被分析物メータのためのグラフィカルインタフェース
診断システムは検査の処置においてテストセンサを受容するように構成されるメータを含む。診断システムはメータに接続される演算処理装置もまた含む。テストセンサは検査の処置において液サンプルを受容する。メータは液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システムを含む。演算処理装置はメータからの測定値を受信しそして処理する。演算処理装置は、特に異常又は例外的な状況が発生したときに診断システムをどのように操作するかに関する、視覚的及び/又は聴覚的な指示を提供する強化された処理及び提示の能力を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の引用]
この出願は、その内容が引用によりここに全て取り込まれる、2009年8月11日に出願された米国仮特許出願61/233,113に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、診断システムのユーザに対し情報を提示するための方法及びシステムに関する。より具体的には、本発明の態様による方法及びシステムは、診断システムのためのグラフィカルユーザインタフェースを提供する。更にユーザインタフェースは、診断システムを操作するための情報を提供する。
【背景技術】
【0003】
体液における被分析物の定量判定は、生理学上のある一定の異常の診断及び保全において非常に重要である。例えば、乳酸、コルステロール及びビリルビンがある個人において監視される。特に、糖尿病の個々人が体液内の糖レベルを頻繁にチェックして、食事における糖の摂取を安定させることは重要である。そのような検査の結果を、必要に応じて、どのインシュリン又は薬物を投与すべきかの判断に使用することが可能である。
【0004】
血糖システムのような診断システムは、体液のサンプル中の被分析物の濃度を計測するためのメータ又は計器を採用することができる。いくつかの診断システムにおいて、血液のサンプルの検査にテストセンサが使用される。テストセンサは、サンプル中で例えば血糖である被分析物に反応するバイオセンシング材又は試薬材を含む。例えば、テストセンサの検査端部が、指を刺してその人の指の上に溜まった検査液(例えば血液)に接触するように設置される。毛菅作用によって、検査されるべき十分な量の液がテストセンサの検査端部から試薬材へと吸い上げられる。メータは、そのテストセンサを受容し、そして被分析物と試薬材との間の反応から生じる電流又は色のような出力を測定することにより、光学的又は電気化学的な検査手法を適用する。診断システムは、典型的には、ユーザに対し検査の結果を表示するためのグラフィカルユーザインタフェースを採用する。また、グラフィカルユーザインタフェースは、ユーザに対する指示の表示にも採用され得る。
【0005】
診断システムは、検査の処置においてユーザにいくつかの工程の履行を要求する。しかしながら、そのような検査手法による精度は、ユーザが履行する工程のやり方に依存する。
【発明の概要】
【0006】
上述したことに鑑みると、正確な結果が生じるように診断システムの検査の処置を指導するための、明確でかつ習得容易な指示をユーザに提供するグラフィカルユーザインタフェースを診断システムに備えるシステム及び方法への要請が存在するであろう。更には、異常又は例外的な状況が発生したときに診断システムをどのように操作するかに関する指示をユーザに提供するグラフィカルユーザインタフェースへの要請が存在するであろう。
【0007】
したがって、本発明の態様による診断システムは、検査の処置においてテストセンサを受容するように構成されるメータを含む。診断システムはメータに接続する演算処理装置をも含む。テストセンサは、検査の処置において液サンプルを受容する。メータは、液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システムを含む。演算処理装置は、メータからの測定値を受信し及び処理する。とりわけ演算処理装置は、特に異常又は例外的な状況が発生したときに診断システムをどのように操作するかに関する、視覚的及び/又は聴覚的な指示を提供する強化された処理及び提示の能力を有する。
【0008】
本発明の態様による診断システムは、検査の処置を指導するための明確でかつ習得容易な指示を提供するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)又は表示装置を採用する。例えば、診断システムの処理装置は、コンピュータが読み取り可能な媒体上に格納されたソフトウェアを実行することで、検査の処置における各工程のために、関連するユーザインタフェース上で説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示する。この場合、明確で逐次的な指示をユーザが受けることで、検査の処置におけるユーザエラーの機会が減る。いくつかの実施形態において、ソフトウェアはアニメーションを採用して、指示の提示を強化してよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、GUIは、検査の処置において異常又は例外的な状況が発生したときに、的確な工程を通じてユーザを案内する説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声もまた提示する。例えば、テストセンサにおける被分析物と試薬との間の化学的な反応の結果が異なる温度で変化するので、検査の処置の精度がテストセンサの温度の影響を受けることがある。実際の測定値は反応の直前に取得されたテストセンサの実温度に基づいて補正することができるが、しかしいくつかの場合において、テストセンサを適正範囲内の温度を有するものに交換することで検査の処置の精度が改善される。それゆえ、いくつかの実施形態においては、テストセンサの温度が適正範囲外であることを診断システムが検知したときに、GUIは、テストセンサの交換をユーザに指示するグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示する。
【0010】
メータは、説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示するための処理装置、ソフトウェア及びGUIを備えることができるが、本発明の態様による診断システムは様々な基本構造を採用することが理解される。例えば、診断システムは、従来型のパーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)又はスマートフォンのような外部装置と組み合わせたメータを採用する。この場合、外部装置にソフトウェアが配置され、外部装置の処理部がソフトウェアを実行するとともにその外部装置のユーザインタフェース上で説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示する。実際いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、メータにより格納された検査結果を管理し、分析し及び提示するための、外部装置で実行されるデータ管理システムの一部をなす。この実施形態では、データ管理システムは、メータのプロセッサ及びユーザインタフェースでは不可能な強化された機能性を提供するために、より大きな処理能力及び表示能力を利用する。
【0011】
検査の処置が実際にされながら説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示することは有利である一方で、この説明的なグラフィックス及び/又は文字的情報が個別の説明として分離して示されるものでもよいことが理解される。
【0012】
本発明の実施を深く考慮した最良の形態を含む複数の例示的な実施形態及び実施例の説明による、以下の詳細な記述から、本発明の他の態様、特徴及び有利性も容易に明らかにされる。本発明はまた他のそして異なる実施形態も可能であり、本発明の精神及び範囲から全て逸脱することなく、様々な態様におけるいくつかの詳細な点で変更が可能である。したがって、図面及び詳細な記述は、限定するものとしてではなく、本質を説示するものとして考慮されるべきである。本発明は、発明の精神及び範囲に帰する全ての変更、均等及び変換を包み込むものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の態様による、メータ及び演算処理装置を含む診断システムの実施形態を図示する。
【図2A】図2Aは、メータと演算処理装置との間の接続を図示する。
【図2B】図2Bは、本発明の態様により演算処理装置の電源からの二次絶縁/保護を提供する、メータと演算処理装置との間の接続を図示する。
【図2C】図2Cは、演算処理装置の電源からの二次絶縁/保護を提供する、メータと演算処理装置との間の他の接続を図示する。
【図3】図3は、本発明の態様による小型血糖メータを図示する。
【図4】図4は、本発明の態様による、スマートフォンに接続される小型血糖メータを図示する。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図5C】図5Cは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図5D】図5Dは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図5E】図5Eは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図6】図6は、本発明の態様によるメータの代替的な実施形態を図示する。
【図7】図7は、本発明の態様によるメータの他の代替的な実施形態を図示する。
