説明

装飾シート

【課題】色に制限がなく、簡単な構造で表現力が優れると共に、立体感を表現できる装飾シートを提供すること。
【解決手段】本発明は、透明シート10と、該透明シート10の裏面に形成された第1光輝部1と、該透明シート10の裏面に形成され、第1光輝部1に隣接する第2光輝部2と、を備え、第1光輝部1が少なくとも白色層を有し、第2光輝部2が白色層以外で少なくとも光輝性顔料を含む色層を有する装飾シート100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾シートに関し、更に詳しくは、装飾性豊かな立体感を表現できる装飾シートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の装飾、自動車の内装、電化製品の装飾等の用途に装飾シートが用いられる。かかる装飾シートとしては、一般に透明フィルムに着色剤が付与されたものが用いられる。
【0003】
近年、高い意匠性が求められるようになり、様々な装飾が備わった装飾シートが開発されている。
例えば、基体シート表面に、少なくとも透明な凸部層が形成され、該凸部層上に装飾パターン層が形成され、その上に絵柄隠蔽層が形成された装飾シートであって、見る方向によって装飾が変化するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、立体感を出すために塗工面全面に光輝性を有する凹凸模様を形成させてなる化粧材が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−106490号公報
【特許文献2】特開平8−244174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の装飾シートは、必ずしも立体感が得られず、上記特許文献2記載の化粧材は、装飾性の表現力が乏しい。
また、立体感を出すための上記以外の別の手法として、例えば、色の層(以下「色層」という。)における金属調や色の濃淡を利用する方法が知られているが、作業が煩雑であり、用いられる色にも制限がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で装飾性の表現力に優れると共に、色に制限がなく立体感を表現できる装飾シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、白色層が独自の明度を有するにも関わらず、光を反射しにくい性質があることを見出し、隣接する第1光輝部及び第2光輝部のうちの一方に白色層を含めることにより、意外にも、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)透明シートと、該透明シートの裏面に形成された第1光輝部と、該透明シートの裏面に形成され、第1光輝部に隣接する第2光輝部と、を備え、第1光輝部が少なくとも白色層を有し、第2光輝部が白色層以外で少なくとも光輝性顔料を含む色層を有する装飾シートに存する。
【0009】
本発明は、(2)第2光輝部が複数の色層を有し、第2光輝部の透明シート側の第1色層が光輝性顔料以外の顔料を含み、第1色層の裏面に積層された第2色層が光輝性顔料を含む上記(1)記載の装飾シートに存する。
【0010】
本発明は、(3)第1光輝部が複数の色層を有し、第1光輝部の透明シート側の第1色層が白色層であり、第1色層の裏面に積層された第2色層が光輝性顔料を含む上記(1)又は(2)に記載の装飾シートに存する。
【0011】
本発明は、(4)第1光輝部が複数の色層を有し、第1光輝部の透明シート側の第1色層が光輝性顔料以外の顔料を含み、第1色層の裏面に積層された第2色層が白色層であり、第2色層の裏面に積層された第3色層が光輝性顔料を含む上記(1)又は(2)に記載の装飾シートに存する。
【0012】
本発明は、(5)第1光輝部及び/又は第2光輝部が、白色層以外で少なくとも光輝性顔料を含む色層を複数有する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の装飾シートに存する。
【0013】
本発明は、(6)白色層がドットの集合体であり、単位面積辺りのドットの占める割合が、6%以上である上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の装飾シートに存する。
【0014】
本発明は、(7)透明シートに対して、45度の伏角から見ると、透明シートの第2光輝部側よりも透明シートの第1光輝部側のほうが明度が高く見え、透明シートに対して、135度の伏角から見ると、透明シートの第1光輝部側よりも透明シートの第2光輝部側のほうが明度が高く見える上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の装飾シートに存する。
【0015】
本発明は、(8)ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの表側から測定した15度、45度及び110度の角度における明度が、透明シートの第1光輝部側と第2光輝部側とでは、異なっている上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の装飾シートに存する。
【0016】
本発明は、(9)ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第1光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度が、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第2光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度よりも小さく、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第1光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度が、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第2光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度よりも大きい上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の装飾シートに存する。
【0017】
