説明

装置の要素をロックアウトする通信デバイスおよび方法

【課題】装置の要素の要求位置への設定、および長い産業サイクルに適合する期間にわたる装置の要素のその位置への保持の監視を提供する。
【解決手段】本発明は、装置の要素の通信ロックアウトデバイスに関する。本デバイスは、前記装置(1)を定位置で維持する機能を有した繋止手段(101)と、前記デバイスに関するデータを送信する機能を有した通信モジュール(110)と、少なくとも前記通信モジュールに電力を供給するように構成された局所電力供給モジュール(120)とを具備する。前記電力供給モジュールは、該電力供給モジュールの充電レベルを測定するように構成された充電監視ユニット(123)を具備する。また、本発明は、そのような通信デバイスを使用して装置の複数の要素を監視するネットワークと、対応する監視方法とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業設備における装置の要素の監視の分野に関し、より具体的には、そのような産業設備における装置のいくつかの要素をロックアウトする機能を有した通信デバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
大型産業設備、特に原子力産業において、装置の要素、一般にはバルブを、作業に要求される位置に機械的に繋止するのに、現在は南京錠および鎖が使用されている。人的安全性の制約または原子力安全性の制約のいずれかにおいて、定位置へのそのような機械的繋止が要求される。このタイプの機械的繋止は、一般に「ロックアウト(lockout)」または「不動化(immobilization)」と呼ばれる。
【0003】
UTE(フランス電気技術協会)C18-510規格の第2.4.14章「lock of an apparatus」(非特許文献1)には、装置のロックアウトは、装置を特定の位置(開放または閉鎖のいずれか)に設定し、それを保持し、その動作を禁止し、ロックアウトされた装置を作動させてはならないことを表示するのに必要な動作を実行するステップからなることが示されている。
【0004】
実際には、現場での装置の要素のロックアウトは、鎖上または南京錠のシャンク上のいずれかに固定される標識で示される。
【0005】
現在、ロックアウトの管理に信頼性を持たせることに関して、さらなる改善が求められている。実際に、ロックアウトの設定は、人的過誤の影響を受ける可能性があり、さらに、ロックアウトが、産業設備のバルブと同様に、接近するのが困難な場所に配置される装置の多数の要素を対象とするとき、これらのロックアウトの監視は実行するのが困難である。
【0006】
たとえば、米国特許出願公開第2002/0133704号明細書(特許文献1)または蘭国特許第1018534号明細書(特許文献2)に記載されたものなどの、輸送可能な物体を監視する通信システムは既に存在する。しかしながら、これらの通信システムは、特に輸送可能な装置の要素に適合し、バルブなどの装置の要素の機械的繋止を保証しない。さらに、これらの通信システムにおいて説明されるデバイスの電力供給の自律性は監視されず、それにより、それら通信システムは、長期間にわたって設定される可能性のあるロックアウトに対し、できる限り介入を制限することが望ましい産業的環境には適さなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0133704号明細書
【特許文献2】蘭国特許第1018534号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】UTE C18-510規格 第2.4.14章「lockout of an apparatus」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的の1つは、装置の要素の要求位置への設定、および長い産業サイクルに適合する期間にわたる装置の要素のその位置への保持の監視を保証することである。
【0010】
本発明の別の目的は、装置の要素のロックアウトに使用されるデバイスの電力供給の自律性の管理の最適化を可能にする一方、特に管理されるデバイスが多数である場合のコストおよび遅延の制御を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的のために、本発明は、装置を定位置で維持する機能を有した繋止手段と、上記繋止手段に関する少なくともデータを送信する機能を有した通信モジュールと、少なくとも通信モジュールに電力を供給するように構成された局所電力供給モジュールとを含む、装置の要素のロックアウト用のデバイスを提供する。局所電力供給モジュールは、該局所電力供給モジュールの充電レベルを測定するように構成される充電監視ユニットを含む。したがって、充電監視ユニットによって測定が実行されるので、オペレータが、通信デバイスの残存自律性を監視することが可能になる。
【0012】
通信モジュールは、有利には、充電監視ユニットに接続され、測定充電レベルに従って決定された充電データ項目を遠隔監視システムに送信するように構成され、通信デバイスの電力自律性の遠隔監視を可能にする、送信ユニットを含む。
【0013】
具体的には、充電データ項目は、有利には、通信デバイスの電力自律性の詳細な遠隔監視を可能にするために、測定充電レベルに比例してよい。
【0014】
有利な実施態様において、この充電データ項目は、所定の測定周期で測定され、送信ユニットは、この測定周期よりも長い所定の第1送信周期で周期的に作動し、その充電データ項目を遠隔監視システムに送信する。したがって、通信デバイスの自律性は、低減した割合で送信ユニットを作動させることによって最適化することができる。
【0015】
別の有利な実施態様において、通信モジュールは、充電監視モジュールに接続され、測定充電レベルに応じて少なくとも所定の表示を生成するように構成され、オペレータによる通信デバイスの自律性の局所管理を可能にする、少なくとも第1表示ユニットを含む。
【0016】
好ましくは、通信デバイスは、繋止手段に接続され、所定のテスト周期で上記繋止手段の少なくとも1つのパラメータの変化を測定するように構成される、テストモジュールを含む。送信ユニットは、テスト周期よりも長い所定の第2送信周期で周期的に作動し、測定変化に従って決定されたロックアウトデータ項目を遠隔監視システムに送信し、低減した割合で送信ユニットを作動させることによって通信デバイスの自律性を最適化する。
【0017】
好ましくは、通信デバイスは、デバイスの特定および装置の特定の要素へのその関連付けを行う機能を有する一方、その電力自律性を保護する、電気的に受動的な特定手段を含む。
【0018】
さらに、本発明は、複数の上述の通信ロックアウトデバイスと、該通信ロックアウトデバイスの各々からのデータを受信する機能を有した監視サーバとを含む、装置の複数の要素の監視用のネットワークに関し、装置の上記複数の要素の各々は、上記通信ロックアウトデバイスの少なくとも1つによって定位置に繋止される。
【0019】
さらに、本発明は、局所電力供給モジュールにより電力を供給される通信ロックアウトデバイスによる装置の要素の繋止を監視する方法に関し、この方法は、上記通信ロックアウトデバイスを定位置に設定された装置の要素に関連付けるステップと、通信ロックアウトデバイスを監視するステップとを含み、監視ステップは、局所電力供給装置の充電レベルを測定するステップを含む。
【0020】
