説明

装飾用壁面パネルおよび壁面パネルユニットならびに装飾壁面

【課題】波板形状を利用して壁面への位置決めや配置や取付が容易で、装飾性に優れた装飾用壁面パネルを提供する。
【解決手段】壁面に複数枚が並べて取り付けられる装飾用壁面パネルであって、弾性を有する薄板状のパネル本体11に、山部12m、谷部12vが一定ピッチで反復形成された波形部12と、この波形部12の横断方向の両側で山、谷部12m,12vの頂部の長さ方向に沿って形成された平坦面13とを具備するとともに、パネル本体11が、平坦面13の外縁で山、谷部12m,12vの頂部に平行に形成された平行辺14Bと、波形部12の山、谷部12m,12vを直角に横断する横断辺14Aとで正面視が矩形状に形成され、平坦面13が谷部12vの頂部と略面一に形成されて壁面に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に容易かつ強固に取付可能な装飾性の高い装飾用壁面パネル、および壁面パネルを使用した壁面パネルユニット、ならびに装飾壁面に関する。
【背景技術】
【0002】
室内や屋内通路などの壁面に装飾を施す場合、一般的に平坦または凹凸のあるモザイクタイルなどを貼着することが多い。たとえば凹凸により幾何学的な模様や影を形成しようとする場合、たとえば金属製や樹脂製などの波形板(トタン板)を利用することが考えられる。
【0003】
通常、波形板の壁面への取付方法として、特許文献1に示されるように、山部の頂面に形成した穿孔を介して、パッキン付き釘やねじ釘、J形やL形ボルトなどの取付具を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来には、波形板は、通常、定形で販売されているので、波形を変形させずに切断するのに熟練を要することや、波形の山部頂面に取付釘やボルトの頭部が露出すること、壁面への位置決めや配置、取付に手間がかかることなどを理由に、波形板が装飾壁板として用いられることはほとんどなかった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決して、波形板を利用して壁面への位置決めや配置や取付が容易で、装飾性に優れた装飾用壁面パネルおよび壁面パネルユニットならびに装飾用壁面を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、
壁面に複数枚が並べて取り付けられる装飾用壁面パネルであって、
弾性を有する薄板状のパネル本体に、山、谷部が一定ピッチで反復形成されて頂部が長さ方向に沿う波形部と、当該波形部の横断方向の両側で山、谷部の長さ方向に沿って形成された平坦面とを具備するとともに、
パネル本体が、前記平坦面の外縁で山、谷部に平行に形成された平行辺と、波形部の山、谷部を直角に横断する横断辺とで正面視が矩形状に形成され、
前記平坦面が谷部の頂部と略面一に形成されて、壁面に取り付けられるものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、
壁面に複数枚のパネル本体が並べて取り付けられる装飾用壁面パネルであって、
弾性を有する薄板状のパネル本体に、山、谷部とが一定ピッチで反復形成されて頂部が長さ方向に沿う波形部と、当該波形部の横断方向の両側で山、谷部の頂部の長さ方向に沿って形成された平坦面とを具備するとともに、
パネル本体が、前記平坦面の外縁で山、谷部に平行に形成された平行辺と、波形部の山、谷部の頂部に所定角度傾斜して横断する傾斜辺とで正面視が平行四辺形に形成され、
前記平坦面は谷部の頂部と略面一に形成されて、壁面に取り付けられるものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットであって、
2枚のパネル本体からなり、
一方のパネル本体の横断辺と、他方のパネル本体の平行辺とが突き合わされた状態で連結手段により一体に連結され、隣接する壁面パネルの波形部の山、谷部の頂部が直交する方向に配置されたものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットであって、
パネル本体の両平坦面を互いに接近させることにより、波形部を湾曲させて前面に膨出させた湾曲波形部とし、両平坦面を互いに連結する連結部材を設けたものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットであって、
波形部の幅の異なる2枚のパネル本体からなり、
