説明

装置動作スイッチ

【課題】操作者の操作を単調とすることなく、また操作者以外の者による動作をできなくすることによって操作者の安全性を高めることができる装置動作スイッチを提供する。
【解決手段】本装置動作スイッチは、文字及び/又は単語を無作為に組み合わせた認証用単語を生成する単語生成手段11と、機械装置3の操作者2に単語生成手段から得た前記認証用単語を提示する提示手段12と、操作者が発音する音声を受け付けて、該音声を音声信号に変換する音声入力手段13と、前記音声入力手段から得た前記音声信号を解析して求めた入力単語と、前記単語生成手段から得た前記認証用単語と、が同一単語かを判定する単語判定手段14と、前記単語判定手段から得た前記判定が同一単語である場合は、前記機械装置を動作させる動作手段15と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械、並びに食品及び薬品等の製造装置等の機械装置の動作を操作者の操作によって行うことができる装置動作スイッチに関する。更に詳しくは、操作者の操作を単調とすることなく、また操作者以外の者による動作をできなくすることによって操作者の安全性を高めることができる装置動作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機等の工作機械、並びに食品及び薬品等の製造装置等の機械装置を動作させる手段として、ボタンやレバー等を用いた動作スイッチが用いられている。しかし、機械装置の操作者が動作スイッチを押している間はその手が塞がるため、他の手作業を併せて行うことができない。また、機械装置の状態等を逐次目視する必要がある場合は、動作させるときに動作スイッチを見る必要が生じるため、見逃しが生じる恐れがある。
更に、一定の作業を繰り返して行うような単調な作業であると、眠気が生じやすくなったり、注意力が散漫し易くなったりするため、これらを軽減する手段が望まれている。
【0003】
これらに対して、音声認識装置を用いた音声スイッチを用いて動作させることが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。このような音声スイッチを用いた動作スイッチは、機械装置の各種動作を行うための単語が予めいくつか定められており、操作者がその単語を発音することにより決められた動作を動作させることができる。
しかし、通常の音声スイッチは多くの人の任意の音声を認識することができるため、操作者以外の音声によって機械が動作することによって作業ミスが生じる懸念がある。
更に、従来の動作スイッチは、安全な場所でのみ動作スイッチを操作できるようにすることによって操作者の位置をスイッチがある場所に滞在させることにより安全性を確保していたが、音声スイッチについては十分に検討されていなかった。また、複数の動作をさせる必要のない場合には適さなかった。
また、音声入力によって操作者の特定を行うことは従来から検討されているが(例えば、特許文献2を参照。)、機器の電源投入や起動、ログイン等の認証手段として用いられており、認証後に利用することについては検討されていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−30696号公報
【特許文献2】特開2001−318692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、操作者の操作を単調とすることなく、また操作者以外の者による動作をできなくすることによって操作者の安全性を高めることができる装置動作スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.機械装置に接続され、且つ該機械装置を動作させる動作スイッチであって、文字及び/又は単語を無作為に組み合わせた認証用単語を生成する単語生成手段と、前記機械装置の操作者に前記単語生成手段から得た前記認証用単語を提示する提示手段と、前記操作者が発音する音声を受け付けて、該音声を音声信号に変換する音声入力手段と、前記音声入力手段から得た前記音声信号を解析して求めた入力単語と前記単語生成手段から得た前記認証用単語とが同一単語かを判定する単語判定手段と、前記単語判定手段から得た前記判定が同一単語である場合は、前記機械装置を動作させる動作手段と、を備えることを特徴とする装置動作スイッチ。
