説明

被覆粒状農薬組成物及びその製造法

【課題】農薬活性化合物の徐放性能を適宜調整することが可能な、粒状農薬組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】粉状農薬組成物が熱硬化性樹脂で固められ被覆されてなる被覆粒状農薬組成物;並びに、粉状農薬組成物と熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料とを混合する工程、前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで粒状農薬を得る工程、及び前工程で得られた粒状農薬に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程を有する被覆粒状農薬組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆粒状農薬組成物及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬効の持続、薬害の軽減等を目的として、農薬活性化合物を徐放化することのできる農薬製剤が、各種提案されている。このような徐放性農薬製剤としては、農薬活性化合物を含有する液体をマイクロカプセル化したもの(例えば、特許文献1参照)、農薬活性化合物を含有する顆粒を被覆したもの(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−314032号公報
【特許文献2】特開平11−005704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農薬活性化合物の徐放性能を有する被覆粒状農薬組成物及びその製造法を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、農薬活性化合物の徐放性能を有する被覆粒状農薬組成物について、鋭意検討を重ねた結果、粉状農薬組成物が熱硬化性樹脂で固められ被覆されてなる被覆粒状農薬組成物を見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
粉状農薬組成物が、熱硬化性樹脂で固められ被覆されてなる被覆粒状農薬組成物。
[発明2]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂、尿素樹脂又はエポキシ樹脂である発明1に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明3]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂である発明1に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明4]
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である発明1に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明5]
粉状農薬組成物が農薬活性化合物と希釈粉体とを含有する組成物である発明1〜4のいずれかに記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明6]
希釈粉体が鉱物質粉体である発明5に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明7]
粉状農薬組成物が農薬活性化合物として5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド又は(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンを含有する組成物である発明1〜4のいずれかに記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明8]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜100μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が10〜200μmである発明1〜7のいずれかに記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明9]
以下の工程を有することを特徴とする被覆粒状農薬組成物の製造方法。
(1)粉状農薬組成物と熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料とを混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、
(3)該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで粒状農薬を得る工程、及び
(4)前工程で得られた粒状農薬に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程。
[発明10]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂又は尿素樹脂であり、第1液状原料がポリオール又はポリアミンであり、第2液状原料がポリイソシアネートである発明9に記載された製造方法。
[発明11]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂であり、第1液状原料がポリオールであり、第2液状原料がポリイソシアネートである発明9に記載された製造方法。
[発明12]
ポリオールの粘度が1000mPa・s(25℃)以下であり、ポリイソシアネートの粘度が300mPa・s(25℃)以下である発明11に記載された製造方法。
[発明13]
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、第1液状原料がポリアミンであり、第2液状原料がポリグリシジルエーテル又はポリグリシジルアミンである発明9に記載された製造方法。
[発明14]
粉状農薬組成物が農薬活性化合物と希釈粉体とを含有する組成物である発明9〜13のいずれかに記載された製造方法。
[発明15]
粉状農薬組成物が農薬活性化合物として5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド又は(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンを含有する組成物である発明9〜13のいずれかに記載された製造方法。
【0007】
[発明16]
粉状農薬組成物が、熱硬化性のウレタン樹脂で固められ被覆されてなる被覆粒状農薬組成物。
[発明17]
粉状農薬組成物が20℃で固体の農薬活性化合物と鉱物質粉体とを含有する組成物である発明16に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明18]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜100μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が10〜200μmである発明17に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明19]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜30μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が20〜150μmである発明17に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明20]
回転する羽根を備えた容器内にて、以下の工程が行われることを特徴とする被覆粒状農薬組成物の製造方法。
(1)粉状農薬組成物と熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料とを混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、
(3)該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで粒状農薬を得る工程、及び
(4)前工程で得られた粒状農薬に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程。
[発明21]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂であり、第1液状原料がポリオールであり、第2液状原料がポリイソシアネートである発明20に記載された製造方法。
[発明22]
粉状農薬組成物が20℃で固体の農薬活性化合物と鉱物質粉体とを含有する組成物である発明21に記載された製造方法。
[発明23]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜100μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が10〜200μmである発明22に記載された製造方法。
