説明

装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器

【課題】透明な菓子やアルコール飲料などを光らせて意匠的価値を高める。
【解決手段】カクテルグラスなどに入射光の2回目または3回目の反射光が光学的臨界角に基づいて壁面で全反射するような角度に構成した円錐容器で臨界角となる反射点位置(303)に反射鏡を設けることで側面から見ると透明であるが上面(301)から見ると液面全体が全反射によって鏡面となって光る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食品または可視光を透過させる物質を収容した時の容器の意匠的効果の演出技術分野。
【背景技術】
【0002】
理科実験でコップを2重に重ねて間に空気層を作り、更に内側のコップに水を入れて重ねたコップを水の入った洗面器に浸けることでコップ内面の側面側を全反射させることが公開されている。また、特許文献1では透明プラスチック食器の中に夜光塗料や蛍光塗料を埋め込み、食器内部で蛍光を全反射させ、端部から放射させることが開示されている。食品では、半透明な飴、透明な水飴、透明な寒天やゼリー、氷砂糖や三角錐形状の色付き飴などがある。食器や花瓶や化粧品容器では、円柱や多角柱のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−125831号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記実験では、コップ内面を全反射させるためには2つのコップとそれらを取り囲む水が必要であった。また、内側コップ水面の一部しか全反射面を作ることができなかった。そこでコップ1個のみで、しかも空気中で観察開口部のほぼ全域を全反射させることが求められている。また、氷砂糖は表明形状が滑らかではないため透明性を確保することが困難である。また、水などを入れるコップやグラスや花瓶などでは、一般的に水やアルコールは屈折率が低いため全反射させて光を再帰させることは困難であった。また、特許文献1では端部のみからの放射であり、しかも蛍光では部屋を暗くした時しか効果が期待できない。また、蛍光塗料や夜光塗料は人体に有害なものが多く、安全でより大きな視覚的効果が得られる手段が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の手段は、観察面からの平行な入射光が可視光透過可能な壁面と外部の境界面で再帰全反射することを特徴とする装飾品、食品又は内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0006】
本手段では、対向壁面に入射光が全反射して観察面側に再帰する手段を再帰全反射と定義する。その時、観察者側に反射光が入射光と平行に再帰するか否かは問わない。本手段の容器や食品では、再帰反射により集光して境界面が明るく光ったり明暗ができたりすることで意匠的効果が得られる。
【0007】
第二の手段は、反射鏡を入射光が空気と内容物の臨界角以上になる位置に壁面に該鏡面を貼り付けて構成しことを特徴とする装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0008】
図1は本発明の一例を説明する説明図である。a〜jは説明図の座標を表す点である。D0は側壁の開口半径、D1は二回目反射点の半径、D2は三回目反射点の半径、L0は側壁の全長、L1は二回目反射点までの長さ、L2は三回目反射点までの長さ、θ1は壁面の角度、αは臨界角、S0はD0の開口面積、S1はD1の面積、S2はD2の面積、R1はed部を鏡とした時の非鏡部分の割合、R2はcd部を鏡とした時の非鏡部分の割合、101は容器側壁1、102は容器側壁2である。入射光の第一反射点aで反射した反射光は第二反射点eで再度反射して第三反射点c及び第四、第五の反射点を経て入射口側に再帰する。この時の角度と長さ及び半径の関係は数1に記載の関係となる。表2は食品及び家庭用品の材料の屈折率と臨界角である。表1は図1上のθ1を変化させた時の各要素の数値である。点aで全反射させるためには図1のθ1の角度を表2のθ1の値以下にしなければならない。第一反射点(a)での入射光が臨界角になる反射光が容器側壁2(102)に入射する点をeとした場合、線分edを含む面に鏡を設けることで開口部に平行な入射光を全て再帰全反射させることができる。更に点eで全反射させるためには、数1より表2のθ1の値の1/3以下にしなければならない。同様に第二反射点(e)での入射光が臨界角になる反射光が容器側壁1(101)に入射する点をcとした場合、線分cdを含む面に鏡を設けることで開口部に平行な入射光を全て再帰全反射させることができる。本手段の一例では各種ドリンク用グラスや飴などの食品に使用される。また、胴が円柱状の飲料ボトルなども円周上の一部にラベル裏面に反射鏡を設けることで再帰全反射させることができる。
【0009】
【数1】

【0010】
【表1】


【0011】
【表2】

【0012】
更に、第一反射点での入射角が臨界角よりも小さい場合、即ち、θ1が90°から空気との臨界角を引いた角度となり容器側壁1(101)及び容器側壁2(102)では全反射せず透過する。そのため、この範囲では、容器側壁1及び2の外面に設けた鏡で再帰全反射させることができる。
【0013】
第三の手段は、縦に切断した壁内断面の二壁内面のなす角度が食品または内容物と空気の光学的臨界角に基づいて入射面からの平行な入射光が壁面で再帰全反射となるような角度に容器形状を構成したことを特徴とする装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0014】
本手段では、再帰全反射の条件を満たした容器壁面が全反射するため、条件を満たした壁面を見るとき容器内の内容物が鏡面反射で光る。また、方向を変えて条件を満たしていない壁面を見ると透明または半透明な壁面と内容物が見えるため観察者の興味をそそる。また食品自体で構成する場合では、食品自体が容器なしで形状を保つことが可能な透明または半透明な固体またはゲル状の食品で、上記三の手段と同様の効果を得ることができる。但し、透明度をできるだけ高くし、表面の凹凸をできるだけ少なくして面を滑らかに仕上げることが望ましい。
【0015】
第四の手段は、反射面が焦点を形成する凹面であることを特徴とする装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0016】
本手段の一例では、球の内面を鏡面とした凹面鏡を容器や食品の反射面に用いた場合、焦点と鏡面中心点の間にある物は実物よりも手前に結像するため、壁面から浮き上がって逆さに見える。また、焦点と壁面の間にあるものは壁面よりも遠くにあるように見える。尚、鏡面位置は容器壁内面であっても外面であっても良い。
【0017】
第五の手段は、空気との界面断面形状がW型であり、左右のV型面の各一面に画像を配置し、その対面は反射鏡を設け両反射画像は左右に離れた眼の位置で観察することで互いに補って立体情報を提供する画像であることを特徴とする装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0018】
