説明

装飾表示体

【課題】本発明は、全体として緩やかな曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成することができ、装飾効果をより一層向上させることが可能な装飾表示体と、それが設けられたディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画素パターン15は隣り合う各画素14の配列ピッチが円形状の画素パターン15の中心部から周縁部にかけて次第に連続して変化している。これにより各画素14の拡大画像が中心部から周縁部にかけて次第に連続して高さまたは深さを変化させながら透明素材11の上方又は下方に現出し、全体として球体面を有する立体的な拡大虚像群Aを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機やゲーム機の外層パネル、包装箱、広告体、飾り品などの各種商品の装飾に用いられる装飾表示体、およびそれが設けられたディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機やゲーム機の外層パネル、包装箱、広告体、飾り品などの各種商品では、表面に図柄の装飾が施される場合が多い。ところが、従来の図柄の装飾は、各種商品の表面上に印刷されているだけなので、消費者の視覚を刺激する効果に欠け、消費者の興味を引くには限界がある。
【0003】
ところで、従来、図柄の拡大虚像を各種商品の表面から上方または下方に現出させる装飾表示体が知られている。例えば、シート状または板状の透明素材の表面に、複数の凸レンズ状の集光素を各集光素の並びに方向性を持たせて2次元的に配列して集光素パターンが形成されるとともに、前記透明素材の裏面に、着色された複数の画素を各画素の並びに前記集光素パターンと同じ方向性を持たせて2次元的に配列して画素パターンが形成され、前記各集光素と各画素の配列ピッチが異なるように前記集光素パターンと前記画素パターンとが形成されることにより、前記画素の拡大虚像が透明素材の上方又は下方に現出する装飾表示体が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この装飾表示体を各種商品の装飾に使用すると、見る位置に制限を受けることなく、揺らぎの少ない静的な状態で、各画素の拡大虚像が上方または下方に現出するため、従来の単なる図柄の装飾と比較して消費者の視覚を刺激する効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−180198号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の装飾表示体では、各画素の拡大虚像からなる拡大虚像群は透明素材の上方又は下方に同一高さでフラットな状態で現出するものにすぎなかった。もとより、透明素材の裏面に画素の配列ピッチが互いに異なる複数層の画素パターンが設けられたものも知られているが、あくまでも同一高さのフラットな状態の拡大虚像群が上下に重複しながら別々に見えるにすぎなかった。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされものであって、全体として緩やかな曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成することができ、装飾効果をより一層向上させることが可能な装飾表示体と、それが設けられたディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、シート状または板状の透明素材の表面に、複数の凸レンズ状の集光素を各集光素の並びに方向性を持たせて2次元的に配列して集光素パターンが形成されるとともに、前記透明素材の裏面に、着色された複数の画素を各画素の並びに前記集光素パターンと同じ方向性を持たせて2次元的に配列して画素パターンが形成され、前記各集光素と各画素の配列ピッチが異なるように前記集光素パターンと前記画素パターンとが形成されることにより、前記画素の拡大虚像が透明素材の上方又は下方に現出する装飾表示体であって、前記画素パターンは隣り合う各画素の配列ピッチが次第に連続して変化することにより、各画素の拡大画像が次第に連続して高さ又は深さを変化させながら透明素材の上方又は下方に現出し、全体として緩やかな曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成することをを特徴とする。これによれば前記各画素の拡大画像が次第に連続して高さ又は深さを変化させながら透明素材の上方又は下方に現出し、全体として緩やかな曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0009】
