説明

装入装置およびその制御方法

【課題】駆動系統を簡略化しつつシュートの傾斜角度を常時検出できる装入装置を提供すること。
【解決手段】フレーム3と、旋回軸を中心に回転可能なロータ4と、調整軸を中心に回転可能なホルダ5と、調整軸に第2角度で交差する方向へ延びるシュートと、ロータをフレームに対して回転させる旋回駆動モータ70と、旋回軸を中心に回転可能な伝達側傘歯歯車82と、ホルダに固定されて伝達側傘歯歯車に噛み合うホルダ側傘歯歯車81と、ホルダをロータに対して回転させる調整駆動モータ80と、旋回駆動モータ70の回転が伝達される旋回角度センサ91と、旋回駆動モータ70の回転および調整駆動モータ80の回転が伝達される差動機構93と、差動機構93における旋回駆動モータ70と調整駆動モータ80との相対回転が伝達される調整角度センサ92とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装入装置およびその制御方法に関し、高炉などの容器内部に装入物を装入する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製銑用の高炉においては、炉内に装入物を装入する設備として装入装置が用いられている。同様な装入装置は、他の反応炉や反応塔、触媒容器など、容器内部に内容物を充填する際にも用いられている。
このような装入装置においては、容器内における装入物の平面分布を均一にする等、装入物を所望の状態とすることが要求される。このために、装入装置においては、装入物の散布方向や散布状態を自由に制御することが求められ、様々な散布機構が開発されている。
【0003】
特許文献1の装置は、装入物を送り出す円筒状または樋状のシュートを旋回部分に傾斜して設置し、この旋回部分をシュートとともに鉛直な旋回軸まわりに旋回させることで、シュートの先端から放出される装入物をドーナツ状に散布する。さらに、旋回軸に対するシュートの傾斜角度を調整することで、シュートから放出される装入物の到達領域を変更し、これにより散布状態の制御を実現している。
【0004】
特許文献1の装置では、シュートは傾斜角度の調整機構を介して旋回部分に支持されている。旋回部分を旋回駆動するために旋回駆動モータが用いられ、旋回駆動モータの出力は調整機構にも伝達されている。調整機構と駆動モータとの間には差動機構(遊星歯車)が介在され、差動機構の3つめの軸には調整駆動モータが接続されている。このような構成において、中間歯車の減速比を正しく選択すれば、旋回駆動モータにより調整機構と旋回部分とが一体に回転するようにできる。また、調整駆動モータを作動させることで差動機構から旋回動作に対する相対回転(相対角度、位相差の変化)が調整機構に伝達され、調整機構においては伝達された相対回転に応じてシュートの傾斜角度の調整が行われる。
【0005】
前述した特許文献1では、シュートの傾斜角度の調整機構と旋回部分を旋回駆動モータの駆動により一体的に旋回させ、調整駆動モータの駆動により調整機構を駆動させるために、差動機構を介在させる必要がある。従って、構造が複雑化し、設備コストも上昇する。さらに、複雑な機構の旋回を維持するために保守点検が煩雑になる。
【0006】
これに対し、本願の出願人により、シュートの旋回軸まわりに回転するロータと、旋回機構に支持されて旋回軸に対して傾斜した調整軸まわりに回転するホルダとを設置し、このホルダにシュートを支持した構成が提案されている(特願2009−234957号)。
この構成では、通常はこれらのロータおよびホルダを同期回転させることでシュートを一定の傾斜角度で旋回させるとともに、ロータに対してホルダを相対回転させることにより、シュートの傾斜角度を変化させることができる。
【0007】
このような構成の駆動には、特許文献1のような差動機構と旋回駆動モータおよび調整駆動モータとを用いることができ、通常は旋回駆動モータだけでロータとホルダとを同期回転させ、角度調整時には調整駆動モータと差動機構とによりロータとホルダとを相対回転させることができる。
また、ロータおよびホルダに対して個別の駆動モータを用い、各々を個別に制御することで、差動機構を用いずにロータおよびホルダの同期回転による旋回動作、あるいはロータとホルダとの相対回転によるシュートの傾斜角度調整を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭49−41205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前述したロータおよびホルダを有する構成において、例示した二つの駆動方式には次のような問題がある。
前述した駆動系統に差動機構を用いる方式では、駆動力の伝達に耐えられる大型の差動機構が必要になり、装入装置としての軽量化、小型化に適さないという問題がある。
前述した個別の駆動モータを用いる方式では、フレームに固定されたセンサからシュートの傾斜角度を直接検出することが容易でないため、各駆動モータの回転数を検出してその差分からシュートの傾斜角度を推定することになる。また、停電やセンサ異常時の復旧作業では、シュート角度を目視確認する必要があるが、高炉においてはシュートが炉内に設置されているため、目視確認作業ではマンホールを開ける必要がある。しかし、操業上の問題からマンホールの開口作業は容易ではない。以上から、精度よくシュートの傾斜角度を制御することが困難であるという問題がある。
【0010】
本発明の主な目的は、駆動系統を簡略化しつつシュートの傾斜角度を精度よく制御できる装入装置およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の装入装置は、シュートを含む旋回部分を旋回軸まわりに回転させる旋回駆動モータと、前記旋回部分との相対回転に応じて前記シュートの傾斜角度を変化させる調整機構と、前記調整機構を前記旋回軸まわりに回転させる調整駆動モータとを有するとともに、
前記旋回駆動モータの回転および前記調整駆動モータの回転が伝達される差動機構と、前記差動機構における前記旋回駆動モータと前記調整駆動モータとの相対回転が伝達される調整角度センサとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の装入装置の制御方法は、シュートを含む旋回部分を旋回軸まわりに回転させる旋回駆動モータと、前記旋回部分との相対回転に応じて前記シュートの傾斜角度を変化させる調整機構と、前記調整機構を前記旋回軸まわりに回転させる調整駆動モータとを有する装入装置の制御方法であって、
前記旋回駆動モータの回転および前記調整駆動モータの回転が伝達される差動機構と、前記差動機構における前記旋回駆動モータと前記調整駆動モータとの相対回転が伝達される調整角度センサとを用い、
前記シュートの傾斜角度を所定の角度とする際に、前記調整角度センサで検出される角度を参照しつつ前記調整駆動モータを制御することを特徴とする。
【0013】
ここで、旋回部分との相対回転に応じてシュートの傾斜角度を変化させる調整機構としては、前述したロータおよびホルダを有する構成が採用できる。また、旋回駆動モータの回転を検出するために、旋回角度センサ等を適宜設置してもよく、あるいは制御装置から旋回駆動モータの回転を検出できれば当該構成を利用してもよい。
あるいは、前述した特許文献1あるいは他の構成における同様な旋回駆動モータ、調整機構、調整駆動モータに対して、前述した差動機構、調整角度センサを適用してもよい。
【0014】
差動機構としては、一般的な遊星歯車が利用できる。遊星歯車の3つの入出力軸は旋回駆動モータの回転と、調整駆動モータの回転を入力とし、各歯車の減速比を正しく選択することにより、前記旋回駆動モータの回転と調整駆動モータの回転の相対回転が出力され、調整角度センサに得られるものであれば任意の歯車と接続することができる。
差動機構としては、遊星歯車のほか、これに類する歯車機構その他の伝達機構を利用してもよく、2系統の入力回転数の差分に応じた回転数を軸出力するものであれば適宜利用することができる。
差動機構の例として、株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズの波動歯車式ディファレンシャルユニット(商品名ハーモニックドライブFDシリーズ)等が利用できる。
【0015】
このような本発明では、旋回部分が旋回駆動モータにより駆動され、調整機構が調整駆動モータにより駆動される。つまり、旋回部分および調整機構に対して個別に駆動モータが設置され、旋回部分および調整機構は各系統の駆動モータにより個別に回転駆動される。
そして、旋回角度センサは旋回駆動モータに基づく回転を検出する。調整角度センサは差動機構を介して旋回駆動モータの回転と調整駆動モータの回転との相対回転を検出する。
【0016】
ここで、旋回駆動モータによる旋回部分の回転と調整駆動モータによる調整機構の旋回軸を中心とした回転とが同じ回転速度である時(相対回転が0の時)、旋回部分と調整機構とは同期して回転され、シュートを含めて一体に旋回する。この状態では、調整機構における旋回部分に対する相対回転が0であるため、シュートの傾斜角度は変化しない(通常の旋回動作)。
【0017】
一方、旋回駆動モータによる旋回部分の回転速度と調整駆動モータによる調整機構の旋回軸を中心とした回転速度との同期を解除し、互いに異なる回転速度にすると、調整機構においては旋回部分に対する相対回転に応じてシュートの傾斜角度が変化する。すなわち、旋回駆動モータを停止させて調整駆動モータだけ作動させることで、基本的な旋回動作は停止され、シュートの傾斜角度が調整される。あるいは、旋回駆動モータと調整駆動モータとを異なる速度で回転させることで、シュートおよび旋回部分の旋回を行いつつ、相対回転に応じて傾斜角度が調整される(傾斜角度の調整動作)。
