説明

装着変換装置

【課題】特殊3点リンク用のロータリ作業機に装着することで、標準3点用のロータリ作業機として転用可能な装着変換装置を提供する。
【解決手段】トラクタ2より取外した特殊3点リンク用のロータリ作業機1に対して、第1ブラケット31、第2ブラケット41を主要部品とする装着変換装置5を装着することで、標準3点リンク用のロータリ作業機として使用することができる。さらに、装着変換装置5の下部にはゲージホィール56が伸縮可能に支持されており、ロータリ作業機の作業面高さを調整可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ作業機に係り、詳しくは特殊3点リンク用のロータリ作業機への装着を基本として、標準3点リンク用のロータリ作業機へ変換し得る装着変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場で使用されるロータリ作業機は、トラクタの後部に連結されて圃場の土を耕耘するために用いられる(特許文献1)。このロータリ作業機をトラクタに装着する方式として、日本工業規格(JIS)で定めた標準3点リンクと、日本のメーカ間で一般化されている特殊3点リンクがあり、農家は圃場の状況や作業目的に合わせて何れかのリンク方式を選択して耕耘作業を行っている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−269011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特殊3点リンクは、水田耕耘の多い日本の実情に合わせ、トラクタにロータリ作業機を近づけることにより、トラクタの旋回性能を向上させて、枕地の少ない水田を得ることができる利点がある。しかし、特殊3点リンクによるロータリ作業機では、トラクタと作業機の間隔が狭いことから作業姿勢を調節しずらく、水田の浅耕しから深耕し等に対応するには、作業に応じたロータリ作業機へ交換する必要があった。一方、標準3点リンクは、トラクタの旋回性能は劣るものの、統一規格のリンク機構により他の汎用作業機と容易に連結交換することができ、多様な農作業機を1つの標準3点リンクで賄うことが可能である。これら特殊3点リンクと標準3点リンクが並存する日本の農業環境下では、特殊3点リンク用ロータリ作業機に対しても、標準3点リンク用ロータリ作業機として利用できる手段が求められるところである。
【0005】
そこで、本発明は、特殊3点リンクへのロータリ作業機の装着を基本として、僅かな付属部品を付加するだけで容易に標準3点リンクのロータリ作業機へ変換することが可能な装着交換装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、ロータリ作業機(1)に着脱自在に取付けられ、該ロータリ作業機を、標準3点リンク(4)と特殊3点リンク(3)とに変換して装着し得る装着変換装置(5)であって、
ロータリ作業機(1)の特殊3点リンク装着時におけるロワーリンク連結用ピン(10a)が取付けられるプレート(10)に、着脱自在に固着し、先端部に前記ロワーリンク連結用ピンを取付ける孔(33a)を有する1対の第1ブラケット(31)と、
前記ロータリ作業機(1)の特殊3点リンク装着時におけるトップリンク連結用ピンが取付けられるトップマスト(11)に、着脱自在に固着し得、先端部に前記トップリンク連結用ピンを取付ける支持孔(43a)を有する第2ブラケット(41)と、
特殊3点リンク装着時の前記ロータリ作業機(1)において、前記トップマスト(11)と前記プレート(10)を連結すると共に、前記第1ブラケット(31)と前記第2ブラケット(41)とを連結し得る連結プレート(46、46)と、を備える、
ことを特徴とする装着変換装置(5)にある。
【0007】
請求項2に係る本発明は、前記第1ブラケット(31)に一体に固定される支持部材(50)と、
該支持部材に上下方向移動自在にかつ所定位置に固定自在に支持される1対の調節部材(55)と、
前記調節部材の先端部に回転自在に支持されるゲージホィール(56)と、を備えてなる、
請求項1記載の装着変換装置(5)にある。
【0008】
尚、前記した括弧内の符号等は図面を参照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る本発明によると、特殊3点リンク装着用のロータリ作業機に、第1ブラケットと第2ブラケットとを取付け、かつ連結プレートにより第1ブラケットと第2ブラケットを連結することにより、容易に標準3点リンク装着用に上記ロータリ作業機を変換することができ、ロータリ作業機を、特殊3点リンク装着仕様と標準リンク装着仕様に容易に変換することができる。
【0010】
