説明

被検体内導入システム

【課題】消化管内に対する撮像視野を逐次把握しなくとも、所望の消化管内の所望領域に亘る一連の画像を容易に撮像できること。
【解決手段】被検体100内の画像を撮像する撮像手段および磁石を筐体の内部に配置し、被検体100内の画像を含む無線信号を外部に送信するカプセル型内視鏡1と、被検体100内に導入した液体Lq1中のカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生し、該磁場によって、このカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる永久磁石3と、被検体100に近接して前記磁場を発生する永久磁石3の被検体100に対する近接位置を示す位置表示シート2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検体の内部にカプセル型の被検体内導入装置を導入し、この被検体内導入装置によって撮像された被検体内の画像を取得する被検体内導入システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡分野においては、撮像機能と無線通信機能とを設けたカプセル型の被検体内導入装置(例えばカプセル型内視鏡)が提案され、このカプセル型内視鏡を用いて被検体内の画像を取得する被検体内導入システムが開発されている。カプセル型内視鏡は、被検体内を観察(検査)するために、例えば被検体の口から飲込まれ、その後、自然排出されるまでの間、体腔内たとえば胃、小腸等の臓器の内部をその蠕動運動に従って移動するとともに、例えば0.5秒間隔で被検体内の画像を撮像するように機能する。
【0003】
カプセル型内視鏡が被検体内を移動する間、このカプセル型内視鏡によって撮像された画像は、被検体の体表面に配置したアンテナを介して外部の画像表示装置に受信される。この画像表示装置は、カプセル型内視鏡に対する無線通信機能と画像のメモリ機能とを有し、被検体内のカプセル型内視鏡から受信した画像をメモリに順次格納する。医師または看護師は、かかる画像表示装置に蓄積された画像、すなわち被検体の消化管内の画像をディスプレイに表示することによって、被検体内を観察(検査)し、診断することができる。
【0004】
このような被検体内導入システムとして、例えば、筐体の外面に突起部材を螺旋状に形成し且つ筐体の内部に磁石を固定したカプセル型内視鏡を被検体内に導入し、このカプセル型内視鏡に対して被検体外から回転磁場を形成し、この回転磁場を制御することによってカプセル型内視鏡を被検体内の所望部位に誘導する医療装置誘導システムがある。このような医療装置誘導システムにおいて、被検体内に導入したカプセル型内視鏡は、被検体外から印加された回転磁場によって被検体内での位置および方向を変化する(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−255174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、医師は、観察部位である消化管内の所望領域に亘って撮像された一連の画像をディスプレイに順次表示させて、被検体の所望の消化管内を観察する。この場合、医師は、この消化管内に導入したカプセル型内視鏡を誘導して消化管内での撮像視野を変化させ、この消化管内の所望領域に亘ってカプセル型内視鏡に画像を撮像させる必要がある。
【0007】
しかしながら、上述した従来の被検体内導入システムでは、所望の消化管内に導入したカプセル型内視鏡の撮像視野をこの消化管内の所望領域に亘って変化させるために、ディスプレイに表示させた消化管内の画像(すなわち、この消化管内に導入したカプセル型内視鏡によって撮像された画像)を視認し、この消化管内の画像を撮像した時点でのカプセル型内視鏡の現在位置を常に把握しつつ、このカプセル型内視鏡を誘導しなければならない。このため、かかるカプセル型内視鏡の誘導操作には高度な技能および経験が必要であり、例えば熟練の医師でなければ、消化管内の所望領域に亘って撮像視野を変化させるようにカプセル型内視鏡を誘導することは困難であった。このことは、所望の観察部位である消化管内の所望領域に亘る一連の画像を撮像するまでに多大な時間および労力を消耗するとともに、このようなカプセル型内視鏡の誘導操作に熟練の医師等が長時間拘束される事態を招来する。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、消化管内に対する撮像視野を逐次把握しなくとも、所望の消化管内の所望領域に亘る一連の画像を容易に撮像できる被検体内導入システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる被検体内導入システムは、被検体内の画像を撮像する撮像手段および磁石を筐体の内部に配置し、前記被検体内の画像を含む無線信号を外部に送信する被検体内導入装置と、前記被検体内に導入した液体中の前記被検体内導入装置に対して磁場を発生し、該磁場によって前記被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる磁場発生手段と、前記被検体に近接して前記磁場を発生する前記磁場発生手段の前記被検体に対する近接位置を示す位置表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記位置表示手段は、複数の前記近接位置を示すことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記位置表示手段は、前記近接位置を示すマーカが形成されたシート状部材であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記マーカは、前記被検体の体位毎に異なる形状に形成されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記位置表示手段は、前記近接位置に近接させる前記磁場発生手段を選択する情報を前記近接位置に対応して示し、前記磁場発生手段は、前記情報をもとに複数の永久磁石の中から選択された永久磁石であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記位置表示手段は、前記近接位置に近接させる前記磁場発生手段の磁場強度を決定する情報を記録した情報記録媒体を前記近接位置毎に備え、前記磁場発生手段は、前記被検体内導入装置に対して前記磁場を発生する電磁石と、前記情報記録媒体に記録された情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた前記情報をもとに前記電磁石の磁場強度を制御する磁場制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記被検体内導入装置によって送信された前記無線信号を受信するアンテナを有し、該アンテナを介して受信した前記無線信号をもとに前記被検体内の画像を表示する画像表示装置を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項8にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記アンテナは、複数であり、複数の前記近接位置に対応して前記位置表示手段にそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記画像表示装置は、前記被検体内の画像の中から指定される所望の指定位置情報を入力する入力手段と、前記被検体内導入装置の位置および姿勢と前記位置表示手段の面位置とを検出し、前記被検体内導入装置と前記位置表示手段との位置関係を検出する検出手段と、前記指定位置情報と前記位置関係とをもとに、複数の前記近接位置の中から前記指定位置情報に対応する近接位置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された近接位置を示す特定位置表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項10にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記特定位置表示手段は、前記位置表示手段に対して前記近接位置毎に設けられ、前記特定手段によって特定された近接位置を所定の可視光によって示す発光手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、ディスプレイに表示させた画像をもとに消化管内に対するカプセル型内視鏡の撮像視野を逐次把握しなくとも、所望の消化管内の所望領域に亘る一連の画像を容易に撮像でき、所望の消化管内の観察に必要な画像を短時間で容易に取得できる被検体内導入システムを実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、この発明にかかる被検体内導入システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる被検体内導入システムの一構成例を模式的に示す模式図である。図1に示すように、この実施の形態1にかかる被検体内導入システムは、被検体100の内部に導入して被検体100の消化管内の画像を撮像するカプセル型内視鏡1と、カプセル型内視鏡1を浮揚させる液体Lq1を被検体100の内部に導入する供給器Lpと、液体Lq1中に浮揚するカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御するための永久磁石3と、被検体100に対して永久磁石3を近接させる体表上の位置を示す位置表示シート2と、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像をディスプレイに表示するワークステーション4とを有する。
【0022】
カプセル型内視鏡1は、被検体100内を撮像する撮像機能と、撮像した画像等の各種情報をワークステーション4に送信する無線通信機能とを有する。また、カプセル型内視鏡1は、被検体100に導入し易い大きさに形成され、液体Lq1の比重と同程度またはそれ未満の比重を有する。このようなカプセル型内視鏡1は、被検体100に飲み込まれた場合、被検体100の蠕動運動等によって消化管内を移動するとともに、所定の間隔、例えば0.5秒間隔で消化管内の画像を逐次撮像する。また、カプセル型内視鏡1は、このように撮像した消化管内の画像をワークステーション4に送信する。
【0023】
供給器Lpは、カプセル型内視鏡1を浮揚させる液体Lq1を被検体100の内部に供給するためのものである。具体的には、供給器Lpは、例えば水または生理食塩水等の所望の液体Lq1を内包し、被検体100の口から体内に液体Lq1を供給する。かかる供給器Lpによって供給された液体Lq1は、例えば被検体100の胃等に導入され、被検体100の内部においてカプセル型内視鏡1を浮揚する。
【0024】
永久磁石3は、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる磁場発生手段として機能する。具体的には、永久磁石3は、被検体100の内部(例えば胃の内部)に導入されたカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生し、かかる磁場の磁力によって、液体Lq1中でのカプセル型内視鏡1の動作(すなわち筐体の動き)を制御する。永久磁石3は、かかるカプセル型内視鏡1の動作を制御することによって、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御し、かかるカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる。この場合、カプセル型内視鏡1は、かかる永久磁石3によって印加された磁力に反応して筐体を動作する磁石を内蔵する。
【0025】
なお、永久磁石3は、所定の磁力を有する単一のものを用いてもよいが、互いに異なる磁力を有する複数の永久磁石を準備し、これら複数の永久磁石の中から選択したものを用いることが望ましい。この場合、永久磁石3は、被検体100の体型(例えば身長、体重、胴回り等)または制御するカプセル型内視鏡1の動作(例えば移動、揺動、またはその両動作)に応じ、適切な磁場を発生するものを選択すればよい。
【0026】
位置表示シート2は、被検体100に対して永久磁石3を近接させる位置(以下、近接位置と称する)を医師または看護師等の検査者に対して示す位置表示手段として機能する。具体的には、位置指示シート2は、被検体100に装着された場合、この被検体100の体表上に対する永久磁石3の近接位置を検査者に示す。かかる近接位置に近接させた永久磁石3は、消化管内のカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生し、このカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを磁力によって制御できる。すなわち、検査者は、永久磁石3を用いて被検体100内のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる場合、この位置表示シート2によって示される近接位置に永久磁石3を近接させて被検体100内のカプセル型内視鏡1の動作を制御する。なお、かかる被検体100内のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる永久磁石3の動作については、後述する。
【0027】
ワークステーション4は、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像等の各種情報を受信する無線通信機能と、カプセル型内視鏡1から受信した画像等をディスプレイに表示する表示機能とを有する。具体的には、ワークステーション4は、カプセル型内視鏡1に対して無線信号を送受信するアンテナ5aを有し、例えば被検体100の体表に配置されたアンテナ5aを介してカプセル型内視鏡1からの各種情報を取得する。この場合、ワークステーション4は、カプセル型内視鏡1によって撮像された被検体100内の画像をディスプレイに表示する画像表示装置として機能する。また、ワークステーション4は、このようなアンテナ5aを介し、カプセル型内視鏡1の駆動制御を行うための制御信号(例えばカプセル型内視鏡1の撮像動作の開始または停止を制御する制御信号)を送信できる。
【0028】
アンテナ5aは、例えばループアンテナを用いて実現され、カプセル型内視鏡1とワークステーション4との間で無線信号を送受信する。具体的には、アンテナ5aは、図1に例示するように、被検体100の体表上の所定位置、例えば被検体100の胃近傍の位置に配置される。この場合、アンテナ5aは、被検体100の胃に導入されたカプセル型内視鏡1とワークステーション4との無線通信を可能にする。なお、アンテナ5aは、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の通過経路に対応する被検体100の体表上に配置されればよい。また、このようなアンテナ5aの配置数は、特に1つに限定されず、複数であってもよい。
【0029】
つぎに、この発明にかかる被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡1の構成について詳細に説明する。図2は、カプセル型内視鏡1の一構成例を示す模式図である。図2に示すように、カプセル型内視鏡1は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体10と、上述した永久磁石3の磁力によって筐体10を動作する永久磁石11とを有する。また、カプセル型内視鏡1は、被検体100の内部を撮像するための撮像部12と、筐体10が揺動する際の角速度を検出する角速度センサ13と、筐体10が移動する際の加速度を検出する加速度センサ14と、カプセル型内視鏡1に対して印加された磁場の強度を検出する磁気センサ15とを有する。さらに、カプセル型内視鏡1は、撮像部12によって撮像された画像に対応する画像信号を生成する信号処理部16と、外部のアンテナ5aとの間で無線信号を送受信するアンテナ17aと、外部のワークステーション4に対して送信する画像信号等の各種信号を無線信号に変調し、またはアンテナ17aを介して受信した無線信号を復調する通信処理部17とを有する。また、カプセル型内視鏡1は、カプセル型内視鏡1の各構成部の駆動を制御する制御部18と、カプセル型内視鏡1の各構成部に対して駆動電力を供給する電源部19とを有する。
【0030】
筐体10は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、カプセル型内視鏡1の各構成部を内蔵するケース本体10aと、筐体10の前端部を形成するドーム部材10bとによって実現される。ケース本体10aは、例えば図2に示すように、筐体10の中心部に比して後端側に永久磁石11および電源部19を有し、前端部に撮像部12を有する。ドーム部材10bは、光透過性のある略透明なドーム状部材であり、撮像部12を覆う態様でケース本体10aの前端部に取り付けられる。この場合、ドーム部材10bは、その内壁とケース本体10aの前端部とに囲まれる空間領域10cを形成する。このようなケース本体10aおよびドーム部材10bによって形成される筐体10は、液体Lq1に比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ後端側に重心を有する。
【0031】
永久磁石11は、外部に発生した磁場の磁力によって筐体10を動作させるためのものである。具体的には、永久磁石11は、筐体10の長手方向に磁化し、例えば外部の永久磁石3が永久磁石11に対して磁場を発生した場合、この磁場によって印加された磁力に基づいて液体Lq1中の筐体10を移動または揺動する。これによって、永久磁石11は、液体Lq1中のカプセル型内視鏡1の姿勢および位置の少なくとも一つを磁力によって変化させることができる。
【0032】