パネル本体の平行辺同士が付き合わされた状態、または平坦面の少なくとも一部が重なり合った状態で結合手段により一体に連結され、隣接する壁面パネルの波形部の山、谷部が互いに平行に配置されたものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の装飾用壁面パネルを使用した装飾壁面であって、
波形部を前面に膨出させた湾曲波形部を有する複数のパネル本体を、それぞれの平坦部の平行辺同士を突き合せた状態または平坦面の少なくとも一部を重ね合わされた状態で、取付手段により平坦面を介して壁面に取り付けられたものである。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の構成において、
湾曲波形部の曲率の異なる複数のパネル本体を並べて配置したものである。
請求項8記載の発明は、請求項2記載の装飾用壁面パネルを使用した装飾壁面であって、
一方の壁面パネルと他方の壁面パネルの傾斜辺が突き合わされた状態、または少なくとも平坦面の一部を重ね合わされた状態で、取付手段により平坦面が壁面に取り付けられ、隣接する壁面パネルの波形部の山、谷部の頂部が折れ曲がり状に連続するように配置されたものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、波形部の両側に、谷部の頂部と略面一の平坦面を形成することにより、壁面への位置決めや配置、取付を容易かつ強固に行うことができる。また波形部の配置により照明や色彩、視認位置の変化などに対応して壁面を豊かに演出することができる装飾性に優れた装飾用壁面パネルを提供することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、波形部の両側に、谷部の頂部と略面一の平坦面を形成し、さらに横断辺を山、谷部に対して傾斜して切り取ることにより、壁面への位置決めや配置、取付を容易かつ強固に行うことができる。また波形部の配置により照明や色彩、視認位置の変化に対応して壁面を豊かに演出することができる装飾性に優れた装飾用壁面パネルを提供することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、波形部の両側に、谷部の頂部と略面一の平坦面を形成した2枚の装飾用壁面パネルを、予め山、谷部が直交交差する方向に連結して一体化しておくことにより、壁面への位置決めや配置や取付を容易かつ強固に行って、変化のある壁面を容易に短時間で形成することができ、波形部の配置により照明や色彩、視認位置などにより壁面を豊かに形成することができる装飾性に優れた壁面パネルユニットを提供することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、波形部の両側に、谷部の頂部と略面一の平坦面を形成し、さらに平坦面を互いに接近させて波形部を湾曲させて前面に膨出させた状態で連結部材により湾曲形状を保持することにより、変化のある壁面を容易かつ確実に形成することができ、装飾性に優れた壁面パネルユニットを提供することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、波形部の両側に、谷部の頂部と略面一の平坦面を形成するとともに、横断辺が傾斜されて波形部の幅の異なるパネル本体の平坦面を結合手段により連結して一体化した壁面パネルユニットにより、壁面への位置決めや配置、取付を容易かつ強固に行うことができ、変化のある壁面を容易に短時間で形成することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、波形部の両側に、谷部の頂部と略面一の平坦面を形成し、平坦面を接近させて波形部を湾曲させて膨出させた複数のパネル本体を、平坦面を介して壁面に取り付けることにより、変化のある装飾壁面を容易に短時間で形成することができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、膨出する波形部の曲率を変化させることで、さらに変化の大きい装飾用面を形成することができる。
請求項8記載の発明によれば、波形部の山、谷部を折れ曲がり状に連続する変化の大きい装飾壁面を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)〜(e)は、本発明に係る装飾用壁面パネルの実施例1を示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は斜視図である。
【図2】(a)および(b)は、装飾用壁面パネルを取り付けた装飾壁面の部分正面図で、(a)は整列配置、(b)は千鳥配置を示す。