また、前記画素パターンは隣り合う各画素の配列ピッチが画素パターンの中心部から周縁部にかけて次第に連続して変化することにより、各画素の拡大画像が中心部から周縁部にかけて次第に連続して高さまたは深さを変化させながら透明素材の上方又は下方に現出し、全体として中心部から周縁部にかけて緩やかに傾斜する凸状または凹状の曲面を有するものであってもよい。これによれば全体として中心部から周縁部にかけて緩やかに傾斜する凸状または凹状の曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0010】
また、前記画素パターンは、全体として円形状に形成されているものであってもよい。これによれば全体として球体面を有する立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0011】
また、前記画素パターンは、各画素が画素パターンの中心部から周縁部にかけて円形から配列方向に延びる楕円形に次第に連続して変形していくものであってもよい。これによれば各画素の拡大虚像が実際の球体面に同形同大の円形画像を付した場合と同じ見え方になるため、全体として実際の球体面に一層近い状態の拡大虚像群を構成することができる。
【0012】
また、前記画素パターンの周縁部の表側または裏側に透明又は不透明インキによる影背景の印刷層が形成されているものであってもよい。これによれば球体面を有する立体的な拡大虚像群の周縁部に影が付くため、実際の球体面により一層近い状態の拡大虚像群を構成することができる。
【0013】
また、前記画素パターンの外側に第2画素パターンが設けられ、該第2画素パターンの拡大虚像群の上方に前記画素パターンの拡大虚像群が現出するものとなされているものであってもよい。これによれば遠近感のあるより浮き出た状態の立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0014】
また、別の透明素材に前記集光素パターンが形成されるとともに、さらに別の透明素材に前記画素パターンが形成され、これら集光素パターンの透明素材と画素パターンの透明素材とが本体となるシート状又は板状の透明素材の表裏両面に貼付されるものであってもよい。これによれば集光素パターンと画素パターンを別々の透明素材に形成したあと、それらを本体の透明素材に貼り合わせるため、装飾表示体を製造し易くなる。また、集光素パターンを形成した透明素材と画素パターンを形成した透明素材を店舗のウインドガラスのような既設の透明素材に直接貼り付けることができ、装飾表示体を既設の物品にも適用することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係るディスプレイ装置は、上記(請求項1から請求項8)のいずれかに記載の装飾表示体が周縁部に設けられていることを特徴とする。これによればディスプレイ装置の周縁部の装飾効果を向上させることができる。しかも、装飾表示体による拡大画像を下方に現出させた場合、ディスプレイ装置における静止画や動画を周縁部から浮き出た状態に映し出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各画素の拡大画像が次第に連続して高さ又は深さを変化させながら透明素材の上方又は下方に現出し、全体として緩やかな曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0017】
このため画素パターンの形状や色による平面的な拡大虚像の装飾効果のみならず、さらに全体として立体的な拡大虚像群の装飾効果が加わるため、装飾表示体の装飾効果をより一層向上させることができ、ひいては各種商品に応じたデザインの創作性を幅を広げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る装飾表示体の平面図である。
【図2】図1の装飾表示体の集光素と画素の関係を示す模式図である。
【図3】図1の装飾表示体の模式断面と拡大虚像群の現出位置を示す図である。
【図4】図1の装飾表示体の拡大虚像群の平面図である。
【図5】第2の実施形態に係る装飾表示体の集光素と画素の関係を示す模式図である。
【図6】図5の装飾表示体の模式断面と拡大虚像群の現出位置を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係る装飾表示体の模式平面図である。
【図8】図7の装飾表示体の模式断面と拡大虚像群の現出位置を示す図である。