本発明は、(10)ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第1光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度が、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第2光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度よりも、2〜40小さく、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第1光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度が、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第2光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度よりも、2〜60大きい上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の装飾シートに存する。
【0018】
本発明は、(11)ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第1光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度が、69〜107であり、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第2光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度が、101〜105であり、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第1光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度が、36〜72であり、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第2光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度が、36〜38である上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の装飾シートに存する。
【0019】
本発明は、(12)第1光輝部及び第2光輝部には、遮光するための遮光層が積層されている上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の装飾シートに存する。
【0020】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)〜(12)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の装飾シートは、隣合う光輝部のいずれかに白色層が含まれていると、手前側に白色層が含まれている場合は、白色層自体の色の明度により、明るさが助長され、奥側に白色層が含まれている場合は、白色層が光を反射しないので、暗さが助長される。すなわち、第1光輝部が白色層を含み、第2光輝部が白色層を含まないものとすることにより、見る角度による色の明暗変化や反転効果が得られることになり、立体感を表現することが可能となる。なお、白色層はドットの集合体であり、単位面積辺りのドットの占める割合は、6%以上であることが好ましい。
例えば、45度の伏角から見ると、透明シートの第1光輝部側よりも透明シートの第2光輝部側のほうが明度が高く見え、透明シートに対して、135度の伏角から見ると、透明シートの第2光輝部側よりも透明シートの第1光輝部側のほうが明度が高く見えることになる。
したがって、上記装飾シートによれば、簡単な構造で装飾性の表現力に優れると共に、色に制限がなく立体感を表現できる。
【0022】
本発明の装飾シートは、第1光輝部又は第2光輝部が、白色層以外で少なくとも光輝性顔料を含む色層を複数有することが好ましく、第1光輝部及び第2光輝部が、それぞれ白色層以外で少なくとも光輝性顔料を含む色層を複数有することがより好ましい。特に、各色層に用いられる光輝性顔料の種類を異なるものとすることにより、より深みのある意匠及び立体感を表現することが可能となる。
【0023】
本発明の装飾シートは、上記構成を備えていれば、顔料(光輝性顔料以外)の色層を新たに設けたり、光輝性顔料を含む色層に加えたりすることで、様々な模様を表現できる。すなわち、色に制限がなく、表現力にも優れる。
【0024】
例えば、第1光輝部の透明シート側の第1色層が、CMYKからなる4原色を用いたフルカラーの顔料(光輝性顔料以外)を含み、第1色層の裏面に積層された第2色層が白色層である場合、白色層(第2色層)が顔料(第1色層)の明度を助長させるので、明暗や反転効果をより明確に表現できる。なお、第2色層の裏面に光輝性顔料を含む第3色層を更に積層させるとより効果的である。
【0025】
本発明の装飾シートは、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの表側から測定した15度、45度及び110度の角度における透明シートの第1光輝部側と第2光輝部側との明度が上述した関係又は値であると、明暗や反転効果を得られることが担保される。ここで、明度は、JIS Z8729に準じて測定され、Lab表色系におけるL値に相当する。
【0026】
本発明の装飾シートは、第1光輝部及び第2光輝部には、遮光するための遮光層が積層されていると、第1光輝部及び第2光輝部の剥離を抑制することができ、意匠性においても深みのある表現をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明に係る装飾シートの第1実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、ASTM規格のE2194−03に基づいて、本実施形態に係る装飾シートの明度を測定した状態を示す概略図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る装飾シートの白色層の平面図である。
【図4】図4は、本発明に係る装飾シートの第2実施形態を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る装飾シートの第3実施形態を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、本発明に係る装飾シートの第4実施形態を模式的に示す断面図である。
【図7】図8は、本発明に係る装飾シートの第5実施形態を模式的に示す断面図である。
【図8】図8は、本発明に係る装飾シートの第6実施形態を模式的に示す断面図である。
【図9】図9は、本発明に係る装飾シートの第7実施形態を模式的に示す断面図である。
【図10】図10は、実施例において、第1光輝部におけるチタン白インキ(白色層)及びUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と、15度における明度(L値)との関係を示すグラフである。