本手段の一例では、3つの角が60度の二つの三角柱からなり三角柱は中空となっており、中に透明な液体を容れる容器となっている。二つの三角柱容器は一つの化粧箱の中に収納され、三角柱の一面に立体画像の片眼側の画像が提示されている。他方の三角柱の一面には残りの眼の側の画像が提示されている。観察者側からの視線に平行な光は提示された画像を照らし、その反射光が対面の反射鏡で反射して観察者の片眼に戻る。他方の三角柱に入射した光で照らされた他方の提示画像は同様に対面の反射鏡で反射されて反対側の眼に入る。左右の眼に隔離されて立体情報画像が提示されるため観察者は立体画像を見ることができる。化粧品などの容器やゼリーなどの食品に利用できる。
【0019】
第六の手段は、内容物空気界面と内容物の入る部分の可視光透過可能な容器で形成する少なくとも一部の形状が、円錐または多角錐または多角柱であることを特徴とする装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0020】
本手段の一例では、円錐の底面に円柱の底面を合わせた形状でもよい。また、観察面に対して対称な多角錐の底面に同形の多角柱の底面を合わせた形状でも良い。同様に、観察面に対して対称な多角柱の側面に同形の直方体の面を合わせた形状でも良い。
【0021】
第七の手段は、円錐または多角錐または多角柱の観察面と対向する角部を切った切頭円錐、切頭多角錐または切頭多角柱であり、切頭面に鏡を設けたことを特徴とする装飾品、食品又は内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0022】
通常、水やアルコールのような屈折率の低い液体の透明容器では、どのような全反射角度にしても図1の点e(第二反射)で二壁面の内側に反射し、都度、壁面と入射光のなす角が大きくなり、最後には全反射する角度を超えて壁面から外部へ抜けてしまうため、このままでは再帰全反射を実現することはできない。しかし本手段の一例では、数1のL1及びL2以上の距離を鏡でカバーすると空気との臨界角に基づく角度までは開口部が全て全反射させることができる。また、鏡位置を数1のL1、またはL2とすることで側壁の全反射面積を最大とすることができる。切頭面及び鏡の形状は平面以外にも凹面であってもよい。
【0023】
第八の手段は、空気と内容物の臨界角が45度以下の食品または内容物を収納した容器において、該臨界角度をαとし、二反射壁面のなす角度を2θとするときθの値が30度にα/3を加えた角度以上で、90度からαを引いた値以下の範囲の角度に構成したことを特徴とする食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0024】
本手段の一例では、図2は、表2にある蜂蜜や水飴、食用油のような空気との臨界角が45度以下の食品やその容器で、k〜pは説明図の座標を表す点である。201は容器の側壁1、202は側壁2、θ2は側壁のなす角度である。空気との臨界角が45度以下の食品では図2のθ2を30度以上にした場合、第一反射点(k)での入射角が臨界角以上になるθ2の角度は数2より表2の最大θ2の値以下で第二反射点(m)での入射角が臨界角以上になるθ2の角度は数2より表2の最小θ2の値以上である。この範囲内にある透明な食品および透明な食品を容れた透明容器は、この角度範囲の場合鏡なしで再帰全反射が可能となる。光は空気などの同一媒質中において平面鏡で反射する場合、光の干渉により光路は入射角と反射角が等しい。しかし、空中から角部を有する高屈折率の容器などの媒質の側壁に光が入射する場合、光は波でもあるため、入射角と等しい角度で反射した光が対向する側壁への入射角が臨界角未満で容器外部へ抜けた場合、他の角度で反射した光の内、対向する側壁への入射角が臨界角以上の角度で入射した光は再帰反射する。容器や食品が空気との臨界角が45度未満の場合、観察面の一部の光が再帰反射するが、全面での再帰反射や再帰全反射は生じない。本手段の場合、空気との臨界角が45度以下であるため、θ2が(90°−α)よりも小さい場合は、どの角度でも光の一部が再帰反射するが、(30°+α/3)未満の場合では前述の理由で一部の光が反対側に抜けてしまう。(30°+α/3)≦θ≦(90°−α)(数2)の範囲にある場合のみ再帰全反射するため最も明るく光る。
【0025】
【数2】

【0026】
第九の手段は、観察面に可視光の波長近くの間隔で凹凸を設けたことを特徴とする装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0027】
観察面に可視光の波長近くの間隔で凹凸を設けると、光が干渉して干渉縞や虹色の反射光を得ることができる。また、ホログラフ情報を提示することで、3次元画像の再生や情報の再生が可能となる。
【0028】
第十の手段は、反射面がなす角部または稜線が直接空気に接するように保持して起立せしめる起立手段を設けたことを特徴とする装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0029】
通常、特にコップやアルコール飲料用グラスの場合底面角部に足があることが多く、この底面部分が厚くなり、境界面と平行で無くなり光が抜けやすくなる。本手段の一例では、反射面である容器底部を避け、内容物収納部よりも上部を支持して容器を起立させることが望ましい。この起立手段により、底面角部の形状と厚みが一定となり光の抜けが少なくなる。また、内容物と空気の屈折率による臨界角のみで管理する条件は、内容物・容器壁境界面と容器壁・空気境界面が平行である必要がある。そうでない場合は、容器壁の形状による容器壁内部の屈折を考慮しなければならない。
【0030】
第十一の手段は、錐または柱状の角部内面に嵌合する形状で上面に反射鏡を設けたことを特徴とする内容物収容部が可視光透過可能な容器の反射部。
【0031】
本手段では、従来の容器やグラスに反射部を内部に挿入するだけで、入射面に容器壁面の全反射部分を活かした光沢や効果を演出することができる。挿入して安定させるためには材質が内容物の比重よりも大きい比重であることが必要である。
【0032】
第十二の手段は、空気と内容物の臨界角が45度以下の結晶状食品または結晶状食品の一部の角部を研磨または破壊して入射面を作り、光照射とその反射光の強度を測定して強度により選別することを特徴とする食品の製法とその食品。
【0033】
本手段では、結晶状の食品の角部を研磨して再帰反射させる。一例ではショ糖の結晶は直方体であるが製造過程で角部が削れているものが低い確率で混在する。この確率を上げることで光る食品が実現できる。単に選別を繰り返すことで確率を向上させることができる。更に、反射強度の弱いものを研磨することで歩留まりを向上させることができる。
【0034】
第十三の手段は、内容物収容部の絶対屈折率が1.886以上の可視光透過可能な素材で構成される水または水混合物を収容する容器において、水と容器の臨界角度をωとして、内壁面に二反射面のなす角度を2θとするときθの値が30度にω/3を加えた角度以上で、90度からωを引いた値以下の範囲の角度の凸部が観察者と反対側へ向けて設けて構成したことを特徴とする容器。