【図9】図7の装飾表示体の拡大虚像群の平面図である。
【図10】第4の実施形態に係る装飾表示体の模式断面と拡大虚像群の現出位置を示す図である。
【図11】図11の装飾表示体の拡大虚像群の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態1]
次に本発明の第1の実施形態に係る装飾表示体について図1〜図4を参照しつつ説明する。
【0020】
本装飾表示体(10)は、アクリル板等の平面視矩形板状の透明素材(11)の表面に、無着色又は着色の透明インキを用いて複数の凸レンズ状の集光素(12)を印刷して集光素パターン(13)を形成するとともに、透明素材(11)の裏面に、着色された透明又は不透明インキを用いて複数の画素(14)を印刷して画素パターン(15)を形成してなる。
【0021】
前記集光素パターン(13)は、複数の凸レンズ状の集光素(12)を各集光素(12)の並びに方向性を持たせて2次元的に配列して集光素パターン(13)が形成される。
【0022】
本実施形態では、図2に示すように、x方向とこれに直交するy方向へ同じピッチsで各集光素(12)をマトリクス状に等配列して集光素パターン(13)を形成している。 なお、各集光素(12)の配列は必ずしも直交するパターンである必要はなく、一方の配列方向に対する他方の配列方向が90度より小さい角度又は90度より大きい角度をなすようにしてもよい。
【0023】
前記画素パターン(15)は、複数の画素(14)を各画素(14)の並びに前記集光素パターン(13)と同じ方向性を持たせて2次元的に配列して形成される。
【0024】
本実施形態では、画素パターン(15)の各画素(14)の配列ピッチは集光素パターン(13)の各集光素(12)の配列ピッチsよりも小さくなるように設定されている。このため画素パターン(15)の各画素(14)の拡大虚像は、見る位置に制限を受けることなく、揺らぎの少ない静的な状態で透明素材の下方に現出することになる。
【0025】
また、画素パターン(15)は、図2に示すように、隣り合う各画素(14)の配列ピッチが中心部から周縁部にかけて次第に連続して小さくなるように設定されている。例えば、中心の画素(14)と隣の画素(14)の配列ピッチをp1とし、該隣の画素(14)とさらに隣の画素(14)の配列ピッチp2とすると、s>p1>p2の関係を有している。
【0026】
画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsよりも小さい場合、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsに近づいて大きくなると、画素(14)の拡大虚像の現出位置が深くなる。一方、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsから離れて小さくなると、画素の拡大虚像の現出位置が浅くなる。
【0027】
このため前記画素パターン(15)における隣り合う各画素(14)の配列ピッチが画素パターン(15)の中心部から周縁部に次第に連続して小さくなれば、図3および図4に示すように、各画素(14)の拡大画像が中心部から周縁部にかけて次第に連続して浅くなりながら透明素材(11)の下方に現出し、全体として中心部から周縁部にかけて緩やかに上りながら傾斜する凹状の曲面を有する立体的な拡大虚像群(A)を構成することができる。なお、図4に示す黒色の各楕円が各画素(14)の拡大画像である。
【0028】
特に前記画素パターン(15)における隣り合う各画素(14)の配列ピッチの変化率を大きくすれば、拡大虚像群(A)の曲面の傾斜をきつくすることができる。一方、隣り合う各画素(14)の配列ピッチの変化率を小さくすれば、拡大虚像群(A)の曲面の傾斜を緩やかにすることができる。
【0029】
なお、図1〜図3に示す集光素および画素の大きさおよび配列ピッチなどは、説明の便宜上、強調的に大きく図示したものである。実際には各領域には非常に小さい集光素および画素が所定の配列ピッチで2次元的に非常に数多く配列されている。
【0030】
[実施形態2]
次に本発明の第2の実施形態に係る装飾表示体(10)について図5および図6を参照しつつ説明する。なお、本実施形態における透明素材(11)、集光素パターン(13)および画素パターン(15)などの基本構成については実施形態1と同様である。
【0031】
本実施形態では、画素パターン(15)の各画素(14)の配列ピッチは集光素パターン(13)の各集光素(12)の配列ピッチsよりも大きくなるように設定されている。このため画素パターン(15)の拡大虚像は、見る位置に制限を受けることなく、揺らぎの少ない静的な状態で透明素材(11)の上方に現出することになる。