【図8】図8は、本発明の態様によるメータの更に他の代替的な実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[図示される実施形態の説明]
図1は、個人が自己の血糖濃度の測定値を能動的に監視し、そして記録できるようにする糖尿病管理システム10の非限定的な例を示す。図1に示されるように、糖尿病管理システム100は、血糖メータ(BGM)110と演算処理装置120とを含む。接続140は、メータ110が演算処理装置120と通信できるようにする。メータ110は、血液サンプル中の血糖濃度の瞬間測定値を取得し、その測定データの通信を演算処理装置120に対して行う。演算処理装置120は、データ管理ソフトウェア(コンピュータが読み取り可能な媒体上に格納された実行可能なプログラム命令)126を実行して、メータ110からの測定データを処理する。
【0015】
図1に図示されるように、メータ110は、分析のための血液サンプルを受容するテストセンサ130を係合する。例えば、ユーザは、指又は体の他の部分を突き刺して皮膚表面に血液サンプルを生じさせるためのランシング(穿刺)器具を用いてよい。そして、ユーザは、その血液サンプルに接触するようにテストセンサ130を設置することにより血液サンプルを採集してよい。当該技術分野では周知のように、テストセンサは電気化学テストセンサ又は光学テストセンサであるとすることができる。
【0016】
メータ110は、テストセンサ130によって採集された血液サンプルの糖濃度を測定するための反応検出システムを含む。例えば、反応検出システムは、電気化学テストセンサのために、電気化学的な反応を検出する電極のための接点を含むことができる。それに代わり、反応検出システムは、光学テストセンサのために、色的な反応を検出する光学検出器を含むことができる。反応検出システムによって測定された電気化学的又は色的な反応から被分析物の実際の濃度を計測するために、また、サンプルを検査する処置全般にわたる制御をするために、メータ110は、測定アルゴリズムに従ってプログラムされた命令を実行する、少なくとも1つのプロセッサ112を採用する。プロセッサ112で処理されたデータがメモリ113に格納される。更にメータ110は、検査の結果に関する情報を示す表示装置を含むユーザインタフェース115を含む。
【0017】
演算処理装置120は、デスクトップ又はラップトップのパーソナルコンピュータ(PC)、携帯型又はポケット型パーソナルコンピュータ(HPC)、適合性のある携帯情報端末(PDA)及びスマートフォンのような、様々な処理装置から選択され得る。この処理装置は様々なオペレーションシステム及び構成を採用することができる。例えば、演算処理装置120がデスクトップ又はラップトップのパーソナルコンピュータである場合には、そのオペレーティングシステムは、マイクロソフト社のWindows(登録商標)又はアップル社のMac(商標)OSのバージョンとすることができる。これに代えて、演算処理装置120がスマートフォンである場合には、そのオペレーティングシステムは、リサーチ・イン・モーション・リミテッド社からのBlackberry(登録商標)又はアップル社からのiPhone(登録商標)対応のものとすることができる。
【0018】
演算処理装置120は、コンピュータが読み取り可能な媒体で提供される任意の数のプログラムされた命令を受信し、そして実行することが可能なプロセッサ122を含む。加えて、演算処理装置120は、グラフィックス、文字及び/又は他の視聴覚的なコンテンツを表示するためのユーザインタフェース125を含む。ユーザインタフェース125は、演算処理装置120の筐体内に編入される構成とすることができるが、ユーザインタフェース125が、表示モニタのように、演算処理装置120に接続される分離した装置でもよいことが理解される。
【0019】
メータ110は、検査の結果を格納し、そしてユーザインタフェース125にその検査の結果を提供して表示する一方で、メータ110により得られた検査の結果が演算処理装置120に対し通信され、データ管理ソフトウェア126による追加的な処理が行われてユーザインタフェース125により表示される。演算処理装置120上のソフトウェア126は、検査の結果及び関連する情報を管理し、処理し及び表示するための、より高度な機能性を提供する。加えて、演算処理装置120は、高度化された視覚的及び/又は聴覚的な提示能力を提供する、強化されたユーザインタフェース125を提供する。高解像度のグラフィックスに加えて、演算処理装置120は、音声信号を介してユーザに情報を伝えることも可能である。更に演算処理装置120は、ネットワーク接続を介して、診断システム10に他の機能性及びデータ源へのアクセスを提供することもできる。
【0020】
一般に、演算処理装置120は、メータ110では得られない処理及び提示の能力を提供する。しかしながら、メータ110は、演算処理装置120に接続されないときでも被分析物の濃度の測定及び表示動作を十分に行えることに留意する。
【0021】
図1に示されるように、メータ110は、通信インタフェース要素111を含み、メータ110を演算処理装置120の通信インタフェース要素121に接続させる。通信インタフェース要素111及び121は、これらの装置が適合動作するための適切なデータ接続を可能にする、USB又はBluetooth(登録商標)技術のような有線又は無線のインタフェース技術を採用する。
【0022】
更に図1に示されるように、メータ110は電源114を含む。電源114は、演算処理装置120から接続140を介して再充電の電力を受ける、再充電可能なリチウムイオン電池とすることができる。この実施形態では、メータ110と演算処理装置120との間の接続140は、信号ライン接続とともに、演算処理装置120から低電圧電流を得る直流電力ラインを含む。
【0023】
そのような場合、いくつかの実施形態が採用する、メータ110と演算処理装置120との間の電力ライン接続は、演算処理装置120の電源からの感電の危険性に対しユーザを保護する。それらの実施形態は、特に、メータ110が演算処理装置120に物理的に接続したままの状態でユーザが検査を行っているときに、そのような保護を提供する。図2Aに示されるように、演算処理装置120は交流電源150から電力を得る。演算処理装置120は、通常、交流電力ラインから絶縁されユーザを保護する。この特徴は一次絶縁及び保護と呼ばれる。しかしながら、もし、演算処理装置120の一次絶縁/保護が故障した場合、交流電力ラインからの電気が演算処理装置120を介して不安全な状態でユーザに伝わる可能性がある。それゆえ、メータ110が演算処理装置120に差し込まれ、ユーザがテスト片130で検査を行っているときに、ユーザがテスト片130の端に触れて感電するかもしれない。二次的な保護策として、メータ110が演算処理装置120に接続しているときに検査不可とすることができよう。しかし、検査を行う度に演算処理装置120からメータ110を切断し、検査の結果を演算処理装置120に送信するためにメータ110を再び接続することは、ユーザにとって不便である。この不便さを解消するため、本発明の態様は、検査の間、メータ110を演算処理装置120から電気的に絶縁するが、機械的にはメータ110が演算処理装置120に接続したままの状態を許容する。
【0024】
いくつかの実施形態において、スイッチ又は絶縁DC−DCコンバータのような他の標準的な絶縁技術を介して、演算処理装置120の電力からメータ110が電気的に絶縁される。絶縁DC−DCコンバータは、通常、フライバックトランスと呼ばれる小さなトランスを用いる。有利なことには、絶縁DC−DCコンバータによって、演算処理装置120に機械的に接続されたままのメータ110で、ユーザは検査を行うことができる。
【0025】
図2B−Cは、メータ110が演算処理装置120から電気的に絶縁された、メータ110と演算処理装置120との間の接続の例を図示し、特には演算処理装置の一次絶縁/保護が故障の場合を示している。
【0026】
図2Bを参照し、正常動作中の2つのトランジスタNPN及びPNPは、メータ110のマイクロコントローラにより特定の電圧がトランジスタNPN及びPNPのベース入力に供給されてオンしている。例えば、NPNトランジスタのベースエミッタ間の電圧が0.7Vを超えるとき、NPNトランジスタがオンする。ベースエミッタ間の電圧が−0.7Vを超えるとき、PNPトランジスタがオンする。これらのトランジスタがオンするとき、図4において示される関連する2つのダイオードは、ダイオードを通して電流が流れるように順方向にバイアスされる。これにより、メータ110内部の再充電可能なバッテリ114は、バッテリ充電回路116を介して充電されることができる。メータ110内部のマイクロコントローラ及び他の電子回路は、それらがバッテリ114から電力を得るという理由から、図4には負荷117として一括りに示される。
【0027】
図2Bを更に参照し、テスト片130がメータ110に受容されているときには、マイクロコントローラがトランジスタをオフし、そしてメータ110は、バッテリ114からの電力だけで単独に動作する。一次絶縁/保護が破壊されたときでも、2本の電力ライン(5V及びGNDと標示)は、その電力ライン電圧を帯びる可能性がある。それゆえ、メータ110に対する相対電圧のピークが310Vほどにも高くなり得る。この電圧は正及び負でもあり得る。高電圧が負のときには、ダイオードは逆バイアスされて電流を通さない。高電圧が正のときには、NPN及びPNPトランジスタがオフして電流を通さない。(交流電力ラインの場合のように、高電圧の極性が変わるときには、ダイオード又はトランジスタ単体では十分な保護とならないであろう。)ダイオード及びトランジスタには、ユーザに対する適切な保護を達成するため、400Vを超える破壊電圧を有することが必要とされる。図2Bに示される抵抗R1及びR2の値は、十分に大きくすべきである。これらの値は、正常動作の間及び一次絶縁/保護の破壊が発生した場合においてユーザに対し十分な保護を提供すべく、トランジスタのhFE(増幅率)と共に決定される。