【図3】(a)〜(f)は、実施例1の装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットの実施例2を示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図、(f)は斜視図である。
【図4】実施例2の壁面パネルを取り付けた装飾壁面の斜視図である。
【図5】(a)〜(e)は、実施例1の装飾用壁面パネルを湾曲させた壁面パネルユニットの実施例3を示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は斜視図である。
【図6】実施例3およびその変形例の壁面パネルユニットを取り付けた装飾壁面の一部を示す斜視図である。
【図7】(a)〜(f)は、装飾用壁面パネルの実施例4を示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は右側面図、(f)は斜視図である。
【図8】(a)および(b)は、実施例4の装飾用壁面パネルを取り付けた装飾壁面の一部を示す正面図で、(a)は整列配置、(b)は折れ曲がり配置を示す。
【図9】(a)〜(f)は、実施例4の装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットの実施例5を示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図、(f)は斜視図である。
【図10】実施例5の壁面パネルユニットを取り付けた装飾壁面を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施例1]
以下、本発明に係る装飾用壁面パネルの実施例1を図1および図2に基づいて説明する。
【0023】
この装飾用壁面パネルは、弾性を有する1枚の薄板鋼板または薄板樹脂板からなるパネル本体11に、一定の高さの山部12m、谷部12vとが一定ピッチで反復形成された波形部12と、当該波形部12の横断方向の両側で山、谷部12m,12vの頂部の長さ方向に沿って形成された左右一対の平坦面13とが形成されている。そして、パネル本体11は、平坦面13の外縁で山、谷部12m,12vの頂部と平行な一対の平行辺14Aと、波形部12を直角に横断する一対の横断辺14Bとで正面視が矩形に形成されている。さらに平坦面13は、それぞれ谷部12vの頂部と略面一状に形成され、取付手段であるビスや釘、接着剤、両面テープなどにより、平坦面13が壁面に取り付けられる。
【0024】
なお、波形部12の山,谷部12m,12vは、市販の波形トタン板より高さが大きく形成されている。
使用に際して、壁面にパネル本体11の配置を示す下図を割り付して描き、パネル本体11を複数枚を図2(a)に示す整列位置、あるいは図2(b)に示す千鳥位置に並べて取付手段により取り付け、壁面を装飾する。
【0025】
パネル本体11の表面は、単一色の着色を施してもよいし、たとえば山部12mの頂部から両側に谷部にかけて互いに異なる色を配色し、視認する角度で色彩を変化させることもできる。また、山、谷部12m,12vの一方の外側方から照明を当てて山、谷部12m,12vを浮かび上がらせ、視認する角度で明暗を変化させることもできる。もちろん、山部12mの頂部から両側に、それぞれ別の抽象、具象のデザイン画や文字を描くこともできる。
【0026】
上記第1壁面パネルによれば、波形部12の両側に、谷部12vの頂部と略面一の平坦面13を形成したので、ビスやボルト、接着剤、両面テープなどの取付手段を使用して、壁面への割付(位置決め)や取り付けを容易かつ強固に行うことができ、また波形部12の配置や着色、照明、視認角度などにより変化の大きい壁面を多様に創出することができる装飾性に優れた装飾用壁面パネルを提供することができる。
【0027】
[実施例2]
第1実施例の壁面パネルを使用した壁面パネルユニットの実施例2を図3,図4を参照して説明する。なお、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
この壁面パネルユニット20は、2枚のパネル本体11A,11Bからなり、これらパネル本体11A,11Bは、実施例1のパネル本体11と同一構造であるが、波形部12の幅が狭く正面視が略正方形のものが使用される。そして、一方のパネル本体11Aの横断辺14Aと、他方のパネル本体11Bの平行辺14Bとが突き合わされた状態で、たとえば薄板状で湾曲可能な連結板22が背面に配置され、この連結板22と平坦面13とが、結合手段である接着剤やリベット、スポット溶接などにより一体に取り付けられ、2つのパネル本体11A,11Bの波形部12の山、谷部12m,12vが直交する方向に配置される。
