説明

表面検査装置の検査ヘッド

【課題】被検査物の内周面の形状が異なる場合においても交換不要な表面検査装置の検査ヘッドを提供する。
【解決手段】検査ヘッド16は、中空筒状でその軸線AXの回りに回転されつつ被検査物100の内部に挿入されるセンサヘッド21を有し、センサヘッド21には、その先端側から、所定の内径を有する第1筒状部21aと、第1筒状部21aよりも大きい内径を有する第2筒状部21bと、が設けられ、かつ第1筒状部21aと第2筒状部21bとの間には、テーパ状に形成されたテーパ部21dが設けられ、検査光を集光するレンズ17を介してセンサヘッド21内に検査光を通過させ、第1筒状部21aの外周に設けられた開口部16aから内周面100aに検査光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の表面を検査する表面検査装置の検査ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
円筒形状の被検査物の内周面に対して検査光を照射して欠陥等の有無を検査する表面検査装置では、被検査物の内部に挿入する検査ヘッドの形状が先端までの内径が同一となるストレート管形状となっている(例えば特許文献1参照。)。検査ヘッド内では、投光ファイバから導かれた検査光が集光レンズを介して内周面へ照射され、その反射光が集光レンズを介して受光ファイバへ導かれる。このため、検査ヘッドの内径は、集光レンズのレンズ径を考慮した大きさとなっている。
【特許文献1】特開2007−315798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
検査ヘッドの形状は集光レンズによる制約を受けるため、被検査物の内周が大口径かつ奥行の深い深穴のものについては、集光レンズに近い位置から検査ヘッドを設けることで光路を遮ることなく挿入可能な長さを確保している。一方、小口径の被検査物の場合には、この検査ヘッドでは被検査物に挿入できないため、小口径の検査ヘッドに交換する必要が生じる。小口径の検査ヘッドは、検査ヘッド内の光路を遮ることなくヘッド内径を小さくするため、集光レンズから離れて焦点寄りの位置から小口径の検査ヘッドが設けられる。集光レンズとの兼ね合いから小口径の検査ヘッドでは長さが短くなり、奥行の浅い浅穴の被検査物への挿入は可能であるが深穴には対応できない。このように、被検査物の形状によって検査ヘッドを交換する手間が生じ、作業者の負担になる。
【0004】
そこで、本発明は被検査物の内周面の形状が異なる場合においても交換不要な表面検査装置の検査ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表面検査装置の検査ヘッドは、被検査物(100)の内周面(100a)に検査光を照射し、その反射光の光量に基づいて前記内周面を検査する表面検査装置(1)に適用される検査ヘッド(16)であって、前記検査ヘッドは、中空筒状でその軸線(AX)の回りに回転されつつ前記被検査物の内部に挿入されるセンサヘッド(21)を有し、前記センサヘッドには、その先端側から、所定の内径を有する第1筒状部(21a)と、前記第1筒状部よりも大きい内径を有する第2筒状部(21b)と、が設けられ、かつ前記第1筒状部と前記第2筒状部との間には、前記第2筒状部に向かって徐々に内径が大きくなるテーパ状に形成されたテーパ部(21d)が設けられ、前記検査光を集光する集光レンズ(17)を介して前記センサヘッド内に前記検査光を通過させ、前記第1筒状部の外周に設けられた開口部(16a)から前記内周面に前記検査光を照射する、ことにより上記課題を解決する。
【0006】
本発明の表面検査装置の検査ヘッドによれば、小口径かつ浅穴の被検査物の内周面を検査する場合には、第1筒状部を被検査物の内部に挿入することにより、内周面の検査ができる。一方、大口径かつ深穴の被検査物の内周面を検査する場合には、第1筒状部及び第2筒状部を被検査物の内部に挿入することにより、内周面の検査ができる。第1筒状部よりも第2筒状部は内径が大きいので、集光レンズによる検査光の光路を遮ることがなく、小口径かつ浅穴の被検査物であっても、大口径かつ深穴の被検査物であっても検査ヘッドを交換することなく内周面の検査が可能となる。そして、第1筒状部と第2筒状部とがテーパ部にてテーパ形状に連結されているので、検査光の内部反射も防ぐことができる。これにより、高精度の検査が可能となる。
【0007】
