説明

被災光ケーブルの災害復旧方法及び災害復旧用光ケーブル配線構成

【課題】復旧対象区間が道路を横断する場合でも速やかかつ容易に復旧作業が行える被災光ケーブル配線の復旧工事方法及び道路上の配置した災害復旧用光ケーブルを用い長時間設置しても光回線の開通が行える災害復旧用光ケーブル配線構成を提供する。
【解決手段】本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、復旧対象中継点4、5の近傍に設置され、復旧光ケーブル配線2をコネクタ接続する接続箱6、7と、一端10A、11Aが一側1Aの接続箱6の他端6B内にてコネクタ接続され、他側1Bに横断方向に引き回され、他端10Bが接続箱7の他端7Bにワンタッチ接続されてもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置される又は更に一側1Aに横断方向に引き回され、他端11Bが一側1Aの接続箱7の他端7Bにワンタッチ接続されてもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置される耐側圧災害復旧用光ケーブル配線10、11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時に断線等の被災をした被災光ケーブルの災害復旧方法及び災害復旧用光ケーブル配線構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信の分野においては、高速・大容量伝送が可能な光ファイバの普及が要求されており、これに伴い光ファイバによる通信網を構成する光ファイバケーブル(以下、光ケーブルと略称する。)の災害等による故障の際の復旧を早急に行うことも要求されており、特に小規模の範囲の地域毎においても故障した光ケーブルを早急に復旧できる災害復旧方法が要求されている。
【0003】
通常、光ファイバ回線の提供元である局舎等の供給側からの光ケーブルは、一般道路の側方に配置される電柱等の中継点によって中継され、各設備へと提供されるようになっている。このように中継される光ケーブルは、地震、台風、火災又は土砂崩れ等の災害による断線等により故障が発生することがある。
【0004】
この故障した光ケーブル(以下、被災光ケーブルと称する。)を早急に復旧するためには、大規模通信会社から中小規模通信会社の順に復旧する等の優先順位に依らないこと、災害復旧用の光ケーブルを路上に放置したままでも回線開通できること、そして復旧する新しい光ケーブル配線に用いる配線部品が小型・軽量で運搬や設置が容易であること等が要求される。
【0005】
更に災害復旧に用いる新しい光ケーブルや配線部品の備蓄に多くの投資を必要としない災害復旧方法が求められている。
【0006】
上記のような被災光ケーブルの復旧方法として、例えば、既設の光ケーブルに取付け可能なクロージャー本体と、このクロージャー本体内に配設され両端部が開放された未接続の光ファイバ芯線と、上記クロージャー本体内に配設され上記未接続の光ファイバ芯線を収納する芯線収納トレイとを備える光ケーブル復旧作業用クロージャーを用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
この光ケーブル復旧作業用クロージャーによれば、クロージャー本体を障害が発生した光ケーブルに取付け、この光ケーブルにおける復旧対象の光ファイバ芯線同士を未接続の光ファイバ芯線を介して接続することで、広範囲にわたる復旧作業が必要なくなり、被災光ケーブルの復旧作業を迅速に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−103820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の方法は、復旧作業用クロージャーのクロージャー本体内で被災光ケーブルの復旧作業をするものであるので、例えば被災光ケーブルの復旧作業を要する復旧対象区間が一般道路の幅を超えるような長距離である場合には一度に対応できず、復旧作業時間を多く要するために速やかに復旧作業を行えない問題がある。
【0010】
本発明の目的は、被災光ケーブルの復旧作業を要する復旧対象区間が一般道路の幅を超える場合であっても速やかかつ容易に被災光ケーブルの復旧作業が行える被災光ケーブルの災害復旧方法を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、また、被災光ケーブルの復旧作業を要する復旧対象区間が一般道路の幅を超える場合に道路上に光ファイバ配線を長時間設置しても光回線の開通を行うことができる災害復旧用光ケーブル配線構成を提供することにある。
【0012】
本発明の目的は、更に、災害によって被災光ケーブルの多くの種類に対応でき、芯数毎や種類毎に光ケーブルや配線物品の備蓄を要さず多くの投資を必要としない経済的な被災光ケーブルの災害復旧方法及び災害復旧用光ケーブル配線構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の被災光ケーブルの災害復旧方法は、所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも二つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧方法であって、前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルを取り外す工程と、前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に接続箱を閉じた状態でコネクタ接続可能な接続箱を少なくとも一つ設置する工程と、前記被災光ケーブルが取り外された供給側からの光ケーブルの一端を少なくとも一つの前記接続箱の一端の内部でそれぞれ接続する工程と、前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端に少なくとも一つの耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端をコネクタ接続し、該接続箱の他端に接続された災害復旧用光ケーブルを道路の他側に横断方向に引き回し、該他側に引き回した災害復旧用光ケーブルの他端を道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する又は該他側に引き回した災害復旧用光ケーブルを前記道路の一側に横断方向に引き回し、該道路の一側に引き回した災害復旧用光ケーブルの他端を道路の一側の第二の前記接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する工程とからなることを特徴としている。
【0014】