【0028】
絶縁DC−DCコンバータのような他の絶縁/保護技術と比較して、図2Bの実施形態は、より低コスト、そして、より小さな幾何的寸法、すなわちメータ110に要求される基板を小さくして実現できることにおいて優位性がある。二次絶縁/保護は、一次絶縁/保護と同程度の保護性能で設計する必要性がなく、よってコストを可及的に低減することができる。
【0029】
図2Cを参照し、シリコン制御整流子(SCR)のようなサイリスタ118が二次絶縁/保護に採用される。適当な作動信号(短パルス)がゲート入力に与えられると、SCR118がオンする。交流ラインに故障がないときは、SCR118のオン状態が充電流によって維持されるので、SCR118をオフさせる必要はない。交流ラインの故障が発生すると、交流の極性が1/50(ヨーロッパ)又は1/60(北アメリカ)毎秒で変換し、極性が反転したときにSCR118がオフするため、これによりユーザが保護される。
【0030】
要するに、本発明の態様は、ユーザがメータ110で検査を始めるとき、例えばユーザがテスト片130をメータ110に装着するときに、演算処理装置120に接続される電源からメータ110を自動的に電気的に絶縁する。この特徴により、演算処理装置120の一次絶縁/保護の故障からユーザが保護される。
【0031】
前述したように、演算処理装置120は、携帯型の演算処理装置を含む様々な処理装置から選択され得る。図3は、携帯型の演算処理装置と適合性がある、高性能の可搬小型メータ210を図示する。小型メータ210の寸法は、PALM(登録商標)携帯、Blackberry(登録商標)機又はアップル社のiPhone(登録商標)機のような可搬型の演算処理装置に対する物理的な接続を容易にする。例えば、小型メータ210の寸法を約20mm×15mm×5mmとしてよい。小型メータ210はユーザインタフェース215を含み、例えば、グラフィック液晶ディスプレイ(LCD)又は有機LED(OLED)、セグメントLCD又はOLEDなどのようなものを採用することができる。グラフィカルユーザインタフェース215は、小型メータ210の前面の約40%までの面積を占めてよく、約0.3mmの幅とすることができる。
【0032】
図4に示されるように、小型メータ210はテストセンサ上のサンプルの被分析物濃度を測定する。小型メータ210は被分析物濃度を格納し、被分析物濃度がユーザインタフェース215に表示され得る。例えば、小型メータ210は、1週間の最小限の検査結果を格納する。このメモリに要求される容量は他のメータよりも少ない。例えば、1日に4回の検査では1週間で28の検査結果が生じる。各検査の結果は、約8byteの容量を要求するため、メモリの総容量としては約224byteが必要となるであろう。
【0033】
更に図4では、小型メータ210がアップル社のiPhone(登録商標)機220に接続される図が示される。アップル社のiPhone(登録商標)機220は、検査の結果及び関連する情報を管理し、処理し及び表示するための、より高度な機能性を提供する。特にアップル社のiPhone(登録商標)機220は、小型メータ210から受信したデータに基づく情報を表示するユーザインタフェース225を含んでいる。
【0034】
通常、演算処理装置120は、データ管理ソフトウェア126を実行し、そして演算処理装置110のユーザインタフェース125上でメータ110に関するデータ及び情報を提示する。更に、演算処理装置120は、検査中にメータ110が演算処理装置に接続したままの状態でデータ及び情報を提示することができる。特に、ユーザインタフェース125は、メータ110での検査の処置を指導するための、明確でかつ習得容易な指示を提示する。例えば、演算処理装置120は、コンピュータが読み取り可能な媒体上に格納されたソフトウェア126を実行して、検査の処置がされながら各工程のための説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示する。そのような場合、ユーザは明確で逐次的な指示を受けることで、検査の処置におけるユーザエラーの機会が減る。いくつかの実施形態において、ソフトウェア126はアニメーションを採用して、指示の提示を強化してよい。例えば、ユーザインタフェース125は、人間又はキャラクタの動画(例えば健康管理業者、糖尿病教育者、ユーザ又はユーザが選択する者の漫画)を表示して、より深く関わりそしてより個人的なやり方で工程を通じた案内を行う。
【0035】
いくつかの実施形態において、ユーザインタフェース125は、検査の処置において異常又は例外的な状況が発生したときに、的確な工程を通じてユーザを案内又は支援する、説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声をも提示する。例えば、被分析物と試薬との間の反応のレベルが試薬の温度に依存する場合には、テストセンサ130上の試薬の温度がメータにより計測される被分析物の濃度の精度に影響を与えることもあり得る。そのような場合、本発明のいくつかの実施形態は、試薬の温度を判定し、その計測された温度を用いて被分析物の濃度のより正確な測定値を求める。詳細にはメータ110は、測定アルゴリズムへの変数入力として、計測される温度を提供する温度測定システムを有する。実際に測定値はテストセンサの実温度に基づいて補正されるが、しかしいくつかの場合において、テストセンサ130を適正範囲内の温度を有するもの、例えば周囲温度により近いものに交換することで検査処置の精度が改善される。それゆえ、テストセンサ130の温度が許容できる範囲にないと温度測定システムが判定するとき、テストセンサの温度が適正範囲外にあることを診断システムが検知したときに、ユーザインタフェースは、テストセンサの交換をユーザに指示する説明的なグラフィックス及び文字的な情報(音声も同様)を提供してよい。そのような説明的なグラフィックス及び文字的な情報の例が図5A−Eに示される。
【0036】
図5Aに示される、画面300A上の説明的なグラフィックス及び文字的な情報は、テストセンサ130に関する例外的な状況をユーザに対し警告するものであり、テストセンサ130を取り外すようユーザに指示する。そして、図5Bにおける画面300Bは、取り外したテストセンサ130を清浄な面上に置くことをユーザに指示する。図5Cに示されるように、画面300Cは、テストセンサ130の取り扱い方法に留意させながら、もう1つのテストセンサをテストセンサ容器から取り出すようユーザに指示する。取り外したテストセンサ130が清浄な面上に置かれているため、その取り外したテストセンサ130をユーザが容器から偶発的に選択してしまうことはあり得ない。そして、図5Dにおける画面300Dは、再びテストセンサ130の取り扱い方法に留意させながら、新しいテストセンサをメータ110に装着するようユーザに指示する。図5Eに示されるように、最後に画面300Eは、後の使用のために取り外したテストセンサ130をテストセンサ容器に戻すようユーザに指示する。
【0037】
ユーザは、続く画面へ移動する準備ができたとき“次へ”プッシュボタンを操作することで、図5A−Eに対応する画面300A−Eの配列順序で工程を進めることができる。これに代えて、ユーザインタフェース125は、画面300A−Eでつながるスライドショウを自動的に表示してもよい。また、前述したように、画面300A−Eにおけるグラフィカルな情報がアニメ化されたプレゼンテーションとして表示されてもよい。
【0038】
検査の処置又はメータ110の操作が実際にされながら、説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示することは有利である一方で、この説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声が個別の説明として分離して示されるものでもよいことが理解される。更にユーザインタフェース125は、メータの操作においてユーザを案内し又は支援する任意の情報を提供してよく、画面300A−Eに示される情報として提示された種類のものだけに限定されないことが理解される。例えば、ユーザインタフェース125は、メータの機種を他に変更することをユーザに案内する画面を提示してよく、そのような特徴は、メータの特定のブランド又は製品ラインへの愛着心を推し進めるであろう。
【0039】
前述したように、演算処理装置140はデータ管理ソフトウェア126を含む。演算処理装置140上のデータ管理ソフトウェア126は、メータ110によって測定されたデータを受信して処理するプログラム又はコンピュータコードの集合を含む。ソフトウェア126は、ユーザが望む手法でこの入力を処理及び/又は表示する。この情報は、例えば、ユーザ、在宅看護者(HCP)及び/又は医者により利用され得る。有利なことには、ソフトウェア126は、1日に何度も(例えば1日に約6から10回)検査をするユーザに必要とされる高度な表示及びデータ処理を提供することができる。例えばソフトウェア126は、バイエル・ヘルスケアLLC社(ニューヨーク州タリータウン)から入手可能なWINGLUCOFACTS(商標)糖尿病管理ソフトウェアに類似のものを含むことができる。この場合、ソフトウェア126は完全なツールキットを提供でき、それは血糖測定システムから検査結果を受信し及び格納すること、検査時間及びミールマーカーのような他の検査情報を受信し及び格納すること、検査結果を電子記録簿で追跡すること、平均値を計算し検査結果の異常値を統計的に分析すること、集約して検査結果にフィードバックすること、カスタマイズ可能なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供すること、ユーザが使い易いように検査結果を表及びグラフで表示すること、ユーザごとに定められる標的範囲に対する検査結果を追跡すること、予測分析を提供すること、及び/又は、ファクシミリ、電子メールなどでデータを健康管理の専門家に送信すること、などができる。