なお、ここでいうカプセル型内視鏡1の姿勢は、所定の空間座標系xyzにおける筐体10の姿勢である。具体的には、カプセル型内視鏡1の姿勢は、筐体10の長手方向の中心軸上に軸ベクトルとして後端部から前端部に向かう方向の長軸C1を設定した場合、空間座標系xyzでの長軸C1の方向によって決定される。また、ここでいうカプセル型内視鏡1の位置は、空間座標系xyzにおける筐体10の位置座標によって決定される。すなわち、カプセル型内視鏡1が被検体100の内部に導入された場合、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の姿勢は、空間座標系xyzにおける長軸C1の方向によって決定され、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の位置は、空間座標系xyzにおける筐体10の位置座標によって決定される。
【0033】
撮像部12は、例えば被検体100の消化管内の画像を撮像するためのものである。具体的には、撮像部12は、CCDまたはCMOS等の撮像素子と、この撮像素子の撮像視野を照明するLED等の発光素子と、この撮像素子に対して撮像視野からの反射光を結像するレンズ等の光学系とを用いて実現される。撮像部12は、上述したようにケース本体10aの前端部に固定され、ドーム部材10bを介して受光する撮像視野からの反射光を結像し、例えば被検体100の消化管内の画像を撮像する。撮像部12は、得られた画像情報を信号処理部16に送信する。なお、撮像部12の光学系は、広角のものであることが望ましい。これによって、撮像部12は、例えば100〜140度程度の視野角を有することができ、撮像視野を広範囲にすることができる。この発明の実施の形態1にかかる被検体内導入システムは、このような広範囲の撮像視野を有するカプセル型内視鏡1を用いることによって、被検体100内の観察性を高めることができる。
【0034】
ここで、かかる筐体10の内部に固定配置された撮像部12の撮像視野の方向は、空間座標系xyzにおける筐体10の方向によって決定される。すなわち、撮像部12の受光面は、筐体10に関する所定の方向、例えば長軸C1に対して垂直に配置される。この場合、撮像部12の撮像視野の中心軸(すなわち光軸)は、長軸C1に略一致し、撮像部12の受光面は、長軸C1に対して垂直な軸ベクトルである2つの径軸C2a,C2bに対して平行である。なお、径軸C2a,C2bは、筐体10の径方向の軸ベクトルであり、長軸C1および径軸C2a,C2bは、互いに直交する。このような撮像部12は、空間座標系xyzにおける長軸C1の方向によって受光面の法線方向、すなわち撮像視野の方向が決定され、長軸C1を回転中心にした径軸C2aの回転角度によって受光面の回転角度、すなわち長軸C1を回転中心にした撮像視野の回転角度が決定される。
【0035】
角速度センサ13は、カプセル型内視鏡1の姿勢が変化する際の筐体10の角速度を検出するためのものである。具体的には、角速度センサ13は、MEMSジャイロ等を用いて実現され、筐体10が揺動する際の角速度、すなわち、空間座標系xyzにおいて方向が変化する長軸C1の角速度を検出する。また、角速度センサ13は、長軸C1を回転中心にして回転する際の筐体10の角速度を検出する。この場合、角速度センサ13は、長軸C1を回転中心にして回転する径軸C2aの角速度を検出する。角速度センサ13は、このような角速度の各検出結果を制御部18に送信する。
【0036】
加速度センサ14は、カプセル型内視鏡1が変位する際の筐体10の加速度を検出するためのものである。具体的には、加速度センサ14は、筐体10が移動する際の加速度、すなわち、空間座標系xyzにおいて位置座標が変化する筐体10の加速度を検出する。この場合、加速度センサ14は、このような筐体10の加速度の大きさおよび方向を検出する。加速度センサ14は、このような加速度の検出結果を制御部18に送信する。
【0037】
磁気センサ15は、カプセル型内視鏡1に対して作用する外部の磁場強度を検出するためのものである。具体的には、磁気センサ15は、例えば外部の永久磁石3がカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生した場合、かかる永久磁石3によってカプセル型内視鏡1に印加された磁場の強度を検出する。磁気センサ15は、このような磁場強度の検出結果を制御部18に送信する。
【0038】
信号処理部16は、撮像部12によって撮像された画像に対応する画像信号を生成するためのものである。具体的には、信号処理部16は、撮像部12から受信した画像情報を含む画像信号を生成する。さらに、信号処理部16は、制御部18から受信した筐体10の動き情報(後述する)を画像信号のブランキング期間に含める。これによって、信号処理部16は、撮像部12によって撮像された画像と撮像時の筐体10の動き情報とを対応付ける。信号処理部16は、このような画像情報と動き情報とを含む画像信号を通信処理部17に送信する。
【0039】
通信処理部17は、信号処理部16から受信した画像信号に対して所定の変調処理等を行い、この画像信号を無線信号に変調する。これとほぼ同様に、通信処理部17は、制御部18から受信した磁場検出信号(後述する)を無線信号に変調する。通信処理部17は、このように生成した無線信号をアンテナ17aに出力する。アンテナ17aは、例えばコイルアンテナであり、通信処理部17から受信した無線信号を例えば外部のアンテナ5aに送信する。この場合、この無線信号は、アンテナ5aを介してワークステーション4に受信される。一方、通信処理部17は、アンテナ17aを介して例えばワークステーション4からの無線信号を受信する。この場合、通信処理部17は、アンテナ17aを介して受信した無線信号に対して所定の復調処理等を行い、この無線信号を例えばワークステーション4からの制御信号に復調する。その後、通信処理部17は、得られた制御信号等を制御部18に送信する。
【0040】
制御部18は、撮像部12、角速度センサ13、加速度センサ14、磁気センサ15、信号処理部16、通信処理部17の各駆動を制御し、これら各構成部における信号の入出力制御を行う。この場合、制御部18は、撮像部12が画像を撮像する際の筐体10の角速度および加速度を検出するように、撮像部12、角速度センサ13、および加速度センサ14の動作タイミングを制御する。また、制御部18は、ワークステーション4からの制御信号を通信処理部17から受信した場合、この制御信号に基づいて撮像部12の駆動を開始または停止する。この場合、制御部18は、撮像開始の制御信号に基づき、所定の間隔、例えば0.5秒間隔で被検体100内の画像を撮像するように撮像部12の駆動を制御し、撮像停止の制御信号に基づき、撮像部12の駆動を停止する。さらに、制御部18は、磁気センサ15から受信した検出結果をもとに外部の磁場強度を把握し、この磁場強度に対応する磁場検出信号を通信処理部17に送信する。
【0041】
なお、制御部18は、上述したようにワークステーション4からの制御信号に基づいて撮像部12の駆動を制御してもよいし、電源部19によって駆動電力が供給されてから所定の時間が経過した場合に撮像部12の駆動制御を開始してもよい。
【0042】
また、制御部18は、カプセル型内視鏡1が変位する際の筐体10の移動量を検出する移動量検出部18aと、カプセル型内視鏡1の姿勢が変化する際の筐体10の回転角度を検出する角度検出部18bとを有する。移動量検出部18aは、加速度センサ14によって検出された加速度に対して所定の積分処理を行い、空間座標系xyzにおける筐体10の移動量を算出する。かかる移動量検出部18aによって算出された移動量は、空間座標系xyzでの筐体10の移動距離および移動方向を示すベクトル量である。一方、角度検出部18bは、角速度センサ13によって検出された角速度に対して所定の積分処理を行い、空間座標系xyzにおける長軸C1の回転角度および径軸C2aの回転角度を算出する。制御部18は、かかる移動量検出部18aによって検出した移動量と角度検出部18bによって検出した各回転角度とを筐体10の動き情報として信号処理部16に送信する。
【0043】
つぎに、この発明の実施の形態1にかかる被検体内導入システムの位置表示シート2について詳細に説明する。図3は、位置表示シート2の一構成例を模式的に示す模式図である。図3に示すように、位置表示シート2は、上述した近接位置を検査者に示すための複数のマーカが形成されたシート状部材である。具体的には、位置表示シート2は、布、紙、または樹脂等によって形成される湾曲自在なシート状部材であり、例えば図3に示すように、上述した近接位置を示す複数のマーカM1〜M18が形成される。なお、位置表示シート2によって示される近接位置は、1箇所以上であればよく、特に18箇所に限定されない。
【0044】
マーカM1〜M18は、例えば被検体100に対して永久磁石3を近接させる体表上の近接位置を検査者に対して示すためのものである。具体的には、マーカM1〜M18は、円形等の所望の形状に形成され、位置表示シート2が被検体100に装着された場合、この被検体100の体表上の近接位置を示す。このようなマーカM1〜M18は、仰臥位等の被検体100の体位毎にグループ分けされ、被検体100の体位毎に異なる近接位置を示す。この場合、マーカM1〜M18は、例えば仰臥位マーカ群MG1、左側臥位マーカ群MG2、および右側臥位マーカ群MG3の3つのグループに分けられる。
【0045】
仰臥位マーカ群MG1は、体位を仰臥位にした被検体100に対して永久磁石3を近付ける場合の近接位置を示すものであり、例えばマーカM1〜M8を含む。左側臥位マーカ群MG2は、体位を左側臥位にした被検体100に対して永久磁石3を近付ける場合の近接位置を示すものであり、例えばマーカM9〜M13を含む。右側臥位マーカ群MG3は、体位を右側臥位にした被検体100に対して永久磁石3を近付ける場合の近接位置を示すものであり、例えばマーカM14〜M18を含む。検査者は、このようなマーカM1〜M18によって示される近接位置に永久磁石3を一通り近付けることによって、被検体100内の所望の消化管(例えば胃等)の内部に導入した液体Lq1中のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させて消化管内の略全域に亘って撮像視野を変化させ、この消化管内の略全域に亘る一連の画像をカプセル型内視鏡1に撮像させることができる。
【0046】
また、位置表示シート2は、例えば図3に示すように、マーカM1〜M18の各近傍に磁石番号が付される。このような磁石番号は、複数の永久磁石のそれぞれを特定する番号であり、かかる複数の永久磁石の中から被検体100に近接させる永久磁石3を選択するための選択情報の一例である。具体的には、検査者は、マーカM1〜M18のいずれかによって示される近接位置に永久磁石3を近付ける場合、この近接位置のマーカの近傍に付された磁石番号によって特定される永久磁石を複数の永久磁石の中から選択する。例えば、検査者は、マーカM9に示される近接位置に永久磁石を近付ける場合、予め準備した複数の永久磁石の中から磁石番号(3)によって特定される永久磁石を選択し、この磁石番号(3)の永久磁石をマーカM9に近接させる。
【0047】
なお、このようなマーカの近傍に付される選択情報は、上述したような磁石番号に限らず、記号または図等の永久磁石を特定する他の態様の情報であってもよいし、発生させる磁場の強度または磁力を示す情報であってもよい。この場合、検査者は、かかる選択情報によって示される磁力または磁場強度の永久磁石を複数の永久磁石の中から選択すればよい。また、このような選択情報として、マーカM1〜M18に例示される各マーカの形状を永久磁石毎に異なるものにし、このような各マーカ自体が、近接位置を示すとともに、この近接位置に近接させる永久磁石の選択情報を形状によって示すようにしてもよい。
【0048】
一方、位置表示シート2は、対向する両端部の各近傍に、突起部2a〜2cと嵌合部2d〜2fとが設けられる。突起部2a〜2cおよび嵌合部2d〜2fは、位置表示シート2の両端部を接続するための一対の接続部をそれぞれ形成する。具体的には、突起部2aと嵌合部2dとが一対の接続部を形成し、突起部2bと嵌合部2eとが一対の接続部を形成し、突起部2cと嵌合部2fとが一対の接続部を形成する。この場合、突起部2a〜2cが嵌合部2d〜2fにそれぞれ嵌合されることによって、位置表示シート2は、対向する両端部を接続するとともに円筒形状を形成する。このような位置表示シート2は、例えば図4に示すように、被検体100の胴体に巻きつけられ、上述した突起部2a〜2cと嵌合部2d〜2fとをそれぞれ接続することによって被検体100に装着される。このように被検体100に装着された位置表示シート2は、例えばマーカM1〜M18を外側に向けることによって、被検体100に対する永久磁石3の近接位置を検査者に示す。
【0049】
つぎに、この発明の実施の形態1にかかる被検体内導入システムのワークステーション4について詳細に説明する。図5は、ワークステーション4の一構成例を模式的に示すブロック図である。図5に示すように、ワークステーション4は、アンテナ5aを用いてカプセル型内視鏡1に対する無線通信を行う通信部5と、ワークステーション4に対する各種指示情報等を入力する入力部6と、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像等を表示する表示部7と、画像情報等の各種情報を記憶する記憶部8と、ワークステーション4の各構成部の駆動を制御する制御部9とを有する。
【0050】
通信部5は、上述したアンテナ5aがケーブルを介して接続され、アンテナ5aを介して受信した無線信号に対して所定の復調処理を行い、カプセル型内視鏡1から送信された各種情報を取得する。この場合、通信部5は、撮像部12によって得られた画像情報および筐体10の動き情報を取得し、取得した画像情報および動き情報を制御部9に送信する。また、通信部5は、上述した磁気センサ15による磁場強度の検出結果に対応する磁場検出信号を取得し、取得した磁場検出信号を制御部9に送信する。一方、通信部5は、制御部9から受信したカプセル型内視鏡1に対する制御信号に対して所定の変調処理等を行い、この制御信号を無線信号に変調する。この場合、通信部5は、生成した無線信号をアンテナ5aに送信し、このアンテナ5aを介してカプセル型内視鏡1に無線信号を送信する。これによって、通信部5は、カプセル型内視鏡1に対し、例えば撮像部12の駆動開始を指示する制御信号を送信できる。
【0051】
入力部6は、キーボードまたはマウス等を用いて実現され、検査者による入力操作によって、制御部9に対して各種情報を入力する。この場合、入力部6は、例えば制御部9に対して指示する各種指示情報または被検体100に関する患者情報等を入力する。なお、この指示情報として、例えば、カプセル型内視鏡1から取得した画像を表示部7に表示するための指示情報、カプセル型内視鏡1から取得した画像を加工するための指示情報等が挙げられる。また、この患者情報として、例えば被検体100の名前(患者名)、性別、生年月日、および患者ID等の被検体100を特定するための情報、被検体100の身長、体重、胴回り等の身体的情報等が挙げられる。
【0052】
表示部7は、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等のディスプレイを用いて実現され、制御部9によって表示指示された各種情報を表示する。この場合、表示部7は、例えばカプセル型内視鏡1によって撮像された画像および被検体100の患者情報等の被検体100の内部を観察し、診断するために必要な各種情報を表示する。また、表示部7は、制御部9によって所定の加工処理が行われた画像を表示する。
【0053】
記憶部8は、制御部9によって書込み指示された各種情報を保存する。具体的には、記憶部8は、例えばカプセル型内視鏡1から受信した各種情報、入力部6によって入力された各種情報、および制御部9によって所定の加工処理が行われた画像情報等を保存する。この場合、記憶部8は、上述した画像情報と動き情報とを対応付けて記憶する。また、記憶部8は、制御部9によって読み出し指示された情報を制御部9に送信する。
【0054】
制御部9は、ワークステーション4の各構成部、例えば通信部5、入力部6、表示部7、および記憶部8の駆動制御を行い、これら各構成部に対する情報の入出力制御と、これら各構成部との間で各種情報を入出力するための情報処理とを行う。また、制御部9は、入力部6から入力された指示情報に基づいて、カプセル型内視鏡1に対する各種制御信号を通信部5に出力する。この場合、カプセル型内視鏡1に対する制御信号は、アンテナ5aを介してカプセル型内視鏡1に送信される。すなわち、ワークステーション4は、カプセル型内視鏡1の駆動を制御する制御手段として機能する。
【0055】
このような制御部9は、表示部7による各種情報の表示動作を制御する表示制御部9aと、上述した通信部5の駆動を制御する通信制御部9bとを有する。また、制御部9は、液体Lq1中でカプセル型内視鏡1を動かすに充分な磁場を発生する永久磁石を選択する磁石選択部9cと、カプセル型内視鏡1から受信した画像信号をもとに例えば被検体100内の画像を生成する画像処理部9dとを有する。さらに、制御部9は、画像処理部9dによって生成された複数の画像の共通部分を合成し、例えば被検体100内の複数の画像を結合する画像結合部9eと、カプセル型内視鏡1の位置および姿勢を検出する位置姿勢検出部9fと、永久磁石3の磁場によってカプセル型内視鏡1の動きが制御可能な状態であるか否かを判断する状態判断部9gとを有する。
【0056】
磁石選択部9cは、状態判断部9gの判断結果をもとに、液体Lq1中でカプセル型内視鏡1を動かすに充分な磁場を発生する永久磁石を選択する。この場合、状態判断部9gは、カプセル型内視鏡1から受信した磁場検出信号をもとにカプセル型内視鏡1に対する永久磁石3の磁場強度を検出し、この検出した磁場強度と所定の磁場強度範囲とを比較する比較処理を行う。状態判断部9gは、この比較処理の結果をもとに、永久磁石3の磁場によってカプセル型内視鏡1の動きが制御可能な状態であるか否かを判断する。すなわち、状態判断部9gは、検出した磁場強度が所定の磁場強度範囲内である場合、永久磁石3の磁場強度がカプセル型内視鏡1の動きを制御するに充分なものであると判断する。また、状態判断部9gは、検出した磁場強度が所定の磁場強度範囲を下回る場合、永久磁石3の磁場強度が不足であると判断し、所定の磁場強度範囲を上回る場合、永久磁石3の磁場強度が過度であると判断する。磁石選択部9cは、状態判断部9gによって磁場強度が充分であると判断された永久磁石を選択する。また、磁石選択部9cは、状態判断部9gによって磁場強度が不十分であると判断された場合、現在の永久磁石に比して強い磁場を発生する永久磁石を選択し、磁場強度が過度であると判断された場合、現在の永久磁石に比して弱い磁場を発生する永久磁石を選択する。表示制御部9aは、かかる磁石選択部9cによる永久磁石の選択結果を表示部7に表示させる。この場合、検査者は、表示部7に表示された永久磁石の選択結果を視認することによって、複数の永久磁石の中からカプセル型内視鏡1の動きを制御するに好適な永久磁石を容易に選択できる。
