説明

表面検査装置

【課題】偏光素子の劣化による欠陥検査の精度低下を的確に把握することができる表面検査装置を提供する。
【解決手段】ウェハ10を載置保持するホルダ20と、ホルダ20により載置保持されたウェハ10の表面に照明光を照射する照明光学系30と、照明光が照射されたウェハ10の表面からの光を検出する撮像光学系40と、撮像光学系40で検出された光に基づいて、ウェハ10の表面における欠陥の有無を検査する画像処理装置50と、挿抜可能に設けられた第1の偏光板32と、第2の偏光素子42とを有する表面検査装置1において、偏光板32,42が前記光路から抜去された状態で前記偏光板32,42に検査光を照射する検査用光源部61,62と、偏光板32,42を透過した検査光の光量を検出する、検査用検出部63,64により検出された光量に基づいて偏光素子32,42の劣化の有無を判定する判定部65とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハや液晶基板等の被検基板の表面に形成された繰り返しパターンを検査する表面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(半導体ウェハや液晶基板などの)被検基板の表面に形成された繰り返しパターンに検査用の照明光を照射し、このとき基板上の繰り返しパターンから発生する光(回折光、反射光または散乱光)に基づいて撮像装置によりウェハ表面の画像を撮像し、このように撮像された画像信号を処理して、繰り返しパターンの欠陥検査を行う表面検査装置が知られている。
【0003】
また、検査用の照明光として直線偏光を用いて、繰り返しパターンから発生する光のうち、繰り返しパターンでの偏光状態の変化に関わる成分を受光して、欠陥検査を行う装置が提案されている。この装置では、照明系と受光系との各々に偏光素子が配置され、各偏光素子を用いて前記照明および受光を行っている。
【0004】
ところで、この種の装置において、照明系や受光系に配置した偏光素子が劣化すると、繰り返しパターンの欠陥検出精度が低下してしまう。そこで、ある時点での偏光素子の透過率と、この時点から一定期間使用後の偏光素子の透過率との比(または差)を求め、この比の値が閾値を超えたときに偏光素子の劣化を検出して、欠陥検出精度の低下が前記偏光素子の劣化に起因することを把握できる表面検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−8777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術をさらに発展させて、偏光素子の劣化を的確に検出することが期待されていた。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、偏光素子の劣化による欠陥検査の精度低下を的確に把握することができる表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的達成のため、本発明は、被検基板を載置保持するホルダと、前記ホルダにより載置保持された前記被検基板の表面に照明光を照射する照明部と、前記照明光が照射された前記被検基板の表面からの光を検出する検出部と、前記検出部で検出された光に基づいて、前記被検基板の表面における欠陥の有無を検査する検査部と、前記照明部と前記被検基板との間の光路上に挿抜可能に設けられた第1の偏光素子と、前記被検基板と前記検出部との間の光路上に挿抜可能に設けられ、前記第1の偏光素子とは偏光方向が異なるように前記光路上に挿入可能な第2の偏光素子とを有する表面検査装置において、前記光路から抜去された状態にある前記第1の偏光素子および前記第2の偏光素子の少なくとも一方に検査光を照射する検査用光源部と、前記検査光の照射を受けている前記第1の偏光素子および前記第2の偏光素子の少なくとも一方を透過した前記検査光の光量を検出する検査用検出部と、前記検査用検出部により検出された光量に基づいて、前記少なくともいずれかの前記第1および第2の偏光素子の劣化の有無を判定する判定部とを有する。
【0008】
なお、前記検査用光源部から照射された前記検査光は、直線偏光であることが好ましい。
【0009】
また、前記検査用光源部から照射された前記検査光は、レーザ光であることが好ましい。
【0010】
また、前記検査光の偏光方向は、照射対象の前記偏光素子の偏光方向に対して直交して入射するように設定されていることが好ましい。
【0011】