【図11】図11は、実施例において、第1光輝部におけるチタン白インキ(白色層)及びUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と、110度における明度(L値)との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例において、第2光輝部におけるUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と15度における明度(L値)との関係を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例において、第2光輝部におけるUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と110度における明度(L値)との関係を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の原理を用いた装飾シートの一例の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0029】
[第1実施形態]
まず、本発明の装飾シートの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る装飾シートの第1実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る装飾シート100は、透明シート10と、該透明シート10の裏面に形成された第1光輝部1と、該透明シート10の裏面に形成され、第1光輝部1に隣接する第2光輝部2と、第1光輝部1及び第2光輝部2の裏面に形成された遮光層13と、を備える。なお、図1に示す装飾シート100は、第1光輝部1及び第2光輝部2の裏面が段差となっているが、これは断面構造を理解するため便宜的に示したものであり、第1光輝部1及び第2光輝部2は、極めて肉薄のものであるため、実際は、略面一となっている。
【0030】
また、第1光輝部1は、複数の色層を有し、第1光輝部1の透明シート10側の第1色層11が白色層であり、第1色層11の裏面に積層された第2色層12が光輝性顔料を含む層となっている。なお、これらの詳細については後述する。
【0031】
上記装飾シート100は、フィルム状である場合、対象物に貼付する等の取り扱い性の観点から、厚みが100〜300μmであることが好ましく、板状である場合、強度の観点から、厚みが0.2〜0.5mmであることが好ましい。
【0032】
上記装飾シート100は、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの表側から測定した15度、45度及び110度の角度における明度が、透明シート10の第1光輝部1側と第2光輝部2側とでは、異なっている。
【0033】
図2は、ASTM規格のE2194−03に基づいて、本実施形態に係る装飾シートの明度を測定した状態を示す概略図である。
図2に示すように、ASTM規格のE2194−03においては、45度の角度から、光源を測定ポイントPに照射し、正反射する光源の角度から15度ずれた位置A、45度ずれた位置B、110度ずれた位置CのLabが測定される。
【0034】
上記装飾シート100は、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シート10の第1光輝部1側の表側から測定した15度の角度(位置A)における明度が、透明シート10の第2光輝部2側の表側から測定した15度の角度(位置A)における明度よりも小さく、透明シート10の第1光輝部1側の表側から測定した110度の角度(位置C)における明度が、透明シート10の第2光輝部2側の表側から測定した110度の角度(位置C)における明度よりも大きいことが好ましい。
この場合、位置Aと位置Cとで、明暗の反転効果が得られるので、立体感を表現することが可能となる。
【0035】
上記装飾シート100は、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シート10の第1光輝部1側の表側から測定した15度の角度(位置A)における明度が、透明シート10の第2光輝部2側の表側から測定した15度の角度(位置A)における明度よりも、2〜40小さく、透明シート10の第1光輝部1側の表側から測定した110度の角度(位置C)における明度が、第2光輝部2側の表側から測定した110度の角度(位置C)における明度よりも、2〜60大きいことが好ましい。
同じ位置A、Cにおける第1光輝部1側と第2光輝部2側との明度の差が、上記範囲内であると、同じ位置から見たときの明暗の差をよりはっきりと表現できる。すなわち、奥行きをよりはっきりと表現できる。
【0036】
具体的には、上記装飾シート100において、ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シート10の第1光輝部1側の表側から測定した15度の角度(位置A)における明度が69〜107であり、110度の角度(位置C)における明度が、36〜72であり、透明シート10の第2光輝部2側の表側から測定した15度の角度(位置A)における明度が、101〜105であり、110度の角度(位置C)における明度が、36〜38であることが好ましい。
【0037】
本実施形態に係る装飾シート100によれば、見る角度による色の明暗変化や反転効果が得られ、立体感を表現することが可能となる。したがって、簡単な構造で装飾性の表現力に優れると共に、色に制限がなく立体感を表現できる。
【0038】
以下、透明シート10、第1光輝部1、第2光輝部2及び遮光層13について更に詳細に説明する。
(透明シート)
透明シート10は、透明なフィルム状又は板状であればよく、厚みは特に限定されない。
具体的には、フィルム状の透明シート10としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメタクリル酸メチルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリウレタンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム等が挙げられる。
透明シート10は、これらの原料を混合して作製したフィルムであってもよく、これらの積層体であってもよい。
これらの中でも、透明シート10は、汎用性の観点から、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルムが好適である。
【0039】
板状の透明シート10としては、ガラス、アクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板、ポリ塩化ビニル板、ABS板、スチロール板等が挙げられる。
これらの中でも、透明シート10は、汎用性の観点から、アクリル板、ポリカーボネート板が好適である。
【0040】
透明シート10には、第1色層11及び第2色層12との接着性向上のため、透明性を阻害しない範囲で、裏面に接着剤からなる接着剤層(図示しない)が設けられていてもよい。