【0057】
画像処理部9dは、カプセル型内視鏡1からの画像信号をもとに、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像を生成する。この場合、表示制御部9aは、画像処理部9dによって生成された画像を時系列に沿って表示部7に順次表示させる。また、画像結合部9eは、かかる画像処理部9dによって生成された複数の画像を一つの画像に結合する画像結合処理を行う。表示制御部9aは、画像結合部9eによって結合された加工画像(例えば被検体100の消化管内を表すパノラマ画像)を表示部7に表示させる。なお、画像結合部9eの画像結合処理については、後述する。
【0058】
位置姿勢検出部9fは、カプセル型内視鏡1から受信した動き情報をもとに、空間座標系xyzにおけるカプセル型内視鏡1の位置および姿勢を検出する。具体的には、位置姿勢検出部9fは、まず、カプセル型内視鏡1の位置および姿勢を決定する空間座標系xyzを設定する。ここで、カプセル型内視鏡1は、例えば空間座標系xyzのx軸、y軸、およびz軸に径軸C2b、長軸C1、および径軸C2aをそれぞれ合わせた態様で空間座標系xyzの原点Oに配置される。位置姿勢検出部9fは、このように空間座標系xyzに配置されたカプセル型内視鏡1の位置および姿勢を初期状態として把握する。つぎに、位置姿勢検出部9fは、この原点Oを始点として移動または揺動する(すなわち初期状態から逐次変化する)カプセル型内視鏡1の位置座標(x,y,z)と長軸C1の方向とを逐次検出する。この場合、位置姿勢検出部9fは、カプセル型内視鏡1から順次受信する動き情報をもとに、空間座標系xyzにおいてカプセル型内視鏡1が移動または揺動した際の筐体10の移動量(ベクトル量)、長軸C1の回転角度、および径軸C2aの回転角度を順次取得する。
【0059】
このように順次取得した筐体10の移動量、長軸C1の回転角度、および径軸C2aの回転角度をもとに、位置姿勢検出部9fは、原点Oに対する筐体10の相対位置、すなわち空間座標系xyzにおける筐体10の位置座標(x,y,z)と、空間座標系xyzにおける長軸C1のベクトル方向とを検出する。かかる位置姿勢検出部9fによって検出された筐体10の位置座標(x,y,z)および長軸C1のベクトル方向は、空間座標系xyzにおけるカプセル型内視鏡1の位置および姿勢にそれぞれ相当する。
【0060】
また、位置姿勢検出部9fは、上述した径軸C2aの回転角度をもとに、空間座標系xyzのz軸に対する径軸C2aの傾きを検出する。ここで、径軸C2aは、撮像部12の受光面の上方向を決定する軸ベクトルであり、撮像部12によって撮像された画像の上方向を決定する軸ベクトルである。したがって、位置姿勢検出部9fは、かかるz軸に対する径軸C2aの傾きを検出することによって、上述した長軸C1を法線ベクトルとする画像(すなわち撮像部12によって撮像された画像)のz軸に対する傾きを検出できる。
【0061】
制御部9は、かかる位置姿勢検出部9fによって検出されたカプセル型内視鏡1の位置および姿勢と、撮像部12によって撮像された画像のz軸に対する傾きとを位置姿勢情報として記憶部8に保存する。この場合、制御部9は、カプセル型内視鏡1から受信した画像情報毎に位置姿勢情報を取得し、かかる画像情報と位置姿勢情報とを対応付けて記憶部8に順次保存する。
【0062】
つぎに、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像をもとに被検体100の消化管内(例えば胃内部等)を観察する処理手順について説明する。図6は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡1による消化管内の画像をもとに被検体100の消化管内を観察する処理手順を説明するフローチャートである。
【0063】
図6において、まず、検査者は、ワークステーション4または所定のスターターを用いてカプセル型内視鏡1の撮像動作を開始させ、このカプセル型内視鏡1を被検体100の内部に導入し、さらに供給器Lpを用いて被検体100の内部に液体Lq1を導入する(ステップS101)。そして、検査者は、被検体100に位置表示シート2を装着し、被検体100に対する位置表示シート2の位置を決定する(ステップS102)。具体的には、検査者は、例えば被検体100の胃内部を観察する場合、図4に例示したように、被検体100の胃近傍の体表上を覆うように被検体100の胴体に位置表示シート2を巻きつけて装着し、このような被検体100と位置表示シート2との位置関係を決定する。なお、カプセル型内視鏡1および液体Lq1は、先に位置表示シート2を装着した被検体100に対して導入してもよい。
【0064】
このように被検体100内に導入されるカプセル型内視鏡1および液体Lq1は、例えば被検体100の口から飲み込まれ、その後、被検体100内の観察すべき所望の消化管に到達する。検査者は、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像をワークステーション4に表示させ、この画像を視認することによって被検体100内でのカプセル型内視鏡1の到達部位(例えば胃等)を把握する。なお、検査者は、被検体100内にカプセル型内視鏡1を導入した後に、ワークステーション4を操作してカプセル型内視鏡1の撮像動作を開始させてもよい。
【0065】
つぎに、検査者は、被検体100内に発泡剤を適量の水とともに導入し(ステップS103)、カプセル型内視鏡1を導入した所望の消化管を伸展させる。これによって、カプセル型内視鏡1は、観察部位である消化管内を撮像視野に捉え易くなり、この消化管内の画像を撮像し易くなる。このように消化管内でのカプセル型内視鏡1の撮像視野を確保した後、検査者は、この発泡剤を導入した被検体100内の消化管に対して消泡剤を導入し(ステップS104)、この発泡剤によって液体Lq1の表面に発生した泡を消す。これによって、カプセル型内視鏡1は、この発泡剤によって発生した泡に撮像視野を遮られることなく、消化管内の画像を撮像することができる。
【0066】
その後、検査者は、カプセル型内視鏡1を導入した被検体100に装着した位置表示シート2に永久磁石3を近接し(ステップS105)、被検体100内のカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生させる。具体的には、検査者は、この位置表示シート2のマーカによって示される近接位置に永久磁石3を近づける。この場合、永久磁石3は、カプセル型内視鏡1が導入された消化管の近傍になる被検体100の体表上に近接し、この消化管内のカプセル型内視鏡1に対して磁場を印加できる。
【0067】
ここで、かかるカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生させる永久磁石3は、所定の磁力を有する単一のものであってもよいが、互いに異なる磁力を有する複数の永久磁石の中から選択されることが望ましい。この場合、検査者は、位置表示シート2によって近接位置とともに示される永久磁石の選択情報(例えば磁石番号)をもとに、この近接位置に近づける永久磁石3を選択する。その後、検査者は、ワークステーション4に表示された永久磁石の選択結果を参照し、この選択結果に基づいて永久磁石3を再選択し、またはカプセル型内視鏡1に印加される磁場の強度を調整する。これによって、検査者は、カプセル型内視鏡1に対して適切な磁場強度の磁場を発生する永久磁石を選択することができる。なお、このカプセル型内視鏡1に印加される磁場の強度を調整する場合、検査者は、永久磁石3と位置表示シート2との距離を調整する等の手法を行えばよい。
【0068】
位置表示シート2によって示される近接位置に永久磁石3を近づけた場合、検査者は、この永久磁石3を操作してカプセル型内視鏡1に対する磁場の強度および向きを調整し、かかる永久磁石3の磁力によってカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する(ステップS106)。この場合、検査者は、例えば位置表示シート2の所望のマーカ(すなわち所望の近接位置)を中心に永久磁石3を揺り動かし、または位置表示シート2の複数のマーカに対して永久磁石3を一通り近づける。かかる永久磁石3の磁場が印加されたカプセル型内視鏡1の永久磁石11は、この永久磁石3の磁力に反応して筐体10を動かす。かかる永久磁石11の作用によって、カプセル型内視鏡1は、液体Lq1中で例えば水平方向に移動または揺動し、観察部位である消化管内での位置および姿勢の少なくとも一つを変える。これによって、カプセル型内視鏡1は、消化管内に対する撮像視野の方向を筐体10の動きとともに変えつつ、この消化管内の画像を順次撮像する。
【0069】
さらに、検査者は、被検体100内に液体Lq1を追加導入し(ステップS107)、観察部位である消化管内の液体Lq1の量を増加する。ここで、カプセル型内視鏡1は、上述したように、液体Lq1に比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ筐体10の後端側に重心を有する。このため、カプセル型内視鏡1は、略鉛直上方に撮像視野を向けた状態で液体Lq1の表面に浮揚するとともに、消化管内での液体Lq1の増量(すなわち水位の上昇)に伴って、鉛直上方に移動する。この場合、カプセル型内視鏡1は、観察部位である消化管内に対してさらに近接した状態で画像を撮像できる。
【0070】
その後、検査者は、被検体100の体位を別の体位に変換せずに現状の体位を維持し(ステップS108,No)、かつ観察部位である消化管内の撮像を続行する場合(ステップS110,No)、上述したステップS105以降の処理手順を繰り返す。この場合、検査者は、ワークステーション4に表示した消化管内の画像を参照しつつ、この消化管内での液体Lq1の量を増減し、この消化管内でのカプセル型内視鏡1の鉛直方向の位置を所望のものに制御する。
【0071】
一方、検査者は、被検体100の体位を別の体位に変換して消化管内の撮像を続行する場合(ステップS108,Yes)、被検体100の現在の体位(例えば仰臥位)を所望の体位(例えば右側臥位)に変換する(ステップS109)。その後、検査者は、上述したステップS105以降の処理手順を繰り返す。
【0072】
このように、位置表示シート2によって示された近接位置に永久磁石3を近づけてカプセル型内視鏡1の動きを磁気的に操作することによって、観察部位である消化管内でのカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御することができる。この結果、カプセル型内視鏡1は、この消化管内の略全域に亘る一連の画像を撮像することができる。検査者は、かかるカプセル型内視鏡1によって撮像された一連の画像をワークステーション4に表示させることによって、被検体100内の所望の観察部位である消化管内を隈なく観察することができる。
【0073】
その後、検査者は、この観察部位である消化管内の観察を完了し、この消化管内の撮像を完了する場合(ステップS110,Yes)、この消化管の出口側にカプセル型内視鏡1を誘導する(ステップS111)。この場合、カプセル型内視鏡1は、この消化管の蠕動または液体Lq1の流れによって出口側に誘導され、または被検体100の体表上に近接した永久磁石3の磁力によってこの消化管の出口側に誘導され、つぎの消化管内に移動する。これによって、カプセル型内視鏡1は、この観察部位である消化管内の撮像を完了する。その後、カプセル型内視鏡1は、各消化管の蠕動、液体Lq1の流れ、または永久磁石3の磁力等によって被検体100内を移動しつつ消化管内の画像を撮像し、被検体100の外部に排出される。
【0074】
なお、検査者は、このようなカプセル型内視鏡1によって撮像された画像をワークステーション4に表示させ、被検体100の各消化管内を観察することができる。一方、検査者は、ワークステーション4を操作して撮像動作を停止する制御信号を送信させ、所望の観察部位を撮像し終えたカプセル型内視鏡1の撮像動作を停止させてもよい。
【0075】
また、上述したステップS103の発泡剤およびステップS104の消泡剤は、必要に応じて被検体100内に導入するようにしてもよい。具体的には、検査者は、ワークステーション4に表示した被検体100内の画像を観察し、例えばこの消化管内をさらに詳細に観察すべきと判断した場合、上述したように発泡剤および消泡剤を被検体100内に順次導入してもよい。
【0076】
つぎに、検査者が被検体100の胃を観察する場合を例示して、この観察部位である胃に導入したカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する動作について具体的に説明する。図7は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する永久磁石3の動作を説明するための模式図である。
【0077】
被検体100の口から飲込まれたカプセル型内視鏡1および液体Lq1は、食道を通過し、その後、図7に例示するように、例えば観察部位である胃に到達する。ここで、カプセル型内視鏡1は、上述したように、液体Lq1に比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ筐体10の後端側に重心を有する。このため、かかる液体Lq1中のカプセル型内視鏡1は、図7に例示するように、略鉛直上方に撮像視野を向けた状態で液体Lq1の表面に浮揚する。
【0078】
一方、検査者は、観察部位である胃の近傍に位置表示シート2が位置するように被検体100に位置表示シート2を装着する。この場合、位置表示シート2は、上述した複数のマーカによって被検体100の体表上の近接位置を検査者に対して示す。また、検査者は、位置表示シート2によって示される永久磁石の選択情報(例えば磁石番号)またはワークステーション4に表示された永久磁石の選択結果をもとに、例えば互いに異なる磁力を有する6つの永久磁石3a〜3fの中から被検体100の近接位置に近づける永久磁石3を選択する。検査者は、このように選択した永久磁石3を位置表示シート2の複数のマーカに近づけて操作する。具体的には、検査者は、例えば被検体100の体位が仰臥位である場合、位置表示シート2の仰臥位マーカ群MG1のマーカM1〜M8に対して永久磁石3を一通り近づける。また、検査者は、所望のマーカ(例えばマーカM3)を中心に永久磁石3を揺り動かす。その後、検査者は、必要に応じて、かかる永久磁石3の操作を繰り返す。
【0079】
このように検査者に操作された永久磁石3は、胃内部の液体Lq1中のカプセル型内視鏡1に磁場を印加してカプセル型内視鏡1を磁気的に捕捉するとともに、このカプセル型内視鏡1に対する磁場の位置および方向を変化させてカプセル型内視鏡1の動きを制御する。この場合、カプセル型内視鏡1は、かかる永久磁石3の動作に追従して液体Lq1中を移動し、または揺動し、胃内部での位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる。このように、永久磁石3は、液体Lq1中のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを磁力によって変化させる。かかる永久磁石3によって動かされるカプセル型内視鏡1は、胃内部の撮像視野の位置または方向を変化させつつ胃内部の画像を順次撮像する。
【0080】
その後、検査者は、この胃内部の液体Lq1の量を必要に応じて増減し、または被検体100の体位を他の体位、例えば左側臥位または右側臥位に変換する。そして、検査者は、この被検体100の体位に対応して永久磁石3を左側臥位マーカ群MG2または右側臥位マーカ群MG3の各マーカに近づける。この場合、検査者は、上述した仰臥位マーカ群MG1の場合とほぼ同様に永久磁石3を操作する。このように操作された永久磁石3は、上述した仰臥位の被検体100の場合とほぼ同様に、カプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる。
【0081】
このように永久磁石3がカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを磁力によって制御することによって、カプセル型内視鏡1は、例えば液体Lq1に比して鉛直上方側の胃壁、すなわち上述した発泡剤によって伸展した胃壁を隈なく撮像することができる。これによって、カプセル型内視鏡1は、胃壁の略全域に亘る一連の画像を撮像でき、例えば胃壁の患部101の画像を確実に撮像できる。このことは、このカプセル型内視鏡1を浮揚する液体Lq1の量を増減した場合も同様である。すなわち、カプセル型内視鏡1は、かかる液体Lq1の水位変化に伴って鉛直方向に変位し、例えば胃壁に近接して胃壁の拡大画像を撮像できる。この場合、カプセル型内視鏡1は、例えば胃壁の患部101に近接することができ、この患部101の拡大画像を撮像することができる。
【0082】
なお、かかる液体Lq1の表面に浮揚するカプセル型内視鏡1は、筐体10の中心部近傍または前端側に重心を有するようにし、永久磁石3から印加される磁力によって液体Lq1から鉛直上方側に撮像視野を向けてもよいが、上述したように筐体10の後端側に重心を有することが望ましい。この場合、液体Lq1の浮力によってカプセル型内視鏡1の撮像視野を鉛直上方側に向けることができるので、より弱い磁力の永久磁石を用いてカプセル型内視鏡1の動きを制御でき、かかるカプセル型内視鏡1の動きを制御する永久磁石3を小型化することができる。
【0083】