2.前記操作者の声の特徴を記憶する特徴記憶手段と、前記音声信号の声の特徴を求め、前記特徴記憶手段に記憶された特徴と前記音声信号の声の特徴とを比較して同一であるかを判定する特徴判定手段と、を更に備え、前記動作手段は、前記単語判定手段から得た前記判定が同一単語であり、且つ前記特徴判定手段から得た前記判定が同一判定であるときに前記機械装置を動作させる上記1.記載の装置動作スイッチ。
3.前記提示手段は、前記認証用単語を表示するモニタを具備する上記1.又は上記2.記載の装置動作スイッチ。
4.前記提示手段は、前記機械装置の内部及び/又はその周辺を撮影して映像信号を得るカメラを更に備え、且つ該映像信号を前記モニタに更に表示する上記3.記載の装置動作スイッチ。
5.前記提示手段は、前記認証用単語を発音するスピーカを具備する上記2.乃至4のいずれか1項に記載の装置動作スイッチ。
6.前記提示手段から前記認証用単語を提示した時を得て、該提示した時から一定時間内であるかどうかを判定し、該提示した時から一定時間を越えた場合に前記認証用単語の生成を前記単語生成手段に指示する判定時間制限手段を更に具備する上記1.乃至5のいずれか1項に記載の装置動作スイッチ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の装置動作スイッチによれば、機械装置の動作スイッチを操作するために音声認識を用いるため、キーボード等の小さなボタンを操作するのに適さない環境でも入力することが容易である。また、単語生成手段を用いて文字及び/又は単語を無作為に組み合わせて生成した認証用単語による認証を行うために、1つの動作を行わせるにも同じ単語を用いることができず、機械装置を動作させる操作の単調さをなくすことができ、注意力を維持して操作者の作業の確実性を向上することができる。また、認証用単語の入力として音声入力手段及び単語判定手段を用いた音声入力を用いたため、複数のキースイッチを手入力する場合と比較して認証用単語の入力を簡単に行うことができ、認証用単語の入力による作業の支障が生じない。
【0008】
特徴記憶手段及び特徴判定手段を更に備える場合は、動作させようとする指示が操作者であることを確認することができる。この音声による操作者の確認を行うことによって、操作者以外の人による不用意な動作を抑制することができる。
提示手段としてモニタを用いる場合は、操作者が認証用単語を目視で確認することができる共に、繰り返し確認するのに適する。
また、モニタに静止画像等を同時に表示させる場合は、機械装置及びその周辺を確認することができるため、作業の様子を確認することができ、また安全性を向上することができる。
提示手段としてスピーカを用いる場合は、音声により認証用単語を知ることができ、画面など1方向を凝視する必要がなく、操作者が周囲の安全確認等の自由度の高い行動を行うことができる。
制限時間判定手段を更に備える場合は、提示後、音声が入力されるまでの時間が長くなることによって、操作者2が提示手段から離れて機械装置を触れたりしながら認証用単語を発音して作業ミスを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の装置動作スイッチ1は、図1に例示するように、機械装置3に接続され、且つ機械装置3を動作させる動作スイッチであって、認証用単語を生成する単語生成手段11と、機械装置3の操作者に単語生成手段11から得た証用単語を提示する提示手段12と、操作者が認証用単語を発音する音声を受け付けて、音声を音声信号に変換する音声入力手段13と、音声入力手段から得た音声信号を解析して求めた入力単語と、単語生成手段から得た認証用単語と、が同一単語かを判定する単語判定手段14と、単語判定手段14から得た判定が同一単語である場合は、機械装置3を動作させる動作手段15と、を備えることを特徴とする。また、特徴記憶手段17、特徴判定手段18及び判定時間制限手段19を更に備えることができる。
【0010】
本装置動作スイッチで制御される上記「機械装置3」は、1回のスイッチ操作で1以上の工程を実行する動作を行う機械装置であれば特に問わず、任意に選択することができる。このような機械装置3の例として、例えばプレス機、旋盤等の工作機械、食品の調理、加工及び包装等を行う食品製造装置、薬品の処理、加工及び包装等を行う薬品製造装置等を挙げることができる。
上記「操作者2」は、機械装置3を本装置動作スイッチによって動作させて上記1以上の工程を実行する作業者である。
【0011】
