説明

被覆材接合体の製造方法

【課題】被覆材の接合操作が容易であり、狭い場所でも接合操作を行うことができると共に、被覆材間の接合を容易に確認することができる被覆材接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】被覆材接合体は、配管30を被覆する被覆材31の端面31cを融着板5によって加熱溶融し、両端面31cを融着して製造される。すなわち、融着板5を被覆材31が溶融する温度に加熱した後、当該温度で着色する示温材料を融着板5の側面21に付着させて着色層29を形成する。その状態で、被覆材31の端面31cを融着板5に押し当てて示温材料を被覆材31の端面31cに転写して転写着色層33を形成する。次いで、融着板5を被覆材31の端面31cから離間させて被覆材31の端面31c間を圧着し、被覆材31の端面31c間を接合して被覆材接合体を形成すると同時に、被覆材31の接合部に転写着色層33が形成されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば配管を被覆する保温材などの被覆材の端面を熱融着して被覆材接合体を製造する場合に、その接合部に着色層を形成して接合状態を視認できるようにする被覆材接合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接合体として、例えば熱可塑性樹脂製の管と継手の熱融着接合方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、熱可塑性樹脂製管の端部の外周面と、それと同じ熱可塑性樹脂継手の受け口部の内周面とをヒータで加熱溶融した後、ヒータを取り除いて、加熱溶融された管の端部を受け口部内に挿入して溶融一体化する。その場合、加熱溶融するに先立ち、受け口部に該受け口部の加熱溶融温度により変色する示温材が設けられる。
【特許文献1】特開2007−113715号公報(第2頁及び第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載されている管と継手の熱融着接合方法においては、管の端部外周面と継手の端部内周面とを異型形状のヒータでそれぞれに加熱溶融する必要があり、操作が面倒である上に、管と継手の接合部が狭い場所に位置する場合には両側方へ突出するヒータで加熱溶融することが難しいときがあるという欠点があった。
【0004】
さらに、示温材が継手の受け口部の開口端面に重合されるリング部と、該リング部の内周から突出されて受け口部の開口端の内周に嵌め込まれる短筒状ボスとにより構成されている。そのため、示温材を継手及び管の大きさ及び形状に対応させて、リング部と短筒状ボスとを作製しなければならず、示温材の作製に手間と時間を要し、管と継手を接合する効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、被覆材の接合操作が容易であり、狭い場所でも接合操作を行うことができると共に、被覆材間の接合を容易に確認することができる被覆材接合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の被覆材接合体の製造方法では、配管を被覆する被覆材の端面間を、熱融着具の加熱された融着板によって融着し、被覆材接合体を製造するものである。その場合、前記融着板を被覆材が溶融する温度に加熱した後、当該温度で着色する示温材料を融着板の側面の少なくとも片面に付着させて着色層を形成し、その状態で被覆材の端面を融着板に押し当てて示温材料を被覆材の端面に転写して転写着色層を形成し、次いで融着板を被覆材の端面から離間させて被覆材の端面間を圧着し、被覆材の端面間を接合して被覆材接合体を形成すると共に、被覆材の接合部に前記転写着色層が形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の被覆材接合体の製造方法では、請求項1に係る発明において、前記示温材料は、示温顔料、バインダー用樹脂及び溶剤を含有する液体状のものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の被覆材接合体の製造方法では、請求項1に係る発明において、前記示温材料は、熱溶融性物質、バインダー用樹脂及び添加剤を含有する固体状のものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の被覆材接合体の製造方法では、請求項1から請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記示温材料を融着板の側面の外周部に付着させることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の被覆材接合体の製造方法では、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記示温材料は、融着板の側面上に設けられた被覆材の端面を分離しやすくする分離層の表面に付着されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の被覆材接合体の製造方法では、請求項1から請求項5のいずれか1項に係る発明において、前記被覆材は、ポリオレフィンにより形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の被覆材接合体の製造方法では、請求項6に係る発明において、前記被覆材は、内周部が架橋された発泡ポリエチレンにより形成され、外周部が未架橋の発泡ポリエチレンにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1の被覆材接合体の製造方法では、融着板を被覆材が溶融する温度に加熱した後、当該温度で着色する示温材料を融着板の側面の少なくとも片面に付着させて着色層が形成され、その状態で被覆材の端面を融着板に押し当てて示温材料が被覆材の端面に転写されて転写着色層が形成される。