一方、所望の観察部位である胃の内部を撮像し終えたカプセル型内視鏡1は、上述したステップS111の処理手順によって次の消化管(例えば十二指腸)に移動する。具体的には、カプセル型内視鏡1は、被検体100の幽門部近傍に近接した永久磁石3から印加される磁力によって胃から幽門部に移動する。この場合、検査者は、例えば被検体100の体位を右側臥位に変換し、その後、幽門部近傍である被検体100の体表上に向けて永久磁石3を動かし、かかる永久磁石3から印加される磁力によってカプセル型内視鏡1を幽門部に誘導すればよい。または、カプセル型内視鏡1は、胃から十二指腸に流れる液体Lq1によって幽門部に誘導されてもよい。
【0084】
つぎに、カプセル型内視鏡1によって撮像された被検体100内の複数の画像を結合する画像結合処理について詳細に説明する。図8は、ワークステーション4の制御部9が行う画像結合処理の処理手順を例示するフローチャートである。図9は、複数の画像を連結する制御部9の動作を説明するための模式図である。
【0085】
ワークステーション4の制御部9は、カプセル型内視鏡1から取得した複数の画像情報と、これら複数の画像情報にそれぞれ対応付けた各位置姿勢情報とをもとに、カプセル型内視鏡1によって撮像された複数の画像の相対位置および相対方向を把握し、エピポーラ幾何に基づいて複数の画像を結合する。すなわち、図8において、制御部9は、まず、結合対象の2つの画像を入力する(ステップS201)。この場合、入力部6は、検査者の入力操作に応じ、制御部9に対して結合対象の2つの画像を指定する情報を入力する。制御部9は、かかる入力部6からの入力情報に基づいて、結合対象の2つの画像Pn,Pn-1を記憶部8から読み出す。これと同時に、制御部9は、かかる画像Pn,Pn-1に対応付けた各位置姿勢情報を記憶部8から読み出す。画像結合部9eは、画像Pn,Pn-1の各位置姿勢情報をもとに、画像Pn,Pn-1が撮像された際のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢とz軸に対する画像の傾きとを把握する。
【0086】
つぎに、制御部9は、読み出した2つの画像Pn,Pn-1の歪曲収差を補正する(ステップS202)。この場合、画像結合部9eは、かかる画像Pn,Pn-1の各歪曲収差を補正する。これによって、画像結合部9eは、両画像Pn,Pn-1に共通の被写体が撮像されている場合に、この共通の被写体を表す(すなわち類似度の高い)画素領域を合成して両画像Pn,Pn-1を結合できるようになる。
【0087】
その後、制御部9は、かかる両画像Pn,Pn-1の間で類似度の高い画素領域を探索するパターンマッチング処理の探索範囲を設定する(ステップS203)。この場合、画像結合部9eは、エピポーラ幾何に基づいて、画像Pn-1上の複数の参照点と、これら複数の参照点にそれぞれ対応する画像Pn上の複数のエピポーラ線とを算出する。
【0088】
ここで、画像Pn,Pn-1は、カプセル型内視鏡1が位置および姿勢の少なくとも一つを変える前後において撮像された画像である。具体的には、画像Pn-1は、例えば図9に示すように、カプセル型内視鏡1によって被検体100の内部を撮像した画像であり、画像Pnは、このカプセル型内視鏡1が位置および姿勢を変えた後に被検体100の内部を撮像した画像である。このような画像Pn,Pn-1は、同じ被写体を含む画像である場合、互いに類似度の高い画素領域を有する。画像結合部9eは、このように類似度の高い画素領域に対応する参照点を画像Pn-1上に複数(例えば6点以上)設定し、これら複数の参照点にそれぞれ対応する複数のエピポーラ線を画像Pn上に設定する。
【0089】
例えば、画像結合部9eは、図9に示すように、画像Pn-1上に参照点R0を設定し、この参照点R0に対応するエピポーラ線EPを画像Pn上に設定する。この参照点R0が画像Pn,Pn-1間において類似度の高い画素領域の位置座標を示すものである場合、画像結合部9eは、このエピポーラ線EPを画像Pn上、例えば画像Pnの対向する2つの頂点の間に設定できる。このようなエピポーラ線EP上には、参照点R0に対応する対応点R1が含まれる。この対応点R1は、参照点R0によって位置座標が設定される画像Pn-1上の画素領域に比して類似度の高い画像Pn上の画素領域の位置座標を示すものである。
【0090】
このようにして、画像結合部9eは、画像Pn-1上に複数(例えば6点以上)の参照点を設定し、さらに、これら複数の参照点にそれぞれ対応する複数のエピポーラ線を画像Pn上に設定する。この場合、画像結合部9eは、かかる複数のエピポーラ線のそれぞれに近傍の各画素領域をパターンマッチング処理の探索範囲に設定する。
【0091】
つぎに、制御部9は、画像Pn-1をもとに、パターンマッチング処理の基準となる複数の画素領域(テンプレート画像)を検出する(ステップS204)。この場合、画像結合部9eは、上述した参照点R0に例示される複数の参照点にそれぞれ対応する複数(例えば6つ以上)のテンプレート画像を検出する。
【0092】
その後、制御部9は、このように検出した複数のテンプレート画像に比して類似度の高い画像Pn上の複数の画素領域をそれぞれ検出するパターンパッチング処理を実行する(ステップS205)。この場合、画像結合部9eは、例えばエピポーラ線EP近傍の画像Pn上の画素領域をパターンマッチング処理の探索範囲とし、参照点R0に対応するテンプレート画像に比して類似度の高い画像Pn上の画素領域を検出する。そして、画像結合部9eは、この類似度の高い画素領域の画像Pn上での位置座標を決定する対応点R1を算出する。画像結合部9eは、このようなパターンマッチング処理を複数のテンプレート画像およびエピポーラ線について繰り返し行い、例えば6つ以上のテンプレート画像にそれぞれ対応する画像Pn上の画素領域を6つ以上検出する。そして、画像結合部9eは、かかる6つ以上の画素領域の位置座標をそれぞれ決定する6つ以上の座標点、すなわち上述した参照点R0に例示される6つ以上の参照点にそれぞれ対応する画像Pn上の6つ以上の対応点を算出する。
【0093】
かかる画像Pn,Pn-1上の例えば6つ以上の参照点および対応点を算出した場合、制御部9は、両画像Pn,Pn-1のアフィン変換処理を実行する(ステップS206)。この場合、画像結合部9eは、算出した6つ以上の参照点および対応点を用い、最小二乗法に基づいてアフィンパラメータを算出する。画像結合部9eは、算出したアフィンパラメータをもとに、例えば画像Pn-1上の座標系を画像Pn上の座標系に変換し、かかる両画像Pn,Pn-1のアフィン変換処理を達成する。
【0094】
つぎに、制御部9は、アフィン変換処理が行われた両画像Pn,Pn-1を合成し(ステップS207)、これら両画像Pn,Pn-1を一つの加工画像(例えばパノラマ画像)に結合する。この場合、画像結合部9eは、アフィン変換処理が行われた両画像Pn,Pn-1に共通する被写体を表す画素領域(すなわち類似度の高い画素領域)を合成し、かかる両画像Pn,Pn-1を結合した加工画像を生成する。
【0095】
その後、制御部9は、このような画像結合処理を続けて行う場合(ステップS208,No)、上述したステップS201以降の処理手順を繰り返す。この場合、画像結合部9eは、カプセル型内視鏡1によって撮像された複数の画像(例えば胃内部の略全域に亘る一連の画像)を順次結合することができ、被検体100内の観察部位、例えば胃壁の全体像を表すパノラマ画像を生成できる。一方、制御部9は、入力部6によって処理完了を指示する情報が入力された場合、画像結合処理を完了する(ステップS208,Yes)。この場合、制御部9は、かかる画像結合処理によって生成した加工画像を記憶部8に保存する。
【0096】
ここで、制御部9は、上述した画像結合処理によって生成した加工画像、例えば帯状のパノラマ画像をもとに、被検体100内の消化管内部を略立体的に表す円柱状の加工画像を生成することができる。この場合、画像結合部9eは、帯状のパノラマ画像の直交座標系を円柱座標系に変換するとともに、この帯状のパノラマ画像の長手方向の両端部を合成して円柱状の加工画像を生成する。制御部9は、このような円柱状の加工画像を記憶部8に保存する。
【0097】
つぎに、上述したカプセル型内視鏡1の動きを制御する永久磁石3を選択するために準備した複数の永久磁石を収納する収納装置について説明する。図10は、複数の永久磁石を収納する収納装置の一構成例を模式的に示す模式図である。以下では、永久磁石3を選択するために準備した6つの永久磁石3a〜3fを収納する収納装置を例示する。なお、かかる永久磁石の数量は、2以上であればよく、この収納装置の構成を限定するものではない。
【0098】
図10に示すように、この収納装置110は、永久磁石3a〜3fをそれぞれ収納する6つの収納部111〜116と、収納部111〜116を一体的に接続する台117と、収納部111〜116の各開閉駆動を制御する制御部118とを有する。なお、永久磁石3a〜3fは、それぞれを特定する例えば磁石番号1〜6がそれぞれ付される。この場合、永久磁石3a〜3fは、かかる磁石番号が大きい程、強い磁力を有するものである。
【0099】
収納部111は、磁石番号1の永久磁石3aを収納するためのものである。具体的には、収納部111は、永久磁石3aを収納する箱部材111aと、箱部材111aの開口端を開閉する蓋111bと、箱部材111aに収納された永久磁石3aを検出する磁石検出部111cと、蓋111bを施錠するロック部111dとを有する。箱部材111aは、例えば側断面が凹状の部材であり、開口端近傍に蓋111bが回動自在に設けられる。また、図示しないが、蓋111bが開いているか閉じているかを検出する開閉状態検出部111eを設ける。かかる箱部材111aに収納された永久磁石3aは、蓋111bを開閉することによって出し入れされる。磁石検出部111cは、永久磁石3aが箱部材111aに収納された場合、この永久磁石3aの磁場または重さを検出し、この検出結果をもとに箱部材111a内の永久磁石3aの有無を検出する。磁石検出部111cは、この永久磁石3aの検出結果を制御部118に通知する。ロック部111dは、制御部118の制御をもとに蓋111bを施錠し、または蓋111bの施錠を解除する。さらに、開閉状態検出部111eは、蓋111bが開いているか閉じているかを検出し、この検出結果を制御部118に通知する。
【0100】
また、収納部112〜116は、磁石番号2〜6の永久磁石3b〜3fをそれぞれ収納するためのものであり、上述した収納部111とほぼ同様の構成および機能を有する。すなわち、収納部112〜116は、永久磁石3b〜3fを個別に収納する箱部材112a〜116aと、箱部材112a〜116aの各開口端をそれぞれ開閉する蓋112b〜116bと、箱部材112a〜116aにそれぞれ収納された永久磁石3b〜3fを個別に検出する磁石検出部112c〜116cと、蓋112b〜116bをそれぞれ施錠するロック部112d〜116dと、蓋112b〜116bのそれぞれの開閉状態を検出する開閉状態検出部112e〜116e(図示せず)と、を有する。この場合、箱部材112a〜116aは収納部111の箱部材111aとほぼ同様の機能を有し、蓋112b〜116bは収納部111の蓋111bとほぼ同様の機能を有する。また、磁石検出部112c〜116cは収納部111の磁石検出部111cとほぼ同様の機能を有し、ロック部112d〜116dは収納部111のロック部111dとほぼ同様の機能を有し、開閉状態検出部112e〜116eは収納部111の開閉状態検出部111eとほぼ同様の機能を有する。さらに、図示しないが、位置表示シート2によって近接位置とともに示される永久磁石の選択情報(例えば磁石番号または発生する磁場の強度)に応じて、開閉する蓋(取り出す永久磁石)を選択する永久磁石選択部を設ける。
【0101】
制御部118は、例えば台117に設けられ、上述した磁石検出部111c〜116cおよびロック部111d〜116dの各駆動を制御する。具体的には、制御部118は、磁石検出部111c〜116cから永久磁石3a〜3fの各検出結果と、開閉状態検出部111e〜116eから蓋111b〜116bの開閉状態検出結果と、永久磁石選択部への入力情報とを取得し、取得した入力情報および各検出結果をもとにロック部111d〜116dの各駆動を制御する。この場合、制御部118は、磁石検出部111c〜116cの全てから永久磁石有りの検出結果を取得すれば、施錠をする駆動制御をロック部111d〜116dに対して行う。さらに、制御部118は、永久磁石選択部によって選択された選択結果が入力されると、選択された永久磁石の蓋(蓋111b〜116bのいずれか)の施錠を解除する駆動制御をロック部(施錠解除対象の蓋に対応するロック部111d〜116dのいずれか)に対して行う。この時、その他のロック部(施錠解除対象外の蓋に対応するロック部)は施錠された状態を維持する。
【0102】
つぎに、選択された永久磁石を取り出し、この取り出した永久磁石を用いて被検体100内のカプセル型内視鏡1の誘導を行う。このとき、制御部118は、磁石検出部111c〜116cのうちの一つから永久磁石無しの検出結果を取得すれば、この永久磁石無しの検出結果を通知した磁石検出部を有する収納部、すなわち永久磁石が取り出された収納部のロック部(ロック部111d〜116dのいずれか)に対し、施錠を解除された状態を維持し、これと同時に、制御部118は、永久磁石有りの検出結果を通知した残りの磁石検出部を有する各収納部、すなわち永久磁石が収納されている各収納部のロック部(ロック部111d〜116dのいずれか)に対し、蓋を施錠された状態を維持する。カプセル型内視鏡1の誘導が終了し、取り出された永久磁石が収納部(収納部111〜116のいずれか)に戻され、この収納部に対応する磁石検出部が永久磁石の存在を検出する。さらに、この収納部の蓋が閉められ、開閉状態検出部111e〜116eは蓋111b〜116bが閉まったことを検出する。これらの検出結果が制御部118に通知されると、制御部118は、全ての蓋111b〜116bのロック部111d〜116dに対して、施錠する駆動制御を行う。このとき、この収納部の蓋は、手動で閉じてもよいし、磁石検出部の検出結果をもとに自動で閉じるようにしてもよい。なお、制御部118、磁石検出部111c〜116c、ロック部111d〜116d、および開閉状態検出部111e〜116eは、電気的に検出または制御を行ってもよいし、機械的な機構によって検出または制御を行ってもよい。電気的な検出を行う場合は、永久磁石の重量を検出してもよいし、永久磁石の磁界を検出してもよいし、永久磁石にRFIDタグを設け、かかるRFIDタグの情報を読み取る読取部を磁石検出部111c〜116cに設けてもよい。また、収納装置110には、外部に漏れる磁界を小さくするためのシールドを設けてもよい。なお、かかるシールドは、強磁性体によって構成される。さらに、永久磁石を取り出せないようにする手段は、上述した蓋とロック部との組み合わせに限定されない。例えば、かかる手段は、永久磁石を収納部内に拘束する手段(拘束部)であればよく、収納部に強磁性体を設け、この強磁性体と永久磁石との吸着力によって永久磁石を拘束し、この強磁性体と永久磁石との距離を変える強磁性体距離変更部を用いて永久磁石の拘束状態を制御するようにしてもよい。また、かかる拘束部は、収納部に設けた電磁石であってもよく、この電磁石に流す電流によって永久磁石の拘束状態を制御してもよいし、あるいは、収納部内に永久磁石を機械的に固定する固定部であってもよい。
【0103】
このような制御部118は、収納部111〜116にそれぞれ収納された永久磁石3a〜3fの中からいずれか一つを取り出せるように駆動制御し、同時に複数の永久磁石を取り出せないようにする。例えば図10に示すように、検査者が永久磁石3a〜3fの中から永久磁石3aを取り出した場合、制御部118は、磁石検出部111cから永久磁石無しの検出結果を取得するとともに、残りの磁石検出部112c〜116cから永久磁石有りの検出結果を取得する。この場合、制御部118は、ロック部111dに対して蓋の施錠を解除する駆動制御を行うとともに、残りのロック部112d〜116dに対して蓋を施錠する駆動制御を行う。これによって、検査者は、収納装置110から必要な永久磁石のみを取り出すことができ、例えばカプセル型内視鏡1を導入した被検体100に対して複数の永久磁石を意図せず近接させる事態を防止でき、より安全に被検体100内の観察を行うことができる。
【0104】
なお、この発明の実施の形態1にかかる位置表示シート2は、被検体100の体表上の近接位置を示すマーカとして、例えば円形等の1種類の形状をなす複数のマーカが形成されていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、位置表示シート2に形成する複数のマーカは、例えば被検体100の体位毎に異なる形状をなすものであってもよい。この場合、位置表示シート2は、例えば図11に示すように、仰臥位マーカ群MG1と左側臥位マーカ群MG2と右側臥位マーカ群MG3とが互いに異なる形状をなすように、複数のマーカM1〜M18が形成される。
【0105】
このように被検体100の体位毎に異なる形状をなすマーカM1〜M18が形成された位置表示シート2は、被検体100の体位毎に上述した近接位置を明確に示すことができる。例えば被検体100の体位が左側臥位である場合、位置表示シート2は、図12に示すように、左側臥位の被検体100に対して永久磁石3を近付ける近接位置を左側臥位マーカ群MG2によって明確に示すことができる。この結果、位置表示シート2は、被検体100が別の体位である場合に検査者に示すべき近接位置に対して永久磁石3を無駄に近付ける等の検査者の無駄な動作を抑制できる。
【0106】
また、この発明の実施の形態1では、近接位置を示す複数のマーカが位置表示シート2に形成されていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、位置表示シート2には、近接位置を示す1以上のマーカが形成されていればよく、そのマーカの数量は、特に18個に限定されない。具体的には、カプセル型内視鏡の撮像部を構成する光学系をより広角のものにして例えば視野角を100〜140度程度にし、カプセル型内視鏡の撮像視野をより広範囲なものにすれば、位置表示シート2に形成するマーカの数量を減らすことができる。例えば、1つのマーカが形成された位置表示シート2を用いる場合、消化管内に導入されるカプセル型内視鏡の撮像視野を広範囲なものにし、この位置表示シート2のマーカに近接させた永久磁石等をマーカの近傍で揺動させれば、この消化管内の略全域に亘る一連の画像をカプセル型内視鏡に撮像させることができる。