上記「単語生成手段11」は、操作者が発音するための認証用単語を生成するための手段である。生成する認証用単語は、文字及び/又は単語を無作為に組み合わせることによって得られる。また、認証用単語は操作者が発音可能な単語が好ましい。更に、上記「組み合わせる」は、文字及び/又は単語を無作為に1つ選択することも含まれる。また、認証用単語は、例えば「あうえ」等と意味を有しなくてもよいし、「きいろ」等と任意の周知の意味を有していてもよい。
更に、認証用単語の具体的な作成する方法も任意に選択することができ、例えば不規則に選ばれた文字を1文字、又は2文字以上を組み合わせて、認証用単語を生成することができる。また、周知の単語を1種類又は2種類以上を組み合わせて認証用単語を生成することができる。更に、不規則に選ばれた文字及び周知の単語を組み合わせて認証用単語を生成することができる。
【0012】
上記「提示手段12」は、単語生成手段によって生成した認証用単語を操作者に対して提示することができればよく、その手段を問わない。この例として、文字及び音声等による提示等を挙げることができる。
また、「文字による提示」は、液晶モニタ及びブラウン管モニタ等の文字表示が可能なモニタを用いて、認証用単語を画面表示して提示することができる。更に、モニタは、認証用単語と共に、カメラによって撮影される静止画像及び/又は動画像を表示することができる。このカメラは、任意の風景を撮影するように設けることができるが、例えば、機械装置の内部及び/又はその周辺を撮影できるように設けることができる。操作者が機械装置の状態を把握することが容易にできるためである。
更に、「音声による提示」は、スピーカ、イヤホン及びヘッドホン等を用い、認証用単語を音声合成によって発音して提示することができる。また、音声出力の場合、指向性を備えたスピーカを具備することができる。指向性を備えたスピーカによって認証用単語を聞くことができる範囲を限定することができるため、操作者が機械装置に対して安全な位置でのみ認証用単語を聞くようにすることができる。
【0013】
尚、提示手段12は、機械装置に設けられたセンサ及び/又は別途に設けられたセンサの検出結果により機械装置の動作に支障が出る恐れがあると判断できる場合は、認証用単語の提示を行わないようにすることができる。更に、提示が行われない理由を警告などとして提示手段で提示することができる。このような検出に用いるセンサとして接触センサ、光センサ及び衝撃センサ等を例示することができる。
また、提示手段12は、機械装置に対して特定の位置及び向きに配設することによって、操作者の安全を確保することができる。例えば、提示手段12が機械装置から一定以上離れた位置に配設され、且つ提示手段12によって提示される認証用単語が機械装置から離れた位置に位置する操作者が認識できるようにすることによって、操作者が認証用単語を認識するときに機械装置と接触できないようにすることができ、機械装置と接触することによる危険を防止することができる。
【0014】
上記「音声入力手段13」は、マイク等を用いて操作者が発止した音声を電気信号に変換する手段である。また、前記マイク等は、固定して設置されていてもよいし、ネクタイマイク等のように操作者に直接設けられていてもよい。
上記「単語判定手段14」は、音声入力手段で入力された音声を解析して音声が表す単語を求め、得られた解析単語と、認証用単語と、が一致するかどうかの判定を行う手段である。
上記「特徴記憶手段17」は、本装置を用いる操作者の声の特徴を記憶するための手段である。この「声の特徴」はいわゆる声紋等、操作者と他者とを区別することができればよく、任意の特徴を選択して比較に用いることができる。また、特徴記憶手段17に記憶する声の特徴は、予め別の手段により得た声の特徴を登録しておいてもよいし、本装置動作スイッチに特徴登録手段16を更に設けて、該特徴登録手段16によって登録することができる。このような特徴登録手段16は、任意に選択することができるが、例えば、音声入力手段13から得た操作者の声の電気信号から声の特徴を求めて、次いで、得た声の特徴を特徴記憶手段17に出力して、登録させることを挙げることができる。
上記「特徴判定手段18」は、音声入力手段で入力された音声の特徴が、特徴記憶手段に記憶されている操作者の特徴と一致するかどうかを判定する手段である。また、判定結果を動作手段に出力する。
【0015】
