説明

表面実装用電子モジュールのウェハスケール製造の方法

本発明は、樹脂(28)内にモールドされた電子部品(22、23、24)と、一方の面に、非酸化性の金属または合金(21)が堆積される、電子部品の外部出力(26)と、を備える、金属化出力を有するウェハ(2')からのCMS電子モジュールのウェハスケール製造と、酸化性の金属または合金の接触パッド(11)が設けられたプリント回路(1)のウェハスケール製造と、の方法に関する。
本方法は、以下のステップを含む。
・ウェハ(2')を所定のパターンにカットして、少なくとも1つの電子部品を含む再構成モールド部品(30)を得るステップ。
・プリント回路(1)上に再構成部品(30)を実装するステップ。再構成部品の金属化外部出力は、プリント回路の金属化接触パッド(11)と対向して配置される。
・導電性の接着剤またはインクをベースとする材料(10)を用いて、これらの外部出力を、プリント回路の金属化接触パッドに無はんだ接続するステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、CMS電子モジュールとも呼ばれる表面実装二次元電子モジュールのウェハスケール製造の分野である。
【背景技術】
【0002】
電子モジュールは、プリント回路基板(PCB)に接続された電子部品のアレイを含む。
【0003】
これらの電子部品は、次のとおりである。
・受動部品22。コネクタ、コンデンサ、抵抗、変圧器、インダクタなどの種類があり、部品本体の側面に接続要素が配置されている。
・電気機械部品。シリコンにエッチングされる。MEMS(Micro−ElectroMechanical systems(微小電気機械システム))などの名前で知られ、表面実装用接続パッドなどを備える。
・半導体電子部品。もしくは、能動部品または「チップ」と呼ばれるもの。
【0004】
これらの能動部品を、一般にベアチップの1.2倍から5倍の寸法を有するパッケージ用外部出力を備えたパッケージに封入することが知られており、これによってベアチップの扱いが容易になる。ペアチップは基板に接続され、基板自体はパッケージ内に配置され、パッケージは自身の外部接続システムを有する。パッケージへの封入により、特に、チップに対する検査手続きを実行することが可能になり、これによって、チップが実装される回路の製造歩留まりが大幅に向上する。
【0005】
先行技術においては様々な種類のパッケージが知られており、具体的には、リードパッケージ24やボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ23が知られている。これらのパッケージは、基板に表面実装される。
【0006】
場合によっては、これらの電子部品ははんだ付けによって接続され、一般に、はんだは、たとえば、すずと銀、あるいはすずと銀と銅との金属合金で構成される。しかしながら、一部の、主に高温になる用途(石油サービス産業や、自動車、航空機、その他の駆動系)では、はんだ付けは不適である。これは、これらの合金の冶金によって、金属間化合物の層が出現するためである。これらの金属間化合物の成長は、温度によって活性化される(アレニウスの法則)。はんだのエージングが加速されると、はんだの破壊につながる(原因は、たとえば、結晶粒粗大化、金属間拡散、脆性金属間化合物の形成などである)。
【0007】
さらに、所与の能動部品に対して、部品のファミリが増え、パッケージが希薄化すると、パッケージ終端に関して危険な状態が起こる。具体的には、電子組立品は、異種混成システムであるため、信頼性が達成できない場合がある。たとえば、SAC105合金(融点Tm=228℃)をベースとするボールグリッドアレイパッケージは、はんだ終端(Tm=186℃)あるいはすず−銀−銅(SAC305)をベースとするパッケージと適合しない。
【0008】
別の場合では、これらの電子部品は、無はんだで相互接続回路に接続される。そのような相互接続プロセスの一例が、仏国特許第03/15034号明細書に記載されている。このプロセスは特に、基板上に部品を実装することを含み、これらの部品の外部出力は、基板と対向する。この基板は、後で除去される一時的な基板であってよい。このプロセスは、基板の上面に樹脂層を堆積させることを含み、これによって、部品をモールドして、それらの機械的保持を確実にすることが可能であり、したがって、組立品全体は、所与の数の同一パターンで配列された多数の部品を含むことが可能なウェハを形成するように構成され、したがって、ウェハスケールのプロセスを提供するように構成される。そして、このプロセスは、ほぼ平坦な接続面上で部品の外部出力を露出させる、ウェハの表面処理を含む。これらの出力は、所定の電気的接続方式に従って、たとえば、金属層をフォトエッチングすることにより、まとめて接続される。単一の金属化レベルでルーティングを達成できない場合は、複数の金属化レベルを作成してよい。この複数レベル(多層)の相互接続回路は、ウェハ上に形成され、PCB回路は存在しない。ウェハスケールプロセスの場合、ウェハは、最終的には、高温に耐えうる電子デバイスを多数作成するために、さいの目にカットされる。しかしながら、このプロセスには弱点があり、それは、アディティブ堆積手法で5層以上の層からなる回路を作成することが困難であるため、相互接続をあまり複雑にすることができないことである。さらに、ウェハ内に欠陥モールド部品があっても、そのウェハを修復することは不可能である。
