説明

表面形状認識センサ装置

【課題】被検体からの静電気放電による回路破壊を抑制し、静電気放電耐性を改善する。
【解決手段】互いに隣接配置された複数の検出素子1Bからなり、センサアレイ4の中央部P以外の領域に分散配置した複数のインピーダンス検出領域4Bと、互いに隣接配置された複数の検出素子1Cからなり、各インピーダンス検出領域4Bの外周部をそれぞれ全周にわたって囲うように設けられた離間領域4Cと、互いに隣接配置された複数の検出素子1Aからなり、各離間領域4Cの外周部をそれぞれ全周にわたって囲うように設けられた容量検出領域4Aとから、センサアレイ4を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認識技術に関し、特に被検体から指紋などの生体情報を検出して個人認識を行う際に、その被検体が生体か否かを判定する表面形状認識技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体から指紋などの生体情報を検出して個人認識を行う表面形状認識センサ装置において、その被検体が生体か否かを判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
図4は、従来の表面形状認識センサ装置の概観図である。図5は、従来の表面形状認識センサ装置の概略構成を示すブロック図である。
【0003】
この表面形状認識センサ装置10のセンサアレイ4には、複数の検出素子1A,1B,1Cが格子状(行列マトリクス状)に配置されている。これら検出素子1A,1B,1Cには、絶縁膜14を介して被検体9と接触する電極11A,11B,11Cが設けられており、被検体9の表面形状との間に生じた静電容量を検出する。
表面形状検出部2は、各検出素子1A,1B,1Cで得られた静電容量を信号処理することにより、被検体9表面の微細な凹凸形状を示す2次元の表面形状データ2Sを生成して出力する。
【0004】
また、検出素子1A,1B,1Cには、被検体9と電気的に接触する検出電極12A,12B,12Cが設けられている。このうち、検出素子1Bの電極12Bが生体認識部3に接続されており、検出素子1Aの検出電極11Aが所定の共通電位に接続されている。
生体認識部3は、検出電極12Aと検出電極12Bとの間に接続された被検体9のインピーダンスに応じて変化する信号に基づいて、被検体9が生体か否かを判定し、その判定結果を生体認識結果3Sとして出力する。
【0005】
図6は、従来の表面形状認識センサ装置で用いられる検出素子の構成を示す説明図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のD−D断面図である。
検出素子1Aは、表面形状認識センサ装置10のセンサアレイ4に格子状に配列された検出電極11Aと、この検出電極11Aの周部を囲むよう離間した位置に壁状に形成された検出電極12Aとから構成されている。同様に、検出素子1Bは、格子状に配列された検出電極11Bと、この検出電極11Bの周部を囲むよう離間した位置に壁状に形成された検出電極12Bとから構成されている。また検出素子1Cは、格子状に配列された検出電極11Cと、この検出電極11Cの周部を囲むよう離間した位置に壁状に形成された検出電極12Cとから構成されている。
【0006】
検出電極11A、11B,llCは金属膜からなり、被検体9と近接する上側が絶縁膜14で覆われ、被検体9を対向検出電極として容量素子を形成する。この際、被検体の表面形状の凹凸によりこれら検出電極間の距離が変化することから、その表面形状の凹凸に応じた静電容量が形成される。
一方、検出電極12A,12B,12Cは、上側が露出して被検体9と電気的に接触する。これにより、検出電極12Aに接続されている共通電位が被検体9に印加されるとともに、検出電極12Bを介して被検体9のインピーダンスが生体認識部3へ接続されることになる。
【0007】
また、被検体9のインピーダンスは、検出電極12Aと検出電極12Bとの距離によって変化する。したがって、検出電極12Aと検出電極12Bとの距離を特定するため、検出素子1Aと検出素子1Bとの間に、互いに隣接配置された複数の検出素子1Cが配置されている。
この際、隣接する検出素子1A間、検出素子1B間、および検出素子1C間で、それぞれ検出電極12A,12B,12Cを互いに共用している。したがって、検出素子1Cと検出素子1A,1Bとが隣接する境界には、検出電極12A,12Cの間、および検出電極12B,12Cの間に切り欠き部13を設けて、両者を電気的に絶縁している。
【0008】
図7は、従来の表面形状認識センサ装置における検出素子の配置例を示す説明図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)のE−E断面図である。この配置例では、検出素子1Bを複数隣接配置したインピーダンス検出領域4Bを、センサアレイ4のほぼ中央部に島状に配置し、検出素子1Cを複数隣接配置した離間領域4Cを、インピーダンス検出領域4Bの外周部を全周にわたって囲うように枠状に配置し、さらに検出素子1Aを複数隣接配置した容量検出領域4Aを、離間領域4Cの外周部を全周にわたって囲うように配置している。
【0009】
