裁断刃交換装置、裁断装置、および、裁断刃の交換方法
【課題】裁断効率の向上が容易に図れる裁断刃交換装置を提供する。
【解決手段】裁断機本体10における被裁断物の裁断に用いる上刃を保持する軸部130A(130B)の軸方向の一端側を、複数保持する保持手段210を設ける。比較的に要する時間が長い上刃を軸部130A(130B)に着脱して交換する処理は裁断処理中に実施でき、次の裁断のために中断する時間は、軸部130A(130B)を交換する時間のみとなり、裁断機本体10で次の裁断を実施するまでの時間を短縮でき、軸部130A(130B)を搬送する簡単な構成で、裁断効率を容易に向上できる。
【解決手段】裁断機本体10における被裁断物の裁断に用いる上刃を保持する軸部130A(130B)の軸方向の一端側を、複数保持する保持手段210を設ける。比較的に要する時間が長い上刃を軸部130A(130B)に着脱して交換する処理は裁断処理中に実施でき、次の裁断のために中断する時間は、軸部130A(130B)を交換する時間のみとなり、裁断機本体10で次の裁断を実施するまでの時間を短縮でき、軸部130A(130B)を搬送する簡単な構成で、裁断効率を容易に向上できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断機本体に取り付けられる裁断刃を交換する裁断刃交換装置、この裁断刃交換装置を備えた裁断装置、および、裁断刃交換装置による裁断刃の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の裁断刃を交換する交換機能を備えた裁断機の構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のものは、裁断刃の交換機能として、裁断機本体のヘッド回転駆動用シャフトの軸線に平行な回転軸と、回転軸の外端部に固定した回転フレームと、この回転フレームに回転軸に平行な複数のヘッド保持用シャフトを設けている。そして、回転軸を介して回転フレームを回転させ、ヘッド保持用シャフトのいずれか1つを裁断機のヘッド回転駆動用シャフトに突き合わせる状態に連結する。この状態で、ヘッド保持用シャフトに保持された裁断刃をヘッド回転駆動用シャフトへ移動して装着したり、ヘッド回転駆動用シャフトに装着されている裁断刃をヘッド保持用シャフトへ移動して保持させたりすることで、裁断刃を交換する構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−56592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような裁断刃を交換する交換装置を備えた裁断装置では、裁断刃を交換している間、裁断機本体における被裁断物の裁断処理は中断することとなり、裁断効率が低下してしまう。特に、裁断幅の変更など裁断刃の交換頻度が高くなる場合や、裁断刃に被裁断物に塗布された粘着剤などが付着するために裁断刃を洗浄するなどの作業頻度が高くなる場合などでは、大きく裁断効率が低下する不都合がある。
【0005】
本発明は、このような点などに鑑み、裁断効率の向上が容易に図れる裁断刃交換装置、裁断装置、および、裁断刃の交換方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に記載の裁断刃交換装置は、中心に貫通孔が形成された裁断刃と、この裁断刃の貫通孔に挿入嵌合される軸部とを備えた裁断機本体に用いられ、前記裁断刃を交換する裁断刃交換装置であって、前記軸部の軸方向の一端側を複数保持可能な保持手段を具備したことを特徴とする。
【0007】
そして、本発明では、前記保持手段と前記裁断機本体との間で、前記軸部を搬送する搬送手段を具備し、前記搬送手段は、前記軸部の両端部を吊り下げ支持して前記保持手段と前記裁断機本体との間で搬送するクレーンを備えた構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記保持手段に保持された前記軸部の他端に着脱可能に連結され、前記軸部から取り外された裁断刃の貫通孔に挿入嵌合して前記裁断刃を保持する裁断刃保持軸を備えた裁断刃保管手段を具備した構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記裁断刃保管手段は、前記保持手段に保持された軸部に対して前記裁断刃保持軸が接離する状態に移動可能な移動手段を備えた構成とすることが好ましい。
そして、本発明では、前記裁断刃保管手段は、前記裁断刃保持軸に保持した前記裁断刃を洗浄する洗浄手段を備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
本発明に記載の裁断装置は、本発明に記載の裁断刃交換装置と、この裁断刃交換装置にて取り付けられた前記裁断刃により前記被裁断物を裁断する裁断機本体と、を具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明に記載の裁断刃の交換方法は、本発明に記載の裁断刃交換装置を用いて、前記裁断機本体に装着された裁断刃を交換する裁断刃の交換方法であって、前記裁断機本体に装着され前記裁断刃が取り付けられた一方の軸部と同一の他方の軸部を前記保持手段に保持する軸部保持工程と、この軸部保持工程で前記保持手段に保持された前記他方の軸部に前記裁断刃を取り付ける裁断刃取付工程と、前記裁断機本体の一方の軸部と前記保持手段に保持された他方の軸部とを交換する軸部交換工程と、を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、被裁断物を裁断する裁断機本体に設けられる裁断刃を保持する柱状の軸部の一端側を、複数保持する保持手段を裁断刃交換装置に設ける。
このことにより、裁断機本体で被裁断物を裁断している際に、保持手段に保持した軸部に裁断機本体で実施される次の裁断処理のために必要な裁断刃を取り付けておき、裁断機本体で次の裁断を開始する前に、裁断機本体に装着されている裁断刃を保持する軸部を保持手段に移動して保持させ、保持手段に保持され既に次の裁断のための裁断刃を保持する軸部を裁断機本体へ装着させることができる。このため、軸部を交換する時間のみで、裁断機本体で次の裁断を実施でき、裁断機本体の裁断刃を交換するための時間を短縮でき、軸部を交換する簡単な構成で、裁断効率を容易に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一実施形態の裁断装置の概略構成を示す側面図。
【図2】前記一実施形態における裁断装置の概略構成を示す平面図。
【図3】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃保管装置の概略構成を示す正面図。
【図4】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(A)は裁断刃保管装置から一方の軸部に裁断刃を取り付ける状況、(B)は不足分の裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(C)は一方の軸部に不足分の裁断刃を取りつける状況。
【図5】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(D)は次の裁断に対応して他方の軸部に裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(E)は裁断刃を取り付けた一方の軸部と次の裁断用の他方の軸部を交換して他方の軸部に裁断刃を取り付ける状況、(F)は不足分の裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況。
【図6】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(G)は他方の軸部に不足分の裁断刃を取り付ける状況、(H)は次の裁断に対応して一方の軸部から裁断刃を取り外すための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(I)は使用後の裁断刃を取り付けた一方の軸部と次の裁断用の他方の軸部を交換して一方の軸部から使用後の裁断刃を取り外す状況。
【図7】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(J)は使用後の裁断刃を取り外し残りの裁断刃を取り外すために裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(K)は残りの裁断刃を取り外す状況、(L)はさらに次の裁断に対応して一方の軸部に裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況。
【図8】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(M)は一方の軸部に裁断刃を取り付ける状況、(N)は不足分の裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(O)は一方の軸部に不足分の裁断刃を取り付ける状況。
【図9】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(P)は次の裁断に対応して他方の軸部から裁断刃を取り外すための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(Q)は使用後の裁断刃を取り付けた他方の軸部と次の裁断用の一方の軸部を交換して他方の軸部から使用後の裁断刃を取り外す状況、(R)は使用後の裁断刃を取り外し残りの裁断刃を取り外すために裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況。
【図10】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(S)は残りの裁断刃を取り外す状況、(T)はさらに次の裁断に対応して他方の軸部に裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(U)は他方の軸部に裁断刃を取り付ける状況。
【図11】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(V)は不足分の裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(W)は他方の軸部に不足分の裁断刃を取り付ける状況、(X)は次の裁断に対応して一方の軸部から裁断刃を取り外すための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況。
【図12】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(Y)は使用後の裁断刃を取り付けた一方の軸部と次の裁断用の他方の軸部を交換して一方の軸部から使用後の裁断刃を取り外す状況。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[裁断装置の構成]
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、1は裁断装置で、この裁断装置1は、図示しない被裁断物を所定の幅寸法で裁断する装置である。ここで、被裁断物としては、例えば紙や合成樹脂フィルム、金属箔、多層シートなど、シート状あるいは薄板状のものを、裁断刃により裁断可能ないずれの材料を対象とすることができる。
そして、裁断装置1は、裁断機本体10と、裁断刃交換装置20と、図示しない制御装置と、を備えている。なお、裁断装置1は、さらに図示しない筐体を備えることが好ましい。
【0013】
ここで、筐体は、裁断機本体10および裁断刃交換装置20の交換装置本体200を収容して外部と区画する作業空間を内部に形成する。
この筐体には、外部から作業空間内を視認可能な図示しない窓部や、作業者が出入りして保守管理などを可能とする出入り口を開閉する扉部などが設けられている。
【0014】
そして、裁断機本体10は、一対の支柱部110と、これら支柱部110に設けられた対をなす軸支部120と、支柱部110に架橋する状態に軸支部120に着脱可能で回転自在に軸支される柱状の軸部130A(130B)と、必要により軸部130A(130B)を回転させる回転駆動部140と、を備えている。
支柱部110は、筐体の台座11に立設されている。これら支柱部110の上端部には、上面が水平な平面部111が設けられている。
軸支部120は、支柱部110の平面部111にそれぞれ対向する状態で対をなして設けられている。これら軸支部120は、例えばベアリングなどを有し、軸部130A(130B)を支柱部110間に架橋する状態で軸部130A(130B)の軸方向が水平方向に沿って回転自在に軸支する。
【0015】
軸部130A(130B)は、柱状、例えば円柱状に形成されている。この軸部130A(130B)は、詳細は後述する裁断刃としての上刃151(図4参照)の円形の貫通孔152に挿入嵌合して上刃151が取り付けられる。そして、軸部130A(130B)の軸方向の両端部には、軸支部120に回転自在に軸支される受部131が設けられている。
また、軸部130A(130B)の外周面には、外周面から進退可能な複数の突起部132が設けられている。突起部132の進退は、例えば軸部130A(130B)の内部に空気や油などの圧力伝達媒体を供給・排出することで進退させることができる。
なお、当該突起部132は、上刃151を軸部130A(130B)に固定する固定手段であり、突起部132を設けずに、上刃151にネジなどの固定手段を設けるなどしてもよい。
さらに、軸部130A(130B)の軸方向の一端には、詳細は後述する裁断刃保管装置300に連設するための連結部133が設けられている。
また、軸部130A(130B)の軸方向の他端には、回転駆動部140に連結して回転される回転部材134が一体に設けられている。
なお、裁断機本体10において、軸部130A(130B)は、上刃151が取り付けられる上刃用と、裁断刃としての図示しない下刃が取り付けられる下刃用の2本を一対として上下方向に並列に軸支される。なお、図1および図2は、説明の都合上、裁断刃および下刃用の軸部を省略する。本実施形態では、裁断機本体10として、上刃用と下刃用との一対の軸部130A(130B)を備えた構成を例示するが、軸部130A(130B)は一対設ける構成に限らず複数対設けてもよい。