【0009】
図1に示す既知の一変形形態によれば、ウェハ2'の組み立ては、PCB回路1の組み立てと切り離されている。そして、これらは、銀ベースのエポキシ接着剤10によって、互いに接続されている。しかしながら、外部出力26のような「すずメッキ」部品同士のボンディングは、すずベースの外部出力26(リード、ボールなど)と銀ベースの接着剤10との間に絶縁界面を発生させる可能性のある湿式熱酸化を引き起こすことが知られている。このことへの対策として、非酸化性金属に接合しなければならないことが知られている。そこで、接続前に、ウェハの外部出力26は、難酸化性または非酸化性金属または合金21(金など)で覆われ、さらに、PCB回路の接触パッド(金属化された接触パッド11)が外部出力に接続される。この実施例によれば、標準的なPCB回路を使用することが可能であるが、ウェハ内に欠陥モールド部品があっても、これを必ず修復できるとは限らない。
【0010】
したがって、現時点でも、上述のすべての要件、すなわち、無はんだ接続、PCB回路の使用、ならびにウェハ内の欠陥モールド部品を修復できることを同時に可能にするCMS電子モジュールのウェハスケール製造のプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
より厳密には、本発明の主題は、一方の面に、樹脂内にモールドされた電子部品と、対向する面に、非酸化性の金属または合金が堆積される、電子部品の外部出力と、を備える、金属化出力を有するウェハからのCMS電子モジュールのウェハスケール製造と、酸化性の金属または合金の接触パッドが設けられたプリント回路のウェハスケール製造と、の方法である。本方法は、主として、以下のステップを含むことを特徴とする。
・ウェハを所定のパターンにカットして、少なくとも1つの電子部品を含む再構成モールド部品を得るステップ。
・プリント回路上に再構成部品を実装するステップ。再構成部品の金属化外部出力は、プリント回路の金属化接触パッドと対向して配置される。
・導電性の接着剤またはインクをベースとする材料を用いて、これらの外部出力を、プリント回路の金属化接触パッドに無はんだ接続するステップ。
【0012】
本方法によれば、ウェハから得られた再構成部品の中に欠陥再構成部品があっても、これを修復することが可能である。
【0013】
金属化出力を有するウェハは、様々な形式でウェハスケール製造を行うことによって得ることが可能である。
【0014】
第1の実施方法によれば、前記ウェハは、以下のステップに従って得られる。
・一時的基板の、上面と呼ばれる側(ボンディング膜の接着面など)に電子部品を実装するステップ。外部出力はこの上面と対向する。
・上面に樹脂層を堆積させることにより、部品をモールドしてウェハを得るステップ。
・一時的基板を除去するステップ。
・上面と対向する、ウェハの底面側に表面処理を、電子部品の外部出力が出現するまで施して、平坦面を得るステップ。
・マスキングにより、外部出力の上にのみ、難酸化性または非酸化性の金属または合金を堆積させるか、この平坦面に金属または合金を堆積させ、外部出力からはみ出した金属または合金を、化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去するステップ。
【0015】
一代替実施形態によれば、前記ウェハは、以下のステップに従って得られる。
・電子部品の外部出力を受ける部分を除く、銅プレートの上面にラッカーを堆積させるステップ。
・外部出力とこれらのラッカー無し部分とが重なるように、このプレートの上面に電子部品を実装し、外部出力を銅プレートにはんだ付けするステップ。
・上面に樹脂層を堆積させることにより、部品を(場合によっては部分的に)モールドしてウェハを得るステップ。
・銅を溶解させることにより除去して、電子部品の外部出力を平坦面上に露出させるステップ。
・マスキングにより、外部出力の上にのみ、難酸化性または非酸化性の金属または合金を堆積させるか、この平坦面に金属または合金を堆積させ、外部出力からはみ出した金属または合金を、化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去するステップ。