【特許文献1】国際公開番号:WO2005/019767A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の表面形状認識センサ装置では、被検体9のインピーダンスを検出するためのインピーダンス検出領域4Bがセンサアレイ4の中央部に配置していたため、被検体9に高い静電気が帯電していた場合、インピーダンス検出領域4Bの検出素子1Bに静電気が放電されて、内部回路が破壊されやすいという問題点があった。
特に、センサアレイ4の中央部Pは、被検体9をセンサアレイ4に押圧する際、被検体9と最初に接触する。また、検出素子1Bの検出電極12Bは、共通電位に接続されている検出電極12Aや電気的に解放されている検出電極12Cとは異なり、生体認識部3内部の電子回路に直接接続されている。このため、被検体9からインピーダンス検出領域4Bの検出素子1Bに静電気が放電されて内部回路が破壊されやすい。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、被検体からの静電気放電による回路破壊を抑制し、静電気放電耐性を改善できる表面形状認識センサ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明にかかる表面形状認識センサ装置は、絶縁膜を介して被検体と接触する第1の検出電極および被検体と電気的に接触する第2の検出電極を含む複数の検出素子を、2次元に配列したセンサアレイと、各検出素子の第1の検出電極で得られた被検体との間の容量に基づき表面形状の凹凸を検出する表面形状検出部と、検出素子のうち第1および第2の検出素子の第2の検出電極間に接続された被検体のインピーダンスに応じた信号に基づき被検体が生体であるか否かを判定する生体認識部とを備え、センサアレイは、互いに隣接配置された複数の第2の検出素子からなり、当該センサアレイの中央部以外の領域に分散配置した複数のインピーダンス検出領域と、検出素子のうち互いに隣接配置された複数の第3の検出素子からなり、各インピーダンス検出領域の外周部をそれぞれ全周にわたって囲うように設けられた離間領域と、互いに隣接配置された複数の第1の検出素子からなり、各離間領域の外周部をそれぞれ全周にわたって囲うように設けられた容量検出領域とからなる。
【0013】
この際、センサアレイを、離間領域に囲われた1つのインピーダンス検出領域が中央部に配置され、当該離間領域の周部を全周にわたって囲うように容量検出領域が設けられた1つ以上のインピーダンス検出ユニットと、全域にわたって容量検出領域が設けられた1つ以上の容量検出ユニットとから構成し、容量検出ユニットは、センサアレイを格子状に分割して得られた複数の分割領域うち当該センサアレイの中央部に位置する分割領域に配置し、インピーダンス検出ユニットは、容量検出ユニットが配置された分割領域以外の分割領域に配置してもよい。
【0014】
また、センサアレイは、離間領域に囲われた1つのインピーダンス検出領域が中央部に配置され、当該離間領域の周部を全周にわたって囲うように容量検出領域が設けられた4つのインピーダンス検出ユニットからなり、これらインピーダンス検出ユニットは、センサアレイを格子状に4分割して得られた4つの分割領域にそれぞれ隣接配置する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被検体に帯電していた静電気は、センサアレイの中央部に配置された容量検出領域の検出素子に放電されやすくなり、インピーダンス検出領域の検出素子にある検出電極には流れにくくなる。
このため、被検体に帯電している静電気による生体認識部内部の電子回路の破壊を抑制することができ、表面形状認識センサ装置全体の静電気放電耐性を改善することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置における検出素子の配置例を示す説明図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。
【0017】
本実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置100は、指の指紋などの微細な凹凸を有する被検体の照合対象表面の形状と照合データと比較照合することにより被検体の認証を行う表面形状認識装置において、被検体の表面形状を検出する回路装置として用いられる。
表面形状認識センサ装置100の概観、概略構成、および検出素子の構成については、前述した従来の表面形状認識センサ装置10で示した図4〜図6と同等である。なお、以下では、前述した図4〜図7と同じまたは同等部分について、同一符号を用いて説明する。
【0018】
本実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置100のセンサアレイ4には、前述した検出素子1A,1B,1Cが、格子状に2次元配列されている。これら検出素子1A,1B,1Cには、絶縁膜14を介して被検体9と接触する検出電極(第1の検出電極)11A,11B,11Cと、被検体9と電気的に接触する検出電極(第2の検出電極)12A,12B,12Cとが設けられている。
このうち、検出電極11A,11B,11Cは、表面形状検出部2に接続されており、検出電極12Bは、生体認識部3に接続されている。また、検出電極12Aは、接地電位や電源電位などの所定の共通電位に接続されており、検出電極12Cは電気的に解放されている。
