被覆材の除去方法
【課題】スラブSの下側全域に被覆材1が付着している場合に、部分的にカバーで養生し、当該部分の被覆材を除去することを可能とする。
【解決手段】梁2の側面2aに接近させてカバー3の上縁3aを保持し、梁2を作業空間をあけて覆うようにカバー3を配置する工程、及び、カバー3の内側を吸引しつつ、作業口3bを利用して、側面2aの被覆材1へ固化剤を散布して固化させる工程の後、カバー3の上縁3aを被覆材固化範囲1aに当接させる工程(図4)と、上縁3aを当接させたカバー3の内側を吸引しつつ、作業口3bを利用して、固化していない被覆材1を除去する工程と、カバー3を取り払い、被覆材1を除去した梁2の部分をカバー固定に利用して、梁2に隣接した施工部位を別のカバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、を含む除去方法。
【解決手段】梁2の側面2aに接近させてカバー3の上縁3aを保持し、梁2を作業空間をあけて覆うようにカバー3を配置する工程、及び、カバー3の内側を吸引しつつ、作業口3bを利用して、側面2aの被覆材1へ固化剤を散布して固化させる工程の後、カバー3の上縁3aを被覆材固化範囲1aに当接させる工程(図4)と、上縁3aを当接させたカバー3の内側を吸引しつつ、作業口3bを利用して、固化していない被覆材1を除去する工程と、カバー3を取り払い、被覆材1を除去した梁2の部分をカバー固定に利用して、梁2に隣接した施工部位を別のカバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、を含む除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アスベスト等の被覆材の除去に関する技術が以下に開示される。
【背景技術】
【0002】
耐火、耐熱の被覆材として建物の壁面に付着させた既存のアスベスト等を除去する方法として、特許文献1のように、透明材料の柔軟なカバーで施工部位を覆って養生し、そのカバーの外側から、該カバーに設けられた作業口を通して被覆材を除去する方法が提案されている。カバーの内側は吸引機により負圧に維持されるので、除去した被覆材が外側へ漏れ出すことはなく、特許文献1の場合は最終的に、下方に備えられた廃棄物袋へ収容することができる。また最近では、HEPAフィルタを備えた集塵機能をもつ吸引機によって前記カバーの内側を吸引する方法が使用され、この場合、被覆材は吸引機により集塵されて廃棄物袋へ収容される。
【0003】
特許文献1では、カバーが不透明材料の外側膜部材及び透明材料の内側部材からなり、建物の解体時に外側膜部材を切断した上で、内側膜部材を利用して上記方法を実施することが記載されている。しかし最近では、透明材料の内側膜部材のみをカバーとして使用し、既存建物において、当該カバーにより被覆材付着壁面を覆って養生することで(つまり特許文献1の内側膜部材のみを使用する方法)、現在使用中の建物においても除去作業できるようにした除去方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−217923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の除去方法で、現在使用中の建物において透明材料のカバーにより施工部位を養生して除去作業する場合、そのカバーの縁を固定する場所は、被覆材が付着していない壁面や梁、柱でなくてはならない。すなわち、カバーの縁を固定するときも被覆材の飛散は許されないので、カバーは、被覆材の無い場所を利用して固定しなくてはならない。このために、ビルの1フロアの天井裏、つまりスラブの下側全域に付着している被覆材を除去する場合に、次のような課題がある。
【0006】
図1に示すように、天井の化粧板Kの裏、つまりスラブSの下側全域に被覆材1を付着させてあるビルにおいて、1フロアをパーティションPで仕切ってA室、B室としてある場合を想定する。このフロアにおいてA室が現在使用中で且つB室が空き室になっているときに、B室側の部分に関して先に被覆材1を除去してしまいたいとしても、スラブSの下側において上記カバーを固定する場所、つまり被覆材1が付着していない場所が無いので、B室の部分だけをカバーで養生することができない。すなわち、このようなビルの場合、被覆材1の無い側壁Wにカバーの縁を固定してスラブSの下側全域を一度に養生し、1フロア全体で一気に除去作業を実施しない限り、他に被覆材を除去する手立てがない。片方の室側だけ部分的に被覆材を除去することができないので、使用中のA室を空けてもらわなければ除去作業を実施できないことになる。
【0007】
以上の背景に鑑みると、スラブの下側全域に被覆材が付着している場合に、部分的にカバーで養生し、当該部分の被覆材を除去することを可能とする工法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に対し、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法として、次の態様を提案する。
【0009】
第1の態様に係る被覆材の除去方法は、
被覆材が付着している梁の側面に沿って且つ該側面に接近させて上記カバーの上縁を保持し、前記梁の側面及び下面を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁の側面に付着している被覆材へ固化剤を散布して固化させる工程と、
該梁側面の被覆材固化後、前記カバーの上縁を、前記梁側面の被覆材固化範囲に当接させる工程と、
該上縁を当接させたカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁における固化していない被覆材を除去する工程と、
該梁の被覆材除去後に前記カバーを取り払い、前記被覆材を除去した梁の部分をカバー固定に利用して、前記梁に隣接した施工部位を別の上記カバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法である。
【0010】
第2の態様に係る除去方法は、
U字溝状に保持した上記カバーの上縁を、被覆材が付着しているスラブ下面に接近させて配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記スラブ下面に付着している被覆材へ固化剤を散布し、前記カバーの上縁を当接させるための被覆材固化範囲を少なくとも二筋形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記カバーの上縁を、前記被覆材固化範囲に当接させる工程と、
該上縁を当接させたカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記被覆材固化範囲に挟まれた部分の固化していない被覆材を除去する工程と、
該被覆材除去後に前記カバーを取り払い、前記被覆材を除去したスラブ下面の部分をカバー固定に利用して、当該被覆材除去部分に隣接した施工部位を別の上記カバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法である。
【0011】
第3の態様に係る除去方法は、
被覆材が付着している梁の両脇のスラブ下面に上記カバーの上縁を固定し、前記梁の少なくとも一部を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁に付着している被覆材へ固化剤を散布し、被覆材固化範囲を少なくとも1つ形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記被覆材固化範囲において前記カバーを前記梁へ押し付け、前記被覆材固化範囲と前記カバーとを当接させる工程と、