本発明の被災光ケーブルの災害復旧方法は、また、所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも二つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧方法であって、前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルを取り外す工程と、前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に接続箱を閉じた状態でコネクタ接続可能な接続箱を少なくとも一つ設置する工程と、前記被災光ケーブルが取り外された供給側からの光ケーブルの一端を少なくとも一つの前記接続箱の一端の内部でそれぞれ接続する工程と、前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端に少なくとも一つの第一の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端をコネクタ接続し、該接続箱の他端に接続された第一の災害復旧用光ケーブルを道路の他側に横断方向に引き回し、該他側に引き回した第一の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の側方に配置される中継用接続箱の防水コネクタ対の一側にコネクタ接続し、前記中継用接続箱の防水コネクタ対の他側に少なくとも一つの第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端をコネクタ接続し、第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する又は前記中継用接続箱に接続された第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルを前記道路の一側に横断方向に引き回し、該道路の一側に引き回した第二の耐圧製の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の一側の第二の前記接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する工程とからなることを特徴としている。
【0015】
本発明の被災光ケーブルの災害復旧方法は、また、前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に設置した複数の接続箱間は光ファイバ心線を通すパイプで連結し、該パイプに連結した一方の接続箱内の光ファイバ心線は前記パイプ内を通して他の接続箱内へ配線することを特徴としている。
【0016】
本発明の災害復旧用光ケーブル配線構成は、所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも2つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧工事によって構成される災害復旧工事用光ケーブル構成であって、前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された復旧対象中継点間の中継点の近傍にそれぞれ設置され、接続箱の一端の内部で前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された前記供給側からの光ケーブルの一端が接続され、該接続箱の他端にコネクタ接続する防水コネクタが設けられる少なくとも一つの接続箱と、前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、災害復旧用光ケーブルの一端が道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端の防水コネクタに接続され、道路の他側に横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブルの他端が道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される又は道路の一側に横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブルの他端が道路の一側の第二の前記接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される少なくとも一つの耐側圧製の災害復旧用光ケーブルとからなることを特徴としている。
【0017】
本発明の災害復旧用光ケーブル配線構成は、また、所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも2つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧工事によって構成される災害復旧工事用光ケーブル構成であって、前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された復旧対象中継点間の中継点の近傍にそれぞれ設置され、接続箱の一端の内部で前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された前記供給側からの光ケーブルの一端が接続され、該接続箱の他端にコネクタ接続する防水コネクタが設けられる少なくとも一つの接続箱と、道路の側方に配置され、第一の災害用復旧光ケーブルの一端がコネクタ接続される防水コネクタと、第二の災害用復旧光ケーブルの一端がコネクタ接続される防水コネクタとが設けられ、前記各防水コネクタはそれぞれ対となって光学的に接続される防水コネクタ対が接続箱の一端に設けられる少なくとも一つの中継用接続箱と、前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、災害復旧用光ケーブルの一端が道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端の防水コネクタに接続され、道路の他側に横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブルの他端が前記中継用接続箱の防水コネクタ対の一側に接続されてもって道路上に配置される少なくとも一つの第一の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルと、災害復旧用光ケーブルの一端が前記中継用接続箱の防水コネクタ対の他側に接続され、前記災害復旧用光ケーブルの他端が道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される又は前記中継用接続箱に接続された災害復旧用光ケーブルが道路の一側に横断方向に引き回され、該災害復旧用光ケーブルの他端が道路の一側の第二の前記接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される少なくとも一つの第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルとからなることを特徴としている。
【0018】
本発明の災害復旧用光ケーブル配線構成は、また、前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に設置した複数の接続箱間は光ファイバ心線を通すパイプで連結し、該パイプに連結した一方の接続箱内の光ファイバ心線は前記パイプ内を通して他の接続箱内へ配線することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の被災光ケーブルの復旧工事方法は、上述の工程からなるので、ワンタッチ接続箱及び耐側圧の災害復旧用光ケーブルを用いて道路を横断しての被災光ケーブルの復旧を速やかに行うことにより、被災光ケーブルの復旧作業を要する復旧対象区間が一般道路の幅を超える場合であっても速やかかつ容易に被災光ケーブルの復旧作業が行えて、しかも道路を横断して災害復旧用光ケーブルを配置することができる被災光ケーブルの災害復旧方法を提供することができる。