【0016】
別の実施方法によれば、前記ウェハは、以下のステップに従って得られる。
・電子部品の外部出力を受ける部分を除く、銅プレートの上面にラッカーを堆積させるステップ。
・外部出力とこれらのラッカー無し部分とが重なるように、このプレートの上面に電子部品を実装し、外部出力を銅プレートにはんだ付けするステップ。
・上面に樹脂層を堆積させることにより、部品を(場合によっては部分的に)モールドしてウェハを得るステップ。
・銅プレートの、下面と呼ばれる反対側に、難酸化性または非酸化性の金属または合金を堆積させるステップ。
・金属または合金の、外部出力のほぼ下に位置する部分にラッカーを堆積させるステップ。
・これらの部分からはみ出した金属または合金および銅を除去して、ラッカー塗布された金属化出力を露出させるステップ。
・これらの部分、すなわち、これらのラッカー塗布された出力からラッカーを除去して、金属化出力を得るステップ。
【0017】
第3の実施方法によれば、前記ウェハは、以下のステップに従って得られる。
・一時的基板の、上面と呼ばれる側(ボンディング膜の接着面など)に電子部品を実装するステップ。外部出力はこの上面と対向する。
・上面に樹脂層を堆積させることにより、部品を(場合によっては部分的に)モールドしてウェハを得るステップ。
・一時的基板を除去するステップ。
・上面の反対側である、ウェハの下面を、プラズマを用いてエッチングすることにより、外部出力を露出させるステップ。
・マスキングにより、外部出力の上にのみ、難酸化性または非酸化性の金属または合金を堆積させるか、この平坦面に金属または合金を堆積させ、外部出力からはみ出した金属または合金を、化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去するステップ。
【0018】
別の実施方法によれば、この最後の堆積ステップは、以下のステップに置き換えられる。
・下面全体に金属シード層を堆積させるステップ。
・各外部出力に沿ってフォトエッチングされるフォトレジスト層を堆積させるステップ。
・シード層があることにより、電気化学的に堆積されるニッケルまたは金を選択的に堆積させるステップ。
・フォトレジスト層およびシード層を溶解させるステップ。
【0019】
非限定的な例として与えられる以下の詳細説明を、添付図面を参照しながら読むことにより、本発明の他の特徴および利点が明らかになるであろう。
【0020】
複数の図面を通して、同一要素は、同じ参照符号で識別される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】先行技術による、PCB回路に接続されるウェハを概略的に示す図である。
【図2】本発明による、PCB回路に接続される再構成部品を概略的に示す図である。
【図3】金属化外部出力を有するウェハの第1の実施形態を概略的に示す図である。
【図4】金属化外部出力を有するウェハの第2の実施形態を概略的に示す図である。
【図5】金属化外部出力を有するウェハの第3の実施形態を概略的に示す図である。
【図6】金属化外部出力を有するウェハの第4の実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2に示すように、金属化接触パッド11を有するPCB回路1と、金属化外部出力を有するウェハ2'とから、電子モジュールを作成する。
【0023】
ウェハ2'は、「電子部品」という用語で呼ばれるリード付きパッケージ24および/またはボールグリッドアレイパッケージ23および/または受動部品22および/またはMEMSを含んでおり、これらは樹脂28内にモールドされている。ウェハの一方の面に、これらの部品の外部出力26が出現しており、これらの出力の上に、難酸化性または非酸化性の金属または合金21(金や、ニッケル層に金層を重ねたものなど)が堆積されている。
【0024】
PCB回路1は、一般に、積層された複数の層(レベル)のルーティングトラックを含んでおり、各層間のトラック同士のリンクは、金属化バイアによってなされている。電子部品を受ける最上層はさらに、それらの部品の外部出力と接続される接触パッドを含んでいる。外部出力の場合と同様に、これらの接触パッドも、難酸化性または非酸化性の金属または合金(金や、ニッケル層に金層を重ねたものなど)で覆われている。金属化接触パッド11上に、金属化接触パッド11を金属化外部出力と接続するための接続要素10(たとえば、導電性の接着剤またはインク)が堆積されている。
【0025】