【0107】
以上、説明したように、この発明の実施の形態1では、被検体の体表上に永久磁石を近接させる位置、すなわち近接位置を検査者に対して示す位置表示シートを被検体に装着させ、この位置表示シートによって示される近接位置に永久磁石を近付け、被検体の消化管内に導入した液体中のカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つをこの永久磁石の磁力によって変化させるように構成した。このため、このカプセル型内視鏡によって撮像された消化管内の画像をディスプレイ上で視認して消化管内に対するカプセル型内視鏡の撮像視野を逐次把握しなくとも、この消化管内の略全域に亘る一連の画像をカプセル型内視鏡に撮像させることができ、所望の消化管内の観察に必要な画像を短時間で容易に取得できる被検体内導入システムを実現することができる。
【0108】
このような被検体内導入システムを用いることによって、医師は勿論、看護師等の医師以外の医療従事者であっても、観察部位である消化管内のカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを容易に変化させることができ、この消化管内の略全域に亘る一連の画像をワークステーション内に容易に取得できるとともに、このような消化管内のカプセル型内視鏡を磁気的に誘導する永久磁石の操作(すなわちカプセル型内視鏡の誘導操作)に医師が長時間束縛される事態を防止できる。
【0109】
さらに、この消化管内のカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを磁力によって能動的に変化させることができるので、この消化管内における所望位置の画像を容易にカプセル型内視鏡に撮像させることができ、所望の観察部位である消化管内を短時間に隈なく観察することができる。特に、胃等の比較的単純な形状の消化管を観察する場合において、上述した作用効果が顕著である。
【0110】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、永久磁石3を近接位置に近づけて液体Lq1中のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させていたが、この実施の形態2では、駆動電力を制御することによって磁場強度を制御できる電磁石を近接位置に近付けて液体Lq1中のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させるようにしている。
【0111】
図13は、この発明の実施の形態2にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図13に示すように、この実施の形態2にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムの位置表示シート2に代えて位置表示シート22を有し、永久磁石3に代えて磁場発生装置33を有し、ワークステーション4に代えてワークステーション44を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0112】
位置表示シート22は、上述した実施の形態1にかかる位置表示シート2とほぼ同様の機能を有する。この場合、位置表示シート22は、被検体100の体表上に対する磁場発生装置33の近接位置を検査者に複数示す。検査者は、例えば、これら複数の近接位置に磁場発生装置33を一通り近付ける。また、位置表示シート22は、このような近接位置毎に磁場発生装置33の磁場強度を決定する情報が記録されたRFIDタグ等の情報記録媒体を有する。このような情報記録媒体は、位置表示シート22によって示される各近接位置にそれぞれ配置される。
【0113】
磁場発生装置33は、被検体100の消化管内に導入したカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生し、この磁場によってこのカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる磁場発生手段として機能する。具体的には、磁場発生装置33は、被検体100の消化管内に導入したカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生する磁場発生部33aと、磁場発生部33aを一端部に接続するアーム部33bと、アーム部33bを介して磁場発生部33aを操作する操作部33cとを有する。また、磁場発生部33aは、位置表示シート22に設けられた情報記録媒体から所定の電波を介して情報を読み取る読取部33dを有する。操作部33cは、かかる磁場発生部33aおよび読取部33dの各駆動を制御する制御部33eを有する。このような磁場発生装置33は、ケーブル等を介してワークステーション44に電気的に接続され、このワークステーション44によって制御される。
【0114】
つぎに、この発明の実施の形態2にかかる位置表示シート22の構成について詳細に説明する。図14は、この発明の実施の形態2にかかる位置表示シート22の一構成例を示す模式図である。図14に示すように、位置表示シート22は、上述した永久磁石3の選択情報の一例である磁石番号に代えてRFIDタグ22a〜22tを近接位置毎に有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0115】
RFIDタグ22a〜22tは、位置表示シート22によって示される近接位置に近付けられる磁場発生装置33の磁場強度を決定する情報(以下、磁場決定情報と称する)が記録された情報記録媒体の一例である。具体的には、RFIDタグ22a〜22tは、例えばマーカM1〜M18の各近傍に配置され、マーカM1〜M18に近接させる磁場発生部33aの近接位置毎の磁場強度を決定する磁場決定情報をそれぞれ保存する。このようなRFIDタグ22a〜22tの各磁場決定情報は、磁場発生部33aの読取部33dによって読み取られる。
【0116】
なお、RFIDタグ22a〜22tは、上述したように仰臥位マーカ群MG1と左側臥位マーカ群MG2と右側臥位マーカ群MG3とが互いに異なる形状のマーカを有する場合であっても同様に、近接位置毎に配置される。また、このようなRFIDタグ22a〜22tに記録される磁場決定情報として、磁場発生部33aに供給する駆動電流の値を示す情報、被検体100の患者情報および体位を示す情報等の磁場発生部33aに供給する駆動電力を決定する情報が例示される。
【0117】
つぎに、磁場発生装置33およびワークステーション44の各構成について詳細に説明する。図15は、磁場発生装置33およびワークステーション44の一構成例を模式的に示すブロック図である。図15に示すように、磁場発生装置33は、上述したように、磁場発生部33a、アーム部33b、操作部33c、読取部33d、および制御部33eを有する。一方、ワークステーション44は、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムのワークステーション4の制御部9に代えて制御部49を有する。制御部49は、上述したワークステーション4の制御部9の磁石選択部9cに代えて電力制御部49cを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0118】
磁場発生部33aは、被検体100の消化管内に導入した液体Lq1中でのカプセル型内視鏡1の動きを制御する磁場を発生するためのものである。具体的には、磁場発生部33aは、電磁石等を用いて実現され、アーム部33bを介して操作部33cから供給された駆動電力をもとに磁場を発生する。この場合、磁場発生部33aは、位置表示シート22によって示される近接位置に近付けられ、この駆動電力をもとに発生した磁場によって、例えば液体Lq1の表面に浮揚するカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する。
【0119】
また、磁場発生部33aは、上述したように読取部33dを有する。読取部33dは、位置表示シート22に配置されたRFIDタグ22a〜22tのそれぞれに記録された磁場決定情報を読み取るためのものである。具体的には、読取部33dは、磁場発生部33aが位置表示シート22のマーカM1〜M18のいずれかに近付けられた場合、この磁場発生部33aを近接させたマーカの近傍に配置されたRFIDタグ(すなわち上述したRFIDタグ22a〜22tのいずれか)から所定の電波を介して磁場決定情報を読み取る。読取部33dは、このように読み取った磁場決定情報を操作部33cの制御部33eに送信する。
【0120】
アーム部33bは、一端に磁場発生部33aが接続されるとともに他端に操作部33cが接続され、かかる磁場発生部33aと操作部33cとを電気的に接続する。この場合、アーム部33bは、上述した磁場発生部33aの電磁石と制御部33eとを電気的に接続し、且つ読取部33dと制御部33eとを電気的に接続する。
【0121】
操作部33cは、アーム部33bの端部に設けられた磁場発生部33aおよび読取部33dを操作するためのものである。具体的には、操作部33cは、検査者に把持され、この検査者の操作によって位置表示シート22に対する磁場発生部33aおよび読取部33dの位置を調整する。また、操作部33cは、ワークステーション44の制御部49から駆動電力が供給され、この駆動電力を調整しつつ磁場発生部33aまたは読取部33dに供給する。このような操作部33cは、上述した磁場発生部33aおよび読取部33dの各駆動の開始または停止を操作する各操作スイッチ(図示せず)を有し、かかる操作スイッチからの入力情報に基づいて磁場発生部33aおよび読取部33dの各駆動を制御する制御部33eをさらに有する。
【0122】
制御部33eは、操作部33cの操作スイッチからの入力情報に基づいて読取部33dの駆動を制御し、磁場発生部33aが近付けられた近接位置のマーカ(すなわちマーカM1〜M18のいずれか)に記録された磁場決定情報を読取部33dに読み取らせ、かかる読取部33dによって読み取られた磁場決定情報を取得する。また、制御部33eは、このように取得した磁場決定情報をもとに、磁場発生部33aの駆動を制御する。具体的には、制御部33eは、ワークステーション44の制御部49から駆動電力を取得し、この磁場決定情報をもとにこの制御部49からの駆動電力を調整する。制御部33eは、このように調整した駆動電力を磁場発生部33aに供給し、この調整後の駆動電力に基づいた磁場を磁場発生部33aに発生させる。すなわち、制御部33eは、読取部33dから取得した磁場決定情報をもとに磁場発生部33aに対する駆動電力を調整し、このように駆動電力を調整することによって、磁場発生部33aの磁場強度を制御する。
【0123】
一方、ワークステーション44の制御部49は、上述したワークステーション4の制御部9とほぼ同様の機能を有し、さらに、磁場発生装置33の駆動を制御する。このような制御部49は、磁場発生装置33に対して供給する駆動電力を制御する電力制御部49cをさらに有する。電力制御部49cは、状態判断部9gによる磁場強度の判断結果をもとに、磁場発生装置33に供給する駆動電力を制御し、このように制御した駆動電力を磁場発生装置33に供給する。かかる電力制御部49cによって制御された駆動電力は、ケーブル等を介して上述した制御部33eに供給される。この場合、状態判断部9gは、カプセル型内視鏡1から受信した磁場検出信号をもとに、カプセル型内視鏡1に対する磁場発生部33aの磁場強度について判断する。
【0124】
ここで、磁場発生装置33の制御部33eは、上述した磁場決定情報をもとに、磁場発生部33aに供給する駆動電力を初期設定し、その後、電力制御部49cによって制御された駆動電力を磁場発生部33aに供給し、この駆動電力に基づいた磁場を磁場発生部33aに発生させる。図16は、近接位置のRFIDタグから読み取った磁場決定情報をもとに磁場を発生する磁場発生装置33の動作を説明するための模式図である。
【0125】
図16に示すように、磁場発生装置33の制御部33eは、例えばマークM2によって示される近接位置に磁場発生部33aが近接した場合、このマークM2の近傍に配置されたRFIDタグ22bから磁場決定情報を読み取るように読取部33dを制御し、この読取部33dによって読み取られた磁場決定情報を取得する。この場合、制御部33eは、この所得した磁場決定情報(例えば駆動電流の値を示す情報または被検体100の患者情報等)をもとに、このマークM2に近接させた磁場発生部33aに供給する駆動電力を初期設定する。かかる初期設定の駆動電力が供給された磁場発生部33aは、この初期設定の駆動電力に基づいた磁場強度の磁場を例えば胃内部のカプセル型内視鏡1に対して印加し、この胃内部のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する。
【0126】
その後、制御部33eは、上述した電力制御部49cによって制御された駆動電力がワークステーション44の制御部49から供給された場合、この電力制御部49cによって制御された駆動電力を磁場発生部33aに供給し、この駆動電力に基づいた磁場強度の磁場を磁場発生部33aに発生させる。この場合、制御部33eは、電力制御部49cの指示に基づいて、上述した初期設定の駆動電力を再調整する。制御部33eは、位置表示シート22によって示される全ての近接位置について、上述したような駆動電力の制御を行う。
【0127】
このような駆動電力が供給される磁場発生部33aは、被検体100の消化管内に導入したカプセル型内視鏡1を液体Lq1中で動かすに充分な磁場を発生できる。検査者は、このような磁場発生装置33を用いて上述したステップS101以降の処理手順を行うことによって、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受できる。
【0128】
なお、この発明の実施の形態2では、磁場決定情報を記録したRFIDタグを位置表示シート22の各近接位置の近傍に配置し、磁場発生装置33の読取部33dが近接位置のRFIDタグから磁場決定情報を読み取るようにしていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、上述した磁場強度情報を記録した光学情報記録媒体を近接位置毎に位置表示シート22に付し、この光学情報記録媒体に対して読取部33dが所定の光を出射してこの光学情報記録媒体を光学的に読み取るようにしてもよい。また、位置表示シート22の各マーカの形状を磁場強度毎に異なる形状にし、このようなマーカの形状を読取部33dが光学的に読み取って、読み取ったマーカの形状をもとに磁場発生部33aの磁場強度を決定してもよい。
【0129】
また、この発明の実施の形態2では、位置表示シート22に配置したRFIDタグから読み取った磁場決定情報をもとに磁場発生部33aの磁場強度を初期的に決定していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、磁場強度または電流値を示す記号または文字等の情報を位置表示シート22の近接位置毎に付し、かかる情報を視認して磁場発生部33aの磁場強度をマニュアル操作してもよい。この場合、操作部33cには、磁場発生部33aに供給する駆動電力を調整する調整スイッチを設ければよい。
【0130】
または、磁場発生部33aの磁場強度をワークステーション44の制御部49が制御してもよい。この場合、電力制御部49cが、例えば入力部6によって入力された被検体100の患者情報等をもとに、磁場発生部33aに供給する駆動電力を初期設定し、制御部49が、かかる電力制御部49cによって初期設定された駆動電力を磁場発生装置33に供給すればよい。
【0131】
以上、説明したように、この発明の実施の形態2では、永久磁石に代えて電磁石を位置表示シートに近接させ、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つをこの近接させた電磁石の磁場によって制御するように構成した。このため、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、消化管内のカプセル型内視鏡に印加する電磁石の磁場を容易に調整でき、この消化管内のカプセル型内視鏡の液体中での動きをさらに容易に操作することができる。
【0132】
また、この位置表示シートが近接位置毎に磁場決定情報を有するようにし、電磁石が近接位置に近接した場合、その都度、この近接位置毎の磁場決定情報を読み取るようにし、この磁場決定情報をもとに電磁石の磁場強度を制御するようにした。このため、消化管内のカプセル型内視鏡に対して電磁石の磁場を確実に印加でき、このカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを磁場によって確実に制御することができる。なお、この実施の形態2では、電磁石に流す電流を制御することによって、発生する磁場の強度を変化させたが、これに限らず、永久磁石と被検体との距離を変えることによって磁場(被検体に対して発生する永久磁石の磁場)の強度を変化させてもよい。また、図示しないが、永久磁石と被検体との距離を変更する機構(距離変更部)を設けてもよい。
【0133】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1では、ワークステーション4に1つのアンテナ5aを接続し、このアンテナ5aを介してカプセル型内視鏡1とワークステーション4とが無線信号を送受信していたが、この実施の形態3では、複数のアンテナをワークステーションに接続し、これら複数のアンテナのいずれかを介してカプセル型内視鏡1とワークステーションとが無線信号を送受信するようにしている。
【0134】
図17は、この発明の実施の形態3にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図17に示すように、この実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムのワークステーション4に代えてワークステーション64を有する。このワークステーション64は、上述した実施の形態1のワークステーション4に接続した1つのアンテナ5aに代えてアンテナ群55を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0135】