該カバー当接後、前記カバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、当該カバー内において固化していない被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法である。
【0012】
第4の態様に係る除去方法は、
被覆材が付着している梁の両脇のスラブ下面に上記カバーの上縁を固定し、前記梁の少なくとも一部を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁に付着している被覆材へ固化剤を散布し、互いに離間した少なくとも2箇所の被覆材固化範囲を形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記被覆材固化範囲において前記カバーを前記梁へ押し付け、前記被覆材固化範囲と前記カバーとを当接させる工程と、
該カバー当接後、前記被覆材固化範囲の間において前記カバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記被覆材固化範囲の間における固化していない被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法である。
【発明の効果】
【0013】
上記提案に係る被覆材の除去方法によれば、スラブの下側全域や梁の全域に被覆材が付着している場合であっても、その一部をカバーで養生して該養生部分の被覆材だけを除去することができるので、建物の現状に合わせた適切な工区を設定して除去作業を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する工程図。
【図2】図1に続く工程図。
【図3】図2の治具及びカバーを交差方向から見て示した図。
【図4】図2に続く工程図。
【図5】図4に続く工程図。
【図6】第2の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する工程図。
【図7】図6に続く工程図。
【図8】図7に続く工程図。
【図9】図8に続く工程図。
【図10】第3の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する工程図。
【図11】図10に続く工程図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に示す実施形態で使用する透明材料のカバーは、上述の特許文献1に記載されている内側膜部材と同様のもので、例えば、塩化ビニル系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、塩化ビニル系樹脂をコーティングしたポリエステル繊維布、ポリオレフィン系樹脂をコーティングしたポリオレフィン繊維布を材料とする、柔軟なカバーである。このカバーは、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を、カバーの養生範囲に応じた個数有する。この作業口を通してカバーの外側から内側へ作業具を差し入れることができ、作業具を通した状態で筒状部材の他端側を閉じることにより、作業口を通じた被覆材の漏洩が防止される。
【0016】
図1〜図5に示す工程図を参照して、第1の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する。
【0017】
図1に示すように、アスベスト等の被覆材1をスラブSの下側全域に付着させてあるビルにおいて、1フロアがパーティションPで仕切られていて、A室とB室が形成されている。このフロアにおいてA室が現在使用中のため、空き室のB室側の部分に関して先に被覆材1を除去する。
【0018】
図2に示すように、まず、B室において、スラブSの下面を隠している天井の化粧板Kを、吊り下げフックFと共に取り外す。これにより露出したスラブSの下側において、図2及び図3に示すように、突出している梁(鉄骨)2を囲うように、カバー3を配置する。すなわち、被覆材1が付着している梁2の側面2aに接近させて(接触させない)、カバー3の上縁3aを側面2aに沿って保持する。上縁3aを梁2の側面2aに沿わせて保持することによって、これから垂れ下がるカバー3は、梁2の側面2a及び下面2bを作業空間をあけて覆うように配置される。配置されたカバー3には、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材(カバーと同材料)を含んで構成された作業口3bが複数形成されている。
【0019】
このカバー3の配置のために使用される治具4は、伸縮して高さ調整可能な支柱部材4aと、支柱部材4a先端に固定された横枠部材4bと、横枠部材4b上に立設され、横枠部材4bに沿ってスライドさせることができ、互いの間隔を調整可能な2本の縦枠部材4cと、を含んで構成される。横枠部材4bは、縦枠部材4cをスライドさせるための長孔4dと、間隔を調整した縦枠部材4cの位置を固定する固定ボルト4eと、を備えている。縦枠部材4cは、梁2の形状に合わせて、先端側が鉤形に内方へ曲折している。このような治具4が、梁2の延長方向へ複数並べられ、その隣り合った治具4の縦枠部材4cの間に、角柱状の桟部材4fが架け渡される。カバー3は、その上縁3aが、例えば面ファスナーによって縦枠部材4c及び桟部材4fに貼り付けられて保持される。桟部材4fは、金属や樹脂製の棒、ロープなど、カバー3の上縁3aを直線状に保持可能なものであればよい。
【0020】
上記治具4によって、梁2の側面2a及び下面2bを作業空間をあけて覆うようにカバー3が配置されると、該カバー3の内側が吸引機5により吸引され負圧に維持される。吸引機5は、HEPAフィルタを備えた集塵機能をもつもので、カバー3内の空気を吸引して廃棄物袋へ集塵する。吸引機5から延びる吸引ホース5aは、作業口3b同様に気密封止可能に形成した吸引口3cを通して、カバー3内に連通する。
【0021】
カバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用して、梁2の側面2aに付着している被覆材1へ固化剤を散布して固化させる。すなわち、固化剤散布用のノズルを、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じて気密封止したうえで、該ノズルから側面2aへ向かって固化剤を噴射する。この作業を、多数の作業口3bを利用して実施し、梁2の全長にわたって側面2aの被覆材1を固化させ、被覆材固化範囲1aを形成する。なお、関係の無い作業口3bは閉じておく。
【0022】
被覆材1の固化後、図4に示すように、カバー3の上縁3aを、梁2の側面2aに形成した被覆材固化範囲1aに当接させる。すなわち、治具4を操作し、固定ボルト4eを緩めて縦枠部材4cをスライドさせて狭め、上縁3aを保持した縦枠部材4c及び桟部材4fで梁2を挟み込むようにして、カバー3の上縁3aを被覆材固化範囲1aに押し当てて開口を塞ぎ、固定ボルト4eを締めて固定する。この作業は、吸引機5により吸引を行いつつ実施してもよい(吸引を行う場合はカバー3のいずれか1箇所以上に通気孔を確保するとよい)。
【0023】
続いて、上縁3aを被覆材固化範囲1aに当接させたカバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用してカバー3内で、梁2における固化していない被覆材1を除去する。すなわち、被覆材固化範囲1aから先の下面2b周辺に付着している被覆材1を、作業口3bから差し入れたヘラ等で掻き落とす。掻き落とすためのヘラ等の道具は、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じ気密封止して使用する。他の作業口3bは閉じておく。除去した被覆材1は、吸引機5により集塵される。