【0040】
本発明の態様による診断システムは、様々な基本構造及び構成を採用する。図4を参照して既に述べたように、メータは、高性能の可搬型であって、アップル社のiPhone(登録商標)220のような可搬型の演算処理装置に接続可能な小型メータ210として構成される。しかし、代替的な実施形態において、図6は、アップル社のiPhone(登録商標)220と例えばBluetooth(登録商標)を介して無線で通信を行う小型メータ210を図示する。図5に示されるように、アップル社のiPhone(登録商標)220は、データ管理ソフトウェアを実行する。
【0041】
もう1つの代替的な実施形態において、図7は、一体化されたランセット装置(採血用穿刺器具)400の小型メータ部品410として構成されるメータを図示する。一体化されたランセット装置400は、皮膚表面でサンプルを生じさせるランセット420にサンプルを分析するためのメータ410が結合される。メータ410はランセット420に一体化されてよく、又は、取り外しが可能にランセット420に接続されてもよい。図7における例の態様では、メータ410はアップル社のiPhone(登録商標)220と例えばBluetooth(登録商標)を介して無線で通信を行う。しかし、この通信は有線接続を介してもよい。
【0042】
更にもう1つの代替的な実施形態において、図8は、腕時計、ネックレスなどのようなものとして個々に構成された“ステルス”メータ510として構成されるメータを図示する。図8における例の態様では、“ステルス”メータ510はアップル社のiPhone(登録商標)220と例えばBluetooth(登録商標)を介して無線で通信を行う。しかし、この通信は有線接続を介してもよい。
【0043】
演算処理装置120よりもむしろメータ110が自己のソフトウェアを実行して、図5A−Eの画面300A−Eに示されるような情報を提示するものが採用されてもよいことが理解される。これは、検査がメータで行われているときにメータ110と演算処理装置120との間でいかなる通信も許されない実施形態において特に有利である。
【0044】
更に本発明の態様は、血糖測定システムに限定されず、広範な診断システムに適用できることも理解される。分析される被分析物は、糖、脂質像(例えばコレステロール、トリグリセリド、LDL及びDHL)、ミクロアルブミン、ヘモグロビンA1c果糖、乳酸又はビリルビンであってもよい。他の被分析物の情報が判定され得る(例えば被分析物の濃度)ことが考慮される。被分析物は、例えば、全血サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、ISF(間質液)及び尿のような他の体液、並びに、非体液中のものでもよい。
【0045】
この発明は、様々な変更及び代替的な形態を受け入れるものである一方で、具体的な実施形態及びその方法が図の例で示されここに詳細に説明された。しかしながら、それは発明を開示された特定の形態又は方法に限定することを意図するものではなく、逆に、発明の精神及び範囲に帰する全ての変更、均等及び変換を包み込むものであることが理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
[関連出願の引用]
この出願は、その内容が引用によりここに全て取り込まれる、2009年8月11日に出願された米国仮特許出願61/233,113に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、診断システムのユーザに対し情報を提示するための方法及びシステムに関する。より具体的には、本発明の態様による方法及びシステムは、診断システムのためのグラフィカルユーザインタフェースを提供する。更にユーザインタフェースは、診断システムを操作するための情報を提供する。
【背景技術】
【0003】
体液における被分析物の定量判定は、生理学上のある一定の異常の診断及び保全において非常に重要である。例えば、乳酸、コルステロール及びビリルビンがある個人において監視される。特に、糖尿病の個々人が体液内の糖レベルを頻繁にチェックして、食事における糖の摂取を安定させることは重要である。そのような検査の結果を、必要に応じて、どのインシュリン又は薬物を投与すべきかの判断に使用することが可能である。
【0004】
血糖システムのような診断システムは、体液のサンプル中の被分析物の濃度を計測するためのメータ又は計器を採用することができる。いくつかの診断システムにおいて、血液のサンプルの検査にテストセンサが使用される。テストセンサは、サンプル中で例えば血糖である被分析物に反応するバイオセンシング材又は試薬材を含む。例えば、テストセンサの検査端部が、指を刺してその人の指の上に溜まった検査液(例えば血液)に接触するように設置される。毛菅作用によって、検査されるべき十分な量の液がテストセンサの検査端部から試薬材へと吸い上げられる。メータは、そのテストセンサを受容し、そして被分析物と試薬材との間の反応から生じる電流又は色のような出力を測定することにより、光学的又は電気化学的な検査手法を適用する。診断システムは、典型的には、ユーザに対し検査の結果を表示するためのグラフィカルユーザインタフェースを採用する。また、グラフィカルユーザインタフェースは、ユーザに対する指示の表示にも採用され得る。
【0005】
診断システムは、検査の処置においてユーザにいくつかの工程の履行を要求する。しかしながら、そのような検査手法による精度は、ユーザが履行する工程のやり方に依存する。
【発明の概要】
【0006】
上述したことに鑑みると、正確な結果が生じるように診断システムの検査の処置を指導するための、明確でかつ習得容易な指示をユーザに提供するグラフィカルユーザインタフェースを診断システムに備えるシステム及び方法への要請が存在するであろう。更には、異常又は例外的な状況が発生したときに診断システムをどのように操作するかに関する指示をユーザに提供するグラフィカルユーザインタフェースへの要請が存在するであろう。
【0007】
したがって、本発明の態様による診断システムは、検査の処置においてテストセンサを受容するように構成されるメータを含む。診断システムはメータに接続する演算処理装置をも含む。テストセンサは、検査の処置において液サンプルを受容する。メータは、液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システムを含む。演算処理装置は、メータからの測定値を受信し及び処理する。とりわけ演算処理装置は、特に異常又は例外的な状況が発生したときに診断システムをどのように操作するかに関する、視覚的及び/又は聴覚的な指示を提供する強化された処理及び提示の能力を有する。
【0008】
本発明の態様による診断システムは、検査の処置を指導するための明確でかつ習得容易な指示を提供するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)又は表示装置を採用する。例えば、診断システムの処理装置は、コンピュータが読み取り可能な媒体上に格納されたソフトウェアを実行することで、検査の処置における各工程のために、関連するユーザインタフェース上で説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示する。この場合、明確で逐次的な指示をユーザが受けることで、検査の処置におけるユーザエラーの機会が減る。いくつかの実施形態において、ソフトウェアはアニメーションを採用して、指示の提示を強化してよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、GUIは、検査の処置において異常又は例外的な状況が発生したときに、的確な工程を通じてユーザを案内する説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声もまた提示する。例えば、テストセンサにおける被分析物と試薬との間の化学的な反応の結果が異なる温度で変化するので、検査の処置の精度がテストセンサの温度の影響を受けることがある。実際の測定値は反応の直前に取得されたテストセンサの実温度に基づいて補正することができるが、しかしいくつかの場合において、テストセンサを適正範囲内の温度を有するものに交換することで検査の処置の精度が改善される。それゆえ、いくつかの実施形態においては、テストセンサの温度が適正範囲外であることを診断システムが検知したときに、GUIは、テストセンサの交換をユーザに指示するグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示する。
【0010】
メータは、説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示するための処理装置、ソフトウェア及びGUIを備えることができるが、本発明の態様による診断システムは様々な基本構造を採用することが理解される。例えば、診断システムは、従来型のパーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)又はスマートフォンのような外部装置と組み合わせたメータを採用する。この場合、外部装置にソフトウェアが配置され、外部装置の処理部がソフトウェアを実行するとともにその外部装置のユーザインタフェース上で説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示する。実際いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、メータにより格納された検査結果を管理し、分析し及び提示するための、外部装置で実行されるデータ管理システムの一部をなす。この実施形態では、データ管理システムは、メータのプロセッサ及びユーザインタフェースでは不可能な強化された機能性を提供するために、より大きな処理能力及び表示能力を利用する。