[発明19]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜30μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が20〜150μmである発明22に記載された製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の被覆粒状農薬組成物は、使用する熱硬化性樹脂の種類や量を適宜変更することにより、農薬活性化合物の徐放性能を容易に変更することが可能である。また、本発明の被覆粒状農薬組成物の製造方法によれば、水等の分散媒体に対して溶解度の高い農薬活性化合物、水等の分散媒体の存在下で不安定な農薬活性化合物であっても、被覆粒状農薬組成物を製造することが可能である。また、製造において、水等の液体媒体との分離や乾燥等の操作も不要である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、粉状農薬組成物が熱硬化性樹脂で固められ被覆されてなる被覆粒状農薬組成物(以下、本粒状農薬組成物と記す。)である。本粒状農薬組成物は、例えば次のようにして製造される。即ち、その製造方法(以下、本発明製造方法と記す。)は、(1)粉状農薬組成物と熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料とを混合する工程、(2)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、(3)該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで粒状農薬を得る工程、及び、(4)前工程で得られた粒状農薬に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程、を備える。工程(1)においては、通常、粉状農薬組成物を容器内にて転動させながら、熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料を添加し、該粉状農薬組成物と該第1液状原料とを容器内にて転動させ混合する。工程(2)においては、通常、前工程にて得られた混合物を容器内にて転動させながら、熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する。工程(3)においては、通常、前工程にて得られた混合物に回転する羽根でせん断力を与えながら、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、熱硬化性樹脂を生成させることで粉状農薬組成物が熱硬化性樹脂を介在して凝集した粒状農薬を得る。工程(4)においては、通常、前工程で得られた粒状農薬を容器内にて転動させながら、熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、得られた混合物に回転する羽根でせん断力を与えながら、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する。また、工程(4)は必要により複数回繰り返される。
【0010】
本発明において、用いられる粉状農薬組成物(以下、本粉状農薬と記す。)の体積中位径は通常1〜100μm、好ましくは1〜30μmであり、得られる粒状農薬組成物(以下、本粒状農薬組成物と記す。)の体積中位径は通常10〜200、好ましくは20〜150μmである。本発明において、本粉状農薬は粉末状の農薬活性化合物の単独でもよいが、通常、農薬活性化合物と希釈粉体とを含有する組成物であり、好ましくは実質的に農薬活性化合物と希釈粉体とからなる組成物である。本粒状農薬組成物の体積中位径は、通常、原料として用いた本粒状農薬の体積中位径の3〜10倍である。
なお、体積中位径は、MALVERN製MASTERSIZER2000等のレーザー回折式粒子径測定機によって測定することができる。
【0011】
本発明において、農薬活性化合物としては、一般的に殺虫化合物、殺菌化合物、除草化合物、昆虫成長制御化合物、植物成長制御化合物等を挙げることができ、例えば次に示す化合物を具体的に挙げることができる。これらは、常温(20℃)において固体であるが、より融点の高い、例えば50℃において固体であるものが好ましい。
【0012】
殺虫化合物としては、デルタメトリン、トラロメトリン、アクリナトリン、テトラメトリン等のピレスロイド系化合物;プロポキサー、イソプロカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、XMC、カルバリル、ピリミカルブ、カルボフラン、メソミル、フェノキシカルブ等のカーバメート系化合物;アセフェート、トリクロルホン、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、ピリダフェンチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル等の有機リン系化合物;ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、シロマジン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−(6−ヨード−3−ピリジルメトキシ)ピリダジン−3(2H)−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアゾン−4−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア等のウレア系化合物;イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ニテンピラム、ジアクロデン等のクロロニコチル系化合物;カルタップ、ブプロフェジン、チオシクラム、ベンスルタップ、フェノキシカルブ、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ヒドラメチルノン、チオジカルブ、クロルフェナピル、フェンプロキシメート、ピメトロジン、ピリミジフェン、テブフェノジド、テブフェンピラド、トリアザメート、インドキサカーブ、スルフルラミド、ミルベメクチン、アベルメクチン、ホウ酸、パラジクロロベンゼン等を挙げることができる。
【0013】
殺菌化合物としては、ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール系化合物;ジエトフェンカルブ等のフェニルカーバメート系化合物;プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド系化合物;ジニコナゾール、プロペナゾール、エポキシコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、トリアジメフォン等のアゾール系化合物;メタラキシル等のアシルアラニン系化合物;フラメトピル、メプロニル、フルトラニル、トリフルザミド等のカルボキシアミド系化合物;トルクロホスメチル、フォセチルアルミニウム、ピラゾホス等の有機リン系化合物;ピリメサニル、メパニピリム、シプロジニル等のアニリノピリミジン系化合物;フルジオキソニル、フェンピクロニル等のシアノピロール系化合物;ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシン等の抗生物質;アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、SSF−126等のメトキシアクリレート系化合物;クロロタロニル、マンゼブ、キャプタン、フォルペット、トリシクラゾール、ピロキロン、プロベナゾール、フサライド、シモキサニル、ジメトモルフ、CGA245704、ファモキサドン、オキソリニック酸、フルアジナム、フェリムゾン、ジクロシメット、クロベンチアゾン、イソバレジオン、テトラクロオロイソフタロニトリル、チオフタルイミドオキシビスフェノキシアルシン、3−アイオド−2−プロピルブチルカーバメイト、パラヒドロキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等を挙げることができる。
【0014】
除草化合物としては、アトラジン、メトリブジン等のトリアジン系化合物;フルオメツロン、イソプロチュロン等のウレア系化合物;ブロモキシニル、アイオキシニル等のヒドロキシベンゾニトリル系化合物;ペンディメサリン、トリフルラリン等の2、6―ジニトロアニリン系化合物;2,4−D、ジカンバ、フルロキシピル、メコプロップ等のアリロキシアルカノイック酸系化合物;ベンスルフロンメチル、メツルフロンメチル、ニコスルフロン、プリミスルフロンメチル、シクロスルファムロン等のスルホニルウレア系化合物;イマザピル、イマザキン、イマゼタピル等のイミダゾリノン系化合物;ビスピリバックNa塩、ビスチオバックNa塩、アシフルオルフェンNa塩、サルフェントラゾン、パラコート、フルメツラム、トリフルスルフロンメチル、フェノキサプロップ−p−エチル、ジフルフェニカン、ノルフルラゾン、イソキサフルトール、グルフォシネートアンムニウム塩、グリフォセート、ベンタゾン、メフェナセット、プロパニル、フルチアミド、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン等を挙げることができる。
【0015】
植物成長調節化合物としては、マレイックヒドラジド、クロルメカット、エテフォン、ジベレリン、メピカットクロライド、チジアズロン、イナベンファイド、パクロブトラゾール 、ウニコナゾール等を挙げることができる。昆虫忌避剤としては、1S,3R,4R,6R−カラン−3、4−ジオール、ジプロピル 2,5−ピリジンジカルボキシレート等を挙げることができる。
【0016】
本発明において、本粉状農薬が農薬活性化合物と希釈粉体とを含有する組成物である場合、農薬活性化合物の量は本粉状農薬に対して通常1〜95重量%、好ましくは10〜90重量%であり、希釈粉体の量は本粉状農薬に対して通常5〜99%、好ましくは10〜90%である。