【0024】
カバー3内において固化していない被覆材1を除去し終わると、カバー3及び治具4を取り払う。そして、図5に示すように、梁2において、被覆材固化範囲1aから先の部分、すなわち、被覆材1が除去されて露出した梁2の部分を、カバー固定に利用して、別のカバー6の縁6aを固定する。カバー6は、カバー3と同じ構造のものである。カバー6の他方の縁6bは側壁Wに固定され、一方の縁6aから他方の縁6bまでの間には、足場材7が組まれてカバー6を下から支える。これにより、梁2に対して図中右側に隣接した施工部位がカバー6により養生され、上記同様にカバー6の作業口6cを利用して、施工部位の被覆材1が除去される。除去作業中は吸引機5によりカバー6の内側が吸引されるので、除去された被覆材1は吸引機1によって集塵される。
【0025】
以上の工程により、スラブSの下側全域に被覆材1が付着していても、B室側を部分的にカバー6で養生することができ、該養生部分の被覆材1だけを除去することが可能である。したがって、A室の方は使用を維持したまま、B室側だけ先に被覆材1を除去してしまうことができる。
【0026】
次に、図6〜図9に示す工程図を参照して、第2の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分には同じ符号を使用する。
【0027】
図6に示すように、アスベスト等の被覆材1をスラブSの下側全域に付着させてあるビルにおいて、1フロアがパーティションPで仕切られていて、A室とB室が形成されている。このフロアにおいてA室が現在使用中のため、空き室のB室側の部分に関して先に被覆材1を除去する。
【0028】
図7に示すように、まず、B室において、スラブSの下面を隠している天井の化粧板Kを、吊り下げフックFと共に取り外す。そして、露出した被覆材1の付着したスラブSの下面に対し、カバー3の上縁3aを接近させて配置する(接触させない)。カバー3は、上記同様、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材(カバーと同材料)を含んで構成された作業口3bが複数形成されている。このカバー3が、治具10によりU字溝状に保持される。
【0029】
このようなカバー3の配置のために使用される治具10は、伸縮して高さ調整可能な支柱部材10aと、支柱部材10a先端に固定された横枠部材10bと、横枠部材10b上に立設され、横枠部材10bに沿ってスライドさせることができ、互いの間隔を調整可能な2本の縦枠部材10cと、を含んで構成される。横枠部材10bは、縦枠部材10cをスライドさせるための長孔10dと、間隔を調整した縦枠部材10cの位置を固定する固定ボルト10eと、を備えている。縦枠部材10cは、先端側が外方へほぼ直角に曲折している。このような治具10が、梁2の延長方向に沿って複数並べられ、その隣り合った治具10の縦枠部材10cの間に、角柱状の桟部材10fが架け渡される。カバー3は、その上縁3aが、例えば面ファスナーによって縦枠部材10c及び桟部材10fに貼り付けられて保持される。桟部材10fは、金属や樹脂製の棒、ロープなど、カバー3の上縁3aを直線状に保持可能なものであればよい。
【0030】
上記治具10によって、U字溝状に保持したカバー3の上縁3aをスラブS下面に接近させて配置した後、該カバー3の内側が吸引機5により吸引され負圧に維持される。吸引機5は、HEPAフィルタを備えた集塵機能をもつもので、カバー3内の空気を吸引して廃棄物袋へ集塵する。吸引機5から延びる吸引ホース5aは、作業口3b同様に気密封止可能に形成した吸引口3cを通して、カバー3内に連通する。
【0031】
カバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用して、スラブS下面に付着している被覆材1へ固化剤を散布して固化させる。すなわち、固化剤散布用のノズルを、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じて気密封止したうえで、該ノズルからスラブS下面の被覆材1へ向かって固化剤を噴射する。この作業を、多数の作業口3bを利用して実施し、カバー3の上縁3aを当接させるために、並行する二筋の被覆材固化範囲1aを形成する(場合によっては二筋以上でもよい)。なお、関係の無い作業口3bは閉じておく。
【0032】
被覆材1の固化後、図8に示すように、カバー3の上縁3aを、スラブS下面において二筋形成した被覆材固化範囲1aに当接させる。すなわち、治具10を操作し、固定ボルト10eを緩めて縦枠部材10cを、被覆材固化範囲1aに相応する間隔にスライドさせ、固定ボルト10eを締める。そして、支柱部材10aを伸ばすことで、縦部材10c及び桟部材10fに保持したカバー3の上縁3aを被覆材固化範囲1aに押し当て、全体的に当接させる。この作業は、吸引機5により吸引を行いつつ実施してもよい(吸引を行う場合はカバー3のいずれか1箇所以上に通気孔を確保するとよい)。
【0033】
続いて、上縁3aを被覆材固化範囲1aに当接させたカバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用してカバー3内で、被覆材固化範囲1aに挟まれた部分の固化していない被覆材1を除去する。すなわち、二筋の被覆材固化範囲1aに挟まれた部分の被覆材1を、作業口3bから差し入れたヘラ等で掻き落とす。掻き落とすためのヘラ等の道具は、カバー3の外側から作業口3を通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じ気密封止して使用する。他の作業口3bは閉じておく。除去した被覆材1は、吸引機5により集塵される。
【0034】
カバー3内において固化していない被覆材1を除去し終わると、カバー3及び治具10を取り払う。そして、図9に示すように、被覆材1が除去されて露出した、被覆材固化範囲1aの間のスラブS下面の部分を、カバー固定に利用して、別のカバー6の縁6aを固定する。カバー6は、カバー3と同じ構造のものである。カバー6の他方の縁6bは側壁Wに固定され、一方の縁6aから他方の縁6bまでの間には、足場材7が組まれてカバー6を下から支える。これにより、被覆材1を除去した部分に対して図中右側に隣接した施工部位がカバー6により養生され、上記同様にカバー6の作業口6aを利用して、施工部位の被覆材1及び被覆材固化範囲1aが除去される。除去作業中は吸引機5によりカバー6の内側が吸引されるので、除去された被覆材1は吸引機1によって集塵される。
【0035】
以上の工程により、スラブSの下側全域に被覆材1が付着していても、B室側を部分的にカバー6で養生することができ、該養生部分の被覆材1だけを除去することが可能である。したがって、A室の方は使用を維持したまま、B室側だけ先に被覆材1を除去してしまうことができる。
【0036】
図10及び図11に示す工程図を参照して、第3の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する。第3の実施形態に係る除去方法は、梁2に付着している被覆材1を部分的に除去する方法である。なお、第1の実施形態と共通する部分には同じ符号を使用する。図10及び図11中、分図Bは、分図Aに示す断面線X−Xで見た断面図である。
【0037】
図10に示すように、第3の実施形態ではスラブSの下面に被覆材1が付着しておらず、梁2にのみ被覆材1が付着している。そこでまず、被覆材1が付着している梁2の両脇において、梁2に沿ってスラブS下面にカバー3の上縁3aを固定する。上縁3aを固定されて垂れ下がるカバー3は、作業空間をあけて梁2を部分的に覆うように配置される。カバー3は、上記同様、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材(カバーと同材料)を含んで構成された作業口3bが複数形成されている。