【0035】
従来のガラス工芸品では、容器内壁面への切り込み加工等は加工作業が困難なことや型割りが複雑なこと、また、洗浄が困難な事、高屈折率光学ガラスが高価であったことで、彫刻などの加工は全て容器外面へ行うのが常識であった。その主な理由は、屈折率の低い従来の鉛ガラスなどで内面への彫刻を行うと、水を容れたときに全く光らなくなるという理由によると思われる。本手段の一例では、絶対屈折率が1.886以上の容器壁面の内側に内壁面に二反射面のなす角度を2θとするときθの値が30度にω/3を加えた角度以上で、90度からωを引いた値以下の角度でV字型に切れ込みを設けたり、あるいは錐形の凸部を設けたりすることで水を入れた時も、入れない時も容器外面からの入射光を常に再帰全反射させることができる。
【0036】
第十四の手段は、低屈折率物質との臨界角度をαとして、内壁面に二反射面のなす角度を2θとするときθの値が30度に空気の場合α/3を加えた角度以上で、90度からαを引いた値以下の範囲の角度の凸部が観察者と反対側へ向けて設けて構成した容器において、該内面凹凸を可視光透過可能な素材で覆い、凹凸間隙に低屈折率物質をシールすることを特徴とする容器。
【0037】
本手段では、容器内面の凹凸に透明な素材で空気や油等の屈折率の低いものをシールすることで、前記第十三の手段と同様の効果を得ることができる。
【0038】
第十五の手段は、空気と内容物の臨界角が45度以下の食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器において、空気と内容物の臨界角をαとし、壁面がなす角度を2θとするとき錐部の縦断面における壁面の角度(2θv)のθvの値が30度にα/3を加えた角度未満であって、錐形状の横断面形状が多角形で、該多角形の辺と辺がなす角度を2θhとするときθhの値が30度にα/3を加えた角度以上で、90度からαを引いた値以下の範囲の角度であることを特徴とする食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0039】
本手段の一例では、表2、表3中の物質で、錐部角度が60度の多角錐で、六角錐形状は、絶対屈折率(n0)が2以上の媒質を用いる場合に望ましい。五角錐形状は、n0が1.702以上の媒質、同じく四角錐形状では、n0が1.415以上の媒質、また、正四面体(正三角錐)の場合は臨界角45度以下の媒質であれば制限はない。このように構成することで、上面の観察面からの反射光が全反射しなくなる位置の壁面からの入射光を対向する壁面で全反射させて観察面方向へ放射させることができ、下部からの色や光を均一に、光の抜けによる減衰を最低にして混ぜることが可能となる。
【0040】
第十六の手段は、錐部の一部に光を取り入れる入射窓を設けた空気と内容物の臨界角が45度以下の食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器において、錐部の二反射面のなす角度を2θとするとき、θを45度としたことを特徴とする食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0041】
錐部の一部に光を取り入れる入射窓を設けた場合、入射窓からの観察面に平行な光の錐部壁面への入射角が臨界角以上となるように構成する場合、観察面への再帰反射条件、即ち、光の媒質の臨界角をαとし、辺と辺がなす角度を2θとするときθの値が30度にα/3を加えた角度以上で、90度からαを引いた値以下の範囲の角度であり、入射窓からの入射光が全反射する条件、即ち、90度からαを引いた値以上の両方の条件を同時に満たすθの値は45度である。即ち錐部の辺がなす角は90度である。入射窓付近に光源がある場合、観察面からの入射光を再帰全反射するとともに、入射窓からの光を全反射して観察面に混合することができる。但し、入射窓への光の供給が入射窓から取る場合は、θを第二の手段に構成するのが望ましい。
【0042】
第十七の手段は、一部が内部に空洞を有する円柱形状の容器において、空気と内容物の臨界角の2倍以上180度未満の角度を鏡面で覆ったことを特徴とする内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【0043】
本手段の一例では、胴部が円柱状のガラスボトルがある。胴部曲面のラベルの裏面に金属箔を貼ることで対向する面に入射光を再帰させることができる。この時、ボトル横断面曲面の接線と視線とのなす角度が90度から空気と内容物の臨界角を引いた角度以下の場合は全反射する。即ち、断面の円中心点からラベル端部を直線で結んだラベルの角度が空気と内容物の臨界角度の2倍以上であれば視線方向からの平行光を再帰全反射させることができる。通常、内容物の屈折率が空気の屈折率よりも高いため鏡面で覆う範囲は、空気と内容物の臨界角度の2倍以上180度未満となる。
【0044】
第十八の手段は、空気と食品の臨界角が45度以下の結晶状食品において、結晶の角部を破壊、研磨または溶解させて空気と食品の臨界角未満に変形させる工程と、表層を水または水溶液で洗浄する工程と、乾燥工程と、乾燥工程で再結合した結晶を振動や加圧等の外力によって分離する工程を含むことを特徴とする可視光透過可能な食品の製造法及びその食品。
【0045】
本手段一例では、塩や砂糖の立方形または直方形結晶を光らせるためには、角部を研磨するか、あるいは角部を破壊、または溶解させ、光の入射、放射面を形成させる必要がある。但し、製造又は搬送工程中に食品の角部を十分変形させるような破壊等があった場合は食品の変形工程を設ける必要はない。また、再帰反射させるためには、光の反射面、入射面及び放射面に加工や搬送によるキズや結晶成長過程でできた余分な凹凸のない透明な面でなければならない。そのためには、一旦製造した食品結晶を水やショ糖水溶液で表層を溶かして凹凸を平坦にする。更に、冷風乾燥機で水分を蒸発させ、振動や加圧で再結合した結晶を分離する。乾燥時間をできるだけ短じかくなるように、風量や温度、結晶間隔を調整することが望ましい。乾燥に時間が掛かると結晶表層のショ糖水が再結晶化し、表面に細かい凹凸が生じる。更に、光る結晶が少ない場合は、光らないものを選別で除外して乾燥剤とともにビニール袋に少量ずつ封入することで光る塩や砂糖が提供できる。また、塩の場合、岩塩や天日干しの塩には不純物が多く含まれ、結晶の透明度が良くない。精製された粗塩が望ましい。精製された塩の結晶も多くは、角が欠けていたり、削れていたりしており、不完全な結晶形状をしているものが多い。また、表面には多くのキズがありそのままでは光ることは少ない。そこで、水や塩水で洗浄して乾燥させることで、細かなキズが埋まり、多くは結晶の角が丸くなっているため再帰反射光で光る。また、塩も砂糖も原料の結晶サイズは3mm〜7mm程度が望ましい。それよりも小さいと洗浄時に溶ける割合が高すぎて歩留まりが悪い。また、それよりも大きいと結晶に大きな傷がついていることが多く、洗浄だけでは傷を隠すことが困難になる場合がある。
【0046】