有利には、監視ステップは、測定充電レベルに従って決定される充電データの少なくとも1つの項目を監視システムに送信するステップ、および/または、測定充電レベルに従ってデバイスの表示ユニットを作動させるステップを含み、通信デバイスの自律性を遠隔的にも局所的にも管理することを可能にする。
【0021】
有利な実施態様において、充電レベルの測定が、所定の測定周期で周期的に実行され、送信ステップは、測定周期よりも長い所定の第1送信周期で周期的に送信ユニットを作動させ、充電データ項目を遠隔監視システムに送信し、低減した割合で送信ユニットを作動させることによって通信デバイスの自律性を最適化する、ステップを含む。
【0022】
好ましくは、通信ロックアウトデバイスは、装置の要素を定位置で繋止する機能を有した繋止手段を含み、監視ステップは、上記繋止手段の少なくとも1つのパラメータの変化が所定のテスト周期で周期的に測定される、テストサブステップを含むとき、送信ステップは、テスト周期よりも長い所定の第2送信周期で周期的に送信ユニットを作動させ、測定変化に従って決定されたロックアウトデータ項目を遠隔監視システムに送信し、低減した割合で送信ユニットを作動させることによって通信デバイスの自律性を最適化する、ステップを含む。
【0023】
好ましくは、所定の数の送信サイクルよりも長い期間にわたって監視システムが通信デバイスからデータを受信しないとき、または、受信する充電データ項目および/またはロックアウトデータ項目に応じて、アラーム信号が送信される。したがって、デバイスに対する補正動作が必要であることを、スーパバイザに知らせる。
【0024】
好ましくは、通信ロックアウトデバイスが、電気的に受動的な第1特定手段を含み、装置が、電気的に受動的な第2特定手段を含むとき、関連付けステップは、デバイスと装置の要素との仮想的な関連付けを行うサブステップを含み、その中で、上記特定手段は、携帯デバイスによって読み取られ、上記携帯デバイスのメモリ内で関連付けられる。したがって、装置の要素とそのデバイスとは、関連付けられる一方、デバイスの電力自律性を保護する。
【0025】
有利な実施態様において、本方法は、通信デバイスによって監視システムに送信された充電データの最終項目を確認し、デバイスが十分な自律性を有することを、デバイスを装置に関連付ける前に確認することを可能にするステップを含む、デバイスの先行準備のステップを含む。
【0026】
別の有利な実施態様において、本方法は、装置の要素とのその関連付けに続いて、通信デバイスを作動させるステップと、通信デバイスと遠隔監視システムとの間の通信の確認ステップを含み、それにより、監視システムとの通信が正常に確立されることが保証される前に、局所電力供給装置内に貯蔵される電気エネルギーを消費することを回避する。
【0027】
以下で、説明を読み、図面を見ることによって、本発明の主題である通信ロックアウトデバイスについてのより良い理解が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による、通信ロックアウトデバイスを示す図である。
【図2A】本発明による、通信ロックアウトデバイスによって繋止される装置の要素の監視の方法のステップを示す図である。
【図2B】本発明による、上述の方法の監視ステップを構成するサブステップを詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
装置1の要素を定位置でロックアウトすることを目的とする通信ロックアウトデバイス100が示される図1を最初に参照する。装置のそのような要素は、たとえば、状況によって開放位置または閉鎖位置でロックアウトを行う機能を有した、産業設備内のバルブであってよい。
【0030】
このために、デバイス100は、装置1の要素を特定の定位置で保持する機能を有した繋止手段101を含む。そのような繋止手段101は、装置の要素(例示のみを目的として、バルブの制御ハンドルとして示す)を所与の位置で保持するために、装置の要素を機械的に堅固に保持する機能を有したケーブルから構成されてよい。
【0031】
また、デバイス100は、データ、具体的には繋止手段101に関するデータをスーパバイザに伝送し、これらの手段の状態をスーパバイザに知らせる機能を有した通信モジュール110を含む。
【0032】
したがって、そのような通信モジュール110は、デバイス100を遠隔監視システムに接続可能とするために、送信ユニット111を含む。この送信ユニット111は、デバイス100が配置される場所に関して完全に自由であるように、好ましくは無線であり、無線機が送信する信号を送信および受信する機能を有した無線アンテナを含み、Zigbee、ZigbeePro、Occari、WirelessArt、またはWiFiタイプなどの無線ネットワークによって遠隔監視システムとの通信を行う。そのような無線アンテナは、好ましくは通信デバイス100のケーシングに組み込まれ、無線アンテナがその輸送中に損傷するのを防ぐ。コネクタは、ケーシングの外側でのアンテナの使用を可能にする。
【0033】
また、通信モジュール110は、送信ユニット111を管理する機能を有し、かつ記憶手段115およびクロック117に接続されるプロセッサ113を含む。通信モジュール110の構成要素の全ては、電子カードに組み込まれてよい。
【0034】
レジスタなどの記憶手段115は、デバイス100の正常な動作に必要な一定のデータを記憶する機能を有する。したがって、局所電力供給モジュール120の自律性に関しては、使用される電力供給手段121のタイプ、ひいてはそれらのそれぞれの容量は、時代の経過を通じて変化する。したがって、挿入される新しい電力供給手段121のタイプによってデバイス100を較正することが可能である。このために、記憶手段115は、それらの容量またはそれらの放電特性曲線などの、これらの電力供給手段121のいくつかの特性を記憶する機能を有する。電力供給手段121の各変化に関して、記憶手段115内に記憶される値は、新たな手段121の特性に従って再初期化されてよい。
【0035】
さらに、デバイス100は、完全に自律的な方法で、特に通信モジュール110を含む電気エネルギーを要求するデバイス100の構成要素に電力を供給する機能を有した局所電力供給モジュール120を含む。
【0036】
そのような電力供給モジュールは、デバイス100のケーシングを除去することなく交換可能な電池(単4形規格など)またはバッテリなどのエネルギー貯蔵手段121を含む。使用されるセルまたはバッテリの寿命は、問題の産業設備のタイプに適合する期間(たとえば核燃料サイクルの場合の24ヶ月)にわたってデバイス100の正常な動作を保証する最小継続期間を有する。
【0037】
そのようなエネルギー貯蔵手段121は、専用カバーを開くことによってアクセス可能なケーシングの区画内に配置されてよい。また、ATEX規格に従う樹脂内にセルおよび通信モジュール110の電子回路を配置してもよい。
【0038】
さらに、局所電力供給モジュール120は、エネルギー貯蔵手段121の充電レベル、ひいては局所電力供給モジュール120の自律性を測定する機能を有した充電監視ユニット123を含む。充電レベルのこの測定は、たとえば、貯蔵手段121の端子間の電圧を測定することによって実行でき、局所電力供給モジュールの測定充電レベルに従って、「充電データ項目」と呼ばれるデータ項目を決定することを可能にする。そのような充電データ項目は、有利には、生成された測定値に比例し、または、測定値がある所定の閾値を上回るときに、この充電レベルが正しいことを簡単に示すことができる。
【0039】