【0038】
カバー3を配置した後、該カバー3の内側が、上記同様の吸引機により吸引され負圧に維持される。吸引機は、HEPAフィルタを備えた集塵機能をもつもので、カバー3内の空気を吸引して廃棄物袋へ集塵する。吸引機から延びる吸引ホース5aが、作業口3b同様に気密封止可能に形成した吸引口3cを通して、カバー3内に連通する。
【0039】
カバー3の内側を吸引機で吸引しつつ、作業口3bを利用して、梁2に付着している被覆材1へ固化剤を散布して固化させる。すなわち、固化剤散布用のノズルを、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じて気密封止したうえで、該ノズルから梁2の被覆材1へ向かって固化剤を噴射する。この作業を、複数の作業口3bを利用して実施し、カバー3を当接させるために、互いに離間した2箇所の被覆材固化範囲1aを形成する(場合によっては2箇所以上にもできる)。なお、関係の無い作業口3bは閉じておく。
【0040】
被覆材1の固化後、図11に示すように、形成した被覆材固化範囲1aにおいてカバー3を梁2へ押し付け、被覆材固化範囲1aとカバー3とを当接させる。このために、治具11を使用する。治具11は、伸縮して高さ調整可能な支柱部材11aと、支柱部材11a先端に固定された横枠部材11bと、横枠部材11b上に立設され、横枠部材11bに沿ってスライドさせることができ、互いの間隔を調整可能な2本の縦枠部材11cと、を含んで構成される。横枠部材11bは、縦枠部材11cをスライドさせるための長孔11dと、間隔を調整した縦枠部材11cの位置を固定する固定ボルト11eと、を備えている。縦枠部材11cは、中間部に、H形鋼である梁2の形状に相当する突出部材11fを有する。このような治具11が、被覆材固化範囲1aの部位に配置される。配置した治具11を操作し、縦枠部材11cをスライドさせて狭め、縦枠部材11c及び突出部材11fで梁2を挟み込むようにして、カバー3を被覆材固化範囲1aに押し当て、開口を塞ぐ。この作業は、吸引機5により吸引を行いつつ実施してもよい(吸引を行う場合はカバー3のいずれか1箇所以上に通気孔を確保するとよい)。
【0041】
続いて、被覆材固化範囲1aに当接させたカバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用してカバー3内で、梁2における固化していない被覆材1を除去する。すなわち、被覆材固化範囲1aの間に付着している被覆材1を、作業口3bから差し入れたヘラ等で掻き落とす。掻き落とすためのヘラ等の道具は、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じ気密封止して使用する。他の作業口3bは閉じておく。除去した被覆材1は、吸引機5により集塵される。
【0042】
以上の作業により、梁2における被覆材1が部分的に除去される。なお、被覆材固化範囲1aは1つ形成するだけでもよく、この場合、カバー3の反対側の端は、側壁等まで延長して固定すればよい。
【符号の説明】
【0043】
S スラブ
1 被覆材
1a 被覆材固化範囲
2 梁
2a 側面
2b 下面
3 カバー
3a 上縁
3b 作業口
3c 吸引口
4 治具
4a 支柱部材
4b 横枠部材
4c 縦枠部材
4f 桟部材
5 吸引機
5a 吸引ホース
6 カバー
6a,6b 縁
6c 作業口
7 足場
10 治具
10a 支柱部材
10b 横枠部材
10c 縦枠部材
10f 桟部材
11 治具
11a 支柱部材
11b 横枠部材
11c 縦枠部材
11f 突出部材
【技術分野】
【0001】
アスベスト等の被覆材の除去に関する技術が以下に開示される。
【背景技術】
【0002】
耐火、耐熱の被覆材として建物の壁面に付着させた既存のアスベスト等を除去する方法として、特許文献1のように、透明材料の柔軟なカバーで施工部位を覆って養生し、そのカバーの外側から、該カバーに設けられた作業口を通して被覆材を除去する方法が提案されている。カバーの内側は吸引機により負圧に維持されるので、除去した被覆材が外側へ漏れ出すことはなく、特許文献1の場合は最終的に、下方に備えられた廃棄物袋へ収容することができる。また最近では、HEPAフィルタを備えた集塵機能をもつ吸引機によって前記カバーの内側を吸引する方法が使用され、この場合、被覆材は吸引機により集塵されて廃棄物袋へ収容される。
【0003】
特許文献1では、カバーが不透明材料の外側膜部材及び透明材料の内側部材からなり、建物の解体時に外側膜部材を切断した上で、内側膜部材を利用して上記方法を実施することが記載されている。しかし最近では、透明材料の内側膜部材のみをカバーとして使用し、既存建物において、当該カバーにより被覆材付着壁面を覆って養生することで(つまり特許文献1の内側膜部材のみを使用する方法)、現在使用中の建物においても除去作業できるようにした除去方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−217923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の除去方法で、現在使用中の建物において透明材料のカバーにより施工部位を養生して除去作業する場合、そのカバーの縁を固定する場所は、被覆材が付着していない壁面や梁、柱でなくてはならない。すなわち、カバーの縁を固定するときも被覆材の飛散は許されないので、カバーは、被覆材の無い場所を利用して固定しなくてはならない。このために、ビルの1フロアの天井裏、つまりスラブの下側全域に付着している被覆材を除去する場合に、次のような課題がある。
【0006】
図1に示すように、天井の化粧板Kの裏、つまりスラブSの下側全域に被覆材1を付着させてあるビルにおいて、1フロアをパーティションPで仕切ってA室、B室としてある場合を想定する。このフロアにおいてA室が現在使用中で且つB室が空き室になっているときに、B室側の部分に関して先に被覆材1を除去してしまいたいとしても、スラブSの下側において上記カバーを固定する場所、つまり被覆材1が付着していない場所が無いので、B室の部分だけをカバーで養生することができない。すなわち、このようなビルの場合、被覆材1の無い側壁Wにカバーの縁を固定してスラブSの下側全域を一度に養生し、1フロア全体で一気に除去作業を実施しない限り、他に被覆材を除去する手立てがない。片方の室側だけ部分的に被覆材を除去することができないので、使用中のA室を空けてもらわなければ除去作業を実施できないことになる。
【0007】
以上の背景に鑑みると、スラブの下側全域に被覆材が付着している場合に、部分的にカバーで養生し、当該部分の被覆材を除去することを可能とする工法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に対し、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法として、次の態様を提案する。
【0009】
第1の態様に係る被覆材の除去方法は、
被覆材が付着している梁の側面に沿って且つ該側面に接近させて上記カバーの上縁を保持し、前記梁の側面及び下面を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁の側面に付着している被覆材へ固化剤を散布して固化させる工程と、
該梁側面の被覆材固化後、前記カバーの上縁を、前記梁側面の被覆材固化範囲に当接させる工程と、
該上縁を当接させたカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁における固化していない被覆材を除去する工程と、