【0018】
このような通常の旋回動作あるいは傾斜角度の調整動作において、旋回角度センサは、旋回駆動モータに基づく回転から、シュートおよび旋回部分の旋回状態を検出できる。
また、調整角度センサは、旋回部分と調整機構との旋回軸を中心とした相対回転から、シュートの傾斜角度を直接検出できるため、シュートの傾斜角度を精度よく制御することができる。
特に、差動機構というメカニカルな検出機構を用いて相対回転を検出しているため、停電による傾斜角度の異常検出が発生することがない。また、万一、調整角度センサが破損したとしても、炉外から傾斜角度を確認できる。
【0019】
さらに、本発明では、旋回駆動モータから旋回部分に至る駆動経路および調整駆動モータから調整機構に至る駆動経路は何れも差動機構を必要とせず、これらの大きな駆動力が要求される駆動経路の途中に複雑な遊星歯車等を設置しないでよいため、駆動経路中の差動機構に起因する装置の大型化や高コスト化を回避することができる。
一方、本発明では調整角度センサに差動機構を用いるが、この差動機構は各センサに至る回転動作の伝達ができればよく、駆動力の伝達までは要求されないため、遊星歯車等のなかでも小型軽量なものを用いることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0020】
本発明の装入装置において、調整角度センサの1サイクルが前記シュートの傾き調整の1サイクルに対応するように前記差動機構を含めた伝達経路の伝達比が設定されていることが望ましい。
このような本発明では、調整角度センサの1サイクルがシュートの傾き調整の1サイクルに対応するため、調整角度センサからの出力角度から一対一でシュートの傾きを割り出すことができ、オペレータの認識性を高めることができるとともに、制御系への情報出力も簡素化することができる。
【0021】
本発明の装入装置において、フレームと、前記フレームに設定された旋回軸と、前記フレームに支持されて前記旋回軸を中心に回転可能なロータと、前記ロータに設定されて前記旋回軸に第1角度で交差する調整軸と、前記ロータに支持されて前記調整軸を中心に回転可能なホルダと、前記ホルダに固定されて前記調整軸に第2角度で交差する方向へ延びるシュートと、前記フレームに固定されて前記ロータを前記フレームに対して回転させる旋回駆動モータと、前記フレームに支持されて前記旋回軸を中心に回転可能な伝達側傘歯歯車と、前記ホルダに固定されて前記伝達側傘歯歯車に噛み合うホルダ側傘歯歯車と、前記フレームに固定されて前記伝達側傘歯歯車を回転させることで前記ホルダを前記ロータに対して回転させる調整駆動モータと、を有するとともに、
前記旋回駆動モータの回転および前記調整駆動モータの回転が伝達される差動機構と、前記差動機構において前記旋回駆動モータと前記調整駆動モータとの相対回転が伝達される調整角度センサを有することが望ましい。
また、本発明の装入装置において、前記旋回駆動モータの回転が伝達される旋回角度センサを有することが望ましい。
【0022】
このような本発明では、フレームにロータが支持され、ロータにホルダが支持され、ホルダにシュートが固定される。旋回駆動モータによりロータを回転させることで、基本的な旋回動作が行われるとともに、調整駆動モータによりホルダをロータに対して回転させることで、シュートの角度を変更できる(調整機構)。
【0023】
すなわち、調整軸は旋回軸に対して第1角度で交差し、シュートは調整軸に対して第2角度で交差するため、ホルダとロータとが相対回転すると、旋回軸に対するシュートの角度は、第1角度と第2角度との差(最小値)から第1角度と第2角度との和(最大値)までの間で変化する。その結果、フレームおよびロータに対するシュートの角度が前述した最大値から最小値までの範囲で任意に選択することができる。
【0024】
ここで、本発明では、ホルダ側傘歯歯車と伝達側傘歯歯車とは、ロータが旋回軸を中心に回転しても常に噛み合っており、旋回軸を中心に伝達側傘歯歯車を回転させることにより、ホルダをロータに対して調整軸を中心に回転させることができる。伝達側傘歯歯車は旋回軸を中心に回転するため、歯車列等の伝達経路を介してフレームに固定された調整駆動モータから駆動力を伝達することができる。
【0025】
本発明では、旋回駆動モータがロータを単独で回転させ、調整駆動モータが伝達側傘歯歯車を単独で回転させ、つまり旋回駆動モータによるロータの駆動と調整駆動モータによる傘歯歯車の駆動とが各々独立している。
このため、通常時は、ロータと伝達側傘歯歯車とを同期回転させることで、シュートの角度が一定の状態でこれらのロータおよびホルダ、シュートを旋回させることができる。一方、調整時には、ロータと伝達側傘歯歯車が異なる回転数で回転するように、調整駆動モータの回転数を制御することで、ロータに対する伝達側傘歯歯車の位相が変更され、ホルダ側傘歯歯車に駆動力が伝達され、ロータに対してホルダが調整軸を中心に回転し、その結果シュートの角度が変更される。
【0026】
このように、本発明においては、旋回駆動モータでシュートを旋回させることにより基本的な散布動作を行うとともに、調整駆動モータによりロータと伝達側傘歯歯車の位相を調整することで、旋回軸に対するシュートの角度、つまりフレームおよびロータに対するホルダおよびシュートの角度を調整することができ、旋回による散布の半径を調整することができる。
【0027】
このような本発明では、基本的な旋回動作を継続しつつ、シュートの角度調整を行うことができるため、制御は非常に簡略化される。さらに、電気的に各駆動モータの差分を検出する方式では、信頼性向上ため、シュート傾斜角度のプリセット用センサをシュートに設けるなどの工夫が必要になるところ、本発明では、このような工夫が不要となる。また、ロータやホルダおよびその支持構造、旋回駆動モータからロータに至る伝達経路については機能的にも単純であり、構造の複雑化を回避することができる。調整駆動モータからホルダに至る伝達経路についても、前述の傘歯歯車を利用した簡単な構成で実現することができ、構造の複雑化を回避することができる。
【0028】
本発明の装入装置において、前記シュートの傾斜角度を所定の角度とする際に、前記調整角度センサで検出される角度を参照しつつ前記調整駆動モータを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
入力操作に対応する指令を出力可能な入力部と、
この入力部から入力される、前記旋回駆動モータに対して設定された回転速度を表す指令に基づいて、前記旋回駆動モータを回転させる第1モータコントローラと、
前記調整角度センサに伝達された相対回転に基づいて、前記シュートの傾斜角度を検出する調整角度検出器と、
前記入力部から入力される前記所定の角度と前記調整角度検出器で検出された前記シュートの傾斜角度との偏差を演算する偏差演算手段と、
前記偏差演算手段で演算された偏差に基づいて、前記調整駆動モータの回転速度を変更するための補正速度を演算する補正速度演算手段と、
前記入力部からの指令に基づく回転速度と前記補正速度演算手段で演算された補正速度とを加算する加算器と、
前記加算器における加算で得られた回転速度で、前記調整駆動モータを回転させる第2モータコントローラと、を備え、
前記補正速度演算手段は、前記調整駆動モータの回転速度の変更後に前記偏差演算手段で新たに演算される偏差が、回転速度の変更前に演算された偏差よりも小さくなるような補正速度を演算することが望ましい。
【0029】
本発明の装入装置の制御方法において、入力操作に対応する指令を出力可能な入力部から入力される、前記旋回駆動モータに対して設定された回転速度を表す指令に基づいて、前記旋回駆動モータを回転させる第1モータコントロール工程と、
前記調整角度センサに伝達された相対回転に基づいて、前記シュートの傾斜角度を検出する調整角度検出工程と、
前記入力部から入力される前記所定の角度と前記調整角度検出工程で検出された前記シュートの傾斜角度との偏差を演算する偏差演算工程と、
前記偏差演算工程で演算された偏差に基づいて、前記調整駆動モータの回転速度を変更するための補正速度を演算する補正速度演算工程と、
前記入力部からの指令に基づく回転速度と前記補正速度演算工程で演算された補正速度とを加算する加算工程と、
前記加算工程における加算で得られた回転速度で、前記調整駆動モータを回転させる第2モータコントロール工程と、を備え、
前記補正速度演算工程は、前記調整駆動モータの回転速度の変更後に前記偏差演算工程で新たに演算される偏差が、回転速度の変更前に演算された偏差よりも小さくなるような補正速度を演算することが望ましい。
【0030】
このような本発明の装入装置、および装入装置の制御方法では、入力部から入力される所定の角度と、調整角度検出器で検出されたシュートの傾斜角度との偏差を、調整駆動モータの回転速度変更前よりも小さくするような補正速度を演算し、この補正速度と旋回駆動モータの回転速度とを加算した回転速度で、調整駆動モータを回転させるため、精度よくシュートの傾斜角度を一定の角度に制御できる。また、補正速度を旋回駆動モータの回転速度に加算するだけの簡単な演算で、調整駆動モータの回転速度を決定することができ、安価な構成でも対応できる。
【0031】
本発明の装入装置において、前記補正速度演算手段は、前記偏差演算手段で演算された偏差が予め設定された閾角度以上の場合には、固定された値である最大補正速度を前記補正速度として演算し、前記閾角度未満の場合には、前記偏差の大きさに応じて異なり、かつ、前記最大補正速度未満の値である偏差対応補正速度を前記補正速度として演算することが望ましい。