上記「動作手段15」は、単語判定手段14から出力された判定結果が一致する結果である場合、接続される機械装置3の動作を行うための手段である。この例として判定結果に応じて接点が開閉する電磁リレーや半導体リレー等を用いて機械装置3の動作を電気的に制御することを挙げることができる。また、動作命令を送信可能なネットワーク等を介して機械装置3と接続し、判定結果に応じて該ネットワーク等を介して機械装置3に動作命令を送信することを挙げることができる。
更に本装置が単語判定手段14及び特徴判定手段18を備える場合、単語判定手段14及び特徴判定手段18の判定結果が共に一致する場合のみ機械装置を動作させることができる。
【0016】
上記「判定時間制限手段19」は、提示手段12から認証用単語を提示した時を得て、次いで、該提示した時から一定時間内であるかどうかを判定し、その後、該提示した時から一定時間を越えた場合に認証用単語の生成を単語生成手段11に指示する手段である。また、「提示した時」は、提示手段12から求めるに限られず、単語生成手段11、音声入力手段13、単語判定手段14及び動作手段15から求めてもよい。
更に、前記一定時間を越えた場合に、動作手段15に機械装置を動作させるかの判断を中止するように指示することができる。
【0017】
更に、特定の単語を認識させて、該特定の単語に応じた動作を機械装置に指示する固定単語認識手段を設けることができる。このような固定単語認識手段は、音声入力手段から出力される音声信号に予め登録した固定単語が含まれているかを認識し、該当する固定単語が認識された場合は、それに合わせた動作を機械装置に指示する。この例として、「止まれ」等の装置の停止指示を例示することができる。
【実施例】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の装置動作スイッチを具体的に説明する。
1.実施例1
(1)装置動作スイッチの構成
本実施例1の装置動作スイッチ1は、図1に示すように、プレス装置等の工作機械装置3の動作スイッチであり、単語生成手段11、提示手段12、音声入力手段13、単語判定手段14及び動作手段15を備える。また、単語生成手段11及び単語判定手段14は、コンピュータ上で各手段11、14として機能するプログラムからなる。
【0019】
単語生成手段11は、3文字以上の文字を無作為に組み合わせた単語からなり、且つ人が発音可能な認証用単語を生成する手段である。また、単語生成手段11は、生成した認証用単語を提示手段12及び単語判定手段14に出力する。
提示手段12は、モニタ121及びスピーカ122を備える文字表示及び発音可能な装置である。また、単語生成手段11で生成された認証用単語をモニタ121に文字表示し、且つスピーカ122によって発音する。
【0020】
音声入力手段13は、機械装置3の近辺に据置きされたマイク131を備えた音声入力装置であり、操作者2が発音する単語等を音声信号に変換して単語判定手段14に出力する。
単語判定手段14は、音声入力手段13から得た音声信号を解析して操作者2が発音する発音単語を求め、次いで、該発音単語と、単語生成手段11で生成された認証用単語と、が一致するかどうかを判定し、その後、判定結果を動作手段15に出力する。
動作手段15は電磁リレー151を備えたスイッチング装置であり、単語判定手段14から得た判定結果が一致である場合にリレー151を用いて機械装置3の動作を開始させる。また、機械装置3を動作させたときに単語生成手段11に対して新たな認証用単語の生成を指示する。
【0021】
(2)装置動作スイッチの動作
上記構成の装置動作スイッチ1によって機械装置3を動作させる手順を図2に基づいて説明する。
[1]認証用単語の生成
単語生成手段11は、認証用単語を生成する(ステップ101)。次いで、単語生成手段11は、生成された認証用単語を提示手段12及び単語判定手段14に出力する。
[2]認証用単語を操作者に提示
提示手段12は、単語生成手段11から得た認証用単語をモニタ121に表示、且つスピーカ122で発音することによって操作者に提示する(ステップ102)。
【0022】
[3]操作者の発音の入力
音声入力手段13は、マイク131によって音声入力を常時行って音声信号に変換して単語判定手段14に出力する。このため、操作者2が提示手段12によって提示された認証用単語をマイク131に向けて発声したときも、その音声の音声信号を単語判定手段14に出力する(ステップ103)。
[4]音声信号の解析及び比較