本粉状農薬中に希釈粉体を存在させる目的は、体積中位径が1〜100μmの本粉状農薬を製造する際の粉砕性の改善、本粉状農薬の流動性等の粉体物性の改善や、本粉状農薬の粉塵爆発下限等の防災物性の改善等である。希釈粉体の体積中位径は1〜100μmの範囲である。
希釈粉体は、通常、農薬粉剤において用いられる粉状の固体担体を使用することができ、一般には鉱物質粉体が一般的であり、鉱物質粉体としては、
例えばカオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト等のモンモリロナイト鉱物、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等のスメクタイト、パイロフィライト、タルク、蝋石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、炭酸カルシウム、ギプサム、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土などが挙げられる。これらの固体担体は単独で用いてもよく、あるいは2種以上併用してもよい。比重が大きな固体担体が好ましく用いられる。
本粉状農薬は、農薬活性化合物及び希釈粉体の他に、本粉状農薬に対して30重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲にて、界面活性剤、安定化剤、着色剤、香料等の農薬補助剤を含有していてもよい。
【0017】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤、ドデシルアミン塩酸塩などのアルキルアミン塩酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩などのアルキル四級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ポリアルキルビニルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウムなどのエーテルカルボン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸のアミノ酸縮合物、高級アルキルスルホン酸塩、ラウリン酸エステルスルホン酸塩などの高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、ジオクチルスルホサクシネートのどのジアルキルスルホコハク酸塩、オレイン酸アミドスルホン酸などの高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸塩などのアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ペンタデカン−2−サルフェートなどの高級アルコール硫酸エステル塩、ジポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸塩等のポリオキシエチレンアルキルリン酸塩、スチレン−マレイン酸塩共重合体等のアニオン性界面活性剤、N−ラウリルアラニン、N,N,N−トリメチルアミノプロピオン酸、N,N,N−トリヒドロキシエチルアミノプロピオン酸、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアミノ酢酸、1−(2−カルボキシエチル)ピリミジニウムベタイン、レシチン等の両性界面活性剤などが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化菜種油等のエポキシ化植物油、イソプロピルアシッドホスフェート、流動パラフィン、エチレングリコールなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、ローダミンB,ソーラーローダミンなどのローダミン類、黄色4号、青色1号、赤色2号などの色素等が、香料としては、例えば、アセト酢酸エチル、エナント酸エチル、桂皮酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル系香料、カプロン酸、桂皮酸等の有機酸系香料、桂皮アルコール、ゲラニオール、シトラール、デシルアルコール等のアルコール系香料、バニリン、ピペロナール、ペリルアルデヒド等のアルデヒド類、マルトール、メチルβ−ナフチルケトン等のケトン系香料、メントールなどが挙げられる。
本粉状農薬は、農薬活性化合物、必要により希釈粉体、更に必要により農薬用補助剤を混合し、粉砕して得られる。また、予め粉末状に粉砕された各々を混合して得ることもできる。
【0018】
本粉状農薬を固めて被覆する熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、尿素樹脂、ウレタン−尿素樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。本発明においては、熱硬化性樹脂としてはウレタン樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂は一般的に、2種類の異なる液状原料を反応させて得られ、本粒状農薬組成物は、例えば、本粉状農薬と熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料とを混合し、次いで得られた混合物に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加し、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させて粒状農薬を得て、更に得られた粒状農薬に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆することにより製造することができる。
第1液状原料及び第2液状原料は、夫々必ずしも1種の成分のみから構成されるもののみに限定されず、混合物であってもよい。
【0019】
ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアナートとを液状原料とする熱硬化性樹脂である。ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとを、例えば40〜100℃に加熱して反応させることにより生成する。その際、必要により有機金属やアミン等の硬化触媒の存在下に反応させる場合もある。
ポリオールとしては、縮合系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリ(メタ)アクリル酸ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、天然ポリオールやその変性物等が挙げられる。縮合系ポリエステルポリオールは、通常、ポリオールと二塩基酸との縮合反応によって得られる。ポリエーテルポリオールは、通常、多価アルコール等にプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付加重合によって得られる。ポリ(メタ)アクリル酸ポリオールは、通常、ポリ(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、または、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合反応によって得られる。ラクトン系ポリエステルポリオールは多価アルコールを開始剤とするε−カプロラクトンの開環重合によって得られる。ポリカーボネートポリオールは、通常、グリコールとカーボネートとの反応によって得られ、ポリオールとしては、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレンジオール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、および.これらのオリゴマー等が挙げられる。
本発明において使用するポリオールとしては、分岐型ポリオールと直鎖型ポリオールとを、夫々のポリオール中に存在する水酸基の数が40:60〜100:00の比率になるように混合したものが好ましい。分岐型ポリオールとは、分子中に3個以上の水酸基を有するポリオールであり、分子中に3個の水酸基を有するポリオールが好ましい。直鎖型ポリオールとは、分子中に2個の水酸基を有するポリオールであり、通常は分子の両末端に水酸基を有する。
また、本発明において使用するポリオールとしては、OH当量が100以下の直鎖型ポリオールとOH当量が100以上の直鎖型ポリオールとを、夫々のポリオール中に存在する水酸基の数が40:60〜100:00の比率になるように混合したものも好ましい。OH当量が100以下の直鎖型ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト、及び、これらの混合物等が挙げられる。なお、上記のポリイソシアネートモノマーに代えて、流動性を有する限りにおいて、これらの変性体やオリゴマーを用いることもできる。変性体としては、アダクト変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、ブロック変性体、プレポリマー変性体、2量化変性体等が挙げられる。アニリンとホルマリンの縮合によりポリアミンを経て、これをホスゲン化して得られるポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)が、反応制御が容易である点ならびに蒸気圧が低く作業性に優れる点で好ましい。