【0016】
回転駆動部140は、図示しない電動機と、この電動機の出力軸に設けられた図示しない出力プーリーと、出力プーリーおよび軸部130A(130B)の回転部材134に着脱可能に連結する軸連結部141と、軸連結部141に一体に設けられた連結プーリー142と、出力プーリーと連結プーリー142とに掛け渡される図示しない駆動伝達ベルトとを備えている。
なお、回転駆動部140は、駆動伝達ベルトを介して電動機の回転駆動を軸部130A(130B)に伝達する構成を例示するが、例えば電動機の出力軸に設けた歯車と軸連結部141に設けた歯車とを噛み合わせて軸部130A(130B)を回転させる構成とするなど、軸部130A(130B)を回転させる構成としては、いずれの方法も適用できる。
そして、回転駆動部140は、電力の供給により駆動する電動機により、出力軸とともに出力プーリーが回転し、駆動伝達ベルトを介して連結プーリーとともに軸連結部141を回転させて、軸連結部141に連結する軸部130A(130B)を回転させる。この軸部130A(130B)の回転は、上刃用の軸部130A(130B)と下刃用とが反対方向、すなわち上刃151と下刃との間に被裁断物を挟み込む方向にそれぞれ回転させる状態で回転駆動力を伝達させるように、回転駆動部140を構成している。
【0017】
裁断刃交換装置20は、本発明の裁断刃交換装置としても機能する交換装置本体200と、裁断刃保管手段としての裁断刃保管装置300と、を備えている。
交換装置本体200は、上刃151を軸部130A(130B)に着脱するために軸部130A(130B)を保持する保持手段210と、この保持手段210および裁断機本体10との間で軸部130A(130B)を搬送する搬送手段220と、保持手段210に保持された軸部130A(130B)に連結する裁断刃保管装置300との間で上刃151を移動させて交換させる図示しない裁断刃移動手段と、を備えている。
【0018】
保持手段210は、軸部130A(130B)の軸方向の一端側である回転部材134が設けられた側の受部131を支持可能に構成されている。
保持手段210は、裁断機本体10の支柱部110の平面部111に、軸部130A(130B)の軸方向が平行、具体的には平面方向で並列状に軸部130A(130B)を支持する状態で複数設けられている。したがって、保持手段210は、複数の軸部130A(130B)の軸方向の一端側を保持することができる。これら保持手段210による軸部130A(130B)の保持状態は、例えばスイッチやセンサーなどにて検出することにより制御装置で認識することができる。
さらに、これら保持手段210は、支持される軸部130B(130A)が、裁断機本体10の軸支部120に支持される軸部130A(130B)に対して軸方向が直列状となる位置関係で保持する状態に複数設けられている。
【0019】
搬送手段220は、図1および図3に示すように、裁断機本体10の軸支部120に軸支する軸部130A(130B)と、保持手段210で保持する軸部130B(130A)とを交換可能に搬送する。
具体的には、搬送手段220は、軸部130A(130B)の両端部を吊り下げ支持する一対のクレーン221と、これらクレーン221を移動させるクレーン移動手段222と、を備えている。
クレーン221は、軸部130A(130B)の軸方向の端部を掴んだり離したりするクランプ部221Aと、このクランプ部221Aを鉛直方向に移動させる上下移動部221Bと、を備えている。
クレーン移動手段222は、一対の横レール222Aを備えている。これら横レール222Aは、例えば筐体の天面などに、長手方向が裁断機本体10に軸支された軸部130A(130B)の軸方向に対して直交する方向に配設されている。これら横レール222Aには、横レール222Aの長手方向に移動可能に滑車部222Bがそれぞれ設けられている。これら滑車部222Bの下部には、長手方向が横レール222Aの長手方向に直交する状態で滑車部222B間に架橋する状態で縦レール222Cが設けられている。そして、縦レール222Cには、一対のクレーン221が縦レール222Cの長手方向で移動可能に設けられている。
【0020】
裁断刃交換装置20の裁断刃保管装置300は、交換装置本体200に保持した軸部130A(130B)に裁断刃を着脱して交換するとともに交換時以外は裁断刃を保管する装置である。
この裁断刃保管装置300は、図1〜3に示すように、図示しない床面から筐体の台座11の上面に亘って移動する移動手段310と、この移動手段310に回転可能に設けられた平板状の回転板320と、この回転板320の一面に複数突設され上刃151を保持する裁断刃保持軸330と、裁断刃洗浄手段340と、を備えている。
【0021】
移動手段310は、床面から筐体の台座11の上面に亘って配置されたレール部311と、このレール部311上を走行可能な走行台312と、この走行台312に設けられた柱部313と、この柱部313の鉛直方向の上端部に設けられた回転軸支部314と、を備えている。
なお、走行台312は、レール部311で転動する車輪やレール部311に係合してスライド移動するガイドなど、交換装置本体200に対して移動可能ないずれの構成も適用できる。
【0022】
回転板320は、移動手段310の回転軸支部314に回転可能に支持されている。
この回転板320は、制御装置にて制御される回転軸支部314の駆動により回転される構成の他、作業者による手作業にて回転される構成としてもよい。
【0023】
裁断刃保持軸330は、軸部130A(130B)と略同径の円柱状で、上刃151の貫通孔152に挿入嵌合可能に形成されている。裁断刃保持軸330は、回転板320の回転中心を中心とした円周上に略等間隔で複数突設されていることが好ましい。
この裁断刃保持軸330は、(軸部130A(130B)の数)+1以上設けることが好ましい。具体的には、本実施形態では、2本の軸部130A(130B)を用いて交換する構成であることから、5本設けられていることが好ましい。なお、設ける本数としては、小型化や装置コストなどを考慮すると、少ない方がよいことから、本実施形態では5本((軸部130A(130B)の数×2)+1)が最も好ましい。
そして、これら裁断刃保持軸330は、裁断機本体10で裁断時に使用する最大の上刃151の数(偶数の場合)の半分、もしくは最大の上刃151の数(奇数の場合)+1の数の半分の数を保持可能に設けることが好ましい。具体的には、本実施形態では、最大で20枚利用可能であれば(20÷2)=10[枚]、最大で21枚利用可能であれば(21+1)÷2=11[枚]の上刃151をそれぞれ保持可能に設けられていることが好ましい。なお、保持可能な上刃151の枚数としては、小型化や装置コストなどを考慮すると少ない方がよい。
そして、裁断刃保持軸330の先端部には、軸部130A(130B)の端部に設けられた連結部133に着脱可能に接続し、軸部130A(130B)と同軸上に連結させる接続部331を有している。この接続部331と連結部133との連結状態としては、例えばスイッチやセンサーなどにて連結しているか否かを自動的に検出したり、作業者により目視で確認したりしてもよい。
【0024】
裁断刃洗浄手段340は、裁断機本体10で使用され裁断刃保持軸330に保持された上刃151を洗浄する。すなわち、裁断時に上刃151の表面に付着した付着物、すなわち被裁断物に設けられた粘着剤などを洗浄除去する。具体的には、裁断刃洗浄手段340は、例えば図1ないし図3に示すように、筐体の台座11上に設けられ、回転板320の回転により鉛直方向で最下位の位置に移動される裁断刃保持軸330に保持された上刃151を洗浄する。
例えば、裁断刃洗浄手段340は、上刃151の表面に洗浄液(例えば、有機溶剤や水、界面活性剤など)を塗布や滴下、どぶ漬けなどにより供給する洗浄液供給手段と、上刃151の表面に接触して表面に付着する付着物を除去する図示しないブラシなどを有した付着物除去手段と、上刃151の表面に付着する洗浄液を拭ったり吹き飛ばしたり、熱風などで乾燥したりして除去する図示しない洗浄液除去手段と、などを備えている。
なお、裁断刃洗浄手段340は、上述した構成に限らず、上刃151に付着する付着物を除去するいずれの構成も適用できる。
【0025】
制御装置は、裁断装置1の動作を制御する。
この制御装置は、例えば、作業者により裁断機本体10で裁断する条件を設定入力、すなわち軸部130A(130B)に取り付ける上刃151の数、裁断する時間や長さなどの各項目が設定入力されて裁断の実行が設定入力されると、裁断装置1による裁断のための動作を制御する。
【0026】
[裁断装置の動作]
次に、上述した裁断装置1を利用して裁断処理する動作について、図面を参照して説明する。
なお、裁断処理は、まず上刃151が16枚で裁断した後、次いで13枚、次に19枚、最後に21枚で裁断する異なる裁断条件を4回実施する例示をするが、この限りではない。また、図示しない下刃については、上刃151の交換に合わせて別途交換する。そして、裁断処理前では、裁断機本体10に上刃151が取り付けられていない軸部130B(130A)が装着され、交換装置本体200に上刃151が取り付けられていない軸部130A(130B)が保持されている状態から説明する。
図4〜図12は、説明の都合上、裁断刃保管装置300の5本の裁断刃保持軸330として、それぞれ裁断刃保持軸330A,330B,330C,330D,330Eと異なる符号を付すとともに、各裁断刃保持軸330に11枚の上刃151をそれぞれ保持し、上刃151を使用前後で異なる記載形態で記述する。また、図4〜図12は、説明の都合上、裁断機本体に装着される軸部130A(130B)における上刃151の取付状況を、一点鎖線内の領域に記述する。
【0027】
先ず、作業者は、制御装置に、裁断する条件を設定入力する。
制御装置は、作業者による裁断の実行の設定入力を認識すると、所定の保管位置で待機する裁断刃保管装置300を交換装置本体200の位置に移動させる。すなわち、制御装置は、裁断刃保管装置300の移動手段310を制御して所定の位置までレール部311上を走行させる。
そして、制御装置は、移動手段310の回転軸支部314を制御して裁断刃保持軸330Aが所定の位置となるように回転板320を回転させる。すなわち、裁断刃保持軸330Aが、保持手段210に保持された軸部130A(130B)に同軸上に位置する状態とする。この状態で、制御装置は移動手段310を移動させ、図1、図2および図4(A)に示すように、裁断刃保持軸330Aの接続部331を軸部130A(130B)の連結部133に連結させる。
この後、制御装置は、交換装置本体200の図示しない裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Aに保持している上刃151の全数(11枚)を、連結する軸部130Aに移動させる。そして、制御装置は、図4(B)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させ、図4(C)に示すように、裁断刃保持軸330Bと軸部130Aとを連結させる。
そして、制御装置は、交換装置本体200の図示しない裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Bに保持している上刃151のうち、軸部130Aに保持させる枚数である16枚に対して不足する5枚の上刃151を移動させ、軸部130Aの突起部132により16枚の上刃151を位置決めして取り付ける。
なお、上刃151の移動1枚毎に位置決めしておくことが効率的で好ましい。この位置決めする構成としては、各上刃151間の距離を、手動で測定したり、基準点からの距離を入力して制御装置で制御したり、光電管などのセンサーや撮像装置のCCD(Charge-Coupled Device)カメラを用いて測定したりしてもよい。
この後、制御装置は、図5(D)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Bと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図5(E)に示すように、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Bを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、16枚の上刃151を取り付けた軸部130Aを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させ、裁断を開始させる。
【0028】
そして、制御装置は、移動手段310を制御し、保持手段210に保持された軸部130Bに裁断刃保持軸330Cを連結させ、交換装置本体200の図示しない裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Cに保持している上刃151の全数(11枚)を、連結する軸部130Bに移動させる。さらに、制御装置は、図5(F)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図6(G)に示すように、裁断刃保持軸330Dと軸部130Bとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Dに保持している上刃151のうち、軸部130Bに保持させる枚数である13枚に対して不足する2枚の上刃151を移動させ、軸部130Bの突起部132により13枚の上刃151を位置決めして取り付ける。
この後、制御装置は、図6(H)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Dと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Aに取り付けた上刃151により裁断が終了したことを認識すると、図6(I)に示すように、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Aを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、13枚の上刃151を取り付けた軸部130Bを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させ、次の2回目の裁断を開始させる。