次いで、融着板を被覆材の端面から離間させて被覆材の端面間を圧着し、被覆材の端面間を接合して被覆材接合体を形成することにより、被覆材の接合部に転写着色層が視認できるように形成される。
【0014】
このため、示温材料を融着板に付着させた後、被覆材に転写させるという作業で被覆材間の接合を行うことができる。また、融着板を被覆材が溶融する温度に加熱して被覆材の端面を溶融することから、接合部が狭い場所に位置していても接合を行うことができる。さらに、被覆材間の接合後には接合部に転写着色層が形成され、接合部において熱溶融された被覆材が圧縮、押圧され、配管径よりややはみ出して盛り上がり、当該部分に形成された転写着色層が位置するため、その転写着色層を容易に視認することができる。
【0015】
従って、被覆材の接合操作が容易であり、狭い場所でも接合操作を行うことができると共に、被覆材間の接合を容易に確認することができる。
請求項2の被覆材接合体の製造方法では、示温材料は、示温顔料、バインダー用樹脂及び溶剤を含有する液体状のものである。このため、請求項1に係る発明の効果に加え、液体状の示温顔料がバインダー用樹脂により融着板に良好に付着されて着色層が形成され、さらに被覆材の端面に転写され、被覆材の接合部に転写着色層を容易に形成することができる。
【0016】
請求項3の被覆材接合体の製造方法では、示温材料は、熱溶融性物質、バインダー用樹脂及び添加剤を含有する固体状のものである。このため、請求項1に係る発明の効果に加え、固体状の示温顔料が加熱溶融されてバインダー用樹脂により融着板に良好に付着されて着色層が形成され、さらに被覆材の端面に転写され、被覆材の接合部に転写着色層を容易に形成することができる。
【0017】
請求項4の被覆材接合体の製造方法においては、示温材料を融着板の側面の外周部に付着させるものである。従って、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、示温材料は融着板の側面の外周部から被覆材の外周部に転写され、その転写着色層が接合部の外周部に形成される。このため、示温材料を融着板全面に塗布しなくとも、転写着色層の視認性を向上させることができる。
【0018】
請求項5の被覆材接合体の製造方法では、示温材料は、融着板の側面上に設けられた被覆材の端面を分離しやすくする分離層の表面に付着されている。このため、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、融着板の側面に押し当てられた被覆材の端面を融着板の側面から分離しやすくすることができると共に、示温材料を融着板の側面から被覆材の端面に容易に転写することができる。
【0019】
請求項6の被覆材接合体の製造方法では、被覆材はポリオレフィンにより形成されている。このため、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、ポリオレフィンが熱融着性に優れており、被覆材間の接合を速やかに行うことができると同時に、接合強度を高めることができる。
【0020】
請求項7の被覆材接合体の製造方法においては、被覆材は、内周部が架橋された発泡ポリエチレンにより形成され、外周部が未架橋の発泡ポリエチレンにより形成されている。従って、請求項6に係る発明の効果に加え、被覆材の内周部が配管の高熱に十分に耐えることができると共に、被覆材の外周部は良好な断熱性や保温性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の最良と思われる実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態の被覆材接合体の製造に使用する熱融着具について説明する。
図2(a)及び(b)に示すように、熱融着具10を構成するホルダ1の頭部1a(取付部)内において、固定支持腕2が取着されて位置決めされると共に、この固定支持腕2よりも上側で可動支持腕3が支軸4により上下方向Zへ回動可能に支持されている。加熱融着のための融着板5は下側の固定融着板6と上側の可動融着板8とにより構成され、固定融着板6が固定連結腕7に支持され、その固定連結腕7が前記固定支持腕2に対し着脱可能に連結されている。上側の可動融着板8は可動連結腕9に支持され、その可動連結腕9が前記可動支持腕3に対し着脱可能に連結されている。
【0022】