【0019】
このセンサアレイ4は、図1に示すように、容量検出領域4A、インピーダンス検出領域4B、および離間領域4Cから構成されている。
インピーダンス検出領域4Bは、互いに隣接配置された複数の検出素子1Bからなり、センサアレイ4の中央部P以外の領域に分散配置されている。
離間領域4Cは、互いに隣接配置された複数の検出素子1Cからなり、各インピーダンス検出領域4Bの外周部をそれぞれ全周にわたって囲うように設けられている。
容量検出領域4Aは、互いに隣接配置された複数の検出素子1Aからなり、各離間領域4Cの外周部をそれぞれ全周にわたって囲うように設けられている。
【0020】
図1では、4つのインピーダンス検出領域4Bをセンサアレイ4に配置した例が示されているが、これに限定されるものではなく、1つ以上のインピーダンス検出領域4Bがセンサアレイ4のうち中央部P以外の領域に分散配置されていればよい。
【0021】
したがって、表面形状検出部2は、センサアレイ4のうち、容量検出領域4A、インピーダンス検出領域4B、および離間領域4Cに配置された検出電極11A,11B,11Cで得られた、それぞれの検出電極と被検体9との間の静電容量を信号処理することにより、被検体9表面の微細な凹凸形状を示す2次元の表面形状データ2Sを生成して出力する。
また、生体認識部3は、容量検出領域4Aおよびインピーダンス検出領域4Bに配置された検出電極12Aと検出電極12Cとの間に接続された被検体9のインピーダンスに応じて変化する信号に基づいて、被検体9が生体か否かを判定し、その判定結果を生体認識結果3Sとして出力する。
【0022】
センサアレイ4の中央部Pは、被検体9をセンサアレイ4に押圧する際、被検体9と最初に接触する。本実施の形態では、図1に示すように、インピーダンス検出領域4Bが、センサアレイ4の中央部P以外の領域に分散配置されており、中央部Pには、容量検出領域4Aが配置されている。したがって、被検体9に静電気が帯電していた場合、センサアレイ4の中央部Pに配置された容量検出領域4Aの検出素子1Aに静電気が放電されて、その検出電極11Aから共通電位へ静電気が流れることになる。このため、被検体9に帯電していた静電気は、インピーダンス検出領域4Bの検出素子1Bにある検出電極12Bには流れにくくなり、生体認識部3内部の電子回路の破壊を抑制することが可能となる。
【0023】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、インピーダンス検出領域をセンサアレイの中央部以外の領域に分散配置し、中央部には容量検出領域を配置するようにしたので、被検体に帯電していた静電気は、センサアレイの中央部に配置された容量検出領域の検出素子に放電されやすくなり、インピーダンス検出領域の検出素子にある検出電極には流れにくくなる。
このため、被検体に帯電している静電気による生体認識部内部の電子回路の破壊を抑制することができ、表面形状認識センサ装置全体の静電気放電耐性を改善することが可能となる。
【0024】
[第2の実施の形態]
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置について説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置における検出素子の配置例を示す説明図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のB−B断面図である。
【0025】
第1の実施の形態では、センサアレイ4の中央部以外の領域にインピーダンス検出領域4Bを分散配置した場合を例として説明した。本実施の形態では、センサアレイ4を格子状に分割して得られた複数の分割領域うち当該センサアレイの中央部に位置する分割領域に、インピーダンス検出領域4Bを持たない容量検出ユニット42を配置し、インピーダンス検出領域4Bを持つインピーダンス検出ユニットを、容量検出ユニットが配置された分割領域以外の分割領域に配置する場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置100のうち、センサアレイ4以外の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0026】
本実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置100で用いられるセンサアレイ4は、図2に示すように、インピーダンス検出ユニット41と容量検出ユニット42とが隣接配置されて構成されている。
インピーダンス検出ユニット41は、容量検出領域4A、インピーダンス検出領域4B、および離間領域4Cから構成されている。このインピーダンス検出ユニット41には、離間領域4Cに囲われた1つのインピーダンス検出領域4Bが、インピーダンス検出ユニット41の中央部に配置され、離間領域4Cの周部を全周にわたって囲うように容量検出領域4Aが設けられている。また、容量検出ユニット42は、容量検出領域4Aのみから構成されている。
【0027】