かかる接着剤としては、公知のものが用いられ、アクリル樹脂系接着剤、オレフィン樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エチレン−酢酸ビニル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、シリコーン系接着剤、スチレン−ブタジエンゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
また、透明シート10には、第1色層11及び第2色層12との接着性向上のため、透明性を阻害しない範囲で、裏面にコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスタ処理等が施されていてもよい。
さらに、透明シート10には、透明性を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤、難燃剤、光輝性顔料以外の顔料等が含まれていてもよい。
【0041】
(第1光輝部)
第1光輝部1は、複数の色層を有し、具体的には、透明シート10に、第1色層11及び第2色層12がこの順序で積層された構造となっている。
【0042】
第1色層11は、白色層である。
ここで、本発明において、白色層は、光輝性顔料以外の顔料の白を主成分としたものであり、該白のベタ柄におけるL値(マルチアングル45度)が50〜100のものを意味する。なお、この場合のa値、b値は特に限定されない。また、ベタ柄ではなく、ドット状(アミ点)の場合は、L値が50以下であってもよい。
白色層の白には、例えば、公知の酸化亜鉛、二酸化チタン等の白色顔料が用いられる。
【0043】
図3は、本実施形態に係る装飾シートの白色層の平面図である。
図3に示すように、第1色層11の白色層は、ドットの集合体となっている。すなわち、ドットが一定の間隔で一列に配設されてラインIとなっており、かかるラインIが65〜300line/inchの間隔で並設されて、白色層を形成している。なお、例えば、FMスクリーンやインクジェット等、ラインIが並設されたものでない場合、ラインIが65〜300line/inchの間隔で並設されたものと同等の表現のものが白色層に含まれる。
【0044】
上記白色層において、単位面積S辺りのドットTの占める割合が、6%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
この場合、装飾シート100を見る角度によって、色の明暗変化や反転効果がより顕著に生じる。なお、単位面積S辺りのドットTの占める割合(T/S)が1(すなわち100%)の場合は、ベタ柄を意味する。
【0045】
第1色層11は、白色顔料の他に、バインダーを含んでいることが好ましい。この場合、透明シート10への接着性が向上する。
かかるバインダーとしては、紫外線硬型樹脂、溶剤系樹脂、水性樹脂等が挙げられる。
【0046】
紫外線硬化型樹脂としては、市販のものが例示でき、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
溶剤系樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル塩化ビニル系樹脂、ウレタン塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
水性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタンエマルジョン等が挙げられる。なお、これらは、水性であっても、エマルジョンであっても、ディスパージョンであってもよい。また、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0047】
第2色層12は、明度を向上させるための光輝性顔料を含む。
光輝性顔料としては、パール顔料、天然の白雲母や合成雲母から構成されるマイカフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカフレーク顔料、アルミニウムフレーク顔料、アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、グラファイト顔料、金属チタンフレーク顔料、ステンレスフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、フタロシアニンフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属鍍金ガラスフレーク顔料、金属酸化物鍍金ガラスフレーク顔料、ホログラム顔料等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。なお、「金属被覆」「金属酸化物被覆」とは、二酸化チタン、酸化鉄、クロム、コバルト、錫、ジルコニウム等の金属(酸化物)薄膜でコーティングされていることを意味し、「金属鍍金」「金属酸化物鍍金」とは、これらの金属(酸化物)で鍍金されていることを意味する。
【0048】
光輝性顔料は、平均粒子径が10〜200μmであることが好ましい。
平均粒子径が10μm未満であると、平均粒子径が上記範囲内にある場合と比較して、十分な輝度が得られない場合があり、平均粒子径が200μmを超えると、平均粒子径が上記範囲内にある場合と比較して、第2色層12の表面に粒子の粗さやざらつきが生じる虞がある。
【0049】
第2色層12は、上述した第1色層11と同様に、ドットの集合体となっている。
ここで、第2色層12における並設されたラインは、第1色層11における並設されたラインと、異なる方向になっていることが好ましい。この場合、白色層の効果をより確実に発揮できる。
【0050】
第2色層12は、上記第1色層11と同様に、バインダーを含んでいることが好ましい。かかるバインダーは、第1色層11におけるバインダーと同義である。
また、第2色層12は、その他にも光輝性顔料以外の顔料を含んでいてもよい。かかる光輝性顔料以外の顔料の詳細については後述する。
光輝性顔料以外の顔料を含有することにより、装飾シート100は、明暗に加え、様々な模様を表現できるようになる。したがって、色に制限がなく、表現力にも優れるものとなる。
【0051】
(第2光輝部)
第2光輝部2は、透明シート10に、第1色層21が積層された構造となっている。なお、第1光輝部1の第2色層12と、第2光輝部2の第1色層21とは、同一であり、透明シート10の裏面において略面一に形成されている。
【0052】
第1色層21は、第1光輝部1の第2色層12と同様に、光輝性顔料を含む。なお、第1光輝部1の第2色層12が含む光輝性顔料と第2光輝部2の第1色層21が含む光輝性顔料とは、同一であってもよい。すなわち、同一の光輝性顔料であっても、第1光輝部1は、白色層を備えるので、見え方が変わる。
また、光輝性顔料は、平均粒子径が10〜200μmであることが好ましい。
【0053】
第1色層21は、第1光輝部1の第2色層12と同様に、バインダーを含んでいることが好ましく、光輝性顔料以外の顔料を含んでいてもよい。