該梁の被覆材除去後に前記カバーを取り払い、前記被覆材を除去した梁の部分をカバー固定に利用して、前記梁に隣接した施工部位を別の上記カバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法である。
【0010】
第2の態様に係る除去方法は、
U字溝状に保持した上記カバーの上縁を、被覆材が付着しているスラブ下面に接近させて配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記スラブ下面に付着している被覆材へ固化剤を散布し、前記カバーの上縁を当接させるための被覆材固化範囲を少なくとも二筋形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記カバーの上縁を、前記被覆材固化範囲に当接させる工程と、
該上縁を当接させたカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記被覆材固化範囲に挟まれた部分の固化していない被覆材を除去する工程と、
該被覆材除去後に前記カバーを取り払い、前記被覆材を除去したスラブ下面の部分をカバー固定に利用して、当該被覆材除去部分に隣接した施工部位を別の上記カバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法である。
【0011】
第3の態様に係る除去方法は、
被覆材が付着している梁の両脇のスラブ下面に上記カバーの上縁を固定し、前記梁の少なくとも一部を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁に付着している被覆材へ固化剤を散布し、被覆材固化範囲を少なくとも1つ形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記被覆材固化範囲において前記カバーを前記梁へ押し付け、前記被覆材固化範囲と前記カバーとを当接させる工程と、
該カバー当接後、前記カバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、当該カバー内において固化していない被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法である。
【0012】
第4の態様に係る除去方法は、
被覆材が付着している梁の両脇のスラブ下面に上記カバーの上縁を固定し、前記梁の少なくとも一部を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁に付着している被覆材へ固化剤を散布し、互いに離間した少なくとも2箇所の被覆材固化範囲を形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記被覆材固化範囲において前記カバーを前記梁へ押し付け、前記被覆材固化範囲と前記カバーとを当接させる工程と、
該カバー当接後、前記被覆材固化範囲の間において前記カバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記被覆材固化範囲の間における固化していない被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法である。
【発明の効果】
【0013】
上記提案に係る被覆材の除去方法によれば、スラブの下側全域や梁の全域に被覆材が付着している場合であっても、その一部をカバーで養生して該養生部分の被覆材だけを除去することができるので、建物の現状に合わせた適切な工区を設定して除去作業を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する工程図。
【図2】図1に続く工程図。
【図3】図2の治具及びカバーを交差方向から見て示した図。
【図4】図2に続く工程図。
【図5】図4に続く工程図。
【図6】第2の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する工程図。
【図7】図6に続く工程図。
【図8】図7に続く工程図。
【図9】図8に続く工程図。
【図10】第3の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する工程図。
【図11】図10に続く工程図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に示す実施形態で使用する透明材料のカバーは、上述の特許文献1に記載されている内側膜部材と同様のもので、例えば、塩化ビニル系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、塩化ビニル系樹脂をコーティングしたポリエステル繊維布、ポリオレフィン系樹脂をコーティングしたポリオレフィン繊維布を材料とする、柔軟なカバーである。このカバーは、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を、カバーの養生範囲に応じた個数有する。この作業口を通してカバーの外側から内側へ作業具を差し入れることができ、作業具を通した状態で筒状部材の他端側を閉じることにより、作業口を通じた被覆材の漏洩が防止される。
【0016】
図1〜図5に示す工程図を参照して、第1の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する。
【0017】
図1に示すように、アスベスト等の被覆材1をスラブSの下側全域に付着させてあるビルにおいて、1フロアがパーティションPで仕切られていて、A室とB室が形成されている。このフロアにおいてA室が現在使用中のため、空き室のB室側の部分に関して先に被覆材1を除去する。
【0018】
図2に示すように、まず、B室において、スラブSの下面を隠している天井の化粧板Kを、吊り下げフックFと共に取り外す。これにより露出したスラブSの下側において、図2及び図3に示すように、突出している梁(鉄骨)2を囲うように、カバー3を配置する。すなわち、被覆材1が付着している梁2の側面2aに接近させて(接触させない)、カバー3の上縁3aを側面2aに沿って保持する。上縁3aを梁2の側面2aに沿わせて保持することによって、これから垂れ下がるカバー3は、梁2の側面2a及び下面2bを作業空間をあけて覆うように配置される。配置されたカバー3には、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材(カバーと同材料)を含んで構成された作業口3bが複数形成されている。
【0019】
このカバー3の配置のために使用される治具4は、伸縮して高さ調整可能な支柱部材4aと、支柱部材4a先端に固定された横枠部材4bと、横枠部材4b上に立設され、横枠部材4bに沿ってスライドさせることができ、互いの間隔を調整可能な2本の縦枠部材4cと、を含んで構成される。横枠部材4bは、縦枠部材4cをスライドさせるための長孔4dと、間隔を調整した縦枠部材4cの位置を固定する固定ボルト4eと、を備えている。縦枠部材4cは、梁2の形状に合わせて、先端側が鉤形に内方へ曲折している。このような治具4が、梁2の延長方向へ複数並べられ、その隣り合った治具4の縦枠部材4cの間に、角柱状の桟部材4fが架け渡される。カバー3は、その上縁3aが、例えば面ファスナーによって縦枠部材4c及び桟部材4fに貼り付けられて保持される。桟部材4fは、金属や樹脂製の棒、ロープなど、カバー3の上縁3aを直線状に保持可能なものであればよい。
【0020】
上記治具4によって、梁2の側面2a及び下面2bを作業空間をあけて覆うようにカバー3が配置されると、該カバー3の内側が吸引機5により吸引され負圧に維持される。吸引機5は、HEPAフィルタを備えた集塵機能をもつもので、カバー3内の空気を吸引して廃棄物袋へ集塵する。吸引機5から延びる吸引ホース5aは、作業口3b同様に気密封止可能に形成した吸引口3cを通して、カバー3内に連通する。