また、前記判定部は、前記検査用検出部により検出された光量の強度が所定値を超えたとき、前記偏光素子が劣化していると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、偏光素子の劣化による欠陥検査の精度低下を的確に把握することができる表面検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態の表面検査装置1は、図1に示すように、被検基板である半導体ウェハ10(以下、ウェハ10と称する)を支持するホルダ20と、照明光学系30と、撮像光学系40と、画像処理装置50と、制御装置55とを主体に構成される。表面検査装置1は、半導体回路素子の製造工程において、ウェハ10の表面の検査を自動的に行う装置である。ウェハ10は、最上層のレジスト膜への露光・現像後、不図示の搬送系により、不図示のウェハカセット又は現像装置から運ばれ、ホルダ20に吸着保持される。
【0014】
ウェハ10の表面には、図2に示すように、複数のチップ領域11がXY方向に配列され、各チップ領域の中に所定の繰り返しパターン12が形成されている。繰り返しパターン12は、図3に示すように、複数のライン部2Aがその短手方向(X方向)に沿って一定のピッチPで配列されたレジストパターン(例えば、配線パターン)である。隣り合うライン部2A同士の間は、スペース部2Bである。なお、ライン部2Aの配列方向(X方向)を「繰り返しパターン12の繰り返し方向」と称する。
【0015】
ここで、繰り返しパターン12におけるライン部2Aの線幅DAの設計値をピッチPの1/2とする。すなわち、繰り返しパターン12は、ライン部2Aとスペース部2BとをX方向に沿って交互に配列した凹凸形状を有しており、適正な露光フォーカスで設計値の通りに形成された場合、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBは等しくなり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比は略1:1になる。このような理想的な形状の場合、後述の撮像光学系40で検出される偏光成分の光量(光の強度)は最も大きくなる。これに対し、露光フォーカスが適正値から外れると、ピッチPは変わらないが、ライン部2Aの線幅DAが設計値と異なってしまうとともに、スペース部2Bの線幅DBとも異なってしまい、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れるとともに、ライン部2Aのエッジ形状が乱れる。このとき、偏光成分の光量は理想的な場合と比較して小さくなる。
【0016】
本実施形態の表面検査装置1は、上記のような繰り返しパターン12におけるライン部2Aの変化を利用して、繰り返しパターン12の欠陥検査を行うものである。上述したように、ライン部2Aの変化は、露光フォーカスの適正状態からの外れに起因し、ウェハ10のショット領域毎に現れる。
【0017】
また、本実施形態においては、繰り返しパターン12に対する照明光(後述する直線偏光L)の波長と比較して繰り返しパターン12のピッチPが十分小さいものとする。このため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはなく、繰り返しパターン12の欠陥検査を回折光により行うことはできない。
【0018】
表面検査装置1のホルダ20は、ウェハ10を上面で支持して、例えば真空吸着により固定保持する。さらに、ホルダ20は、ホルダ上面の中心における法線A1を中心軸として回転可能である。この回転機構によって、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、ウェハ10の表面内で回転させることができる。また、ホルダ20は、ホルダ上面を通る軸A2を中心に、チルト(傾動)可能である。これにより、ウェハ10の載置角度を変更することができる。
【0019】
本実施形態においては、繰り返しパターン12の欠陥検査の感度を最も高くするため、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向を、図4に示すように、ウェハ10の表面における照明光(直線偏光L)の振動方向に対して、45度の角度に傾けて設定する。なお、角度は45度に限らず、22.5度や67.5度など任意角度方向に設定可能である。
【0020】