したがって、そのような充電データ項目の決定によって、スーパバイザにより要求されるロックアウトに適合する期間にわたって装置1の対応する要素をロックアウトするのに通信デバイス100が十分であるかどうかを判定するために、通信デバイス100の残存自律性の評価を行うことができる。
【0040】
さらに、充電監視ユニット123は、有利には、通信モジュール110の送信ユニット111に接続される。その場合、このユニット111は、局所電力供給モジュール120の充電レベルに関する充電データの少なくとも1つの項目を遠隔監視システムに送信するように構成される。この充電データ項目は、有利には、通信デバイスの自律性の詳細な監視を可能にするために、充電レベルの測定値に比例する。
【0041】
したがって、遠隔監視システムを介して、ほぼリアルタイムで、かつ集中型の方法で、既に所定の位置にある互いに異なる複数の通信デバイスの残存自律性を監視できる。このタスクを担当するスーパバイザは、その場合、その残存充電レベルに従って、デバイス100の交換または再充電を決定することができる。
【0042】
充電データの送信項目が充電レベル測定値に比例する有利なモードにおいて、スーパバイザは、全ての通信デバイスの残存自律性の正確な情報を有し、したがって、アクセス性およびコスト基準のロジスティック的問題によって、いくつかの通信デバイスの交換またはそれらの電気再充電をより効率的に計画し、かつ予測することができる。
【0043】
この技術的有利性は、大量の通信デバイスが同時に監視されるときに特に重要であり、それによって、ロジスティック的問題は、これらの通信デバイスの交換および/または再充電動作をできる限り予測することを必要とする。
【0044】
通信モジュール110、および具体的にはその送信ユニット111が、このデバイス100の最大消費部分となる構成要素である場合に、デバイス100の自律性を最適化するために、必要であるときだけ通信モジュール110を作動させることが有利になる。クロック117は、極めて正確な動作に対応する一定の周期で通信モジュール110の構成要素の周期的な作動および作動停止を可能にする。
【0045】
したがって、一方では、データフレームの形式で監視システムへのデータの送信を周期的に実行するようにする。したがって、クロック117は、送信ユニット111が作動停止になる前にデータフレームを送信するように、一定の周期で送信ユニット111を作動させる。これらの情報項目を監視システムに送信する送信ユニット111の作動の周期fTxを(1から40分の間で)設定してよく、またはさらに一定の値(たとえば4分)に固定してもよい。しかしながら、データフレームの送信は、デバイス100の電力供給の自律性をさらに最適化するために、より長い周期で実行されてもよい。
【0046】
デバイス100の充電レベルの測定およびこれより生じる充電データ項目の決定は、たとえば一定の測定周期fMで周期的に実行されてよく、その測定周期fMは監視システムへのこのデータ項目を含む測定フレームの送信周期fTx,Mに等しくなる必要はなく、この後者の周期fTx,Mを設定することができる。したがって、エネルギー節約のために、測定周期fMよりも長い送信周期fTx,Mを使用することは特に有利になる。たとえば、5個または20個の測定値ごとに充電データを送信してもよい。
【0047】
さらに、通信モジュールは、そのパラメータのいくつかを、デバイス100を操作するオペレータに知らせる機能を有した表示手段130を含む。
【0048】
表示手段130は、充電監視ユニット123に接続され、かつ充電監視ユニットにより決定された局所電力供給モジュールの充電レベルに関するデータ項目に応じて所定の表示を行う機能を有した第1表示ユニット131を含む。第1表示ユニット131は、デバイス100を操作するオペレータにデバイス100の充電レベルを表示する。したがって、充電監視モジュールによって検出される充電レベルが、ある所定の低閾値に到達するとき、監視アプリケーションは、充電レベルアラームを始動させる。表示ユニット131は、近傍のあらゆるオペレータにも警告するために、たとえば赤色で点滅することによって、そのようなアラームを表示する。
【0049】
また、表示手段130は、監視システムとの通信状態に関する表示を行うために、送信ユニット111に関連付けられた第2表示ユニット133を含んでよい。そのような表示ユニットは、たとえば1つまたは複数の発光ダイオードから構成されてよく、デバイス100を操作するオペレータに、電力供給モジュールの充電状態および通信モジュールの通信状態についてそれぞれ警告する機能を有する。
【0050】
したがって、オペレータが、ロックアウトされる装置1上にデバイス100を設定するためにデバイス100を準備するとき、オペレータは、以下に示すように、デバイスの充電レベルに関して知らされ、この情報によってそのデバイス100を使用する(または使用しない)ことを決定できる。
【0051】
通信モジュールは、デバイス100のエネルギー自律性を増大させるために電気的に受動的であるように選ばれる特定手段105を含んでよい。本明細書における「電気的に受動的」とは、特定手段105が、電気エネルギーを消費せず、したがって、電気的に接続されていない局所電力供給モジュール120を放電させないことを意味する。特定手段105は、RFIDタグまたは2Dバーコードなどから構成されてよい。
【0052】
そのような特定手段105は、特定の通信デバイス100を装置1の特定の要素に関連付ける機能を有する。装置1の要素がさらに、たとえばRFIDタグまたは2Dバーコードなどの特定手段3を有するとき、個人用デジタル補助装置(PDA)によりコンピュータロギングが可能であり、ロギング中に、通信ロックアウトデバイスおよびそれに関連付けられた装置の同一性は共に記憶される。
【0053】
電気的に受動的な特定手段105を使用するという事実は、デバイス100の自律性がそれによって増加するこの場合に特に有利であり、装置1のロックアウトが一定の時間継続することが予測されるときに特に有用である。
【0054】
デバイス100はさらに、繋止手段101に接続されるテストモジュール103を含む。このモジュール103は、たとえば、これらの繋止手段に関する少なくとも1つのパラメータを測定し、このパラメータを参照値と比較することによって、このパラメータの変化を測定する機能を有し、繋止手段101の繋止(または繋止解除)状態またはそれらの完全性の低下を表示する、いわゆる「ロックアウト」データ項目を決定する。したがって、繋止手段の状態変化は、検出モジュール103によって検出でき、この状態変化を示すロックアウトデータ項目を、通信モジュール110によってスーパバイザに伝送できる。
【0055】
たとえば、検出モジュール103は、電流が繋止手段中を連続的に流れるとき、繋止手段中を流れる電流の消滅を検出する機能を有する。したがって、監視されるパラメータは、電流値であってよく、ある所定の閾値を上回る電流値の変化は、手段101を繋止していないことを示す。
【0056】
ロックアウトデータ項目は、問題のパラメータの変化に直接比例してよく、その場合に、手段101の状態の確認が遠隔で実行され、または、ロックアウトデータ項目は、この変化を通信デバイス内の所定の閾値と比較することによって決定でき、この場合、ロックアウトデータは、繋止手段101の正常な繋止(または繋止解除)を簡単に示す。
【0057】
この検出テストは、連続的であってよいが、好ましくは、デバイス100の自律性を最適化するために、ある所定のテスト周期fTestで周期的に実行される。そのようなテスト周期fTestは、(たとえば1から5分の間に)設定されてよく、またはあるデフォルト値(たとえば1分)に固定されてもよい。手段101の状態変化を示すロックアウトデータ項目を含むデータフレームの送信周期fTx,Testは、有利には、テスト周期fTestよりも長くなり、送信ユニット111の電力消費を制限する。