【0029】
この平面パネルユニット20は、図4に示すように、壁面10に対して、平坦面13および連結板22がビスや釘により取り付けられたり、または連結板22が接着剤、両面テープなどにより取り付けられて、複数の平面パネルユニット20を配列され装飾壁面が形成される。
【0030】
パネル本体11A,11Bの表面は、実施例1と同様に着色される。
上記実施例2によれば、2枚のパネル本体11A,11Bを、波形部12の山、谷部12m,12vが直交する方向に配置して予め連結したので、壁面10への取付を容易かつ確実に短時間で行うことができる。
【0031】
なお、ここで連結板22は、2枚のパネル本体11A,11Bの裏面全体を覆う板状に表しているが、連結板22はパネル本体11A,11Bを一体に連結する機能を果せればよく、形状が限定されるものではないため、破線で表している。また、連結板22を削除し、平坦面13の一部同士を重ね、結合手段である接着剤やリベット、スポット溶接などにより接合したものであってもよく、さらに縁部同士を突き合せ溶接により平坦面13の縁部同士を接合することもできる。さらにまた、樹脂製のパネル本体11A,11Bを使用する場合には、予め溶着したり、一体成形することもできる。
【0032】
上記実施例1および2において、壁面が平面であることを前提に説明したが、パネル本体11,11A,11Bが有する弾性を利用して、波形部12および平坦面を横断方向に湾曲および角度を任意に調整することができることから、曲面状壁面やコーナー壁面、平面と曲面の複合面、所定角度で連結されたの複合平面状の壁面に容易かつ確実に取り付けることもできる。
【0033】
[実施例3]
実施例1を変形した装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットの実施例3を、図5に基づいて説明する。なお、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
すなわち、弾性を有する薄板鋼板または薄板樹脂板で形成されたパネル本体11の両平坦面13を互いに接近させることにより、波形部12を湾曲させて前面に膨出させた湾曲波形部12Aを有するパネル本体31を具備し、この壁面パネルユニット30は、このパネル本体31と、湾曲形状を保持するための薄板状で湾曲可能な保持部材(連結部材)32とで構成されている。背面に配置された保持部材32は、結合手段である接着剤やリベット、スポット溶接などにより平坦面13に取り付けられて一体化されている。なお、図5では、保持部材32は形状が限定されないため、破線で表している。
【0035】
壁面への取り付けに際して、隣接する壁面パネル31の平坦面13同士を突き合せた状態、または平坦面13の一部を重ね合わせた状態で、前記取付手段により、平坦面13が保持部材32を介して壁面に取り付けられる。
【0036】
またパネル本体31の表面は、実施例1と同様に着色される。
上記実施例3の壁面パネルユニット30によれば、波形部12の両側に、谷部12vの頂部と略面一の平坦面13を形成し、パネル本体31の平坦面13を互いに接近させて、前面に膨出する湾曲波形部12Aを形成することにより、変化のある装飾壁面を容易かつ短時間で形成することができ、装飾性に優れた装飾用壁面パネルを提供することができる。また湾曲波形部12Aの湾曲部内にランプや電球などの灯火などを設置することにより、間接壁面照明としても利用することができる。
【0037】
なお、幾分厚みがあり、湾曲波形部12Aを形成してその形状を自己保持可能な薄板鋼板または薄板樹脂板を使用する場合には、保持部材32を削除することができる。また、このような保持部材32を有しないパネル本体31を壁面に取り付蹴る場合、たとえば壁面に配置を示す下図を描き、実施例1の装飾用壁面パネルの波形部12を湾曲させて湾曲波形部12Aとし、それぞれの平坦面13を直接壁面に取り付けることにより、壁面を装飾することができる。
【0038】
[実施例4]
実施例1および実施例3の壁面パネルを使用した壁面パネルユニットおよび装飾壁面の実施例4を図6に基づいて説明する。なお、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
この壁面パネルユニット40は、平坦面13の間隔を変化させて湾曲波形部12Aの曲率を変化させた複数のパネル本体31A〜31Cと、平面状の波形部12を有するパネル本体11とを、それぞれの平坦面13を平行辺14Aを介して互いに突き合せ、あるいは平坦面13の一部を重ね合わせた状態で薄板状で湾曲可能な連結板(連結部材)42により一体化したもので、図6では、壁面パネルユニット40が上下3段に壁面に取り付けられている。