【0029】
そして、制御装置は、移動手段310を制御し、保持手段210に保持された軸部130Aに裁断刃保持軸330Aを連結させ、交換装置本体200の図示しない裁断刃移動手段により、軸部130Aに取り付けられている使用後の上刃151のうち、裁断刃保持軸330Aに保持可能な枚数である11枚を裁断刃保持軸330Aに移動させて保持させる。さらに、制御装置は、図7(J)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図7(K)に示すように、裁断刃保持軸330Bと軸部130Aとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Aに保持している使用後の残りの5枚の上刃151を裁断刃保持軸330Bに移動させて保持させる。
【0030】
さらに、制御装置は、図7(L)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Bと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。そして、制御装置は、図8(M)に示すように、移動手段310を制御して裁断刃保持軸330Eと軸部130Aとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Eに保持している上刃151の全数(11枚)を、連結する軸部130Aに移動させる。
また、図7(J)に示す使用後の上刃151を裁断刃保持軸330Aに保持させた後から、図8(N)に示す裁断刃保持軸330Eに保持している11枚の上刃151を軸部130Aに移動させるまでの間、回転板320はほぼ1回転することとなる。この間に、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させ、鉛直方向で最下位の位置において、使用後の上刃151を洗浄する。
【0031】
そして、制御装置は、図8(N)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Eと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図8(O)に示すように、移動手段310を制御し、洗浄後の11枚の上刃151を保持する裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Aに保持している上刃151のうち、軸部130Aに保持させる枚数である19枚に対して不足する8枚の上刃151を移動させ、軸部130Aの突起部132により19枚の上刃151を位置決めして取り付ける。そして、制御装置は、図9(P)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。
この後、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Bに取り付けた上刃151により裁断が終了するまでの間、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させ、裁断刃保持軸330Bに保持する使用後の上刃151を洗浄する。すなわち、図7(L)に示す使用後の上刃151を裁断刃保持軸330Bに保持させた後から、図8(O)に示す裁断刃保持軸330Aに保持している残りの上刃151を軸部130Aに移動させるまでの間、回転板320はほぼ1回転するので、裁断刃洗浄手段340が配置された位置に裁断刃保持軸330Bが到達する。この間に、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させて裁断刃保持軸330Bに保持されている使用後の上刃151を洗浄すればよい。この使用後の上刃151の洗浄の際、裁断刃保持軸330Bには未使用の上刃151も保持しているので、この未使用の上刃151を合わせて洗浄してもよい。
そして、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Bに取り付けた上刃151により裁断が終了したことを認識すると、図9(Q)に示すように、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Bを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、19枚の上刃151を取り付けた軸部130Aを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させ、次の3回目の裁断を開始させる。
【0032】
さらに、制御装置は、移動手段310を制御し、保持手段210に保持された軸部130Bに裁断刃保持軸330Cを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Bに取り付けられている使用後の上刃151のうち、裁断刃保持軸330Cに保持可能な枚数である11枚を裁断刃保持軸330Cに移動させて保持させる。
また、制御装置は、図9(R)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。この後、制御装置は、図10(S)に示すように、裁断刃保持軸330Dと軸部130Bとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Bに保持している使用後の残りの2枚の上刃151を裁断刃保持軸330Dに移動させて保持させる。
【0033】
さらに、制御装置は、図10(T)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Dと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。そして、制御装置は、図10(U)に示すように、裁断刃保持軸330Bと軸部130Bとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Bに保持している洗浄後の上刃151の全数(11枚)を、連結する軸部130Bに移動させる。
また、図9(R)に示す使用後の上刃151を裁断刃保持軸330Cに保持させた後から、図10(U)に示す裁断刃保持軸330Bに保持している11枚の上刃151を軸部130Bに移動させるまでの間、回転板320はほぼ1回転するので、裁断刃洗浄手段340が配置された位置に裁断刃保持軸330Cが到達する。この間に、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させ、鉛直方向で最下位の位置において、裁断刃保持軸330Cに保持されている使用後の上刃151を洗浄する。
【0034】
そして、制御装置は、図11(V)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Bと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図11(W)に示すように、移動手段310を制御し、洗浄後の11枚の上刃151を保持する裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Cに保持している上刃151のうち、軸部130Bに保持させる枚数である21枚に対して不足する10枚の上刃151を移動させ、軸部130Bの突起部132により21枚の上刃151を位置決めして取り付ける。そして、制御装置は、図11(X)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。
この後、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Aに取り付けた上刃151により裁断が終了するまでの間、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させ、裁断刃保持軸330Dに保持する使用後の上刃151を洗浄する。すなわち、図10(T)に示す使用後の上刃151を裁断刃保持軸330Dに保持させた後から、図11(W)に示す裁断刃保持軸330Cに保持している残りの上刃151を軸部130Bに移動させるまでの間、回転板320はほぼ1回転するので、裁断刃洗浄手段340が配置された位置に裁断刃保持軸330Dが到達する。この間に、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させて裁断刃保持軸330Dに保持されている使用後の上刃151を洗浄すればよい。この使用後の上刃151の洗浄の際、裁断刃保持軸330Dには未使用の上刃151も保持しているので、この未使用の上刃151を合わせて洗浄してもよい。
そして、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Aに取り付けた上刃151により裁断が終了したことを認識すると、図12(Y)に示すように、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Aを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、21枚の上刃151を取り付けた軸部130Bを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させ、最後の4回目の裁断を開始させる。
【0035】
この後、制御装置は、移動手段310を制御し、保持手段210に保持された軸部130Aに裁断刃保持軸330Eを連結させ、上述した動作と同様に、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Aに取り付けられている使用後の上刃151のうち、裁断刃保持軸330Eに保持可能な枚数である11枚を裁断刃保持軸330Eに移動させて保持させる。
さらに、制御装置は、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Eと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させ、裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとを連結させる。そして、制御装置は、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Aに保持している使用後の残りの8枚の上刃151を裁断刃保持軸330Aに移動させて保持させる。
【0036】
さらに、制御装置は、上述した動作と同様に、裁断機本体10で軸部130Bに取り付けた上刃151により裁断が終了したことを認識すると、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Bを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、上刃151を取り外した軸部130Aを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させる。
また、制御装置は、上述した動作と同様に、移動手段310および回転軸支部314を制御し、保持手段210に保持された軸部130Bに裁断刃保持軸330Bが同軸上に位置する状態に回転板320を回転させて連結させる。そして、制御装置は、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Bに取り付けられている使用後の上刃151のうち、裁断刃保持軸330Bに保持可能な枚数である11枚を裁断刃保持軸330Bに移動させて保持させる。さらに、制御装置は、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Bと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させ、裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとを連結させる。そして、制御装置は、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Bに保持している使用後の残りの10枚の上刃151を裁断刃保持軸330Cに移動させて保持させる。
そして、制御装置は、各裁断刃保持軸330に保持した使用後の上刃151を洗浄した後、移動手段310を制御して、裁断刃保管装置300を所定の保管位置まで移動させて待機させ、一連の処理が終了する。
【0037】
[実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、裁断機本体10における被裁断物の裁断に用いる上刃151を保持する軸部130A(130B)の軸方向の一端側を複数保持する保持手段210が設けられている。
このことにより、裁断機本体10で裁断している際に、保持手段210に保持した軸部130A(130B)に裁断機本体10で次の裁断処理のために必要な上刃151を取り付けておき、裁断機本体10で次の裁断を開始する前に、例えば搬送手段220により裁断機本体10に装着されている上刃151を保持する軸部130B(130A)を保持手段210に搬送して保持させ、保持手段210に保持され既に次の裁断のための上刃151を保持する軸部130A(130B)を裁断機本体10へ搬送して装着することができる。
このため、比較的に要する時間が長い動作である裁断機本体10の上刃151を軸部130A(130B)に着脱して交換する処理は裁断処理中に実施され、次の裁断のために中断する時間は、軸部130A(130B)を交換する時間のみとなり、裁断機本体10で次の裁断を実施するまでの時間を短縮でき、軸部130A(130B)を搬送などにより交換する簡単な構成で、裁断効率を容易に向上できる。
【0038】
そして、保持手段210として軸部130A(130B)を複数保持可能な構成、すなわち保持手段210を複数設けた構成としている。
このことにより、軸部130A(130B)を保持手段210と裁断機本体10との間で交換する際に、一方の保持手段210に搬送した軸部130A(130B)を保持させて、交換させる軸部130B(130A)をクレーン221が吊り下げ支持できる状態として、軸部130B(130A)を搬送させることができることとなる。