第十九の手段は、精製されたショ糖または食塩を加熱溶融させ型で成形し、冷却固化させることを特徴とした可視光透過可能な食品の製造法及びその食品。
【0047】
本手段の一例では、透明な状態まで精製したショ糖結晶を金型に充填し、摂氏170度付近まで加熱した過熱水蒸気や過熱アルコール蒸気中でショ糖結晶を溶融させ、再び冷却して固化させることで、酸化を防止してカラメル化による褐変を抑制して透明度の高い複雑な形状の固形ショ糖を得ることができる。この時、加熱時間、及び/または、空気と過熱蒸気との割合を変化させることで固形ショ糖の色の濃度を制御することができる。温度を170度C付近に固定した場合、溶融して液状化した状態で長時間酸素に暴露することで酸化が進むため、色を薄くしたい場合は、できるだけ最高温度を溶融温度ぎりぎりで高くしない、加熱はできるだけ短時間にして、酸素をできるだけ少なくするのが望ましい。また、塩化ナトリウムは、精製された食塩結晶を摂氏801度以上で溶融させ、セラミックの型に入れて冷却・固化させることで所望の形状に成形することができる。成形後水で洗浄して細かい凹凸を平にして冷風乾燥すると光る成形食品ができる。食塩結晶は精製されたものが望ましい。岩塩などは不純物が多く透明度が低いことが多い。
【発明の効果】
【0048】
表2の綿実油、大豆油、胡麻油、オリーブ油等の家庭用調理油や糖度が高い蜂蜜や、表にはないが飴やゼリー、寒天菓子など糖度を上げたり酢を加えたりすることで屈折率を上げることができる。絶対屈折率が1.415を超えると空気との臨界角が45度以下になる。このような食品は数2の容器の面の角度(θ2)の範囲、具体的な品目は表2の範囲にあるようにすることで再帰全反射させることができるため、例えばθ2を45度にすれば普通の鏡とは左右または上下反対に写る鏡となり商品に意外性を付与することができ広告効果が期待できる。また、水やアルコール飲料のような屈折率の低い食品は、数1の条件で鏡を設けることで壁面の全反射部分を活かして液面や開口面全体を光らせることができる。特に、効果が大きな範囲は表1の全反射面積の開口面積に占める割合(R1及びR2)が75%(直径で50%)以上であり、開口角2×θ1が20度以上のものが一般的に多く使用されているグラスの角度である。また、屈折率が水に近いものはθ1が11度〜13度範囲はR2及びL2の条件と14度〜30度の範囲はR1及びL1の条件が望ましい。油の場合は、15度まではR2、L2の条件で構成するのが望ましい。また、逆に全反射しない角度の容器壁に鏡を貼り付けることで同様の効果が得られる。ボトルなどの製品ラベルの裏面に金属を蒸着して鏡にすることで反対側が全反射で光るため、前方のみならず製品の360度からの意匠効果を与えることができる。無色透明な内容物の場合、金や銅を蒸着するとより意匠的効果が高まる。内容物が色つきの場合は、銀やアルミの蒸着が望ましい。また、凹面鏡を使用すると内容物の一部が浮き上がって見える効果も演出できる。更に、企業のロゴ等をレインボーホログラフにして反射面に提示して白色光で照らすことで擬似立体画像や3D画像を浮かび上がらせることができる。また、従来、ガラス工芸品の特に花瓶や水差し等の容器に於いては容器壁外面に彫刻していた。しかし、外面への切り込みでは容器の上部の水面から見ると側壁が光って見えるが、容器壁外面から見たときの光り方が少なかった。容器収納時や陳列時にはほとんど上部から見ることはなく、外部から側壁外面を眺めることが多く壁面の外面への再帰反射が求められていた。そこで、容器壁内面に再帰反射条件の角度で彫刻し凹部を作成したり錐形や三角形断面の稜線をもった凸部を形成したりすることで容器外側面から見た時に再帰全反射で側壁面がキラキラ輝く。また、高屈折率ガラスを用いると水を入れても外側面が輝く。また、壁面を2重にして凹凸部に空気をシールすれば低屈折率のガラスでも同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一例を説明するための説明図である。
【図2】本発明の一例を説明するための説明図である。
【図3】本発明の一例で、実施例1を説明するための斜視説明図である。
【図4】本発明の一例で、実施例1を説明するための斜視説明図である。
【図5】本発明の一例で、実施例1を説明するための斜視説明図である。
【図6】本発明の一例で、実施例1を説明するための斜視説明図である。
【図7】本発明の一例で、実施例2を説明するための斜視説明図である。
【図8】本発明の一例で、実施例3を説明するための説明図である。
【図9】本発明の一例で、実施例4を説明するための斜視説明図である。
【図10】本発明の一例で、実施例4を説明するための斜視説明図である。
【図11】本発明の一例で、実施例5を説明するための断面説明図である。
【図12】本発明の一例で、実施例5を説明するための斜視説明図である。
【図13】本発明の一例で、実施例5を説明するための斜視説明図である。
【図14】本発明の一例で、実施例5を説明するための斜視説明図である。
【図15】本発明の一例で、実施例5を説明するための斜視説明図である。
【図16】本発明の一例で、実施例6を説明するための斜視説明図である。
【図17】本発明の一例で、実施例6を説明するための斜視説明図である。
【図18】本発明の一例で、実施例7を説明するための側面断面説明図である。
【図19】本発明の一例で、実施例8を説明するための斜視説明図である。
【図20】本発明の一例で、実施例9を説明するための斜視説明図である。
【図21】本発明の一例で、実施例10を説明するための斜視説明図である。
【図22】本発明の一例で、実施例11を説明するための斜視説明図である。
【図23】本発明の一例で、実施例12を説明するための側面断面説明図である。
【図24】本発明の一例で、実施例12を説明するための側面断面説明図である。
【図25】本発明の一例で、実施例12を説明するための側面断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の詳細を下記実施例の中で説明する。図1、図2、表1、表2、数1及び数2は下記実施例に共通して原理説明のため使用する。また、中白抜き矢印は入射光及び再帰反射光を示す。
【実施例1】
【0051】
本実施例は本発明の一例である。図3は、リキュールグラスに応用した例を示す斜視説明図である。301は光の入射面、302は反射面1、303は反射鏡、304は足、305は反射面2である。図4は、鏡を平面鏡とした場合の斜視説明図である。401は入射面、402は反射面1、403は反射鏡、404は反射面2である。図5は図3の足(304)の代わりにホルダに変更した斜視説明図である。501はグラス、502は反射鏡、503は足、504はホルダである。図6は図5の容器(501)の別の形状を示した斜視説明図である。601は入射面、602は側壁、603は反射面1、604は反射鏡、605は反射面2である。
【0052】