本発明の検査ヘッドの一形態において、前記センサヘッドは、前記第2筒状部よりも大きい内径を有する第3筒状部(21c)をさらに備え、前記第2筒状部と前記第3筒状部との間には、前記第3筒状部に向かって徐々に内径が大きくなるテーパ状に形成された第2テーパ部(21e)が設けられていてもよい。この形態によれば、第2筒状部に対して本体側に第3筒状部及び第2テーパ部を設けることにより、集光レンズ付近の検査光の光路に対しても光路を遮ることなくセンサヘッドを設けることができる。このような段付形状とすることで集光レンズから焦点までの距離が長くなっても光路を遮ることなく、光路に応じてスリムなセンサヘッドを設けることができる。
【0008】
本発明の検査ヘッドの一形態において、前記センサヘッドは、一体に形成されていてもよい。この形態によれば、一体に形成されているので十分な強度を有し、安定した使用が可能となる。
【0009】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0010】
以上、説明したように、本発明の表面検査装置の検査ヘッドにおいては、小口径かつ浅穴の被検査物の内周面を検査する場合には、第1筒状部を被検査物の内部に挿入することにより、内周面の検査ができる。一方、大口径かつ深穴の被検査物の内周面を検査する場合には、第1筒状部及び第2筒状部を被検査物の内部に挿入することにより、内周面の検査ができる。第1筒状部よりも第2筒状部は内径が大きいので、集光レンズによる検査光の光路を遮ることがなく、小口径かつ浅穴の被検査物であっても、大口径かつ深穴の被検査物であっても検査ヘッドを交換することなく内周面の検査が可能となる。そして、第1筒状部と第2筒状部とがテーパ部にてテーパ形状に連結されているので、検査光の内部反射も防ぐことができる。これにより、高精度の検査が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に、本発明の一形態に係る検査ヘッドが適用された表面検査装置の概略構成を示す。表面検査装置1は被検査物100に設けられた円筒形の内周面100aの検査に適した装置であり、検査を実行するための検査機構2と、その検査機構2の動作制御、検査機構2による測定結果の処理等を実行するための制御部3とを備えている。さらに、検査機構2は、被検査物100に対して検査光を投光し、かつ被検査物100からの反射光を受光するための検出手段としての検出ユニット5と、その検出ユニット5に所定の動作を与えるための駆動ユニット6とを備えている。
【0012】
検出ユニット5は、検査光の光源としてのレーザダイオード(以下、LDと呼ぶ。)11と、被検査物100からの反射光を受光し、その反射光の単位時間当りの光量(反射光強度)に応じた電流又は電圧の信号を出力するフォトディテクタ(以下、PDと呼ぶ。)12と、LD11から射出される検査光を被検査物100に向かって導く投光ファイバ13と、被検査物100からの反射光をPD12に導くための受光ファイバ14と、それらのファイバ13、14を束ねた状態で保持する保持筒15と、その保持筒15の外側に同軸的に設けられる中空軸状の検査ヘッド16とを備えている。検査ヘッド16は保持筒15のさらに外側にて回転自在に支持されている。
【0013】
保持筒15の先端には、投光ファイバ13を介して導かれた検査光を検査ヘッド16の軸線AXの方向(以下、軸線方向と呼ぶ。)に沿ってビーム状に射出させ、かつ検査ヘッド16の軸線方向に沿って検査光とは逆向きに進む反射光を受光ファイバ14に集光する集光レンズとしてのレンズ17が設けられている。検査ヘッド16の先端部(図1において右端部)には、ミラー18が固定され、検査ヘッド16の外周にはそのミラー18と対向するようにして開口部としての透光窓16aが設けられている。ミラー18は、レンズ17から射出された検査光の光路を透光窓16aに向けて変更し、かつ、透光窓16aから検査ヘッド16内に入射した反射光の光路をレンズ17に向かって進む方向に変更する。
【0014】
駆動ユニット6は、直線駆動機構30と、回転駆動機構40と、焦点調節機構50とを備えている。直線駆動機構30は検査ヘッド16をその軸線方向に移動させる直線駆動手段として設けられている。そのような機能を実現するため、直線駆動機構30は、ベース31と、そのベース31に固定された一対のレール32と、レール32に沿って検査ヘッド16の軸線方向に移動可能なスライダ33と、そのスライダ33の側方に検査ヘッド16の軸線AXと平行に配置された送りねじ34と、その送りねじ34を回転駆動する電動モータ35とを備えている。スライダ33は検出ユニット5の全体を支持する手段として機能する。すなわち、LD11及びPD12はスライダ33に固定され、検査ヘッド16は回転駆動機構40を介してスライダ33に取り付けられ、保持筒15は焦点調節機構50を介してスライダ33に取り付けられている。さらに、スライダ33にはナット36が固定され、そのナット36には送りねじ34がねじ込まれている。従って、電動モータ35にて送りねじ34を回転駆動することにより、スライダ33がレール32に沿って検査ヘッド16の軸線方向に移動し、それに伴ってスライダ33に支持された検出ユニット5の全体が検査ヘッド16の軸線方向に移動する。直線駆動機構30を用いた検出ユニット5の駆動により、被検査物100の内周面100aに対する検査光の照射位置(走査位置)を検査ヘッド16の軸線方向に関して変化させることができる。