このため、保持手段210を複数設ける簡単な構成で、搬送手段220として簡単な構成のクレーン221を利用して軸部130A(130B)を搬送して交換させる動作が得られ、装置構成を簡略化および小型化でき、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0039】
また、保持手段210として、軸部130A(130B)同士を軸方向が平行となる状態で複数保持可能に複数設けている。
このため、軸部130A(130B)を搬送して交換するための搬送手段220として、直交する方向に横レール222Aおよび縦レール222Cを設ける既存の簡単な構成で、簡単な構成のクレーン221を移動させる構成が得られ、装置構成を簡略化および小型化でき、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0040】
そして、保持手段210として、裁断機本体10に取り付ける軸部130A(130B)に対して軸部130B(130A)が直列状に位置する状態に保持する構成としている。
このため、軸部130A(130B)を搬送する際に、軸部130A(130B)の軸方向を変更する回転動作が不要で、搬送に必要な空間を少なくできる。
【0041】
さらに、保持手段210として、裁断機本体10の軸部130A(130B)を軸支する軸支部120を設ける支柱部110を利用して設けている。
このため、保持手段210を設けるための構成として支柱部110を共有化でき、構成の簡略化や小型化が容易にでき、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0042】
また、保持手段210と裁断機本体10との間で、軸部130A(130B)を搬送する搬送手段220として、軸部130A(130B)の両端部を吊り下げ支持して保持手段210と裁断機本体10との間で搬送するクレーン221を備えている。
このため、軸部130A(130B)を交換する構成として、比較的に簡単な軸部130A(130B)を搬送する構成を利用でき、交換させる動作が簡単な構成で容易に得られ、装置構成を簡略化および小型化でき、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0043】
そして、貫通孔152に挿入嵌合して上刃151を保持可能で、かつ軸部130A(130B)の他端に同軸上に着脱可能に連結して上刃151を交換させる裁断刃保持軸330を備えた裁断刃保管装置300を設けている。
このことにより、上刃151を保持手段210に保持した軸部130A(130B)に上刃151を付け替える際、例えば作業者が保管場所から比較的に重い上刃151を持ち出して取り付ける作業をしないもしくは簡略化することができる。
【0044】
また、裁断刃保管装置300として、保持手段210に保持された軸部130A(130B)に対して裁断刃保持軸330が接離する状態に移動可能な移動手段310を設けている。
このことにより、上刃151を交換しない状態では、裁断刃保管装置300を保管位置に移動させておけばよく、この保管位置に裁断刃保管装置300が位置する状態では裁断機本体10と交換装置本体200の大きさが小さくなり、裁断装置1の設置自由度を向上でき、容易に設置できる。さらに、上刃151の着脱の際に、裁断刃保持軸330と軸部130A(130B)との連結および離間をさせる構成として、裁断刃保持軸330を回転板320に対して進退させる構成を設けなくても、移動手段310で移動させることで構成の共有化が図れ、装置構成の簡略化や小型化、装置設置場所の省スペース化などが容易に図れ、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0045】
そして、裁断刃保管装置300として、裁断刃保持軸330に保持した上刃151を洗浄する裁断刃洗浄手段340を設けている。
このため、例えば被裁断物に粘着剤などを有する場合に、上刃151に粘着剤などが付着しても、上刃151を交換する際に洗浄すればよく、処理効率の向上が図れる。
【0046】
また、裁断刃洗浄手段340は、上刃151の表面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上刃151の表面に接触して表面に付着する付着物を除去する付着物除去手段と、上刃151の表面に付着する洗浄液を除去する洗浄液除去手段と、を備えた構成としている。
このため、既存の各種洗浄装置を容易に適用でき、装置構築が容易にできる。
【0047】
そして、上刃151の交換において、上刃151を軸部130A(130B)に取り付ける際には、上刃151の貫通孔152に挿入嵌合して上刃151を保持し裁断機本体10に軸支される軸部130A(130B)に対して、裁断機本体10で利用する最大枚数(21枚)+1の半分の数(11枚)の上刃151を保持する裁断刃保持軸330から、保持する全数の上刃151を移動させて保持させた後、裁断機本体10における裁断に必要な枚数に対して足りない枚数分は、回転板320を回転させて他の裁断刃保持軸330に保持された上刃151を移動させて保持させる取付工程を実施している。
また、軸部130A(130B)から使用後の上刃151を取り外す際には、軸部130A(130B)に保持された使用後の上刃151のうち、裁断機本体10で利用する最大枚数(偶数の場合)の半分の数、もしくは、最大枚数(奇数の場合)+1の数の半分の数の上刃151を、上刃151を保持していない裁断刃保持軸330に移動させて保持させた後、軸部130A(130B)に残る上刃151は、回転板320を回転させ、この残りの上刃151の数との合算により裁断機本体10で利用する最大枚数(偶数の場合)の半分の数、もしくは、最大枚数(奇数の場合)より1つ多い数の半分の数の上刃151を保持することとなる他の裁断刃保持軸330に移動させて保持させる取り外し工程を実施している。
このため、上述したように、これら取付工程および取り外し工程を実施することで、裁断刃保持軸330に戻した上刃151の保持される位置が、以前の軸部130A(130B)に取り付ける前の裁断刃保持軸330に保持されていた位置と異なる状態に確実に変更されるため、上刃の使用頻度を確実に平均化できる。
【0048】
そして、制御装置により、取付工程を取付制御し、取り外し工程を取り外し制御する。
さらに、取り外し制御を実施した後、裁断機本体10により他の異なる条件の裁断を実施するために取付制御を実施する場合、まず始めに取り外し制御の前に実施した取付制御で利用していない裁断刃保持軸330から、保持する全数の上刃151を移動させている。
このため、取り外し制御で裁断刃保持軸330に戻された使用後の上刃151を、次の裁断に利用される前に洗浄する機会が確実に得られ、順次異なる裁断の実施が円滑にできる。
【0049】
そして、裁断刃保持軸330を回転する回転板320の回転中心の回りに円周上に複数突設している。
このため、軸部130A(130B)と上刃151を移動させて着脱する際に、回転板320を回転させるのみで、対象となる裁断刃保持軸330を軸部130A(130B)に対応して位置させることができ、回転させる簡単な構成で円滑・迅速に上刃151を順次着脱させることができ、上刃151の交換効率を向上でき、裁断効率を向上できる。
【0050】
[変形例]
なお、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは、本発明に含まれるものである。
【0051】
すなわち、制御装置としては、裁断装置1の全体を制御する全自動の構成に限られない。
例えば、搬送手段220や裁断刃保管装置300の走行などは、各種工具(搬送手段220や裁断刃保管装置300に相当)を利用して手動により動作させるなど、半自動の構成としてもよい。さらには、制御装置を設けず、保持手段210に保持された軸部130Bと連結する裁断刃保管装置300の裁断刃保持軸330とで工具などを利用して作業者が上刃151を移動させて交換する手動の構成としてもよい。
【0052】
また、上刃151を交換する構成を例示したが、下刃を交換する構成としてもよい。
さらに、上述した実施形態の保持手段210の他に、下刃を交換するための保持手段210、さらに搬送手段220、また下刃用の裁断刃保管装置300を設けるなどして、上下の裁断刃を交換できる構成としてもよい。
【0053】
保持手段210として、軸部130A(130B)を軸方向が平行となる状態、具体的には水平方向で並列状に複数保持可能な構成としたが、この限りではない。
例えば、鉛直方向で並列状に位置する状態に複数保持可能な構成としたり、放射状に保持可能な構成としたりするなど、裁断装置1の設置領域に応じて適宜設定すればよい。
また、2本の軸部130A,130Bを用いて交換する構成を例示したが、交換用として3本以上利用する構成としてもよい。すなわち、裁断時間が裁断刃保管装置300にて裁断刃を付け替える時間より短くなるような場合でも、裁断刃を既に付け替えられたものを準備でき、効率の低下を防止できる。
さらに、保持手段210として、裁断機本体10に取り付ける軸部130A(130B)に対して軸部130B(130A)が直列状に位置する状態に保持する構成を例示したが、この限りではない。例えば、裁断機本体10の軸支部120に支持される軸部130Aに対して軸方向が直行する平面視でL字状に配置される状態で支持する構成などとしてもよい。
【0054】
搬送手段220として、クレーン221を一対備えた構成としたが、例えば軸部130A(130B)の一端側のみを支持して搬送する構成としてもよい。
また、搬送方法としては、吊り下げ支持して移動する方法に限らず、例えば持ち上げ支持して搬送するなど、裁断中に次の裁断のために裁断刃が交換された軸部130A(130B)を、保持手段210で保持される位置と、裁断機本体10の軸支される位置との間で搬送可能ないずれの構成も適用できる。
【0055】
裁断刃保管装置300として、移動手段310を設けて移動可能な構成を例示したが、移動手段310を設けず、移動しない一体構成としてもよい。
この場合、保持手段210に保持した軸部130A(130B)と裁断刃保持軸330との連結・離間を実施させるために、裁断刃保持軸330自体が回転板320に対して進退する構成としたり、回転板320が裁断刃保持軸330とともに移動する構成としたりすればよい。
【0056】
裁断刃洗浄手段340は、裁断刃保管装置300に設けた構成を例示したが、この限りではない。
例えば裁断刃交換装置20の交換装置本体200に設け、保持手段210に保持した軸部130Bに保持された使用後の上刃151を洗浄する構成としてもよい。また、裁断刃洗浄手段340を設けなくてもよい。
そして、上記実施形態では、裁断刃洗浄手段340を筐体の台座11上に設けて回転板320の回転により移動される裁断刃保持軸330の上刃151を洗浄する固定式の構成を例示したが、例えば制御装置の制御により裁断刃洗浄手段340が適宜移動して裁断刃を洗浄する構成とするなどしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、軸部130A(130B)を交換させる動作を実施し、裁断機本体10で裁断を実施している間、上刃151を交換させる処理を例示したが、この限りではない。
例えば、裁断機本体10から軸部130A(130B)を保持手段210へ搬送して保持させ、上刃151が交換可能な状態となった時点で、既に上刃151を交換した軸部130B(130A)を裁断機本体10に搬送する前でも、上刃151の交換処理を実施してもよい。また、軸部130A(130B)の交換時間のみ裁断機本体10での裁断処理が停止するよう、裁断刃の交換動作と搬送動作とを平行して処理してもよい。
【0058】
その他、本発明の実施における具体的な構成および形態などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば、紙や合成樹脂フィルム、金属箔、多層シートなど、シート状あるいは薄板状のものを、裁断機本体で裁断するために利用する裁断刃の交換に用いる裁断刃交換装置、この裁断刃交換装置を備えた裁断装置、および、裁断刃の交換方法に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1…裁断装置
10…裁断機本体
20…裁断刃交換装置
130A,130B…軸部
151…裁断刃としての上刃
152…貫通孔
200…裁断刃交換装置としても機能する交換装置本体
210…保持手段
220…搬送手段
221…クレーン
300…裁断刃保管手段としての裁断刃保管装置
310…移動手段
340…洗浄手段としての裁断刃洗浄手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断機本体に取り付けられる裁断刃を交換する裁断刃交換装置、この裁断刃交換装置を備えた裁断装置、および、裁断刃交換装置による裁断刃の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の裁断刃を交換する交換機能を備えた裁断機の構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のものは、裁断刃の交換機能として、裁断機本体のヘッド回転駆動用シャフトの軸線に平行な回転軸と、回転軸の外端部に固定した回転フレームと、この回転フレームに回転軸に平行な複数のヘッド保持用シャフトを設けている。そして、回転軸を介して回転フレームを回転させ、ヘッド保持用シャフトのいずれか1つを裁断機のヘッド回転駆動用シャフトに突き合わせる状態に連結する。この状態で、ヘッド保持用シャフトに保持された裁断刃をヘッド回転駆動用シャフトへ移動して装着したり、ヘッド回転駆動用シャフトに装着されている裁断刃をヘッド保持用シャフトへ移動して保持させたりすることで、裁断刃を交換する構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−56592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような裁断刃を交換する交換装置を備えた裁断装置では、裁断刃を交換している間、裁断機本体における被裁断物の裁断処理は中断することとなり、裁断効率が低下してしまう。特に、裁断幅の変更など裁断刃の交換頻度が高くなる場合や、裁断刃に被裁断物に塗布された粘着剤などが付着するために裁断刃を洗浄するなどの作業頻度が高くなる場合などでは、大きく裁断効率が低下する不都合がある。