容量検出ユニット42は、センサアレイ4を格子状に分割して得られた複数の分割領域、図2の場合には9分割した分割領域のうち、センサアレイ4の中央部に位置する分割領域に配置されている。また、インピーダンス検出ユニットは、容量検出ユニット42が配置された分割領域以外の分割領域に配置されている。図2では、センサアレイ4を9分割した場合を例として説明したが、これ限定されるものではなく、他の分割数を用いてもよい。また、図2の例では、センサアレイ4中央部Pに、1つの容量検出ユニット42を配置した場合を例として説明したが、複数の容量検出ユニット42を中央部Pに隣接配置してもよい。
【0028】
センサアレイ4の中央部Pは、被検体9をセンサアレイ4に押圧する際、被検体9と最初に接触する。本実施の形態では、図2に示すように、インピーダンス検出領域4Bが設けられたインピーダンス検出ユニット41が、センサアレイ4の中央部P以外の領域に分散配置されており、中央部Pには、インピーダンス検出領域4Bを持たない容量検出領域4Aが配置されている。
【0029】
したがって、被検体9に静電気が帯電していた場合、センサアレイ4の中央部Pに配置された容量検出領域4Aの検出素子1Aに静電気が放電されて、その検出電極11Aから共通電位へ静電気が流れることになる。このため、被検体9に帯電していた静電気は、インピーダンス検出領域4Bの検出素子1Bにある検出電極12Bには流れにくくなり、生体認識部3内部の電子回路の破壊を抑制することが可能となる。
【0030】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、センサアレイを格子状に分割して得られた複数の分割領域うち当該センサアレイの中央部に位置する分割領域に、インピーダンス検出領域を持たない容量検出ユニットを配置し、インピーダンス検出領域4Bを持つインピーダンス検出ユニットを、容量検出ユニットが配置された分割領域以外の分割領域に配置するようにしたので、被検体に帯電していた静電気は、センサアレイの中央部に配置された容量検出領域の検出素子に放電されやすくなり、インピーダンス検出領域の検出素子にある検出電極には流れにくくなる。
このため、被検体に帯電している静電気による生体認識部内部の電子回路の破壊を抑制することができ、表面形状認識センサ装置全体の静電気放電耐性を改善することが可能となる。
【0031】
また、本実施の形態では、センサアレイ4を分割する際、それぞれの形状および面積が等しくなるよう複数の分割領域に分割するようにしたので、センサアレイ4にインピーダンス検出領域4Bを配置する際、設計時のレイアウト作業が簡略化でき、設計コストを下げられる効果がある。
【0032】
[第3の実施の形態]
次に、図3を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置について説明する。図3は、本発明の第3の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置における検出素子の配置例を示す説明図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のC−C断面図である。
【0033】
第2の実施の形態では、センサアレイ4を格子状に分割して得られた複数の分割領域うち当該センサアレイの中央部に位置する分割領域に、インピーダンス検出領域4Bを持たない容量検出ユニット42を配置し、インピーダンス検出領域4Bを持つインピーダンス検出ユニットを、容量検出ユニット42が配置された分割領域以外の分割領域に配置した場合を例として説明した。本実施の形態では、センサアレイ4を格子状に4分割して得られた4つの分割領域に、インピーダンス検出領域4Bを持つインピーダンス検出ユニットをそれぞれ配置した場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置100のうち、センサアレイ4以外の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置100で用いられるセンサアレイ4は、図3に示すように、インピーダンス検出ユニット41が隣接配置されて構成されている。
インピーダンス検出ユニット41は、容量検出領域4A、インピーダンス検出領域4B、および離間領域4Cから構成されている。このインピーダンス検出ユニット41には、離間領域4Cに囲われた1つのインピーダンス検出領域4Bが、インピーダンス検出ユニット41の中央部に配置され、離間領域4Cの周部を全周にわたって囲うように容量検出領域4Aが設けられている。これらインピーダンス検出ユニットは、センサアレイ4を格子状に分割して得られた4つの分割領域にそれぞれ配置されている。
【0035】
センサアレイ4の中央部Pは、被検体9をセンサアレイ4に押圧する際、被検体9と最初に接触する。本実施の形態では、図3に示すように、インピーダンス検出領域4Bがその中央部に設けられたインピーダンス検出ユニット41が、センサアレイ4の4つの分割領域に分散配置されている。
したがって、被検体9に静電気が帯電していた場合、センサアレイ4の中央部Pに配置された容量検出領域4Aの検出素子1Aに静電気が放電されて、その検出電極11Aから共通電位へ静電気が流れることになる。このため、被検体9に帯電していた静電気は、インピーダンス検出領域4Bの検出素子1Bにある検出電極12Bには流れにくくなり、生体認識部3内部の電子回路の破壊を抑制することが可能となる。