【0021】
カバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用して、梁2の側面2aに付着している被覆材1へ固化剤を散布して固化させる。すなわち、固化剤散布用のノズルを、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じて気密封止したうえで、該ノズルから側面2aへ向かって固化剤を噴射する。この作業を、多数の作業口3bを利用して実施し、梁2の全長にわたって側面2aの被覆材1を固化させ、被覆材固化範囲1aを形成する。なお、関係の無い作業口3bは閉じておく。
【0022】
被覆材1の固化後、図4に示すように、カバー3の上縁3aを、梁2の側面2aに形成した被覆材固化範囲1aに当接させる。すなわち、治具4を操作し、固定ボルト4eを緩めて縦枠部材4cをスライドさせて狭め、上縁3aを保持した縦枠部材4c及び桟部材4fで梁2を挟み込むようにして、カバー3の上縁3aを被覆材固化範囲1aに押し当てて開口を塞ぎ、固定ボルト4eを締めて固定する。この作業は、吸引機5により吸引を行いつつ実施してもよい(吸引を行う場合はカバー3のいずれか1箇所以上に通気孔を確保するとよい)。
【0023】
続いて、上縁3aを被覆材固化範囲1aに当接させたカバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用してカバー3内で、梁2における固化していない被覆材1を除去する。すなわち、被覆材固化範囲1aから先の下面2b周辺に付着している被覆材1を、作業口3bから差し入れたヘラ等で掻き落とす。掻き落とすためのヘラ等の道具は、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じ気密封止して使用する。他の作業口3bは閉じておく。除去した被覆材1は、吸引機5により集塵される。
【0024】
カバー3内において固化していない被覆材1を除去し終わると、カバー3及び治具4を取り払う。そして、図5に示すように、梁2において、被覆材固化範囲1aから先の部分、すなわち、被覆材1が除去されて露出した梁2の部分を、カバー固定に利用して、別のカバー6の縁6aを固定する。カバー6は、カバー3と同じ構造のものである。カバー6の他方の縁6bは側壁Wに固定され、一方の縁6aから他方の縁6bまでの間には、足場材7が組まれてカバー6を下から支える。これにより、梁2に対して図中右側に隣接した施工部位がカバー6により養生され、上記同様にカバー6の作業口6cを利用して、施工部位の被覆材1が除去される。除去作業中は吸引機5によりカバー6の内側が吸引されるので、除去された被覆材1は吸引機1によって集塵される。
【0025】
以上の工程により、スラブSの下側全域に被覆材1が付着していても、B室側を部分的にカバー6で養生することができ、該養生部分の被覆材1だけを除去することが可能である。したがって、A室の方は使用を維持したまま、B室側だけ先に被覆材1を除去してしまうことができる。
【0026】
次に、図6〜図9に示す工程図を参照して、第2の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分には同じ符号を使用する。
【0027】
図6に示すように、アスベスト等の被覆材1をスラブSの下側全域に付着させてあるビルにおいて、1フロアがパーティションPで仕切られていて、A室とB室が形成されている。このフロアにおいてA室が現在使用中のため、空き室のB室側の部分に関して先に被覆材1を除去する。
【0028】
図7に示すように、まず、B室において、スラブSの下面を隠している天井の化粧板Kを、吊り下げフックFと共に取り外す。そして、露出した被覆材1の付着したスラブSの下面に対し、カバー3の上縁3aを接近させて配置する(接触させない)。カバー3は、上記同様、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材(カバーと同材料)を含んで構成された作業口3bが複数形成されている。このカバー3が、治具10によりU字溝状に保持される。
【0029】
このようなカバー3の配置のために使用される治具10は、伸縮して高さ調整可能な支柱部材10aと、支柱部材10a先端に固定された横枠部材10bと、横枠部材10b上に立設され、横枠部材10bに沿ってスライドさせることができ、互いの間隔を調整可能な2本の縦枠部材10cと、を含んで構成される。横枠部材10bは、縦枠部材10cをスライドさせるための長孔10dと、間隔を調整した縦枠部材10cの位置を固定する固定ボルト10eと、を備えている。縦枠部材10cは、先端側が外方へほぼ直角に曲折している。このような治具10が、梁2の延長方向に沿って複数並べられ、その隣り合った治具10の縦枠部材10cの間に、角柱状の桟部材10fが架け渡される。カバー3は、その上縁3aが、例えば面ファスナーによって縦枠部材10c及び桟部材10fに貼り付けられて保持される。桟部材10fは、金属や樹脂製の棒、ロープなど、カバー3の上縁3aを直線状に保持可能なものであればよい。
【0030】
上記治具10によって、U字溝状に保持したカバー3の上縁3aをスラブS下面に接近させて配置した後、該カバー3の内側が吸引機5により吸引され負圧に維持される。吸引機5は、HEPAフィルタを備えた集塵機能をもつもので、カバー3内の空気を吸引して廃棄物袋へ集塵する。吸引機5から延びる吸引ホース5aは、作業口3b同様に気密封止可能に形成した吸引口3cを通して、カバー3内に連通する。
【0031】
カバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用して、スラブS下面に付着している被覆材1へ固化剤を散布して固化させる。すなわち、固化剤散布用のノズルを、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じて気密封止したうえで、該ノズルからスラブS下面の被覆材1へ向かって固化剤を噴射する。この作業を、多数の作業口3bを利用して実施し、カバー3の上縁3aを当接させるために、並行する二筋の被覆材固化範囲1aを形成する(場合によっては二筋以上でもよい)。なお、関係の無い作業口3bは閉じておく。
【0032】
被覆材1の固化後、図8に示すように、カバー3の上縁3aを、スラブS下面において二筋形成した被覆材固化範囲1aに当接させる。すなわち、治具10を操作し、固定ボルト10eを緩めて縦枠部材10cを、被覆材固化範囲1aに相応する間隔にスライドさせ、固定ボルト10eを締める。そして、支柱部材10aを伸ばすことで、縦部材10c及び桟部材10fに保持したカバー3の上縁3aを被覆材固化範囲1aに押し当て、全体的に当接させる。この作業は、吸引機5により吸引を行いつつ実施してもよい(吸引を行う場合はカバー3のいずれか1箇所以上に通気孔を確保するとよい)。
【0033】
続いて、上縁3aを被覆材固化範囲1aに当接させたカバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用してカバー3内で、被覆材固化範囲1aに挟まれた部分の固化していない被覆材1を除去する。すなわち、二筋の被覆材固化範囲1aに挟まれた部分の被覆材1を、作業口3bから差し入れたヘラ等で掻き落とす。掻き落とすためのヘラ等の道具は、カバー3の外側から作業口3を通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じ気密封止して使用する。他の作業口3bは閉じておく。除去した被覆材1は、吸引機5により集塵される。
【0034】