ホルダ1の頭部1aに対する前後方向Xの前側で、下側の固定融着板6はこの頭部1aから括れて下方へ延びる把持部1bの延設向き(下向き)側に配設され、上側の可動融着板8はその延設向きに対する反対向き(上向き)側に配設されている。この固定融着板6と可動融着板8とは、それぞれ半円の外周縁を有する板状をなしている。支軸4を中心とする回動方向Rで相対向する固定融着板6及び可動融着板8の割縁部11には半円状の割孔12が形成されている。
【0023】
前記ホルダ1内に組み付けられた開閉操作手段13(リンク機構)においては、把持部1bに対しその前側で隣接する操作レバー14が支軸15を中心に回動可能に支持され、前記可動支持腕3で左右方向Yの両側に支持された連動軸16に連動リンク17が回動可能に支持されている。この操作レバー14と一体的に回動する連動レバー18とこの連動リンク17とが連動軸19により互いに回動可能に連結されている。従って、図2(b)に示すように、この操作レバー14をばね15aの弾性力に抗して把持部1b側へ押すと、連動レバー18と連動リンク17とを介して可動支持腕3が支軸4を中心に上方へ回動し、可動融着板8が固定融着板6に対し上方へ回動して上下両融着板8,6が互いに開く開状態Pとなる。一方、図2(a)に示すように、この操作レバー14を離すと、ばね15aの弾性力により操作レバー14が復帰して、連動レバー18と連動リンク17とを介して可動支持腕3が支軸4を中心に下方へ回動し、可動融着板8が固定融着板6に対し下方へ回動して上下両融着板8,6が互いに閉じる閉状態Qとなる。
【0024】
この上下両融着板8,6の閉状態Qでは、固定融着板6及び可動融着板8が割縁部11で互いに重合されて円板状をなし、固定融着板6と可動融着板8との間の中央部で割縁部11の割孔12により環状(円形状)の挿通孔20が形成される。この固定融着板6及び可動融着板8は加熱し易いニッケル、ニッケル合金、アルミニウム等の金属により形成され、挿通孔20の中心線方向(左右方向Y)の両側で挿通孔20の外周全体に半円形状の側面21が形成されている。この両側面21には、フッ素樹脂やシリコーン樹脂など、被加熱面に対する分離性の良い樹脂をコーティングした分離層としての分離用シート22が貼着されている。この分離用シート22に代えて、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの被加熱面に対する分離性の良い樹脂をその両側面21にコーティングして分離層を形成してもよい。
【0025】
この固定融着板6内及び可動融着板8内には加熱手段としてのヒータ23が嵌め込まれ、そのヒータ23により両側面21が発熱して加熱面として機能する。前記ホルダ1の把持部1bにおいて操作レバー14に対する反対側にはスイッチ24aが取り付けられ、把持部1bを把持してそのスイッチ24aを手指で押すとヒータ23等がオンし、把持部1bをスイッチ24aと共に離すとスイッチ24aが切れてヒータ23等がオフになるように構成されている。
【0026】
前記ホルダ1の把持部1bにおいて操作レバー14に隣接する側には操作レバー14の操作時に手で押すことができる一対のスイッチ24bが左右方向Yへ並設されている。そして、融着作業の開始時に被覆材31の厚さに応じていずれかのスイッチ24bを押すと、2種類の融着作業時間(例えば被覆材31の厚さが薄い場合には5秒、又は厚さが厚い場合には10秒)のうちいずれかの融着作業時間のカウントが開始された後に終了し、それを確認して融着作業を終えることができるようになっている。
【0027】
図2(b)に示すように、前記上下両融着板8,6の開状態Pでは、固定融着板6及び可動融着板8の割縁部11が互いに離間すると共に、閉状態Qで前記挿通孔20を形成する割孔12も互いに離間し、この割縁部11間に挿脱許容空間Sが形成される。
【0028】
図1(c)に示すように、前記上下両融着板8,6において、固定連結腕7及び可動連結腕9から一体に形成されたストッパ25は、固定融着板6及び可動融着板8で割縁部11の両端部11a,11b間を結ぶ外周面26に沿ってその外周面の全体にわたり延び、その外周面側から両側面21側へ突出する帯体27を有している。そして、固定融着板6と可動融着板8との閉状態Qで互いに連続して円環状をなし、両側面21を囲うようになっている。前記ストッパ25の左右両帯体27の全体には視認手段として多数の視認孔27aが縦横に並べられて貫設されている。この各視認孔27aにより、ストッパ25の内側にある側面(加熱面)21をそのストッパ25の外側から視認することができる。
【0029】
図1(a)に示すように、固定融着板6及び可動融着板8の側面(片面)21上には、固定融着板6及び可動融着板8がヒータ23で加熱された状態で、ペン型容器28内に収容された示温材料が擦り付けられるようにして塗布される。そして、図1(b)に示すように、示温材料が固定融着板6及び可動融着板8の表面で加熱されて着色し、前記分離用シート22上に着色層29が形成されるようになっている。この場合、示温材料は融着板8,6の少なくとも外周部に塗布して着色層29を形成することが好ましい。
【0030】
この状態で、配管30を被覆する被覆材(保温材)31の端面31cを両融着板6、8の両側面21に圧接することにより、被覆材31の両端面31cが溶融して溶融層32が形成されると共に、着色層29が被覆材31の端面31cに転写されて転写着色層33が形成される〔図3(d)参照〕。その後、熱融着具10を被覆材31の両端面31cから離間し、被覆材31の両端面31cを圧着することにより、被覆材31の端面31c間が溶融接合される。この場合、前記転写着色層33を視認することにより、被覆材31間の接合完了を確認することができるようになっている。