【0020】
耐側圧の災害復旧用光ケーブルを用いて道路を横断して光ケーブルの配線を行うことにより、被災光ケーブルの復旧作業を要する復旧対象区間が一般道路の幅を超える場合に道路上に光ファイバ配線を長時間設置して災害復旧用光ケーブルによる光ファイバ通信を行うことができる災害復旧用光ケーブル配線構成を提供することができる。
【0021】
本発明の被災光ケーブルの災害復旧方法及び災害復旧用光ケーブル配線構成は、上述のように構成したので、接続箱が複数のコネクタを有してこの接続箱内に種々の芯線の光ファイバを配線することができて、災害によって被災した光ケーブルの多くの種類に対応でき、芯数毎や種類毎に光ケーブルや配線物品の備蓄を要さず多くの投資を必要としない経済的な被災光ケーブルの災害復旧方法及び災害復旧用光ケーブル配線構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例である災害復旧用光ケーブル配線構成を示す概略図である。
【図2】図1の災害復旧用光ケーブル配線構成で用いる接続箱の構成を説明する概略図である。
【図3】図1の災害復旧用光ケーブル配線構成で用いる接続箱の別の構成の例を説明する概略図である。
【図4】図1の災害復旧用光ケーブル配線構成で用いる耐側圧製の災害復旧用光ケーブル配線の構成を説明する概略図である。
【図5】図1の災害復旧用光ケーブル配線構成の別の適用例で用いる中継用接続箱の構成を説明する概略図である。
【図6】本発明の実施例である被災光ケーブル配線の復旧方法について、各工程をブロック図で示して説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0024】
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成について、以下図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施例である災害復旧用光ケーブル配線構成100を示す概略図である。本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、所定幅Bの道路1の一側1A又は他側1Bに所定の間隔Dを置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブル2が中継される中継点3において、少なくとも2つの復旧対象中継点4、5間内の被災光ケーブル(図示せず)の復旧工事によって構成される。
【0025】
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、また、接続箱6、7又は16を備えている。この接続箱6、7、16は上記復旧対象中継点4、5間内の図示しない被災光ケーブルが取り外された復旧対象中継点間内の中継点4、5又は40の近傍にそれぞれ設置される。
【0026】
また、これら接続箱6、7、16の一端6A、7A、16Aに、少なくとも一つの上記図示しない被災光ケーブルが取り外された上記供給側からの光ケーブル2を接続箱の内部で接続する。また、接続箱6、7、16の他端6B、7B、16Bに、後述する災害復旧用光ケーブルをそれぞれコネクタ接続する防水コネクタ21が複数個設けられる。
【0027】
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、また、上記復旧対象中継点4、5が道路1の側方1A、1Bに2つ配設されている場合に、災害復旧用光ケーブルの一端10A、11A又は14Aが道路の一側1Aの上記第一の光ケーブル2の一端8が接続された接続箱6の他端6Bにコネクタ接続され、道路の他側1Bに横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブルの他端10B、11B又は14Bが道路の他側1Bの第二の上記光ケーブル2の一端9が接続された接続箱7又は16の他端7B、16Bにコネクタ接続される又は道路の一側1Aに横断方向に引き回され、他端10A、11Bが道路の一側1Aの第二の接続箱7の他端7Bにコネクタ接続される少なくとも一つの耐側圧の災害復旧用光ケーブル10又は11とを備える。
【0028】
以下、上記光ケーブルが取り外された供給側からの光ケーブル2を復旧光ケーブル2と略称する。
【0029】
なお、上記の第二の道路の一側1Aに横断方向に引き回された災害復旧用光ケーブル11の一端11Bがワンタッチ接続された第二の接続箱7のもう一端7Bには、図示しない供給用光ファイバケーブルの一端が接続されて、一般家庭や設備等の供給先30へと光ファイバ回線が供給されるようになっている。
【0030】
また、被災光ケーブルの復旧作業の際は、通常、復旧対象中継点4、5間に道路1の横断方向に倒壊した電柱等の中継点40があり、復旧対象中継点4、5間の道路上はこの倒壊した中継点40によって妨げられている。なお、上記の中継点40の倒壊時には、この中継点40に中継されていた光ケーブルは断線する等の故障が生じてしまうことがある。
【0031】
この中継点40が倒壊した際、従来の被災光ケーブルの復旧作業方法又は災害復旧用光ケーブル配線構成は、中継点40の撤去時までは復旧対象中継点4、5間の被災光ケーブルの復旧ができないでいた。
【0032】
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成及び被災光ケーブル災害復旧方法は、上記の対策として適用できるものであって、以下災害復旧用光ケーブル配線構成100について詳述する。
【0033】
道路1は、一般道路であり、道路1の幅Bは道路の敷設条件により所定の値となるので道路幅Bは予め把握可能である。従って、後述するように、復旧対象中継点4、5間内の道路を横断する交換用の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの長さは、予め一定の値に設定しておき、備蓄する光ケーブルの種類を少なくすることができる。
【0034】
予め設定した芯線数を超える場合、即ち一つの接続箱内に収容できない芯線数の被災光ケーブルがあった場合、後述するように複数の接続箱を使用してそれぞれを直列につないで2本の光ケーブルを連結させることで、被災光ケーブルの芯線数に基づいて必要となる複数種類の接続箱を備蓄することも無く、多様な復旧対象の光ケーブルの設置状況にも速やかに対応することができる。
【0035】
供給側から提供される少なくとも一つの光ケーブル2には、図示しない光ファイバ回線が内包されている。この光ファイバ回線は、石英ガラス又はプラスチック等の光に対して透過率が高い材料からなるコアとクラッドからなる光ファイバとから構成される。
【0036】
また、この光ケーブル2は、この光ファイバの表面を覆うシリコーン樹脂からなる被覆材及びこの被覆材を覆うナイロン繊維からなる被覆材と、これら被覆材に保護用のシースと呼ばれる被覆材を被覆して構成される。
【0037】
上記のような被覆材は、外部からの強い圧力には耐え得る構造ではないが、道路を横断して配置する本実施例で用いる耐側圧災害復旧用光ケーブルの被覆は、後述するように、外部からの圧力に対して強い耐側圧の素材を用いており、これにより被覆される光ファイバ回線を外部からの圧力から充分に保護するように構成されている。
【0038】
光ファイバ回線の供給側20である局舎は、光ファイバを提供する地域ごとに所定の数設けられており、各々が光ケーブルを用いて中継点3を介して各設備や家庭に光ファイバ回線を供給するようになっている。