【0011】
検査の処置が実際にされながら説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示することは有利である一方で、この説明的なグラフィックス及び/又は文字的情報が個別の説明として分離して示されるものでもよいことが理解される。
【0012】
本発明の実施を深く考慮した最良の形態を含む複数の例示的な実施形態及び実施例の説明による、以下の詳細な記述から、本発明の他の態様、特徴及び有利性も容易に明らかにされる。本発明はまた他のそして異なる実施形態も可能であり、本発明の精神及び範囲から全て逸脱することなく、様々な態様におけるいくつかの詳細な点で変更が可能である。したがって、図面及び詳細な記述は、限定するものとしてではなく、本質を説示するものとして考慮されるべきである。本発明は、発明の精神及び範囲に帰する全ての変更、均等及び変換を包み込むものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の態様による、メータ及び演算処理装置を含む診断システムの実施形態を図示する。
【図2A】図2Aは、メータと演算処理装置との間の接続を図示する。
【図2B】図2Bは、本発明の態様により演算処理装置の電源からの二次絶縁/保護を提供する、メータと演算処理装置との間の接続を図示する。
【図2C】図2Cは、演算処理装置の電源からの二次絶縁/保護を提供する、メータと演算処理装置との間の他の接続を図示する。
【図3】図3は、本発明の態様による小型血糖メータを図示する。
【図4】図4は、本発明の態様による、スマートフォンに接続される小型血糖メータを図示する。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図5C】図5Cは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図5D】図5Dは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図5E】図5Eは、本発明の実施形態による診断システムによって表示され得る、グラフィカルな及び文字的な情報の例を図示する。
【図6】図6は、本発明の態様によるメータの代替的な実施形態を図示する。
【図7】図7は、本発明の態様によるメータの他の代替的な実施形態を図示する。
【図8】図8は、本発明の態様によるメータの更に他の代替的な実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[図示される実施形態の説明]
図1は、個人が自己の血糖濃度の測定値を能動的に監視し、そして記録できるようにする糖尿病管理システム10の非限定的な例を示す。図1に示されるように、糖尿病管理システム100は、血糖メータ(BGM)110と演算処理装置120とを含む。接続140は、メータ110が演算処理装置120と通信できるようにする。メータ110は、血液サンプル中の血糖濃度の瞬間測定値を取得し、その測定データの通信を演算処理装置120に対して行う。演算処理装置120は、データ管理ソフトウェア(コンピュータが読み取り可能な媒体上に格納された実行可能なプログラム命令)126を実行して、メータ110からの測定データを処理する。
【0015】
図1に図示されるように、メータ110は、分析のための血液サンプルを受容するテストセンサ130を係合する。例えば、ユーザは、指又は体の他の部分を突き刺して皮膚表面に血液サンプルを生じさせるためのランシング(穿刺)器具を用いてよい。そして、ユーザは、その血液サンプルに接触するようにテストセンサ130を設置することにより血液サンプルを採集してよい。当該技術分野では周知のように、テストセンサは電気化学テストセンサ又は光学テストセンサであるとすることができる。
【0016】
メータ110は、テストセンサ130によって採集された血液サンプルの糖濃度を測定するための反応検出システムを含む。例えば、反応検出システムは、電気化学テストセンサのために、電気化学的な反応を検出する電極のための接点を含むことができる。それに代わり、反応検出システムは、光学テストセンサのために、色的な反応を検出する光学検出器を含むことができる。反応検出システムによって測定された電気化学的又は色的な反応から被分析物の実際の濃度を計測するために、また、サンプルを検査する処置全般にわたる制御をするために、メータ110は、測定アルゴリズムに従ってプログラムされた命令を実行する、少なくとも1つのプロセッサ112を採用する。プロセッサ112で処理されたデータがメモリ113に格納される。更にメータ110は、検査の結果に関する情報を示す表示装置を含むユーザインタフェース115を含む。
【0017】
演算処理装置120は、デスクトップ又はラップトップのパーソナルコンピュータ(PC)、携帯型又はポケット型パーソナルコンピュータ(HPC)、適合性のある携帯情報端末(PDA)及びスマートフォンのような、様々な処理装置から選択され得る。この処理装置は様々なオペレーションシステム及び構成を採用することができる。例えば、演算処理装置120がデスクトップ又はラップトップのパーソナルコンピュータである場合には、そのオペレーティングシステムは、マイクロソフト社のWindows(登録商標)又はアップル社のMac(商標)OSのバージョンとすることができる。これに代えて、演算処理装置120がスマートフォンである場合には、そのオペレーティングシステムは、リサーチ・イン・モーション・リミテッド社からのBlackberry(登録商標)又はアップル社からのiPhone(登録商標)対応のものとすることができる。
【0018】
演算処理装置120は、コンピュータが読み取り可能な媒体で提供される任意の数のプログラムされた命令を受信し、そして実行することが可能なプロセッサ122を含む。加えて、演算処理装置120は、グラフィックス、文字及び/又は他の視聴覚的なコンテンツを表示するためのユーザインタフェース125を含む。ユーザインタフェース125は、演算処理装置120の筐体内に編入される構成とすることができるが、ユーザインタフェース125が、表示モニタのように、演算処理装置120に接続される分離した装置でもよいことが理解される。
【0019】
メータ110は、検査の結果を格納し、そしてユーザインタフェース125にその検査の結果を提供して表示する一方で、メータ110により得られた検査の結果が演算処理装置120に対し通信され、データ管理ソフトウェア126による追加的な処理が行われてユーザインタフェース125により表示される。演算処理装置120上のソフトウェア126は、検査の結果及び関連する情報を管理し、処理し及び表示するための、より高度な機能性を提供する。加えて、演算処理装置120は、高度化された視覚的及び/又は聴覚的な提示能力を提供する、強化されたユーザインタフェース125を提供する。高解像度のグラフィックスに加えて、演算処理装置120は、音声信号を介してユーザに情報を伝えることも可能である。更に演算処理装置120は、ネットワーク接続を介して、診断システム10に他の機能性及びデータ源へのアクセスを提供することもできる。
【0020】
一般に、演算処理装置120は、メータ110では得られない処理及び提示の能力を提供する。しかしながら、メータ110は、演算処理装置120に接続されないときでも被分析物の濃度の測定及び表示動作を十分に行えることに留意する。
【0021】
図1に示されるように、メータ110は、通信インタフェース要素111を含み、メータ110を演算処理装置120の通信インタフェース要素121に接続させる。通信インタフェース要素111及び121は、これらの装置が適合動作するための適切なデータ接続を可能にする、USB又はBluetooth(登録商標)技術のような有線又は無線のインタフェース技術を採用する。
【0022】
更に図1に示されるように、メータ110は電源114を含む。電源114は、演算処理装置120から接続140を介して再充電の電力を受ける、再充電可能なリチウムイオン電池とすることができる。この実施形態では、メータ110と演算処理装置120との間の接続140は、信号ライン接続とともに、演算処理装置120から低電圧電流を得る直流電力ラインを含む。
【0023】
そのような場合、いくつかの実施形態が採用する、メータ110と演算処理装置120との間の電力ライン接続は、演算処理装置120の電源からの感電の危険性に対しユーザを保護する。それらの実施形態は、特に、メータ110が演算処理装置120に物理的に接続したままの状態でユーザが検査を行っているときに、そのような保護を提供する。図2Aに示されるように、演算処理装置120は交流電源150から電力を得る。演算処理装置120は、通常、交流電力ラインから絶縁されユーザを保護する。この特徴は一次絶縁及び保護と呼ばれる。しかしながら、もし、演算処理装置120の一次絶縁/保護が故障した場合、交流電力ラインからの電気が演算処理装置120を介して不安全な状態でユーザに伝わる可能性がある。それゆえ、メータ110が演算処理装置120に差し込まれ、ユーザがテスト片130で検査を行っているときに、ユーザがテスト片130の端に触れて感電するかもしれない。二次的な保護策として、メータ110が演算処理装置120に接続しているときに検査不可とすることができよう。しかし、検査を行う度に演算処理装置120からメータ110を切断し、検査の結果を演算処理装置120に送信するためにメータ110を再び接続することは、ユーザにとって不便である。この不便さを解消するため、本発明の態様は、検査の間、メータ110を演算処理装置120から電気的に絶縁するが、機械的にはメータ110が演算処理装置120に接続したままの状態を許容する。