単語判定手段14は、音声入力手段13から得た音声信号を解析して操作者2が発声した発音単語を求める。次いで、単語判定手段14は、単語生成手段11から得た認証用単語と、求めた発音単語とを比較する(ステップ104)。また、得られた単語比較結果を動作手段15に出力する。
【0023】
[5]機械装置3の動作の決定
単語比較結果を得た動作手段15は、発音単語と認証用単語とが不一致である場合は、単語生成手段11に新たな認証用単語の生成を指示する(ステップ105)。また、発音単語と認証用単語とが一致した場合は、リレー151を動作させて機械装置3の動作を開始させる(ステップ106)。
尚、機械装置3の動作を開始させた後は、単語生成手段11に新たな認証用単語の生成を指示してもよいし、装置動作スイッチ1の動作を終了してもよい。
【0024】
(3)装置動作スイッチの作用
本装置動作スイッチ1は、機械装置3の動作スイッチを操作するために音声認識を用いるため、キーボード等の小さなボタンを操作するのに適さない環境でも入力することできる。特に、従来の「はじめ」等の予め定められた単語を用いず、単語生成手段11で文字及び/又は単語を無作為に組み合わせた認証用単語を操作者2が発音する必要があるため、機械装置を動作させる操作が単調さをなくすことができ、注意力を維持して操作者の作業の確実性を向上することができる。
【0025】
2.実施例2
(1)装置動作スイッチの構成
本実施例2の装置動作スイッチ1aは、図3に示すように、単語生成手段11a、提示手段12a、音声入力手段13a、単語判定手段14a、動作手段15a、特徴登録手段16、特徴記憶手段17、特徴判定手段18及び判定時間制限手段19を備える。また、単語生成手段11a、単語判定手段14a、特徴登録手段16、特徴記憶手段17、特徴判定手段18及び判定時間制限手段19は、コンピュータ上で各手段11a、14a、16、17、18、19として機能するプログラムからなる。
【0026】
単語生成手段11aは、予め登録されている多数の単語から無作為に選択された単語を認証用単語として生成する手段である。また、単語生成手段11aは、生成した認証用単語を提示手段12a及び単語判定手段14aに出力する。
提示手段12aは、モニタ121、スピーカ122及びビデオカメラ123を備える文字表示及び発音可能な装置である。また、単語生成手段11aで生成された認証用単語、及びビデオカメラ123によって撮影される機械装置3の動画像をモニタ121に文字表示する。更に、単語生成手段11aで生成された認証用単語をスピーカ122によって発音する。また、提示手段12aは、提示を行ったことを判定時間制限手段19に通知する。
【0027】
音声入力手段13aは、実施例1の音声入力手段13と同様に、機械装置3の近辺に据え置きされたマイク131を備えた音声入力装置であり、操作者2が発音する単語等を音声信号に変換して単語判定手段14a、特徴登録手段16及び特徴判定手段18に出力する。
単語判定手段14aは、実施例1の単語判定手段14と同様に、音声入力手段13aから得た音声信号を解析して操作者2が発音する発音単語を求め、次いで、該発音単語と、単語生成手段11aで生成された認証用単語と、が一致するかどうかを判定し、その後、単語判定結果を動作手段15aに出力する。
【0028】
動作手段15aは電磁リレー151を備えたスイッチング装置であり、単語判定手段14から得た単語判定結果が一致し、且つ特徴判定手段18から得た特徴判定結果が一致した場合にリレー151を用いて機械装置3の動作を開始させる。また、機械装置3を動作させたとき、及び判定時間制限手段19から判定時間の制限を超えたことの通知が届いたときに単語生成手段11に対して新たな認証用単語の生成を指示する。
【0029】
特徴登録手段16は、装置動作スイッチ1aが操作されて操作者2の声の特徴の登録が指示された場合に用いられる手段である。この声の特徴の登録は、音声入力手段13aから得た音声信号を解析して操作者2の声の特徴を表すデータを求め、求めたデータを特徴記憶手段17に登録する。
特徴記憶手段17は、操作者2の声の特徴の記憶する手段であり、声紋等からなるデータを蓄積し、その蓄積データを特徴判定手段18に出力する。また、特徴登録手段16から得た新たな操作者2の声の特徴のデータを蓄積する。尚、蓄積される操作者2の声の特徴の蓄積データは一人分でもよいし複数人分でもよい。