【0039】
中継点3は、例えば電力を供給する電柱が該当し、この電柱に光ケーブルが地面から所定の高さを置いて取り付けられて隣接する電柱へと中継される。このようにして、光ケーブルは各電柱によって添架される。ここで、各電柱間の距離Dは、所定の間隔を置かれるようになっており、通常は約30メートルとされる。
【0040】
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、また、上記復旧対象中継点4、5間の復旧光ケーブル2の一端8と、後述する耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端9とを接続可能な接続箱6、7が、復旧対象中継点4、5の近傍にそれぞれ設置される。これら接続箱6、7は同様の構成であり、この構成について以下接続箱6を例にとって詳述する。
【0041】
図2は、図1の本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100で用いる接続箱6の構成を説明する概略図である。この接続箱6は、端部6Bに設けられる防水コネクタ21と、内部に設けられる中間接続用の光ファイバ芯線22と、この光ファイバ芯線22を複数本収納可能な芯線収納トレイ23とからなる。
【0042】
また、この接続箱6は、プラスチック等の合成樹脂製の上箱25と下箱26の2つに分かれて形成されており、これらの上箱25と下箱26との間でヒンジ等の連結部材を介して開閉可能に連結されている。
【0043】
本実施例においては、上記の復旧光ケーブル2は、接続箱6の上箱25を開き、復旧光ケーブル2の被覆2Aを剥いで露出された光ファイバ芯線2Bと、内部の中間接続用の光ファイバ芯線22の一端22Aとを融着することによって光学的に接続される。
【0044】
また、中間接続用の光ファイバ芯線22の一端22Bは、防水コネクタ21に接続されている。これにより、中間接続用の光ファイバ芯線22と後述する災害復旧用光ケーブル10は、この防水コネクタ21を介して光学的に接続される。
【0045】
防水コネクタ21は、後述の耐側圧災害復旧用光ケーブルをコネクタで接続又は取り外し可能になっており、これにより接続箱6への災害復旧用光ケーブルの接続を容易にすることができる。
【0046】
また、この防水コネクタ21は、接続箱6の端部6Aに複数個設けられており、複数本の上記災害復旧用光ケーブル10を接続することができるため、必要な芯数分の災害復旧用の光ケーブルをフレキシブルに接続することが可能であり、一種類の接続箱で多様な芯数に対応できる。
【0047】
本実施例においては、この接続箱6の一端6Aの防水コネクタ21に上記の復旧光ケーブル2の一端8を内部で接続し、接続箱6の他端6Bのワンタッチコネクタ21に後述する災害復旧用光ケーブル10の一端10Aを接続する。
【0048】
また、この防水コネクタ21により、接続箱6を開けることなく閉じた状態で上記災害復旧用光ケーブル10をそれぞれ接続することができる。また、この防水コネクタ21は、その先端に防水部品24が設けられており、防水コネクタ21と接続した災害復旧用光ケーブル10との間に水分が浸入することを防ぐことができる。
【0049】
また、接続箱6の内部の芯線収納トレイ23は、板状であり、内部に複数本の中間接続用の光ファイバ22を収納できる所定の板厚が形成されている。また、この芯線収納トレイ23は上下に複数個積層されている。
【0050】
これら芯線収納トレイ23の内部に収納される中間接続用の光ファイバ22は、巻回されて収納されており、芯線収納トレイ23の板厚に応じて複数回巻回されて収納される。これにより、芯線収納トレイ23は小型化可能とされている。
【0051】
上記の構成により、接続箱6は小型且つ軽量であり、携帯性に優れているので、災害時等に発生する被災光ケーブルの復旧作業に速やかに携帯して用いることができて被災光ケーブルの復旧作業で用いるのに適している。
【0052】
また、接続箱6は、一の外面に光ケーブルに添架可能な図示しない添架部材を取り付けることが可能になっている。これにより、例えば図1に記載される一部の電柱等の中継点3に中継される光ケーブル2に、添架部材を介して接続箱6を添架することによって、この中継点3を起点として適宜被災光ケーブルの復旧作業が行えるようになっている。
【0053】
図3は、図1の災害復旧用光ケーブル配線構成で用いる接続箱の別の構成の例を説明する概略図である。接続箱6は、図3に示す如く光ケーブル内の光ファイバの本数が多くても対応可能である。例えば光ケーブル内の光ファイバの本数が96本(96芯)のものでも接続可能であり、復旧作業に用いることができる。
【0054】
この場合は例えば、復旧対象中継点4、5近傍に設置した接続箱にそれぞれ一つずつ接続箱27、28を増設して設置し、これら接続箱6、27間又は接続箱7、28間を内部に光ファイバ心線を通すパイプ29でそれぞれ連結し、パイプ29に連結した一方の接続箱6又は7内の光ファイバ心線は前記パイプ内を通して他の接続箱27又は28内へ配線する。
【0055】
この際、増設した接続箱27、28同士は、接続箱6、7と同様に防水コネクタ21を有するので、接続箱27と28は被災復旧用光ケーブル15にて光学的に接続可能である。
【0056】
本実施例の災害復旧用配線構成によれば、接続箱6、7に接続箱27、28を増設することで、例えば被災光ケーブルが96芯以上の芯数が多い構成であっても、増設した接続箱に光ファイバを備蓄させておくことで、速やかに復旧作業に対応可能となる。
【0057】
また、上記接続箱6、7、27、28は、それぞれ上記防水コネクタ21を複数個備えていたり、パイプを介して複数の接続箱を直列接続できたりするので、さらに多くの芯数構成の被災光ケーブルにも対応でき、復旧現場にて接続箱毎に作業員による作業分担をすることができるので、より速やかに復旧作業を行うことができる。
【0058】
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、また、復旧対象中継点4、5が道路1の側方1A、1Bに2つ配設されている場合に、道路の一側1Aの上記の第一の復旧光ケーブル2の一端8が接続された接続箱6の他端6Bに災害復旧用光ケーブル10、11又は14がコネクタ接続される。これら災害復旧用光ケーブル10、11、14は同様の構成であり、この構成について災害復旧用光ケーブル10を例にとって以下詳述する。
【0059】
図4は、図1の本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100で用いる災害復旧用光ケーブル10の構成を説明する概略図である。この災害復旧用光ケーブル10は、コア及びクラッドからなる光ファイバ素線31を被覆材32、33で被覆した光ファイバ芯線34の両端に抗張力部材35がそれぞれ配置され、これら光ファイバ芯線34と抗張力部材とを外皮材31によって被覆されて構成されている。
【0060】
この抗張力部材35としては、鋼線等の抗張力材料が用いられる。この抗張力部材35を光ファイバ芯線34の両端に配置することにより、抗張力部材35が外部側方からの側圧から光ファイバ芯線34を保護するようになっている。
【0061】