リキュールグラスの材質は透明ガラスまたは透明アクリル樹脂で、角度(θ1)は表1の12度(壁面角度は24度)、反射鏡(303)の位置は足(304)を除いた高さの24%位置から底部までをカバーする。反射鏡は銅の蒸着で鏡面を形成したものである。入射面(301)から入射した視線に平行な光は反射面1(302)の先端で反射し反射光は、入射角が水と空気の臨界角以上のため再度反射面2(305)で反射して反射鏡(303)上端に達する。反射鏡で反射を繰り返した光は図1のごとく再度反射面に戻り再び観察者側に再帰する。このように反射光が臨界角以下になる以前に鏡で反射させてやることで、少ない鏡面積で、壁面での全反射を活かして水面全体が全反射して銅色の金属光沢で光ることとなる。但し、再帰光は非結像型の集光を用いるため像として観察することはできない。また、鏡(303)は図の様な円錐形以外にも平面鏡や凹面鏡であっても良い。円錐の内面を鏡面とした鏡や凹面鏡(403)の場合では斜めからの入射光も集光できるため液面をより明るく光らせることができる。特に半球型の凹面鏡が望ましい。また、図5のようにホルダで支持することで底部からの光の漏れを防止することができる。底部に足のあるグラスでは底部が側壁部に比べて厚くなることが多く、ガラスの内部を通って光が抜け易くなり液面が暗くなることが多い。しかし、図5のようなホルダを用いる場合、容器底部壁を均一な厚さでしかも角度も正確につけることができ、光の漏れを最小にして液面を明るくすることができる。また、グラス形状を図6のように円柱状の側壁(602)を設けることで内容量を増加させて、しかも同等の視覚効果を得ることができる。
【実施例2】
【0053】
図7は高さ4〜5mmのショ糖結晶に応用した一例を示した斜視説明図である。701は入射面、702は台、703は反射面1、704は反射面2である。
【0054】
固形ショ糖を空気との臨界角は45度以下として鏡を用いることなく再帰全反射を実現できる。本実施例では反射面(702、703)の視線との角度(θ2)を表2の糖度80%以上より44度以上、47.8度以下とした三角柱を直方体(702)に起立させて接合した形状とした。入射面(701)から入射した視線に平行な光は反射面(702、703)で反射し入射面(701)に再帰してキラキラ光る。氷砂糖をケーキ上に散りばめる時にはケーキ表面にチョコレートやホイップクリームが塗られているため三角柱の氷砂糖の場合は表面に油などが付着して思うように光らない。そこで、直方体の台(702)を付けることで、振り掛けたときに台のために重心が下に下がり台(702)からクリームやチョコレートに着地することになり多くを起立状態にして光らせることができる。水飴に多量のショ糖を入れて型に流して固めて製造することで、光る金平糖様透明飴が実現できる。
【0055】
ショ糖を複雑な形状に加工する場合、従来ショ糖の飽和水溶液中で結晶を成長させたり、回転釜で回転させながらショ糖水溶液を掛けて結晶を成長させたりしていた。それ以上複雑な形状にする場合は、結晶を研磨したり、切削したりして所望の形状を得るしか方法がなかった。しかし、加工すると加工の工数が掛かることや、加工面にキズができるため透明度の高い固体を得るには更に、洗浄や乾燥といった工程が必要となる。今回、フッ素樹脂加工した金型にグラニュー糖の結晶を充填し、過熱水蒸気により摂氏170度付近まで加熱することで、低酸素濃度雰囲気で、ショ糖結晶を溶融させ、冷却、固化させることで褐変が少ない透明度の高い固形ショ糖を得ることができた。金型を先端角度をショ糖と空気の臨界角に基づく再帰反射角としたダイヤモンドのブリリアントカット様の形状にすることで、キラキラ輝くショ糖が実現する。
【実施例3】
【0056】
本実施例ではショ糖の結晶の製造に応用した一例を示す。図8は、白双糖を選別する工程を示す説明図である。801は光センサ、802はレーザー、803は白双糖、804はシューター、805はエアノズル、806は容器1、807は容器2である。
【0057】
ショ糖の結晶は空気との臨界角が45度以下で、直方体形状のため奥の角部で反射した光は手前の角部で再度反射するため、再帰反射光が観察者側に届かない。そこで、結晶を適度に研磨して角の一部を平らにすることで、入射面を作り、内部での全反射光を再帰反射させることができる。あるいは、結晶に外部から圧力を加えて結晶の角部を破壊または、結晶の角部を溶解させて空気とショ糖の臨界角以上に角部角度を変形させることで反射光が手前に抜けて再帰する。結晶化工程中で表面に余分な凹凸の付着、搬送工程中の表面への傷、更に、結晶への加圧による加工傷ができる。これらの表面の細かい凹凸のため透明度が悪く白濁している。白濁した表面を水やショ糖水溶液で洗浄することで、表層を溶かし、細かい凹凸を平坦にする。更に、冷風乾燥機で乾燥させた後、振動や加圧で再結合したショ糖結晶を分離する。光らないものを選別で除いて少量ずつ乾燥剤とともにビニール袋に入れて緩衝材で梱包する。図8は自動選別工程を示す図である。シューター(804)から白双糖(803)を落下させ、レーザー(802)により照射した反射光を光センサ(801)で受光して反射強度の差により強度の低いものをエアノズル(805)からエアーで飛ばして容器2(807)に回収する。反射強度の高いものだけが容器1(806)に残る。また、手での選別の場合では、反射光の強いものを吸引機で吸引するか、あるいは、光らないものをエアガンで吹き飛ばす方法が有効である。白双糖は、結晶サイズが3〜7mm程度の直方体で比較的大きなショ糖の結晶である。このサイズの結晶は製造及び搬送工程中に高い確率で角部が削れ、削れた面から入射光が再帰全反射して光る結晶の割合が非常に高いため選別工程を省くことができる。
【実施例4】
【0058】
図9は食用油とその容器に応用した一例を示す。901は入射面、902は反射面1、903は反射面2である。図10は別の形状の容器に応用した例を示した斜視説明図である。1001は反射面2、1002は入射面、1003は反射面1である。
【0059】
家庭用食用油の空気との臨界角は表2より約42.8度付近で45度以下のため鏡を用いることなく再帰全反射を実現できる。本実施例では図8の反射面(902、903)及び図9の反射面(1001、1003)の視線との角度(θ2)を表2より44.2度以上、47度以下とした。望ましくは45度で、この場合正像が観察できろ。ペットボトル等の場合、角部をしっかり角にすることが困難なため角部の曲面になる部分に金属箔などの鏡面を形成することが必要となる。この場合、角部の角度と鏡部の位置を表1の如く構成することが望ましい。また、ガムシロップの容器にも応用できる。
【実施例5】
【0060】
本実施例はボトル入り液体とその表示ラベルに応用した一例である。図11は本実施例の一例を示すボトルに貼り付けるラベルの断面説明図である。1101はインク、1102はフィルム、1103は金属蒸着反射鏡、1104は透明な粘着剤、1105は透明なガラス、1106は内容物、1107はレインボーホログラムである。図12は切頭三角柱の切頭面にラベルを貼った例を示す斜視説明図である。1201は入射面、1202は反射面2、1203は図11のラベル、1204は反射面1、図13は面角度を大きく取ったボトルとラベルの斜視説明図である。1301は入射面、1302はラベル1、1303はラベル2である。図14は円柱状のボトルとラベルの斜視説明図である。1401は入射面、1402はラベルである。図15は反射面の一部にラベルを貼った例を示す斜視説明図である。1501は入射面、1502はラベル1、1503はラベル2である。