アンテナ群55は、被検体100の消化管内に導入したカプセル型内視鏡1とワークステーション64との間で無線信号を送受信するためのものである。具体的には、アンテナ群55に含まれる各アンテナは、位置表示シート2によって示される各近接位置に対応して位置表示シート2に配置され、ケーブル等を介してワークステーション64に電気的に接続される。このようなアンテナ群55に含まれるアンテナの少なくとも一つは、被検体100の消化管内に導入したカプセル型内視鏡1との間で無線信号を高感度に送受信し、このカプセル型内視鏡1からの画像信号等を高感度に受信できる。
【0136】
つぎに、この実施の形態3にかかるワークステーション64の構成について詳細に説明する。図18は、この実施の形態3にかかるワークステーション64の一構成例を模式的に示すブロック図である。図18に示すように、この実施の形態3にかかるワークステーション64は、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムのワークステーション4の通信部5に代えて通信部65を有し、制御部9に代えて制御部69を有する。制御部69は、上述したワークステーション4の制御部9の通信制御部9bに代えて通信制御部69bを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0137】
通信部65は、アンテナ群55を用いてカプセル型内視鏡1とワークステーション64との無線通信を行うためのものである。具体的には、通信部65は、アンテナ群55の各アンテナ(例えば位置表示シート2のマーカM1〜M18に対応する18個のアンテナ55a〜55t)がケーブル等を介して接続され、このアンテナ群55に含まれるアンテナのいずれかを介して受信した無線信号に対して所定の復調処理を行い、カプセル型内視鏡1から送信された各種情報を取得する。この場合、通信部65は、アンテナ群55に含まれる各アンテナの受信電界強度を比較し、このアンテナ群55の中から受信電解強度が最も高いアンテナを介して無線信号を受信する。通信部65は、このように受信電界強度が最も高いアンテナを介し、カプセル型内視鏡1からの無線信号を高感度に受信できる。その後、通信部65は、このように受信したカプセル型内視鏡1からの無線信号をもとに、撮像部12によって得られた画像情報および筐体10の動き情報を低ノイズの状態で取得し、取得した低ノイズ状態の画像情報および動き情報を制御部69に送信する。また、通信部65は、上述した磁気センサ15による磁場強度の検出結果に対応する磁場検出信号を低ノイズの状態で取得し、取得した低ノイズ状態の磁場検出信号を制御部69に送信する。
【0138】
また、通信部65は、制御部69から受信したカプセル型内視鏡1に対する制御信号に対して所定の変調処理等を行い、この制御信号を無線信号に変調する。この場合、通信部65は、例えばアンテナ群55の全アンテナから所定のテスト信号を送信させ、このテスト信号に対応するアック信号をカプセル型内視鏡1に送信させる。通信部65は、かかるカプセル型内視鏡1からのアック信号を受信する際の各アンテナの受信電界強度を比較し、アンテナ群55の中からこの受信電界強度が最も高いアンテナに対して無線信号を送信する。このように、通信部65は、アンテナ群55の中から受信電界強度が最も高いアンテナを介し、カプセル型内視鏡1に無線信号を送信する。これによって、通信部65は、カプセル型内視鏡1に対し、例えば撮像部12の駆動開始を指示する制御信号を確実に送信できる。
【0139】
制御部69は、上述したワークステーション4の制御部9とほぼ同様の機能を有し、さらに、アンテナ群55が接続された通信部65の駆動を制御する。このような制御部69は、上述した1つのアンテナ5aを用いて無線通信を行う通信部5に代えて通信部65の駆動を制御する通信制御部69bをさらに有する。通信制御部69bは、上述したように、最も高い受信電界強度のアンテナを介してカプセル型内視鏡1からの無線信号を受信するように通信部65の駆動を制御し、通信部65から低ノイズの状態で画像情報または動き情報を取得する。または、通信制御部69bは、通信部65から低ノイズの状態で磁場検出信号を取得する。また、通信制御部69bは、カプセル型内視鏡1に対する制御信号を通信部65に送信してこの制御信号を含む無線信号を生成させ、上述したように、最も高い受信電界強度のアンテナを介してこの無線信号を送信するように通信部65の駆動を制御する。
【0140】
つぎに、位置表示シート2に対するアンテナ群55の各アンテナの配置について説明する。図19は、複数の近接位置に対応して位置表示シート2に配置するアンテナ群55の配置状態を例示する模式図である。図19に示すように、アンテナ群55の各アンテナは、位置表示シート2によって示される複数の近接位置に対応して、位置表示シート2に配置される。具体的には、例えば位置表示シート2に形成したマーカM1〜M18によって示される18箇所の近接位置に対応して、アンテナ群55の18個のアンテナ55a〜55tが、位置表示シート2に配置される。この場合、アンテナ55a〜55tは、例えばマーカM1〜M18の各近傍に配置される。このようなアンテナ55a〜55tは、ケーブル等を介してワークステーション64の通信部65に接続される。この通信部65は、上述したように、ワークステーション64の制御部69に接続される。
【0141】
ここで、上述したように近接位置に対応して位置表示シート2に配置されたアンテナ55a〜55tは、被検体100の消化管内に導入したカプセル型内視鏡1との間で無線信号を送受信する。この場合、かかるアンテナ55a〜55tの少なくとも一つは、位置表示シート2に示される近接位置に近接させた例えば永久磁石3の磁力によって捕捉されたカプセル型内視鏡1との間で無線信号を高い受信感度で送受信する。すなわち、アンテナ55a〜55tは、各近接位置に対応して位置表示シート2に配置することによって、各近接位置に近接させた例えば永久磁石3の磁力によって捕捉されるカプセル型内視鏡1の各捕捉位置に対して所定の相対位置にそれぞれ配置される。かかるアンテナ55a〜55tと各捕捉位置でのカプセル型内視鏡1との相対的な位置関係は、アンテナ55a〜55tの少なくとも一つとカプセル型内視鏡1とが互いに高い受信感度で無線信号を送受信できる位置関係である。
【0142】
具体的には、マーカM1によって示される近接位置に永久磁石3が近付けられた場合、例えば図20に示すように、被検体100の胃内部のカプセル型内視鏡1は、かかるマーカM1に近接させた永久磁石3の磁力によって捕捉される。この場合、カプセル型内視鏡1は、この近接位置に対応して配置されたアンテナ55aに対して所定の相対位置に捕捉される。このような相対位置に捕捉されたカプセル型内視鏡1は、アンテナ55aに対して高い受信感度で無線信号の送受信を行うことができる。これと同様に、マーカM2によって示される近接位置に永久磁石3が近付けられた場合、この胃内部のカプセル型内視鏡1は、かかるマーカM2に近接させた永久磁石3の磁力によって捕捉される。この場合、カプセル型内視鏡1は、この近接位置に対応して配置されたアンテナ55bに対して所定の相対位置に捕捉される。このような相対位置に捕捉されたカプセル型内視鏡1は、アンテナ55bに対して高い受信感度で無線信号の送受信を行うことができる。以上のことは、近接位置に対応して位置表示シート2に配置された全てのアンテナ55a〜55tについて、同様の作用効果を享受する。
【0143】
なお、この発明の実施の形態3では、アンテナ群55の各アンテナを位置表示シート2の各マーカに重なる態様でそれぞれ配置していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、アンテナ群55の各アンテナは、各近接位置にそれぞれ対応して位置表示シート2に配置されればよく、すなわち、磁力によって捕捉されたカプセル型内視鏡に対して高感度で無線信号を送受信できる相対位置に配置されれば、位置表示シート2のいずれの領域に配置されてもよい。この場合、かかるアンテナ群55の各アンテナの配置位置は、実験結果等をもとに設定することができる。また、アンテナ群55に含まれるアンテナの数量は、位置表示シート2によって示される近接位置の数量と同数であればよく、特に18個に限定されない。
【0144】
以上、説明したように、この発明の実施の形態3では、上述した実施の形態1とほぼ同様の構成を有し、且つ、複数の近接位置に対応して複数のアンテナを位置表示シートに配置し、被検体の消化管内に導入したカプセル型内視鏡が磁力によって捕捉された場合、これら複数のアンテナのいずれかが、この捕捉されたカプセル型内視鏡との間で無線信号を高感度に送受信できる位置にあるように構成した。このため、これら複数のアンテナのいずれかを介してカプセル型内視鏡からの無線信号を高感度に受信でき、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、このカプセル型内視鏡によって撮像された消化管内の画像を常に低ノイズの状態で取得することができる。
【0145】
この実施の形態3にかかる被検体内導入システムを用いることによって、検査者は、常に低ノイズの状態で消化管内の画像をディスプレイに表示させることができ、このような低ノイズの画像を用いて被検体内をさらに容易に観察することができる。
【0146】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1では、消化管内に導入したカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを磁力によって制御していたが、この実施の形態4では、さらに、消化管内の患部等の所望の指定位置にカプセル型内視鏡1を近接させ、この指定位置の拡大画像を撮像させるようにしている。
【0147】
図21は、この発明の実施の形態4にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図21に示すように、この実施の形態4にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムの位置表示シート2に代えて位置表示シート72を有し、ワークステーション4に代えてワークステーション84を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0148】
つぎに、この実施の形態4にかかる位置表示シート72の構成について詳細に説明する。図22は、この実施の形態4にかかる位置表示シート72の一構成例を示す模式図である。図22に示すように、位置表示シート72は、上述した実施の形態1にかかる位置表示シート2のマーカM1〜M18に代えて複数の縦線d1〜d15と複数の横線e1〜e10とが形成される。また、位置表示シート72は、複数の加速度センサ72a〜72eをさらに有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0149】
位置表示シート72に形成した縦線d1〜d15および横線e1〜e10は、上述した複数の近接位置を検査者に示すためのものである。具体的には、縦線d1〜d15および横線e1〜e10は、例えば格子状に形成され、それぞれの交点によって近接位置を示す。この場合、例えば図22に示す近接位置Nは、縦線d4と横線e3との交点によって示され、かかる縦線d1〜d15および横線e1〜e10によって形成される座標系の座標(d4,e3)によって特定される。なお、位置表示シート72に形成される縦線および横線の各本数は、それぞれ1本以上であればよく、特に10本または15本に限定されない。
【0150】
また、位置表示シート72は、被検体100の体位に対応して、例えば仰臥位領域A1、左側臥位領域A2、および右側臥位領域A3に区分される。この場合、仰臥位領域A1は、仰臥位の被検体100における近接位置を示す領域であり、例えば縦線d5〜d10と横線e1〜e10との各交点によって近接位置を示す。左側臥位領域A2は、左側臥位の被検体100における近接位置を示す領域であり、例えば縦線d1〜d4と横線e1〜e10との各交点によって近接位置を示す。右側臥位領域A3は、右側臥位の被検体100における近接位置を示す領域であり、例えば縦線d11〜d15と横線e1〜e10との各交点によって近接位置を示す。検査者は、かかる位置表示シート72を装着した被検体100の体位を仰臥位にした場合、仰臥位領域A1内の各交点によって示される各近接位置に永久磁石3を近づける。また、検査者は、この被検体100の体位を左側臥位にした場合、左側臥位領域A2内の各交点によって示される各近接位置に永久磁石3を近づけ、この被検体100の体位を右側臥位にした場合、右側臥位領域A3内の各交点によって示される各近接位置に永久磁石3を近づける。このように近接位置に近付けられた永久磁石3は、上述した実施の形態1の場合とほぼ同様に、被検体100の消化管内に導入したカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する。
【0151】
さらに、位置表示シート72は、上述したように、複数の加速度センサ72a〜72eを有する。具体的には、加速度センサ72aは、位置表示シート72の略中央近傍、例えば座標(d8,e5)によって特定される近接位置の近傍に固定配置される。また、加速度センサ72b〜72eは、位置表示シート72の4隅にそれぞれ固定配置される。このような加速度センサ72a〜72eは、ケーブル等を介してワークステーション84に電気的に接続され、上述した空間座標系xyzにおいて位置表示シート72が変位した際の加速度を検出し、この加速度の検出結果をワークステーション84にそれぞれ送信する。具体的には、加速度センサ72aは、空間座標系xyzにおいて位置表示シート72の中央部が変位した際の加速度を検出し、この位置表示シート72の中央部の加速度検出結果をワークステーション84に送信する。また、加速度センサ72b〜72eは、空間座標系xyzにおいて位置表示シート72の各隅部がそれぞれ変位した際の各加速度を検出し、この位置表示シート72の各隅部の加速度検出結果をワークステーション84にそれぞれ送信する。なお、かかる位置表示シート72に固定配置される複数の加速度センサは、位置表示シート72の4つの隅部と中央部近傍とにそれぞれ固定配置されていればよく、その配置数量は、特に5つに限定されない。
【0152】
つぎに、この発明の実施の形態4にかかるワークステーション84の構成について詳細に説明する。図23は、この実施の形態4にかかるワークステーション84の一構成例を模式的に示すブロック図である。図23に示すように、ワークステーション84は、上述した実施の形態1にかかるワークステーション4の制御部9に代えて制御部89を有する。制御部89は、上述したワークステーション4の制御部9の位置姿勢検出部9fに代えて位置姿勢検出部89fを有し、さらに位置特定部89hを有する。また、制御部89は、上述した位置表示シート72の加速度センサ72a〜72eと電気的に接続される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0153】
制御部89は、上述したワークステーション4の制御部9とほぼ同様の機能を有する。また、制御部89は、位置表示シート72に固定配置された加速度センサ72a〜72eの駆動を制御し、空間座標系xyzにおける位置表示シート72の面位置を検出する機能と、消化管内の画像の中から指定された所望の指定位置に対応する近接位置を特定する機能と、特定した近接位置を検査者に示す機能とをさらに有する。このような制御部89は、上述したように、位置姿勢検出部89fと位置特定部89hとを有する。
【0154】
位置姿勢検出部89fは、上述したワークステーション4の位置姿勢検出部9fと同様に、空間座標系xyzにおけるカプセル型内視鏡1の位置および姿勢を検出する。さらに、位置姿勢検出部89fは、空間座標系xyzにおけるカプセル型内視鏡1と位置表示シート72との位置関係を検出する。この場合、位置姿勢検出部89fは、上述した加速度センサ72a〜72eから取得した各加速度検出結果をもとに、空間座標系xyzにおける位置表示シート72の面位置を検出する。
【0155】
具体的には、位置姿勢検出部89fは、まず、上述した空間座標系xyzを設定する。ここで、位置表示シート72は、例えば空間座標系xyzの原点Oと加速度センサ72aの位置とを合わせた態様で空間座標系xyzのxy平面上に平らに配置される。また、カプセル型内視鏡1は、上述したように、例えば空間座標系xyzのx軸、y軸、およびz軸に径軸C2b、長軸C1、および径軸C2aをそれぞれ合わせた態様で空間座標系xyzの原点Oに配置される。位置姿勢検出部89fは、このように空間座標系xyzに配置されたカプセル型内視鏡1の位置および姿勢と位置表示シート72の面位置とをそれぞれの初期状態として把握し、この初期状態から逐次変化するカプセル型内視鏡1の位置および姿勢と位置表示シート72の面位置とを逐次検出する。この場合、位置姿勢検出部89fは、上述したカプセル型内視鏡1の動き情報をもとに、空間座標系xyzにおける現在のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢を逐次検出する。また、位置姿勢検出部89fは、加速度センサ72a〜72eから取得した各加速度検出結果をもとに、位置表示シート72の中央部および4つの隅部の各移動量(ベクトル量)を順次算出し、算出した各移動量をもとに、空間座標系xyzにおける現在の位置表示シート72の面位置を逐次検出する。このようにして、位置姿勢検出部89fは、空間座標系xyzにおける初期状態から変位または湾曲等の変化を繰り返す位置表示シート72の面位置を逐次検出する。
【0156】