災害復旧用光ケーブル10は、また、両端10A、10Bには図示しない防水型ワンタッチコネクタを備えており、上記の接続箱6の他端6Bへと防水コネクタ21を介して容易にコネクタ接続することができる。また、接続した災害復旧用光ケーブル10と接続箱6の他端6B間に水分が浸入することを防止することができる。
【0062】
以上の構成である災害復旧用光ケーブル10は、軽量であって携帯性に優れているので、災害時等に発生する被災光ケーブルの復旧作業に速やかに携帯して用いることができて被災光ケーブルの復旧作業で用いるのに適している。
【0063】
上記の接続箱6に接続された災害復旧用光ケーブル10は、道路1の他側1Bに横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブル10の他端10Bが道路の他側1Bの第二の上記光ケーブル2の一端9が接続された接続箱7又は16の他端7B又は16Bに上述した接続箱6と同様にワンタッチ接続されるようになっている。
【0064】
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、又は、上記の接続箱6に接続された災害復旧用光ケーブル11は、道路1の他側1Bに横断方向に引き回され、更に道路の一側1Aに横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブル11の他端11Bが道路の一側1Aの第二の接続箱7の他端7Bに上述した接続箱6と同様にワンタッチ接続される。この場合は、接続箱7の一端7Aは、一般家庭や設備等の供給先30へと光ファイバ回線を供給する光ファイバ回線が接続されるようになっている。
【0065】
従って、本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100で用いられる災害復旧用光ケーブル10、11、14は、それぞれ道路1上を横断方向に横断して配置されることになる。
【0066】
ここで、道路1の横断方向とは、道路の交差点の横断歩道の横断方向を指し、道路1の幅B方向(即ち、道路の進行方向に対して90度)又は交差点の対角線上にある斜め方向(即ち、道路の進行方向に対して45度)を指すが、必ずしも道路1の進行方向に対して90度又は45度の角度をなす必要はなく、本実施例の災害復旧用光ケーブル10を引き回す横断方向は、復旧作業対象の中継点の設置状況によって、適宜道路1の進行方向に対して90度又は45度以外の角度を適宜選択できる。
【0067】
また、上記の道路1の他側1Bに引き回した災害復旧用光ケーブル10は、図1に示すように、道路1の側方1Bに沿って配置することで、道路1上を走行する車両による押圧を避けられる範囲で災害復旧用光ケーブル10の長さを短くできるが、道路1の側方1Bに沿らせずに配置しても良い。
【0068】
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、また、上述の災害復旧用光ケーブル10、11の一端10A、11Aを2つとも接続箱6に接続し、災害復旧用光ケーブル10、11の他端10B、11Bをそれぞれ接続箱7に接続して構成しても良い。
【0069】
また、災害復旧用光ケーブル10の一端10Aを接続箱6に接続し、災害復旧用光ケーブル10の他端10Bを接続箱16に、あるいは災害復旧用光ケーブル14の一端14Aを接続箱6に接続し、災害復旧用光ケーブル14の他端14Bを接続箱7に接続してもよく、ケーブル配線の組み合わせは多様に対応できる。
【0070】
この構成によれば、復旧対象中継点4、5間の光ケーブル配線の復旧と一般設備への供給側への光ケーブル配線の復旧の両方が、いずれも道路1上を災害復旧用光ケーブル10、11又は14が横断した状態で可能となる。
【0071】
図5は、図1の災害復旧用光ケーブル配線構成の別の適用例で用いる中継用接続箱の構成を説明する概略図である。本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成100は、又は、設置された接続箱6、7間即ち復旧対象中継点間4、5は、災害復旧用光ケーブルを分けて中継用接続箱19を介して接続するようにしても良い。以上の光ケーブル配線構成について以下詳述する。
【0072】
第一の災害復旧用光ケーブル17の一端17Aは、道路の一側の被災光ケーブル2の一端8が接続されている接続箱6の他端6Aの防水コネクタ21にコネクタ接続される。また、第二の災害復旧用光ケーブル18の一端18Aは、道路の他側の被災光ケーブル2の一端8が接続されている接続箱7の他端7Aの防水コネクタ21にコネクタ接続される。そして、これら災害復旧用光ケーブル17、18の他端17B、18Bは中継用接続箱19の防水コネクタ対の一側19又Aは他側19Bにそれぞれ接続され、これにより災害復旧用光ケーブル17、18が光学的に接続されて災害復旧用光ケーブル17、18間の光通信が中継される。
【0073】
この防水コネクタ対19A、19Bは、中継用接続箱19の一端に複数対(例えば、八条ある防水コネクタのうち二条を一対として四対)設けられており、これら防水コネクタ対19A、19Bは中継用接続箱19の内部で端部が図示しない両端コネクタを有する芯線の接続によってそれぞれが光学的に接続される構成となっている。
【0074】
なお、中継用接続箱19は、接続箱6、7と同じものであり、接続箱6、7と同じものを内部の防水コネクタ部の配線構成を現地で変更することで使用することができるため、備蓄する光ケーブルの長さを一定長にできたり、複数種類の接続箱を備蓄する必要が無く、経済性に優れた速やかな復旧対応が可能である。
【0075】
ここで、各災害復旧用光ケーブル17、18は上述の災害復旧用光ケーブル10、11と同様の構成であり、耐側圧に構成されている。
【0076】
以上のように構成することで、災害復旧区間が例えば100m以上のように長い区間である場合でも、中継用接続箱19を区間内に介在させることによって、災害復旧用光ケーブルを延長して接続することができるので、災害時の復旧対象区間内の長さにかかわらず、災害復旧用光ケーブルを複数本組み合わせることによって容易に災害復旧用光ケーブルを配線することができる。
【0077】
また、家庭供給側30に災害復旧用光ケーブル11を引き回す場合に、災害復旧用光ケーブル11を複数に分けてこの光ケーブル間を上記の中継用接続箱19を介して接続することもできる。
【0078】
また、上述の接続箱6又は7の各防水コネクタ21のうち二つを一対として相互を光学的に接続して、中継用接続箱19として用いても良い。この際、例えば接続箱6又は7の防水コネクタが八条ある場合は、四対の防水コネクタ対が構成される。
【0079】
このようにすることで同様の構成の接続箱を接続箱6、7や中継用接続箱19として用いることができるので、災害復旧対象区間内の災害復旧光ケーブルの配線を経済的かつ速やかに行うことができる。
本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成は、上述の構成であるので、耐側圧の災害復旧用光ケーブルを用いて道路を横断して光ケーブルの配線を行うことにより、被災光ケーブルの復旧作業を要する復旧対象区間が一般道路の幅を超える場合に道路上に光ファイバ配線を長時間設置して災害復旧用光ケーブルによる光ファイバ通信を行うことができる災害復旧用光ケーブル配線構成を提供することができる。
【0080】
次に、本実施例の被災光ケーブルの災害復旧方法について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施例である被災光ケーブルの災害復旧方法について、各工程をブロック図で示して説明する図である。