【0024】
いくつかの実施形態において、スイッチ又は絶縁DC−DCコンバータのような他の標準的な絶縁技術を介して、演算処理装置120の電力からメータ110が電気的に絶縁される。絶縁DC−DCコンバータは、通常、フライバックトランスと呼ばれる小さなトランスを用いる。有利なことには、絶縁DC−DCコンバータによって、演算処理装置120に機械的に接続されたままのメータ110で、ユーザは検査を行うことができる。
【0025】
図2B−Cは、メータ110が演算処理装置120から電気的に絶縁された、メータ110と演算処理装置120との間の接続の例を図示し、特には演算処理装置の一次絶縁/保護が故障の場合を示している。
【0026】
図2Bを参照し、正常動作中の2つのトランジスタNPN及びPNPは、メータ110のマイクロコントローラにより特定の電圧がトランジスタNPN及びPNPのベース入力に供給されてオンしている。例えば、NPNトランジスタのベースエミッタ間の電圧が0.7Vを超えるとき、NPNトランジスタがオンする。ベースエミッタ間の電圧が−0.7Vを超えるとき、PNPトランジスタがオンする。これらのトランジスタがオンするとき、図4において示される関連する2つのダイオードは、ダイオードを通して電流が流れるように順方向にバイアスされる。これにより、メータ110内部の再充電可能なバッテリ114は、バッテリ充電回路116を介して充電されることができる。メータ110内部のマイクロコントローラ及び他の電子回路は、それらがバッテリ114から電力を得るという理由から、図4には負荷117として一括りに示される。
【0027】
図2Bを更に参照し、テスト片130がメータ110に受容されているときには、マイクロコントローラがトランジスタをオフし、そしてメータ110は、バッテリ114からの電力だけで単独に動作する。一次絶縁/保護が破壊されたときでも、2本の電力ライン(5V及びGNDと標示)は、その電力ライン電圧を帯びる可能性がある。それゆえ、メータ110に対する相対電圧のピークが310Vほどにも高くなり得る。この電圧は正及び負でもあり得る。高電圧が負のときには、ダイオードは逆バイアスされて電流を通さない。高電圧が正のときには、NPN及びPNPトランジスタがオフして電流を通さない。(交流電力ラインの場合のように、高電圧の極性が変わるときには、ダイオード又はトランジスタ単体では十分な保護とならないであろう。)ダイオード及びトランジスタには、ユーザに対する適切な保護を達成するため、400Vを超える破壊電圧を有することが必要とされる。図2Bに示される抵抗R1及びR2の値は、十分に大きくすべきである。これらの値は、正常動作の間及び一次絶縁/保護の破壊が発生した場合においてユーザに対し十分な保護を提供すべく、トランジスタのhFE(増幅率)と共に決定される。
【0028】
絶縁DC−DCコンバータのような他の絶縁/保護技術と比較して、図2Bの実施形態は、より低コスト、そして、より小さな幾何的寸法、すなわちメータ110に要求される基板を小さくして実現できることにおいて優位性がある。二次絶縁/保護は、一次絶縁/保護と同程度の保護性能で設計する必要性がなく、よってコストを可及的に低減することができる。
【0029】
図2Cを参照し、シリコン制御整流子(SCR)のようなサイリスタ118が二次絶縁/保護に採用される。適当な作動信号(短パルス)がゲート入力に与えられると、SCR118がオンする。交流ラインに故障がないときは、SCR118のオン状態が充電流によって維持されるので、SCR118をオフさせる必要はない。交流ラインの故障が発生すると、交流の極性が1/50(ヨーロッパ)又は1/60(北アメリカ)毎秒で変換し、極性が反転したときにSCR118がオフするため、これによりユーザが保護される。
【0030】
要するに、本発明の態様は、ユーザがメータ110で検査を始めるとき、例えばユーザがテスト片130をメータ110に装着するときに、演算処理装置120に接続される電源からメータ110を自動的に電気的に絶縁する。この特徴により、演算処理装置120の一次絶縁/保護の故障からユーザが保護される。
【0031】
前述したように、演算処理装置120は、携帯型の演算処理装置を含む様々な処理装置から選択され得る。図3は、携帯型の演算処理装置と適合性がある、高性能の可搬小型メータ210を図示する。小型メータ210の寸法は、PALM(登録商標)携帯、Blackberry(登録商標)機又はアップル社のiPhone(登録商標)機のような可搬型の演算処理装置に対する物理的な接続を容易にする。例えば、小型メータ210の寸法を約20mm×15mm×5mmとしてよい。小型メータ210はユーザインタフェース215を含み、例えば、グラフィック液晶ディスプレイ(LCD)又は有機LED(OLED)、セグメントLCD又はOLEDなどのようなものを採用することができる。グラフィカルユーザインタフェース215は、小型メータ210の前面の約40%までの面積を占めてよく、約0.3mmの幅とすることができる。
【0032】
図4に示されるように、小型メータ210はテストセンサ上のサンプルの被分析物濃度を測定する。小型メータ210は被分析物濃度を格納し、被分析物濃度がユーザインタフェース215に表示され得る。例えば、小型メータ210は、1週間の最小限の検査結果を格納する。このメモリに要求される容量は他のメータよりも少ない。例えば、1日に4回の検査では1週間で28の検査結果が生じる。各検査の結果は、約8byteの容量を要求するため、メモリの総容量としては約224byteが必要となるであろう。
【0033】
更に図4では、小型メータ210がアップル社のiPhone(登録商標)機220に接続される図が示される。アップル社のiPhone(登録商標)機220は、検査の結果及び関連する情報を管理し、処理し及び表示するための、より高度な機能性を提供する。特にアップル社のiPhone(登録商標)機220は、小型メータ210から受信したデータに基づく情報を表示するユーザインタフェース225を含んでいる。
【0034】
通常、演算処理装置120は、データ管理ソフトウェア126を実行し、そして演算処理装置110のユーザインタフェース125上でメータ110に関するデータ及び情報を提示する。更に、演算処理装置120は、検査中にメータ110が演算処理装置に接続したままの状態でデータ及び情報を提示することができる。特に、ユーザインタフェース125は、メータ110での検査の処置を指導するための、明確でかつ習得容易な指示を提示する。例えば、演算処理装置120は、コンピュータが読み取り可能な媒体上に格納されたソフトウェア126を実行して、検査の処置がされながら各工程のための説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示する。そのような場合、ユーザは明確で逐次的な指示を受けることで、検査の処置におけるユーザエラーの機会が減る。いくつかの実施形態において、ソフトウェア126はアニメーションを採用して、指示の提示を強化してよい。例えば、ユーザインタフェース125は、人間又はキャラクタの動画(例えば健康管理業者、糖尿病教育者、ユーザ又はユーザが選択する者の漫画)を表示して、より深く関わりそしてより個人的なやり方で工程を通じた案内を行う。
【0035】
いくつかの実施形態において、ユーザインタフェース125は、検査の処置において異常又は例外的な状況が発生したときに、的確な工程を通じてユーザを案内又は支援する、説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声をも提示する。例えば、被分析物と試薬との間の反応のレベルが試薬の温度に依存する場合には、テストセンサ130上の試薬の温度がメータにより計測される被分析物の濃度の精度に影響を与えることもあり得る。そのような場合、本発明のいくつかの実施形態は、試薬の温度を判定し、その計測された温度を用いて被分析物の濃度のより正確な測定値を求める。詳細にはメータ110は、測定アルゴリズムへの変数入力として、計測される温度を提供する温度測定システムを有する。実際に測定値はテストセンサの実温度に基づいて補正されるが、しかしいくつかの場合において、テストセンサ130を適正範囲内の温度を有するもの、例えば周囲温度により近いものに交換することで検査処置の精度が改善される。それゆえ、テストセンサ130の温度が許容できる範囲にないと温度測定システムが判定するとき、テストセンサの温度が適正範囲外にあることを診断システムが検知したときに、ユーザインタフェースは、テストセンサの交換をユーザに指示する説明的なグラフィックス及び文字的な情報(音声も同様)を提供してよい。そのような説明的なグラフィックス及び文字的な情報の例が図5A−Eに示される。
【0036】
図5Aに示される、画面300A上の説明的なグラフィックス及び文字的な情報は、テストセンサ130に関する例外的な状況をユーザに対し警告するものであり、テストセンサ130を取り外すようユーザに指示する。そして、図5Bにおける画面300Bは、取り外したテストセンサ130を清浄な面上に置くことをユーザに指示する。図5Cに示されるように、画面300Cは、テストセンサ130の取り扱い方法に留意させながら、もう1つのテストセンサをテストセンサ容器から取り出すようユーザに指示する。取り外したテストセンサ130が清浄な面上に置かれているため、その取り外したテストセンサ130をユーザが容器から偶発的に選択してしまうことはあり得ない。そして、図5Dにおける画面300Dは、再びテストセンサ130の取り扱い方法に留意させながら、新しいテストセンサをメータ110に装着するようユーザに指示する。図5Eに示されるように、最後に画面300Eは、後の使用のために取り外したテストセンサ130をテストセンサ容器に戻すようユーザに指示する。