本発明の装入装置の制御方法において、前記補正速度演算工程では、
前記偏差演算工程で演算された偏差が予め設定された閾角度以上の場合には、固定された値である最大補正速度を前記補正速度として演算し、
前記閾角度未満の場合には、前記偏差の大きさに応じて異なり、かつ、前記最大補正速度未満の値である偏差対応補正速度を前記補正速度として演算することが望ましい。
【0032】
このような本発明の装入装置、および装入装置の制御方法では、偏差の絶対値が閾角度以上の場合には、固定値である最大補正速度を補正速度として演算するので、調整駆動モータの回転速度の最大値を所定速度以下に設定することができ、調整駆動モータの負荷を抑制できる。一方、閾角度未満の場合には、偏差の絶対値の大きさに応じて異なる偏差対応補正速度を補正速度として演算するので、偏差をほぼ0にすることができる。
【0033】
本発明の装入装置において、前記制御装置は、
前記加算器と前記偏差演算手段との間に設けられ、前記加算器に前記補正速度を入力可能なオン状態と入力不可能なオフ状態とを切り替え可能な第1スイッチと、
前記加算器と前記入力部との間に設けられ、前記加算器に前記入力部からの指令を入力可能なオン状態と入力不可能なオフ状態とを切り替え可能な第2スイッチと、を備え、
前記加算器は、
前記第1スイッチによりオフ状態に設定され、かつ、前記第2スイッチによりオン状態に設定された場合、前記入力部からそれぞれ入力される、前記旋回駆動モータに対して設定された回転速度と、前記傾斜角度を変更するための回転速度とを加算して、その結果を前記第2モータコントローラに出力し、
前記第1スイッチによりオン状態に設定され、かつ、前記第2スイッチによりオフ状態に設定された場合、前記入力部から入力される前記旋回駆動モータに対して設定された回転速度と、前記補正速度演算手段で演算された補正速度とを加算して、その結果を前記第2モータコントローラに出力することが望ましい。
【0034】
このような本発明では、第1スイッチによりオフ状態に設定し、第2スイッチによりオン状態に設定することにより、シュートの傾斜角度を作業者の所望の傾斜角度に短時間で変更することができる。さらに、第1スイッチによりオン状態に設定し、第2スイッチによりオフ状態に設定した場合には、シュートの傾斜角度をほぼ一定の角度に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態を示す部分破断した斜視図。
【図2】前記図1のA−A断面を示す縦断面図。
【図3】前記図1のB−B断面を示す縦断面図。
【図4】前記第1実施形態の駆動系を示す斜視図。
【図5】前記第1実施形態の最大散布角での旋回動作を示す平面図。
【図6】前記第1実施形態の最大散布角での旋回動作を示す側面図。
【図7】前記第1実施形態の中間的な散布角での旋回動作を示す平面図。
【図8】前記第1実施形態の中間的な散布角での旋回動作を示す側面図。
【図9】前記第1実施形態の最小散布角での旋回動作を示す平面図。
【図10】前記第1実施形態の最小散布角での旋回動作を示す側面図。
【図11】本発明の第2実施形態を示す部分破断した斜視図。
【図12】前記図11のA−A断面を示す縦断面図。
【図13】前記図11のB−B断面を示す縦断面図。
【図14】本発明の第3実施形態を示す部分破断した斜視図。
【図15】前記図14のA−A断面を示す縦断面図。
【図16】前記図14のB−B断面を示す縦断面図。
【図17】本発明の第4実施形態を示す模式斜視図。
【図18】本発明の第5実施形態を示す模式図。
【図19】前記第5実施形態の制御装置を示すブロック図。
【図20】前記第5実施形態の同期補正速度と増幅角度偏差との関係を示すグラフ。
【図21】本発明の第6実施形態の制御装置を示すブロック図。
【図22】前記第6実施形態の位置決め補正速度と角度偏差との関係を示すグラフ。
【図23】本発明の実施例の制御装置における制御状態を表すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1から図10には本発明の第1実施形態が示されている。このうち、図1は本実施形態の装入装置1を示す部分破断した斜視図、図2は図1のA−A断面(後述する旋回駆動モータ70を通る断面)を示す縦断面図、図3は図1のB−B断面(後述する調整駆動モータ80を通る断面)を示す縦断面図、図4は本実施形態の駆動系を示す斜視図である。
【0037】
本実施形態の装入装置1は、高炉2の炉頂部に設置されて炉内に鉄鉱石および石炭を主体とする装入物を散布するものである。
高炉2の炉頂部は円錐台状に形成され、その上部開口にはフレーム3が設置されている。フレーム3には旋回部分としてのロータ4が支持され、ロータ4には調整機構としてのホルダ5が支持され、ホルダ5にはシュート6が支持されている。
【0038】
本実施形態の装入装置1においては、旋回軸D1、調整軸D2、シュート中心軸D3が設定され、前述したフレーム3、ロータ4、ホルダ5およびシュート6はこれらの各軸に従って設置される(図2および図3参照)。
旋回軸D1は、鉛直方向の軸線であり、高炉2の中心軸線と一致する。
調整軸D2は、交点Oにおいて旋回軸D1と交差しており、互いの交差角度は第1角度A1とされている。
シュート中心軸D3は、前述した交点Oにおいて調整軸D2と交差しており、互いの交差角度は第2角度A2とされている。
【0039】
シュート中心軸D3は、シュート6から散布される装入物が炉内に散布される方向を規定するものであり、通常はシュート6の円錐台形状の底面方向とされる。
【0040】
詳細は後述するが、ホルダ5はロータ4に対して調整軸D2まわりに回転する。このようなロータ4に対するホルダ5の回転に伴い、シュート中心軸D3は調整軸D2に対する第2角度A2を保ったまま調整軸D2まわりに回転する。この回転により、シュート6の先端開口における点Pは、軌跡L2に沿って円形に移動する。
【0041】
このような回転により、シュート中心軸D3の旋回軸D1に対する方向(つまりフレーム3に対する方向)が変化し、図2および図3におけるシュート中心軸D3は、図中一点鎖線で示す状態から交点Oを中心に図中左側へと振れることになる。
【0042】
詳細は後述するが、ホルダ5およびロータ4はフレーム3に対して旋回軸D1まわりに回転する(旋回部分)。このようなロータ4およびホルダ5の回転に伴い、シュート6の先端の点Pは軌跡L1に沿って旋回する。図2および図3の状態では、シュート中心軸D3は旋回軸D1に対して最大角度をなしており、軌跡L1は最大である。
【0043】
ここで、ホルダ5をロータ4に対して回転させ、シュート中心軸D3を調整軸D2まわりに回転させることで、シュート中心軸D3の旋回軸D1に対する角度が小さくなってゆき、軌跡L1は徐々に小さくなる。これにより旋回散布および散布半径の調整が可能となる(調整機構)。
【0044】
本実施形態では、旋回軸D1と調整軸D2とが交差する第1角度A1が例えば20度とされ、調整軸D2とシュート中心軸D3とが交差する第2角度A2が例えば20度とされ、つまり第1角度A1と同じとされている。このため、ホルダ5の回転によりシュート中心軸D3が図2および図3の最も左寄りにある状態では、シュート中心軸D3は旋回軸D1に一致し、軌跡L1の半径が0となる。
以上のような旋回軸D1、調整軸D2、シュート中心軸D3を基準として、以下にフレーム3、ロータ4、ホルダ5およびシュート6の各部およびこれらの駆動機構について説明する。
【0045】
フレーム3は、扁平な円筒状のケース30と、その上面を覆う上面板31と、下面を覆う下面板32とを有する。上面板31の中央には供給管33が設置され、この供給管33から供給される装入物がシュート6へと引き渡され、シュート6から高炉2内へと散布される。下面板32の中央には開口34が形成され、この開口34内にはロータ4が保持される。
【0046】
ロータ4は、供給管33の外周を囲う筒状の部分を有する上ケース41と、上ケース41の下側に接続されて内部にホルダ5を収容する下ケース42と、上ケース41の上側に接続されて、旋回用軸受431に支持されているマウント43とを備えている。
【0047】
マウント43は、上ケース41の上側に接続され、旋回用軸受431に支持され、ロータ4をフレーム3に回転自在に支持するものである。
旋回用軸受431は供給管33の周囲のフレーム3の上面板31の下面側に固定され、これによりロータ4の全体が旋回軸D1を中心に回転自在に支持されている。
ロータ4の内部には調整用軸受55が固定され、これにホルダ5が支持されている。これにより、ホルダ5は、ロータ4に対して調整軸D2を中心に回転自在に支持されている。
【0048】
図2、図3および図4に示すように、シュート6は、それぞれ円筒状の基端部60、本体61、接続部62を備えている。
基端部60は、上端がホルダ5に接続され、中心軸がホルダ5と同様に調整軸D2に一致されている。本体61は、基端部60の下端に接続され、中心軸がシュート中心軸D3に一致されている。接続部62は、前述した本体61と開口34が干渉するために切り欠いた部分で基端部60と本体61を接続させている。
【0049】
シュート6は、基端部60がホルダ5に接続され、ホルダ5がロータ4内に収容されることにより、基端部60に供給管33の先端が導入された状態とされる。この状態では、供給管33から装入物が供給されると、この装入物はシュート6を通ってその先端から高炉2内へと散布される。この際、高炉2内へ放出された時点の装入物の方向はシュート6の底面の方向D3´に沿ったものとされ、シュート6の方向を調整することで高炉2内への散布状態を制御することができる。