【0081】
また、本実施例の被災光ケーブルの災害復旧方法では、上述の図1を用いて説明した災害復旧用光ケーブル配線構成の実施例を用いて説明するが、例えば図4の接続箱の構成や図5に示す中継用接続箱を用いた場合でも同様であり、後述する実施例の効果と同様の効果を奏することができる。
【0082】
本実施例の被災光ケーブルの災害復旧方法は、所定幅Bの道路の一側1A又は他側1Bに所定の間隔Dを置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブル2が中継される中継点3における少なくとも二つの復旧対象中継点4、5間内の光ケーブルの災害復旧方法である。
【0083】
本実施例の被災光ケーブルの災害復旧方法は、また、上記復旧対象中継点4、5間内の図示しない光ケーブルを取り外す工程S1と、上記光ケーブルを取り外した復旧対象中継点4、5の近傍にそれぞれコネクタ接続可能な接続箱6、7を設置する工程S2と、上記光ケーブルが取り外された供給側からの光ケーブル2の一端8、9を少なくとも一つの上記接続箱6又は7の一端6A又は7Aにそれぞれ接続する工程S3とを備えている。
【0084】
本実施例の被災光ケーブルの災害復旧方法は、また、復旧対象中継点4、5が上記道路1の側方1A、1Bに2つ配設されている場合に、道路1の一側1Aの第一の上記光ケーブルの一端8が接続された接続箱6の他端6Aに少なくとも一つの耐側圧の災害復旧用光ケーブル10、11又は14の一端10A、11A、又は14Aをコネクタ接続し、この接続箱6の他端6Bに接続された災害復旧用光ケーブル10又は14を道路1の他側1Bに横断方向に引き回し、他側2に引き回した耐側圧の災害復旧用光ケーブル10又は14の他端10B又は14Bを道路1の他側1Bの第二の上記光ケーブル2の一端9が接続された接続箱7の他端7B又は接続箱16の他端16Bにコネクタ接続する又はこの他側1Bに引き回した耐側圧の災害復旧用光ケーブル11を上記道路1の一側1Aに横断方向に引き回し、この道路1の一側1Aに引き回した災害復旧用光ケーブル11の他端11Bを道路1の一側1Aの第二の上記接続箱7の他端7Bにコネクタ接続する工程S4´とからなる。以上の本実施例の被災光ケーブルの災害復旧方法について、以下接続箱は6と7を設置する場合について工程毎に詳述する。
【0085】
第一の工程S1は、復旧対象中継点4、5間内の図示しない光ケーブルを取り外す工程S1である。この工程S1では、中継点40の倒壊によって故障した復旧対象中継点4、5間内の図示しない光ケーブルの取り外しを行う。
【0086】
第二の工程S2は、光ケーブルを取り外した復旧対象中継点4、5の近傍にそれぞれコネクタ接続可能な接続箱6、7を設置する工程S2である。この工程S2では、復旧対象中継点4、5の近傍に接続箱6、7をそれぞれ設置する。
【0087】
この際、接続箱6、7を復旧対象中継点4、5の近傍に配置することで、取り外した復旧光ケーブル2の端部側の配線長さを短くすることができ、復旧光ケーブル2の接続箱6、7への接続が煩雑にならずに容易に行うことができる。
【0088】
第三の工程S3は、復旧光ケーブル2の一端8、9を接続箱6、7の一端6A、7Aにそれぞれ接続する工程S3である。この工程S3は、上述した接続箱6、7の構成により、復旧光ケーブル2の一端8、9を。接続箱6、7内の中間接続用の光ファイバ芯線34の一端に融着することにより容易に接続することができる。
【0089】
第四の工程は、以下説明する工程S4又はS4´からなっている。まず、工程S4は、復旧対象中継点4、5が上記道路1の側方1A、1Bに2つ配設されている場合に、道路1の一側1Aの第一の上記光ケーブルの一端8が接続された接続箱6の他端6Aに少なくとも一つの耐側圧の災害復旧用光ケーブル10の一端10Aをワンタッチ接続する。次に、この接続箱6の他端6Bに接続された災害復旧用光ケーブル10を道路1の他側1Bに横断方向に引き回す。次に、他側2に引き回した耐側圧の災害復旧用光ケーブル10の他端10Bを道路1の他側1Bの第二の上記光ケーブル2の一端9が接続された接続箱7の他端7Bにワンタッチ接続する。
【0090】
また、工程S4´は、復旧対象中継点4、5が上記道路1の側方1A、1Bに2つ配設されている場合に、道路1の一側1Aの第一の上記光ケーブルの一端8が接続された接続箱6の他端6Aに少なくとも一つの耐側圧製の災害復旧用光ケーブル11の一端11Aをコネクタ接続する。次に、この接続箱6の他端6Bに接続された災害復旧用光ケーブル11を道路1の他側1Bに横断方向に引き回す。そして、更に、この他側1Bに引き回した災害復旧用光ケーブル11を上記道路1の一側1Aに横断方向に引き回し、この道路1の一側1Aに引き回した災害復旧用光ケーブル11の他端11Bを道路1の一側1Aの第二の上記接続箱7の他端7Bにコネクタ接続する。
【0091】
このように、工程S4、S4´では、上述の実施例で説明した接続箱を閉じた状態でコネクタ接続可能な接続箱6、7及び軽量な災害復旧用光ケーブル10、11を用いるため、それぞれを容易に接続でき、また災害復旧用光ケーブルを容易に道路を横断して引き回すことができるので、復旧対象中継点4、5間の道路を横断しての被災光ケーブルの復旧作業を容易に行うことができる。
【0092】
本実施例の復旧工事方法は、また、各工程の順序は図6に示す如く、S1→S2→S3→S4の順序としても良いし、S1→S2→S3→S4´の順序としても良いし、また、S1→S2→S3→S4→S4´又はS1→S2→S3→S4´→S4の順序としても良い。
【0093】
本実施例の復旧工事方法は、上述の工程からなるので、接続箱及び耐側圧製の災害復旧用光ケーブルを用いて道路を横断しての光ケーブル配線の復旧を速やかに行うことにより、被災光ケーブルの復旧作業を要する復旧対象区間が一般道路の幅を超える場合であっても速やかかつ容易に被災光ケーブルの復旧作業が行えて、しかも道路を横断して災害復旧用光ケーブルを配置することができる光ケーブルの災害復旧方法を提供することができる。
【0094】
本実施例の復旧工事方法及び復旧光ケーブル配線構成によれば、接続箱が複数のコネクタを有してこの接続箱内に種々の芯線の光ファイバを配線することができて、災害によって被災した光ケーブルの多くの種類に対応でき、芯数毎や種類毎に光ケーブルや配線物品の備蓄を要さず多くの投資を必要としない経済的な被災光ケーブルの災害復旧方法及び災害復旧用光ケーブル配線構成を提供することができる。
【0095】