【0015】
ベース31の前端(図1において右端)には壁部31aが設けられ、その壁部31aには検査ヘッド16と同軸の通し孔31bが設けられている。その通し孔31bにはサンプルピース37が取り付けられている。サンプルピース37は表面検査装置1の動作状態を判別するためのサンプルとして設けられるものであり、その中心線上には検査ヘッド16と同軸の貫通孔37aが設けられている。貫通孔37aは検査ヘッド16が通過可能な内径を有しており、検査ヘッド16はその貫通孔37aを通過して被検査物100の内部へと繰り出される。
【0016】
回転駆動機構40は検査ヘッド16を軸線AXの回りに回転させる回転駆動手段として設けられている。そのような機能を実現するため、回転駆動機構40は、回転駆動源としての電動モータ41と、その電動モータ41の回転を検査ヘッド16に伝達する伝達機構42とを備えている。伝達機構42には、ベルト伝達装置、歯車列等の公知の回転伝達機構を利用してよいが、この形態ではベルト伝達装置が利用される。電動モータ41の回転を伝達機構42を介して検査ヘッド16に伝達することにより、検査ヘッド16がその内部に固定されたミラー18を伴って軸線AXの回りに回転する。回転駆動機構40を用いた検査ヘッド16の回転により、被検査物100の内周面100aに対する検査光の照射位置を被検査物100の周方向に関して変化させることができる。そして、検査ヘッド16の軸線方向への移動と軸線AXの回りの回転とを組み合わせることにより、被検査物100の内周面100aをその全面に亘って検査光で走査することが可能となる。なお、検査ヘッド16の回転時において、保持筒15は回転しない。さらに、回転駆動機構40には、検査ヘッド16が所定の単位角度回転する毎にパルス信号を出力するロータリエンコーダ43が設けられている。ロータリエンコーダ43から出力されるパルス信号の個数は検査ヘッド16の回転量(回転角度)に相関し、そのパルス信号の周期は検査ヘッド16の回転速度に相関する。
【0017】
焦点調節機構50は、検査光が被検査物100の内周面100aにて焦点を結ぶように保持筒15を軸線AXの方向に駆動する焦点調整手段として設けられている。その機能を実現するため、焦点調節機構50は、保持筒15の基端部に固定された支持板51と、直線駆動機構30のスライダ33と支持板51との間に配置されて支持板51を検査ヘッド16の軸線方向に案内するレール52と、検査ヘッド16の軸線AXと平行に配置されて支持板51にねじ込まれた送りねじ53と、その送りねじ53を回転駆動する電動モータ54とを備えている。電動モータ54にて送りねじ53を回転駆動することにより、支持板51がレール52に沿って移動して保持筒15が検査ヘッド16の軸線方向に移動する。これにより、検査光が被検査物100の内周面100a上で焦点を結ぶようにレンズ17からミラー18を経て内周面100aに至る光路の長さを調節することができる。
【0018】
次に制御部3について説明する。制御部3は、表面検査装置1による検査工程の管理、検出ユニット5の測定結果の処理等を実行する演算処理部60と、その演算処理部60の指示に従って検出ユニット5の各部の動作を制御する動作制御部61と、PD12の出力信号に対して所定の処理を実行する信号処理部62と、演算処理部60に対してユーザが指示を入力するための入力部63と、演算処理部60が処理した検査結果等をユーザに提示するための出力部64と、演算処理部60にて実行すべきコンピュータプログラム、及び、測定されたデータ等を記憶する記憶部65とを備えている。演算処理部60、入力部63、出力部64及び記憶部65はパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータ機器を利用してこれらを構成することができる。この場合、入力部63にはキーボード、マウス等の入力機器が設けられ、出力部64にはモニタ装置が設けられる。プリンタ等の出力機器が出力部64に追加されてもよい。記憶部65には、ハードディスク記憶装置、あるいは記憶保持が可能な半導体記憶素子等の記憶装置が用いられる。動作制御部61及び信号処理部62はハードウエア制御回路によって実現されてもよいし、コンピュータユニットによって実現されてもよい。
【0019】