必要により用いられる該硬化触媒としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチルチオ錫酸、オクチル酸第一錫、ジ−n−オクチル錫ジラウレートなどの有機金属、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルジドデシルアミン、N−ドデシルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、オキシイソプロピルバナデート、n−プロピルジルコネート、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。ウレタン樹脂の原料であるポリイソシアネートとポリオールは通常モノマー単独で使用される。
【0020】
尿素樹脂は、ポリアミンとポリイソシアナートとを液状原料とする熱硬化性樹脂である。
ポリイソシアネートとしては、前記のポリイソシアネートが挙げられる。
ポリアミンとしては、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラアミン等が挙げられる。
【0021】
ウレタン−尿素樹脂は、ポリイソシアネートと、ポリオールおよびポリアミンとを液状原料とする熱硬化性樹脂である。
【0022】
エポキシ樹脂は、硬化剤とグリシジル基含有の化合物とを液状原料とする熱硬化性樹脂である。本発明においては、硬化剤としてはポリアミンが好ましく、グリシジル基含有の化合物としては、ポリグリシジルエーテル又はポリグリシジルアミンが好ましい。
好ましい硬化剤である該ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、イソホロンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンセンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ポリアミド変性ポリアミン、ケトン変性ポリアミン、エポキシ変性ポリアミン、チオ尿素変性ポリアミン、マンニッヒ変性ポリアミン、マイケル付加変性ポリアミン等が挙げられる。
好ましいグリシジル基含有の化合物である該ポリグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ポリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ナフタレン型ポリグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールS型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAF型ポリグリシジルエーテル、ビフェニル型ポリグリシジルエーテル、フルオレイン型ポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型ポリグリシジルエーテル、O−クレゾールノボラック型ポリグリシジルエーテル、DPPノボラック型ポリグリシジルエーテル、トリスヒドロキシフェニルメタン型ポリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタン型ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
好ましいグリシジル基含有の化合物である該ポリグリシジルアミンとしては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型ポリグリジジルアミン、ヒダントイン型ポリグリシジルアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアモノメチル)シクロヘキサン、アニリン型ポリグリシジルアミン、トルイジン型ポリグリシジルアミン、トリグリシジルイソシアヌレート型ポリグリシジルアミン、アミノフェノール型ポリグリシジルアミン等が挙げられる。
【0023】
ウレタン樹脂において、第1液状原料としてポリオール(2種以上のポリオールの混合物も含む)又はポリイソシアネート(2種以上のポリイソシアネートの混合物も含む)のいずれを用いてもよいが、好ましくは第1液状原料としてポリオールが用いられ、第2液状原料としてポリイソシアネートが用いられる。尚、硬化触媒を用いる場合は、硬化触媒は第1液状原料又は第2液状原料のいずれに添加されていてもよい。
尿素樹脂において、第1液状原料としてポリアミン(2種以上のポリアミンの混合物も含む)又はポリイソシアネート(2種以上のポリイソシアネートの混合物も含む)のいずれを用いてもよいが、好ましくは第1液状原料としてポリアミンが用いられ、第2液状原料としてポリイソシアネートが用いられる。
ウレタン−尿素樹脂において、好ましくは第1液状原料としてポリアミンとポリオールの混合物が用いられ、第2液状原料としてポリイソシアネートが用いられる。
エポキシ樹脂において、好ましくは第1液状原料としてポリアミンが用いられ、第2液状原料としてポリグリシジルエーテル又はポリグリシジルアミンが用いられる。
本発明において、第1液状原料及び第2液状原料は、通常2000mPa・s以下の粘度である。
本発明において好ましくは、ウレタン樹脂の原料であるポリオールの粘度は1000mPa・s以下、更に好ましくは800mPa・s以下(B型粘度計、25℃、12回転)であり、ポリイソシアネートの粘度は300mPa・s以下、更に好ましくは200mPa・s以下(B型粘度計、25℃、12回転)である。
【0024】
次に本発明製造方法の4つの工程について、説明する。
工程(1)は、本粉状農薬を液体媒体に分散させることない乾式条件下において、通常、本粉状農薬を容器内で転動させながら容器に第1液状原料を添加することにより、本粉状農薬と第1液状原料とを混合して、本粉状農薬と第1液状原料との混合物を得る工程である。本粉状農薬と第1液状原料との混合物を容器内にて適当な時間転動させることにより、本粉状農薬における個々の粒子が第1液状原料により被覆された状態となる。
工程(1)は通常、0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われる。安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
【0025】
工程(1)において、本粉状農薬を乾式条件下に容器内で転動させる方法としては、例えば以下に示すような方法が用いられる。
a)本粉状農薬が入ったパン型またはドラム型形状の容器を斜め又は水平軸の周りに回転させる方法;
b)本粉状農薬が入った容器にて、容器の底面部の直径と同程度の大きさの攪拌羽根を設置し、これを回転させる方法;
c)本粉状農薬が入った容器にて、本粉状農薬に気流を当てる方法。
工程(1)において、転動状態にある本粉状農薬に対して、第1液状原料を添加されると、第1液状原料は本粉状農薬の個々の粒子の表面上に延展され、本粉状農薬の個々の粒子が第1液状原料により被覆された状態となる。さらに転動状態を続けることにより、通常、第1液状原料が本粉状農薬の全ての粒子表面にほぼ均一に行き渡る。
工程(1)において、第1液状原料で本粉状農薬の全ての粒子を均一に被覆する為に、粘度の低い(例えば、1000mPa・s(25℃)以下)第1液状原料を用いることが好ましい。
【0026】
工程(2)は、前工程(1)で得られた混合物、即ち本粉状農薬と第1液状原料との混合物を容器内で転動させながら、該容器に第2液状原料を添加することにより、本粉状農薬と第1液状原料と第2液状原料との混合物を得る工程である。
工程(2)は通常、工程(1)と同じ温度、即ち0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われる。安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
【0027】
工程(2)において添加される第2液状原料は、前の工程(1)で添加された第1液状原料における反応性官能基の当量に対して、第2液状原料における反応性官能基の当量が通常、0.9〜1.05、好ましくは0.95〜1.00となるような量を用いる。
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂で、第1液状原料がポリオールである場合、第2液状原料はポリイソシアネートとなるが、前の工程(1)で用いられたポリオールにおける水酸基(OH)の当量に対して、工程(2)で添加されるポリイソシアネートにおけるイソシアネート基(NCO)の当量が0.8〜1.1、好ましくは0.9〜1.1、更に好ましくは0.95〜1.05となるように、ポリイソシアネートの量を適宜調整する。
工程(2)において、添加された第2液状原料は、本粉状農薬と第1液状原料との混合物と混合される際、第2液状原料の粘度が低いことが好ましい。工程(2)において、粘度の低い(例えば、300mPa・s(25℃)第2液状原料を用いることが好ましい。
【0028】
工程(3)は、前の工程(2)で得られた混合物に、通常、回転する羽根等を用いてせん断力を与えながら、第1液状原料と第2液状原料とを反応させて、熱硬化性樹脂を生成させる工程である。未硬化の熱硬化性樹脂を硬化する際に、本粉状農薬が該熱硬化性樹脂を介在して凝集し、粒状農薬を与える。
工程(3)は通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われるが、更に好ましくは40〜80℃で行われる。工程(1)及び工程(2)と同じ温度にて行うことが操作上簡便である。本工程も、安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