カバー3内において固化していない被覆材1を除去し終わると、カバー3及び治具10を取り払う。そして、図9に示すように、被覆材1が除去されて露出した、被覆材固化範囲1aの間のスラブS下面の部分を、カバー固定に利用して、別のカバー6の縁6aを固定する。カバー6は、カバー3と同じ構造のものである。カバー6の他方の縁6bは側壁Wに固定され、一方の縁6aから他方の縁6bまでの間には、足場材7が組まれてカバー6を下から支える。これにより、被覆材1を除去した部分に対して図中右側に隣接した施工部位がカバー6により養生され、上記同様にカバー6の作業口6aを利用して、施工部位の被覆材1及び被覆材固化範囲1aが除去される。除去作業中は吸引機5によりカバー6の内側が吸引されるので、除去された被覆材1は吸引機1によって集塵される。
【0035】
以上の工程により、スラブSの下側全域に被覆材1が付着していても、B室側を部分的にカバー6で養生することができ、該養生部分の被覆材1だけを除去することが可能である。したがって、A室の方は使用を維持したまま、B室側だけ先に被覆材1を除去してしまうことができる。
【0036】
図10及び図11に示す工程図を参照して、第3の実施形態に係る被覆材の除去方法を説明する。第3の実施形態に係る除去方法は、梁2に付着している被覆材1を部分的に除去する方法である。なお、第1の実施形態と共通する部分には同じ符号を使用する。図10及び図11中、分図Bは、分図Aに示す断面線X−Xで見た断面図である。
【0037】
図10に示すように、第3の実施形態ではスラブSの下面に被覆材1が付着しておらず、梁2にのみ被覆材1が付着している。そこでまず、被覆材1が付着している梁2の両脇において、梁2に沿ってスラブS下面にカバー3の上縁3aを固定する。上縁3aを固定されて垂れ下がるカバー3は、作業空間をあけて梁2を部分的に覆うように配置される。カバー3は、上記同様、貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材(カバーと同材料)を含んで構成された作業口3bが複数形成されている。
【0038】
カバー3を配置した後、該カバー3の内側が、上記同様の吸引機により吸引され負圧に維持される。吸引機は、HEPAフィルタを備えた集塵機能をもつもので、カバー3内の空気を吸引して廃棄物袋へ集塵する。吸引機から延びる吸引ホース5aが、作業口3b同様に気密封止可能に形成した吸引口3cを通して、カバー3内に連通する。
【0039】
カバー3の内側を吸引機で吸引しつつ、作業口3bを利用して、梁2に付着している被覆材1へ固化剤を散布して固化させる。すなわち、固化剤散布用のノズルを、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じて気密封止したうえで、該ノズルから梁2の被覆材1へ向かって固化剤を噴射する。この作業を、複数の作業口3bを利用して実施し、カバー3を当接させるために、互いに離間した2箇所の被覆材固化範囲1aを形成する(場合によっては2箇所以上にもできる)。なお、関係の無い作業口3bは閉じておく。
【0040】
被覆材1の固化後、図11に示すように、形成した被覆材固化範囲1aにおいてカバー3を梁2へ押し付け、被覆材固化範囲1aとカバー3とを当接させる。このために、治具11を使用する。治具11は、伸縮して高さ調整可能な支柱部材11aと、支柱部材11a先端に固定された横枠部材11bと、横枠部材11b上に立設され、横枠部材11bに沿ってスライドさせることができ、互いの間隔を調整可能な2本の縦枠部材11cと、を含んで構成される。横枠部材11bは、縦枠部材11cをスライドさせるための長孔11dと、間隔を調整した縦枠部材11cの位置を固定する固定ボルト11eと、を備えている。縦枠部材11cは、中間部に、H形鋼である梁2の形状に相当する突出部材11fを有する。このような治具11が、被覆材固化範囲1aの部位に配置される。配置した治具11を操作し、縦枠部材11cをスライドさせて狭め、縦枠部材11c及び突出部材11fで梁2を挟み込むようにして、カバー3を被覆材固化範囲1aに押し当て、開口を塞ぐ。この作業は、吸引機5により吸引を行いつつ実施してもよい(吸引を行う場合はカバー3のいずれか1箇所以上に通気孔を確保するとよい)。
【0041】
続いて、被覆材固化範囲1aに当接させたカバー3の内側を吸引機5で吸引しつつ、作業口3bを利用してカバー3内で、梁2における固化していない被覆材1を除去する。すなわち、被覆材固化範囲1aの間に付着している被覆材1を、作業口3bから差し入れたヘラ等で掻き落とす。掻き落とすためのヘラ等の道具は、カバー3の外側から作業口3bを通してカバー3内側へ差し入れると共に該作業口3bの筒状部材を閉じ気密封止して使用する。他の作業口3bは閉じておく。除去した被覆材1は、吸引機5により集塵される。
【0042】
以上の作業により、梁2における被覆材1が部分的に除去される。なお、被覆材固化範囲1aは1つ形成するだけでもよく、この場合、カバー3の反対側の端は、側壁等まで延長して固定すればよい。
【符号の説明】
【0043】
S スラブ
1 被覆材
1a 被覆材固化範囲
2 梁
2a 側面
2b 下面
3 カバー
3a 上縁
3b 作業口
3c 吸引口
4 治具
4a 支柱部材
4b 横枠部材
4c 縦枠部材
4f 桟部材
5 吸引機
5a 吸引ホース
6 カバー
6a,6b 縁
6c 作業口
7 足場
10 治具
10a 支柱部材
10b 横枠部材
10c 縦枠部材
10f 桟部材
11 治具
11a 支柱部材
11b 横枠部材
11c 縦枠部材
11f 突出部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法であって、
被覆材が付着している梁の側面に沿って且つ該側面に接近させて前記カバーの上縁を保持し、前記梁の側面及び下面を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁の側面に付着している被覆材へ固化剤を散布して固化させる工程と、
該梁側面の被覆材固化後、前記カバーの上縁を、前記梁側面の被覆材固化範囲に当接させる工程と、
該上縁を当接させたカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁における固化していない被覆材を除去する工程と、
該梁の被覆材除去後に前記カバーを取り払い、前記被覆材を除去した梁の部分をカバー固定に利用して、前記梁に隣接した施工部位を別の前記カバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法。
【請求項2】
貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法であって、
U字溝状に保持した前記カバーの上縁を、被覆材が付着しているスラブ下面に接近させて配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記スラブ下面に付着している被覆材へ固化剤を散布し、前記カバーの上縁を当接させるための被覆材固化範囲を少なくとも二筋形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記カバーの上縁を、前記被覆材固化範囲に当接させる工程と、
該上縁を当接させたカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記被覆材固化範囲に挟まれた部分の固化していない被覆材を除去する工程と、
該被覆材除去後に前記カバーを取り払い、前記被覆材を除去したスラブ下面の部分をカバー固定に利用して、当該被覆材除去部分に隣接した施工部位を別の前記カバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法。
【請求項3】
貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法であって、
被覆材が付着している梁の両脇のスラブ下面に前記カバーの上縁を固定し、前記梁の少なくとも一部を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁に付着している被覆材へ固化剤を散布し、被覆材固化範囲を少なくとも1つ形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記被覆材固化範囲において前記カバーを前記梁へ押し付け、前記被覆材固化範囲と前記カバーとを当接させる工程と、
該カバー当接後、前記カバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、当該カバー内において固化していない被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法。
【請求項4】
貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法であって、
被覆材が付着している梁の両脇のスラブ下面に前記カバーの上縁を固定し、前記梁の少なくとも一部を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁に付着している被覆材へ固化剤を散布し、互いに離間した少なくとも2箇所の被覆材固化範囲を形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記被覆材固化範囲において前記カバーを前記梁へ押し付け、前記被覆材固化範囲と前記カバーとを当接させる工程と、
該カバー当接後、前記被覆材固化範囲の間において前記カバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記被覆材固化範囲の間における固化していない被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法。
【請求項1】
貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法であって、
被覆材が付着している梁の側面に沿って且つ該側面に接近させて前記カバーの上縁を保持し、前記梁の側面及び下面を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁の側面に付着している被覆材へ固化剤を散布して固化させる工程と、
該梁側面の被覆材固化後、前記カバーの上縁を、前記梁側面の被覆材固化範囲に当接させる工程と、
該上縁を当接させたカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁における固化していない被覆材を除去する工程と、
該梁の被覆材除去後に前記カバーを取り払い、前記被覆材を除去した梁の部分をカバー固定に利用して、前記梁に隣接した施工部位を別の前記カバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法。
【請求項2】
貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法であって、
U字溝状に保持した前記カバーの上縁を、被覆材が付着しているスラブ下面に接近させて配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記スラブ下面に付着している被覆材へ固化剤を散布し、前記カバーの上縁を当接させるための被覆材固化範囲を少なくとも二筋形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記カバーの上縁を、前記被覆材固化範囲に当接させる工程と、
該上縁を当接させたカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記被覆材固化範囲に挟まれた部分の固化していない被覆材を除去する工程と、
該被覆材除去後に前記カバーを取り払い、前記被覆材を除去したスラブ下面の部分をカバー固定に利用して、当該被覆材除去部分に隣接した施工部位を別の前記カバーにより養生し、該施工部位の被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法。
【請求項3】
貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法であって、
被覆材が付着している梁の両脇のスラブ下面に前記カバーの上縁を固定し、前記梁の少なくとも一部を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁に付着している被覆材へ固化剤を散布し、被覆材固化範囲を少なくとも1つ形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記被覆材固化範囲において前記カバーを前記梁へ押し付け、前記被覆材固化範囲と前記カバーとを当接させる工程と、
該カバー当接後、前記カバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、当該カバー内において固化していない被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法。
【請求項4】
貫通形成された孔部の周囲に一端が気密接続され且つ他端側が開閉自在である筒状部材を含んで構成された作業口を1以上有する透明材料のカバーを利用した、被覆材の除去方法であって、
被覆材が付着している梁の両脇のスラブ下面に前記カバーの上縁を固定し、前記梁の少なくとも一部を作業空間をあけて覆うように前記カバーを配置する工程と、
該配置したカバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記梁に付着している被覆材へ固化剤を散布し、互いに離間した少なくとも2箇所の被覆材固化範囲を形成する工程と、
該被覆材固化範囲形成後、前記被覆材固化範囲において前記カバーを前記梁へ押し付け、前記被覆材固化範囲と前記カバーとを当接させる工程と、
該カバー当接後、前記被覆材固化範囲の間において前記カバーの内側を吸引機で吸引しつつ、前記作業口を利用して、前記被覆材固化範囲の間における固化していない被覆材を除去する工程と、
を含む除去方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−247006(P2011−247006A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122315(P2010−122315)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000189800)常盤工業株式会社 (9)
【出願人】(503364320)井上定株式会社 (4)
【出願人】(500303940)株式会社 小川テック (14)
【出願人】(510169424)株式会社トッププランニングJAPAN (4)
【出願人】(510169435)株式会社ヨシケン (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000189800)常盤工業株式会社 (9)
【出願人】(503364320)井上定株式会社 (4)
【出願人】(500303940)株式会社 小川テック (14)
【出願人】(510169424)株式会社トッププランニングJAPAN (4)
【出願人】(510169435)株式会社ヨシケン (4)
【Fターム(参考)】
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