【0050】
より詳しくは、高炉2内へ放出される装入物は、シュート6の底面の方向D3´に沿って先端へ送られる。従って、高炉2内へ放出される装入物の方向は、シュート6の内面に沿った方向となる。ここで、シュート6の中心軸とシュート6の内面とがなす角度を第3角度A3として、第1角度A1と第2角度A2と第3角度A3との和は、シュート6に要求される最大傾斜角度となるように設定されている。なお、本実施形態では、角度A1と角度A2が同一角度とされている。
【0051】
本実施形態の装入装置1は、前述のようにシュート6から装入物を散布するにあたり、ロータ4とホルダ5ないしシュート6を一体に旋回させることで、装入物を高炉2内に所定半径の円周状に散布するとともに、ロータ4とホルダ5とを相対回転させることでシュート6の傾きを調整し、これにより散布半径を変化させて高炉2内の全域に装入物を散布することができる。
【0052】
このために、装入装置1は、ロータ4を回転駆動する旋回駆動機構7と、ホルダ5を回転駆動する調整駆動機構8とを備えている。
さらに、散布にあたってシュート6の旋回角度および傾斜角度を把握するために、旋回駆動機構7および調整駆動機構8の回転からシュート6の旋回角度および傾斜角度を検出する姿勢検出機構9を備えている。
【0053】
旋回用軸受431の外周には歯車71が形成され、この歯車71には歯車72が噛み合わせられ、この歯車72には歯車73がかみ合わせられ、この歯車73はフレーム3の上面板31の上面に設置された旋回駆動モータ70により回転駆動される。
これらの旋回駆動モータ70、歯車71、72、73により旋回駆動機構7が構成されている。
【0054】
調整用軸受55の外周にはホルダ側傘歯歯車81が形成され、このホルダ側傘歯歯車81には伝達側傘歯歯車82が噛み合わせられている。
伝達側傘歯歯車82はフレーム3の上面板31の下面から延びる支持部材83により、フレーム3に固定されている調整用動力伝達軸受84に支持され、旋回軸D1を中心として回転自在である。ホルダ側傘歯歯車81はホルダ5と一体に調整軸D2まわりに回転するが、傘歯歯車とすることで、ホルダ側傘歯歯車81と伝達側傘歯歯車82は互いに回転力を伝達可能である。
【0055】
ホルダ側傘歯歯車81はロータ4内に収容され、伝達側傘歯歯車82はロータ4の外部に設置されるが、ロータ4の上ケース41には伝達用開口が形成されているため、相互の噛み合わせが確保されている。
【0056】
調整用動力伝達軸受84の外周には歯車85が形成され、この歯車85には歯車86が噛み合わせられ、この歯車86には歯車87が噛み合わせられ、この歯車87はフレーム3の上面板31の上面に設置された調整駆動モータ80により回転駆動される。
これらの調整駆動モータ80、ホルダ側傘歯歯車81、伝達側傘歯歯車82、歯車85、86及び87により調整駆動機構8が構成されている。
【0057】
姿勢検出機構9は、フレーム3の上面板31の上面に設置されており、その上面に旋回角度センサ91および調整角度センサ92を有し、差動機構93を有し、前記差動機構93に旋回駆動モータ70の回転を入力する回転軸94と歯車95を有し、前記差動機構93に前記調整駆動モータ80の回転を入力する回転軸96を有する。
【0058】
旋回角度センサ91および調整角度センサ92は、一般的なロータリーエンコーダであり、その回転軸に伝達される回転を検出して回転角度を示す電気的な信号を出力する。従って、信号出力を検出回路で処理することで、回転軸に伝達された回転の角度を検出することができる。
【0059】
差動機構93は、一般的な遊星歯車装置であり、中央に配置された太陽歯車93Sと、その周囲に配置された複数の遊星歯車93Pと、遊星歯車93Pの軸を支持するキャリア93Cと、遊星歯車93Pの外側に外周歯車93Eと、を有する。この差動機構93では、太陽歯車93Sの回転と外周歯車93Eの回転を入力とし、キャリア93Cの回転を出力としている。各歯車の減速比を正しく選択することにより、キャリア93Cに旋回駆動モータ70の回転と調整駆動モータ80の回転の相対回転を出力する。
【0060】
差動機構93の太陽歯車93Sの回転軸96はフレーム3内へと延長され、その先端で歯車86に固定されている。歯車86は調整駆動機構8の歯車85に噛み合わせられている。これにより、調整駆動モータ80の回転に基づく歯車85の回転が回転軸96に伝達される。
【0061】
旋回角度センサ91の回転軸94は、フレーム3内へと延長され、その途中には歯車95が固定されているとともに、その先端で歯車72に固定されている。歯車72は、旋回駆動機構7の歯車71に噛み合わせられている。これにより、旋回駆動モータ70の回転に基づく歯車71の回転が回転軸94に伝達される。歯車95は、差動機構93の外周歯車93Eの外歯に噛み合わせられ、差動機構93に旋回駆動モータ70の回転を伝達する。調整角度センサ92は、差動機構93のキャリア93Cの回転軸に接続されている。
【0062】
このように、姿勢検出機構9においては、旋回角度センサ91には旋回駆動モータ70の回転が伝達されるとともに、差動機構93には旋回駆動モータ70の回転に基づく旋回動作(フレーム3に対するロータ4の回転)および調整駆動モータ80の回転に基づく調整機構の回転動作(フレーム3に対する歯車85の回転)が伝達され、これら旋回駆動モータ70の回転と調整駆動モータ80の回転との相対回転(ロータ4に対する歯車85の回転)が調整角度センサ92に伝達される。
【0063】
従って、旋回角度センサ91で検出される回転角度から、シュート6の旋回軸を中心とした回転の回転角度を割り出すことができる。
また、調整角度センサ92で検出される回転角度からホルダ5の調整軸D2を中心とした回転の回転角度を割り出すことができ、ホルダ5の調整軸D2を中心とした回転の回転角度に対応したシュート6の傾斜角度(角度A1−A2〜角度A1+A2)を読み取ることができる。
【0064】
本実施形態の装入装置1は、前述のような旋回駆動機構7と調整駆動機構8との協調動作により、旋回軸D1まわりの旋回散布を行う。
そして、調整軸D2まわりにロータ4とホルダ5とを相対回転させることにより、シュート6の傾斜角度の調整により装入物の散布半径を調整し、複数の同心円状となるように旋回散布を繰り返してゆく。
この際、前述した旋回駆動機構7と調整駆動機構8との協調動作にあたっては、姿勢検出機構9によりシュート6の傾斜角度を検出し、シュート6が散布に必要な傾斜角度となるよう制御を行う。
【0065】
以下、図5から図10により、本実施形態におけるシュートの傾斜角度の制御動作について説明する。
【0066】
図5および図6において、シュート6を旋回軸D1に対して最も傾いた状態(角度A1+A2)では、シュート6の先端Pは旋回軸D1から最も離れた状態(半径Rx)となる。この状態でロータ4およびホルダ5を一体に回転させると、シュート6の先端Pは半径Rxの軌跡L1に沿って旋回する。
ロータ4およびホルダ5を一体に回転させるためには、調整角度センサ92で検出される角度が一定となるように調整駆動モータ80を制御して、旋回駆動機構7と調整駆動機構8とを同期させ、ロータ4およびホルダ5を同じ速度で回転させればよい。
【0067】
ロータ4に対してホルダ5を相対回転させるためには、旋回駆動機構7と調整駆動機構8との同期をずらし、例えばホルダ5の回転速度をロータ4の回転速度よりも遅くする、あるいは一時的に停止させる等とすればよい。逆にホルダ5の回転速度をロータ4の回転速度よりも速くしてもよい。この際、調整角度センサ92で検出される角度が所望の角度まで変化するように調整駆動モータ80を制御する。
シュート6を、旋回軸を中心とした回転の特定の回転角度で停止するときはシュート6が旋回角度センサ91の特定の角度で停止するように旋回駆動モータ70を制御する。
【0068】
図7および図8において、シュート6の先端Pを軌跡L2に沿って移動させ、シュート6と旋回軸D1との傾き角度を小さくすることで、シュート6の先端Pの旋回軸D1からの距離(半径Rt)も小さくなる。この状態でロータ4およびホルダ5を一体に回転させることで、シュート6の先端Pは半径Rtの軌跡L1に沿って旋回する。
【0069】
図9および図10において、シュート6の先端Pを軌跡L2に沿って更に移動させ、シュート6と旋回軸D1とを一致させることで、互いの傾き角度が0となり、シュート6の先端Pの旋回軸D1からの距離(半径)も0となる。この状態では、シュート6の先端Pは旋回軸D1位置で旋回する。
このようにしてシュート6の先端Pの旋回半径を調整することができ、各旋回半径において旋回しつつ装入物を散布することで、高炉2内に均一にあるいは任意の分布で装入物を散布することができる。
【0070】
このように、本実施形態においては、旋回駆動機構7と調整駆動機構8とを協調動作させ、ホルダ5とロータ4とを一体的に回転させることで装入物の旋回散布が行えるとともに、ホルダ5とロータ4との相対回転により相対角度を調整することで、旋回軸D1に対するシュート6の傾きを任意に調整することができ、高炉2内における装入物の散布半径を自由に調整することができる。
本実施形態においては、シュート6の傾きの調整にあたって、旋回駆動機構7と調整駆動機構8との速度制御により、ロータ4とホルダ5とを同期回転状態から相対回転状態に切り替えることで簡単に行うことができる。
【0071】