【0031】
前記被覆材31は、内周側の内側被覆材31aと外周側の外側被覆材31bとで構成されている。但し、この被覆材31は、例えば内側被覆材31aのみの単一層で構成したり、2層以上で構成したりすることもできる。前記内側被覆材31aは例えば高発泡架橋ポリエチレンにより形成され、外側被覆材31bは例えば高発泡非架橋ポリエチレンにより形成されている。配管30に直接接触する内側被覆材31aである高発泡架橋ポリエチレンは高発泡非架橋ポリエチレンよりも耐熱性に優れ、配管30の高熱に耐え得るように構成されている。
【0032】
係る被覆材31が溶融する温度は、例えば150〜250℃である。この温度が150℃より低い場合には被覆材31が溶融する時間が長くなったり、溶融が不十分になったりする一方、250℃より高い場合には被覆材31の種類によっては分解しやすくなる傾向を示す。また、配管30は、銅、鉄等の金属、又は架橋ポリエチレン、ポリブテン等の合成樹脂により形成されている。
【0033】
ここで、前記示温材料について説明する。該示温材料は、示温顔料、バインダー用樹脂及び有機溶剤、さらに所望の添加剤を含有する液体状のもの又は熱溶融性物質、バインダー用樹脂及び添加剤を含有する固体状のものである。これらの構成成分について順に説明する。
(示温顔料)
この示温顔料は、所定の温度範囲例えば150〜250℃で不可逆的に変色する顔料である。係る示温顔料として具体的には、ヘキサアミンコバルト(III)リン酸錯塩、シュウ酸銅・シュウ酸銅カリウム錯塩、トリオキサラトコバルト(III)酸カリウム、水酸化銅、カルボナートテトラアミンコバルト(III)硝酸錯塩、シュウ酸ビスマス等が挙げられる。
(熱溶融性物質)
この熱溶融性物質は、所定の温度範囲例えば200〜250℃で溶融する物質である。係る熱溶融性物質として具体的には、2−アミノ−4−クロロ安息香酸、硫酸アンモニウム、L−アルギニン、DL−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン一水和物、ベンジルジオキシム、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ビスマス(III)、カフェイン、カフェイン一水和物、2−クロロイソニコチン酸、L−シトルリン、2,4−ペンタンジオン酸銅(II)水和物、3,5−ジアミノ安息香酸、ジエチルアンモニウムクロリド、1−(4−フルオロフェニル)ピペラジン二塩酸塩、ジベレリン酸、グリシン、(1−ヘキサデシル)トリメチルアンモニウムブロミド、L−ヒスチジン二塩酸塩、3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、4−メチル−5−イミダゾールメタノール塩酸塩、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、水酸化ニッケル(II)、2,4−ペンタンジオン酸ニッケル(II)水和物、2,4−ペンタンジオン酸ニッケル(II)、ニコチン酸、p−ニトロ安息香酸、L−オルニチン一塩酸塩、p−アルサニル酸、ペンタエリスリトール、フタル酸イミド、カリウムフッ化水素、フッ化水素カリウム、p−キノンジオキシム、サッカリン、酸化銀(I)、オレイン酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、クエン酸三カリウム一水和物、酢酸亜鉛二水和物、アクリフラビン塩酸塩、アロキサン、硫酸アルミニウム14〜18水和物、2−アミノアントラセン、1−アミノアントラキノン、リン酸二水素2−アミノエチル、2−アミノ−4−ニトロ安息香酸、2−アミノ−6−ニトロベンゾチアゾール、L−アルギニン、D−アスパラギン酸、バルビツール酸、水酸化硝酸酸化ビスマス、5−ブロモイサチン、2,3−ブタンジオンジオキシム、カルバゾール、酢酸セルロース、p−クロロ安息香酸、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン硫酸塩、クレアチニン、2,3−ジブロモコハク酸、4,6−ジヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2,3−ジヒドロキシピリジン、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物、4−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩、没食子酸無水物、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、ヘキサメチレンテトラミン、馬尿酸ナトリウム塩、硫酸ヒドラジン、ヒドロキノンスルホン酸カリウム、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、硫酸インジウム(III)水和物、2,4−ペンタンジオン酸リチウム、2,4−ペンタンジオン酸マグネシウム二水和物、