被検査物100の内周面100aの表面を検査する場合、演算処理部60、動作制御部61及び信号処理部62のそれぞれは次の通り動作する。なお、この場合、被検査物100は検査ヘッド16と同軸上に配置される。検査の開始にあたって、演算処理部60は入力部63からの指示に従って動作制御部61に被検査物100の内周面100aを検査するために必要な動作の開始を指示する。その指示を受けた動作制御部61は、LD11を所定の強度で発光させるとともに、検査ヘッド16が軸線方向に移動し、かつ軸線AXの回りに一定速度で回転するようにモータ35及び41の動作を制御する。さらに、動作制御部61は、検査光が被検査面としての内周面100a上で焦点を結ぶようにモータ54の動作を制御する。このような動作制御により、内周面100aがその一端から他端まで検査光によって走査される。なお、検査ヘッド16の軸線方向の駆動に関しては、一定速度の送り動作としてもよいし、検査ヘッド16が一回転する毎に所定ピッチずつ移動する間欠的な送り動作としてもよい。
【0020】
上述した内周面100aの走査に連係して信号処理部62にはPD12の出力信号が順次導かれる。信号処理部62は、PD12の出力信号を演算処理部60にて処理するために必要なアナログ信号処理を実施し、さらに、その処理後のアナログ信号を所定のビット数でA/D変換し、得られたデジタル信号を反射光信号として演算処理部60に出力する。演算処理部60にて実行する信号処理としては、PD12が検出した反射光の明暗差を拡大するようにその出力信号を非線形に増幅する処理、出力信号からノイズ成分を除去する処理といった各種の処理を適宜に用いてよい。高速フーリエ変換処理、逆フーリエ変換処理等を適宜に組み合わせることも可能である。また、信号処理部62によるA/D変換は、ロータリエンコーダ43から出力されるパルス列をサンプリングクロック信号として利用して行われる。これにより、検査ヘッド16が所定角度回転する間のPD12の受光量に相関した階調のデジタル信号が生成されて信号処理部62から出力される。
【0021】
信号処理部62から反射光信号を受け取った演算処理部60は、その取り込んだ信号を記憶部65に記憶する。さらに、演算処理部60は、記憶部65が記憶する反射光信号を利用して被検査物100の内周面100aを平面的に展開した2次元画像を生成する。その2次元画像は、例えば被検査物100の周方向をx軸方向、検査ヘッド16の軸線方向をy軸方向とする直交2軸座標系で定義される平面上に内周面100aを展開した画像に相当する。なお、演算処理部60における2次元画像の生成時には、反射光信号から得られる原画像に対して、エッジ処理、二値化処理等を施すことにより、検出すべき欠陥等を強調した2次元画像を生成してもよい。そして、演算処理部60は、得られた画像を所定のアルゴリズムで処理することにより、内周面100aに許容限度を超える欠陥等が存在するか否か等を判定し、その判定結果を出力部64に出力する。
【0022】
図2に、検査ヘッド16の拡大図を示す。検査ヘッド16は、被検査物100の内部へ挿入されるセンサヘッド21と、センサヘッド21を固定する本体側ヘッド22とを有する。センサヘッド21には、先端側から小径でストレート管形状の第1筒状部21aと、第1筒状部21aよりも内径の大きい第2筒状部21bと、第2筒状部21bよりも内径の大きい第3筒状部21cと、第1筒状部21aと第2筒状部21bとの間を連結する第1テーパ部21dと、第2筒状部21bと第3筒状部21cとの間を連結する第2テーパ部21eとが設けられている。センサヘッド21は、管形状で金属等の素材で一体に形成されている。第1筒状部21a、第2筒状部21b及び第3筒状部21cは、軸線AXを中心とした同軸状に配置される。第3筒状部21cは、本体側ヘッド22へ固定されている。なお、第1筒状部21aの先端部には、上述したミラー18が固定され、第1筒状部21aの外周にはそのミラーと対向するようにして透光窓16aが設けられている。第1テーパ部21dは、第1筒状部21aと第2筒状部21bとの間を第2筒状部21bに向かって徐々に内径が大きくなるようなテーパ形状に形成されている。第2テーパ部21eも同様の構成となる。このようなテーパ形状とすることで、検査光の内部反射を防ぐことができ、高精度の検査をすることができる。
【0023】
測定対象となる被検査物100の内周面100aとレンズ17との距離をa(図2では、レンズ17と透光窓16aとの距離をa1、透光窓16aと内周面100aとの距離をa2とし、a=a1+a2となる。)、レンズ17の径をDとすると、各テーパ部21d、21eのテーパ角度θの制限は、
tanθ=D/2a
となる。テーパ角度θは、各テーパ部21d、21eのテーパ面と平行な直線と軸線AXに平行な直線とのなす角である。センサヘッド21の形状は、レンズ17を通過する検査光及び反射光の光路を遮らないように設定される。このため、センサヘッド21の先端側の第1筒状部21aでは小径となり、本体側の第3筒状部21cでは大径となる。各筒状部21a〜21cの長さは、各筒状部21a〜21cの所望の外径に基づき求められる内径が光路と干渉しない長さに設定される。