そして、本実施形態では、ロータ4、ホルダ5、シュート6に対する前述した傾斜設定(旋回軸D1と調整軸D2との第1角度A1および調整軸D2とシュート中心軸D3との第2角度A2)により、シュート6の傾きを調整するようにしたため、回転方向別の複雑な支持機構などを設ける必要がなく、構成を簡略にすることができる。
とくに、旋回駆動機構7と調整駆動機構8との速度制御で旋回および角度調整が自由に行えるため、制御装置における制御の設計により、多様な動作を自由に設定することができる。
【0072】
この際、姿勢検出機構9により、旋回駆動機構7および調整駆動機構8の制御に必要となる状態量を適切に検出することができる。具体的には、旋回角度センサ91ではシュート6の旋回軸D1を中心とした回転の回転角度が検出できる。調整角度センサ92では、ホルダ5の調整軸D2を中心とした回転の回転角度が検出できる。
これによりシュート6の傾斜角度(角度A1−A2〜角度A1+A2)を読み取ることができ、シュート6の傾斜角度を精度よく制御しながら旋回軸D1を中心にシュート6を旋回させることができる。
【0073】
さらに、本実施形態の装入装置では、旋回駆動モータ70からロータ4に至る旋回駆動機構7および調整駆動モータ80からホルダ5に至る調整駆動機構8の何れにも差動機構を必要とせず、これらの大きな駆動力が要求される駆動経路の途中に複雑な遊星歯車等を設置しないでよいため、駆動経路中の差動機構に起因する装置の大型化や高コスト化を回避することができる。
【0074】
一方、本実施形態では、姿勢検出機構9において、旋回角度センサ91および調整角度センサ92とともに差動機構93を用いるが、この差動機構93は各センサに至る回転動作の伝達ができればよく、駆動力の伝達までは要求されないため、遊星歯車等のなかでも小型軽量なものを用いることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0075】
〔第2実施形態〕
図11〜図13には、本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と基本構成が同じであり、共通の部分については重複する説明を省略し、以下には異なる部分について説明する。
本実施形態において、キャリア93Cの回転は歯車97A,97Bを介して調整角度センサ92に伝達され、回転軸94の回転は歯車98A,98Bを介して旋回角度センサ91に伝達される。
【0076】
歯車97A,97Bの減速比を、ホルダ5が調整軸D2を中心に1回転するときに、調整角度センサ92が1回転するように選定されている。これにより、調整角度センサ92で検出される回転角度は、ホルダ5の調整軸D2を中心とする回転の回転角度と一致するため、ホルダ5の調整軸D2を中心とする回転の回転角度を割り出す演算を省略できる。
【0077】
歯車98A,98Bの減速比は、ロータ4が旋回軸D1を中心に1回転するときに旋回角度センサ91が1回転するように選定されている。これにより、旋回角度センサ91で検出される回転角度は、ロータ4の旋回軸D1を中心とした回転の回転角度と一致するため、ロータ4の旋回軸D1を中心とした回転の回転角度を割り出す演算を省略できる。
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様な効果が得られるとともに、歯車比率を特定の値に設定することで回転角度の演算を省略することができる。
【0078】
〔第3実施形態〕
図14〜図16には、本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と基本構成が同じであり、共通の部分については重複する説明を省略し、以下には異なる部分について説明する。
本実施形態においては、旋回駆動モータ70に固定された歯車73Aと、回転軸94に固定された歯車73Bが噛み合い、これによって、回転軸94に旋回駆動機構7の旋回動作が伝達される。さらに、調整駆動モータ80に固定されている歯車87Aと、回転軸96に固定されている歯車87Bが噛み合い、これによって、回転軸96に調整駆動機構8の旋回軸を中心とした回転が伝達される。
【0079】
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様な効果が得られるとともに、歯車比率を特定の値に設定することで回転角度の演算を省略することができる。
【0080】
〔第4実施形態〕
図17には、本発明の第4実施形態が示されている。
前述した第1ないし第3の実施形態は、シュート6とともに旋回する旋回部分としてロータ4を設け、シュート6の傾斜角度を調整するための調整機構としてホルダ5を設け、ロータ4とホルダ5とを傾斜面に対して相対回転させることでシュート6の傾斜を調整する方式であったが、本発明は前述した特許文献1に記載された調整機構、すなわちシュート6を軸支し、歯車で伝達される回転により傾斜角度を調整するものであってもよい。
【0081】
図17において、フレーム3および供給管33は前述した第1実施形態と同様であり、供給管33は図示省略した構成を介して歯車71と一体に旋回可能である。
供給管33の下端には直径方向の回動軸6Aが配置され、シュート6は基端部をこの回動軸6Aに固定されて傾斜角度が調整可能である。
回動軸6Aの端部には扇形の部分歯車6Bが固定され、この部分歯車6Bには歯車6Cが噛み合わせられ、この歯車6Cにはウォーム歯車6Eが噛み合わせられている。ウォーム歯車6Eは供給管33に回転自在に支持されるとともに、ウォーム歯車6Eには歯車6Fが固定され、この歯車6Fは歯車85に噛み合わせられている。
【0082】
歯車71には、前記第1実施形態と同様な旋回駆動機構7が接続されており、旋回駆動モータ70の駆動力により歯車71および供給管33が旋回駆動され、これによりシュート6が旋回する。
歯車85には、前記第1実施形態と同様な調整駆動機構8が接続されており、調整駆動モータ80の駆動力により歯車85が回転駆動され、歯車71との相対回転がウォーム歯車6Eに取り出され、回動軸6Aの回動として伝達され、シュート6の傾斜が変更される。
旋回駆動機構7および調整駆動機構8の間には、前述した第1実施形態と同様な差動機構93を含む姿勢検出機構9が設置されている。
【0083】
このような本実施形態においても、旋回駆動機構7および調整駆動機構8の同期回転動作によりシュート6の旋回が行われるとともに、旋回駆動機構7と調整駆動機構8との相対回転によりシュート6の傾斜角度の調整が行われ、この点で前述した第1実施形態と共通である。
また、本実施形態においても、差動機構93を含む姿勢検出機構9により、旋回駆動機構7および調整駆動機構8の制御に必要となる状態量を適切に検出することができる。
【0084】
〔第5実施形態〕
図18および図19には、本発明の第5実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第4実施形態と基本構成が同じであり、共通の部分については重複する説明を省略し、以下には異なる部分について説明する。
図18において、装入装置1は、供給管33を有するフレーム3を備える。供給管33は、図示省略した構成を介して歯車71と一体的に旋回可能である。
供給管33の下端には直径方向の回動軸6Aが配置され、シュート6は基端部をこの回動軸6Aに固定されて傾斜角度A4が調整可能である。
回動軸6Aの端部には扇形の部分歯車6Bが固定され、この部分歯車6Bには歯車6Cが噛み合わせられ、この歯車6Cにはウォーム歯車6Eが噛み合わせられている。ウォーム歯車6Eは供給管33に回転自在に支持されるとともに、ウォーム歯車6Eには歯車6Fが固定され、この歯車6Fは歯車85に噛み合わせられている。
【0085】
歯車71には、前記第1実施形態と同様な旋回駆動機構7が接続されており、旋回駆動モータ70の駆動力により歯車71および供給管33が旋回駆動され、これによりシュート6が旋回する。なお、本実施形態では、旋回駆動モータ70に設けられた歯車73は、歯車71に直接かみ合っている。
歯車85には、前記第1実施形態と同様な調整駆動機構8が接続されており、調整駆動モータ80の駆動力により歯車85が回転駆動され、歯車71との相対回転がウォーム歯車6Eに取り出され、回動軸6Aの回動として伝達され、シュート6の傾斜が変更される。なお、本実施形態では、調整駆動モータ80に設けられた歯車87は、歯車85に直接かみ合っている。
旋回駆動機構7および調整駆動機構8の間には、前述した第1実施形態と同様な差動機構93を含む姿勢検出機構9Aが設置されている。
この姿勢検出機構9Aは、調整角度センサ92と、差動機構93Aとを有する。差動機構93Aは、太陽歯車93Sと、キャリア93Cで支持された複数の遊星歯車93Pと、外周歯車93Eとを有する。また、太陽歯車93Sの回転軸96の先端には、歯車86が固定されている。この歯車86は、歯車85にかみ合った歯車88Aにかみ合っている。これにより、調整駆動モータ80の回転に基づく歯車85の回転が回転軸96に伝達される。
なお、差動機構としては、差動ギアを用いたものであってもよい。また、差動機構としては、歯車71,85の回転数を検出するエンコーダをそれぞれ設け、このエンコーダからのパルス信号を偏差カウンタに入力して、旋回駆動モータ70と調整駆動モータ80の回転速度差(モータ回転速度差)を検出するようにしてもよい。
【0086】
このような本実施形態においても、旋回駆動機構7および調整駆動機構8の同期回転動作によりシュート6の旋回が行われるとともに、旋回駆動機構7と調整駆動機構8との相対回転によりシュート6の傾斜角度A4の調整が行われ、この点で前述した第1実施形態と共通である。