特徴判定手段18は、音声入力手段13aから得た音声信号を解析して操作者2の声の特徴を表す発音データを求め、特徴記憶手段17から得た蓄積データと、求めた発音データと、が一致するかどうかを判定し、その後、特徴判定結果を動作手段15aに出力する。
【0030】
判定時間制限手段19は、提示手段12aから提示を行ったことを通知したときから判定時間の計測を開始し、所定の判定時間(例えば5秒、10秒及び20秒等と任意に選択することができる。)を越えたときに判定時間の制限を超えたことを動作手段15aに出力する。
【0031】
(2)装置動作スイッチの動作
上記構成の装置動作スイッチ1aによって機械装置3を動作させる手順を図4に基づいて説明する。
[1]認証用単語の生成
単語生成手段11aは、認証用単語を生成する(ステップ201)。次いで、単語生成手段11aは、生成された認証用単語を提示手段12a及び単語判定手段14aに出力する。
[2]認証用単語を操作者に提示
提示手段12aは、単語生成手段11aから得た認証用単語をモニタ121に表示、且つスピーカ122で発音することによって操作者に提示する。また、ビデオカメラ123で撮影した動画像もモニタ121に表示にする。更に、提示を開始したことを判定時間制限手段19に通知し、判定時間の計測を開始させる(ステップ202)。
【0032】
[3]操作者の発音の入力
音声入力手段13aは、マイク131によって音声入力を常時行って音声信号に変換して単語判定手段14a及び特徴判定手段18に出力する。このため、操作者2が提示手段12aによって提示された認証用単語をマイク131に向けて発声したときも、その音声の音声信号を単語判定手段14a及び特徴判定手段18に出力する(ステップ203)。
[4]音声信号の解析及び比較
単語判定手段14aは、実施例1の単語判定手段14と同様に、音声入力手段13aから得た音声信号を解析して操作者2が発声した発音単語を求める。次いで、単語判定手段14aは、単語生成手段11aから得た認証用単語と、求めた発音単語とを比較する(ステップ204)。また、得られた単語比較結果を動作手段15aに出力する。
更に、特徴判定手段18は、音声入力手段13aから得た音声信号を解析して操作者2の声の特徴を表す発音データを求める。次いで、特徴判定手段18は、特徴記憶手段17から得た蓄積データと、求めた発音データを比較する(ステップ204)。また、得られた特徴比較結果を動作手段15aに出力する。
【0033】
[5]機械装置3の動作の決定
動作手段15aは、判定時間制限手段19から判定時間の制限を超えたことの通知を受けた場合は、その判定時間内に受け付けられた操作者2の発音の単語及び特徴判定結果を無視し、単語生成手段11aに新たな認証用単語の生成を指示する(ステップ205)。
また、動作手段15aは、単語比較結果を得て発音単語と認証用単語とが不一致である場合は、単語生成手段11に新たな認証用単語の生成を指示する(ステップ206)。
更に、動作手段15aは、特徴比較結果を得て蓄積データと発音データとが不一致である場合は、単語生成手段11に新たな認証用単語の生成を指示する(ステップ207)。
また、動作手段15aは、単語比較結果及び特徴比較結果が共に一致した場合は、リレー151を動作させて機械装置3の動作を開始させる(ステップ208)。
尚、機械装置3の動作を開始させた後は、単語生成手段11aに新たな認証用単語の生成を指示してもよいし、装置動作スイッチ1の動作を終了してもよい。
【0034】
(3)装置動作スイッチの作用
本装置動作スイッチ1aは、実施例1と同様に、音声認識を用いるため、キーボード等の小さなボタンを操作するのに適さない環境でも入力することできる、機械装置を動作させる操作が単調さをなくすことができ、注意力を維持して操作者の作業の確実性を向上することができる。
更に、特徴判定手段18によって操作者2の声を解析して、特徴記憶手段17に蓄積された蓄積データと一致するか判定するため、特徴記憶手段17に蓄積された蓄積データの人以外は操作できず、正しい操作者2以外の人による操作を受け付けて不用意な機械装置3の動作を抑制することができる。
また、判定時間制限手段19によって認証用単語の発音の入力を一定時間に制限することにより、操作者2が提示手段12aから離れて機械装置3を触れたりしながら認証用単語を発音して作業ミスを低減することができる。
【0035】