工程(3)の操作温度、熱硬化性樹脂の種類、硬化触媒の有無等の条件により、未硬化の熱硬化性樹脂が硬化するまでに必要な時間が変化する。熱硬化性樹脂の硬化速度が十分に速い場合には、工程(2)における第2液状原料の全てを添加し終わる前に、実質的に工程(3)における第1液状原料と第2液状原料と反応が開始して、熱硬化樹脂の一部が生成する。このような場合には、工程(2)において、本粉状農薬と第1液状原料との混合物を容器内で転動させ、更に該混合物に回転する羽根等でせん断力を与えながら、第2液状原料を添加することが好ましい。
【0029】
工程(3)における、本粉状農薬と第1液状原料と第2液状原料との混合物に対して、回転する羽根によりせん断力を与える方法としては、具体的には羽根の先端部分が50〜3000m/分、好ましくは100〜2000m/分、更に好ましくは200〜1000m/分の範囲で回転している羽根を、本粉状農薬と第1液状原料と第2液状原料との混合物と接触させる方法が挙げられる。この際、このせん断力を与える操作は熱硬化性樹脂が粘着性を示さなくなる時間まで行われれ、本粉状農薬と第1液状原料と第2液状原料との混合物の全体がほぼ均等にせん断力を与えられるように、容器に仕込まれる粉状農薬の量、回転する羽根の組数等を適宜調整することが好ましい。
【0030】
工程(3)は、通常、未硬化の熱硬化性樹脂が完全に硬化して、得られる粒状農薬が粘着性を示さなくなる時間まで行われる。この時間は、熱硬化性樹脂の性質や操作温度により変化する。
【0031】
本発明製造方法においては、上記の工程(1)〜工程(3)に加えて、更に、工程(4)を1回又は複数回行われる。工程(4)は、上記のようにして得られる粒状農薬に、第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、第1液状原料と第2液状原料とを反応させて、粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程であるが、工程(4)により熱硬化性樹脂の被膜を厚くすることにより、農薬活性化合物の放出をより遅くすることができる。即ち、農薬活性化合物の放出速度を目的に合わせて調節することができる。
工程(4)においては、好ましくは第1液状原料と第2液状原料とを順次加えることにより行われるが、粒状農薬に第1液状原料を先に加えて、その後第2液状原料を加えても、粒状農薬に第2液状原料を先に加えて、その後第1液状原料を加えても、いずれでもよい。
工程(4)を複数回繰り返して行うことにより、粒状農薬の表面における熱硬化性樹脂の被膜の形成と成長が生じ、場合により粒状農薬の粒子同士の凝集が生じる。
本粒状農薬組成物は、上記の工程(4)の繰り返し回数、及び、1回の工程(4)で使用される第1液状原料と第2液状原料の合計量を変化させることにより、本粒状農薬組成物における熱硬化性樹脂の割合を変化させることができ、これにより農薬活性化合物の徐放性能を調整することが出来る。
本発明製造方法においては、粒状農薬に対して熱硬化性樹脂の原料を少量ずつ、更に好ましい態様においては第1液状原料と第2液状原料とを別箇に添加している。この為に、農薬活性化合物の溶出を徐放化する為の熱硬化性樹脂の被膜が均一に形成されて、粒径の比較的揃った農薬含有の粒子を得ることができる。また、熱硬化性樹脂の被膜が均質に形成される為、好ましい徐放性能が得られる。
【0032】
工程(1)及び工程(2)、或いは工程(4)の1回の操作において添加される、第1液状原料及び第2液状原料との合計量、即ち未硬化熱硬化性樹脂の量は、熱硬化性樹脂の種類、操作温度や、使用する機器等の条件により変化させることができるが、通常は本粉状農薬100重量部に対して、通常0.3〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。工程(1)及び工程(2)、或いは工程(4)において、変化させても変化させなくてもよい。
1回の工程にて硬化させる未硬化の熱硬化性樹脂の量が過剰になった場合は、工程(3)において十分なせん断力を熱硬化性樹脂粒子に対して与えることができずに、得られる熱硬化性樹脂組成物の粒子径が大きくなりすぎたり、過負荷により回転する羽根が停止したりする場合がある。
【0033】
本発明製造方法において、工程(1)〜工程(4)(場合により、複数回の工程(4))は連続する工程として、一つの容器内にて行われることが好ましい。即ち、回転する羽根により、内容物を転動させ、且つ、せん断力を与えることのできる容器を使用することが好ましい。
このような2つの手段を備えた容器としては、例えば下記のような容器が用いられる。
(a)斜め又は水平軸の周りにパン型またはドラム型形状の容器全体を回転させることができ、更に容器の下部位置で、容器内の内容物と接触する位置に回転する羽根を設けた容器
(容器が回転させられることにより容器内の粒子全体が転動させられ、容器の下部に集積された粒子が回転する羽根によりせん断力を与えられる。);
(b)略円筒形状の容器の底部に、容器の底面部に設けた底面部の直径と同程度の大きさの羽根(以下、攪拌羽根と記す。)を有し、更に該容器の側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根を設けた容器
(容器の底面部に設けられた攪拌翼が回転することにより容器内の粒子全体が転動させられ、更に粒子が側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根によりせん断力を与えられる。);
(c)容器内の内容物の全体を動かすのに十分な量の気流を送る手段を有し、更に容器内の内容物と接触する位置に回転する羽根を設けた容器(気流により容器内の粒子全体が転動させられ、更に粒子が容器内に設置された回転する羽根によりせん断力を与えられる。)。
本発明製造方法においては、上記の(b)の容器が好ましく用いられる。以下、該容器を例として、本発明製造方法における、操作方法を説明する。
【0034】
回転する羽根により与えられるせん断力の強さは、容器の側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根(以下、解砕羽根と記す。)の回転数や羽根の大きさを変更することにより、調整することができる。(b)の容器においては、攪拌羽根によってもせん断力を与えることができる。
本発明製造方法においては、解砕羽根の回転数や熱硬化性樹脂の硬化速度を調節することにより、得られる本粒状農薬組成物の体積中位径を変化させることができる。具体的には、解砕羽根の回転数を上げるか、熱硬化性樹脂の硬化速度が遅くなると、本粒状農薬組成物の体積中位径は小さくなる。
【0035】
本発明製造方法において用いることのできる具体的な容器として、粒子が容器内を外周に沿って円運動を起こす装置として、株式会社セイシン企業製ニューグラマシンが挙げられ、混合機内に低速回転のアジテータと側面部に高速回転のチョッパーを備え、投入した原料を両羽根の作用により、短時間で混合・分散・せん断する装置として、深江パウテック株式会社製ハイスピードミキサーやハイフレックスグラルが挙げられる。更に、同様の性能を有する装置として、フロイント産業株式会社製ハイスピードミキサー、株式会社パウレック製バーチカルグラニュレーター、岡田精工株式会社製ニュースピードミルを挙げることができる。
例えば、特開平9−75703号公報に記載の装置が具体的に挙げられる。
【0036】
本粒状農薬組成物において、熱硬化性樹脂の量は、本粉状農薬100重量部に対して、通常5〜150重量部、好ましくは10〜100重量部、更に好ましくは20〜80重量部である。また、本粒状農薬組成物中の熱硬化性樹脂の割合は、好ましくは25〜70重量%である。
本発明製造方法においては、原料として用いる本粉状農薬の体積中位径に対して、得られる本粒状農薬組成物の体積中位径は、通常2〜20倍となる。本粒状農薬組成物は、本粉状農薬が熱硬化性樹脂で固められ被覆されてなる組成物であるが、本粒状農薬組成物における個々の粒子の構造は、凡そ、中心部に本粉状農薬の凝集部分を有し、その周囲に熱硬化性樹脂の被膜が形成されてなる多核粒子である。本粉状農薬の体積中位径が1〜100μmであり、本粒状農薬組成物の体積中位径が30〜200μmである。
【0037】
本粒状農薬組成物は、防除すべき有害生物に対して、又は保護すべき植物や土壌に対して、直接散布するか、水等に分散させた液を散布する等の方法により、使用することができる。散布する際には、界面活性剤等の助剤を混合させて用いることができる。
また、本粒状農薬組成物は、固体の不活性担体、結合剤、必要により界面活性剤等の助剤と混練し、造粒して、本粒状農薬組成物を含有する固形製剤(粒剤又は錠剤)に製剤化して、使用することもできる。
【0038】
本粒状農薬組成物を含有する固形製剤は、通常、本粒状農薬組成物を1〜30重量%、固体の不活性担体を40〜97重量%、結合剤を0.1〜10重量%、界面活性剤を0.1〜20重量%含有する。
本粒状農薬組成物を含有する粒剤に用いられる固体の不活性担体としては、
例えばカオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト等のモンモリロナイト鉱物、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等のスメクタイト、パイロフィライト、タルク、蝋石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、炭酸カルシウム、ギプサム、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土等の鉱物質系担体;トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉、籾殻、小麦粉、木粉、糠、ふすま、大豆粉等の植物系担体;尿素、乳糖、ショ糖、食塩、芒硝、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硫酸アンモニウム等の水溶性担体が挙げられる。