また、本実施形態においても、差動機構93Aを含む姿勢検出機構9Aにより、旋回駆動機構7および調整駆動機構8の制御に必要となる状態量を適切に検出することができる。
なお、図18に示す装入装置1は、調整駆動モータ80の回転速度を旋回駆動モータ70の回転速度よりも速くした場合には、傾斜角度A4が小さくなり、遅くした場合には、傾斜角度A4が大きくなるような構成を有している。
【0087】
また、図19において、装入装置1は、同期モードで動作する制御装置10Aを備える。
同期モードとは、傾斜角度A4が所望の角度(シュート傾斜角度リファレンス)からずれている場合(角度偏差(°)が0でない場合)、旋回駆動モータ70と調整駆動モータ80との間に回転速度差を生じさせて、角度偏差を小さくする制御を常時行い、角度偏差を0にすることを目標に調整駆動モータ80を制御することで、旋回駆動モータ70と調整駆動モータ80との間に回転速度差をなくす(旋回駆動モータ70と調整駆動モータ80とを同期させる)フィードバック制御を意味する。
【0088】
そして、制御装置10Aは、入力部100Aと、第1モータコントローラ101Aと、調整角度検出器102Aと、偏差演算手段103Aと、補正速度演算手段としての速度リミッタ106Aと、加算器107Aと、第2モータコントローラ108Aとを備える。
なお、姿勢検出機構9A、調整角度検出器102A、偏差演算手段103A、速度リミッタ106A、加算器107A、第2モータコントローラ108A、調整駆動モータ80は、同期モードでの動作を実現する同期モードループを構成している。
【0089】
第1モータコントローラ101Aには、入力部100Aから、旋回駆動モータ70の回転速度に応じた大きさの旋回速度指令が入力される。そして、第1モータコントローラ101Aは、旋回速度指令に基づく回転速度(指令旋回速度)Gで旋回駆動モータ70を回転させる。
調整角度検出器102Aは、調整角度センサ92からの電気的な信号に基づいて、旋回軸D1に対するシュート中心軸D3の傾斜角度A4をシュート傾斜角度実績値として検出し、このシュート傾斜角度実績値を偏差演算手段103Aへ出力する。
【0090】
偏差演算手段103Aは、減算器104Aと、誤差増幅器105Aとを備える。
減算器104Aには、入力部100Aから、傾斜角度A4の目標値であるシュート傾斜角度リファレンス(シュート傾斜角度REF)Erが入力され、調整角度検出器102Aからシュート傾斜角度実績値が入力される。そして、減算器104Aは、シュート傾斜角度リファレンスからシュート傾斜角度実績値を減じた角度偏差、すなわち、傾斜角度A4の目標値に対する実績値のずれを演算して、誤差増幅器105Aへ出力する。
誤差増幅器105Aは、減算器104Aから入力される角度偏差に対応する電気信号を増幅して、速度リミッタ106Aへ出力する。具体的に、誤差増幅器105Aは、傾斜角度A4の角度偏差と、増幅のゲインに対応する値とを乗じて得られる増幅角度偏差(°)に対応する電気信号を出力する。
【0091】
速度リミッタ106Aは、図20に示す関係に基づいて、最大補正速度または偏差対応補正速度を、同期補正速度として、加算器107Aへ出力する。
この同期補正速度は、一般的に制御が乱調しない範囲で大きめの速度に設定され、位置制御誤差が小さくなるような回転速度に対応する。
【0092】
具体的に、速度リミッタ106Aは、増幅角度偏差の絶対値が閾角度S以上の場合には、同期補正速度として演算されうる最大の値である最大補正速度を、同期補正速度として出力する。また、増幅角度偏差の絶対値が0よりも大きく、閾角度S未満の場合には、増幅角度偏差の大きさに比例する偏差対応補正速度を、同期補正速度として出力する。なお、偏差対応補正速度は、増幅角度偏差が大きくなるにしたがって段階的に大きくなるような速度であってもよい。
【0093】
なお、増幅角度偏差が正の値の場合には、シュート傾斜角度実績値がシュート傾斜角度リファレンスよりも小さいので、調整駆動モータ80の回転速度を旋回駆動モータ70の回転速度よりも遅くして、傾斜角度A4を大きくする必要がある。このため、速度リミッタ106Aは、正の同期補正速度を出力する。一方、増幅角度偏差が負の値の場合には、傾斜角度A4を小さくする必要があるため、負の同期補正速度を出力する。
【0094】
加算器107Aには、入力部100Aから旋回速度指令が入力されるとともに、速度リミッタ106Aから同期補正速度が入力される。そして、加算器107Aは、旋回速度指令の指令旋回速度と同期補正速度とを加えて得られる回転速度(指令傾動速度)Gbを、傾動速度指令として、第2モータコントローラ108Aへ出力する。このとき、指令傾動速度は、同期補正速度が負の値の場合には、指令旋回速度よりも遅くなり、同期補正速度が正の値の場合には、指令旋回速度よりも速くなる。
第2モータコントローラ108Aは、第2加算器107Aからの傾動速度指令に基づいて、指令傾動速度で調整駆動モータ80を回転させる。
【0095】
以上のような構成により、制御装置10Aは、以下のように動作する。
シュート傾斜角度実績値とシュート傾斜角度リファレンスが異なる場合、制御装置10Aの減算器104Aで演算される角度偏差は、0以外の値となる。このため、同期補正速度として出力される、正または負の最大補正速度、偏差対応補正速度も、0以外の値となる。そして、指令傾動速度は、指令旋回速度よりも速く、または、遅くなり、旋回駆動モータ70の回転速度は変化せずに、調整駆動モータ80の回転速度のみが変化する。
その結果、各モータ70,80は、異なる回転速度で回転し、傾斜角度A4がシュート傾斜角度リファレンスに近づくように、すなわち角度偏差が0に近づくように調整される。
そして、この調整の結果、シュート傾斜角度実績値がシュート傾斜角度リファレンスと等しくならない場合には、このシュート傾斜角度実績値に基づいて、再度、調整駆動モータ80を指令旋回速度と異なる指令傾動速度で回転させて傾斜角度A4を調整する。
一方、シュート傾斜角度実績値がシュート傾斜角度リファレンスと等しくなった場合には、角度偏差が0になるため、指令傾動速度と指令旋回速度とが等しくなる。その結果、旋回駆動モータ70と調整駆動モータ80は、同期する。
【0096】
このような本実施形態によれば、制御装置10Aは、シュート傾斜角度実績値とシュート傾斜角度リファレンスに基づき演算される増幅角度偏差を従前よりも小さくするような同期補正速度を演算し、この同期補正速度と指令旋回速度とを加算した指令傾動速度で調整駆動モータ80を回転させる。このため、精度よくシュート6の傾斜角度A4を一定の角度に制御できる。
特に、同期補正速度を指令旋回速度に加算するだけの簡単な演算で指令傾動速度を設定できるので、制御装置10Aを安価に構成できる。
【0097】
また、制御装置10Aは、図20に示す関係に基づいて、増幅角度偏差の絶対値が閾角度S以上の場合には、最大補正速度を同期補正速度として出力するので、指令旋回速度を所定速度以下に設定することができ、調整駆動モータ80の負荷を抑制できる。また、閾角度S未満の場合には、偏差対応補正速度を同期補正速度として出力するので、回転速度の変更で角度偏差をほぼ0にすることができる。
【0098】
そして、偏差演算手段103Aは、減算器104Aで得られた角度偏差を、誤差増幅器105Aで増幅して速度リミッタ106Aに出力する。このため、角度偏差の検出感度を高めることができ、精度よく傾斜角度A4を一定の角度に制御できる。
【0099】
〔第6実施形態〕
図21には、本発明の第6実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第5実施形態と基本構成が同じであり、共通の部分については重複する説明を省略し、以下には異なる部分について説明する。
図21において、制御装置10Bは、図18に示す装入装置1を制御する。具体的に、制御装置10Bは、第5実施形態と同様の同期モードと、位置決めモードと、手動モードとで動作する。
【0100】
位置決めモードとは、同期モードと同様に、角度偏差が0でない場合、調整駆動モータ80の回転速度を変化させて、角度偏差を小さくする制御を行い、角度偏差が0になった後には旋回駆動モータ70と調整駆動モータ80とを同期させるフィードバック制御を意味する。
また、位置決めモードは、同期モードよりも角度偏差を0にするまでの時間を短くできるという特徴を有している。具体的に、同期モードでは、角度偏差が小さくなってくると、同期補正速度として演算される偏差対応補正速度も小さくなるため、角度偏差が0になるまでの時間が長くなる。そこで、位置決めモードでは、角度偏差が小さい場合でもある程度の大きさの補正速度を調整駆動モータ80に与えることで、角度偏差が0になるまでの時間を短くしている。
【0101】
また、手動モードとは、同期モードや位置決めモードのようなフィードバック制御ではなく、作業者の設定入力に基づく傾斜角度A4となるように、調整駆動モータ80の回転速度を1回だけ変化させる制御を意味する。
【0102】
そして、制御装置10Bは、第5実施形態の制御装置10Aに設けられた各構成101A〜108Aと、第1スイッチとしての同期モードスイッチ110Bと、多段速位置決め器111Bと、第2スイッチとしての位置決めモードスイッチ112Bと、手動高速スイッチ113Bと、手動正転スイッチ114Bと、手動低速スイッチ115Bと、手動逆転スイッチ116Bと、乗算器117Bとを備える。
【0103】