【0058】
さらに、デバイス100は、オペレータがデバイス100のいくつかの機能を作動させることを可能にする作動手段140を含んでよい。この例において、作動手段140は、3つの押しボタン141,143,145を含み、それぞれ、装置1が第1位置(たとえば開放)に位置するという事実を伝送し、装置1が第2位置(たとえば閉鎖)に位置するという事実を伝送し、かつ繋止手段101の状態をテストする手続きを開始するという事実を伝送する。これらの押しボタン141,143,145は、たとえば「Lexan」ボタンで覆うことによって物理的に保護され、ソフトウェアで制御することができる。
【0059】
さらに、作動手段140は、オペレータに固有の鍵の挿入によってデバイス100の作動モードの変化を起こす機能を有した錠147を含む。図1の例において、この錠は、以下に示すように、デバイス100を「開放」、「繋止」、および「ネットワーク」モードにそれぞれ切り替えるために、3つの位置「Open」、「LCK」、および「NTWK」をとることができる。
【0060】
したがって、通信モジュール110は、以下の4つの異なる方法、すなわち、
- 新しい電力供給手段121が挿入されたとき、
- 鍵および錠147を使用して、オペレータによってサービスが開始されたとき、
- オペレータがテストボタン145を押したとき、ならびに
- 測定、テスト、および無線送信サイクル用のクロック117によって内部的に、
作動させることができる。
【0061】
これらの制限作動フェーズは、通信モジュール110の電力消費を必要最小限に制限することを可能にし、したがって、その電気的自律性を保護する。
【0062】
さらに、通信ロックアウトデバイス100は、好ましくは、高温、酸性またはアルカリ性製品の噴霧、衝撃、電離放射線などの厳しい環境ストレスに耐えるように設計される。電離放射線に関して、必要条件は、200から300Gyの間の放射線値に耐えるものとしてよい。デバイスは、ATEX規格に従うように設計されてよい。
【0063】
ここで、上記の通信ロックアウトデバイス100による装置の要素の繋止を監視する方法200のステップを示す図2Aを参照する。
【0064】
方法200は、通信デバイスの局所電力供給モジュールの充電レベルに関するデータ項目がチェックされる、通信ロックアウトデバイスを準備する先行ステップ201を含む。
【0065】
これを行うために、現場でのあらゆる介入の前に、ロックアウトを担当するオペレータは、ロックアウトを機能参照値と関連付けることによって、設定または除去されるロックアウトのリストを作成するために、監視サーバ上の監視アプリケーションにアクセスする。
【0066】
設定される各ロックアウトに関して、オペレータは、監視される装置の要素の要求位置およびロックアウト設定の予測継続期間を指定する。ここで、90日などのデフォルト継続期間が提供されてよい。ロックアウト設定の継続期間に関するこの情報は、通信ロックアウトデバイスの局所電力供給モジュール120が、必要な監視時間にわたって機能するのに十分な自律性を有することを確認するのに役に立つ。
【0067】
したがって、ロックアウトされる装置の要素の場所に向かう前に、オペレータは、準備された通信デバイス100が推定継続期間の全体にわたって作動可能なことをチェックする。これを行うために、オペレータは、監視を中断することを必要とせずに、監視アプリケーションに付加されたモジュールにアクセスし、それにより、通信デバイス100を走査して、それらの特定モジュール105によってそれらの識別子を検索し、スーパバイザのデータベースに問い合わせを行って、通信ロックアウトデバイスによって伝送された最新の充電レベル(すなわち残存エネルギー)を知ることができる。
【0068】
通信ロックアウトデバイスが走査された後、2つの場合が生じる可能性がある。
【0069】
- 一方は、通信ロックアウトデバイスの局所電力供給モジュールが、予測監視時間に適合する寿命を有する場合である。この場合、デバイスの電力供給手段は交換されない。使用される充電レベルは、その除去の前に通信デバイス100によって送信され、かつ電力供給手段の自己放電係数によって重み付けされた最新値である。この状況を表示するために、その場合、第1表示ユニット131は、特定の色で一定の回数点滅してよい。たとえば、この表示は、1サイクルの30%の間だけの点灯(デューティサイクル=30%)に対応する点滅を使用して、緑色での30秒間の点滅として構成されてよい。
【0070】
- 他方は、通信ロックアウトデバイスの局所電力供給モジュールが、予測監視時間に適合する寿命を有しない場合である。その場合、電力供給手段121を交換するか、またはそれらを再充電することが必要となる。この場合、新しい電力供給手段121の設定が、通信ロックアウトデバイス内の電力供給モジュールの充電メータを再初期化する。監視アプリケーションは、通信ロックアウトデバイスが次に始動するときに更新される。この状況を表示するために、その場合、第1表示ユニット131は、上述のものと異なる特定の色で一定の回数点滅してよい。たとえば、この表示は、1サイクルの30%の間だけの点灯(デューティサイクル=30%)に対応する点滅を再び使用して、赤色での30秒間の点滅として構成されてよい。
【0071】
この予備準備ステップの第1実施形態において、オペレータは、デバイスごとに、稼働寿命が適合することをチェックし、PDAなどの携帯デバイス内に装置-デバイスの対を事前に記録することにより、ロックアウトされる装置の要素の場所に向かうことができる。
【0072】
この予備準備ステップの別の実施形態において、オペレータは、必要とするよりも多くの通信デバイス100について、充電レベルが十分であることを簡単にチェックし、ロックアウトされる装置の要素の場所に行き、これらのデバイスの充電レベルがそれらのデバイスを設定するときに最終的にチェックされることを知る。
【0073】
オペレータの携帯デバイスには、オペレータによって完成した1回のデータが、現場の全ての繋止デバイスの特性と共にロードされ、現場に向かう前に、装置-繋止デバイスの組合せを常に準備することを回避する。
【0074】
通信デバイス100の電力供給手段121を各設定の前に交換しないという事実は、これらの電力供給手段を効率的に利用し、不必要な動作を回避することを可能とする。したがって、適合するように準備される南京錠の寿命は、不均一となる。
【0075】
オペレータが、ロックアウトされる装置1に近づいて、オペレータの準備した通信ロックアウトデバイスを設けると、通信ロックアウトデバイスのその装置1への関連付けが、仮想的(ステップ203)にも物理的(ステップ205)にも実行される。
【0076】
仮想的関連付け203は、通信ロックアウトデバイスと監視される装置とがコンピュータによって関連付けられるステップである。仮想的関連付け203のそのようなステップは、監視される装置、通信ロックアウトデバイス、およびオペレータの携帯デバイス(PDA)を使用する。
【0077】
この仮想的関連付けを行うために、オペレータの携帯デバイスは、通信デバイス100の特定モジュールのコードを検出する機能を有した読取装置を備える。通信デバイス100および装置がRFIDタグによって記録されているとき、オペレータの携帯デバイスは、監視される装置1のRFIDタグのコードおよび通信デバイス100のRFIDタグのコードの両方を任意の順番で検出できる。