マレイン酸ヒドラジド、2,4−ペンタンジオナトマンガン(II)、2,4−ペンタンジオン酸マンガン(II)、メタアルデヒド、p−メチルアミノフェノール硫酸塩、3,4−(メチレンジオキシ)ケイ皮酸、2−メチル−5−ニトロイミダゾール、ナフトール、ニコチン酸N−オキシド、ニンヒドリン一水和物、ニトリロ三酢酸、p−ニトロ安息香酸、塩酸L−オルニチン、フェノールフタレイン、塩化フェニルヒドラジニウム、塩化ピペリジニウム、カリウムt−ブトキシド、リン酸二水素カリウム、過マンガン酸カリウム、N−プロピルピペラジン二臭化水素酸塩、塩素酸ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、4,4'−スルホニルジフェノール、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、チアミン塩酸塩、塩酸p−トルイジン、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸一水和物、アクリル酸亜鉛(II)等が挙げられる。
(バインダー用樹脂)
バインダー用樹脂は、示温材料を適用する融着板8,6に対して示温材料を付着しやすくするためのもの又は熱溶融性物質と添加剤をスティック状(棒状)に固化するためのものである。係るバインダー用樹脂としては、例えばシリコーン樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、クマリン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート(MMA)−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、プロピルセルロース樹脂、酢酸−酪酸セルロース樹脂、硝酸セルロース樹脂、ポリクロロフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン610樹脂、ナイロン11樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンテレフタレート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エチルセルロース樹脂、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。
(有機溶剤)
有機溶剤は、主に示温材料の粘度を調整するためのもの又は熱溶融性物質、バインダー用樹脂及び添加剤を均一に混ぜるためのものである。この有機溶剤として具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、インキオイル、ソルベントナフサ、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、第二ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール、トリデシルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、ジペンテン、ヘプタン、メチルイソブチルカルビノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジエチルケトン、エチルアミルケトン、メチルシクロヘキサン、イソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。なお、バインダー用樹脂と有機溶剤が、予め溶液となっている市販の塗料用樹脂溶液や熱硬化性樹脂溶液等であってもよい。
(添加剤)
添加剤は、示温材料の着色性や視認性を向上させるためのものである。係る添加剤としては、例えばタルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、アルミナホワイト(Al・xHO)、クレー、沈降性硫酸バリウム、グロスホワイト、ファストイエローG、ファストイエロー10G、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、黄色酸化鉄、ジスアゾイエローHR、ジニトロアニリンオレンジ、ジスアゾオレンジPMP、ジスニシジンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ビリリアントファストスカーレット、ピラゾロンレッドB、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、バリウムリソールレッド、レーキレッドC、ブリリアンカーミン6B、ピグメントスカーレット3Bレーキ、べんがら、ナフトールレッドFGR、キナクリドンマゼンダ、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、フタロシアニンブルー、アルカリブルートーナー、紺青、群青、フタロシアニングリーン、カーボンブラック、蛍光顔料等が挙げられる。
【0034】