【0005】
本発明は、このような点などに鑑み、裁断効率の向上が容易に図れる裁断刃交換装置、裁断装置、および、裁断刃の交換方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に記載の裁断刃交換装置は、中心に貫通孔が形成された裁断刃と、この裁断刃の貫通孔に挿入嵌合される軸部とを備えた裁断機本体に用いられ、前記裁断刃を交換する裁断刃交換装置であって、前記軸部の軸方向の一端側を複数保持可能な保持手段を具備したことを特徴とする。
【0007】
そして、本発明では、前記保持手段と前記裁断機本体との間で、前記軸部を搬送する搬送手段を具備し、前記搬送手段は、前記軸部の両端部を吊り下げ支持して前記保持手段と前記裁断機本体との間で搬送するクレーンを備えた構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記保持手段に保持された前記軸部の他端に着脱可能に連結され、前記軸部から取り外された裁断刃の貫通孔に挿入嵌合して前記裁断刃を保持する裁断刃保持軸を備えた裁断刃保管手段を具備した構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記裁断刃保管手段は、前記保持手段に保持された軸部に対して前記裁断刃保持軸が接離する状態に移動可能な移動手段を備えた構成とすることが好ましい。
そして、本発明では、前記裁断刃保管手段は、前記裁断刃保持軸に保持した前記裁断刃を洗浄する洗浄手段を備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
本発明に記載の裁断装置は、本発明に記載の裁断刃交換装置と、この裁断刃交換装置にて取り付けられた前記裁断刃により前記被裁断物を裁断する裁断機本体と、を具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明に記載の裁断刃の交換方法は、本発明に記載の裁断刃交換装置を用いて、前記裁断機本体に装着された裁断刃を交換する裁断刃の交換方法であって、前記裁断機本体に装着され前記裁断刃が取り付けられた一方の軸部と同一の他方の軸部を前記保持手段に保持する軸部保持工程と、この軸部保持工程で前記保持手段に保持された前記他方の軸部に前記裁断刃を取り付ける裁断刃取付工程と、前記裁断機本体の一方の軸部と前記保持手段に保持された他方の軸部とを交換する軸部交換工程と、を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、被裁断物を裁断する裁断機本体に設けられる裁断刃を保持する柱状の軸部の一端側を、複数保持する保持手段を裁断刃交換装置に設ける。
このことにより、裁断機本体で被裁断物を裁断している際に、保持手段に保持した軸部に裁断機本体で実施される次の裁断処理のために必要な裁断刃を取り付けておき、裁断機本体で次の裁断を開始する前に、裁断機本体に装着されている裁断刃を保持する軸部を保持手段に移動して保持させ、保持手段に保持され既に次の裁断のための裁断刃を保持する軸部を裁断機本体へ装着させることができる。このため、軸部を交換する時間のみで、裁断機本体で次の裁断を実施でき、裁断機本体の裁断刃を交換するための時間を短縮でき、軸部を交換する簡単な構成で、裁断効率を容易に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一実施形態の裁断装置の概略構成を示す側面図。
【図2】前記一実施形態における裁断装置の概略構成を示す平面図。
【図3】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃保管装置の概略構成を示す正面図。
【図4】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(A)は裁断刃保管装置から一方の軸部に裁断刃を取り付ける状況、(B)は不足分の裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(C)は一方の軸部に不足分の裁断刃を取りつける状況。
【図5】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(D)は次の裁断に対応して他方の軸部に裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(E)は裁断刃を取り付けた一方の軸部と次の裁断用の他方の軸部を交換して他方の軸部に裁断刃を取り付ける状況、(F)は不足分の裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況。
【図6】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(G)は他方の軸部に不足分の裁断刃を取り付ける状況、(H)は次の裁断に対応して一方の軸部から裁断刃を取り外すための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(I)は使用後の裁断刃を取り付けた一方の軸部と次の裁断用の他方の軸部を交換して一方の軸部から使用後の裁断刃を取り外す状況。
【図7】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(J)は使用後の裁断刃を取り外し残りの裁断刃を取り外すために裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(K)は残りの裁断刃を取り外す状況、(L)はさらに次の裁断に対応して一方の軸部に裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況。
【図8】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(M)は一方の軸部に裁断刃を取り付ける状況、(N)は不足分の裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(O)は一方の軸部に不足分の裁断刃を取り付ける状況。
【図9】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(P)は次の裁断に対応して他方の軸部から裁断刃を取り外すための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(Q)は使用後の裁断刃を取り付けた他方の軸部と次の裁断用の一方の軸部を交換して他方の軸部から使用後の裁断刃を取り外す状況、(R)は使用後の裁断刃を取り外し残りの裁断刃を取り外すために裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況。
【図10】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(S)は残りの裁断刃を取り外す状況、(T)はさらに次の裁断に対応して他方の軸部に裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(U)は他方の軸部に裁断刃を取り付ける状況。
【図11】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(V)は不足分の裁断刃を取り付けるための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況、(W)は他方の軸部に不足分の裁断刃を取り付ける状況、(X)は次の裁断に対応して一方の軸部から裁断刃を取り外すための裁断刃保管装置における裁断刃の保持位置を切り替える状況。
【図12】前記一実施形態における裁断装置の裁断刃を交換する工程を説明する説明図で、(Y)は使用後の裁断刃を取り付けた一方の軸部と次の裁断用の他方の軸部を交換して一方の軸部から使用後の裁断刃を取り外す状況。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[裁断装置の構成]
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、1は裁断装置で、この裁断装置1は、図示しない被裁断物を所定の幅寸法で裁断する装置である。ここで、被裁断物としては、例えば紙や合成樹脂フィルム、金属箔、多層シートなど、シート状あるいは薄板状のものを、裁断刃により裁断可能ないずれの材料を対象とすることができる。
そして、裁断装置1は、裁断機本体10と、裁断刃交換装置20と、図示しない制御装置と、を備えている。なお、裁断装置1は、さらに図示しない筐体を備えることが好ましい。
【0013】
ここで、筐体は、裁断機本体10および裁断刃交換装置20の交換装置本体200を収容して外部と区画する作業空間を内部に形成する。
この筐体には、外部から作業空間内を視認可能な図示しない窓部や、作業者が出入りして保守管理などを可能とする出入り口を開閉する扉部などが設けられている。
【0014】
そして、裁断機本体10は、一対の支柱部110と、これら支柱部110に設けられた対をなす軸支部120と、支柱部110に架橋する状態に軸支部120に着脱可能で回転自在に軸支される柱状の軸部130A(130B)と、必要により軸部130A(130B)を回転させる回転駆動部140と、を備えている。
支柱部110は、筐体の台座11に立設されている。これら支柱部110の上端部には、上面が水平な平面部111が設けられている。
軸支部120は、支柱部110の平面部111にそれぞれ対向する状態で対をなして設けられている。これら軸支部120は、例えばベアリングなどを有し、軸部130A(130B)を支柱部110間に架橋する状態で軸部130A(130B)の軸方向が水平方向に沿って回転自在に軸支する。
【0015】
軸部130A(130B)は、柱状、例えば円柱状に形成されている。この軸部130A(130B)は、詳細は後述する裁断刃としての上刃151(図4参照)の円形の貫通孔152に挿入嵌合して上刃151が取り付けられる。そして、軸部130A(130B)の軸方向の両端部には、軸支部120に回転自在に軸支される受部131が設けられている。
また、軸部130A(130B)の外周面には、外周面から進退可能な複数の突起部132が設けられている。突起部132の進退は、例えば軸部130A(130B)の内部に空気や油などの圧力伝達媒体を供給・排出することで進退させることができる。
なお、当該突起部132は、上刃151を軸部130A(130B)に固定する固定手段であり、突起部132を設けずに、上刃151にネジなどの固定手段を設けるなどしてもよい。
さらに、軸部130A(130B)の軸方向の一端には、詳細は後述する裁断刃保管装置300に連設するための連結部133が設けられている。
また、軸部130A(130B)の軸方向の他端には、回転駆動部140に連結して回転される回転部材134が一体に設けられている。
なお、裁断機本体10において、軸部130A(130B)は、上刃151が取り付けられる上刃用と、裁断刃としての図示しない下刃が取り付けられる下刃用の2本を一対として上下方向に並列に軸支される。なお、図1および図2は、説明の都合上、裁断刃および下刃用の軸部を省略する。本実施形態では、裁断機本体10として、上刃用と下刃用との一対の軸部130A(130B)を備えた構成を例示するが、軸部130A(130B)は一対設ける構成に限らず複数対設けてもよい。
【0016】
回転駆動部140は、図示しない電動機と、この電動機の出力軸に設けられた図示しない出力プーリーと、出力プーリーおよび軸部130A(130B)の回転部材134に着脱可能に連結する軸連結部141と、軸連結部141に一体に設けられた連結プーリー142と、出力プーリーと連結プーリー142とに掛け渡される図示しない駆動伝達ベルトとを備えている。
なお、回転駆動部140は、駆動伝達ベルトを介して電動機の回転駆動を軸部130A(130B)に伝達する構成を例示するが、例えば電動機の出力軸に設けた歯車と軸連結部141に設けた歯車とを噛み合わせて軸部130A(130B)を回転させる構成とするなど、軸部130A(130B)を回転させる構成としては、いずれの方法も適用できる。
そして、回転駆動部140は、電力の供給により駆動する電動機により、出力軸とともに出力プーリーが回転し、駆動伝達ベルトを介して連結プーリーとともに軸連結部141を回転させて、軸連結部141に連結する軸部130A(130B)を回転させる。この軸部130A(130B)の回転は、上刃用の軸部130A(130B)と下刃用とが反対方向、すなわち上刃151と下刃との間に被裁断物を挟み込む方向にそれぞれ回転させる状態で回転駆動力を伝達させるように、回転駆動部140を構成している。
【0017】
裁断刃交換装置20は、本発明の裁断刃交換装置としても機能する交換装置本体200と、裁断刃保管手段としての裁断刃保管装置300と、を備えている。
交換装置本体200は、上刃151を軸部130A(130B)に着脱するために軸部130A(130B)を保持する保持手段210と、この保持手段210および裁断機本体10との間で軸部130A(130B)を搬送する搬送手段220と、保持手段210に保持された軸部130A(130B)に連結する裁断刃保管装置300との間で上刃151を移動させて交換させる図示しない裁断刃移動手段と、を備えている。
【0018】
保持手段210は、軸部130A(130B)の軸方向の一端側である回転部材134が設けられた側の受部131を支持可能に構成されている。
保持手段210は、裁断機本体10の支柱部110の平面部111に、軸部130A(130B)の軸方向が平行、具体的には平面方向で並列状に軸部130A(130B)を支持する状態で複数設けられている。したがって、保持手段210は、複数の軸部130A(130B)の軸方向の一端側を保持することができる。これら保持手段210による軸部130A(130B)の保持状態は、例えばスイッチやセンサーなどにて検出することにより制御装置で認識することができる。
さらに、これら保持手段210は、支持される軸部130B(130A)が、裁断機本体10の軸支部120に支持される軸部130A(130B)に対して軸方向が直列状となる位置関係で保持する状態に複数設けられている。
【0019】
搬送手段220は、図1および図3に示すように、裁断機本体10の軸支部120に軸支する軸部130A(130B)と、保持手段210で保持する軸部130B(130A)とを交換可能に搬送する。