結合剤としては、例えばアラビアガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、トラガントガム、ポリビニルピロリドン、α化澱粉、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤;脂肪酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸エステルスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸アミドスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0039】
本粒状農薬組成物を含有する固体製剤は、本粒状農薬組成物、固体の不活性担体、結合剤及び界面活性剤の混合物に、水を加えて混練し、得られた混練物を、農薬粒剤の製造に一般的に使用されている押出造粒機、圧縮造粒機、攪拌造粒機等の造粒機を用いて造粒し、乾燥することにより、製造することができる。
混練物を押出造粒する際は、通常0.5〜2.0mmφ、好ましくは0.6〜1.0mmφのスクリーンを用いて行われ、押出造粒された後は、通常30〜70℃、好ましくは30〜60℃で乾燥する。
本粒状農薬組成物を含有する固体製剤を製造する際に用いられる練合機としては、ニーダー、ナウターミキサー、レディゲミキサー等が挙げられ、押出造粒機としては、ロータリー型、スクリュー式、ペレットミル型、オシレーター押出し造粒機の他、不二パウダル(株)のツインドームグラン、シングルドームグラン等を用いることができる。
本粒状農薬組成物における熱硬化性樹脂の被膜は強固であり、混練及び造粒時における被膜の破壊がほとんど生じず、農薬活性化合物の徐放性能は維持される。
【実施例】
【0040】
本発明を以下の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0041】
使用した装置
ハイスピードミキサー装置(深江パウレック株式会社製LFS−GS−1J型)
上方に開口部を有する水平皿型の容器部、丸皿型の容器部の底面の中心を通る垂直線を回転軸とするアジテータ羽根、および、丸皿型の容器部の側面を貫通するの水平線を回転軸とするチョッパー羽根を有する攪拌装置。丸皿型の容器部の容量が約2L、内径が約18cmであり、アジテータ羽根は半径約9cmの3枚の羽根が容器部の底面および内壁に沿うように回転可能に容器部の底面に取り付けられている。チョッパー羽根は半径2cmの2枚の羽根が2対を備え、容器部の底面とアジテータ羽根に接触しないように、回転可能に容器部の側壁面に取り付けられている。
【0042】
参考例1(粉状農薬1の調製)
農薬活性化合物として45.5重量部5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フラメトピル)、9重量部のトクシールGU−N(徳山曹達株式会社製含水非晶質二酸化珪素)、45.5重量部のベントナイト富士印(株式会社ホージュン製)を均一混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕し、体積中位径が5.0μm(MALVERN製MASTERSIZER2000)の5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドを含有する本粉状農薬(以下、粉状農薬1と記す。)を得た。
【0043】
参考例2(粉状農薬2の調製)
農薬活性化合物として65重量部(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン(一般名:ニテンピラム)、35重量部の勝光山クレーS(カオリンクレー:(株)勝光山鉱業所製)を均一混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕し、体積中位径が16.0μm(MALVERN製MASTERSIZER2000)(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンを含有する本粉状農薬(以下、粉状農薬2と記す。)を得た。
【0044】
参考例3(ポリオールプレミックス1の調製)
54.1重量部のスミフェンTM(住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)と45.9重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)を均一混合し、ポリオールプレミックス1を得た。ポリオールプレミックス1の粘度は393mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
【0045】
参考例4(ポリオールプレミックス2の調製)
41.3重量部のスミフェンTM(住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)と58.7重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)を均一混合し、ポリオールプレミックス2を得た。ポリオールプレミックス2の粘度は282mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
【0046】
参考例5(ポリオールプレミックス3の調製)
31.2重量部のスミフェンTM(住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)と68.8重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)を均一混合し、ポリオールプレミックス3を得た。ポリオールプレミックス3の粘度は277mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
【0047】
参考例6(ポリオールプレミックス4の調製)
19.9重量部のエチレングリコール(日本触媒製)と80.1重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)を均一混合し、ポリオールプレミックス4を得た。ポリオールプレミックス4の粘度は176mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
【0048】
製造例1
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させた。該装置内において、粉状農薬1はアジテータにて全体が転動状態で全体攪拌され、主にチョッパー羽根において強いせん断力が与えられていた。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.55重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加した。該ポリオールプレミックス1が粉状農薬1に湿潤されてゆく様子が観察された。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.95重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)、粘度130mPa・s(25℃)}を添加した。添加直後から、増粘現象が確認され、その後、粘度が低下し、ウレタン樹脂の硬化が観察され、粉状農薬1よりも粒径の大きな粒状物が得られた(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.55重量部のポリオールプレミックス1の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.95重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を3回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計10重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得た(ウレタン樹脂原料添加回数:4回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:10重量部)。
【0049】
製造例2〜6
製造例1と同様に、1回当たり2.5重量部相当のウレタン樹脂原料を表1記載の回数添加することにより、本粒状農薬組成物を得た。
【0050】
【表1】

*1)樹脂原料とはウレタン樹脂原料を意味し、その量とはポリオールプレミックスとポリイソシアネートとの合計
【0051】
試験例1
1)体積中位径測定
製造例1〜6で得られた本粒状農薬組成物の体積中位径をMALVERN製MASTERSIZER2000にて測定した。その結果を表2に示す。
2)溶出試験
粉状農薬1および製造例1〜6で得られた本粒状農薬組成物を、5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドが50mg/Lとなるように、100mlスクリュー管に量り取り、100gのイオン交換水を添加し、25℃の恒温機中で24時間放置した。その後、上澄みを分取し、固形分をフィルターにて濾別した後、水中に溶出した5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドの含量を測定し、水中に溶出していた割合(溶出率)を算出した。その結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