更に、第1ブラケットと第2ブラケットとを付属部品として保持するだけで、ロワーリンク連結用ピン及びトップリンク連結用ピンは共用でき、かつ連結プレートも共用でき、特殊3点リンク装着仕様のものは、標準3点リンク装着仕様に際してもすべてそのまま使用して、付属品は、第1及び第2ブラケット等の僅かな部品で足りる。
【0011】
請求項2に係る本発明によると、第1ブラケットにゲージホィールを付設してあるので、標準3点リンク装着仕様として用いる場合、ゲージホィールを容易に付設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1乃至図6は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は特殊3点リンク装着用のロータリ作業機をトラクタに連結した状態にある側面図であり、図2は特殊3点リンク装着用のロータリ作業機に装着変換装置を装着して、標準3点リンクを介してトラクタに連結した状態にある側面図であり、図3は特殊3点リンク装着用のロータリ作業機単体の側面図であり、図4は特殊3点リンク装着用のロータリ作業機単体の平面図であり、図5は特殊3点リンク装着用のロータリ作業機に装着変換装置を取付け、標準3点リンク装着用のロータリ作業機へ変換した状態にある側面図であり、図6は特殊3点リンク装着用のロータリ作業機に装着変換装置を取付け、標準3点リンク装着用のロータリ作業機へ変換した状態にある平面図である。
【0013】
本ロータリ作業機1は、図1及び図2に示すように、トラクタ2の後部に特殊3点リンク3、または標準3点リンク4を介して装着されて、圃場の耕耘作業に供される。
【0014】
特殊3点リンク用のロータリ作業機1は、図1、図3及び図4に示すように、トラクタ2の進行方向に対して地面左右方向に伸びる筒形状のメインフレーム12を有しており(図4参照)、メインフレーム12の中央部より互いに離間した位置には、一対のロワーリンク連結プレート10、10が進行方向に向かい設けられている。また、メインフレーム12の中央部からはトップマスト11が上方へ向かい立設されている。これらロワーリンク連結プレート10、10の前方部とトップマスト11の前方部は、連結プレート46、46により繋がれており、後述するロワーリンク6、6´、及びトップリンク7、7´を介してトラクタ2と連結される。
【0015】
図3に詳示するように、ロータリ作業機1のメインフレーム12の中央部からは前方へ向かい入力軸15が突設されており、トラクタのPTO軸より伝達された動力と繋がれており、駆動力はメインフレーム12内の図示しない駆動軸によりメインフレーム12の両端部まで伝達される。メインフレーム12の両端部にはチェーンケース13、及びブラケット14の上端部が固定されており、駆動軸よりの駆動力はチェーンケース13内の図示しない動力伝達装置を介して、チェーンケース13、及びブラケット14の下端部で回動自在に配設された耕耘ロータリ16を回動させて耕耘作業が進行する。
【0016】
メインフレーム12の下方部にあたる耕耘ロータリ16前上面では、メインフレーム12へ取付けられたフロントカバー23が垂下しており、フロントカバー23により耕耘ロータリ16の前面が覆われている。
【0017】
フロントカバー23の後縁では、ロワーリンク連結プレート10、10の取付けと同幅の位置から水平後方へ向かい、一対のアーム18、18が延出しており、このアーム18、18の終端にはメインフレーム12と並行して延びる略矩形板状のリヤカバー17が、圃場面へ向かい摺動可能に取り付けられている。
【0018】
耕耘ロータリ16とリヤカバー17の間には、メインフレーム12と並行に延びるサブフレーム22を有して、サブフレーム22にはサブソイラアーム21を介してサブソイラ20が固定されている。該サブソイラ20はメインフレーム12の中央部に設けられたサブソイラ操作レバー23とリンク機構を介して上下移動可能に繋がれている。
【0019】
以上のように構成される特殊3点リンク装着用のロータリ作業機1は、図1に示す特殊3点リンク3を介してトラクタ2の後方へ上下方向揺動可能に繋がれる。特殊3点リンク3は、トラクタ2の機台の下部後端に結合ピンを介して回動可能に連結された一対のロワーリンク6´、6´と、ロワーリンク6´、6´の中段から結合ピンにより揺動可能に支持されてトラクタ2の後部上方へ繋がるリフトロッド8´、8´と、トラクタ2の後端中段に取付けられたトラクタ取付けプレート9´に結合ピンを介して回動可能に取付けられたトップリンク7´により構成される。これらロワーリンク6´、6´の後端は、ロータリ作業機1のロワーリンク連結プレート10、10の前端で、左右外方向へ向けて挿入されたロワーリンク連結プレートピン10a、10aと嵌合されており、トップリンク7´の後端はトップマスト11の前端に穿孔されたトップマスト支持孔11aへ連結ピンを介して回動可能に連結されている。
【0020】