具体的には、搬送手段220は、軸部130A(130B)の両端部を吊り下げ支持する一対のクレーン221と、これらクレーン221を移動させるクレーン移動手段222と、を備えている。
クレーン221は、軸部130A(130B)の軸方向の端部を掴んだり離したりするクランプ部221Aと、このクランプ部221Aを鉛直方向に移動させる上下移動部221Bと、を備えている。
クレーン移動手段222は、一対の横レール222Aを備えている。これら横レール222Aは、例えば筐体の天面などに、長手方向が裁断機本体10に軸支された軸部130A(130B)の軸方向に対して直交する方向に配設されている。これら横レール222Aには、横レール222Aの長手方向に移動可能に滑車部222Bがそれぞれ設けられている。これら滑車部222Bの下部には、長手方向が横レール222Aの長手方向に直交する状態で滑車部222B間に架橋する状態で縦レール222Cが設けられている。そして、縦レール222Cには、一対のクレーン221が縦レール222Cの長手方向で移動可能に設けられている。
【0020】
裁断刃交換装置20の裁断刃保管装置300は、交換装置本体200に保持した軸部130A(130B)に裁断刃を着脱して交換するとともに交換時以外は裁断刃を保管する装置である。
この裁断刃保管装置300は、図1〜3に示すように、図示しない床面から筐体の台座11の上面に亘って移動する移動手段310と、この移動手段310に回転可能に設けられた平板状の回転板320と、この回転板320の一面に複数突設され上刃151を保持する裁断刃保持軸330と、裁断刃洗浄手段340と、を備えている。
【0021】
移動手段310は、床面から筐体の台座11の上面に亘って配置されたレール部311と、このレール部311上を走行可能な走行台312と、この走行台312に設けられた柱部313と、この柱部313の鉛直方向の上端部に設けられた回転軸支部314と、を備えている。
なお、走行台312は、レール部311で転動する車輪やレール部311に係合してスライド移動するガイドなど、交換装置本体200に対して移動可能ないずれの構成も適用できる。
【0022】
回転板320は、移動手段310の回転軸支部314に回転可能に支持されている。
この回転板320は、制御装置にて制御される回転軸支部314の駆動により回転される構成の他、作業者による手作業にて回転される構成としてもよい。
【0023】
裁断刃保持軸330は、軸部130A(130B)と略同径の円柱状で、上刃151の貫通孔152に挿入嵌合可能に形成されている。裁断刃保持軸330は、回転板320の回転中心を中心とした円周上に略等間隔で複数突設されていることが好ましい。
この裁断刃保持軸330は、(軸部130A(130B)の数)+1以上設けることが好ましい。具体的には、本実施形態では、2本の軸部130A(130B)を用いて交換する構成であることから、5本設けられていることが好ましい。なお、設ける本数としては、小型化や装置コストなどを考慮すると、少ない方がよいことから、本実施形態では5本((軸部130A(130B)の数×2)+1)が最も好ましい。
そして、これら裁断刃保持軸330は、裁断機本体10で裁断時に使用する最大の上刃151の数(偶数の場合)の半分、もしくは最大の上刃151の数(奇数の場合)+1の数の半分の数を保持可能に設けることが好ましい。具体的には、本実施形態では、最大で20枚利用可能であれば(20÷2)=10[枚]、最大で21枚利用可能であれば(21+1)÷2=11[枚]の上刃151をそれぞれ保持可能に設けられていることが好ましい。なお、保持可能な上刃151の枚数としては、小型化や装置コストなどを考慮すると少ない方がよい。
そして、裁断刃保持軸330の先端部には、軸部130A(130B)の端部に設けられた連結部133に着脱可能に接続し、軸部130A(130B)と同軸上に連結させる接続部331を有している。この接続部331と連結部133との連結状態としては、例えばスイッチやセンサーなどにて連結しているか否かを自動的に検出したり、作業者により目視で確認したりしてもよい。
【0024】
裁断刃洗浄手段340は、裁断機本体10で使用され裁断刃保持軸330に保持された上刃151を洗浄する。すなわち、裁断時に上刃151の表面に付着した付着物、すなわち被裁断物に設けられた粘着剤などを洗浄除去する。具体的には、裁断刃洗浄手段340は、例えば図1ないし図3に示すように、筐体の台座11上に設けられ、回転板320の回転により鉛直方向で最下位の位置に移動される裁断刃保持軸330に保持された上刃151を洗浄する。
例えば、裁断刃洗浄手段340は、上刃151の表面に洗浄液(例えば、有機溶剤や水、界面活性剤など)を塗布や滴下、どぶ漬けなどにより供給する洗浄液供給手段と、上刃151の表面に接触して表面に付着する付着物を除去する図示しないブラシなどを有した付着物除去手段と、上刃151の表面に付着する洗浄液を拭ったり吹き飛ばしたり、熱風などで乾燥したりして除去する図示しない洗浄液除去手段と、などを備えている。
なお、裁断刃洗浄手段340は、上述した構成に限らず、上刃151に付着する付着物を除去するいずれの構成も適用できる。
【0025】
制御装置は、裁断装置1の動作を制御する。
この制御装置は、例えば、作業者により裁断機本体10で裁断する条件を設定入力、すなわち軸部130A(130B)に取り付ける上刃151の数、裁断する時間や長さなどの各項目が設定入力されて裁断の実行が設定入力されると、裁断装置1による裁断のための動作を制御する。
【0026】
[裁断装置の動作]
次に、上述した裁断装置1を利用して裁断処理する動作について、図面を参照して説明する。
なお、裁断処理は、まず上刃151が16枚で裁断した後、次いで13枚、次に19枚、最後に21枚で裁断する異なる裁断条件を4回実施する例示をするが、この限りではない。また、図示しない下刃については、上刃151の交換に合わせて別途交換する。そして、裁断処理前では、裁断機本体10に上刃151が取り付けられていない軸部130B(130A)が装着され、交換装置本体200に上刃151が取り付けられていない軸部130A(130B)が保持されている状態から説明する。
図4〜図12は、説明の都合上、裁断刃保管装置300の5本の裁断刃保持軸330として、それぞれ裁断刃保持軸330A,330B,330C,330D,330Eと異なる符号を付すとともに、各裁断刃保持軸330に11枚の上刃151をそれぞれ保持し、上刃151を使用前後で異なる記載形態で記述する。また、図4〜図12は、説明の都合上、裁断機本体に装着される軸部130A(130B)における上刃151の取付状況を、一点鎖線内の領域に記述する。
【0027】
先ず、作業者は、制御装置に、裁断する条件を設定入力する。
制御装置は、作業者による裁断の実行の設定入力を認識すると、所定の保管位置で待機する裁断刃保管装置300を交換装置本体200の位置に移動させる。すなわち、制御装置は、裁断刃保管装置300の移動手段310を制御して所定の位置までレール部311上を走行させる。
そして、制御装置は、移動手段310の回転軸支部314を制御して裁断刃保持軸330Aが所定の位置となるように回転板320を回転させる。すなわち、裁断刃保持軸330Aが、保持手段210に保持された軸部130A(130B)に同軸上に位置する状態とする。この状態で、制御装置は移動手段310を移動させ、図1、図2および図4(A)に示すように、裁断刃保持軸330Aの接続部331を軸部130A(130B)の連結部133に連結させる。
この後、制御装置は、交換装置本体200の図示しない裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Aに保持している上刃151の全数(11枚)を、連結する軸部130Aに移動させる。そして、制御装置は、図4(B)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させ、図4(C)に示すように、裁断刃保持軸330Bと軸部130Aとを連結させる。
そして、制御装置は、交換装置本体200の図示しない裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Bに保持している上刃151のうち、軸部130Aに保持させる枚数である16枚に対して不足する5枚の上刃151を移動させ、軸部130Aの突起部132により16枚の上刃151を位置決めして取り付ける。
なお、上刃151の移動1枚毎に位置決めしておくことが効率的で好ましい。この位置決めする構成としては、各上刃151間の距離を、手動で測定したり、基準点からの距離を入力して制御装置で制御したり、光電管などのセンサーや撮像装置のCCD(Charge-Coupled Device)カメラを用いて測定したりしてもよい。
この後、制御装置は、図5(D)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Bと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図5(E)に示すように、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Bを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、16枚の上刃151を取り付けた軸部130Aを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させ、裁断を開始させる。
【0028】
そして、制御装置は、移動手段310を制御し、保持手段210に保持された軸部130Bに裁断刃保持軸330Cを連結させ、交換装置本体200の図示しない裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Cに保持している上刃151の全数(11枚)を、連結する軸部130Bに移動させる。さらに、制御装置は、図5(F)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図6(G)に示すように、裁断刃保持軸330Dと軸部130Bとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Dに保持している上刃151のうち、軸部130Bに保持させる枚数である13枚に対して不足する2枚の上刃151を移動させ、軸部130Bの突起部132により13枚の上刃151を位置決めして取り付ける。
この後、制御装置は、図6(H)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Dと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Aに取り付けた上刃151により裁断が終了したことを認識すると、図6(I)に示すように、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Aを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、13枚の上刃151を取り付けた軸部130Bを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させ、次の2回目の裁断を開始させる。
【0029】
そして、制御装置は、移動手段310を制御し、保持手段210に保持された軸部130Aに裁断刃保持軸330Aを連結させ、交換装置本体200の図示しない裁断刃移動手段により、軸部130Aに取り付けられている使用後の上刃151のうち、裁断刃保持軸330Aに保持可能な枚数である11枚を裁断刃保持軸330Aに移動させて保持させる。さらに、制御装置は、図7(J)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図7(K)に示すように、裁断刃保持軸330Bと軸部130Aとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Aに保持している使用後の残りの5枚の上刃151を裁断刃保持軸330Bに移動させて保持させる。
【0030】
さらに、制御装置は、図7(L)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Bと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。そして、制御装置は、図8(M)に示すように、移動手段310を制御して裁断刃保持軸330Eと軸部130Aとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Eに保持している上刃151の全数(11枚)を、連結する軸部130Aに移動させる。
また、図7(J)に示す使用後の上刃151を裁断刃保持軸330Aに保持させた後から、図8(N)に示す裁断刃保持軸330Eに保持している11枚の上刃151を軸部130Aに移動させるまでの間、回転板320はほぼ1回転することとなる。この間に、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させ、鉛直方向で最下位の位置において、使用後の上刃151を洗浄する。
【0031】
そして、制御装置は、図8(N)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Eと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図8(O)に示すように、移動手段310を制御し、洗浄後の11枚の上刃151を保持する裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Aに保持している上刃151のうち、軸部130Aに保持させる枚数である19枚に対して不足する8枚の上刃151を移動させ、軸部130Aの突起部132により19枚の上刃151を位置決めして取り付ける。そして、制御装置は、図9(P)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させる。