また、本実施例では上述のように、所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも二つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧方法であって、前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルを取り外す工程と、前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に接続箱を閉じた状態でコネクタ接続可能な接続箱を少なくとも一つ設置する工程と、前記被災光ケーブルが取り外された供給側からの光ケーブルの一端を少なくとも一つの前記接続箱の一端の内部でそれぞれ接続する工程と、前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端に少なくとも一つの第一の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端をコネクタ接続し、該接続箱の他端に接続された第一の災害復旧用光ケーブルを道路の他側に横断方向に引き回し、該他側に引き回した第一の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の側方に配置される中継用接続箱の防水コネクタ対の一側にコネクタ接続し、前記中継用接続箱の防水コネクタ対の他側に少なくとも一つの第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端をコネクタ接続し、第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する又は前記中継用接続箱に接続された第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルを前記道路の一側に横断方向に引き回し、該道路の一側に引き回した第二の耐圧製の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の一側の第二の前記接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する工程とからなることを特徴とする被災光ケーブルの災害復旧方法によっても上述の実施例と同様の効果を奏することができる。
【0096】
また、本実施例では上述のように、所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも2つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧工事によって構成される災害復旧工事用光ケーブル構成であって、前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された復旧対象中継点間の中継点の近傍にそれぞれ設置され、接続箱の一端の内部で前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された前記供給側からの光ケーブルの一端が接続され、該接続箱の他端にコネクタ接続する防水コネクタが設けられる少なくとも一つの接続箱と、道路の側方に配置され、第一の災害用復旧光ケーブルの一端がコネクタ接続される防水コネクタと、第二の災害用復旧光ケーブルの一端がコネクタ接続される防水コネクタとが設けられ、前記各防水コネクタはそれぞれ対となって光学的に接続される防水コネクタ対が接続箱の一端に設けられる少なくとも一つの中継用接続箱と、前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、災害復旧用光ケーブルの一端が道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端の防水コネクタに接続され、道路の他側に横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブルの他端が前記中継用接続箱の防水コネクタ対の一側に接続されてもって道路上に配置される少なくとも一つの第一の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルと、災害復旧用光ケーブルの一端が前記中継用接続箱の防水コネクタ対の他側に接続され、前記災害復旧用光ケーブルの他端が道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される又は前記中継用接続箱に接続された災害復旧用光ケーブルが道路の一側に横断方向に引き回され、該災害復旧用光ケーブルの他端が道路の一側の第二の前記接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される少なくとも一つの第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルとからなることを特徴とする災害復旧用光ケーブル配線構成によっても上述の実施例と同様の効果を奏することができる。
【0097】
また、本実施例では、上述の接続箱の他端に接続された災害復旧用光ケーブルを道路の他側に引き回す際、この災害復旧用ケーブルの引き回す方向は道路の略直角横断方向としてもよい。
【0098】
なお、上述の略直角方向とは、道路の進行方向に対して80度から90度の角度をなす方向を指す。この構成であっても上述の実施例の災害復旧用光ケーブル構成と同様の効果を達成することができる。
【0099】
また、本実施例の災害復旧用光ケーブル配線構成について、接続箱、耐側圧災害復旧用光ケーブル等は、上述の実施例の構成に限定されるものではなく、本実施例の効果を奏することができる範囲において、別の構成を適用することもできる。
【符号の説明】
【0100】
B…道路幅、D…中継点間隔、1…道路、1A、1B…道路側方、2…供給側からの光ケーブル、3…中継点、4、5…復旧対象中継点、6、7…接続箱、6A、7A…接続箱の一端、6B、7B…接続箱の他端、8、9…光ケーブルの一端、10、11…耐側圧製の災害復旧用光ケーブル、10A、11A…耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端、10B、11B…耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの他端、20…供給側(局舎)100…災害復旧用光ケーブル配線構成。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも二つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧方法であって、
前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルを取り外す工程と、
前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に接続箱を閉じた状態でコネクタ接続可能な接続箱を少なくとも一つ設置する工程と、
前記被災光ケーブルが取り外された供給側からの光ケーブルの一端を少なくとも一つの前記接続箱の一端の内部でそれぞれ接続する工程と、
前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端に少なくとも一つの耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端をコネクタ接続し、該接続箱の他端に接続された災害復旧用光ケーブルを道路の他側に横断方向に引き回し、該他側に引き回した災害復旧用光ケーブルの他端を道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する又は該他側に引き回した災害復旧用光ケーブルを前記道路の一側に横断方向に引き回し、該道路の一側に引き回した災害復旧用光ケーブルの他端を道路の一側の第二の前記接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する工程と、
からなることを特徴とする被災光ケーブルの災害復旧方法。
【請求項2】
所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも二つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧方法であって、