【0037】
ユーザは、続く画面へ移動する準備ができたとき“次へ”プッシュボタンを操作することで、図5A−Eに対応する画面300A−Eの配列順序で工程を進めることができる。これに代えて、ユーザインタフェース125は、画面300A−Eでつながるスライドショウを自動的に表示してもよい。また、前述したように、画面300A−Eにおけるグラフィカルな情報がアニメ化されたプレゼンテーションとして表示されてもよい。
【0038】
検査の処置又はメータ110の操作が実際にされながら、説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声を提示することは有利である一方で、この説明的なグラフィックス、文字的情報及び/又は音声が個別の説明として分離して示されるものでもよいことが理解される。更にユーザインタフェース125は、メータの操作においてユーザを案内し又は支援する任意の情報を提供してよく、画面300A−Eに示される情報として提示された種類のものだけに限定されないことが理解される。例えば、ユーザインタフェース125は、メータの機種を他に変更することをユーザに案内する画面を提示してよく、そのような特徴は、メータの特定のブランド又は製品ラインへの愛着心を推し進めるであろう。
【0039】
前述したように、演算処理装置140はデータ管理ソフトウェア126を含む。演算処理装置140上のデータ管理ソフトウェア126は、メータ110によって測定されたデータを受信して処理するプログラム又はコンピュータコードの集合を含む。ソフトウェア126は、ユーザが望む手法でこの入力を処理及び/又は表示する。この情報は、例えば、ユーザ、在宅看護者(HCP)及び/又は医者により利用され得る。有利なことには、ソフトウェア126は、1日に何度も(例えば1日に約6から10回)検査をするユーザに必要とされる高度な表示及びデータ処理を提供することができる。例えばソフトウェア126は、バイエル・ヘルスケアLLC社(ニューヨーク州タリータウン)から入手可能なWINGLUCOFACTS(商標)糖尿病管理ソフトウェアに類似のものを含むことができる。この場合、ソフトウェア126は完全なツールキットを提供でき、それは血糖測定システムから検査結果を受信し及び格納すること、検査時間及びミールマーカーのような他の検査情報を受信し及び格納すること、検査結果を電子記録簿で追跡すること、平均値を計算し検査結果の異常値を統計的に分析すること、集約して検査結果にフィードバックすること、カスタマイズ可能なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供すること、ユーザが使い易いように検査結果を表及びグラフで表示すること、ユーザごとに定められる標的範囲に対する検査結果を追跡すること、予測分析を提供すること、及び/又は、ファクシミリ、電子メールなどでデータを健康管理の専門家に送信すること、などができる。
【0040】
本発明の態様による診断システムは、様々な基本構造及び構成を採用する。図4を参照して既に述べたように、メータは、高性能の可搬型であって、アップル社のiPhone(登録商標)220のような可搬型の演算処理装置に接続可能な小型メータ210として構成される。しかし、代替的な実施形態において、図6は、アップル社のiPhone(登録商標)220と例えばBluetooth(登録商標)を介して無線で通信を行う小型メータ210を図示する。図5に示されるように、アップル社のiPhone(登録商標)220は、データ管理ソフトウェアを実行する。
【0041】
もう1つの代替的な実施形態において、図7は、一体化されたランセット装置(採血用穿刺器具)400の小型メータ部品410として構成されるメータを図示する。一体化されたランセット装置400は、皮膚表面でサンプルを生じさせるランセット420にサンプルを分析するためのメータ410が結合される。メータ410はランセット420に一体化されてよく、又は、取り外しが可能にランセット420に接続されてもよい。図7における例の態様では、メータ410はアップル社のiPhone(登録商標)220と例えばBluetooth(登録商標)を介して無線で通信を行う。しかし、この通信は有線接続を介してもよい。
【0042】
更にもう1つの代替的な実施形態において、図8は、腕時計、ネックレスなどのようなものとして個々に構成された“ステルス”メータ510として構成されるメータを図示する。図8における例の態様では、“ステルス”メータ510はアップル社のiPhone(登録商標)220と例えばBluetooth(登録商標)を介して無線で通信を行う。しかし、この通信は有線接続を介してもよい。
【0043】
演算処理装置120よりもむしろメータ110が自己のソフトウェアを実行して、図5A−Eの画面300A−Eに示されるような情報を提示するものが採用されてもよいことが理解される。これは、検査がメータで行われているときにメータ110と演算処理装置120との間でいかなる通信も許されない実施形態において特に有利である。
【0044】
更に本発明の態様は、血糖測定システムに限定されず、広範な診断システムに適用できることも理解される。分析される被分析物は、糖、脂質像(例えばコレステロール、トリグリセリド、LDL及びDHL)、ミクロアルブミン、ヘモグロビンA1c果糖、乳酸又はビリルビンであってもよい。他の被分析物の情報が判定され得る(例えば被分析物の濃度)ことが考慮される。被分析物は、例えば、全血サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、ISF(間質液)及び尿のような他の体液、並びに、非体液中のものでもよい。
【0045】
この発明は、様々な変更及び代替的な形態を受け入れるものである一方で、具体的な実施形態及びその方法が図の例で示されここに詳細に説明された。しかしながら、それは発明を開示された特定の形態又は方法に限定することを意図するものではなく、逆に、発明の精神及び範囲に帰する全ての変更、均等及び変換を包み込むものであることが理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査の処置においてテストセンサを受容するように構成されるメータであって、検査の処置において前記テストセンサが液サンプルを受容し、前記液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システム、及び、再充電可能なバッテリを含むメータと、
前記メータに接続がされ前記メータからの測定値を受信し及び処理する演算処理装置であって、電源を含み、前記メータの前記再充電可能なバッテリが前記電源からの電力で再充電可能であり、前記メータが前記接続を介して前記電力を受ける、演算処理装置と、を備え、
前記メータが前記演算処理装置に対し機械的に接続された状態で検査の処置が始められるときに前記演算処理装置の前記電源に対する接続から前記メータが電気的に絶縁される、液サンプル中の被分析物の濃度を判定するためのシステム。
【請求項2】
前記メータが前記テストセンサを受容した上で検査の処置が始められる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記接続が絶縁DC−DCコンバータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記メータがマイクロコントローラを含み、前記接続がトランジスタ及びダイオードを含み、前記テストセンサが前記メータに受容されていないとき前記マイクロコントローラが前記トランジスタをオンし、そして前記演算処理装置から前記ダイオードを介して電流が流れ、前記テストセンサが前記メータに受容されているとき前記マイクロコントローラが前記トランジスタをオフし、前記メータが前記バッテリからの電力で単独に動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記演算処理装置の故障により前記接続に高電圧が発生したとき、前記トランジスタ及びダイオードが前記演算処理装置からの電流の流れを防ぐように動作する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記接続がシリコン制御整流子(SCR)を含み、前記演算処理装置で故障が発生したとき前記SCRがオフし、交流電流の流れの結果として前記SCRの極性が反転する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
テストセンサを受容するメータであって、検査の処置において前記テストセンサが液サンプルを受容し、検査の処置において前記液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システムを含むメータと、
前記メータと通信をする演算処理装置であって、コンピュータが読み取り可能な媒体からのソフトウェアを実行し、前記ソフトウェアが検査の処置における少なくとも1つの例外的な状況への対応のための指示を提供する演算処理装置と、
前記演算処理装置と通信をし、前記少なくとも1つの例外的な状況への対応のための指示を提示するユーザインタフェースと、を備える、
液サンプル中の被分析物の濃度を判定するためのシステム。
【請求項8】
前記ユーザインタフェースが、説明的なグラフィックス、文字的情報又は音声の少なくとも1つを提示することにより前記指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユーザインタフェースが、アニメーションとして前記指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザインタフェースが、一連の画面として前記指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