製造例7
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬2を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させた。該装置内において、粉状農薬2はアジテータにて全体が転動状態で全体攪拌され、主にチョッパー羽根において強いせん断力が与えられていた。次に、混合容器を加温し、粉状農薬2の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬2に対して、1.55重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加した。該ポリオールプレミックス1が粉状農薬2に湿潤されてゆく様子が観察された。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.95重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加した。添加直後から、増粘現象が確認され、その後、粘度が低下し、ウレタン樹脂の硬化が観察された、粉状農薬2よりも粒径の大きな粒状物が得られた(100重量部の粉状農薬2に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.55重量部のポリオールプレミックス1の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.95重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬2に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得た(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
【0054】
製造例8〜11
製造例7と同様に、1回当たり2.5重量部相当のウレタン樹脂原料を表3記載の回数添加することにより、本粒状農薬組成物を得た。
【0055】
【表3】

*2)樹脂原料とは、ウレタン樹脂原料を意味し、その量とはポリオールプレミックスとポリイソシアネートとの合計
【0056】
試験例2
1)体積中位径測定
製造例7〜11で得られた本粒状農薬組成物の体積中位径をMALVERN製MASTERSIZER2000にて測定した。その結果を表4に示す。
2)溶出試験
粉状農薬2および製造例7〜11で得られた本粒状農薬組成物を、(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンが50mg/Lとなるように、100mlスクリュー管に量り取り、100gのイオン交換水を添加し、25℃の恒温機中で24時間放置した。その後、上澄みを分取し、固形分をフィルターにて濾別した後、水中に溶出した(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンの含量を測定し、水中に溶出していた割合(溶出率)を算出した。その結果を表4に示す。
【0057】
【表4】

【0058】
製造例12
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:850rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.55重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.95重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.55重量部のポリオールプレミックス1の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.95重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
得られる本粒状農薬組成物は、製造例5で得られた本粒状農薬組成物と比較して体積中位径は大きくなる。
【0059】
製造例13
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.65重量部の上記のポリオールプレミックス2を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.85重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.65重量部のポリオールプレミックス2の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.85重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
得られる本粒状農薬組成物は、製造例5で得られた本粒状農薬組成物と比較して5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドの溶出は早くなる。
【0060】
製造例14
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.71重量部の上記のポリオールプレミックス3を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.79重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.71重量部のポリオールプレミックス3の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.79重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
得られる本粒状農薬組成物は、製造例5で得られた本粒状農薬組成物と比較して5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドの溶出は早くなる。
【0061】
製造例15
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、3.10重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、1.90重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、5.0重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)3.10重量部のポリオールプレミックス1の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)1.90重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を9回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:10回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:5.0重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
得られる熱硬化性樹脂粒子は、製造例5で得られた本粒状農薬組成物と比較して5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドの溶出は遅くなる。
【0062】
製造例16
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.20重量部の上記のポリオールプレミックス4を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、1.30重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.20重量部のポリオールプレミックス4の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)1.30重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
【0063】
製造例17
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、0.83重量部のポリアミン混合物(E206W硬化剤、コニシ株式会社製、粘度400mPa・s(25℃))を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、1.67重量部のポリグリシジルエーテル(E206W主剤、コニシ株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ主剤、粘度500mPa・s(25℃))を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のエポキシ樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)0.83重量部のポリアミン混合物の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)1.67重量部のポリグリシジルエーテルの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のエポキシ樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(エポキシ樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのエポキシ樹脂原料添加量:2.5重量部、エポキシ樹脂原料総添加量:50重量部)。