示温材料について具体的に示すと、例えば示温顔料としてヘキサアミンコバルト(III)リン酸錯塩26質量%、バインダー用樹脂としてシリコーン樹脂の溶液10質量%、有機溶剤としてトルエンとキシレンの質量比3:1の混合溶剤62質量%及び添加剤としてタルク2質量%の組成物〔粘度2Pa・s(2000cP)〕が挙げられる。この示温材料は、常温では薄黄橙色を示し、200℃に加熱すると青紫色に着色(変色)する。また、示温顔料としてシュウ酸銅・シュウ酸銅カリウム錯塩26質量%、バインダー用樹脂としてシリコーン樹脂の溶液15質量%、有機溶剤としてトルエンとキシレンの質量比3:1の混合溶剤57質量%及び添加剤としてタルク2質量%の組成物〔粘度2Pa・s(2000cP)〕が挙げられる。この示温材料は、常温では薄緑味青色を示し、250℃に加熱すると赤味灰色に着色(変色)する。
【0035】
示温材料の粘度は、0.1〜10Pa・s(100〜10000cP)であることが好ましく、0.3〜7Pa・s(300〜7000cP)であることがより好ましい。この粘度が0.1Pa・sよりも低い場合には示温材料が低粘度になって垂れやすくなるため塗布し難くなり、融着板8,6に十分に付着させることができなくなる一方、10Pa・sよりも高い場合には示温材料が高粘度になり過ぎて、ペン型容器28に収容された示温材料の吐出が困難になる。
【0036】
また、熱溶融性物質を主成分とするスティック状の示温材料について具体的に示すと、例えば熱溶融性物質としてp−クロロ安息香酸84質量%、予めバインダー用樹脂と有機溶剤が混ざった溶剤としてアクリル樹脂とn−ブチルアルコールとキシレンとの質量比2:1:4の混合溶剤15質量%、及び添加剤としてフタロシアニンブルー1質量%を混合する。その混合物を2〜3日間放置し、乾燥させる。その後、(品川式)ライカイ機で粉砕して混合粉体とし、その混合粉体10gを計量し、例えば図5に示すような圧搾用金型に入れ、圧力10MPaで圧搾する。
【0037】
ここで、図5に示す圧搾用金型について説明すると、雌側金型41の上面には成形用凹部43が凹設され、その内奥部に成形用空間部44が設けられている。この成形用空間部44に、前記混合粉体が収容される。一方、雄側金型45の下面には圧搾用凸部46が設けられ、雄側金型45が下降してその圧搾用凸部46が雌側金型41の成形用凹部43に嵌入されるようになっている(圧搾用凸部46の下面が図5の二点鎖線の位置まで嵌入)。そして、成形用空間部44内の混合粉体が圧搾用凸部46により圧搾され、スティック状に成形される。
【0038】
この示温材料の圧搾加工により常温ではスティック状で、約250℃に加熱された側面21上に押し当てることによって添加剤を含む熱溶融性物質が溶け出し、着色層29が形成される。
【0039】
次に、本実施形態における熱融着具10を使用し、被覆材31間を接合して被覆材接合体34を製造する方法について説明する。
図3(a)に示すように、配管30及びそれを被覆する被覆材31は、その長手方向の両側で分断されている。配管30の外表面30aと被覆材31の内周面31dとの間に隙間Gを形成することにより、拡管部や曲がり部において配管30を被覆材31内に挿通し易くしている。これらの配管30及び被覆材31を各々接続する際には、まず、図3(b)に示すように、配管30に対し被覆材31を長手方向へ移動させて両被覆材31の相対向する端面31cを互いに引き離す。そして、両被覆材31間で露出した一方の配管30の拡管部30bに他方の配管30の端部を嵌入した後、溶接することによって両配管30の端部を接続する。
【0040】
一方、図1(a)に示すように、熱融着具10の融着板8,6をヒータ23により所定温度に加熱し、その状態で融着板8,6の一方の側面21にペン型容器28の塗布部28aを、又はスティック状の示温材料を摺り付けるようにして示温材料を、又は熱溶融性物質と添加剤が溶けた着色溶液を付着させる。このようにして、図1(b)に示すように着色層29を形成する。このとき、融着板8,6の温度が所定温度まで上昇しておれば、示温材料は所定の色に変色するため、又は熱溶融性物質が所定の温度で溶融するため、加熱温度の確認をすることができる。
【0041】
次いで、図2(b)に示すように、前記熱融着具10の上下両融着板8,6を開状態Pにして固定融着板6及び可動融着板8の割縁部11間で挿脱許容空間Sに配管30を挿入した後、この上下両融着板8,6を図2(a)に示すように閉状態Qにすると、配管30が挿通孔20に嵌め込まれる。その後、図3(c)に示すように、上下両ストッパ25で円環状をなす左右両帯体27の内側へ両被覆材31を移動させて固定融着板6及び可動融着板8の両側面21にその両被覆材31の端面31cを押し当てると、それらの端面31cが同時に加熱されて図3(d)に示す溶融層32が形成される。同時に、図3(d)に示すように、両融着板6、8の表面に形成された着色層29が被覆材31の端面31cの溶融層32上に転写されて転写着色層33が形成される。
【0042】
続いて、上下両融着板8,6を開状態Pにして固定融着板6及び可動融着板8の割縁部11間の挿脱許容空間Sから配管30を離脱させると、図3(d)に示すように、溶融層32が形成されている両被覆材31の端面31cが長手方向で相対向する。このようにして熱融着具10の上下両融着板8,6を両被覆材31の端面31cから離間させた後瞬時に、溶融状態にある両被覆材31の端面31c同士を圧着させると、図4に示すように、その両端面31cの溶融層32が互いに熱融着されて接合される。そして、配管30の外周の被覆材31全体に熱融着による接合部(継ぎ目)35が形成されて被覆材接合体34が得られると同時に、その接合部35の外周部に所定の色に着色された転写着色層33が露出する。この転写着色層33を外部から視認することにより、両被覆材31の端面31c間の接合完了を確認することができる。