照明光学系30は、図1に示すように、特定の波長を有する光を射出する照明装置31と、第1の偏光板32と、第1の凹面反射鏡33とを有して構成される。照明装置31は、光源31aと、特定の波長を有する光を選択的に透過させる波長選択部31bと、波長選択部31bを透過した光を案内するライトガイドファイバ31cとを主体に構成される。なお、光源31aは、メタルハイドランプや水銀ランプ等の放電光源を内蔵しており、図示しない電源ユニットから供給される電力により、例えば180nm〜500nm程度の波長領域の光を射出するようになっている。なお、電源ユニットは、後述の制御装置55と電気的に接続されており、制御装置55から出力される制御信号により、光源31aに供給する電力が制御される(すなわち、光源31aから照射される照明光の光量が制御される)。
【0021】
第1の偏光板32は、照明装置31と第1の凹面反射鏡33との間の光路上に挿抜可能に配設され、照明装置31から射出された光を透過軸の向きに応じた直線偏光L(図4を参照)にする。第1の凹面反射鏡33は、球面の内側を反射面とした反射鏡であり、前側焦点が照明装置31のライトガイドファイバ31cの射出端と略一致し、後側焦点がウェハ10の表面と略一致するように、ホルダ20の斜め上方に配置されている。そして、第1の凹面反射鏡33は、第1の凹面反射鏡33で反射する第1の偏光板32からの光を平行光束にして、被検基板であるウェハ10へ照射する。
【0022】
すなわち照明光学系30は、ウェハ10側に対してテレセントリックな光学系である。なお、第1の凹面反射鏡33よりウェハ10側の照明光学系30の光軸O1は、ホルダ20の法線A1に対して角度θiだけ傾けられ、ホルダ20のチルト軸A2に対して直交している。
【0023】
上記の照明光学系30において、照明装置31からの光は、第1の偏光板32および第1の凹面反射鏡33を介してp偏光の直線偏光Lとなり、照明光としてウェハ10の表面全体に入射する。このとき、直線偏光Lの進行方向(ウェハ10表面上の任意の点に到達する直線偏光Lの主光線の方向)は光軸O1に略平行であることから、ウェハ10の各点における直線偏光Lの入射角度は、平行光束のため互いに同じであり、光軸O1と法線A1とのなす角度θiに相当する。
【0024】
なお、本実施形態では、ウェハ10に入射する直線偏光Lがp偏光であるため、図4に示すように、繰り返しパターン12の繰り返し方向が直線偏光Lの入射面(ウェハ10の表面における直線偏光Lの進行方向)に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面における直線偏光Lの振動方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向とのなす角度も、45度に設定される。言い換えると、直線偏光Lは、ウェハ10の表面における直線偏光Lの振動方向が繰り返しパターン12の繰り返し方向に対して45度傾いた状態で、繰り返しパターン12を斜めに横切るようにして繰り返しパターン12に入射することになる。
【0025】
撮像光学系40は、図1に示すように、第2の凹面反射鏡41と、第2の偏光板42と、開口絞り43と、結像レンズ44と、撮像装置45とを有して構成され、その光軸O2がホルダ20の中心を通る法線A1に対して角度θiと同じ角度θrだけ傾くように配設される。したがって、ウェハ10の表面(繰り返しパターン12)で正反射した正反射光は、撮像光学系40の光軸O2に沿って進行することになる。第2の凹面反射鏡41は、第1の凹面反射鏡33と同様の反射鏡であり、ウェハ10からの正反射光は、第2の凹面反射鏡41で反射するとともに集光され、第2の偏光板42、開口絞り43、結像レンズ44、および撮像装置45の撮像レンズを経て撮像装置45の撮像面上に達し、ウェハ10の像が結像される。
【0026】
第2の偏光板42は、第2の凹面反射鏡41と開口絞り43との間の光路上に挿抜可能に配設され、第2の偏光板42の透過軸の方位は、上述した照明光学系30の第1の偏光板32の透過軸に対して直交するように設定されている(クロスニコルの状態)。したがって、第2の偏光板42により、ウェハ10(繰り返しパターン12)からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分(例えば、s偏光の成分)を抽出して、撮像装置45に導くことができる。その結果、撮像装置45の撮像面には、ウェハ10からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分によるウェハ10の反射像が形成される。
【0027】