【0054】
(遮光層)
遮光層13は、第1光輝部及び第2光輝部に積層される。
遮光層13が積層されていると、第1光輝部1及び第2光輝部2の剥離を抑制することができ、意匠性においても深みのある表現をすることができる。
【0055】
かかる遮光層13には、公知のカーボンブラック等が用いられる。
また、遮光層13には、バインダー、紫外線吸収剤、難燃剤、光輝性顔料以外の顔料等が含まれていてもよい。なお、かかるバインダーは、第1色層11におけるバインダーと同義である。
【0056】
本実施形態に係る装飾シート100においては、第1光輝部1が白色層を含み、第2光輝部2が白色層を含まないので、見る角度による色の明暗変化や反転効果を明確に表現できる。
例えば、45度の伏角から見ると、第2光輝部2よりも第1光輝部1のほうが明度が高く見え、透明シート10に対して、135度の伏角から見ると、第1光輝部よりも第2光輝部のほうが明度が高く見えることになる。
【0057】
上記装飾シート100は、携帯電話の装飾、自動車の内装、電化製品の装飾等の用途に好適に用いられる。
また、被貼付物に上記装飾シート100を貼付する場合は、粘着剤を用いて装飾シート100を貼り付ければよい。粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、ポリアルキルシリコン系、ウレタン系、ポリエステル系等が好ましく用いられる。
【0058】
次に、装飾シート100の製造方法について説明する。
まず、透明シート10を準備する。なお、必要に応じて、透明シート10の裏面に接着剤層を設けたり、透明シート10の裏面に、接着性を向上させるため、プラズマ処理やブラスト処理を施す。
【0059】
そして、透明シート10の裏面に、光輝性顔料及びバインダーを含む第1混合液を付与する。
第1混合液に含まれる光輝性顔料の含有量としては、取り扱い性の観点から、10〜60質量%であることが好ましい。
【0060】
バインダーが紫外線硬化型樹脂である場合、モノマー又はオリゴマーが第1混合液に含まれることになる。
モノマー又はオリゴマーは、重合性反応基を有する。
かかる重合性反応基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、メルカプト基、アミノ基等が挙げられる。特に反応性が高いことからアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく用いられる。
上記重合性反応基が紫外線により硬化することにより、紫外線硬化型樹脂が得られる。
【0061】
モノマーの具体例としては、例えば不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、アルキッドアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリエン・ポリチオール系スピラン、アミノアルキッド、ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0062】
また、この場合、必要に応じて、重合開始剤や光増感剤を加えてもよい。
重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルエーテル、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパンー1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタンー1−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、キサントン、2−クロロチオキサントン、ミヒラーケトン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、9,10−フェナントレンキノン、9,10−アントラキノンなどが挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0063】
光増感剤としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0064】
第1混合液の透明シート10への付与方法は、特に限定されず、例えば、オフセットコーター、グラビアコーター、インクジェット、スクリーン、フレキソコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレー等が用いられる。
【0065】
そして、第1混合液を硬化させることにより、第1光輝部1の第1色層11及び第2光輝部2の第1色層21が形成される。
【0066】
次に、第1光輝部1の第1色層11の裏面に、白色顔料及びバインダー等を含む第2混合液を付与する。なお、バインダーが紫外線硬化型樹脂である場合は、上記同様である。
第2混合液に含まれる白色顔料の含有量としては、取り扱い性の観点から、10〜60質量%であることが好ましい。
【0067】
第2混合液の第1光輝部1の第1色層11の裏面への付与方法は、特に限定されず、例えば、オフセットコーター、グラビアコーター、インクジェット、スクリーン、フレキソコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレー等が用いられる。
【0068】
そして、第2混合液を硬化させることにより、第1光輝部1の第2色層12が形成される。
【0069】
次に、第1光輝部1の第2色層12及び第2光輝部2の第1色層21の裏面に、カーボンブラック及びバインダー等を含む第3混合液を付与する。なお、バインダーが紫外線硬化型樹脂である場合は、上記同様である。
【0070】
第3混合液の付与方法は、特に限定されず、例えば、オフセットコーター、グラビアコーター、インクジェット、スクリーン、フレキソコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレー等が用いられる。
【0071】
そして、第3混合液を硬化させることにより、遮光層13が形成される。
こうして、本実施形態に係る装飾シート100が得られる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、本発明の装飾シートの第2実施形態について説明する。
図4は、本発明に係る装飾シートの第2実施形態を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係る装飾シート200は、透明シート10と、該透明シート10の裏面に形成された第1光輝部101と、該透明シート10の裏面に形成され、第1光輝部101に隣接する第2光輝部102と、を備える。
【0073】
上記装飾シート200は、第1光輝部101が白色層である第1色層111からなり、第2光輝部102が光輝性顔料を含む第1色層121からなる。すなわち、装飾シート200は、遮光層13を有さず、また、第1光輝部101が、第2色層を有さないこと以外は、第1実施形態に係る装飾シート100と同様である。