【0036】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、センサアレイを格子状に4分割して得られた4つの分割領域に、インピーダンス検出領域がその中央部に設けられたインピーダンス検出ユニットをそれぞれ配置するようにしたので、被検体に帯電していた静電気は、センサアレイの中央部に配置された容量検出領域の検出素子に放電されやすくなり、インピーダンス検出領域の検出素子にある検出電極には流れにくくなる。
このため、被検体に帯電している静電気による生体認識部内部の電子回路の破壊を抑制することができ、表面形状認識センサ装置全体の静電気放電耐性を改善することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態では、センサアレイ4を分割する際、それぞれの面積が等しくなるよう4つの分割領域に分割するようにしたので、センサアレイ4にインピーダンス検出領域4Bを配置する際、設計時のレイアウト作業が簡略化でき、設計コストを下げられる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置における検出素子の配置例を示す説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置における検出素子の配置例を示す説明図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置における検出素子の配置例を示す説明図である。
【図4】従来の表面形状認識センサ装置の概観図である。
【図5】従来の表面形状認識センサ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】従来の表面形状認識センサ装置で用いられる検出素子の構成を示す説明図である。
【図7】従来の表面形状認識センサ装置における検出素子の配置例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
100…表面形状認識センサ装置、1,1A,1B,1C…検出素子、11A,11B,11C…検出電極(第1の検出電極)、12A,12B,12C…検出電極(第2の検出電極)、14…絶縁膜、2…表面形状検出部、2S…表面形状データ、3…生体認識部、3S…認識結果、4…センサアレイ、4A…容量検出領域、4B…インピーダンス検出領域、4C…離間領域、41…インピーダンス検出ユニット、42…容量検出ユニット、9…被検体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜を介して被検体と接触する第1の検出電極および前記被検体と電気的に接触する第2の検出電極を含む複数の検出素子を、2次元に配列したセンサアレイと、
前記各検出素子の前記第1の検出電極で得られた前記被検体との間の容量に基づき前記表面形状の凹凸を検出する表面形状検出部と、
前記検出素子のうち第1および第2の検出素子の前記第2の検出電極間に接続された前記被検体のインピーダンスに応じた信号に基づき前記被検体が生体であるか否かを判定する生体認識部とを備え、
前記センサアレイは、
互いに隣接配置された複数の前記第2の検出素子からなり、当該センサアレイの中央部以外の領域に分散配置した複数のインピーダンス検出領域と、
前記検出素子のうち互いに隣接配置された複数の第3の検出素子からなり、前記各インピーダンス検出領域の外周部をそれぞれ全周にわたって囲うように設けられた離間領域と、
互いに隣接配置された複数の前記第1の検出素子からなり、前記各離間領域の外周部をそれぞれ全周にわたって囲うように設けられた容量検出領域と
からなることを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記センサアレイは、前記離間領域に囲われた1つの前記インピーダンス検出領域が中央部に配置され、当該離間領域の周部を全周にわたって囲うように前記容量検出領域が設けられた1つ以上のインピーダンス検出ユニットと、全域にわたって前記容量検出領域が設けられた1つ以上の容量検出ユニットとからなり、
前記容量検出ユニットは、前記センサアレイを格子状に分割して得られた複数の分割領域うち当該センサアレイの中央部に位置する分割領域に配置されており、前記インピーダンス検出ユニットは、前記容量検出ユニットが配置された分割領域以外の分割領域に配置されている
ことを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記センサアレイは、前記離間領域に囲われた1つの前記インピーダンス検出領域が中央部に配置され、当該離間領域の周部を全周にわたって囲うように前記容量検出領域が設けられた4つのインピーダンス検出ユニットからなり、
これらインピーダンス検出ユニットは、前記センサアレイを格子状に4分割して得られた4つの分割領域にそれぞれ隣接配置されている
ことを特徴とする表面形状認識センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−293978(P2009−293978A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145619(P2008−145619)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】