本発明によれば、金属化外部出力を有するウェハ2'は、さいの目にカットされて、それぞれが電子部品22、23、24のうちの1つを含むか、複数個を含むかに応じて、単種再構成部品または多種再構成部品と呼ばれる複数部分30になる。金属化外部出力を有するモールド部品である、これらの再構成部品30は、たとえば、図2に示すように、PCB回路1上に実装されて、ボンディングにより接続される。したがって、得られるCMS電子モジュールは、完全な電子機能を実行することが可能であり、これらの中に欠陥再構成部品があっても修復が可能である。そのためには、欠陥再構成部品をデボンディングして修復するだけでよい。
【0026】
無はんだ接続は、硬化(正確には架橋)された、銀ベースのエポキシ熱硬化性接着剤10、または非酸化性金属粒子をベースとする熱可塑性接着剤を用いるボンディングによって達成される。無はんだ接続はまた、銀ナノ粒子を含むインクを焼結することによっても可能である。焼結は、材料を強化することであり、これは、材料を融解させない程度にエネルギを加えることによって行われる。本例では、材料は、銀ナノ粒子を含むインクである。このエネルギの作用により、ナノ粒子同士は、溶接されて一体化し、機械的かつ電気的なリンクを形成する。本例では、インクは、PCB回路の接触パッド上に堆積される。
【0027】
再構成プラスチックパッケージ(一般に、パッケージは電子チップを収容する)の概念、すなわち、金メッキの接触パッドを備え、標準的なプリント回路にボンディングすることが可能であることは、非常に有利である。導電性の接着剤またはインクを用いてボンディングを行うことにより、これらの再構成パッケージを、(100℃前後の)低温でプリント回路に電気的にボンディングすることが可能になる。
【0028】
無はんだ接続は、現在世界中で使用されている製造ラインに対して、ほぼすべての電子カードに関して、以下の点で有利である。
・無鉛はんだを使用する場合、プリント回路の信頼性は不明である。これは、はんだリフロー温度が30℃から40℃上昇しているためである。
・防衛分野、航空分野、および自動車分野向けのような高感度電子カードを製造している機器製造業者らは、前記カードの信頼性が変わらないようにするために、はんだリフロー温度を無鉛はんだの登場以前のレベルに保つことを義務づけられている。このため、機器製造業者らは、すずと鉛を含有する(融点が183℃の)旧式のはんだを、無鉛はんだを有する部品とともに使用することになる。このアプローチは、はんだ接合箇所の信頼性を再評価するための試験の後であれば容認できる可能性があるが、パッケージ上で使用される無鉛はんだの組成は頻繁に変更される。頻繁に変更される理由は電話機業界にあり、個々の要件を満たすために無鉛はんだの組成が変更されるためである。それらの要件は、主として、電話機の衝撃検査(落下検査)におけるはんだ接合箇所の保全性に関するものであるため、「SAC」ファミリとしてまとめられる多くの三元合金(すなわち、すず、銀、および銅を含有する合金)が開発されており、これらは新規な四元合金を有するが、これらは、はんだ接合箇所の信頼性向上のための最適化がなされない。したがって、一定レベルの信頼性を保証したい機器製造業者らは、そのようにするはずがなく、
・すべての表面実装機器を、変更せずに用いることが可能であり、
・従来のはんだペーストの代わりに接着剤をスクリーン印刷し、
・再構成部品を、標準部品とまったく同様に自動実装し、
・はんだペースト用リフローオーブンと同じ硬化オーブンを、より低い温度(たとえば、無鉛はんだの場合の250〜260℃ではなく、100℃)で使用する。
【0029】
これらすべての理由により、既に金メッキ接触パッドを有するプリント回路に、金メッキ接触パッドを有するように再構成パッケージをボンディングすることにより、既存の主要な製造手段を用いたまま、製造工程の信頼性が得られる(さらに、プリント回路にかかる温度が、鉛を用いる標準的な製造ラインにかかる温度(すなわち、220℃)に比べて非常に低いため、いっそう信頼性が高くなる)。
【0030】
金属化外部出力を有するウェハ2'は、様々な方法により得られる。
【0031】
図3に関連して記載される第1の実施方法によれば、ウェハ2'の製造は、以下のステップを含む。
・一時的基板の上面(たとえば、ボンディング膜とも呼ばれる接着シート27のボンディング面)に、電子部品(パッケージ23、24、およびMEMS、または受動部品22)を実装する(図3a)。
・上面に樹脂層28を堆積させることにより、部品22、23、24をモールドして、これらの部品の相互の機械的保持を確実にする(図3b)。たとえば、これらの部品の上に、必要であれば高温で、(自然硬化する)エポキシ樹脂を堆積させて、それらの部品を(場合によっては部分的に)覆い、所与の数の同一パターンを含むことが可能なウェハ2を形成する。