【0074】
上記装飾シート200によれば、例えば、色数が1つであっても、白色層を用いることにより、優れた意匠性を表現でき、また、立体感を表現することも可能となる。
【0075】
[第3実施形態]
次に、本発明の装飾シートの第3実施形態について説明する。
図5は、本発明に係る装飾シートの第3実施形態を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る装飾シート300は、透明シート10と、該透明シート10の裏面に形成された第1光輝部201と、該透明シート10の裏面に形成され、第1光輝部201に隣接する第2光輝部202と、を備える。なお、図5に示す装飾シート300は、第1光輝部201及び第2光輝部202の裏面が段差となっているが、これは断面構造を理解するため便宜的に示したものであり、第1光輝部201及び第2光輝部202は、極めて肉薄のものであるため、実際は、略面一となっている。
【0076】
上記装飾シート300は、第1光輝部201が白色層である第1色層211からなり、第2光輝部202が光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層221と、第1色層221の裏面に積層された光輝性顔料を含む第2色層222とからなる。すなわち、装飾シート300は、第2光輝部202が、光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層221を有すること以外は、第2実施形態に係る装飾シート200と同様である。
【0077】
光輝性顔料以外の顔料としては、天然無機顔料、合成無機顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、多環式系顔料等の有機顔料、レーキ顔料等、公知のものが挙げられる。顔料は単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0078】
第1色層221は、ドットの集合体となっている。
ここで、第1色層221における並設されたラインは、第2色層222における並設されたラインと、異なる方向になっていることが好ましい。
【0079】
第1色層221は、バインダーを含んでいることが好ましい。かかるバインダーは、第1実施形態に係る装飾シート100の第1光輝部1の第1色層11におけるバインダーと同義である。
【0080】
上記装飾シート300によれば、第2光輝部202において、光輝性顔料を含む第2色層222と透明シート10との間に、光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層221が設けられているので、様々な顔料のバリエーションと、光輝性顔料との組み合わせ、そして、白色層による明暗効果により、極めて意匠性に優れる表現が可能となる。なお、装飾シート300は、第2光輝部202において、光輝性顔料を含む第2色層222の上に、光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層221が設けられているので、CMYKからなる4原色を用いたフルカラーの意匠も表現できる。
【0081】
[第4実施形態]
次に、本発明の装飾シートの第4実施形態について説明する。
図6は、本発明に係る装飾シートの第4実施形態を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る装飾シート400は、透明シート10と、該透明シート10の裏面に形成された第1光輝部301と、該透明シート10の裏面に形成され、第1光輝部301に隣接する第2光輝部302と、を備える。なお、図6に示す装飾シート400は、第1光輝部301及び第2光輝部302の裏面が段差となっているが、これは断面構造を理解するため便宜的に示したものであり、第1光輝部301及び第2光輝部302は、極めて肉薄のものであるため、実際は、略面一となっている。
【0082】
上記装飾シート400は、第1光輝部301及び第2光輝部302が複数の色層を有する。第1光輝部301は、光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層311と、第1色層311の裏面に積層された白色層である第2色層312と、第2色層312の裏面に積層された光輝性顔料を含む第3色層313とからなり、第2光輝部302は、光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層321と、第1色層321の裏面に積層された光輝性顔料を含む第2色層322とからなる。すなわち、装飾シート400は、第1光輝部301が、光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層311と、光輝性顔料を含む第3色層313とを有すること以外は、第3実施形態に係る装飾シート300と同様である。
【0083】
上記装飾シート400によれば、様々な顔料のバリエーションと、光輝性顔料との組み合わせ、そして、白色層による明暗効果により、極めて意匠性に優れる表現が可能となる。なお、装飾シート400は、第1光輝部301において、光輝性顔料を含む第3色層312の上に、白色層である第2色層312が設けられており、その上に光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層311が設けられているので、CMYKからなる4原色を用いたフルカラーに、明暗の変化を取り入れた意匠も表現できる。
【0084】
[第5実施形態]
次に、本発明の装飾シートの第5実施形態について説明する。
図7は、本発明に係る装飾シートの第5実施形態を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る装飾シート500は、透明シート10と、該透明シート10の裏面に形成された第1光輝部401と、該透明シート10の裏面に形成され、第1光輝部401に隣接する第2光輝部402と、を備える。
【0085】
上記装飾シート500は、第1光輝部401及び第2光輝部402が複数の色層を有する。第1光輝部401は、光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層411と、第1色層411の裏面に積層された白色層である第2色層412と、第2色層412の裏面に積層された光輝性顔料を含む第3色層413と、第3色層413の裏面に積層された光輝性顔料を含む第4色層414とからなり、第2光輝部402は、光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層421と、第1色層421の裏面に積層された光輝性顔料を含む第2色層422と、第2色層422の裏面に積層された光輝性顔料を含む第3色層423とからなる。すなわち、装飾シート500は、第1光輝部401が、光輝性顔料を含む第4色層414を有し、第2光輝部402が光輝性顔料を含む第3色層423を有すること、及び、第1光輝部401の第1色層411と、第2光輝部402の第1色層421とが同一層となっており、第1光輝部401の第3色層413と、第2光輝部402の第2色層422とが同一層となっており、第1光輝部401の第4色層414と、第2光輝部402の第3色層423とが同一層となっていること、以外は、第6実施形態に係る装飾シート300と同様である。