【0043】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の被覆材接合体34の製造方法では、融着板8,6を加熱した後、示温材料を融着板8,6の側面21に付着させて着色層29を形成し、その状態で被覆材31の端面31cを融着板8,6に押し当てることにより、示温材料が被覆材31の端面31cに転写されて転写着色層33が形成される。次いで、融着板8,6を被覆材31の端面31cから離間させて被覆材31の端面31c間を圧着することにより、被覆材31の端面31c間を接合して被覆材接合体34を形成でき、その接合部35に前記転写着色層33が形成される。このため、示温材料を融着板8,6に付着させて被覆材31に転写させた後圧着するという簡単な作業で被覆材31間の接合と転写着色層33の形成を行うことができる。従って、従来のように示温材料をリング部と短筒状ボスとで構成する必要がなく、被覆材31の接合と転写着色層33の形成を効率良く行うことができる。
【0044】
また、融着板8,6を加熱して被覆材31の端面31cを押し当てて溶融することから、従来のような側方へ突出する形状のヒータを使用する必要がなく、接合部35が狭い場所に位置していても接合を行うことができる。さらに、被覆材31間の接合後には接合部35に転写着色層33が形成され、接合部35において熱溶融された被覆材31が圧縮、押圧され、配管30の径よりややはみ出して盛り上がり、当該部分に形成された転写着色層33が位置するため、その転写着色層33を容易に視認することができる。
【0045】
よって、被覆材31の接合操作が容易であり、狭い場所でも接合操作を行うことができると共に、被覆材31間の接合を容易に確認することができる。
・ 前記示温材料は、示温顔料、バインダー用樹脂及び溶剤を含有する液体状のもの、又は熱溶融性物質、バインダー用樹脂及び添加剤を含有する固体状のものである。このため、示温顔料がバインダー用樹脂により融着板8,6に良好に付着され、さらに被覆材31の端面31cに転写され、被覆材31の接合部35に転写着色層33を容易に形成することができる。
【0046】
・ 示温材料を融着板8,6の側面21の外周部に付着させることにより、示温材料は被覆材31の端面31cの外周部に転写され、その転写着色層33が接合部35の外周部に形成される。このため、示温材料を融着板8,6の全面に塗布しなくとも、転写着色層33の視認性を向上させることができる。
【0047】
・ 示温材料は、融着板8,6の側面21上に設けられた被覆材31の端面31cを分離しやすくする分離用シート22の表面に付着されている。このため、融着板8,6の側面21に押し当てられた被覆材31の端面31cを融着板8,6の側面21から分離しやすくすることができると共に、示温材料を融着板8,6の側面21から被覆材31の端面31cに容易に転写することができる。
【0048】
・ 被覆材31はポリオレフィンにより形成されていることにより、ポリオレフィンが熱融着性に優れており、被覆材31間の接合を速やかに行うことができると同時に、接合強度を高めることができる。
【0049】
・ 被覆材31は、内周部が架橋された発泡ポリエチレンにより形成され、外周部が未架橋の発泡ポリエチレンにより形成されていることにより、被覆材31の内周部が配管30の高熱に十分に耐えることができると共に、被覆材31の外周部は良好な断熱性や保温性を発揮することができる。
【0050】
なお、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
〇 前記着色層29を融着板8,6の両側面21に形成し、接合部35の転写着色層33による視認性を高めるように構成することもできる。
【0051】
〇 着色部として、融着板8,6の側面21の特定箇所、例えば上端部のみに形成することも可能である。
〇 着色層29を融着板8,6の側面21の外周部において厚くなるように形成し、転写着色層33を厚くしてその転写着色層33による視認性を向上させるように構成することもできる。
【0052】
〇 前記分離層としての分離用シート22を融着板8,6の側面21の一部に設けたり、省略したりすることも可能である。
〇 前記熱融着具10を、両帯体27を備えたストッパ25を省略し、簡易な構造に変更することもできる。
【0053】
〇 前記熱融着具10の可動融着板8が固定融着板6に対して上下方向Zに平行状態を保持しながら移動するように構成する等、熱融着具10の構成を変更することもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0054】
・ 前記示温材料の粘度は、0.1〜10Pa・sであることを特徴とする請求項2に記載の被覆材接合体の製造方法。このように構成した場合、請求項2に係る発明の効果に加え、示温材料の塗布作業を容易に行うことができると共に、融着板に対する付着性を向上させることができる。
【0055】