撮像装置45は、例えばCCD撮像素子等から構成され、撮像面に形成されたウェハ10の反射像を光電変換して、画像信号を画像処理装置50に出力する。ウェハ10の反射像の明暗は、撮像装置45で検出された偏光成分の光量(光の強度)に略比例し、繰り返しパターン12の形状に応じて変化する。ウェハ10の反射像が最も明るくなるのは、繰り返しパターン12が理想的な形状の場合である。なお、ウェハ10の反射像の明暗は、ショット領域毎に現れる。
【0028】
画像処理装置50は、撮像装置45から出力される画像信号に基づいて、ウェハ10の反射画像を取り込む。なお、画像処理装置50は、比較のため、良品ウェハの反射画像を予め記憶している。良品ウェハとは、繰り返しパターン12が理想的な形状で表面全体に形成されたものである。そのため、良品ウェハの反射画像の輝度情報(信号強度)は、最も高い輝度値を示すものと考えられる。
【0029】
したがって、画像処理装置50は、被検基板であるウェハ10の反射画像を取り込むと、その輝度情報(信号強度)を良品ウェハの反射画像の輝度情報(信号強度)と比較する。そして、ウェハ10の反射画像における暗い箇所の輝度値の低下量に基づいて、繰り返しパターン12の欠陥を検出する。例えば、光量変化が予め定められた閾値(許容値)より大きければ「欠陥」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断すればよい。そして、画像処理装置50による輝度情報(信号強度)の比較結果およびそのときのウェハ10の反射画像が図示しないモニターで出力表示される。
【0030】
なお、画像処理装置50においては、上述のように、画像記憶部(図示略)に良品ウェハの反射画像を予め記憶しておく構成の他、ウェハ10のショット領域の配列データと輝度値の閾値を予め記憶しておく構成でもよい。この場合、ショット領域の配列データに基づいて、取り込まれたウェハ10の反射画像中における各ショット領域の位置が分かるので、各ショット領域の輝度値を求める。そして、その輝度値と記憶されている閾値とを比較することにより、パターンの欠陥を検出する。閾値より輝度値が小さいショット領域を「欠陥」と判断すればよい。
【0031】
制御装置55は、ホルダ20、照明装置31等の作動を統括的に制御する。また、制御装置55には、オペレータが入力操作を行う情報入力装置(図示略)が電気的に接続されている。
【0032】
ところで、上記のような表面検査装置1を長時間使用すると、偏光板は32,42は徐々に劣化して、透過率が低下したり、消光比が低下したり(漏れ光が増加する)ことがある。また、繰り返しパターン12による偏光状態の変化が小さい場合には、その変化を大きく捉えるために照明光量を強くする必要があり、このような状態で上記装置1を使用すると、偏光板32,42の劣化が早くなる。さらに、照明光としてi線(波長365nm)などの紫外線を用いた場合にも、偏光板32,42の劣化が早くなる。そして、偏光板32,42のうち少なくとも一方が劣化すると、これに起因して繰り返しパターン12の欠陥検出精度が低下する。
【0033】
本実施形態の表面検査装置1では、繰り返しパターン12の欠陥検出精度が低下したことやその程度を把握するため、次のようにして偏光板32,42の劣化の検出処理を定期的に行う。
【0034】
表面検査装置1は、図1に示すように、照明装置31と第1の凹面反射鏡33との間の光路から抜去された状態にある第1の偏光板31に検査光を照射する第1の検査用光源部61と、第2の凹面反射鏡41と開口絞り43との間の光路から抜去された状態にある第2の偏光板42に検査光を照射する第2の検査用光源部62と、第1の偏光板32を透過した検査光の光量を検出する第1の検査用検出部63と、第2の偏光板42を透過した検査光の光量を検出する第2の検査用検出部64と、第1および第2の検査用検出部63,64により検出された光量に基づいて第1および第2の偏光板32,42の劣化の有無を判定する判定部65とを有する。
【0035】
なお、第1および第2の検査用光源部61,62から照射された検査光は、直線偏光であることが好ましい。具体的には、第1および第2の検査用光源部61,62から照射された検査光は、レーザ光を用いることができる。
【0036】
また、第1および第2の検査用検出部63,64は、より強い光束を受ける光軸付近の領域を測定領域として設定することが好ましい。
【0037】
また、検査光の偏光方向は、照射対象の偏光板32,42の偏光方向に対して、それぞれ直交して入射するように設定されていることが好ましい。
【0038】