【0032】
また、画素パターン(15)は、図5に示すように、隣り合う各画素(14)の配列ピッチが画素パターン(15)の中心部から周縁部にかけて次第に連続して大きくなるように設定されている。例えば、中心の画素(14)と隣の画素(14)の配列ピッチをq1、該隣の画素(14)とさらに隣の画素(14)の配列ピッチq2とすると、s<q1<q2の関係を有している。
【0033】
画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsよりも大きい場合、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsに近づいて小さくなると、画素(14)の拡大虚像の現出位置が高くなる。一方、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsから離れて大きくなると、画素(14)の拡大虚像の現出位置が低くなる。
【0034】
このため前記画素パターン(15)における隣り合う各画素(14)の配列ピッチが透明素材(11)の中心部から周縁部に次第に連続して大きくなれば、図6に示すように、各画素(14)の拡大画像が画素パターン(15)の中心部から周縁部にかけて次第に連続して低くなりながら透明素材(11)の上方に現出し、全体として画素パターン(15)の中心部から周縁部にかけて緩やかに下りながら傾斜する凸状の曲面を有する立体的な拡大虚像群(B)を構成することができる。なお、拡大虚像群(B)を真上から見た場合には実施形態1に係る図4に示す拡大虚像群(A)と現出位置が異なるが各画素(14)の拡大虚像の形状や大きさは同じような見え方になる。
【0035】
特に前記画素パターン(15)における隣り合う各画素(14)の配列ピッチの変化率を大きくすれば、拡大虚像群(B)の曲面の傾斜をきつくすることができる。一方、隣り合う各画素(14)の配列ピッチの変化率を小さくすれば、拡大虚像群(B)の曲面の傾斜を緩やかにすることができる。
【0036】
なお、実施形態1および実施形態2のいずれも、拡大虚像群を画素パターン(15)の中心部から周縁部にかけて緩やかに傾斜する凸状または凹状の曲面を有する立体的なものとしたが、各画素(14)の配列ピッチを調整することにより凸状および凹状などが組み合わさった起伏のある曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成してもよい。
【0037】
[実施形態3]
次に本発明の第3の実施形態に係る装飾表示体(10)について図7〜図9を参照しつつ説明する。
【0038】
本装飾表示体(10)は、アクリル板等の平面視矩形板状の透明素材(11)の表面に、無着色又は着色の透明インキを用いて複数の凸レンズ状の集光素(12)を印刷して集光素パターン(13)を形成するとともに、透明素材(11)の裏面に、着色された透明又は不透明インキを用いて複数の画素(14)を印刷して画素パターン(15)を形成してなる。
【0039】
前記集光素パターン(13)は、実施形態2と同様に複数の凸レンズ状の集光素(12)を各集光素(12)の並びに方向性を持たせて2次元的に配列して集光素パターン(13)が形成される。
【0040】
前記画素パターン(15)は、実施形態2と同様に複数の画素(14)を各画素(14)の並びに前記集光素パターン(13)と同じ方向性を持たせて2次元的に配列して形成される。
【0041】
本実施形態では、画素パターン(15)は、図7に示すように、透明素材(11)の裏面において全体として円形状に形成されている。そして、実施形態2と同様に、画素パターン(15)の隣り合う各画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチよりも大きく、かつ画素パターン(15)の中心部から周縁部にかけて次第に連続して大きくなるように設定されている。
【0042】
これによれば図8および図9に示すように、各画素(14)の拡大画像が画素パターン(15)の中心部から周縁部にかけて次第に連続して低くなりながら透明素材(11)の上方に現出するため、全体として球体面を有する立体的な拡大虚像群(C)を構成することができる。なお、図9に示す灰色の各楕円が各画素(14)の拡大画像である。
【0043】