1つの例外的な状況は、前記テストセンサが所定範囲外の温度を有するときに発生する、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記ソフトウェアは、テストセンサを他のテストセンサに交換するための指示を提供する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ソフトウェアは、テストセンサの容器から選択されるテストセンサの取り扱いのための指示を提供する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ユーザインタフェースが、検査の処置に整合する指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
前記ユーザインタフェースが、個別の説明として検査の処置から分離した指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記演算処理装置が、デスクトップ若しくはラップトップのパーソナルコンピュータ(PC)、携帯型若しくはポケット型パーソナルコンピュータ(HPC)、携帯情報端末(PDA)又はスマートフォンである、請求項7に記載のシステム。
【請求項17】
検査の処置においてテストセンサを受容するように構成される小型のメータであって、前記テストセンサが検査の処置において液サンプルを受容し、前記液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システムとユーザインタフェースとを含み、約20mm×15mm×5mmよりも大きくない寸法を有する小型のメータと、
前記メータに接続がされ前記メータからの測定値を受信し及び処理する可搬型の演算処理装置と、を備える、
液サンプル中の被分析物の濃度を判定するためのシステム。
【請求項18】
前記ユーザインタフェースが前記小型のメータの前面の約40%までの面積を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザインタフェースが約0.3mmの幅を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項1】
検査の処置においてテストセンサを受容するように構成されるメータであって、検査の処置において前記テストセンサが液サンプルを受容し、前記液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システム、及び、再充電可能なバッテリを含むメータと、
前記メータに接続がされ前記メータからの測定値を受信し及び処理する演算処理装置であって、電源を含み、前記メータの前記再充電可能なバッテリが前記電源からの電力で再充電可能であり、前記メータが前記接続を介して前記電力を受ける、演算処理装置と、を備え、
前記メータが前記演算処理装置に対し機械的に接続された状態で検査の処置が始められるときに前記演算処理装置の前記電源に対する接続から前記メータが電気的に絶縁される、液サンプル中の被分析物の濃度を判定するためのシステム。
【請求項2】
前記メータが前記テストセンサを受容した上で検査の処置が始められる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記接続が絶縁DC−DCコンバータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記メータがマイクロコントローラを含み、前記接続がトランジスタ及びダイオードを含み、前記テストセンサが前記メータに受容されていないとき前記マイクロコントローラが前記トランジスタをオンし、そして前記演算処理装置から前記ダイオードを介して電流が流れ、前記テストセンサが前記メータに受容されているとき前記マイクロコントローラが前記トランジスタをオフし、前記メータが前記バッテリからの電力で単独に動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記演算処理装置の故障により前記接続に高電圧が発生したとき、前記トランジスタ及びダイオードが前記演算処理装置からの電流の流れを防ぐように動作する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記接続がシリコン制御整流子(SCR)を含み、前記演算処理装置で故障が発生したとき前記SCRがオフし、交流電流の流れの結果として前記SCRの極性が反転する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
テストセンサを受容するメータであって、検査の処置において前記テストセンサが液サンプルを受容し、検査の処置において前記液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システムを含むメータと、
前記メータと通信をする演算処理装置であって、コンピュータが読み取り可能な媒体からのソフトウェアを実行し、前記ソフトウェアが検査の処置における少なくとも1つの例外的な状況への対応のための指示を提供する演算処理装置と、
前記演算処理装置と通信をし、前記少なくとも1つの例外的な状況への対応のための指示を提示するユーザインタフェースと、を備える、
液サンプル中の被分析物の濃度を判定するためのシステム。
【請求項8】
前記ユーザインタフェースが、説明的なグラフィックス、文字的情報又は音声の少なくとも1つを提示することにより前記指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユーザインタフェースが、アニメーションとして前記指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザインタフェースが、一連の画面として前記指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
1つの例外的な状況は、前記テストセンサが所定範囲外の温度を有するときに発生する、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記ソフトウェアは、テストセンサを他のテストセンサに交換するための指示を提供する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ソフトウェアは、テストセンサの容器から選択されるテストセンサの取り扱いのための指示を提供する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ユーザインタフェースが、検査の処置に整合する指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
前記ユーザインタフェースが、個別の説明として検査の処置から分離した指示を提示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記演算処理装置が、デスクトップ若しくはラップトップのパーソナルコンピュータ(PC)、携帯型若しくはポケット型パーソナルコンピュータ(HPC)、携帯情報端末(PDA)又はスマートフォンである、請求項7に記載のシステム。
【請求項17】
検査の処置においてテストセンサを受容するように構成される小型のメータであって、前記テストセンサが検査の処置において液サンプルを受容し、前記液サンプル中の被分析物の濃度の測定値を判定する測定システムとユーザインタフェースとを含み、約20mm×15mm×5mmよりも大きくない寸法を有する小型のメータと、
前記メータに接続がされ前記メータからの測定値を受信し及び処理する可搬型の演算処理装置と、を備える、
液サンプル中の被分析物の濃度を判定するためのシステム。
【請求項18】
前記ユーザインタフェースが前記小型のメータの前面の約40%までの面積を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザインタフェースが約0.3mmの幅を有する、請求項17に記載のシステム。
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図8】
【図4】
【図6】
【図7】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図8】
【公表番号】特表2013−501940(P2013−501940A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524840(P2012−524840)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/045175
【国際公開番号】WO2011/019820
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(507021757)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (33)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/045175
【国際公開番号】WO2011/019820
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(507021757)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (33)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
【Fターム(参考)】
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