・一時的基板27を、たとえば、剥離により、除去して(図3c)、出現するすべての外部出力26(すべての表面実装部品のリード、ボール、または接触パッド)の端部を露出させる。
・接続部分を研磨面処理にかけて「リフレッシュ」して、あらゆる酸化物層、硫化物層、または塩化物層を除去することにより、外部出力がボールである場合の接続部分の露出を増やす。
・外部出力26の上にのみ、この平坦面に対する液体処理、気体処理、または固体処理により、難酸化性または非酸化性の金属または合金21を堆積させ(図3d)、外部出力からはみ出した金属または合金は、化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去する。
【0032】
この第1の実施形態は、ボンディング膜上に表面実装される部品の中に受動部品22が含まれる場合には、弱点がある。すなわち、図1および図2に示した受動部品の幾何学的形状により、表面処理時に、ボンディング膜と接触している部品22の本体も研磨されるため、受動部品が損傷するという弱点がある。この後に示す実施形態によれば、受動部品の保全性を維持することが可能である。
【0033】
図4に関連して記載される第2の実施形態によれば、ウェハ2'の製造は、以下のステップを含む。
・電子部品の外部出力を受ける部分42を除く銅プレート41の上に、厚さ25〜100μmのラッカー40を堆積させる。
・外部出力26とこれらのラッカー無し部分42とが重なるように、電子部品22、23、24を、この銅プレート41上に実装し(図4a)、はんだペーストにより、外部出力26を銅プレート41にはんだ付けする(図4b)。このはんだ付け作業の間に、ボールが融解して、銅と接触しているボールの表面積が、ボールの直径断面の面積とほぼ同じ(すなわち、約200μm)になる。
・このラッカー塗布された銅プレートの上に樹脂層28を堆積させることにより(図4c)、部品をモールドして、これらの部品の相互の機械的保持を確実にする。これに伴い、たとえば、これらの部品の上に、必要であれば高温で、(自然硬化する)エポキシ樹脂を堆積させて、それらの部品を(場合によっては部分的に)覆い、所与の数の同一パターンを含むことが可能なウェハを形成する。
・銅41を溶解させて除去する(図4d)。
・液体処理、気体処理、または固体処理により、難酸化性または非酸化性の金属または合金21を外部出力の上に堆積させ(図4e)、外部出力26だけを露出させるか、平坦面全体に前記金属または合金を堆積させ、外部出力からはみ出した金属または合金を化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去する。
【0034】
図5に関連して記載される第3の実施形態によれば、ウェハ2'の製造は、以下のステップを含む。
・電子部品の外部出力を受ける部分42を除く銅プレート41の上に、厚さ25〜100μmのラッカー40を堆積させる。
・外部出力26とこれらのラッカー無し部分42とが重なるように、電子部品22、23、24を、この銅プレート41上(ラッカー塗布面上)に実装し、はんだペーストにより、外部出力26を銅プレートにはんだ付けする。これは、既述の実施形態と同様であり、図4aおよび図4bに示したとおりである。
・このラッカー塗布された銅プレートに、樹脂層28を堆積させることにより、部品をモールドして、これらの部品の相互の機械的保持を確実にする。これは既述の実施形態と同様であり、図5aに示すとおりである。
・この銅プレート41の全面にわたる銅の上に、難酸化性または非酸化性の金属または合金21を堆積させる(図5b)。
・その金属または合金の、外部出力26のほぼ下の部分に、(フォトエッチング可能であってもなくてもよい)ラッカー43を堆積させて、それらの部分を、次のステップの間、保護する(図5c)。
・これらの保護部分からはみ出した金属または合金21および銅41を、たとえば、溶解させることにより、除去して、ラッカー塗布された金属化出力を露出させる。これは、この段階では、外部出力の上に銅、難酸化性または非酸化性の金属または合金、およびラッカーからなるスタックを構成している(図5d)。
・これらの部分、すなわち、これらのラッカー塗布された出力から、ラッカー43を(たとえば、化学的に溶解させることによって)除去することにより、元の外部出力26の上に、銅41と、難酸化性または非酸化性の金属または合金21とからなるスタックを含む金属化出力が得られる(図5e)。
【0035】
図6に関連して記載される第4の実施形態によれば、ウェハ2'の製造は、以下のステップを含む。
・図3aに示したように、一時的基板の、上面と呼ばれる一方の面(ボンディング膜の接着面など)に電子部品を実装する。