以上まで特殊3点リンク装着用のロータリ作業機1の構成について説明をしてきたが、次に標準3点リンク装着用のロータリ作業機へ変換する機構について説明する。なお、以下では、特殊3点リンク装着用と標準3点リンク装着用のロータリ作業機1は同一のものであることから、重複する構成の説明は省略する。
【0021】
図2、図5及び図6に示すとおり、上述したロータリ作業機1の前方部に、本発明の特徴である装着変換装置5を取付けることで、特殊3点リンク装着用として用いられたロータリ作業機を標準3点リンク装着用のロータリ作業機として用いることができる。さらに、標準3点リンク装着用のロータリ作業機1には、圃場面とロータリ作業機の耕耘ロータリ16との距離を調整するゲージホィール56を取付けられることが特徴となっている。
【0022】
装着変換装置5は、一対の第1ブラケット31、31と第2ブラケット41を基本部品とし、これらに取付けられる連結プレート46、46、及びゲージホィール部品により構成される。
【0023】
第1ブラケット31、31は、ロワーリンク連結プレート10、10の前方でロワーリンク連結プレートと面一に取付けられる第1延長プレート33、33と、ロワーリンク連結プレート10、10と第1延長プレート33、33の外側面から両プレートに重なる第1取付プレート32,32とからなる。第1延長プレート33、33の後半部と、第1取付プレート32,32の前半部は複数のボルトナット35により締結されて一体とされており、また、第1取付プレート32,32の後半部には複数の取付け孔が設けられており、取付け孔の一つはロワーリンク連結プレート10よりロワーリンク連結プレートピン10aを取外した孔と重なり合い、ボルトナット34により取外し可能に締結することができる。第1延長プレート33、33の前端には穿孔33aが形成されており、ロワーリンク連結プレート10より取外したロワーリンク連結プレートピン10aを転用して、穿孔33aへ再挿入可能となっている。本第1ブラケット31、31の装着により、ロワーリンク連結プレート10の全長は第1延長プレート33、33の有する長さまで延長される。
【0024】
次に、第2ブラケット41は、トップマスト11の前方に位置してトップマスト11を外側から取外し可能に挟持する一対の第2取付けプレート42,42と、第2取付けプレート42,42の先端にトップマスト11の外面と面一に固着される第2延長プレート43、43とからなる。第2取付けプレート42,42の後端部には、複数の取付け孔が設けられており、取付け孔の一つはトップマスト11に穿孔された支持孔11aと重なり合い、ボルトナット44を介してトップマスト11へ取外し可能に締結することができる。第2延長プレート43、43の前端には、連結ピンを取付けるための支持孔43a、43aが穿孔されており、この支持孔43aどうしは筒状部材により繋がれている。これにより、トップマスト11は第2ブラケット41が有する長さまで前方向に延長されている。
【0025】
これら第1ブラケット31、31と第2ブラケット41は、それぞれの前端に設けた穿孔33a、43aの近傍を連結プレート46、46により繋がれることにより一体となっている、この連結プレート46、46は、特殊3点リンク用のロータリ作業機1においてトップマスト11とロワーリンク連結プレート10、10とを繋いでいたものと同一のものであり、該ロータリ作業機1から取外して第1ブラケット31、31と第2ブラケット41の連結プレート46として転用することができる。
【0026】
つづいて、上記装着変換装置5の下部に取付けることができるゲージホィール部品について説明する。ゲージホィール部品はロータリ作業機1とトラクタ2の間に取付けられる部材であり、支持部材50と調節部55とゲージホィール56とから構成される。
【0027】
支持部材50は、上述した第1ブラケット31、31の第1延長プレート33、33と第1取付プレート32,32の重り合う位置の下部に固着されており、メインフレーム12と並行に延びる管状の支持フレーム51と、該支持フレーム51の固着位置よりも外側に固定された支持プレート52、52とにより構成される。支持プレート52、52は、Uボルト、或いは板部材等を介して支持フレーム51と締結されるが、必要に応じてボルト締結を調整することで、支持フレーム51上を左右方向へスライドして支持プレート間距離を変更することができる。また、支持プレート52、52の前端部には略垂直方向へ向かう挿通筒部53、53が固着されており、次述する挿通杆54,54と共動して調節部材55,55となる。挿通筒部53、53へは棒状の挿通杆54、54が挿入されており、挿通杆54、54に設けられた長手方向に並ぶ複数の透孔と、挿通筒部53、53の側面に穿孔された孔とを合わせてピンを挿入することにより、調節部材55の高さを調節することができる。挿通杆54、54の最下部にはメインフレーム12と並行してホィール軸57、57が固定されており、該ホィール軸57、57にはゲージホィール56、56が回動可能に取付けられている。