同期モードスイッチ110Bは、速度リミッタ106Aと加算器107Aとの間に設けられている。この同期モードスイッチ110Bがオンとなるとともに、各スイッチ112B〜116Bがオフになると、姿勢検出機構9A、調整角度検出器102A、減算器104A、誤差増幅器105A、速度リミッタ106A、加算器107A、第2モータコントローラ108A、調整駆動モータ80から構成される同期モードループが有効となり、同期モードでの制御可能となる。
【0104】
多段速位置決め器111Bは、減算器104Aおよび誤差増幅器105Aの接続点と、加算器107Aおよび同期モードスイッチ110Bの接続点との間に設けられている。この多段速位置決め器111Bは、図22に示す関係に基づいて、高速補正速度、中速補正速度、低速補正速度のうちのいずれか1つを演算して、位置決め補正速度として、加算器107Aへ出力する。
この位置決め補正速度としては、角度偏差が位置決め完了角度以上の場合には、角度偏差の大きさに応じて、高速補正速度、中速補正速度、低速補正速度のいずれかが選択され、位置決め完了角度未満の場合には、0が選択されて位置決め動作が完了する。
【0105】
具体的に、多段速位置決め器111Bは、角度偏差の絶対値が高速閾角度以上の場合には、位置決め補正速度として演算されうる最大の値である高速補正速度を、位置決め補正速度として出力する。
また、角度偏差の絶対値が、高速閾角度未満かつ中速閾角度以上の場合には中速補正速度を、中速閾角度未満かつ位置決め完了角度以上の場合には低速補正速度を、位置決め補正速度として出力する。
【0106】
なお、多段速位置決め器111Bは、角度偏差が正の値の場合には、傾斜角度A4を大きくする必要があるため、正の位置決め補正速度を出力する。一方、角度偏差が負の値の場合には、傾斜角度A4を小さくする必要があるため、負の位置決め補正速度を出力する。
【0107】
位置決めモードスイッチ112Bは、加算器107Aおよび同期モードスイッチ110Bの接続点と、多段速位置決め器111Bとの間に設けられている。この位置決めモードスイッチ112Bがオンとなるとともに、各スイッチ110B,113B〜116Bがオフになると、姿勢検出機構9A、調整角度検出器102A、減算器104A、多段速位置決め器111B、加算器107A、第2モータコントローラ108A、調整駆動モータ80から構成される制御ループ(位置決めモードループ)が有効となり、位置決めモードでの制御可能となる。
【0108】
手動高速スイッチ113Bおよび手動正転スイッチ114Bは、同期モードスイッチ110Bおよび位置決めモードスイッチ112Bの接続点と、手動高速設定速度を入力可能な入力部100Aとの間に設けられている。手動高速スイッチ113Bは、手動正転スイッチ114Bよりも入力部100A側に設けられている。
【0109】
手動低速スイッチ115B、手動逆転スイッチ116B、および、乗算器117Bは、位置決めモードスイッチ112Bおよび手動正転スイッチ114Bの接続点と、手動低速設定速度を入力可能な入力部100Aとの間に設けられている。手動低速スイッチ115Bは、手動逆転スイッチ116Bよりも入力部100A側に設けられている。また、手動逆転スイッチ116Bは、乗算器117Bよりも手動低速スイッチ115B側に設けられている。さらに、手動高速スイッチ113Bおよび手動正転スイッチ114Bと、手動低速スイッチ115Bおよび手動逆転スイッチ116Bとは、電気的に接続されている。
【0110】
なお、手動高速設定速度は、手動低速設定速度よりも速く設定される。また、手動高速設定速度および手動低速設定速度は、いずれも正の値として設定される。
【0111】
乗算器117Bは、正の値として入力される手動高速設定速度や手動低速設定速度に「−1」を乗じることで、負の手動高速設定速度や手動低速設定速度を求め、この求めた速度を加算器107Aに出力する。
【0112】
そして、同期モードスイッチ110Bと位置決めモードスイッチ112Bとがオフの場合における、各スイッチ113B〜116Bのオンオフ状態と手動モードとの関係は、表1に示すようになる。
【0113】
【表1】

【0114】
ここで、高速正転モードおよび低速正転モードとは、調整駆動モータ80の回転速度を速くすることで、傾斜角度A4を小さくするモードである。高速逆転モードおよび低速逆転モードとは、調整駆動モータ80の回転速度を遅くすることで、傾斜角度A4を大きくするモードである。
高速正転モードおよび高速逆転モードは、短時間で傾斜角度A4を変化させたい場合に利用される。また、低速正転モードおよび低速逆転モードは、調整駆動モータ80の負荷を低減するために、多少の時間をかけて傾斜角度A4を変化させたい場合に利用される。
【0115】
以上のような構成により、制御装置10Bは、以下のように動作する。
なお、同期モードでの動作は、第5実施形態と同じなので説明を省略する。
【0116】
(位置決めモードでの動作)
シュート傾斜角度実績値とシュート傾斜角度リファレンスが異なり、かつ、制御装置10Bの減算器104Aで演算される角度偏差が位置決め完了角度以上の場合、位置決め補正速度として、角度偏差量に応じて、正または負の高速補正速度、中速補正速度、低速補正速度が選択される。そして、指令傾動速度は、指令旋回速度よりも速く、または、遅くなり、調整駆動モータ80の回転速度のみが変化する。
その結果、各モータ70,80は、異なる回転速度で回転し、角度偏差が0に近づくようにシュート6の傾きが調整される。
また、角度偏差が位置決め完了角度未満となった場合には、位置決めモードスイッチ112Bをオフにするとともに、同期モードスイッチ110Bをオンにして、同期モードでの制御を行う。
一方、シュート傾斜角度実績値がシュート傾斜角度リファレンスと等しくなった場合には、角度偏差が0になるため、指令傾動速度と指令旋回速度とが等しくなり、旋回駆動モータ70と調整駆動モータ80は、同期する。
【0117】
(手動モードでの動作)
この場合、制御装置10Bの加算器107Aには、正または負の手動高速設定速度あるいは手動低速設定速度が入力される。加算器107Aは、この入力された設定速度と、旋回速度指令の指令旋回速度とを加えて得られる指令傾動速度を、傾動速度指令として、第2モータコントローラ108Aへ出力する。そして、第2モータコントローラ108Aの制御により、調整駆動モータ80の回転速度が所定時間だけ変化して、傾斜角度A4が変化する。
この変化後の傾斜角度A4は、シュート傾斜角度実績値として調整角度検出器102Aで検出され、新しいシュート傾斜角度リファレンスとして設定される。
【0118】
このような本実施形態によれば、制御装置10Bは、高速補正速度、中速補正速度、低速補正速度を位置決め補正速度として演算する位置決めモードで動作するので、同期モードよりも角度偏差を0にするまでの時間を短くできる。
また、制御装置10Bは、手動モードでも動作するので、傾斜角度A4を大きく変化させたい場合には、迅速に対応できる。
【実施例】
【0119】
次に、本発明の実施例として、第6実施形態の制御装置における制御状態について説明する。
図23には、実施例の制御装置における制御状態を表すタイムチャートが示されており、(A)には旋回駆動モータ70の旋回速度、(B)にはシュート6の旋回角度、(C)には調整駆動モータ80の傾動速度、(D)にはシュート6の傾斜角度がそれぞれ示されている。なお、図23(B)において、旋回角度が0°のときと360°のときには、シュート6は同じ場所に位置している。
【0120】
まず、本実施例での各種パラメータを以下の通り設定した。
・高速補正速度 :150rpm
・中速補正速度 : 70rpm
・低速補正速度 : 40rpm
・初期の傾斜角度: 40°
そして、以下の表2に示す状態で傾斜角度A4の制御を行った。なお、表2中の経過時間は、おおよその時間を表している。
【0121】
【表2】

【0122】
その結果、図23に示すように、制御装置10Bにおける同期モードおよび位置決めモードの切り替えにより、傾斜角度A4を精度よく所望の角度に変更できることが確認できた。
【0123】
〔変形例〕
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、具体的な各部構成などは実施にあたって適宜変形することができる。
前述した各実施形態では、図1、図11あるいは図14に示すように、旋回駆動モータ70および調整駆動モータ80を隣接して設置したが、旋回駆動モータ70および調整駆動モータ80を離して設置してもよい。
【0124】
また、前述した実施形態では、旋回駆動モータ70からロータ4に至る旋回駆動機構7と調整駆動モータ80からホルダ5に至る調整駆動機構8という駆動系を設け、姿勢検出機構9は別途ロータ4およびホルダ5の回転を取り出すとしたが、姿勢検出機構9へのロータ4およびホルダ5の回転を取り出しは旋回駆動機構7および調整駆動機構8の経路中の別の部位であってもよい。
さらに、姿勢検出機構9からロータ4およびホルダ5に至る経路を利用して旋回駆動機構7および調整駆動機構8を構成してもよい。
【0125】
前述した実施形態では、ホルダ側傘歯歯車81を外歯歯車とし、伝達側傘歯歯車82を内歯歯車としたが、これらの他の歯車であってもよい。
例えば、ホルダ側傘歯歯車81を内歯歯車、伝達側傘歯歯車82を外歯歯車としてもよく、このような構成でも、前述した図1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0126】
また、前述した第5,第6実施形態において、誤差増幅器105Aを設けずに、減算器104Aで演算された角度偏差を、直接、速度リミッタ106Aに入力し、速度リミッタ106Aにおいて、角度偏差に基づいて、同期補正速度を演算してもよい。