判定部65は、第1の検査用検出部63により検出された光量の強度が所定値を超えたとき(漏れ光が所定値以上検出されたとき)、第1の偏光板32が劣化していると判定する。また、判定部65は、第2の検査用検出部64により検出された光量の強度が所定値を超えたとき、第2の偏光板42が劣化していると判定する。そして、判定部65は偏光板の劣化ありと判定すると、制御装置55に劣化した偏光板の交換を指示する信号を出力する。
【0039】
本実施形態では、第1および第2の偏光板32,42をそれぞれ回転可能なターレット(図示略)上に予備の偏光板とともに装着しておき、判定部65から交換信号が出力された際には、制御装置55が該当する偏光板が装着されたターレットを回転駆動して偏光板の交換を自動で行い、作業者に負担を掛けることなく、長時間に亘って高精度な欠陥検査を実行することができるように構成されている。
【0040】
ここで、図5のフローチャートを用いて、上記構成の表面検査装置1における第1および第2の偏光板32,42の劣化検出処理について説明する。
【0041】
第1の偏光板32の劣化検出処理は、図5に示すように、まず、第1の偏光板32が照明装置31と第1の凹面反射鏡33との間の光路上から抜去された状態にあるか否かを判断する(ステップS11)。ここで、前記光路上から抜去された状態にないと判断された場合は、ステップS11に戻る。また、ステップS11において、前記光路上から抜去された状態にあると判断された場合は、第1の偏光板32に対して第1の検査用光源部61によりレーザ光が照射される(ステップS12)。続いて、第1の検査用検出部63により、第1の偏光板32を透過したレーザ光の光量(漏れ光)の検出を行う(ステップS13)。そして、判定部65により、第1の検査用検出部63により検出された光量に基づいて、第1の偏光板32の劣化の有無が判定される(ステップS14)。具体的には、第1の偏光板32における漏れ光が所定値以上検出されたか否かが判定される。ここで、漏れ光が所定値以下であり、判定部65により第1の偏光板32は劣化していないと判定された場合は、ステップS11に戻る。また、ステップS14において、漏れ光が所定値以上であり、判定部65により第1の偏光板32は劣化していると判定された場合は、制御装置55に交換信号が出力されて第1の偏光板32の自動交換が行われ(ステップS15)、ステップS11に戻る。
【0042】
なお、第2の偏光板42の劣化検出処理についても、上記と同様の手順で行う。但し、分かりやすくするため、上記ステップS11〜S15を、ステップS21〜S25として置き換えて説明する。
【0043】
第2の偏光板42の劣化検出処理は、図5に示すように、第2の偏光板42が第2の凹面反射鏡41と開口絞り43との間の光路上から抜去された状態にあるか否かを判断する(ステップS21)。ここで、第2の偏光板42が前記光路上から抜去された状態にないと判断された場合は、ステップS21に戻る。また、ステップS21において、第2の偏光板42が前記光路上から抜去された状態にあると判断された場合は、第2の偏光板42に対して第2の検査用光源部62によりレーザ光が照射される(ステップS22)。続いて、第2の検査用検出部64により、第2の偏光板42を透過したレーザ光の光量(漏れ光)の検出を行う(ステップS23)。そして、判定部65により、第2の検査用検出部64により検出された光量に基づいて、第2の偏光板42の劣化の有無が判定される(ステップS24)。具体的には、第2の偏光板42における漏れ光が所定値以上検出されたか否かが判定される。ここで、漏れ光が所定値以下であり、判定部65により第2の偏光板42は劣化していないと判定された場合は、ステップS21に戻る。また、ステップS24において、漏れ光が所定値以上であり、判定部65により第2の偏光板42は劣化していると判定された場合は、制御装置55に交換信号が出力されて第2の偏光板42の自動交換が行われ(ステップS25)、ステップS21に戻る。
【0044】
なお、上記偏光板の劣化検出処理は、偏光板32,42がそれぞれウェハ10の欠陥検査時に使用する前記光路上から抜去される毎に行うことが好ましい。
【0045】
以上のように、本実施形態の表面検査装置1では、ウェハ10の欠陥検査時に使用する照明光路上から抜去状態にある偏光板32,42に対してレーザ光を照射し、偏光板32,42から検出される漏れ光が増加した場合に、劣化の判定を行う。その結果、簡単且つ正確に、偏光板の劣化によるウェハ10の欠陥検査精度の低下を把握することができる。
【0046】