【0078】
好ましくは、デバイス-装置の対に関するこれら2つの読取りの間の最大時間は、1分である。しかしながら、この時間は任意に設定できる。コードが検出されるとき、電子音を鳴らしてよい。また、オペレータの携帯デバイスは、検出される装置および/またはデバイスのタイプを含むアイコンを表示してよい。
【0079】
通信ロックアウトデバイスおよび装置のタグの2つの読取りの間の最大時間を上回るとき、関連付けプロセスの再始動を課すようにすることができる。これを行うために、オペレータの携帯デバイスは、第1のタグの読取値を消去し、ユーザが再び2つのタグを走査することができるようにする。オペレータは、その携帯デバイス上で進行中の関連付けステップを自主的に中断することもできる。
【0080】
有利には、読取距離は、装置の近接する要素のタグのあらゆる無作為な読取りを防止するために、5cmなどのある所定の距離未満に制限される。実際に、通信デバイス100のオペレータバッグは、この読取作動中のエラーの潜在的発生源である。
【0081】
オペレータの携帯デバイスが通信デバイス100の識別子を走査したとき、携帯デバイスのスクリーン上に第1の線が表示される。この第1の線は、南京錠タイプのアイコン、南京錠の機能参照値、および通信デバイス100の電力供給モジュールの推定残存寿命(すなわち自律性)、たとえば数日間、を含むことができる。
【0082】
オペレータの携帯デバイスが装置1の要素の識別子を走査したとき、オペレータの携帯デバイスのスクリーン上に第2の線が表示される。この第2の線は、装置タイプのアイコン、装置および要求位置の機能参照値、ならびに予測される設定継続期間を含む。
【0083】
2つの線が表示されると、オペレータは、それらの線を関連付け、たとえば無線ネットワークを介してそれらの線をリアルタイムで監視システムに送信することができる。
【0084】
有利な実施形態において、単一の通信デバイス100は、特定の時間に装置1の単一の要素に関連付けられる。しかしながら、必要であると判明した場合には、装置1の単一の要素にいくつかの通信デバイス100を使用することが可能である。現場で通信デバイスを交換することは可能であるが、安全上の理由で、通信デバイスが監視システムに予め登録されていないときは、通信デバイス100を装置1の要素に関連付けないことが好ましい。
【0085】
物理的関連付けステップ205に関して、これは、通信デバイス100および監視される装置1が共に機械的に結合するステップである。
【0086】
この物理的関連付けは、
- ロックアウトされる装置1の要素を要求位置に設定するステップと、
- オペレータの携帯デバイス上のコンテキスト補助情報に任意選択でアクセスするステップと、
- 装置1の要素を繋止位置で保持するために、装置1の要素を通信デバイス100に機械的に結合するステップとを含む。
【0087】
通信デバイス100の繋止手段101がケーブルから構成されるとき、ケーブルの操作は、装置1の要素にケーブルを掛け、次に装置の要素を操作することが不可能となるようにケーブルを締めることになる。その場合に、専用の鍵でケーブルを機械的に繋止するのが適当である可能性がある。作動手段140が図1に示す錠147を含むとき、オペレータは、この錠の鍵を「LCK」位置の方に回すことによって、これを行う。
【0088】
装置の位置をチェックすることは、ロックアウトを設定するときに特に重要である。実際に、設定エラーの場合には、チェッカがエラーを検出しない確率が増大する。都合が悪いことに、無線通信デバイス100の場合には、装置の正確な位置を示すのに利用できる電気信号を有することが常に可能なわけではない。
【0089】
この難点を克服するために、オペレータの携帯デバイス(PDA)は、たとえば、PDAがテキスト、図表、画像、音声、または映像の形式のドキュメントにアクセスできるようにすることによって、装置の要求位置に正常に従うことをチェックすることができる情報を提供するように構成されてよい。この情報へのそのようなアクセスは、装置1の要素のタグを読み取ることによって容易に行うことができる。
【0090】
仮想的関連付け203および物理的関連付け205の2つのステップの順番は、固定されておらず、逆順としてもよく、これら2つのステップは共に、通信デバイス100をロックアウトされる装置1に関連付ける全体のステップ204を形成する。
【0091】
通信デバイス100が、ロックアウトされる装置1に正しく関連付けられると、監視ネットワーク内に通信ロックアウトデバイスを仮想的に統合するステップ207が、オペレータの要求によって実行される。
【0092】
このステップは、オペレータによる手動操作によって開始する。たとえば、作動手段140が図1に示す錠147を含むとき、このステップ207は、この錠の鍵を「NTWK」位置の方に回すことによって、オペレータにより開始される。この手動操作が実行されると、たとえば無線ネットワークを使用して、通信デバイス100の監視システムとの通信が開始する。通信デバイス100がネットワーク内に統合されない限り、第2表示ユニット133は、特定の状態のままである(たとえばそれが緑色で点滅する)。
【0093】
この段階で、情報の適用項目(監視される装置、設定位置など)は、まだ検討されておらず、通信機能だけが作動する。通信デバイス100によって送信される情報の項目は、少なくとも以下の通りである。
- 通信ロックアウトデバイスの識別、
- 通信ロックアウトデバイスの閉鎖(繋止)、
- 通信ロックアウトデバイスの開放/閉鎖状態、および
- 残存エネルギー。
【0094】
2つのデータフレーム、すなわちアプリケーションメッセージフレームおよび診断フレームを、送信ユニット111によって送信できる。
【0095】
通信ロックアウトデバイスがネットワーク内に統合されると、第2表示ユニット133は、別の特定の状態に進み(たとえば、それは点滅するのを中止し、1分間連続して緑色で点灯する)、ネットワーク作動に統合する作動が正常に行われたことをオペレータに知らせる。
【0096】
通信ロックアウトデバイスのネットワーク内への最大統合時間を固定することが好ましい。この時間は、たとえば5分に固定されてよい。この時間を過ぎると、第2表示ユニット133は、新しい特定の状態に進み(たとえばそれは1分間赤色で点滅する)、次に、通信デバイス100は作動を中止する。それを再始動するために、作動手段140は、電子回路を停止し、次に電子回路を再作動させるのに使用できる。これらの作動手段140が図1に示す錠147を含むとき、この再始動は、この錠の鍵を「LCK」位置の方に(オペレータが装置100を交換したいときは、おそらく開放位置まで)回し、次に鍵を「NTWK」位置まで再び回すことによって、オペレータにより実行できる。
【0097】
通信ロックアウトデバイスが、監視ネットワーク内に正常に統合される(ステップ207)と、その監視下への設定を要求することが可能になる(ステップ209)。
【0098】
通信ロックアウトデバイスの監視下への設定を要求するために、オペレータは、押しボタン141または押しボタン143のうちの一方を使用することによって、ロックアウトされた装置の位置を示すことができる。
【0099】
したがって、装置1が開放または閉鎖の2つの位置だけをとることができる場合に、装置が閉鎖位置でロックアウトされるとき、オペレータは第1ボタン141を押し(「OKバルブ閉鎖」)、あるいは、装置が開放位置でロックアウトされるとき、オペレータは第2ボタン143を押す(「OKバルブ開放」)。