前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルを取り外す工程と、
前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に接続箱を閉じた状態でコネクタ接続可能な接続箱を少なくとも一つ設置する工程と、
前記被災光ケーブルが取り外された供給側からの光ケーブルの一端を少なくとも一つの前記接続箱の一端の内部でそれぞれ接続する工程と、
前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端に少なくとも一つの第一の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端をコネクタ接続し、該接続箱の他端に接続された第一の災害復旧用光ケーブルを道路の他側に横断方向に引き回し、該他側に引き回した第一の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の側方に配置される中継用接続箱の防水コネクタ対の一側にコネクタ接続し、前記中継用接続箱の防水コネクタ対の他側に少なくとも一つの第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの一端をコネクタ接続し、第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する又は前記中継用接続箱に接続された第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルを前記道路の一側に横断方向に引き回し、該道路の一側に引き回した第二の耐圧製の災害復旧用光ケーブルの他端を道路の一側の第二の前記接続箱の他端にコネクタ接続してもって該災害復旧用光ケーブルを道路上に配置する工程と、
からなることを特徴とする被災光ケーブルの災害復旧方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に設置した複数の接続箱間は光ファイバ心線を通すパイプで連結し、該パイプに連結した一方の接続箱内の光ファイバ心線は前記パイプ内を通して他の接続箱内へ配線することを特徴とする被災光ケーブルの災害復旧方法。
【請求項4】
所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも2つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧工事によって構成される災害復旧工事用光ケーブル構成であって、
前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された復旧対象中継点間の中継点の近傍にそれぞれ設置され、接続箱の一端の内部で前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された前記供給側からの光ケーブルの一端が接続され、該接続箱の他端にコネクタ接続する防水コネクタが設けられる少なくとも一つの接続箱と、
前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、災害復旧用光ケーブルの一端が道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端の防水コネクタに接続され、道路の他側に横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブルの他端が道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される又は道路の一側に横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブルの他端が道路の一側の第二の前記接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される少なくとも一つの耐側圧製の災害復旧用光ケーブルと、
からなることを特徴とする災害復旧用光ケーブル配線構成。
【請求項5】
所定幅の道路の一側又は他側に所定の間隔を置いて配設され、少なくとも一つの供給側からの光ケーブルが中継される中継点における少なくとも2つの復旧対象中継点間内の被災光ケーブルの災害復旧工事によって構成される災害復旧工事用光ケーブル構成であって、
前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された復旧対象中継点間の中継点の近傍にそれぞれ設置され、接続箱の一端の内部で前記復旧対象中継点間内の被災光ケーブルが取り外された前記供給側からの光ケーブルの一端が接続され、該接続箱の他端にコネクタ接続する防水コネクタが設けられる少なくとも一つの接続箱と、
道路の側方に配置され、第一の災害用復旧光ケーブルの一端がコネクタ接続される防水コネクタと、第二の災害用復旧光ケーブルの一端がコネクタ接続される防水コネクタとが設けられ、前記各防水コネクタはそれぞれ対となって光学的に接続される防水コネクタ対が接続箱の一端に設けられる少なくとも一つの中継用接続箱と、
前記復旧対象中継点が前記道路の側方に二つ配設されている場合に、災害復旧用光ケーブルの一端が道路の一側の第一の前記被災光ケーブルの一端が接続された接続箱の他端の防水コネクタに接続され、道路の他側に横断方向に引き回され、災害復旧用光ケーブルの他端が前記中継用接続箱の防水コネクタ対の一側に接続されてもって道路上に配置される少なくとも一つの第一の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルと、
災害復旧用光ケーブルの一端が前記中継用接続箱の防水コネクタ対の他側に接続され、前記災害復旧用光ケーブルの他端が道路の他側の第二の前記被災光ケーブルの一端が接続されたいずれかの接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される又は前記中継用接続箱に接続された災害復旧用光ケーブルが道路の一側に横断方向に引き回され、該災害復旧用光ケーブルの他端が道路の一側の第二の前記接続箱の他端の防水コネクタにコネクタ接続されてもって道路上に配置される少なくとも一つの第二の耐側圧製の災害復旧用光ケーブルと、
からなることを特徴とする災害復旧用光ケーブル配線構成。
【請求項6】
請求項4又は5において、前記被災光ケーブルを取り外した復旧対象中継点間の中継点の近傍に設置した複数の接続箱間は光ファイバ心線を通すパイプで連結し、該パイプに連結した一方の接続箱内の光ファイバ心線は前記パイプ内を通して他の接続箱内へ配線することを特徴とする災害復旧用光ケーブル配線構成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−252271(P2012−252271A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126523(P2011−126523)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(504026856)株式会社アドバンスト・ケーブル・システムズ (64)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】