第1光輝部401の第3色層413及び第2光輝部402の第2色層422に用いられる光輝性顔料と、第1光輝部401の第4色層414及び第2光輝部402の第3色層423に用いられる光輝性顔料とは、異なっていることが特に好ましい。この場合、更に深みのある意匠の表現が可能となる。
【0086】
上記装飾シート500によれば、様々な顔料のバリエーションと、光輝性顔料との組み合わせ、そして、白色層による明暗効果により、極めて意匠性に優れる表現が可能となる。なお、装飾シート500は、第1光輝部401において、光輝性顔料を含む第3色層413及び第4色層414の上に、白色層である第2色層412が設けられており、その上に光輝性顔料以外の顔料を含む第1色層411が設けられているので、CMYKからなる4原色を用いたフルカラーに、明暗の変化を取り入れた意匠も表現できる。また、第4実施形態に係る装飾シート400よりも製造が容易である。
【0087】
[第6実施形態]
次に、本発明の装飾シートの第6実施形態について説明する。
図8は、本発明に係る装飾シートの第6実施形態を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態に係る装飾シート600は、第1実施形態に係る装飾シート100に、更に第3光輝部503を設けたものである。
第3光輝部503の第1色層511は、第1実施形態に係る装飾シート100の第1光輝部1の白色層である第1色層11と同じであり、同一層となっている。
【0088】
上記装飾シート600によれば、極めて簡単な構造でありながら、装飾性の表現力が優れると共に、色に制限がなく立体感を表現できる。
【0089】
[第7実施形態]
次に、本発明の装飾シートの第7実施形態について説明する。
図9は、本発明に係る装飾シートの第7実施形態を模式的に示す断面図である。
図9に示す装飾シート700は、複数の光輝部を設けた意匠の例である。図9中、層601は、光輝性顔料以外の顔料を含む層であり、層602は、白色層であり、層603及び層604は、光輝性顔料を含む層である。そして、装飾シート700は、これらの裏面に遮光層613を設けたものである。
【0090】
上記装飾シート700によれば、極めて簡単な構造でありながら、装飾性の表現力が優れると共に、色に制限がなく立体感を表現できる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0092】
(実施例)
以下のようにして、装飾シートのサンプルを作製した。
透明シートとして、透明ポリカーボネートフィルム(接着剤層付き、厚み0.25mm)を準備した。
透明シートの裏面に、チタン白インキを付与し、その後、UV照射して硬化させた。そして、これに一部が重なるようにして、UVオフセットインキ(シルバー)をUVオフセット印刷機にて付与し、その後、UV照射して硬化させ、同様にして、UVスクリーンインキ(シルバー)をスクリーン印刷機にて付与し、その後、UV照射して硬化させた。なお、UVオフセットインキ(シルバー)とUVスクリーンインキ(シルバー)とは、僅かに異なる色である。
これにより、透明シートの裏面に、白色層と、複数の光輝性顔料からなる層とが形成された第1光輝部と、複数の光輝性顔料からなる層のみが形成された第2光輝部とが形成された。なお、これは図7に示す装飾シート500の第1光輝部401の第1色層411及び第2光輝部402の第1色層421を除いたものに相当する。
また、チタン白インキ及びUVオフセットインキの単位面積辺りの濃度(ドットの占める割合)を表1及び表2に示すように替えたものも同様にして作製した。
【0093】
(評価方法)
ASTM規格のE2194−03に基づいて透明シートの第1光輝部及び第2光輝部の表側から15度及び110度の角度における明度(L値)測定した。
第1光輝部におけるチタン白インキ(白色層)及びUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と、15度及び110度における明度(L値)との関係を表1に示し、第2光輝部におけるUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と15度及び110度における明度(L値)との関係を表2に示す。また、第1光輝部におけるチタン白インキ(白色層)及びUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と、15度における明度(L値)との関係を図10に示し、第1光輝部におけるチタン白インキ(白色層)及びUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と、110度における明度(L値)との関係を図11に示し、第2光輝部におけるUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と15度における明度(L値)との関係を図12に示し、第2光輝部におけるUVオフセットインキ(光輝性顔料からなる層)の濃度と110度における明度(L値)との関係を図13に示す。
【0094】
〔表1〕

【0095】
〔表2〕

【0096】
表1及び2、図9〜12、から明らかなように、白色層を有さない第2光輝部は、光輝性顔料の濃度を変えても、明度(L値)は大きく変化しなかった。
一方、白色層を有する第1光輝部は、白色層の濃度により、明度(L値)が大きく変化した。
特に、チタン白インキの濃度が、6%を超えると、白色層が明度に大きな変化を与えることがわかった。なお、第1光輝部においては、UVオフセットインキの濃度が50%以外の場合においても試験を行ったが、50%の場合と同様の結果であった。また、UVオフセットインキ(シルバー)をUVオフセット印刷機で印刷して形成した層と、UVスクリーンインキ(シルバー)をスクリーン印刷機にて印刷して形成した層と、を逆にして同様の試験を行ったが、同様の結果であった。
【0097】
したがって、本発明の装飾シートによれば、白色層を設けることで、見る角度による明暗の差を表現したり、明暗に基づく立体感を表現することができるといえる。
なお、図14は、本発明の原理を用いた装飾シートの一例の写真である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の装飾シートは、携帯電話の装飾、自動車の内装、電化製品の装飾等の用途に好適に用いられる。本発明の装飾シートは、色に制限がなく、簡単な構造で表現力が優れると共に、立体感を表現できるので、貼付された製品の意匠性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0099】