【0100】
オペレータがこれらの押しボタンの一方を使用するとき、「アプリケーションの監視」下に設定する要求は、送信ユニット111によって監視アプリケーションに送信される。
【0101】
第2表示ユニット133は、その場合、監視下への設定の確認を示す情報の項目が監視ネットワークから通信デバイス100に返信されるまで、(たとえば緑色で点滅することによって)確認を待つ状態を示すことができる。そのような確認情報の受信を待つ最大時間は、たとえば2分程度に固定されてよい。
【0102】
南京錠による「アプリケーションの監視」下への設定の要求を含む、通信ロックアウトデバイスによって送信される情報は、以下の通りであってよい。
- 通信ロックアウトデバイスの識別、
- 通信ロックアウトデバイスの閉鎖(繋止)、
- 通信ロックアウトデバイスの開放/閉鎖状態、
- 残存エネルギー。
【0103】
通信デバイス100に返信される、監視下へのアプリケーションの設定を確認する情報は、陽性または陰性であってよい。成功した場合には、第2表示ユニット133は、(たとえば1分間緑色で連続的に点灯し続けることによって)別の状態に変化してよい。
【0104】
好ましくは、2つの押しボタン141,143(「OKバルブ閉鎖」または「OKバルブ開放」)の一方に対する第2の押圧は無視される。装置1の位置の宣言を変更し、あらゆる作動エラーを回避するために、電子回路を停止し、次にネットワーク内に統合するフェーズを再始動することを要求することは、有利になる可能性がある。
【0105】
このステップ中に失敗した場合に、すなわち、監視下へのアプリケーションの設定を確認する情報の返信の遅延を上回るとき、または、問題(たとえば予測された位置に対する誤った位置の宣言など)が検出されるとき、第2表示ユニット133は、(たとえば1分間赤色で点滅することによって)故障状態を表示してよい。その場合に、あらゆる中断を適用することなく、通信ロックアウトデバイスの2つのボタンの一方を押すことによって、監視下で要求位置に設定する宣言のシーケンスを再始動するようにすることができる。
【0106】
通信ロックアウトデバイスのネットワーク内への統合と監視アプリケーションに対する要求との間の最大待機時間を提供することが可能である。しかしながら、そのような最大待機時間は、統合207および監視下への設定の要求209の2つのステップの順番をユーザが選択できるようにするのに必要ではない。したがって、これら2つのステップ207,209は、任意の順番で監視デバイスの作動の全体ステップ208を形成する。
【0107】
通信ロックアウトデバイスが機能し、監視が作動すると、局所確認のステップ211を提供することができ、この局所デバイスに問い合わせることが可能になり、その接続動作をチェックする。これは、たとえば、設定動作の二重チェック、各回のチェック、またはさらに装置のこれらの要素に関する周期的なテストの場合である。
【0108】
確認のそのような局所チェックステップを使用する原理は、簡単に実施することができる。オペレータは、現場で通信ロックアウトデバイスのテスト専用の第3押しボタン145を押す。このテストボタン145を押すことによって、通信デバイス100の通信モジュール110のプロセッサを作動させ、このプロセッサは、それがネットワークの観点およびアプリケーションの観点の両方から正常に生成する情報の全てを、監視ネットワークを介してスーパバイザに送信する。
【0109】
情報のこれらの項目の送信の開始は、通信ロックアウトデバイスの2つの表示ユニット131,133によって表示することができ、それらのユニットは、たとえば緑色で点滅する。ネットワークの観点および監視の観点の両方から、送信が成功した場合には、2つの表示ユニット131,133は、連続する緑色に変化し、失敗した場合には、これらの表示手段は、赤色での点滅に変化する。
【0110】
通信ロックアウトデバイスが機能し、その監視下への設定が作動状態になると、スーパバイザは、監視ステップ213の間にそのデバイスから生じる測定値を待つ。
【0111】
図2Bは、そのような監視ステップ213をより詳細に示す。
【0112】
ステップ213の間に、2つのサイクル、すなわち、テストステップ221に対応する、繋止手段をテストするサイクルと、測定ステップ223に対応する、通信デバイス100の局所電力供給モジュール120の充電レベルを測定するサイクルとが、共存する。
【0113】
テストサイクル221は、あるテスト周期fTestでデバイスの繋止手段の周期的なテストを実行するステップを含む。したがって、たとえば、1分ごとに、通信デバイス100のプロセッサ113は作動状態になり、その場合にデバイスの繋止手段101に関するテスト(ケーブルの継続性パラメータの変化が検出される、ケーブルの継続性のテストなど)を実行する。
【0114】
繋止手段101が、(それらの繋止位置への残留およびそれらの完全性を保証する)このテストに確実に応答するとき、情報は、あらゆるデータ項目を監視システムに送信することなく、第1実施態様において簡単に記憶することができる。それとは反対に、テストの結果が陰性であり、それがこれらの繋止手段101の完全性を疑問視することを示す可能性があるとき、送信ユニット111を作動させることができ、第1実施形態においてデバイスの繋止解除を示すロックアウトデータ項目を送信することができる。
【0115】
別の実施形態において、繋止手段のパラメータの変化に比例するロックアウトデータ項目は、好ましくはテスト周期fTestよりも長い送信周期fTx,Testで系統的に送信される。デバイスの繋止手段の正常な繋止(または繋止解除)の決定は、その場合に、監視システムのレベルで実行される。
【0116】
以下の情報、すなわち、日付、時間、繋止手段の状態、自律性、診断(バッテリの状態)、アラーム(誤ったボタンを押した場合)は、各測定サイクルにおいて収集することができる。
【0117】
測定サイクル223は、ある測定周期fMでデバイス100の局所電力供給装置120の充電レベルを周期的に測定するステップと、充電レベルを示す充電データ項目を決定するステップとを含む。
【0118】
送信ステップ225は、通信デバイス100の状態に関するデータ情報をスーパバイザに送信するステップを含む。他方、このステップは、有利には、測定周期fMよりも長いある送信周期fTx,Mで周期的にデバイス100の送信ユニットを作動させるステップを含んでよく、局所電力供給装置120の充電レベルの測定によって決定される充電データ項目を送信する。
【0119】
したがって、通信ロックアウトデバイスの通信機能は、たとえば3分または4分ごとに、周期的に作動し、その場合に、電流の蓄積レベル、局所電力供給モジュールで使用される電池の電圧、デバイス100の内部温度などの情報を含むことができる測定フレームの監視システムへの送信を開始する。
【0120】
他方、送信ステップ225は、好ましくはテスト周期fTestよりも長い送信周期fTx,Testで、デバイスの繋止状態、繋止された装置の位置、日付印、使用されるデバイス100の同一性などの情報を含むテストフレーム内の、繋止手段のパラメータの変化に従って決定されるロックアウトデータ項目を送信するステップを含んでよい。
【0121】
それぞれの送信周期よりも短いテスト周期および測定周期を有する2つの別個のサイクルを含むこの方法は、送信ユニット111の作動状態が特にエネルギーの大量消費部分である場合に、デバイスのバッテリを効率的に使用することを可能にする。これら2つのサイクルの周期は、異なるテスト状況を実現可能にするために、ソフトウェアにより設定可能とすることができる。