このような位置姿勢検出部89fは、逐次検出したカプセル型内視鏡1の位置および姿勢と位置表示シート72の面位置とをもとに、空間座標系xyzにおけるカプセル型内視鏡1と位置表示シート72との現在の位置関係を逐次検出する。その後、制御部89は、上述した実施の形態1の場合と同様に、カプセル型内視鏡1の位置姿勢情報を記憶部8に保存し、かかる位置姿勢検出部89fによって検出された位置表示シート72の面位置をこの位置姿勢情報に対応付けて記憶部8に保存する。なお、かかるカプセル型内視鏡1と位置表示シート72との位置関係には、空間座標系xyzにおけるカプセル型内視鏡1と位置表示シート72との相対位置と、位置表示シート72のなす面に対するカプセル型内視鏡1の姿勢とが含まれる。
【0157】
位置特定部89hは、カプセル型内視鏡1によって撮像された消化管内の画像の中から指定された所望の指定位置に対応する近接位置を特定する特定手段として機能する。具体的には、位置特定部89hは、この消化管の画像の中から指定位置を指定する指定位置情報を入力部6から取得し、上述したカプセル型内視鏡1と位置表示シート72との位置関係とこの指定位置情報とをもとに、位置表示シート72内の複数の近接位置の中からこの指定位置に対応する近接位置を特定する。この場合、入力部6は、表示部7に表示された消化管の画像の中から検査者の操作によって指定された所望の位置の指定位置情報を制御部89に入力する入力手段として機能する。
【0158】
かかる位置特定部89hによって特定された近接位置を示す情報は、表示部7に表示される。この場合、表示制御部9aは、位置特定部89hが指定位置に対応する近接位置を特定すれば、この特定された近接位置が位置表示シート72内のいずれの近接位置であるかを示す情報を表示部7に表示させる。検査者は、このように表示部7に表示された情報をもとに、位置表示シート72内の複数の近接位置の中から指定位置に対応する近接位置を容易に探し出すことができる。この場合、表示部7は、位置特定部89hによって特定された近接位置を示す特定位置表示手段として機能する。
【0159】
つぎに、被検体100の胃内部にカプセル型内視鏡1を導入した場合を例示して、このカプセル型内視鏡1によって撮像された胃内部の画像の中の指定位置に対応する近接位置を特定する制御部89の動作について説明する。図24は、位置表示シート72に示される近接位置に近付けた永久磁石3の磁力によって胃内部のカプセル型内視鏡1を捕捉した状態を例示する模式図である。図25は、図24の状態に捕捉されたカプセル型内視鏡1によって撮像された胃内部の画像を例示する模式図である。図26は、位置表示シート72内の複数の近接位置の中から指定位置に対応する近接位置を特定する制御部89の動作を説明するための模式図である。
【0160】
まず、検査者は、上述したステップS101〜S106の処理手順を順次行う。この場合、カプセル型内視鏡1は、例えば図24に示すように、被検体100の胃内部に導入した液体Lq1中に浮揚し、位置表示シート72によって示される所望の近接位置に近付けた永久磁石3の磁場によって捕捉される。このように捕捉されたカプセル型内視鏡1は、永久磁石3の磁力によって位置および姿勢の少なくとも一つを変化させつつ、この胃内部の画像を順次撮像する。この場合、カプセル型内視鏡1は、例えば撮像領域S1の画像を撮像する。この撮像領域S1は、カプセル型内視鏡1の撮像視野に納まる胃壁の部分領域であって、例えば患部101を含む。このようにして、カプセル型内視鏡1は、胃内部の患部101を捉えた胃内部の画像を撮像する。この胃内部の画像は、例えば図25に示すように、ワークステーション89の表示部7に表示される。
【0161】
つぎに、検査者は、入力部6を用い、この表示部7に表示された胃内部の画像における所望の位置、例えば患部101の位置にカーソルKを移動させてこの患部101の位置を指定する入力操作を行う。この場合、入力部6は、この患部101の指定位置を特定する指定位置情報を制御部89に入力する。制御部89は、この指定位置情報を入力部6から受信した場合、カプセル型内視鏡1と位置表示シート72との位置関係とこの指定位置情報とをもとに、この患部101の位置に対応する近接位置を特定する。
【0162】
具体的には、位置姿勢検出部89fは、この胃内部の画像を撮像したカプセル型内視鏡1と被検体100に装着された位置指示シート72との位置関係を検出する。この場合、位置特定部89hは、この位置姿勢検出部89fによって検出されたカプセル型内視鏡1と位置表示シート72との位置関係をもとに、図24に例示する位置表示シート72の部分領域S2を検出する。この部分領域S2は、カプセル型内視鏡1の視野角によって範囲が定まる位置表示シート72の部分領域であって、図24に示す胃内部のカプセル型内視鏡1から位置表示シート72に向けて撮像領域S1を投影して形成される部分領域である。すなわち、このような撮像領域S1および部分領域S2は、互いに略相似関係にある。
【0163】
ここで、位置特定部89hは、入力部6によって入力された患部101の指定位置情報をもとに、この胃内部の画像の中心点と患部101の指定位置との相対位置関係を検出する。かかる画像の中心点と患部101の指定位置との相対位置関係は、図26に示す撮像領域S1の中心点CP1と患部101との相対位置関係と略同じである。また、位置特定部89hは、図26に示すように、このカプセル型内視鏡1と位置表示シート72との位置関係をもとに、部分領域S2と長軸C1との交点である部分領域S2の中心点CP2を検出する。なお、長軸C1は、上述したように、カプセル型内視鏡1の撮像視野の中心軸に相当する。このため、2つの中心点CP1,CP2は、それぞれ長軸C1上に位置する。
【0164】
このような位置特定部89hは、このカプセル型内視鏡1と位置表示シート72との位置関係と患部101の指定位置情報とをもとに、撮像領域S1と相似関係にある部分領域S2内の複数の近接位置の中から患部101の指定位置に対応する近接位置Tを特定することができる。この場合、部分領域S2における中心点CP2と近接位置Tとの相対位置関係は、撮像領域S1における中心点CP1と患部101との相対位置関係と略同様である。すなわち、カプセル型内視鏡1が撮像視野の中心軸を患部101に合わせた場合、患部101および近接位置Tは、このカプセル型内視鏡1の長軸C1上に位置する。
【0165】
このように位置特定部89hが指定位置に対応する近接位置Tを特定した場合、制御部89は、かかる位置特定部89hによって特定された近接位置Tを示す情報を表示部7に表示させる。この場合、表示制御部9aは、この特定された近接位置Tが位置表示シート72内のいずれの近接位置であるかを示す情報を表示部7に表示させる。検査者は、このように表示部7に表示された情報をもとに、位置表示シート72内の複数の近接位置の中から例えば患部101の指定位置に対応する近接位置Tを容易に探し出すことができる。
【0166】
その後、検査者は、表示部7に表示された近接位置Tに永久磁石3を近付けることによって、胃内部のカプセル型内視鏡1を患部101に近接させることができる。図27は、胃内部の患部101にカプセル型内視鏡1を近接させた状態を例示する模式図である。図27に示すように、患部101の指定位置に対応する近接位置Tに近接させた永久磁石3は、胃内部のカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生し、この磁場の磁力によって、このカプセル型内視鏡1を患部101に引き付ける。なお、この永久磁石3は、例えば予め準備された複数の永久磁石の中から選択されたものであり、このようにカプセル型内視鏡1を引き付けるに充分な磁場を発生するものである。
【0167】
この永久磁石3の磁場が印加されたカプセル型内視鏡1は、患部101に近づいて接触するとともに、この患部101の拡大画像を撮像する。ワークステーション84は、このようにカプセル型内視鏡1によって撮像された拡大画像を表示部7に表示させることができる。検査者は、このように表示部7に表示された拡大画像を視認することによって、例えば患部101等の消化管内の所望位置をより詳細に観察することができる。
【0168】
このように消化管の内壁に接触できるカプセル型内視鏡1は、例えば赤外光等の特殊光を出力して画像を撮像する特殊光観察機能をさらに備えるようにし、患部101等の所望の位置の拡大画像を特殊光によって撮像してもよい。この場合、この特殊光観察機能の追加したカプセル型内視鏡は、ワークステーション84からの制御信号に基づいて出力光をLED等による通常の可視光または特殊光に切り替える。また、このようなカプセル型内視鏡1は、筐体から出し入れ可能な採取針等を用いて体液または生体組織等を採取する採取機能をさらに備えるようにしてもよい。この場合、この採取機能を追加したカプセル型内視鏡1は、例えば消化管の内壁に接触した際に、ワークステーション84からの制御信号に基づいてこの消化管内の体液または生体組織等を採取する。
【0169】
また、このようなカプセル型内視鏡1は、さらに治療機能を備えてもよい。この治療機能としては、例えば筐体から出し入れ自在な加熱プローブによって生体組織等を焼灼するものであってもよいし、消化管内に対して薬剤を散布するものであってもよいし、筐体から出し入れ自在な注射針を用いて患部等に薬剤を注射するものであってもよい。この場合、この治療機能を追加したカプセル型内視鏡1は、例えば消化管の内壁に接触した際に、ワークステーション84からの制御信号に基づいて治療機能の駆動を開始する。
【0170】
さらに、このようなカプセル型内視鏡1は、診断用の化学、生化学センサを追加してもよい。この場合、カプセル型内視鏡1は、診断用の化学、生化学センサを消化管内の生体組織に密着させることによって、この生体組織が病変部であるか否かを判断することができる。すなわち、このような診断用の化学、生化学センサを追加したカプセル型内視鏡1は、消化管内の生体組織から病変部を検出することができる。
【0171】
なお、この発明の実施の形態4では、画像内の所望の指定位置に対応して特定された近接位置を示す情報を表示部7に表示させていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、位置表示シート72によって示される複数の近接位置にLEDまたは有機EL等の発光部をそれぞれ設け、位置特定部89hがこれら複数の近接位置の中から指定位置に対応する近接位置を特定した場合、制御部89が、この特定された近接位置の発光部を発光させてこの近接位置を検査者に示してもよい。この場合、かかる位置表示シート72に配置される複数の発光部は、ケーブル等を介して制御部89に電気的に接続され、この制御部89によって駆動制御される。
【0172】
また、この発明の実施の形態4では、位置表示シート72に形成された複数の縦線と複数の横線との各交点によって複数の近接位置を示していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、かかる縦線と横線とによって囲まれる複数の升目によって複数の近接位置を示してもよいし、上述した実施の形態1の場合と同様に、位置表示シート72に複数のマーカを形成し、かかるマーカによって複数の近接位置を示してもよい。
【0173】
以上、説明したように、この発明の実施の形態4では、上述した実施の形態1とほぼ同様に、被検体に装着させた位置表示シートによって複数の近接位置を示すようにし、さらに、この被検体内に導入したカプセル型内視鏡によって撮像された消化管内の画像の中から所望の指定位置を指定した場合、この指定位置に対応する近接位置をこの位置表示シートの複数の近接位置の中から特定し、特定した近接位置を示すように構成している。このため、このように特定した近接位置に例えば永久磁石を近接させた場合、この永久磁石の磁力によってカプセル型内視鏡を消化管内の指定位置(例えば患部等)に容易に引き付けることができ、さらにはこの消化管内の指定位置に接触させることができる。この結果、この消化管内の指定位置、例えば患部等の拡大画像をカプセル型内視鏡に撮像させることができ、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、消化管内の所望位置の拡大画像を視認して被検体内をさらに詳細に観察することができる。
【0174】
なお、この発明の実施の形態1〜4では、被検体の胴体に巻き付けて装着する巻き付け型の位置表示シートを例示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、各種タイプの位置表示シートであってもよい。具体的には、上述した近接位置を示す位置表示シート2は、図28に例示するように衣服状に形成され、被検体100に着用させる着用型のものであってもよいし、図29に例示するように、被検体100の胴体に掛ける掛け型のものであってもよい。このような着用型または掛け型の位置表示シート2は、上述した巻き付け型のものとほぼ同様に、例えば仰臥位マーカ群MG1の各マーカによって各近接位置を示すことができる。
【0175】
また、位置表示シート2は、図30に例示するように、略透明なガラスまたは樹脂等の光透過性の高い平板に例えば仰臥位マーカ群MG1等を形成した平板型のものであってもよいし、図31に例示するように、略透明なガラスまたは樹脂等の光透過性の高い板部材を枠状に形成し、この板部材の面に例えば仰臥位マーカ群MG1等を形成した枠型のものであってもよい。この場合、検査者は、かかる平板型または枠型の位置表示シート2を介して被検体100を見るようにし、この平板型または枠型の位置表示シート2に形成されたマーカを被検体100に投影した位置(すなわち近接位置)に永久磁石等を近接させればよい。
【0176】
なお、上述した巻き付け型、着用型、掛け型、平板型、および枠型等の各種形態の位置表示シートは、被検体(患者)の体型毎に複数準備され、検査対象の患者の体型に合わせて選択されることが望ましい。このように患者の体型に合わせて選択された位置表示シートは、この患者の体表上における近接位置を的確に示すことができる。この結果、異なる体型の各患者の体内を効率的に観察(検査)することができる。
【0177】
さらに、この発明の実施の形態1〜4では、シート状部材である位置表示シートを被検体に装着していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、マーカ等の近接位置を示す情報を被検体に対して投影してもよい。この場合、例えば図32に示すように、近接位置を示す情報を投影する投影装置200を位置表示シートに代えて備えた被検体内導入システムを構成すればよい。この場合、投影装置200は、上述した近接位置を示す位置表示手段として機能し、被検体100に対して例えば仰臥位マーカ群MG1を投影して近接位置を示す。検査者は、かかる投影装置200によって被検体100に投影されたマーカに永久磁石等を近接させればよい。
【0178】
なお、このような投影装置200は、CTまたはMRI等によって撮像された被検体毎の体内画像の情報をもとに、この体内画像を被検体に対して投影するための投影情報を生成し、この投影情報を用いて被検体に体内画像を投影してもよい。この場合、投影装置200は、被検体に投影した体内画像によって永久磁石等の近接位置を示すことができる。この結果、被検体内の情報をより正確に把握することができ、消化管内のカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを磁力によって変化させる磁石を容易に操作できる。これに起因して、患部等の消化管内の所望位置の画像をカプセル型内視鏡に容易に撮像させることができ、さらに的確に被検体を診断することができる。
【0179】
また、この発明の実施の形態1〜4では、被検体の消化管内に1種類の液体Lq1を導入し、この液体Lq1にカプセル型内視鏡を浮揚させていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、被検体の消化管内に2種類の液体を導入し、この2種類の液体の界面近傍にカプセル型内視鏡を浮揚させてもよい。この場合、被検体に導入される2種類の液体Lq1,Lq2は、互いに異なる比重を有する。具体的には、液体Lq1は、上述したように、カプセル型内視鏡1の比重に比して同程度またはそれ未満の比重を有し、液体Lq2は、カプセル型内視鏡1の比重に比して大きい比重を有する。このような液体Lq1,Lq2が被検体100に導入された場合、例えば図33に示すように、カプセル型内視鏡1は、被検体100の胃内部において液体Lq1,Lq2の界面近傍に浮揚する。かかる界面近傍に浮揚したカプセル型内視鏡1は、上述した実施の形態1の場合とほぼ同様に、近接位置に近接させた永久磁石3の磁場によって、位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる。
【0180】
さらに、この発明の実施の形態1〜4では、カプセル型内視鏡1の重心を筐体の後端側に位置させ、消化管内の液体Lq1に浮揚したカプセル型内視鏡1が液体Lq1の液面に対して鉛直上方側に撮像視野を向けるようにしていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、消化管内の液体Lq1に浮揚したカプセル型内視鏡1が液体Lq1の液面に対して鉛直下方側に撮像視野を向けるようにしてもよい。この場合、カプセル型内視鏡1は、筐体の前端側に重心を有するように構成される。このように構成されたカプセル型内視鏡1は、例えば図34に示すように、被検体100の胃内部の液体Lq1に浮揚するとともに液体Lq1の液面に対して鉛直下方側に撮像視野を向ける。このように鉛直下方側に撮像視野を向けるカプセル型内視鏡1は、例えば近接位置に近接させた永久磁石3の磁場によって位置および姿勢の少なくとも一つを変化させることができる。また、このカプセル型内視鏡1は、この液体Lq1によって伸展された胃内部を液体Lq1越しに撮像できるので、上述した発泡剤によって生体組織を伸展させなくとも、例えば胃内部の詳細な画像をより鮮明に撮像することができる。
【0181】