なお、上述の実施形態において、照明系の第1の偏光板32と、受光系の第2の偏光板42との双方を劣化検出の対象としたが、いずれか一方だけを対象としてもよい。但し、照明系と受光系とを比べると、照明系の第1の偏光板32の方がより強い光を受けるため、第1の偏光板32を優先的に劣化検出の対象とすることが好ましい。
【0047】
また、上述の実施形態において、照明光の光量制御を、不図示の電源ユニットから光源31aに供給される電力を制御することで行っているが、例えば、減光フィルター等を用いて行ってもよい。
【0048】
また、上述の実施形態において、照明光学系30がウェハ10の表面に照明光として直線偏光Lを照射し、撮像光学系40がウェハ10からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分によるウェハ10の像を撮像しているが、これに限られるものではない。例えば、第1および第2の偏光板32,42を光路上から抜去した状態で、照明光学系30によりウェハ10の表面に(偏光でない)照明光を照射し、撮像光学系40によりウェハ10の表面から発せられた回折光によるウェハ10の像を撮像するようにしてもよい。このように、ウェハ10の表面に照射する照明光は、直線偏光に限らず、直線偏光以外の楕円偏光や通常の照明光であっても、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る表面検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】半導体ウェハの表面の外観図である。
【図3】繰り返しパターンの凹凸構造を説明する斜視図である。
【図4】直線偏光の入射面と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。
【図5】偏光板の劣化検出処理について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 表面検査装置
10 ウェハ(被検基板)
20 ホルダ
30 照明光学系(照明部)
32 第1の偏光板(第1の偏光素子)
40 撮像光学系(検出部)
42 第2の偏光板(第2の偏光素子)
50 画像処理装置(検査部)
55 制御装置
61 第1の検査用光源部
62 第2の検査用光源部
63 第1の検査用検出部
64 第2の検査用検出部
65 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検基板を載置保持するホルダと、
前記ホルダにより載置保持された前記被検基板の表面に照明光を照射する照明部と、
前記照明光が照射された前記被検基板の表面からの光を検出する検出部と、
前記検出部で検出された光に基づいて、前記被検基板の表面における欠陥の有無を検査する検査部と、
前記照明部と前記被検基板との間の光路上に挿抜可能に設けられた第1の偏光素子と、
前記被検基板と前記検出部との間の光路上に挿抜可能に設けられ、前記第1の偏光素子とは偏光方向が異なるように前記光路上に挿入可能な第2の偏光素子とを有する表面検査装置において、
前記光路から抜去された状態にある前記第1の偏光素子および前記第2の偏光素子の少なくとも一方に検査光を照射する検査用光源部と、
前記検査光の照射を受けている前記第1の偏光素子および前記第2の偏光素子の少なくとも一方を透過した前記検査光の光量を検出する検査用検出部と、
前記検査用検出部により検出された光量に基づいて、前記少なくともいずれかの前記第1および第2の偏光素子の劣化の有無を判定する判定部とを有することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記検査用光源部から照射された前記検査光は、直線偏光であることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記検査用光源部から照射された前記検査光は、レーザ光であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記検査光の偏光方向は、照射対象の前記偏光素子の偏光方向に対して直交して入射するように設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記検査用検出部により検出された光量の強度が所定値を超えたとき、前記偏光素子が劣化していると判定することを特徴とする請求項4に記載の表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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