si酸化物とPISAとを有する標準調合物W/Oエマルション
【0061】
実施例9A−D(第10表)
該実施例において、O/Wエマルションのための標準調合物を使用する。実施例1BからのZn−Si酸化物粒子を、その系の油相中へ導入する。
A Zn−Si酸化物を有する標準調合物O/Wエマルション
B PISAを有する標準調合物O/Wエマルション
C Zn−Si酸化物とPISAとを有する標準調合物O/Wエマルション
D Zn−Si酸化物とPISAとイソステアリン酸とを有する標準調合物O/Wエマルション
【0062】
実施例10A−C(第11表)
該実施例において、W/Oエマルションのための標準調合物を使用する。実施例1BからのZn−Si酸化物粒子を、その系の油相中へ導入する。
A Zn−Si酸化物を有する標準調合物W/Oエマルション
B BEMTを有する標準調合物W/Oエマルション
C Zn−Si酸化物とBEMTとを有する標準調合物W/Oエマルション
【0063】
実施例11A−D(第12表)
該実施例において、O/Wエマルションのための標準調合物を使用する。実施例1BからのZn−Si酸化物粒子を、その系の油相中へ導入する。
A Zn−Si酸化物を有する標準調合物O/Wエマルション
B BEMTを有する標準調合物O/Wエマルション
C Zn−Si酸化物とBEMTとを有する標準調合物O/Wエマルション
D Zn−Si酸化物とBEMTとイソステアリン酸とを有する標準調合物O/Wエマルション
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
【表6】

【0070】
【表7】

【0071】
【表8】

【0072】
【表9】

【0073】
【表10】

【0074】
【表11】

【0075】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子であって、
− 該粒子は、コア、コアを取り囲む第一被覆層、及び第一被覆層を取り囲む第二被覆層からなり、その際、
− 前記のコアは、結晶質であり、かつ一次粒子直径10〜75nmを有する凝集酸化亜鉛の一次粒子からなり、
− 第一被覆層は、元素Zn、Si及びOを含有する1つ以上の化合物からなり、
− 前記の第二被覆層は、第一被覆層と化学的に結合された炭素原子1〜20個を有する直鎖及び/又は分枝鎖状のアルキルシリル基を有し、
− 該粒子は、平均凝集物面積40000nm2未満、及び平均凝集物直径(ECD)300nm未満を有し、
− 該粒子は、炭素含有率0.4〜1.5質量%を有し、かつ
− 該粒子は、BET表面積10〜60m2/gを有する
ことを特徴とする、表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子。
【請求項2】
前記の凝集物が、平均の、投影凝集物面積8000〜30000nm2、円相当径(ECD)70〜250nm、及び平均円周500〜2000nmを有することを特徴とする、請求項1に記載の表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子。
【請求項3】
鉛の割合が多くても20ppmであり、ヒ素の割合が多くても3ppmであり、カドミウムの割合が多くても15ppmであり、鉄の割合が多くても200ppmであり、アンチモンの割合が多くても1ppmであり、かつ水銀の割合が多くても1ppmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子。
【請求項4】
請求項1に記載の表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子であって、
− 前記の第二被覆層が、炭素原子1〜8個を有するアルキルシリル基からなり、
− その炭素含有率が、0.8〜1.2質量%であり、
− そのBET表面積が、20〜40m2/gであり、
− その平均凝集物面積が、20000nm2未満であり、かつ平均凝集物直径が、150nm未満である
ことを特徴とする、表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子の製造方法であって、亜鉛−ケイ素酸化物粒子を、それぞれの場合において直鎖及び/又は分枝鎖状の炭素原子1〜20個のアルキル単位を有するシラン、ポリシロキサン及び/又はシラザンを含有する群から選択される、場合により有機溶剤中に溶解された1つ以上の表面変性剤で噴霧し、そしてその混合物を、120〜200℃の温度で0.5〜2時間にわたって、場合により保護ガス下で、熱処理し、その際、使用される表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子が、
− 原子%/原子%で、2〜75のZn/Siの割合を有し、
− 亜鉛−ケイ素酸化物粒子に対して、少なくとも99質量%のZn、Si及びOの割合を有し、
− BET表面積10〜60m2/g、質量平均一次粒子直径10〜75nm、平均凝集物面積40000nm2未満、及び平均凝集物直径(ECD)200nm未満を有し、
− 酸化亜鉛の凝集された一次粒子の結晶コア、及び凝集された酸化亜鉛の一次粒子を取り囲む被覆、並びに元素Si及びOを含有する1つ以上の化合物からなる
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記の表面変性剤が、
− X3Si(Cn2n+1)、X2(R’)Si(Cn2n+1)、X(R’)2Si(Cn2n+1)、X3Si(CH2m−R’、(R)X2Si(CH2m−R’、(R)2XSi(CH2m−R’[式中、XはCl、Brであり、Rはアルキルであり、R’はアルキルであり、nは1〜20であり、mは1〜20である]で示されるタイプのハロオルガノシラン、
− (RO)3Si(Cn2n+1)、R’x(RO)ySi(Cn2n+1)、(RO)3Si(CH2m−R’、(R’’)u(RO)vSi(CH2m−R’[式中、Rはアルキルであり、R’はアルキルであり、nは1〜20であり、mは1〜20であり、x+yは3であり、xは1、2であり、yは1、2であり、u+vは2であり、uは1、2であり、vは1、2である]で示されるタイプのオルガノシラン、
− R’R2Si−NH−SiR2R’[式中、Rはアルキルであり、R’はアルキル、ビニルである]で示されるタイプのシラザン、

【化1】

[式中、Rはアルキル、Hであり、R’はアルキル、Hであり、R’’はアルキル、Hであり、R’’’はアルキル、Hであり、YはCH3、H、Cp2p+1であり、その際pは1〜20であり、YはSi(CH33、Si(CH32H、Si(CH32OH、Si(CH32(OCH3)、Si(CH32(Cp2p+1)であり、その際pは1〜20であり、mは0、1、2、3、...∞であり、nは0、1、2、3、...∞であり、uは0、1、2、3、...∞である]で示されるタイプのポリシロキサン、又は
− D3、D4及び/又はD5のタイプの環状ポリシロキサン
を含む群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子を含む分散液。
【請求項8】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の表面変性された亜鉛−ケイ素酸化物粒子、又は請求項7に記載の分散液を含有する日焼け防止調合物。

【公表番号】特表2010−508229(P2010−508229A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535039(P2009−535039)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057978
【国際公開番号】WO2008/052817
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】