また、前記画素パターン(15)は、図7に示すように、各画素(14)が中心部から周縁部にかけて円形から配列方向に延びる楕円形に次第に連続して変形していくものとなされている。これによれば図9に示すように各画素(14)の拡大虚像が実際の球体面に同形同大の円形画像を付した場合と同じ見え方になるため、全体として実際の球体面に一層近い状態の拡大虚像群(C)を構成することができる。
【0044】
また、前記画素パターン(15)の周縁部の裏側に透明または不透明インキによる影背景の印刷層(16)が形成されている。これによれば図9に示すように球体面を有する立体的な拡大虚像群(C)の周縁部に影(K)が付くため、実際の球体面により一層近い状態の拡大虚像群(C)を構成することができる。
【0045】
また、(17)は、前記画素パターン(15)の裏側に形成された不透明インキによる背景の印刷層であり、各画素(14)の拡大虚像がより鮮明に浮き出るようになっている。
【0046】
なお、本実施形態では、画素パターン(15)を全体として円形状に形成したが、三角形や四角形などその他の形状に形成してもよい。
【0047】
また、球体面の拡大虚像群(C)を透明素材(11)の上方に現出させるものとしたが、各画素(14)の配列ピッチを集光素(12)の配列ピッチよりも小さく設定することにより透明素材(11)の下方に現出させるものとしてもよい。
【0048】
また、各画素(14)が中心部から周縁部にかけて円形から配列方向に延びる楕円形に次第に連続して変形していくものとしたが、円形からその他の形状に次第に連続して変形してくものとしてもよいし、あるいは変形しないものとしてもよい。
【0049】
また、前記画素パターン(15)の周縁部の裏側の透明または不透明インキによる影背景の印刷層(16)を形成するものとしたが、前記画素パターン(15)の周縁部の表側に透明インキによる影背景の印刷層(16)を形成してもよいし、あるいは影背景の印刷層(16)を形成しなくてもよい。
【0050】
[実施形態4]
次に本発明の第4の実施形態に係る装飾表示体(10)について図10および図11を参照しつつ説明する。なお、本実施形態における透明素材(11)、集光素パターン(13)および画素パターン(15)などの基本構成については実施形態3と同様である。
【0051】
本実施形態では、第4の実施形態に係る装飾表示体(10)における円形状の第1の画素パターン(15)の外側に第2の画素パターン(19)が設けられている。
【0052】
この第2の画素パターン(19)は、各画素(18)の配列ピッチが集光素パターン(13)の各集光素(12)の配列ピッチsよりも小さくなるように一定の配列ピッチで設定されている。このため第2の画素パターン(19)の拡大虚像群(D)は、見る位置に制限を受けることなく、揺らぎの少ない静的な状態で透明素材(11)の下方にフラットな状態で現出することになる。
【0053】
このため図11に示すように、第1の画素パターン(15)による球体面を有する立体的な拡大虚像群(C)が第2の画素パターン(19)によるフラットな拡大虚像群(D)の上方に現出することになるため、遠近感のあるより浮き出た状態の立体的な拡大虚像群(C)を構成することができる。なお、図11に示す第1の画素パターン(15)上にある灰色の各楕円が各画素(14)の拡大画像であり、第2の画素パターン(19)上にある灰色の各円が各画素(18)の拡大画像である。
【0054】
なお、本実施形態では、第2の画素パターン(19)の各画素(18)の配列ピッチを集光素パターン(13)の集光素(12)の配列ピッチよりも小さくなるように設定したが、大きくなるように設定してもよい。また、第2の画素パターン(19)の各画素(18)の配列ピッチを一定にしたが、変化させてもよい。さらに第1の画素パターン(15)と第2の画素パターン(19)に重複する部分が存在してもよい。要は第2の画素パターンの拡大虚像群の上方に第1の画素パターンの拡大虚像群が現出するものであればよい。
【0055】
なお、以上いずれの実施形態についても集光素パターン(13)と画素パターン(15)とは透明素材(11)に直接形成されるものとしたが、別の透明素材に前記集光素パターン(13)が形成されるとともに、さらに別の透明素材に前記画素パターン(15)が形成され、これら集光素パターン(13)の透明素材と画素パターン(15)の透明素材とが本体となるシート状又は板状の透明素材(11)の表裏両面に貼付されるものであってもよい。
【0056】
また、ディスプレイ装置の周縁部に装飾表示体(10)が設けられてもよい。これによればディスプレイ装置の周縁部の装飾効果を向上させることができる。しかも、装飾表示体による拡大画像を下方に現出させた場合、ディスプレイ装置における静止画や動画を周縁部から浮き出た状態に映し出すことができる。
【0057】