・ 前記示温材料は、スティック状のものであることを特徴とする請求項3に記載の被覆材接合体の製造方法。このように構成した場合、請求項3に係る発明の効果に加え、示温材料を溶融させて塗布作業を容易に行うことができると共に、融着板に対する付着性を向上させることができる。
【0056】
・ 前記分離層は、フッ素樹脂又はシリコーン樹脂により形成されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の被覆材接合体の製造方法。このように構成した場合、請求項5から請求項7のいずれか一項に係る発明の効果に加え、融着板の側面から被覆材の端面を良好に分離させることができる。
【0057】
・ 前記融着板は、固定融着板と可動融着板とにより開閉可能に構成され、固定融着板と可動融着板とが閉じた状態で配管が挿通される挿通孔を有するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の被覆材接合体の製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項7のいずれか一項に係る発明の効果に加え、可動融着板を固定融着板から開いた状態で融着板を被覆材の端面間に配置して閉じ、その状態で被覆材の端面を溶融させた後、可動融着板を固定融着板から開き、被覆材の端面間を融着させることによって被覆材の接合を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】(a)は実施形態における熱融着具の融着板側面に示温材料を塗布している状態を示す正面図、(b)は融着板を示す断面図及び(c)は融着板を示す斜視図。
【図2】(a)は固定融着板と可動融着板とが閉じている状態を示す要部破断正面図及び(b)は可動融着板が固定融着板に対して開いている状態を示す要部破断正面図。
【図3】(a)は配管及び被覆材の端部が対向している状態を示す断面図、(b)は一方の配管の拡管部と他方の配管の端部とを接続した状態を示す断面図、(c)は被覆材の端面間に融着板を配置した状態を示す要部断面図及び(d)は被覆材の端面間から融着板を離間させた状態を示す断面図。
【図4】図3(d)の状態から被覆材の端面間を圧着して融着させた状態を示す断面図。
【図5】スティック状の示温材料を成形するための圧搾用金型を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0059】
5…融着板、6…融着板としての固定融着板、8…融着板としての可動融着板、10…熱融着具、21…側面、22…分離層としての分離用シート、29…着色層、30…配管、31…被覆材、31c…端面、33…転写着色層、34…被覆材接合体、35…接合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を被覆する被覆材の端面を熱融着具の加熱された融着板によって溶融し、被覆材の両端面を融着して被覆材接合体を製造する方法であって、
前記融着板を被覆材が溶融する温度に加熱した後、当該温度で着色する示温材料を融着板の側面の少なくとも片面に付着させて着色層を形成し、その状態で被覆材の端面を融着板に押し当てて示温材料を被覆材の端面に転写して転写着色層を形成し、次いで融着板を被覆材の端面から離間させて被覆材の端面間を圧着し、被覆材の端面間を接合して被覆材接合体を形成すると共に、被覆材の接合部に前記転写着色層が形成されることを特徴とする被覆材接合体の製造方法。
【請求項2】
前記示温材料は、示温顔料、バインダー用樹脂及び溶剤を含有する液体状のものであることを特徴とする請求項1に記載の被覆材接合体の製造方法。
【請求項3】
前記示温材料は、熱溶融性物質、バインダー用樹脂及び添加剤を含有する固体状のものであることを特徴とする請求項1に記載の被覆材接合体の製造方法。
【請求項4】
前記示温材料を融着板の側面の外周部に付着させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被覆材接合体の製造方法。
【請求項5】
前記示温材料は、融着板の側面上に設けられた被覆材の端面を分離しやすくする分離層の表面に付着されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の被覆材接合体の製造方法。
【請求項6】
前記被覆材は、ポリオレフィンにより形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の被覆材接合体の製造方法。
【請求項7】
前記被覆材は、内周部が架橋された発泡ポリエチレンにより形成され、外周部が未架橋の発泡ポリエチレンにより形成されていることを特徴とする請求項6に記載の被覆材接合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−243625(P2009−243625A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92753(P2008−92753)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(000232922)日油技研工業株式会社 (67)
【Fターム(参考)】