この後、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Bに取り付けた上刃151により裁断が終了するまでの間、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させ、裁断刃保持軸330Bに保持する使用後の上刃151を洗浄する。すなわち、図7(L)に示す使用後の上刃151を裁断刃保持軸330Bに保持させた後から、図8(O)に示す裁断刃保持軸330Aに保持している残りの上刃151を軸部130Aに移動させるまでの間、回転板320はほぼ1回転するので、裁断刃洗浄手段340が配置された位置に裁断刃保持軸330Bが到達する。この間に、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させて裁断刃保持軸330Bに保持されている使用後の上刃151を洗浄すればよい。この使用後の上刃151の洗浄の際、裁断刃保持軸330Bには未使用の上刃151も保持しているので、この未使用の上刃151を合わせて洗浄してもよい。
そして、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Bに取り付けた上刃151により裁断が終了したことを認識すると、図9(Q)に示すように、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Bを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、19枚の上刃151を取り付けた軸部130Aを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させ、次の3回目の裁断を開始させる。
【0032】
さらに、制御装置は、移動手段310を制御し、保持手段210に保持された軸部130Bに裁断刃保持軸330Cを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Bに取り付けられている使用後の上刃151のうち、裁断刃保持軸330Cに保持可能な枚数である11枚を裁断刃保持軸330Cに移動させて保持させる。
また、制御装置は、図9(R)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。この後、制御装置は、図10(S)に示すように、裁断刃保持軸330Dと軸部130Bとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Bに保持している使用後の残りの2枚の上刃151を裁断刃保持軸330Dに移動させて保持させる。
【0033】
さらに、制御装置は、図10(T)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Dと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。そして、制御装置は、図10(U)に示すように、裁断刃保持軸330Bと軸部130Bとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Bに保持している洗浄後の上刃151の全数(11枚)を、連結する軸部130Bに移動させる。
また、図9(R)に示す使用後の上刃151を裁断刃保持軸330Cに保持させた後から、図10(U)に示す裁断刃保持軸330Bに保持している11枚の上刃151を軸部130Bに移動させるまでの間、回転板320はほぼ1回転するので、裁断刃洗浄手段340が配置された位置に裁断刃保持軸330Cが到達する。この間に、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させ、鉛直方向で最下位の位置において、裁断刃保持軸330Cに保持されている使用後の上刃151を洗浄する。
【0034】
そして、制御装置は、図11(V)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Bと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。さらに、制御装置は、図11(W)に示すように、移動手段310を制御し、洗浄後の11枚の上刃151を保持する裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとを連結させ、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、裁断刃保持軸330Cに保持している上刃151のうち、軸部130Bに保持させる枚数である21枚に対して不足する10枚の上刃151を移動させ、軸部130Bの突起部132により21枚の上刃151を位置決めして取り付ける。そして、制御装置は、図11(X)に示すように、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させる。
この後、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Aに取り付けた上刃151により裁断が終了するまでの間、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させ、裁断刃保持軸330Dに保持する使用後の上刃151を洗浄する。すなわち、図10(T)に示す使用後の上刃151を裁断刃保持軸330Dに保持させた後から、図11(W)に示す裁断刃保持軸330Cに保持している残りの上刃151を軸部130Bに移動させるまでの間、回転板320はほぼ1回転するので、裁断刃洗浄手段340が配置された位置に裁断刃保持軸330Dが到達する。この間に、制御装置は、裁断刃洗浄手段340を駆動させて裁断刃保持軸330Dに保持されている使用後の上刃151を洗浄すればよい。この使用後の上刃151の洗浄の際、裁断刃保持軸330Dには未使用の上刃151も保持しているので、この未使用の上刃151を合わせて洗浄してもよい。
そして、制御装置は、裁断機本体10で軸部130Aに取り付けた上刃151により裁断が終了したことを認識すると、図12(Y)に示すように、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Aを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、21枚の上刃151を取り付けた軸部130Bを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させ、最後の4回目の裁断を開始させる。
【0035】
この後、制御装置は、移動手段310を制御し、保持手段210に保持された軸部130Aに裁断刃保持軸330Eを連結させ、上述した動作と同様に、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Aに取り付けられている使用後の上刃151のうち、裁断刃保持軸330Eに保持可能な枚数である11枚を裁断刃保持軸330Eに移動させて保持させる。
さらに、制御装置は、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Eと軸部130Aとの連結を解除して回転板320を回転させ、裁断刃保持軸330Aと軸部130Aとを連結させる。そして、制御装置は、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Aに保持している使用後の残りの8枚の上刃151を裁断刃保持軸330Aに移動させて保持させる。
【0036】
さらに、制御装置は、上述した動作と同様に、裁断機本体10で軸部130Bに取り付けた上刃151により裁断が終了したことを認識すると、搬送手段220を制御して裁断機本体10の軸部130Bを交換装置本体200の保持手段210まで搬送して保持させるとともに、上刃151を取り外した軸部130Aを裁断機本体10に搬送して軸支部120に軸支させる。
また、制御装置は、上述した動作と同様に、移動手段310および回転軸支部314を制御し、保持手段210に保持された軸部130Bに裁断刃保持軸330Bが同軸上に位置する状態に回転板320を回転させて連結させる。そして、制御装置は、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Bに取り付けられている使用後の上刃151のうち、裁断刃保持軸330Bに保持可能な枚数である11枚を裁断刃保持軸330Bに移動させて保持させる。さらに、制御装置は、移動手段310および回転軸支部314を制御し、裁断刃保持軸330Bと軸部130Bとの連結を解除して回転板320を回転させ、裁断刃保持軸330Cと軸部130Bとを連結させる。そして、制御装置は、交換装置本体200の裁断刃移動手段により、軸部130Bに保持している使用後の残りの10枚の上刃151を裁断刃保持軸330Cに移動させて保持させる。
そして、制御装置は、各裁断刃保持軸330に保持した使用後の上刃151を洗浄した後、移動手段310を制御して、裁断刃保管装置300を所定の保管位置まで移動させて待機させ、一連の処理が終了する。
【0037】
[実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、裁断機本体10における被裁断物の裁断に用いる上刃151を保持する軸部130A(130B)の軸方向の一端側を複数保持する保持手段210が設けられている。
このことにより、裁断機本体10で裁断している際に、保持手段210に保持した軸部130A(130B)に裁断機本体10で次の裁断処理のために必要な上刃151を取り付けておき、裁断機本体10で次の裁断を開始する前に、例えば搬送手段220により裁断機本体10に装着されている上刃151を保持する軸部130B(130A)を保持手段210に搬送して保持させ、保持手段210に保持され既に次の裁断のための上刃151を保持する軸部130A(130B)を裁断機本体10へ搬送して装着することができる。
このため、比較的に要する時間が長い動作である裁断機本体10の上刃151を軸部130A(130B)に着脱して交換する処理は裁断処理中に実施され、次の裁断のために中断する時間は、軸部130A(130B)を交換する時間のみとなり、裁断機本体10で次の裁断を実施するまでの時間を短縮でき、軸部130A(130B)を搬送などにより交換する簡単な構成で、裁断効率を容易に向上できる。
【0038】
そして、保持手段210として軸部130A(130B)を複数保持可能な構成、すなわち保持手段210を複数設けた構成としている。
このことにより、軸部130A(130B)を保持手段210と裁断機本体10との間で交換する際に、一方の保持手段210に搬送した軸部130A(130B)を保持させて、交換させる軸部130B(130A)をクレーン221が吊り下げ支持できる状態として、軸部130B(130A)を搬送させることができることとなる。
このため、保持手段210を複数設ける簡単な構成で、搬送手段220として簡単な構成のクレーン221を利用して軸部130A(130B)を搬送して交換させる動作が得られ、装置構成を簡略化および小型化でき、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0039】
また、保持手段210として、軸部130A(130B)同士を軸方向が平行となる状態で複数保持可能に複数設けている。
このため、軸部130A(130B)を搬送して交換するための搬送手段220として、直交する方向に横レール222Aおよび縦レール222Cを設ける既存の簡単な構成で、簡単な構成のクレーン221を移動させる構成が得られ、装置構成を簡略化および小型化でき、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0040】
そして、保持手段210として、裁断機本体10に取り付ける軸部130A(130B)に対して軸部130B(130A)が直列状に位置する状態に保持する構成としている。
このため、軸部130A(130B)を搬送する際に、軸部130A(130B)の軸方向を変更する回転動作が不要で、搬送に必要な空間を少なくできる。
【0041】
さらに、保持手段210として、裁断機本体10の軸部130A(130B)を軸支する軸支部120を設ける支柱部110を利用して設けている。
このため、保持手段210を設けるための構成として支柱部110を共有化でき、構成の簡略化や小型化が容易にでき、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0042】
また、保持手段210と裁断機本体10との間で、軸部130A(130B)を搬送する搬送手段220として、軸部130A(130B)の両端部を吊り下げ支持して保持手段210と裁断機本体10との間で搬送するクレーン221を備えている。
このため、軸部130A(130B)を交換する構成として、比較的に簡単な軸部130A(130B)を搬送する構成を利用でき、交換させる動作が簡単な構成で容易に得られ、装置構成を簡略化および小型化でき、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0043】
そして、貫通孔152に挿入嵌合して上刃151を保持可能で、かつ軸部130A(130B)の他端に同軸上に着脱可能に連結して上刃151を交換させる裁断刃保持軸330を備えた裁断刃保管装置300を設けている。
このことにより、上刃151を保持手段210に保持した軸部130A(130B)に上刃151を付け替える際、例えば作業者が保管場所から比較的に重い上刃151を持ち出して取り付ける作業をしないもしくは簡略化することができる。
【0044】
また、裁断刃保管装置300として、保持手段210に保持された軸部130A(130B)に対して裁断刃保持軸330が接離する状態に移動可能な移動手段310を設けている。
このことにより、上刃151を交換しない状態では、裁断刃保管装置300を保管位置に移動させておけばよく、この保管位置に裁断刃保管装置300が位置する状態では裁断機本体10と交換装置本体200の大きさが小さくなり、裁断装置1の設置自由度を向上でき、容易に設置できる。さらに、上刃151の着脱の際に、裁断刃保持軸330と軸部130A(130B)との連結および離間をさせる構成として、裁断刃保持軸330を回転板320に対して進退させる構成を設けなくても、移動手段310で移動させることで構成の共有化が図れ、装置構成の簡略化や小型化、装置設置場所の省スペース化などが容易に図れ、装置の製造性の向上や装置コストの低減も容易に図れる。
【0045】