【0024】
検査ヘッド16の作用を説明する。図3に内部の奥行が深い深穴で、かつ内径が大径の被検査物101の内周面101aの走査を説明する図を示す。このような深穴かつ大径の被検査物101の内部であってもセンサヘッド21の第3筒状部21cまで挿入可能であり、内周面101aを走査できる。図4は、内部の奥行が浅い浅穴で、かつ内径が小径の被検査物102の内周面102aの走査を説明する図である。浅穴かつ小径の被検査物102の場合、従来のような大径ストレート形状のセンサヘッドでは、被検査物102の内部に挿入することができず、センサヘッドを小径ストレート形状のものに交換せざるを得ない。本形態の検査ヘッド16では、第1筒状部21aが小径なので検査ヘッド16を交換することなく被検査物102の内部にも第1筒状部21aを挿入することができる。被検査物100は、一例として、内径が4〜8[mm]、内部の奥行が20〜60[mm]のものが検査される。つまり、小口径として4[mm]程度、大口径として8[mm]程度、浅穴として20[mm]程度、深穴として60[mm]程度をそれぞれ想定している。
【0025】
図5に、深穴で、かつ内部に段差を有し、奥側で小径となる被検査物103の内周面103aの走査を説明する図を示す。このような内部に段差を有する被検査物103では、大径ストレート形状のセンサヘッドでは、奥側の小径部に挿入できず、一方、小径ストレート形状のセンサヘッドでは、センサヘッドの長さが足りず、奥側の走査ができない。本形態の検査ヘッド16では、センサヘッド21の長さも従来の大径ストレート形状のセンサヘッドと同様の長さを有しており、さらに第1筒状部21aが小径なので奥側の小径部であっても挿入可能となる。
【0026】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、3つの筒状部21a〜21c、2つのテーパ部21d、21eを有するセンサヘッド21で説明したがこれに限定されない。例えば、2つの筒状部と1つのテーパ部を有するセンサヘッドであってもよい。あるいは、4つ以上の筒状部と3つ以上のテーパ部を有するセンサヘッドであってもよい。筒状部及びテーパ部の個数は、レンズ17から検査面までの距離と光路とに応じて適宜設けてよい。センサヘッド21の材質は、金属に限られず、一例として、ガラス、樹脂等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一形態に係る検査ヘッドが適用された表面検査装置の概略構成を示す図。
【図2】検査ヘッドの拡大図。
【図3】深穴で、かつ大径の被検査物の内周面の走査を説明する図。
【図4】浅穴で、かつ小径の被検査物の内周面の走査を説明する図。
【図5】深穴で、かつ内部に段差を有し、奥側で小径となる被検査物の内周面の走査を説明する図。
【符号の説明】
【0028】
1 表面検査装置
16 検査ヘッド
16a 透光窓(開口部)
17 レンズ(集光レンズ)
21 センサヘッド
21a 第1筒状部
21b 第2筒状部
21d テーパ部
100 被検査物
100a 内周面
AX 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物の内周面に検査光を照射し、その反射光の光量に基づいて前記内周面を検査する表面検査装置に適用される検査ヘッドであって、
前記検査ヘッドは、中空筒状でその軸線の回りに回転されつつ前記被検査物の内部に挿入されるセンサヘッドを有し、
前記センサヘッドには、その先端側から、所定の内径を有する第1筒状部と、前記第1筒状部よりも大きい内径を有する第2筒状部と、が設けられ、かつ前記第1筒状部と前記第2筒状部との間には、前記第2筒状部に向かって徐々に内径が大きくなるテーパ状に形成されたテーパ部が設けられ、
前記検査光を集光する集光レンズを介して前記センサヘッド内に前記検査光を通過させ、前記第1筒状部の外周に設けられた開口部から前記内周面に前記検査光を照射する、ことを特徴とする表面検査装置の検査ヘッド。
【請求項2】
前記センサヘッドは、前記第2筒状部よりも大きい内径を有する第3筒状部をさらに備え、前記第2筒状部と前記第3筒状部との間には、前記第3筒状部に向かって徐々に内径が大きくなるテーパ状に形成された第2テーパ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の検査ヘッド。
【請求項3】
前記センサヘッドは、一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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