尚、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した態様とすることができる。例えば、各実施例の装置動作スイッチ1、1aは、認証用単語をモニタ121及びスピーカ122を用いて操作者2に提示しているがこれに限られず、モニタ121及びスピーカ122の一方のみを用いて操作者2に提示してもよい。
また、各実施例の単語生成手段11、11aは、実施例に記載した認証用単語の制限方法に限られず、任意に選択することができる。更に、各実施例の動作手段15、15aは、正しい認証用単語の入力がなければ単語生成手段11、11aに認証用単語を生成するように指示しているが、これに限られず正しい単語が入力されるまで待ち、正しい単語が入力された後に新たな認証用単語を生成するよう単語生成手段11、11aに指示してもよい。また、実施例2における動作手段15aのステップ205〜207においては、この順番で判断するに限られず任意の順番で判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1に係る装置動作スイッチの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】実施例1に係る装置動作スイッチの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施例2に係る装置動作スイッチの構成を説明するためのブロック図である。
【図4】実施例2に係る装置動作スイッチの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1、1a;装置動作スイッチ、11、11a;単語生成手段、12、12a;提示手段、13、13a;音声入力手段、14、14a;単語判定手段、15、15a;動作手段、16;特徴登録手段、17;特徴記憶手段、18;特徴判定手段、19;判定時間制限手段、2;操作者、3;機械装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械装置に接続され、且つ該機械装置を動作させる動作スイッチであって、
文字及び/又は単語を無作為に組み合わせた認証用単語を生成する単語生成手段と、
前記機械装置の操作者に前記単語生成手段から得た前記認証用単語を提示する提示手段と、
前記操作者が発音する音声を受け付けて、該音声を音声信号に変換する音声入力手段と、
前記音声入力手段から得た前記音声信号を解析して求めた入力単語と前記単語生成手段から得た前記認証用単語とが同一単語かを判定する単語判定手段と、
前記単語判定手段から得た前記判定が同一単語である場合は、前記機械装置を動作させる動作手段と、を備えることを特徴とする装置動作スイッチ。
【請求項2】
前記操作者の声の特徴を記憶する特徴記憶手段と、
前記音声信号の声の特徴を求め、前記特徴記憶手段に記憶された特徴と前記音声信号の声の特徴とを比較して同一であるかを判定する特徴判定手段と、を更に備え、
前記動作手段は、前記単語判定手段から得た前記判定が同一単語であり、且つ前記特徴判定手段から得た前記判定が同一判定であるときに前記機械装置を動作させる請求項1記載の装置動作スイッチ。
【請求項3】
前記提示手段は、前記認証用単語を表示するモニタを具備する請求項1又は2記載の装置動作スイッチ。
【請求項4】
前記提示手段は、前記機械装置の内部及び/又はその周辺を撮影して映像信号を得るカメラを更に備え、且つ該映像信号を前記モニタに更に表示する請求項3記載の装置動作スイッチ。
【請求項5】
前記提示手段は、前記認証用単語を発音するスピーカを具備する請求項2乃至4のいずれか1項に記載の装置動作スイッチ。
【請求項6】
前記提示手段から前記認証用単語を提示した時を得て、該提示した時から一定時間内であるかどうかを判定し、該提示した時から一定時間を越えた場合に前記認証用単語の生成を前記単語生成手段に指示する判定時間制限手段を更に具備する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置動作スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−145402(P2009−145402A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319675(P2007−319675)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】