また、この発明の実施の形態1〜4では、被検体の消化管内に導入した液体にカプセル型内視鏡を浮揚させていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、被検体の消化管内に導入した液体中にカプセル型内視鏡を沈めるようにしてもよい。具体的には、例えばカプセル型内視鏡1は、錘等を追加することによって、または内部空間を縮小して密度を高めることによって、液体Lq1に比して大きい比重を有するように構成される。この場合、かかるカプセル型内視鏡1の重心位置は、筐体の後端側に維持される。このように構成されたカプセル型内視鏡1は、例えば図35に示すように、被検体100の胃内部の液体Lq1の底部に沈むとともに液体Lq1の液面に対して鉛直上方側に撮像視野を向ける。このように鉛直上方側に撮像視野を向けるカプセル型内視鏡1は、例えば近接位置に近接させた永久磁石3の磁場によって位置および姿勢の少なくとも一つを変化させることができる。また、このカプセル型内視鏡1は、この液体Lq1によって伸展された胃内部を液体Lq1越しに撮像できるので、上述した発泡剤によって生体組織を伸展させなくとも、例えば胃内部の詳細な画像をより鮮明に撮像することができる。また、図示しないが、液体Lq1によって胃を拡張する代わりに、発泡剤と少量の水とを用いて胃を拡張させてもよい。この場合、少量の発泡剤と水とを用いて胃を拡張することができるので、摂取性がよい。また、図35では、永久磁石3の位置を変えることによってカプセル型内視鏡1の向きを変えているが、これに限らず、永久磁石3の位置を変えずに永久磁石3の向きを変えることによってカプセル型内視鏡1の向きを変えてもよい。このとき、永久磁石3の向きを位置表示シート2上にマーカ等によって示してもよい。この場合、永久磁石の位置を変える必要がないので、操作性が向上する。
【0182】
さらに、この発明の実施の形態3,4では、永久磁石の磁場によって消化管内のカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、永久磁石に代えて電磁石を近接位置に近接させ、この電磁石の磁場によって消化管内のカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させてもよい。この場合、上述した実施の形態2,3または実施の形態2,4を組み合わせて被検体内導入システムを構成すればよい。
【0183】
また、この発明の実施の形態1〜4では、ワークステーションに接続したアンテナを介してカプセル型内視鏡からの画像信号をワークステーションに直接受信させていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、被検体の体表上に配置されたアンテナを介してカプセル型内視鏡からの画像信号を受信して蓄積する所定の受信装置を用いてもよく、この受信装置に蓄積した画像信号をワークステーションに取得させてもよい。この場合、かかる受信装置とワークステーションとの情報の受け渡しは、例えば携帯型記録媒体を用いて行えばよい。
【0184】
さらに、上述した実施の形態1〜4では、被検体内に導入したカプセル型内視鏡の位置および姿勢を検出する手段として加速度センサおよび角速度センサを用いていたが、この発明はこれに限定されるものではない。具体的には、かかるカプセル型内視鏡の位置および姿勢を検出する手段として、超音波スキャンによって取得した被検体の断層像をもとに消化管内でのカプセル型内視鏡の位置および姿勢を検出するものであってもよいし、被検体内のカプセル型内視鏡に対して所定の位置から音波を送信し、このカプセル型内視鏡によって検出された音波の強度をもとに消化管内でのカプセル型内視鏡の位置および姿勢を検出するものであってもよい。また、被検体の外部から被検体内のカプセル型内視鏡に対して磁場を発生させ、このカプセル型内視鏡によって検出された磁場強度をもとに消化管内でのカプセル型内視鏡の位置および姿勢を検出してもよいし、被検体内のカプセル型内視鏡から出力された磁場を検出し、この磁場の強度をもとに消化管内でのカプセル型内視鏡の位置および姿勢を検出してもよい。
【0185】
また、この発明の実施の形態1〜4では、加速度センサを用いてカプセル型内視鏡の位置を検出し、角速度センサを用いてカプセル型内視鏡の姿勢(長軸C1の方向)を検出していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、交流磁場を発振する発振コイルを用いてカプセル型内視鏡の位置および姿勢を磁気的に検出してもよい。
【0186】
例えば、上述した実施の形態4にかかる被検体内導入システムの変形例では、図36に示すように、体外に直交する方向に交流磁場を発振する2つの発振コイル301,302を有するカプセル型内視鏡1と、かかる発振コイル301,302から発振された各交流磁場を検出する複数の検出コイル401〜416と、位置表示シート72と、ワークステーション84とを有する。なお、検出コイルの配置数量は、複数であればよく、特に16個に限定されない。また、検出コイル401〜416は、図36に示すように位置表示シート72の内部に配置されてもよいが、位置表示シート72の外部であって被検体100の体表上の近傍に配置されてもよい。
【0187】
発振コイル301は、カプセル型内視鏡1の制御部18の制御に基づいて長軸C1の方向に交流磁場を発生する。発振コイル302は、カプセル型内視鏡1の制御部18の制御に基づいて長軸C1に垂直な方向(例えば径軸C2aの方向)に交流磁場を発生する。一方、検出コイル401〜416は、例えば位置表示シート72の内部に配置され、ケーブル等を介してワークステーション84に接続される。このような検出コイル401〜416は、カプセル型内視鏡1の発振コイル301,302によって発振された交流磁場を検出し、この検出結果をワークステーション84に出力する。ワークステーション84の位置姿勢検出部89fは、この交流磁場の検出結果(例えば交流磁場の強度に対応する電流値等)をもとに、位置表示シート72に対する発振コイル301,302の位置および方向を算出し、この算出結果をもとに、例えば被検体100の胃内部のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢を検出する。
【0188】
また、この胃内部の患部101の拡大観察を行う場合、検査者は、ワークステーション84の表示部7に表示された画像をもとに、拡大観察したい位置(患部101の画像位置)にカーソルKを合わせてこの位置を選択する。この場合、入力部6は、この患部101の画像位置に対応する指定位置情報を制御部89に入力する。制御部89の位置特定部89hは、入力された指定位置情報と画像とをもとに、指定された位置(患部101)がカプセル型内視鏡1の撮像部12に対してどの方向にあるかを算出する。この場合、位置特定部89hは、図37に示すように、カプセル型内視鏡1の撮像部12と患部101とを最短に結ぶ方向(撮像素子に対する拡大観察最小の方向)を算出する。位置特定部89hは、上述した位置姿勢検出部89fによって検出された発振コイル301,302の位置および方向(すなわちカプセル型内視鏡1の位置および姿勢)と、発振コイル301,302と撮像部12との位置関係と、この撮像素子に対する拡大観察最小の方向とをもとに、位置表示シート72上に近接させるべき永久磁石3の近接位置を算出し、位置表示シート72上の複数の近接位置の中からこの患部101に対応する近接位置を特定する。
【0189】
また、この発明の実施の形態1〜4では、カプセル型内視鏡の筐体内部に永久磁石を設けていたが、これに限らず、磁場によってカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを制御するためには、カプセル型内視鏡の筐体内部に磁性体があればよく、かかる磁性体は、強磁性体、電池等の電気部品、または電磁石であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる被検体内導入システムの一構成例を模式的に示す模式図である。
【図2】実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。
【図3】実施の形態1にかかる位置表示シートの一構成例を模式的に示す模式図である。
【図4】被検体に位置表示シートを装着した状態を例示する模式図である。
【図5】実施の形態1にかかるワークステーションの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図6】実施の形態1にかかる被検体内導入システムによって被検体の消化管内を観察する処理手順を説明するフローチャートである。
【図7】被検体内に導入したカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する永久磁石の動作を説明するための模式図である。
【図8】ワークステーションの制御部が行う画像結合処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【図9】複数の画像を連結する制御部の動作を説明するための模式図である。
【図10】複数の永久磁石を収納する収納装置の一構成例を模式的に示す模式図である。
【図11】被検体の体位毎に異なる形状をなす複数のマーカが形成された位置表示シートの一構成例を示す模式図である。
【図12】互いに異なる形状をなす複数のマーカによって位置表示シートが体位毎に近接位置を示す状態を例示する模式図である。
【図13】この発明の実施の形態2にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図14】この発明の実施の形態2にかかる位置表示シートの一構成例を示す模式図である。
【図15】実施の形態2にかかる磁場発生装置およびワークステーションの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図16】近接位置のRFIDタグから読み取った磁場決定情報をもとに磁場を発生する磁場発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図17】この発明の実施の形態3にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図18】この実施の形態3にかかるワークステーションの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図19】複数の近接位置に対応して位置表示シートに配置するアンテナ群の配置状態を例示する模式図である。
【図20】近接位置に対応して位置表示シートに配置されたアンテナとカプセル型内視鏡とが無線信号を送受信する状態を例示する模式図である。
【図21】この発明の実施の形態4にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図22】この実施の形態4にかかる位置表示シートの一構成例を示す模式図である。
【図23】この実施の形態4にかかるワークステーションの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図24】位置表示シートに示される近接位置に近付けた永久磁石の磁力によって胃内部のカプセル型内視鏡を捕捉した状態を例示する模式図である。
【図25】図24の状態に捕捉されたカプセル型内視鏡によって撮像された胃内部の画像を例示する模式図である。
【図26】位置表示シート内の複数の近接位置の中から指定位置に対応する近接位置を特定する制御部の動作を説明するための模式図である。
【図27】胃内部の患部にカプセル型内視鏡を近接させた状態を例示する模式図である。
【図28】着用型の位置表示シートを例示する模式図である。
【図29】掛け型の位置表示シートを例示する模式図である。
【図30】平板型の位置表示シートを例示する模式図である。
【図31】枠型の位置表示シートを例示する模式図である。
【図32】近接位置を示す情報を被検体に投影する投影装置を例示する模式図である。
【図33】消化管内に導入した2種類の液体の界面にカプセル型内視鏡を浮揚させた状態を例示する模式図である。
【図34】筐体の前端側に重心を有するカプセル型内視鏡を消化管内に導入した状態を例示する模式図である。
【図35】消化管内の液体に比して大きい重心を有するカプセル型内視鏡を消化管内に導入した状態を例示する模式図である。
【図36】この発明の実施の形態4の変形例にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図37】撮像素子に対する拡大観察最小の方向を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0191】
1 カプセル型内視鏡
2 位置表示シート
2a〜2c 突起部
2d〜2f 嵌合部
3,3a〜3f 永久磁石
4 ワークステーション
5 通信部
5a アンテナ
6 入力部
7 表示部
8 記憶部
9 制御部
9a 表示制御部
9b 通信制御部
9c 磁石選択部
9d 画像処理部
9e 画像結合部
9f 位置姿勢検出部
9g 状態判断部
10 筐体
10a ケース本体
10b ドーム部材
10c 空間領域
11 永久磁石
12 撮像部
13 角速度センサ
14 加速度センサ
15 磁気センサ
16 信号処理部
17 通信処理部
17a アンテナ
18 制御部
18a 移動量検出部
18b 角度検出部
19 電源部
22 位置表示シート
22a〜22t RFIDタグ
33 磁場発生装置
33a 磁場発生部
33b アーム部
33c 操作部
33d 読取部
33e 制御部
44 ワークステーション
49 制御部
49c 電力制御部
55 アンテナ群
55a〜55t アンテナ
64 ワークステーション
65 通信部
69 制御部
69b 通信制御部
72 位置表示シート
72a〜72e 加速度センサ
84 ワークステーション
89 制御部
89f 位置姿勢検出部
89h 位置特定部
100 被検体
101 患部
110 収納装置
111〜116 収納部
111a〜116a 箱部材
111b〜116b 蓋
111c〜116c 磁石検出部
111d〜116d ロック部
117 台
118 制御部
200 投影装置
301,302 発振コイル
401〜416 検出コイル
A1 仰臥位領域
A2 左側臥位領域
A3 右側臥位領域
C1 長軸
C2a,C2b 径軸
CP1,CP2 中心点
P エピポーラ線
K カーソル
Lp 供給器
Lq1,Lq2 液体
M1〜M18 マーカ
MG1 仰臥位マーカ群
MG2 左側臥位マーカ群
MG3 右側臥位マーカ群
n,Pn-1 画像
0 参照点
1 対応点
S1 撮像領域
S2 部分領域
T 近接位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内の画像を撮像する撮像手段および磁石を筐体の内部に配置し、前記被検体内の画像を含む無線信号を外部に送信する被検体内導入装置と、
前記被検体内に導入した液体中の前記被検体内導入装置に対して磁場を発生し、該磁場によって前記被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる磁場発生手段と、
前記被検体に近接して前記磁場を発生する前記磁場発生手段の前記被検体に対する近接位置を示す位置表示手段と、
を備えたことを特徴とする被検体内導入システム。
【請求項2】
前記位置表示手段は、複数の前記近接位置を示すことを特徴とする請求項1に記載の被検体内導入システム。
【請求項3】
前記位置表示手段は、前記近接位置を示すマーカが形成されたシート状部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の被検体内導入システム。
【請求項4】
前記マーカは、前記被検体の体位毎に異なる形状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の被検体内導入システム。
【請求項5】
前記位置表示手段は、前記近接位置に近接させる前記磁場発生手段を選択する情報を前記近接位置に対応して示し、
前記磁場発生手段は、前記情報をもとに複数の永久磁石の中から選択された永久磁石であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の被検体内導入システム。
【請求項6】
前記位置表示手段は、前記近接位置に近接させる前記磁場発生手段の磁場強度を決定する情報を記録した情報記録媒体を前記近接位置毎に備え、
前記磁場発生手段は、
前記被検体内導入装置に対して前記磁場を発生する電磁石と、
前記情報記録媒体に記録された情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた前記情報をもとに前記電磁石の磁場強度を制御する磁場制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の被検体内導入システム。
【請求項7】
前記被検体内導入装置によって送信された前記無線信号を受信するアンテナを有し、該アンテナを介して受信した前記無線信号をもとに前記被検体内の画像を表示する画像表示装置を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の被検体内導入システム。
【請求項8】
前記アンテナは、複数であり、複数の前記近接位置に対応して前記位置表示手段にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項7に記載の被検体内導入システム。
【請求項9】
前記画像表示装置は、
前記被検体内の画像の中から指定される所望の指定位置情報を入力する入力手段と、
前記被検体内導入装置の位置および姿勢と前記位置表示手段の面位置とを検出し、前記被検体内導入装置と前記位置表示手段との位置関係を検出する検出手段と、
前記指定位置情報と前記位置関係とをもとに、複数の前記近接位置の中から前記指定位置情報に対応する近接位置を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された近接位置を示す特定位置表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7または8に記載の被検体内導入システム。
【請求項10】
前記特定位置表示手段は、前記位置表示手段に対して前記近接位置毎に設けられ、前記特定手段によって特定された近接位置を所定の可視光によって示す発光手段であることを特徴とする請求項9に記載の被検体内導入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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