【0028】
次に、以上までに説明した装着変換装置5を、ロータリ作業機1に装着して標準3点リンク用のとした場合のリンク機構について説明する。図2は、トラクタ2の後部に標準3点リンク4を取付け、装着変換装置5と連結した状態を示したものである。
【0029】
標準3点リンク4は、トラクタ2の機台の下部後端より結合ピンを介して回動可能に連結された一対のロワーリンク6、6と、ロワーリンク6、6の中段から結合ピンにより揺動可能に支持されてトラクタ2の後部上方へ繋がるリフトロッド8、8と、トラクタ2の後端中段に取付けられたトラクタ取付けプレート9に結合ピンを介して回動可能に取付けられたトップリンク7とにより構成される。ロワーリンク6、6の後端は、装着変換装置5の第1ブラケット31、31の前端から左右外方向へ向けて挿入されたロワーリンク連結プレートピン10a、10aへ嵌合されており、トップリンク7の後端は第2ブラケット41の前端に穿孔された支持孔43aへ連結ピンを介して回動可能に連結されている。これら2点の連結ピン結合により、ロータリ作業機1は各ロワーリンク6、6、トップリンク7の連結点を中心とする回動が可能となり、トラクタ2の後方で昇降自在に連結されている。また、標準3点リンク4の特徴として、トップリンク7は、その全長を伸縮することができるターンバックルであり、トップリンク7の長さを調節することでロータリ作業機1の上下位置を変更することができる。
【0030】
ついで、以上構造からなる装着変換装置5の装着について説明した後、標準3点リンク用のロータリ作業機1の作用について説明する。
【0031】
初めに、図1にある特殊3点リンク3用のロータリ作業機1から、トップマスト11に挿入された連結ピンをトップマスト支持孔11aから抜き取り、トップリンク7´とトップマスト11との連結を解除すると共に、ロワーリンク連結プレート10、10の挿入されたロワーリンク連結プレートピン10a、10aを抜き取り、ロワーリンク6´、6´とロワーリンク連結プレート10、10との連結を解除する。これにより、ロータリ作業機1は単体となり装着変換装置5の装着が可能な状態となる。次に、トップマスト11とロワーリンク連結プレート10、10とを繋ぐ連結プレート46、46を、ボルト締結を解除して取外すが、これら、ロワーリンク連結プレートピン10a、10aと連結プレート46、46は、後に標準3点リンク用として転用される部品となる。また、この時、トラクタ2へ取付けられた特殊3点リンク3は標準3点リンク4へ交換される。
【0032】
次に、装着変換装置5の装着では、第1ブラケット31は、第1延長プレート33と第1取付プレート32を、それぞれに設けた取付け孔を利用してボルトナット35により締結した後、第1取付プレート32の後端をロワーリンク連結プレート10へ重ね合わせてボルトナット34により締結する。この場合にロワーリンク連結プレートピン10aが挿入されていた孔は取付け孔として使用される。
【0033】
同様に、トップマスト11の支持孔11aを利用して第2ブラケット41をボルトナット44により締結した後、第1ブラケット31の先端部と第2ブラケット41の先端部を、先に取外した連結プレート46により連結することにより装着変換装置5の装着が完了する。
【0034】
次に、ゲージホィール56が取付けられた挿通杆54、54を、挿通筒部53、53の下方から挿入し、耕耘ロータリ16の耕耘深さに応じた挿通杆54の長さとしてピンにより固定する。
【0035】
以上により特殊3点リンク用のロータリ作業機1は標準3点リンク用のロータリ作業機として変換され、トラクタ2が有する標準3点リンク4への連結が可能となる、標準3点リンク4と装着変換装置5とを連結するには、上述した特殊3点リンク3からの連結を解除した手順とは逆に、標準3点リンクのロワーリンク6,6の後端を装着変換装置5の第1ブラケット31の先端にある穿孔33aと重ね合わせ、ロワーリンク連結プレートピン10aを挿入して連結すると共に、トップリンク7の後端を第2ブラケット41の先端にある支持孔43aと重ね合わせ、連結ピンを挿入して連結する。
【0036】
標準3点リンク用のロータリ作業機1は、トラクタ2からエンジン動力が、入力軸15、駆動軸、動力伝達装置を介して耕耘ロータリ16を回動させて、圃場内を進行して耕耘作業が進行する。耕耘作業に際しては、挿通杆54設けられた透孔と、挿通筒部53、53に穿孔された孔位置を選択することによりゲージホィール56の高さを調整できるが、さらに、標準3点リンクのトップリンク7の伸縮長を変更することによっても高さを調整することができる。圃場に在る標準3点リンク用のロータリ作業機は、ロータリ作業機の中央に在る整地体操作レバー19を回動操作してリヤカバー17の前縁高さを調整することで耕耘深さを調節した後、トラクタ2に牽引されて圃場を耕耘する。