【0122】
装置の要素のロックアウトを行う、産業設備の制御室またはロックアウト室において、ロックアウトの各々は、スーパバイザによって監視される。あらゆる検出アラームを明らかにする。
【0123】
アラームは、2つの発生源を有する可能性がある。すなわち、通信ロックアウトデバイスによる故障の送信、または一定数の送信サイクルよりも長い期間にわたる通信ロックアウトデバイスからの情報の未受信である。
【0124】
したがって、3つの確認ステップ227,229,231の間に、これら2つの状態が確認され、通信デバイス100が繋止解除の危険を示すかどうかを決定する。
【0125】
一方では、デバイス100の繋止手段101の状態を示す送信データ項目が、デバイス100を繋止しないか、またはこれらの繋止手段の完全性が疑問視されることを示す(第1の確認ステップ227)とき、第1アラーム信号が生成され、送信される(ステップ233)。この第1アラーム信号は、装置1の繋止解除の危険を示し、装置1の要素の状態をチェックし、かつそれを再繋止するために現場に向かうオペレータを必要とする最大の緊急度を示す。
【0126】
他方では、スーパバイザが、通信デバイス100の状態の送信の一定数の連続するサイクル(ユーザのテストによって2つ以上)が受信されなかった(第2の確認ステップ229)とき、さらに第2アラーム信号が生成され、送信される(ステップ235)。この第2アラーム信号は、送信ユニット111がデータを送信することができなかったことを示し、上述のものよりも低いが、故障した通信デバイス100の診断を実行するために、それでもなお現場に向かうオペレータを必要とする、緊急度を示す。
【0127】
最後に、放電されることを示す、局所電力供給モジュール120の充電状態を示す送信データ項目が受信される(第3の確認ステップ231)とき、さらに第2アラーム信号が生成され、送信される(ステップ235)。この第2アラーム信号は、通信デバイス100が再充電されるか、または充電されたデバイスと交換する必要があることを示し、第1アラームよりも低いが、故障した通信デバイス100に対処するために、それでもなお現場に向かうオペレータを必要とする、緊急度を示す。
【0128】
これら3つの確認が行われると、通信デバイス100は、さらに繋止位置に置かれ、監視システムと正常に通信し、監視は継続することが可能となる。
【0129】
アラームの提示、選択、ソート、検討、および禁止の原理は、市販のスーパバイザ(SCADA)の標準アラーム管理構造と同様である。
【0130】
管理アプリケーション内で確認されるあらゆるアラームが、現場の通信デバイス100の新しい適用状態を開始させるのが好ましい。
【0131】
監視アプリケーションは、生信号を管理し、すなわち、ユーザにその作動状態を警告することができる。監視アプリケーションが停止させ、次に再始動させるとき、これによって、制御集合体は、南京錠繋止デバイスの全てを再適用する可能性がある。これを回避するために、監視を再始動し、いくつかの送信サイクルが故障してもアラームを発信するようにすることが可能である。
【0132】
通信デバイス100を除去する必要があるとき、たとえば、その局所電力供給手段の充電状態が不十分となるとき、除去のステップ237が実行される。
【0133】
設定に関しては、監視実用上、通信デバイス100の除去は、ロックアウト室で準備される。各除去に関して、ロックアウト担当者または操作指導者は、装置の位置および介入計画日に関する情報を与える。
【0134】
除去の要求が確認されるとき、監視システムは、カラーコードおよび/または特定のリストで、除去がプログラムされていることを示してよい。監視実用上、除去が計画されたロックアウトがまだ除去されていないことを警告するために、アラームをプログラムしてもよい。
【0135】
除去の要求が確認されるとき、オペレータは、現場に向かい、問題のロックアウトの通信デバイス100の除去のステップを実行できる。オペレータが、その通信デバイス100を除去しない限り、監視は維持される。
【0136】
ロックアウトの除去のあらゆる要求は、監視インターフェイスからの要求の対象である。除去の要求は、特定の色または図式的特定によって、監視インターフェイス上に表示される。装置の位置変化の検出が最初に予測されなかった場合、監視は作動状態のままであり、検討および発信用の構造は、有効かつ作動状態にあるままである。
【0137】
現場において、除去ステップ237の間に、繋止手段の繋止解除は、監視の作動停止を要求する。好ましくは、監視インターフェイスからの要求を受け、かつデバイスの作動手段がこのために作動されたときだけ、監視が作動停止される。これら2つの条件が共に満たされていないとき、監視は維持される。さらに、通信ロックアウトデバイスが計画日よりも前に除去されなかったとき、アラームが生成される。
【0138】
監視作動停止の要求が送信されるとき、2つの表示ユニット131,133は、状態を変化させることができ、たとえば、それらのユニットは、交互に赤色で点滅してよい。通信デバイス100の電子回路は、局所電力供給手段の最新の充電レベルを送信するために、配置終了メッセージおよび関連する診断メッセージを送信する。次に、通信デバイス100自体が停止する。
【0139】
監視アプリケーションは、情報の除去項目、すなわち、装置の機能参照値、通信ロックアウトデバイスの機能参照値、除去直前の位置、および除去の日時を記録する。監視の終了がスーパバイザによって確認されるとき、2つの表示手段131,133は、たとえば交互に緑色で1分間点滅することによって、状態を変化させることができる。
【0140】
監視アプリケーションのログは、ロックアウトイベントの履歴を保管するために保持されてよい。このログは、設定されたロックアウトのリストを含む。このリストは、以下の特性、すなわち、適用の日時、アラームの発生または非発生、バッテリのレベル、ロックアウトの状態(適用中、適用済み、実行された二重チェック、作動中検討されたアラーム、実行された除去要求、実行された除去)によってソートできる。
【0141】
当然ながら、本発明は、以上に説明し、かつ示した実施形態に限定されることはなく、それを基礎として、実施形態の他の方法および形態は、それによって本発明の範囲から逸脱することなく提供できる。
【0142】
本発明は、有利には、特に、原子力、火力、もしくはガス発電所、オイル、化学もしくは鉄および鋼鉄産業などの、監視される多数のバルブを備える数キロメートルのダクトを含む大型産業設備において、定位置に設定される装置の多数の要素のロックアウトの監視に適用することができる。
【0143】
本発明による通信ロックアウトデバイスの使用は、あらゆる事故の可能性を制限するのに装置の要素を安全位置に繋止するために、たとえば、とりわけクレーンの移動、ロボットまたはエンジンの組立てを繋止するために、製造産業(一括処理する)において有利になる可能性もある。
【符号の説明】
【0144】
1 装置
3 特定手段
100 通信ロックアウトデバイス
101 繋止手段
103 テストモジュール
105 特定手段
110 通信モジュール
111 送信ユニット
113 プロセッサ
115 記憶手段
117 クロック
120 局所電力供給モジュール
121 電力供給手段
123 充電監視ユニット
130 表示手段
131 第1表示ユニット
133 第2表示ユニット
140 作動手段
141 第1押しボタン
143 第2押しボタン
145 第3押しボタン
147 錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の要素の通信ロックアウトデバイスであって、