さらに、前述した第5,第6実施形態において、誤差増幅器105Aとして、ゲインを変更できるような増幅器を設けてもよい。
【0127】
その他、前述した各実施形態の細部構成などは適宜変更してよく、前述した傾斜設定(旋回軸D1と調整軸D2との第1角度A1および調整軸D2とシュート中心軸D3との第2角度A2)が得られる構成であれば本発明に適宜利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、装入装置に関し、高炉などの容器内部に装入物を装入する装入装置として利用できる。
【符号の説明】
【0129】
1…装入装置
2…高炉
3…フレーム
4…旋回部分であるロータ
5…調整機構であるホルダ
6…シュート
7…旋回駆動機構
8…調整駆動機構
9…姿勢検出機構
10A,10B…制御装置
70…旋回駆動モータ
80…調整駆動モータ
81…ホルダ側傘歯歯車
82…伝達側傘歯歯車
91…旋回角度センサ
92…調整角度センサ
93…差動機構
100A…入力部
101A…第1モータコントローラ
102A…調整角度検出器
103A…偏差演算手段
106A…補正速度演算手段としての速度リミッタ
107A…加算器
108A…第2モータコントローラ
110B…第1スイッチとしての同期モードスイッチ
112B…第2スイッチとしての位置決めモードスイッチ
A1…第1角度
A2…第2角度
A3…第3角度
D1…旋回軸
D2…調整軸
D3…シュート中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュートを含む旋回部分を旋回軸まわりに回転させる旋回駆動モータと、前記旋回部分との相対回転に応じて前記シュートの傾斜角度を変化させる調整機構と、前記調整機構を前記旋回軸まわりに回転させる調整駆動モータとを有するとともに、
前記旋回駆動モータの回転および前記調整駆動モータの回転が伝達される差動機構と、前記差動機構における前記旋回駆動モータと前記調整駆動モータとの相対回転が伝達される調整角度センサとを有することを特徴とする装入装置。
【請求項2】
請求項1に記載された装入装置において、前記調整角度センサの1サイクルが前記シュートの傾き調整の1サイクルに対応するように前記差動機構を含めた伝達経路の伝達比が設定されていることを特徴とする装入装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された装入装置において、
フレームと、前記フレームに設定された旋回軸と、前記フレームに支持されて前記旋回軸を中心に回転可能なロータと、前記ロータに設定されて前記旋回軸に第1角度で交差する調整軸と、前記ロータに支持されて前記調整軸を中心に回転可能なホルダと、前記ホルダに固定されて前記調整軸に第2角度で交差する方向へ延びるシュートと、前記フレームに固定されて前記ロータを前記フレームに対して回転させる旋回駆動モータと、前記フレームに支持されて前記旋回軸を中心に回転可能な伝達側傘歯歯車と、前記ホルダに固定されて前記伝達側傘歯歯車に噛み合うホルダ側傘歯歯車と、前記フレームに固定されて前記伝達側傘歯歯車を回転させることで前記ホルダを前記ロータに対して回転させる調整駆動モータと、を有するとともに、
前記旋回駆動モータの回転および前記調整駆動モータの回転が伝達される差動機構と、前記差動機構における前記旋回駆動モータと前記調整駆動モータとの相対回転が伝達される調整角度センサとを有することを特徴する装入装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載された装入装置において、前記旋回駆動モータの回転が伝達される旋回角度センサを有することを特徴とする装入装置。
【請求項5】
請求項1に記載された装入装置において、
前記シュートの傾斜角度を所定の角度とする際に、前記調整角度センサで検出される角度を参照しつつ前記調整駆動モータを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
入力操作に対応する指令を出力可能な入力部と、
この入力部から入力される、前記旋回駆動モータに対して設定された回転速度を表す指令に基づいて、前記旋回駆動モータを回転させる第1モータコントローラと、
前記調整角度センサに伝達された相対回転に基づいて、前記シュートの傾斜角度を検出する調整角度検出器と、
前記入力部から入力される前記所定の角度と前記調整角度検出器で検出された前記シュートの傾斜角度との偏差を演算する偏差演算手段と、
前記偏差演算手段で演算された偏差に基づいて、前記調整駆動モータの回転速度を変更するための補正速度を演算する補正速度演算手段と、
前記入力部からの指令に基づく回転速度と前記補正速度演算手段で演算された補正速度とを加算する加算器と、
前記加算器における加算で得られた回転速度で、前記調整駆動モータを回転させる第2モータコントローラと、を備え、
前記補正速度演算手段は、前記調整駆動モータの回転速度の変更後に前記偏差演算手段で新たに演算される偏差が、回転速度の変更前に演算された偏差よりも小さくなるような補正速度を演算することを特徴とする装入装置。
【請求項6】
請求項5に記載された装入装置において、
前記補正速度演算手段は、
前記偏差演算手段で演算された偏差が予め設定された閾角度以上の場合には、固定された値である最大補正速度を前記補正速度として演算し、
前記閾角度未満の場合には、前記偏差の大きさに応じて異なり、かつ、前記最大補正速度未満の値である偏差対応補正速度を前記補正速度として演算することを特徴とする装入装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載された装入装置において、
前記制御装置は、
前記加算器と前記偏差演算手段との間に設けられ、前記加算器に前記補正速度を入力可能なオン状態と入力不可能なオフ状態とを切り替え可能な第1スイッチと、
前記加算器と前記入力部との間に設けられ、前記加算器に前記入力部からの指令を入力可能なオン状態と入力不可能なオフ状態とを切り替え可能な第2スイッチと、を備え、
前記加算器は、
前記第1スイッチによりオフ状態に設定され、かつ、前記第2スイッチによりオン状態に設定された場合、前記入力部からそれぞれ入力される、前記旋回駆動モータに対して設定された回転速度と、前記傾斜角度を変更するための回転速度とを加算して、その結果を前記第2モータコントローラに出力し、
前記第1スイッチによりオン状態に設定され、かつ、前記第2スイッチによりオフ状態に設定された場合、前記入力部から入力される前記旋回駆動モータに対して設定された回転速度と、前記補正速度演算手段で演算された補正速度とを加算して、その結果を前記第2モータコントローラに出力することを特徴とする装入装置。
【請求項8】
シュートを含む旋回部分を旋回軸まわりに回転させる旋回駆動モータと、前記旋回部分との相対回転に応じて前記シュートの傾斜角度を変化させる調整機構と、前記調整機構を前記旋回軸まわりに回転させる調整駆動モータとを有する装入装置の制御方法であって、
前記旋回駆動モータの回転および前記調整駆動モータの回転が伝達される差動機構と、前記差動機構における前記旋回駆動モータと前記調整駆動モータとの相対回転が伝達される調整角度センサとを用い、
前記シュートの傾斜角度を所定の角度とする際に、前記調整角度センサで検出される角度を参照しつつ前記調整駆動モータを制御することを特徴とする装入装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載された装入装置の制御方法において、
入力操作に対応する指令を出力可能な入力部から入力される、前記旋回駆動モータに対して設定された回転速度を表す指令に基づいて、前記旋回駆動モータを回転させる第1モータコントロール工程と、
前記調整角度センサに伝達された相対回転に基づいて、前記シュートの傾斜角度を検出する調整角度検出工程と、
前記入力部から入力される前記所定の角度と前記調整角度検出工程で検出された前記シュートの傾斜角度との偏差を演算する偏差演算工程と、
前記偏差演算工程で演算された偏差に基づいて、前記調整駆動モータの回転速度を変更するための補正速度を演算する補正速度演算工程と、
前記入力部からの指令に基づく回転速度と前記補正速度演算工程で演算された補正速度とを加算する加算工程と、
前記加算工程における加算で得られた回転速度で、前記調整駆動モータを回転させる第2モータコントロール工程と、を備え、
前記補正速度演算工程は、前記調整駆動モータの回転速度の変更後に前記偏差演算工程で新たに演算される偏差が、回転速度の変更前に演算された偏差よりも小さくなるような補正速度を演算することを特徴とする装入装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載された装入装置の制御方法において、
前記補正速度演算工程では、
前記偏差演算工程で演算された偏差が予め設定された閾角度以上の場合には、固定された値である最大補正速度を前記補正速度として演算し、
前記閾角度未満の場合には、前記偏差の大きさに応じて異なり、かつ、前記最大補正速度未満の値である偏差対応補正速度を前記補正速度として演算することを特徴とする装入装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−195950(P2011−195950A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256032(P2010−256032)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】