そして、裁断刃保管装置300として、裁断刃保持軸330に保持した上刃151を洗浄する裁断刃洗浄手段340を設けている。
このため、例えば被裁断物に粘着剤などを有する場合に、上刃151に粘着剤などが付着しても、上刃151を交換する際に洗浄すればよく、処理効率の向上が図れる。
【0046】
また、裁断刃洗浄手段340は、上刃151の表面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上刃151の表面に接触して表面に付着する付着物を除去する付着物除去手段と、上刃151の表面に付着する洗浄液を除去する洗浄液除去手段と、を備えた構成としている。
このため、既存の各種洗浄装置を容易に適用でき、装置構築が容易にできる。
【0047】
そして、上刃151の交換において、上刃151を軸部130A(130B)に取り付ける際には、上刃151の貫通孔152に挿入嵌合して上刃151を保持し裁断機本体10に軸支される軸部130A(130B)に対して、裁断機本体10で利用する最大枚数(21枚)+1の半分の数(11枚)の上刃151を保持する裁断刃保持軸330から、保持する全数の上刃151を移動させて保持させた後、裁断機本体10における裁断に必要な枚数に対して足りない枚数分は、回転板320を回転させて他の裁断刃保持軸330に保持された上刃151を移動させて保持させる取付工程を実施している。
また、軸部130A(130B)から使用後の上刃151を取り外す際には、軸部130A(130B)に保持された使用後の上刃151のうち、裁断機本体10で利用する最大枚数(偶数の場合)の半分の数、もしくは、最大枚数(奇数の場合)+1の数の半分の数の上刃151を、上刃151を保持していない裁断刃保持軸330に移動させて保持させた後、軸部130A(130B)に残る上刃151は、回転板320を回転させ、この残りの上刃151の数との合算により裁断機本体10で利用する最大枚数(偶数の場合)の半分の数、もしくは、最大枚数(奇数の場合)より1つ多い数の半分の数の上刃151を保持することとなる他の裁断刃保持軸330に移動させて保持させる取り外し工程を実施している。
このため、上述したように、これら取付工程および取り外し工程を実施することで、裁断刃保持軸330に戻した上刃151の保持される位置が、以前の軸部130A(130B)に取り付ける前の裁断刃保持軸330に保持されていた位置と異なる状態に確実に変更されるため、上刃の使用頻度を確実に平均化できる。
【0048】
そして、制御装置により、取付工程を取付制御し、取り外し工程を取り外し制御する。
さらに、取り外し制御を実施した後、裁断機本体10により他の異なる条件の裁断を実施するために取付制御を実施する場合、まず始めに取り外し制御の前に実施した取付制御で利用していない裁断刃保持軸330から、保持する全数の上刃151を移動させている。
このため、取り外し制御で裁断刃保持軸330に戻された使用後の上刃151を、次の裁断に利用される前に洗浄する機会が確実に得られ、順次異なる裁断の実施が円滑にできる。
【0049】
そして、裁断刃保持軸330を回転する回転板320の回転中心の回りに円周上に複数突設している。
このため、軸部130A(130B)と上刃151を移動させて着脱する際に、回転板320を回転させるのみで、対象となる裁断刃保持軸330を軸部130A(130B)に対応して位置させることができ、回転させる簡単な構成で円滑・迅速に上刃151を順次着脱させることができ、上刃151の交換効率を向上でき、裁断効率を向上できる。
【0050】
[変形例]
なお、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは、本発明に含まれるものである。
【0051】
すなわち、制御装置としては、裁断装置1の全体を制御する全自動の構成に限られない。
例えば、搬送手段220や裁断刃保管装置300の走行などは、各種工具(搬送手段220や裁断刃保管装置300に相当)を利用して手動により動作させるなど、半自動の構成としてもよい。さらには、制御装置を設けず、保持手段210に保持された軸部130Bと連結する裁断刃保管装置300の裁断刃保持軸330とで工具などを利用して作業者が上刃151を移動させて交換する手動の構成としてもよい。
【0052】
また、上刃151を交換する構成を例示したが、下刃を交換する構成としてもよい。
さらに、上述した実施形態の保持手段210の他に、下刃を交換するための保持手段210、さらに搬送手段220、また下刃用の裁断刃保管装置300を設けるなどして、上下の裁断刃を交換できる構成としてもよい。
【0053】
保持手段210として、軸部130A(130B)を軸方向が平行となる状態、具体的には水平方向で並列状に複数保持可能な構成としたが、この限りではない。
例えば、鉛直方向で並列状に位置する状態に複数保持可能な構成としたり、放射状に保持可能な構成としたりするなど、裁断装置1の設置領域に応じて適宜設定すればよい。
また、2本の軸部130A,130Bを用いて交換する構成を例示したが、交換用として3本以上利用する構成としてもよい。すなわち、裁断時間が裁断刃保管装置300にて裁断刃を付け替える時間より短くなるような場合でも、裁断刃を既に付け替えられたものを準備でき、効率の低下を防止できる。
さらに、保持手段210として、裁断機本体10に取り付ける軸部130A(130B)に対して軸部130B(130A)が直列状に位置する状態に保持する構成を例示したが、この限りではない。例えば、裁断機本体10の軸支部120に支持される軸部130Aに対して軸方向が直行する平面視でL字状に配置される状態で支持する構成などとしてもよい。
【0054】
搬送手段220として、クレーン221を一対備えた構成としたが、例えば軸部130A(130B)の一端側のみを支持して搬送する構成としてもよい。
また、搬送方法としては、吊り下げ支持して移動する方法に限らず、例えば持ち上げ支持して搬送するなど、裁断中に次の裁断のために裁断刃が交換された軸部130A(130B)を、保持手段210で保持される位置と、裁断機本体10の軸支される位置との間で搬送可能ないずれの構成も適用できる。
【0055】
裁断刃保管装置300として、移動手段310を設けて移動可能な構成を例示したが、移動手段310を設けず、移動しない一体構成としてもよい。
この場合、保持手段210に保持した軸部130A(130B)と裁断刃保持軸330との連結・離間を実施させるために、裁断刃保持軸330自体が回転板320に対して進退する構成としたり、回転板320が裁断刃保持軸330とともに移動する構成としたりすればよい。
【0056】
裁断刃洗浄手段340は、裁断刃保管装置300に設けた構成を例示したが、この限りではない。
例えば裁断刃交換装置20の交換装置本体200に設け、保持手段210に保持した軸部130Bに保持された使用後の上刃151を洗浄する構成としてもよい。また、裁断刃洗浄手段340を設けなくてもよい。
そして、上記実施形態では、裁断刃洗浄手段340を筐体の台座11上に設けて回転板320の回転により移動される裁断刃保持軸330の上刃151を洗浄する固定式の構成を例示したが、例えば制御装置の制御により裁断刃洗浄手段340が適宜移動して裁断刃を洗浄する構成とするなどしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、軸部130A(130B)を交換させる動作を実施し、裁断機本体10で裁断を実施している間、上刃151を交換させる処理を例示したが、この限りではない。
例えば、裁断機本体10から軸部130A(130B)を保持手段210へ搬送して保持させ、上刃151が交換可能な状態となった時点で、既に上刃151を交換した軸部130B(130A)を裁断機本体10に搬送する前でも、上刃151の交換処理を実施してもよい。また、軸部130A(130B)の交換時間のみ裁断機本体10での裁断処理が停止するよう、裁断刃の交換動作と搬送動作とを平行して処理してもよい。
【0058】
その他、本発明の実施における具体的な構成および形態などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば、紙や合成樹脂フィルム、金属箔、多層シートなど、シート状あるいは薄板状のものを、裁断機本体で裁断するために利用する裁断刃の交換に用いる裁断刃交換装置、この裁断刃交換装置を備えた裁断装置、および、裁断刃の交換方法に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1…裁断装置
10…裁断機本体
20…裁断刃交換装置
130A,130B…軸部
151…裁断刃としての上刃
152…貫通孔
200…裁断刃交換装置としても機能する交換装置本体
210…保持手段
220…搬送手段
221…クレーン
300…裁断刃保管手段としての裁断刃保管装置
310…移動手段
340…洗浄手段としての裁断刃洗浄手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に貫通孔が形成された裁断刃と、この裁断刃の貫通孔に挿入嵌合される軸部とを備えた裁断機本体に用いられ、前記裁断刃を交換する裁断刃交換装置であって、
前記軸部の軸方向の一端側を複数保持可能な保持手段を具備した
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の裁断刃交換装置において、
前記保持手段と前記裁断機本体との間で、前記軸部を搬送する搬送手段を具備し、
前記搬送手段は、前記軸部の両端部を吊り下げ支持して前記保持手段と前記裁断機本体との間で搬送するクレーンを備えた
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の裁断刃交換装置において、
前記保持手段に保持された前記軸部の他端に着脱可能に連結され、前記軸部から取り外された裁断刃の貫通孔に挿入嵌合して前記裁断刃を保持する裁断刃保持軸を備えた裁断刃保管手段を具備した
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の裁断刃交換装置において、
前記裁断刃保管手段は、前記保持手段に保持された軸部に対して前記裁断刃保持軸が接離する状態に移動可能な移動手段を備えた
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の裁断刃交換装置において、
前記裁断刃保管手段は、前記裁断刃保持軸に保持した前記裁断刃を洗浄する洗浄手段を備えた
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の裁断刃交換装置と、
この裁断刃交換装置にて取り付けられた前記裁断刃により前記被裁断物を裁断する裁断機本体と、
を具備したことを特徴とする裁断装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の裁断刃交換装置を用いて、前記裁断機本体に装着された裁断刃を交換する裁断刃の交換方法であって、
前記裁断機本体に装着され前記裁断刃が取り付けられた一方の軸部と同一の他方の軸部を前記保持手段に保持する軸部保持工程と、
この軸部保持工程で前記保持手段に保持された前記他方の軸部に前記裁断刃を取り付ける裁断刃取付工程と、
前記裁断機本体の一方の軸部と前記保持手段に保持された他方の軸部とを交換する軸部交換工程と、を実施する
ことを特徴とする裁断刃の交換方法。
【請求項1】
中心に貫通孔が形成された裁断刃と、この裁断刃の貫通孔に挿入嵌合される軸部とを備えた裁断機本体に用いられ、前記裁断刃を交換する裁断刃交換装置であって、
前記軸部の軸方向の一端側を複数保持可能な保持手段を具備した
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の裁断刃交換装置において、
前記保持手段と前記裁断機本体との間で、前記軸部を搬送する搬送手段を具備し、
前記搬送手段は、前記軸部の両端部を吊り下げ支持して前記保持手段と前記裁断機本体との間で搬送するクレーンを備えた
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の裁断刃交換装置において、
前記保持手段に保持された前記軸部の他端に着脱可能に連結され、前記軸部から取り外された裁断刃の貫通孔に挿入嵌合して前記裁断刃を保持する裁断刃保持軸を備えた裁断刃保管手段を具備した
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の裁断刃交換装置において、
前記裁断刃保管手段は、前記保持手段に保持された軸部に対して前記裁断刃保持軸が接離する状態に移動可能な移動手段を備えた
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の裁断刃交換装置において、
前記裁断刃保管手段は、前記裁断刃保持軸に保持した前記裁断刃を洗浄する洗浄手段を備えた
ことを特徴とする裁断刃交換装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の裁断刃交換装置と、
この裁断刃交換装置にて取り付けられた前記裁断刃により前記被裁断物を裁断する裁断機本体と、
を具備したことを特徴とする裁断装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の裁断刃交換装置を用いて、前記裁断機本体に装着された裁断刃を交換する裁断刃の交換方法であって、
前記裁断機本体に装着され前記裁断刃が取り付けられた一方の軸部と同一の他方の軸部を前記保持手段に保持する軸部保持工程と、
この軸部保持工程で前記保持手段に保持された前記他方の軸部に前記裁断刃を取り付ける裁断刃取付工程と、
前記裁断機本体の一方の軸部と前記保持手段に保持された他方の軸部とを交換する軸部交換工程と、を実施する
ことを特徴とする裁断刃の交換方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−148052(P2011−148052A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11986(P2010−11986)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
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