【0037】
一定の耕耘作業が完了して次の圃場へ向かう場合では、ロータリ作業機1の後部を耕作面から浮かせてアゼを乗越える必要から、油圧シリンダ等の力によりロータリ作業機1の後部は持上げられる。この場合の第1ブラケット31は、標準3点リンク4のロワーリンク6を半径として回動する一方、第2ブラケット41では、ロワーリンク6よりも短い長さを有するトップリンク7により回転径の小さな回動をするので、2つの異なる回転径の運動により、ロータリ作業機は上昇しながらトップマスト11が前方へ移動する前傾姿勢を形成することができ、後部を大きく持上げることができる。
【0038】
以上のように、本発明に係る装着変換装置5は、特殊3点リンク用のロータリ作業機に装着することで容易に標準3点用のロータリ作業機に変換することができるうえ、特殊3点リンク用のロータリ作業機に用いられていたロワーリンク連結用ピン10a、トップリンク連結用ピン、及び連結プレート46を共用できるので、第1ブラケット31、及び第2ブラケット41の僅かな部品を追加することで足りる。また、装着変換装置5の下部には、ロータリ作業機の高さを調整するゲージホィール56を容易に付設することができるので、耕耘深さを自在に変更することが可能となる。
【0039】
最後に、上記に示した本発明による実施例は特殊3点リンク用のロータリ作業機に使用することができる装着変換装置の最良の形態を一実施例として記載したものであり、本発明の思想は広く圃場にて使用される作業機へ転用可能であることを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】特殊3点リンク装着用のロータリ作業機をトラクタに連結した状態にある側面図である。
【図2】特殊3点リンク装着用のロータリ作業機に装着変換装置を装着して、標準3点リンクを介してトラクタに連結した状態にある側面図である。
【図3】特殊3点リンク装着用のロータリ作業機単体の側面図である。
【図4】特殊3点リンク装着用のロータリ作業機単体の平面図である。
【図5】特殊3点リンク装着用のロータリ作業機に装着変換装置を取付け、標準3点リンク装着用のロータリ作業機へ変換した状態にある側面図である。
【図6】特殊3点リンク装着用のロータリ作業機に装着変換装置を取付け、標準3点リンク装着用のロータリ作業機へ変換した状態にある平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ロータリ作業機
2 トラクタ
3 特殊3点リンク
4 標準3点リンク
5 装着変換装置
10、10 ロワーリンク連結プレート
10a ロワーリンク連結プレートピン
11 トップマスト
11a 支持孔
31 第1ブラケット
32 第1取付けプレート
33 第1延長プレート
33a 穿孔
41 第2ブラケット
42 第2取付けプレート
43 第2延長プレート
43a 支持孔
46 連結プレート
56 ゲージホィール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ作業機に着脱自在に取付けられ、該ロータリ作業機を、標準3点リンクと特殊3点リンクとに変換して装着し得る装着変換装置であって、
ロータリ作業機の特殊3点リンク装着時におけるロワーリンク連結用ピンが取付けられるプレートに、着脱自在に固着し、先端部に前記ロワーリンク連結用ピンを取付ける孔を有する1対の第1ブラケットと、
前記ロータリ作業機の特殊3点リンク装着時におけるトップリンク連結用ピンが取付けられるトップマストに、着脱自在に固着し得、先端部に前記トップリンク連結用ピンを取付ける支持孔を有する第2ブラケットと、
特殊3点リンク装着時の前記ロータリ作業機において、前記トップマストと前記プレートを連結すると共に、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを連結し得る連結プレートと、を備える、
ことを特徴とする装着変換装置。
【請求項2】
前記第1ブラケットに一体に固定される支持部材と、
該支持部材に上下方向移動自在にかつ所定位置に固定自在に支持される1対の調節部材と、
前記調節部材の先端部に回転自在に支持されるゲージホィールと、を備えてなる、
請求項1記載の装着変換装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−151417(P2007−151417A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347215(P2005−347215)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】