前記装置(1)を定位置で維持する機能を有した繋止手段(101)と、
前記繋止手段に関する少なくともデータを送信する機能を有した通信モジュール(110)と、
少なくとも前記通信モジュールに電力を供給するように構成された局所電力供給モジュール(120)と
を具備し、
前記局所電力供給モジュールは、該局所電力供給モジュールの充電レベルを測定するように構成された充電監視ユニット(123)を具備することを特徴とする通信ロックアウトデバイス。
【請求項2】
前記通信モジュールが、前記充電監視ユニット(123)に接続された送信ユニット(111)を具備し、
前記送信ユニットは、前記測定充電レベルに従って決定された少なくとも充電データ項目を遠隔監視システムに送信するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の通信ロックアウトデバイス。
【請求項3】
前記充電データ項目が、前記測定充電レベルに比例することを特徴とする請求項2に記載の通信ロックアウトデバイス。
【請求項4】
前記充電データ項目が、所定の測定周期(fM)で測定され、
前記送信ユニット(111)が、前記測定周期(fM)よりも長い所定の第1送信周期(fTx,M)で周期的に作動し、前記充電データ項目を前記遠隔監視システムに送信することを特徴とする請求項2または3に記載の通信ロックアウトデバイス。
【請求項5】
前記通信モジュール(110)が、前記充電監視ユニットに接続された少なくとも1つの第1表示ユニット(131)を具備し、
前記第1表示ユニットは、前記測定充電レベルに応じて少なくとも所定の表示を生成するように構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の通信ロックアウトデバイス。
【請求項6】
前記繋止手段に接続されたテストモジュール(103)をさらに具備し、
前記テストモジュールは、所定のテスト周期(fTest)で前記繋止手段の少なくとも1つのパラメータの変化を測定するように構成され、
前記送信ユニット(111)が、前記テスト周期(fTest)よりも長い所定の第2送信周期(fTx,Test)で周期的に作動し、前記測定変化に従って決定されたロックアウトデータ項目を前記遠隔監視システムに送信することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の通信ロックアウトデバイス。
【請求項7】
電気的に受動的な特定手段(105)をさらに具備することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の通信ロックアウトデバイス。
【請求項8】
装置の複数の要素を監視するシステムであって、
請求項1から7のいずれか一項に記載の通信ロックアウトデバイスである複数の通信ロックアウトデバイスと、
前記複数の通信ロックアウトデバイスの各々からのデータを受信する機能を有した監視サーバと
を具備し、
前記装置の前記複数の要素の各々は、前記複数の通信ロックアウトデバイスのうちの少なくとも1つによって定位置に繋止されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
局所電力供給モジュールにより電力を供給される通信ロックアウトデバイスによる装置の要素の繋止を監視する方法であって、
定位置に設定された装置の要素と通信を行う前記通信ロックアウトデバイスを関連付けるステップ(204)と、
前記通信ロックアウトデバイスを監視するステップ(213)と
を有し、
前記監視ステップ(213)は、前記局所電力供給モジュールの充電レベルを測定するステップ(223)を含むことを特徴とする監視方法。
【請求項10】
前記監視ステップ(213)が、前記測定充電レベルに従って決定される充電データの少なくとも1つの項目を監視システムに送信するステップ(225)、および/または、前記測定充電レベルに従って前記通信ロックアウトデバイスの表示ユニットを作動させるステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の監視方法。
【請求項11】
前記局所電力供給モジュールの前記充電レベルの前記測定ステップが、所定の測定周期(fM)で周期的に実行され、
前記送信ステップ(225)が、前記測定周期(fM)よりも長い所定の第1送信周期(fTx,M)で周期的に送信ユニットを作動させ、前記充電データ項目を前記遠隔監視システムに送信するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の監視方法。
【請求項12】
前記通信ロックアウトデバイスが、前記装置の前記要素を定位置で繋止する機能を有した繋止手段を具備し、
前記監視ステップ(213)が、前記繋止手段の少なくとも1つのパラメータの変化を所定のテスト周期(fTest)で周期的に測定するテストサブステップ(221)を有し、
前記送信ステップが、前記テスト周期(fTest)よりも長い所定の第2送信周期(fTx,Test)で周期的に送信ユニットを作動させ、前記測定変化に従って決定されたロックアウトデータ項目を前記遠隔監視システムに送信するステップを含むことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の監視方法。
【請求項13】
所定の数の送信サイクルよりも長い期間にわたって前記監視システムが前記通信デバイスからデータを受信しない(229)とき、または、受信した前記充電データ項目および/または前記ロックアウトデータ項目(227,231)に応じて、アラーム信号が送信されるステップ(233,235)を有することを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の監視方法。
【請求項14】
前記通信ロックアウトデバイスが、電気的に受動的な第1特定手段を具備し、
前記装置が、電気的に受動的な第2特定手段を具備し、
前記関連付けステップ(204)が、前記デバイスと前記装置の前記要素との仮想的な関連付けを行うサブステップ(203)を含み、
前記関連付けサブステップにおいて、前記第1および第2特定手段が、携帯デバイスによって読み取られ、前記携帯デバイスのメモリ内で関連付けられることを特徴とする請求項9から13のいずれか一項に記載の監視方法。
【請求項15】
前記デバイスの先行準備ステップ(201)をさらに有し、
前記先行準備ステップは、前記通信デバイスによって前記監視システムに送信された前記充電データの最終項目を確認するステップを含むことを特徴とする請求項9から14のいずれか一項に記載の監視方法。
【請求項16】
前記装置の前記要素との関連付け(204)ステップに続いて、前記通信デバイスを作動させるステップ(208)と、
前記通信デバイスと前記遠隔監視システムとの間の前記通信を確認するステップ(211)と
をさらに有することを特徴とする請求項9から15のいずれか一項に記載の監視方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2011−188474(P2011−188474A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−4844(P2011−4844)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(504462489)エレクトリシテ・ドゥ・フランス (25)
【Fターム(参考)】