【0061】
本実施例はラベルを貼った透明ガラスボトル入りの化粧水や高級焼酎への応用例である。ボトルに貼るラベルは図11にあるように表面にはインク(1101)でフィルム(1102)に文字や情報を表示しており、その裏面には銀を蒸着して鏡面(1103)を形成し、更に鏡面上に金属箔に可視光の波長の1〜数倍の間隔で凹凸を付けたレインボーホログラムを貼り付け、更に透明な粘着層(1104)でボトル壁(1105)外面に貼り付ける。図12は反射面1及び2(1204、1202)を図1の容器側壁(101、102)と考えた場合、数1のL1相当の位置に反射鏡面(ラベル裏面:1203)がくるような切頭面を形成して切頭面にラベルを貼付する。面角度を大きく取った図13のボトルでは、内容物の屈折率が水と同等の場合、視線と面のなす角θ2は表2より41.4度以上であればボトル壁外面に貼付した鏡面(1302、1303)に入射光が到達し、反射されて再帰全反射となる。また図14のボトル形状が円柱の場合、断面円の接線と視線とのなす角が90度からボトル内容物の空気との臨界角を引いた角度を超える角度範囲を鏡面(1402)で覆うことにより視線に平行な光を再帰全反射させることができる。即ち、円柱状ボトルの内容物が水の場合、空気と水との臨界角の2倍以上(円断面の約98度)以上を鏡で覆うだけで視線方向からの光を全反射させることができる。更に、図15のような面角度が小さいボトルでは、角部稜線から数1及び表1のL1またはL2位置までを裏面が鏡面のラベル(1502、1503)を貼付することで再帰全反射が実現できる。上記いずれの場合でも入射面(1201、1301、1401、1501)が銀色に全反射して美しく光ると同時にレインボーホログラムに記録された企業のロゴやキャラクタの3D画像が液面に浮かび上がることで大きな視覚効果を得ることができる。また、ホログラムの以外でも、入射面(1201、1301、1401、1501)外面に光透過型画像切り替えレンチキュラーシートを貼付すれば、ラベル裏面からの反射光をバックライトとして2枚の画像が見る角度で切り替わり、そのボトルの前を通る消費者に大きな視覚効果を与えることができる。
【実施例6】
【0062】
本実施例は蜂蜜とその容器及び化粧箱に応用した一例である。図16は蜂蜜とその収容状態の透明な内容器の斜視説明図である。1601は内容器の側面1、1602は側面2、1603は側面3、1604は側面4である。図17は図16の内容器を収納する化粧箱の斜視説明図である。1701は画像提示面2、1702は反射面2、1703は反射面1、1704は外箱、1705は画像提示面1である。
【0063】
本実施例では、三角柱の透明なガラス容器に蜂蜜を容れ、内容器の側面1(1601)と外箱の画像提示鏡面1(1705)、同様に、側面2(1602)と反射鏡面1(1703)、側面3(1603)と反射鏡面2(1702)、側面4(1604)と画像提示鏡面2(1701)が対応するように収納する。例えば外箱の画像提示鏡鏡面1(1705)に左眼用の立体画像写真を提示し画像提示鏡面2(1701)に右目用の立体画像写真を提示することで、反射鏡面(1703、1702)に反射してその反射像が左右の眼に隔離されて届くため立体画像を提示することができる。視線と内容器壁面との角度を30度にして表1及び図1のL1〜L0相当位置に鏡面上に提示された立体画像と反射鏡で全反射して光る界面に立体画像が表示されることで更なる視覚効果が得られる。
【実施例7】
【0064】
図18はカクテルグラスに応用した例を示す側面断面説明図である。1801はカクテルに浮かべた花、1802はカクテルの液面、1803は凹面鏡、1804は足である。
【0065】
銀製またはアルミ製のカクテル用容器で形状が球面の凹面鏡になるように表面を磨いて鏡面仕上げをして作成する。また、凹面のアクリルやガラスに金属を蒸着して作成しても良い。容器形状は通常使用状態でカクテルを注いだ液面(1802)が底面中心と球の中心を結ぶ線上の1/2位置と球の中心の間にくるような形状が望ましい。即ち、半径をrとし、部分球面形状の場合、容器深さをd1とした場合、数3の条件を満たす容器。本実施例では、深さはできるだけ球半径に近いほうが大きく見えるので良いが、浮遊物の上端が球半径以下でなければならないため、浮遊物直径10mmとして球半径50mm、深さ40mmとした。この条件の場合は液面上の浮遊物(1801)が逆さまに液面から浮き上がって見える。背面の全反射の中で、液面から浮遊物が浮いて見えることで大きな視覚効果が得られる。
【0066】
【数3】

【実施例8】
【0067】
図19は透明なゼリー食品とその容器に応用した一例を示す斜視説明図である。1901は窓、1902はゼリー、1903は凹面容器壁1、1904は凹面容器壁2、1905はサクランボである。
【0068】
凹面形状のプラスチック容器内面にアルミ蒸着して上下の二鏡面を形成し、透明なゼリー(1902)とサクランボ(1905)を2凹面(1903、1904)中に入れて固めた製品である。二鏡面(1903と1904)は同曲率である。上部凹面鏡には曲面中心に同心円上に円形の窓(1901)が設けられ、サクランボが上部凹面容器(1903)の焦点と凹面鏡面の間で焦点に近い位置にあって下部凹面鏡(1904)の容器底面中心と下部凹面鏡の焦点の間にくるように構成する。凹面鏡の深さ(容器高さの半分)d2、焦点距離をfとし、容器径をΦ、窓開口直径をw、サクランボ直径をδとしたとき、それらの関係は数4となる。そこで、サクランボ直径を7mmとし、焦点距離を25mm、窓開口径13mmとし、半容器深さを10mm(全高は20mm)、容器径を60mmとした。この関係で構成することでサクランボが容器の窓の上に浮かび上がって見え、意外性を与え商品の広告効果を揚げることができる。
【0069】
【数4】

【実施例9】
【0070】
図20は装飾品に応用した一例を示す斜視説明図である。2001はガラス、2002は台、2003は金箔である。
【0071】
本実施例では、台(2002)に内面に金箔を貼り付けた円錐形の凹部(2003)を設け、その凹部に角部が嵌合する円錐形の透明ガラスを数1のL0からL1またはL2位置までを台部に嵌合させた構成のブローチ、小物入れ、時計、腕輪、耳輪、指輪、置物、衣服のボタンなどの装飾品及び小物である。ガラス部(2001)の側壁面はL1またはL2上部まではガラス内部で全反射しそこから下部ではガラス外部に透過して金箔鏡面で反射し、反射光を入射面に再帰させる。通常の宝石やガラス細工ではできるだけ内部での全反射を多くするような角度構成になっているが、本発明では、全反射しない位置ができるような角度にして金箔等の美しい光沢を付与することができ、金箔の光沢に全反射の輝きを加えて金箔やガラス玉そのものよりも美しく輝くことで宝石のような視覚効果を与えるため、宝石代替品としても使用できる。また、本手段では非結像型集光鏡になっており、金箔部(2003)に金や銀やプラチナ等の多種類の材質を帯状やスペックル状に配置することで、それらの色や質感を均等に混合した反射光を得ることができ、色や質感の混合表示器として使用することができる。また、金箔部(2003)は金属メッキ、金泥塗布、真空蒸着加工しても良い。更に、金箔部はガラス部(2001)に設けても良い。また、2003部を半球にし、台凹部は少しサイズの小さい嵌合する形状とすれば、容易に嵌め外しが可能となり、多色揃へて台に多数並べることで光るステンドグラス様オブジェができる。更に、台(2002)に凹と凸部を設けることで光るブロック玩具が実現できる。金箔鏡面部(2003)を銀箔とし、その一部を非鏡面部とし光を透過させることで、台の嵌合凹部内の色を鏡の光沢と均一に混合して反射光を入射面に混合表示することができる。