・図3bに示したように、この上面に樹脂層を堆積させることにより、部品をモールドして、これらの部品の相互の機械的保持を確実にする。これは既述の実施形態と同様である。
・図3cに示したように、一時的基板を、たとえば、剥離により、除去して、出現するすべての外部出力(すべての表面実装部品のリード、ボール、または接触パッド)の端部を露出させる。
・一時的基板が除去されて露出した面を、プラズマ(たとえば、酸素/過フッ化炭化水素(O2/CF4)混合物のプラズマ)を用いてエッチングすることにより(図6a)、外部出力26を、樹脂28から、10〜100μmの厚さeにわたって露出させる。このプラズマにより、エポキシ樹脂28とこの樹脂の中のシリカビーズとがエッチングされるが、受動部品のボール、リード、および接触パッドの金属はエッチングされない(図6b)。
・図3dに示したように、マスキングにより、外部出力26の上にのみ、難酸化性または非酸化性の金属または合金21を堆積させるか、この平坦面に金属または合金21を堆積させ、外部出力からはみ出した金属または合金は、化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去する。
【0036】
第5の実施形態によれば、ウェハ2'の製造は、第4の実施形態に関して記載されたものと同じステップを含み、最後の金属堆積ステップが以下のステップに置き換えられる。
・下面全体に金属シード層を堆積させる。
・フォトレジスト層を堆積させる。フォトレジスト層は、各外部出力26に沿ってフォトエッチングされる。
・ニッケルまたは金を選択的に堆積させる。ニッケルまたは金は、シード層があることにより、電気化学堆積によって生成される。
・フォトレジスト層(すなわち、フォトエッチング可能な樹脂の層)を溶解させて、シード層とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(28)内にモールドされた電子部品(22、23、24)と、一方の面に、非酸化性の金属または合金(21)が堆積される、前記電子部品の外部出力(26)と、を備える、金属化出力を有するウェハ(2')からのCMS電子モジュールのウェハスケール製造と、酸化性の金属または合金の接触パッド(11)が設けられたプリント回路(1)のウェハスケール製造と、の方法であって、
・前記ウェハ(2')を所定のパターンにカットして、少なくとも1つの電子部品を含む再構成モールド部品(30)を得るステップと、
・前記プリント回路(1)上に前記再構成部品(30)を実装するステップであって、前記再構成部品の前記金属化外部出力は、前記プリント回路の前記金属化接触パッド(11)と対向して配置される、前記ステップと、
・導電性の接着剤またはインクをベースとする材料(10)を用いて、前記外部出力を、前記プリント回路の前記金属化接触パッドに無はんだ接続するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
金属化出力を有する前記ウェハ(2')は、
・一時的基板(27)の、上面と呼ばれる側に、前記電子部品(22、23、24)を実装するステップであって、前記外部出力(26)は前記上面と対向する、前記ステップと、
・前記上面に樹脂層(28)を堆積させることにより、前記部品(22、23、24)をモールドしてウェハ(2)を得るステップと、
・前記一時的基板(27)を除去するステップと、
・前記上面と対向する、前記ウェハ(2)の底面側に表面処理を、前記電子部品の前記外部出力(26)が出現するまで施して、平坦面を得るステップと、
・マスキングにより、前記外部出力(26)の上にのみ、前記難酸化性または非酸化性の金属または合金(21)を堆積させるか、前記平坦面に前記金属または合金(21)を堆積させ、前記外部出力(26)からはみ出した前記金属または合金を、化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去するステップと、
に従って得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
金属化出力を有する前記ウェハ(2')は、
・前記電子部品の前記外部出力(26)を受ける部分(42)を除く、銅プレート(41)の上面にラッカー(40)を堆積させるステップと、
・前記外部出力(26)と前記ラッカー無し部分(42)とが重なるように、前記プレートの前記上面に前記電子部品(22、23、24)を実装し、前記外部出力(26)を前記銅プレート(41)にはんだ付けするステップと、
・前記上面に樹脂層(28)を堆積させることにより、前記部品をモールドしてウェハ(2)を得るステップと、
・前記銅(41)を、溶解させることにより除去して、前記電子部品の前記外部出力(26)を平坦面上に露出させるステップと、