1,101,201,301,401・・・第1光輝部
2,102,202,302,402・・・第2光輝部
10・・・透明シート
11,21,111,121,211,221,311,321,411,421,511・・・第1色層
12,222,312,322,412,422・・・第2色層
13,613・・・遮光層
100,200,300,400,500,600・・・装飾シート
313,413,423・・・第3色層
414・・・第4色層
503・・・第3光輝部
601〜604・・・層
A,B,C・・・位置
I・・・ライン
S・・・単位面積
T・・・ドット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明シートと、
該透明シートの裏面に形成された第1光輝部と、
該透明シートの裏面に形成され、前記第1光輝部に隣接する第2光輝部と、
を備え、
前記第1光輝部が少なくとも白色層を有し、
前記第2光輝部が白色層以外で少なくとも光輝性顔料を含む色層を有する装飾シート。
【請求項2】
前記第2光輝部が複数の色層を有し、
前記第2光輝部の前記透明シート側の第1色層が光輝性顔料以外の顔料を含み、
前記第1色層の裏面に積層された第2色層が光輝性顔料を含む請求項1記載の装飾シート。
【請求項3】
前記第1光輝部が複数の色層を有し、
前記第1光輝部の前記透明シート側の第1色層が白色層であり、
前記第1色層の裏面に積層された第2色層が光輝性顔料を含む請求項1又は2に記載の装飾シート。
【請求項4】
前記第1光輝部が複数の色層を有し、
前記第1光輝部の前記透明シート側の第1色層が光輝性顔料以外の顔料を含み、
前記第1色層の裏面に積層された第2色層が白色層であり、
前記第2色層の裏面に積層された第3色層が光輝性顔料を含む請求項1又は2に記載の装飾シート。
【請求項5】
前記第1光輝部及び/又は前記第2光輝部が、白色層以外で少なくとも光輝性顔料を含む色層を複数有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の装飾シート。
【請求項6】
前記白色層がドットの集合体であり、
単位面積辺りの前記ドットの占める割合が、6%以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の装飾シート。
【請求項7】
前記透明シートに対して、45度の伏角から見ると、前記透明シートの前記第2光輝部側よりも前記透明シートの前記第1光輝部側のほうが明度が高く見え、
前記透明シートに対して、135度の伏角から見ると、前記透明シートの前記第1光輝部側よりも前記透明シートの前記第2光輝部側のほうが明度が高く見える請求項1〜5のいずれか一項に記載の装飾シート。
【請求項8】
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの表側から測定した15度、45度及び110度の角度における明度が、前記透明シートの前記第1光輝部側と前記第2光輝部側とでは、異なっている請求項1〜5のいずれか一項に記載の装飾シート。
【請求項9】
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第1光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度が、ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第2光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度よりも小さく、
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第1光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度が、ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第2光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度よりも大きい請求項1〜5のいずれか一項に記載の装飾シート。
【請求項10】
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第1光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度が、ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第2光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度よりも、2〜40小さく、
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第1光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度が、ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第2光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度よりも、2〜60大きい請求項1〜5のいずれか一項に記載の装飾シート。
【請求項11】
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第1光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度が、69〜107であり、
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第2光輝部側の表側から測定した15度の角度における明度が、101〜105であり、
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第1光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度が、36〜72であり、
ASTM規格のE2194−03に基づいて前記透明シートの前記第2光輝部側の表側から測定した110度の角度における明度が、36〜38である請求項1〜5のいずれか一項に記載の装飾シート。
【請求項12】
前記第1光輝部及び前記第2光輝部には、遮光するための遮光層が積層されている請求項1〜11のいずれか一項に記載の装飾シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−37120(P2011−37120A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186260(P2009−186260)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(503363909)大和グランド株式会社 (12)
【Fターム(参考)】