【実施例10】
【0072】
図21は、本実施例の一例を説明する斜視説明図である。2101はカクテルグラス、2102は反射鏡、2103は錘である。
【0073】
本実施例では、従来のカクテルグラスの飲料収容部底部に製造後に鏡を入れることができる鏡部材である。カクテルグラス(2101)の壁面の角度と反射鏡(2102)の直径に応じて表1に記載の臨界角内の全反射面が得られる。材質はガラスまたはアクリル樹脂に上面を金属蒸着して鏡面を形成したものである。錘(2103)部側面を曲線で構成することでフィットするグラス角度の範囲を広げることができる。鏡面(2102)に複数の色や光沢が異なる金属薄膜を形成することで所望の色と光沢を液面に表現することが可能となる。鏡面は凹面であっても、錐形内面形状であっても平面であっても良い。
【実施例11】
【0074】
図22は、本実施例の一例を説明する斜視説明図である。2201は銅箔、2202は凹部、2203は氷である。
【0075】
本実施例では、パーティー会場などで使用する皿等に氷を敷いて刺身などを提供するための、氷スタンドに応用した例を示す。スタンドの凹部(2202)に先端から表1のL1またはL2位置まで嵌合する錐形に氷(2203)を型で製氷し、スタンドの凹部(2202)に嵌めて皿の上に並べる。その氷の上に食品を並べる。氷(2203)の入射面に銅箔(2201)の銅の色と光沢が一面に光って見えることで美しさを演出できる。
【実施例12】
【0076】
本実施例では、高屈折率ガラスやキュービックジルコニア等を用いた花瓶や飲料用グラスなどの容器に応用した一例を示す。図23、図24及び図25は本実施例の側面断面説明図である。2301及び2401はV字型切り込み、2302及び2404はボトル壁内面、2303は凸部、2304及び2405は壁面ガラス2402は透明アクリルカバー、2403は透明接着層である。2501は内容器、2502は反射凸部、2503は外容器、2504はガラス用光硬化接着剤である。表3は本実施例に使用する材質の臨界角とその使用可能範囲の一例を示したものである。光学ガラスA、B、Cは実在の製品の値である。βはシリコンオイルとの臨界角である。ωは水との臨界角である。
【0077】
【表3】


【0078】
従来、ガラスの花瓶や飲料用グラスへの装飾は、容器外面への切り込みによる装飾が常識であった。しかし、外面への切り込みでは容器の上部の水面から見ると側壁が光って見えるが、容器壁外面から見たときの光り方が少なかった。容器収納時や陳列時にはほとんど上部から見ることはなく、外部から側壁外面を眺めることが多く壁面の外面への再帰反射が求められている。そこで図23では、表3のような高屈折率のガラス、光学ガラスAの容器内面(2302)にV字角度が82度以上117度以下の切り込み(2301)で模様を形成することで外部からの平行入射光を再帰全反射させ、外から見るとキラキラ光る外面を形成することができる。また、円錐状の凸部(2303)を設けても同様の効果を得ることができる。また、図24では低屈折率のアクリルやガラスで構成する場合は、凹部(2401)や凸部(図示せず)を透明なアクリル(2402)やガラスで凹凸部に空気またはシリコンオイルをシールすることで同様の効果が得られる。また、同時に、容器内面の洗浄を容易にすることができる。屈折率は空気、水、シリコンオイルの順で大きくなるため、空気をシールする場合は、表3のω関連の値で、シリコンオイルをシールして用いる場合は表3のβに関する値の範囲で構成することで、内容物としての水の有り無しに係わらず外面を光らせることが可能となる。内面への加工では、ガラスに模様を彫刻加工または中具を割り型にして型で模様をプレス加工し、加工面が内側になるようにガラス容器外面にガラス接着剤で接着するか、又は、彫刻や金型で加工した反射凸部を設けた外容器(2503)の内側に内容器(2501)を設け、底面をガラス用透明光硬化接着剤(2504)で接着することで側面への再帰反射可能な光る容器が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
透明または半透明な食品、コップや皿などの食器および透明または半透明な食品容器、花瓶、化粧品の容器等液体を入れて使用する容器、ブローチ、小物入れ、時計、腕輪、耳輪、指輪、置物、ガラス工芸品、ブロック玩具、衣服のボタンなどの装飾品及び小物。
【符号の説明】
【0080】
a〜p 説明図の座標を表す点
D0、D1、D2 反射鏡の開口半径
L0 反射鏡の全長
L1、L2 反射点までの長さ
θ1、θ2 鏡面の角度
r 球の曲率半径
d1、d2 凹面鏡の深さ
f 凹面鏡の焦点距離
δ サクランボ直径
w 窓開口径
Φ 容器径
n0 絶対屈折率
α、β、ω 臨界角
S0、S1、S2 D0〜2の面積
R1、R2 非鏡部分の割合
101、201、102、202 容器側壁
301、401、601、701、901、1002 入射面
1201、1301、1401、1501 入射面
302、402、603、703、902、1003、1204、1703 反射面
305、404、605、704、903、1001、1202、1702 反射面
303、403、502、604、1103、2102 反射鏡、
304、503、1804 足、
501、2101 グラス
504 ホルダ
602、1601、1602、1603、1604 側面
702、2002 台
801 光センサ
802 レーザー
803 白双糖
804 シューター
805 エアノズル
806、807 容器
1101 インク
1102 フィルム
1104、2403、2504 透明な接着層
1105、2001、2304、2405 ガラス
1106 内容物
1107 レインボーホログラム
1203、1402、1302、1502、1303、1503 ラベル
1701、1705 画像提示面
1704 外箱
1801 カクテルに浮かべた花
1802 カクテルの液面
1803 凹面鏡
1901 窓
1902 ゼリー
1903、1904 凹面容器壁
1905 サクランボ
2003 金箔
2103 錘
2201 銅箔
2202 凹部
2203 氷
2301、2401 切り込み
2302、2404 ボトル壁内面
2303 凸部
2402 アクリルカバー
2501 内容器
2502 反射凸部
2503 外容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察面からの平行な入射光が可視光透過可能な壁面と外部の境界面で再帰全反射することを特徴とする食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器と製法。