・マスキングにより、前記外部出力(26)の上にのみ、前記難酸化性または非酸化性の金属または合金(21)を堆積させるか、前記平坦面に前記金属または合金を堆積させ、前記外部出力からはみ出した前記金属または合金を、化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去するステップと、
に従って得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
金属化出力を有する前記ウェハ(2')は、
・前記電子部品の前記外部出力を受ける部分(42)を除く、銅プレート(41)の上面にラッカー(40)を堆積させるステップと、
・前記外部出力(26)と前記ラッカー無し部分(42)とが重なるように、前記プレートの前記上面に前記電子部品(22、23、24)を実装し、前記外部出力(26)を前記銅プレート(41)にはんだ付けするステップと、
・前記上面に樹脂層(28)を堆積させることにより、前記部品をモールドしてウェハ(2)を得るステップと、
・前記銅プレート(41)の、下面と呼ばれる反対側に、前記難酸化性または非酸化性の金属または合金(21)を堆積させるステップと、
・前記外部出力(21)のほぼ下に位置する部分でのスクリーン印刷により、前記金属(21)上にラッカー(43)を堆積させるステップと、
・前記部分からはみ出した前記金属または合金(21)および銅(41)を除去して、前記ラッカー塗布された金属化出力を露出させるステップと、
・前記部分、すなわち、前記ラッカー塗布された出力から前記ラッカー(43)を除去して、金属化出力を得るステップと、
に従って得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
金属化出力を有する前記ウェハ(2')は、
・一時的基板(27)の、上面と呼ばれる側に、前記電子部品(22、23、24)を実装するステップであって、前記外部出力(26)は前記上面と対向する、前記ステップと、
・前記上面に樹脂層(28)を堆積させることにより、前記部品をモールドしてウェハ(2)を得るステップと、
・前記一時的基板(27)を除去するステップと、
・前記上面の反対側である、前記ウェハ(2)の下面を、プラズマを用いてエッチングすることにより、前記外部出力(26)を露出させるステップと、
・マスキングにより、前記外部出力(26)の上にのみ、前記難酸化性または非酸化性の金属または合金(21)を堆積させるか、前記平坦面に前記金属または合金を堆積させ、前記外部出力からはみ出した前記金属または合金を、化学エッチングまたはレーザアブレーションまたはサンドブラスチングにより除去するステップと、
に従って得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
金属化出力を有する前記ウェハ(2')は、
・一時的基板(27)の、上面と呼ばれる側に、前記電子部品(22、23、24)を実装するステップであって、前記外部出力(26)は前記上面と対向する、前記ステップと、
・前記上面に樹脂層(28)を堆積させることにより、前記部品をモールドしてウェハ(2)を得るステップと、
・前記一時的基板(27)を除去するステップと、
・前記上面の反対側である、前記ウェハ(2)の下面を、プラズマを用いてエッチングすることにより、前記外部出力(26)を露出させるステップと、
・前記下面全体に金属シード層を堆積させるステップと、
・各出力(26)に沿ってフォトエッチングされるフォトレジスト層を堆積させるステップと、
・前記シード層があることにより、電気化学的に堆積されるニッケルまたは金を選択的に堆積させるステップと、
・前記フォトレジスト層および前記シード層を溶解させるステップと、
に従って得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非酸化性の金属または合金(21)は、金、または、ニッケル層に金層を重ねたものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−513109(P2012−513109A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541475(P2011−541475)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067530
【国際公開番号】WO2010/070103
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(507091026)
【氏名又は名称原語表記】3D PLUS
【Fターム(参考)】