例えば、ディスプレイ装置としてデジタルフォトフレームがある。このデジタルフォトフレームは、デジタル写真用のフォトフレームという位置付けで発売されており、外観もフォトフレームに似せられていることが多い。液晶ディスプレイが用いられることが多く、その背面にメモリーカードを挿入するスロットがあるのが一般的である。電源を入れるとメモリカード内に保存された映像ファイルを自動的に認識してスライドショーを行うというものが一般的。様々なタイプのメモリーカードに対応したスロットを備え、USBメモリに対応した製品もある。また、無線通信などのネットワーク機能を持った製品もあり、メールアドレスを設定して、送信した画像を表示させる機能をもつ製品も販売されている。コンピュータを使わなくても、デジタルカメラで撮影した写真を簡単に表示させることができるのが特徴である。JPEG圧縮された静止画のほか、動画の再生にも対応した製品が多い。
【符号の説明】
【0058】
10・・・装飾表示体
11・・・透明素材
12・・・集光素
13・・・集光素パターン
14・・・画素
15・・・画素パターン
16・・・影背景の印刷層
17・・・背景の印刷層
18・・・画素
19・・・第2の画素パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状または板状の透明素材の表面に、複数の凸レンズ状の集光素を各集光素の並びに方向性を持たせて2次元的に配列して集光素パターンが形成されるとともに、前記透明素材の裏面に、着色された複数の画素を各画素の並びに前記集光素パターンと同じ方向性を持たせて2次元的に配列して画素パターンが形成され、前記各集光素と各画素の配列ピッチが異なるように前記集光素パターンと前記画素パターンとが形成されることにより、前記画素の拡大虚像が透明素材の上方又は下方に現出する装飾表示体であって、
前記画素パターンは隣り合う各画素の配列ピッチが次第に連続して変化することにより、各画素の拡大画像が次第に連続して高さ又は深さを変化させながら透明素材の上方又は下方に現出し、全体として緩やかな曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成することを特徴とする装飾表示体。
【請求項2】
前記画素パターンは隣り合う各画素の配列ピッチが画素パターンの中心部から周縁部にかけて次第に連続して変化することにより、各画素の拡大画像が中心部から周縁部にかけて次第に連続して高さまたは深さを変化させながら透明素材の上方又は下方に現出し、全体として中心部から周縁部にかけて緩やかに傾斜する凸状または凹状の曲面を有する立体的な拡大虚像群を構成する請求項1に記載の装飾表示体。
【請求項3】
前記画素パターンは、全体として円形状に形成されている請求項2に記載の装飾表示体。
【請求項4】
前記画素パターンは、各画素が画素パターンの中心部から周縁部にかけて円形から配列方向に延びる楕円形に次第に連続して変形していくものである請求項3に記載の装飾表示体。
【請求項5】
前記画素パターンの周縁部の表側または裏側に透明又は不透明インキによる影背景の印刷層が形成されている請求項2から請求項4のいずれかに記載の装飾表示体。
【請求項6】
前記画素パターンの外側に第2画素パターンが設けられ、該第2画素パターンの拡大虚像群の上方に前記画素パターンの拡大虚像群が現出するものとなされている請求項2から請求項5のいずれかに記載の装飾表示体。
【請求項7】
別の透明素材に前記集光素パターンが形成されるとともに、さらに別の透明素材に前記画素パターンが形成され、これら集光素パターンの透明素材と画素パターンの透明素材とが本体となるシート状又は板状の透明素材の表裏両面に貼付される請求項1から請求項6のいずれかに記載の装飾表示体。
【請求項8】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の装飾表示体が周縁部に設けられていることを特徴とするディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−214938(P2010−214938A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156887(P2009−156887)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【特許番号】特許第4413274号(P4413274)
【特許公報発行日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(599144859)美濃商事株式会社 (7)
【Fターム(参考)】