【0040】
すなわち、図6では、左側から平坦面13の間隔を狭くして曲率の最も大きい湾曲波形部12Aを形成したパネル本体31Aと、平坦面13の間隔を広くして曲率の最も小さい湾曲波形部12Bを形成したパネル本体31Bと、平坦な波形部12を有するパネル本体11と、曲率が中間程度の湾曲波形部12Cを形成したパネル本体31Cとを、それぞれ連結板42により連結したものである。なお、パネル本体11,31A〜31Cの配置は、任意に選択することができる。
【0041】
またこれらパネル本体31A〜31Cおよびパネル本体11の表面は、実施例1と同様に着色される。
壁面パネルユニット40の壁面への取付に際しては、平面状、あるいは曲面状の壁面に対して、所定位置に平坦面13を連結板42を介して取付手段により取り付け、所定に配置すればよい。
【0042】
上記実施例4の壁面パネルユニット40によれば、平面状の波形部12の両側に、谷部12vの頂部と略面一の平坦面13を形成したパネル本体11を用いて、平坦面13を互いに接近させて曲率の異なる湾曲波形部12Aを有するパネル本体31A〜31Cを形成し、これらパネル本体11,31A〜31Cを連結板42により一体化したので、変化の大きい装飾用壁面を容易かつ短時間で形成することができる。
【0043】
[実施例4のパネル本体を使用した装飾壁面]
なお、連結板42を使用しないで装飾壁面を形成する場合、たとえば壁面に、湾曲波形部12A〜12Cの曲率から平坦面13の間隔を考慮して、配置を示す下図を描き、この下図に合わせて、湾曲波形部12Aの曲率を調整しつつ、パネル本体11の平坦面13をそれぞれ取付手段により直接壁面に取り付けて、実施例4の壁面パネルユニット40を使用した装飾壁面と同様の壁面を形成することもできる。
【0044】
[実施例5]
実施例1乃至4では、パネル本体11,11A,11B,31,31A〜31Cを、波形部12,12A〜12Cの山、谷部12m,12vの頂部に垂直な横断辺14Aを有する矩形状に形成したが、実施例5では、図7に示すように、パネル本体51を、波形部12の山、谷部12m,12vの頂部の長さ方向に沿う一対の平行辺14Bと、波形部12の山、谷部12m,12vの頂部に所定角度で傾斜する一対の傾斜辺14Cとで、正面視が平行四辺形に形成したものである。
【0045】
パネル本体51の表面は、実施例1と同様に着色される。
実施例5によれば、パネル本体51は、実施例1乃至4と同様に、平坦面13の平行辺14B同士や傾斜辺14C同士を突き合せた状態、または一部を重ねた状態で、前記取付手段により平坦面13を介して壁面に取り付けることにより、図8(a)に示すように、波形部12の山、谷部12m,12vが傾斜した装飾壁面や、図8(b)に示すように、波形部12の山、谷部12m,12vの頂部が折れ曲がった立体模様の装飾壁面を形成することができる。
【0046】
[実施例6]
実施例5と同形で、波形部12の幅の異なる2枚のパネル本体51A,51Bを一体にした壁面パネルユニット60を、図9および図10を参照して説明する。なお、先の実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
壁面パネルユニット60は、波形部12の幅の狭いパネル本体51Aと、波形部12の幅の広いパネル本体51Bとを具備し、それぞれの平坦面13の平行辺14Bが突き合わされた状態、または一部が重なった状態で、たとえば薄板状で湾曲可能な連結板(連結部材)62が背面に配置され、この連結板62と平坦面13とが、結合手段である接着剤やリベット、スポット溶接などにより互いに接合されて、パネル本体51A,51Bが一体に連結されている。
【0048】
図10に示すように、複数の壁面パネルユニット60を、平行辺14Bおよび傾斜辺14Cが突き合わされた状態で、山、谷部12m,12vの頂部が互いに傾斜するように、取付手段により壁面に並べて取り付けることにより、波形部12の山、谷部12m,12vが折れ曲がった様態で、奥行きのある立体状に表出した装飾壁面を形成することができる。
【0049】
上記実施例6によれば、傾斜辺14Cを山、谷部12m,12vに所定角度傾斜して形成し、波形部12の両側に、谷部12vの頂部と略面一状の平坦面13を形成することにより、壁面への位置決めや配置や取付を容易かつ強固に行うことができ、波形部12の配置により照明や色彩、視認位置などにより平面を立体的に演出する装飾性に優れた装飾用壁面パネルユニット60を提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