【請求項2】
反射鏡を入射光が空気と内容物の臨界角以上になる位置に壁面に該鏡面を貼り付けて構成しことを特徴とする請求項1に記載の装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項3】
縦に切断した壁内断面の二壁内面のなす角度が食品または内容物と空気の光学的臨界角に基づいて入射面からの平行な入射光が壁面で再帰全反射となるような角度に容器形状を構成したことを特徴とする請求項1に記載の装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項4】
反射面が焦点を形成する凹面であることを特徴とする請求項1または2に記載の装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項5】
空気との界面断面形状がW型であり、左右のV型面の各一面に画像を配置し、その対面は反射鏡を設け両反射画像は左右に離れた眼の位置で観察することで互いに補って立体情報を提供する画像であることを特徴とする請求項1または2に記載の装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項6】
内容物空気界面と内容物の入る部分の可視光透過可能な容器で形成する少なくとも一部の形状が、円錐または多角錐または多角柱であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項7】
円錐または多角錐または多角柱の観察面と対向する角部を切った切頭円錐、切頭多角錐または切頭多角柱であり、切頭面に鏡を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、5または6に記載の装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項8】
空気と内容物の臨界角が45度以下の食品または内容物を収納した容器において、該臨界角度をαとし、二反射壁面のなす角度を2θとするときθの値が30度にα/3を加えた角度以上で、90度からαを引いた値以下の範囲の角度に構成したことを特徴とする請求項1、2、3、5、6または7に記載の食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項9】
観察面に可視光の波長近くの間隔で凹凸を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項10】
反射面がなす角部または稜線が直接空気に接するように保持して起立せしめる起立手段を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の装飾品、食品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項11】
錐または柱状の角部内面に嵌合する形状で上面に反射鏡を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、5、6、7、8、9または10に記載の内容物収容部が可視光透過可能な容器の反射部。
【請求項12】
空気と内容物の臨界角が45度以下の結晶状食品または結晶状食品の一部の角部を研磨または破壊して入射面を作り、光照射とその反射光の強度を測定して強度により選別することを特徴とする請求項1、6、7または8に記載の食品の製法とその食品。
【請求項13】
内容物収容部の絶対屈折率が1.886以上の可視光透過可能な素材で構成される水または水混合物を収容する容器において、水と容器の臨界角度をωとして、内壁面に二反射面のなす角度を2θとするときθの値が30度にω/3を加えた角度以上で、90度からωを引いた値以下の範囲の角度の凸部が観察者と反対側へ向けて設けて構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の容器。
【請求項14】
低屈折率物質との臨界角度をαとして、内壁面に二反射面のなす角度を2θとするときθの値が30度に空気の場合α/3を加えた角度以上で、90度からαを引いた値以下の範囲の角度の凸部が観察者と反対側へ向けて設けて構成した容器において、該内面凹凸を可視光透過可能な素材で覆い、凹凸間隙に低屈折率物質をシールすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または13に記載の容器。
【請求項15】
空気と内容物の臨界角が45度以下の食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器において、空気と内容物の臨界角をαとし、壁面がなす角度を2θとするとき錐部の縦断面における壁面の角度(2θv)のθvの値が30度にα/3を加えた角度未満であって、錐形状の横断面形状が多角形で、該多角形の辺と辺がなす角度を2θhとするときθhの値が30度にα/3を加えた角度以上で、90度からαを引いた値以下の範囲の角度であることを特徴とする請求項1、2、3、6、7、8、9、10、13または14に記載の食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項16】
錐部の一部に光を取り入れる入射窓を設けた空気と内容物の臨界角が45度以下の食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器において、錐部の二反射面のなす角度を2θとするとき、θを45度としたことを特徴とする請求項1、3、6、7、8、9、10、13、14または15に記載の食品、装飾品または内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項17】
一部が内部に空洞を有する円柱形状の容器において、空気と内容物の臨界角の2倍以上180度未満の角度を鏡面で覆ったことを特徴とする請求項2に記載の内容物収容部が可視光透過可能な容器。
【請求項18】
空気と食品の臨界角が45度以下の結晶状食品において、結晶の角部を破壊、研磨または溶解させて空気と食品の臨界角未満に変形させる工程と、表層を水または水溶液で洗浄する工程と、乾燥工程と、乾燥工程で再結合した結晶を振動や加圧等の外力によって分離する工程を含むことを特徴とする請求項1または3に記載の可視光透過可能な食品の製造法及びその食品。
【請求項19】
精製されたショ糖または食塩を加熱溶融させ型で成形し、冷却固化させることを特徴とした請求項1または3に記載の可視光透過可能な食品の製造法及びその食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−159085(P2010−159085A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51333(P2009−51333)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(507275604)株式会社ミツヤコーポレーション (10)
【Fターム(参考)】