【0064】
次に、本粒状農薬組成物を含有する固体製剤の製剤例を示す。
製剤例1
4.8重量部の製造例8で得られた本粒状農薬組成物、5.0重量部のα化澱粉(AMYLOX NO.1A、日本スターチ製)及び89.2重量部の軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製)をナウターミキサーで10分間混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した47.0重量部の水溶液を加え、よく混練した。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0065】
製剤例2
4.8重量部の製造例8で得られた本粒状農薬組成物、3.5重量部のα化澱粉(AMYLOX NO.1A、日本スターチ製)及び89.2重量部の炭酸カルシウム(NN♯200、日東粉化工業製)をナウターミキサーで混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した21.0重量部の水溶液を加え、よく混練した。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0066】
製剤例3
4.8重量部の製造例8で得られた本粒状農薬組成物、3.5重量部のα化澱粉(AMYLOX NO.1A、日本スターチ製)及び91.7重量部のクレー(勝光山鉱業製)をナウターミキサーで混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した21.0重量部の水溶液を加え、よく混練した。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0067】
製剤例4
4.8重量部の製造例8で得られた本粒状農薬組成物、2.0重量部のポリビニルアルコール(ゴーセノール GL−05S、日本合成化学製)、20.0重量部のベントナイト(ベントナイト富士、ホージュン製)及び62.2重量部の炭酸カルシウム(NN♯200、日東粉化工業製)をナウターミキサーで混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した27.0重量部の水溶液を加え、よく混練した。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0068】
製剤例5
4.8重量部の製造例6で得られた本粒状農薬組成物、2.0重量部のポリビニルアルコール(ゴーセノール GL−05S、日本合成化学製)、20.0重量部のベントナイト(ベントナイト富士、ホージュン製)及び62.2重量部の炭酸カルシウム(NN♯200、日東粉化工業製)をナウターミキサーで混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した27.0重量部の水溶液を加え、よく混練する。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤を得る。
【0069】
製剤例6
4.8重量部の製造例6で得られた本粒状農薬組成物、5.0重量部のα化澱粉(AMYLOX NO.1A、日本スターチ製)及び89.2重量部の軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製)をナウターミキサーで10分間混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した47.0重量部の水溶液を加え、よく混練する。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤を得る。
【0070】
試験例3
1)溶出試験
製造例8で得られた本粒状農薬組成物及び製剤例1〜5で得られた粒剤を、(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンが50mg/Lとなるように、100mlスクリュー管に量り取り、100gのイオン交換水を添加し、25℃の恒温機中で24時間放置した。その後、上澄みを分取し、固形分をフィルターにて濾別した後、水中に溶出した(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンの含量を測定し、水中に溶出していた割合(溶出率)を算出した。その結果を表5に示す。
【0071】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の被覆粒状農薬組成物は、農薬活性化合物が徐放化された農薬組成物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する羽根を備えた容器内にて、以下の工程が行われることを特徴とする被覆粒状農薬組成物の製造方法。
(1)体積中位径が1〜100μmの粉状農薬組成物を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料を添加し、該粉状農薬組成物と該第1液状原料とを混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、
(3)該容器に備えられた回転している羽根を、前工程で得られた混合物と接触させながら、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで、該粉状農薬組成物が該熱硬化性樹脂を介在して凝集してなる粒状農薬を得る工程、及び
(4)前工程で得られた粒状農薬を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程。
【請求項2】
被覆粒状農薬組成物の体積中位径が10〜200μmである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記(1)及び(2)の工程において、熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とが、その合計量として前記粉状農薬組成物100重量部に対して0.3〜15重量部添加される請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記(4)の工程において、熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とが、その合計量として前記粉状農薬組成物100重量部に対して0.3〜15重量部添加される請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
回転している羽根が、羽根の先端部分が50〜3000m/分の範囲で回転している羽根である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
容器の底面部の直径と同程度の大きさの攪拌羽根を設置し、これを回転させることにより内容物を転動させる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
略円筒形状の容器の底部に、容器の底面部に設けた底面部の直径と同程度の大きさの羽根を有し、更に該容器の側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根を設けた容器内にて、以下の工程が行われることを特徴とする被覆粒状農薬組成物の製造方法。
(1)該容器の底面部に設けた羽根を回転させることにより体積中位径が1〜100μmの粉状農薬組成物を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料を添加し、該粉状農薬組成物と該第1液状原料とを混合する工程、
(2)該容器の底面部に設けた羽根を回転させることにより前工程で得られた混合物を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、
(3)該容器の側面より突出させた水平軸の周りに回転している羽根を、前工程で得られた混合物と接触させながら、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで、該粉状農薬組成物が該熱硬化性樹脂を介在して凝集してなる粒状農薬を得る工程、及び
(4)該容器の底面部に設けた羽根を回転させることにより前工程で得られた粒状農薬を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造された被覆粒状農薬組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の被覆粒状農薬組成物を含有する固形製剤。
【請求項10】
請求項8に記載の被覆粒状農薬組成物を含有する農薬粒剤。

【公開番号】特開2013−49721(P2013−49721A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−269040(P2012−269040)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2006−52084(P2006−52084)の分割
【原出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】