11 パネル本体
11A,11B パネル本体
12 波形部
12m 山部
12v 谷部
12A〜12C 湾曲波形部
13 平坦面
14A 横断辺
14B 平行辺
14C 傾斜辺
20 壁面パネルユニット
22 連結板(連結部材)
30 壁面パネルユニット
31 パネル本体
31A〜31C パネル本体
32 保持部材(連結部材)
40 壁面パネルユニット
42 連結板(連結部材)
51 パネル本体
51A,51B パネル本体
60 壁面パネルユニット
62 連結板(連結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に複数枚が並べて取り付けられる装飾用壁面パネルであって、
弾性を有する薄板状のパネル本体に、山、谷部が一定ピッチで反復形成されて頂部が長さ方向に沿う波形部と、当該波形部の横断方向の両側で山、谷部の長さ方向に沿って形成された平坦面とを具備するとともに、
パネル本体が、前記平坦面の外縁で山、谷部に平行に形成された平行辺と、波形部の山、谷部を直角に横断する横断辺とで正面視が矩形状に形成され、
前記平坦面が谷部の頂部と略面一に形成されて、壁面に取り付けられる
ことを特徴とする装飾用壁面パネル。
【請求項2】
壁面に複数枚のパネル本体が並べて取り付けられる装飾用壁面パネルであって、
弾性を有する薄板状のパネル本体に、山、谷部とが一定ピッチで反復形成されて頂部が長さ方向に沿う波形部と、当該波形部の横断方向の両側で山、谷部の頂部の長さ方向に沿って形成された平坦面とを具備するとともに、
パネル本体が、前記平坦面の外縁で山、谷部に平行に形成された平行辺と、波形部の山、谷部の頂部に所定角度傾斜して横断する傾斜辺とで正面視が平行四辺形に形成され、
前記平坦面は谷部の頂部と略面一に形成されて、壁面に取り付けられる
ことを特徴とする装飾用壁面パネル。
【請求項3】
請求項1記載の装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットであって、
2枚のパネル本体からなり、
一方のパネル本体の横断辺と、他方のパネル本体の平行辺とが突き合わされた状態で連結手段により一体に連結され、隣接する壁面パネルの波形部の山、谷部の頂部が直交する方向に配置された
ことを特徴とする壁面パネルユニット。
【請求項4】
請求項1記載の装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットであって、
パネル本体の両平坦面を互いに接近させることにより、波形部を湾曲させて前面に膨出させた湾曲波形部とし、両平坦面を互いに連結する連結部材を設けた
ことを特徴とする壁面パネルユニット。
【請求項5】
請求項2記載の装飾用壁面パネルを使用した壁面パネルユニットであって、
波形部の幅の異なる2枚のパネル本体からなり、
パネル本体の平行辺同士が付き合わされた状態、または平坦面の少なくとも一部が重なり合った状態で結合手段により一体に連結され、隣接する壁面パネルの波形部の山、谷部が互いに平行に配置された
ことを特徴とする壁面パネルユニット。
【請求項6】
請求項1記載の装飾用壁面パネルを使用した装飾壁面であって、
波形部を前面に膨出させた湾曲波形部を有する複数のパネル本体を、それぞれの平坦部の平行辺同士を突き合せた状態または平坦面の少なくとも一部を重ね合わされた状態で、取付手段により平坦面を介して壁面に取り付けられた
ことを特徴とする装飾壁面。
【請求項7】
波形部の曲率の異なる複数のパネル本体を並べて配置した
ことを特徴とする請求項6記載の装飾壁面。
【請求項8】
請求項2記載の装飾用壁面パネルを使用した装飾壁面であって、
一方の壁面パネルと他方の壁面パネルの傾斜辺が突き合わされた状態、または少なくとも平坦面の一部を重ね合わされた状態で、取付手段により平坦面が壁面に取り付けられ、隣接する壁面パネルの波形部の山、谷部の頂部が折れ曲がり状に連続するように配置された
ことを特徴とする装飾壁面。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−162926(P2012−162926A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24490(P2011−24490)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(507119191)大和鋼業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】