説明

補体系と相互作用する抗微生物剤

感染を処置するための新規方法によって作用する抗微生物治療剤は、天然または非天然アミノ酸あるいは同様の分子を含むペプチドを含んでいてもよい化合物である。薬剤は微生物の表面と結合することができ、膜攻撃複合体の集合を介して微生物の溶解を引き起こすための生産的に補体を固定し、したがって食作用による微生物の除去の引き金となる。薬剤はTFPIのフラグメント、例えばC末端領域由来であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の全ての特許、特許出願、オンライン情報および文献は、その全体を参照により本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
微生物感染は広範な微生物、例えば細菌、真菌およびウイルスによって引き起こされ、即刻の処置を必要とする軽度乃至生命の危険がある疾患をもたらす。一般的な細菌感染には、肺炎、耳感染、下痢、尿路感染および皮膚障害が含まれる。一般的なウィルス感染には、インフルエンザAおよびB、呼吸器合胞体ウイルス、C型肝炎および水疱瘡が含まれ、一般的な真菌感染には皮膚障害が含まれる。微生物感染の処置に有効な方法および/または現在のこれらの感染の処置法を改善する必要は当該技術分野において継続して存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の詳細な説明
本出願は感染を処置するための新規方法によって作用する抗微生物治療剤を説明する。治療剤は天然もしくは非天然アミノ酸を含むペプチド、または小分子を含んでいてもよい化合物である。剤は細胞外微生物、例えば細菌、真菌またはウイルス感染細胞に対して有効である。微生物は原核細胞、真核細胞または単細胞である。治療剤は微生物の表面に結合し、そして補体系の成分と相互作用して微生物を殺すことによって作用することができる。1つの態様において、治療剤は補体系の成分と相乗的に相互作用して微生物を殺す。他の態様において治療剤は微生物の表面に結合し、そして微生物をオプソニン化するために補体を生産的に固定する。さらなる態様において、治療剤は微生物の表面に結合し、そして膜攻撃補体(MAC)の集合体によって微生物の溶菌を引き起こすために補体を生産的に固定する。これは食作用による微生物の除去を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かくして本発明は、微生物表面と結合し、微生物を殺すために動物中に存在する補体系の成分(例えばC1q成分)と相互作用する、補体系を有する動物における微生物感染の処置用化合物を提供する。
【発明の効果】
【0005】
化合物はオプソニン化し、および/または微生物の溶菌を引き起こすことができる。
【0006】
化合物は動物中に存在する補体系の成分、例えばC1qと相乗的に作用することができる。したがって、化合物の抗微生物効果は、補体系成分が存在するほうがそれらが存在しないときよりもより大きい。好ましくは、化合物の抗微生物効果はペプチド単独および補体系成分単独の効果を合わせたものよりも大きい。
【0007】
具体的な興味のある化合物は、以下に詳述する組織因子経路阻害剤(TFPI)に由来する。さらに、化合物はスクリーニング法によって、例えば補体成分の存在下および不在下で化合物の抗微生物効果を比較することによって、同定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
TFPIおよびTFPIアナログ
TFPIは強力な抗凝血剤であり、抗炎症性活性を有する(文献1)。TFPIは例えば腫瘍と関連する血管形成を阻害するために使用することができる(文献2)。
【0009】
タンパク質は複数の主要ドメインを有する:3種のKunitzタイプのセリンプロテアーゼ阻害ドメイン(K1、K2およびK3)、N末端ドメイン(NTD)、およびC末端ドメイン(CTD)。K1ドメインは凝固因子VIIa−組織因子(TF)複合体を阻害する。K2ドメインは因子Xaを阻害する。したがって、セリンプロテアーゼはK3と関連しないと考えられていたが、近年の研究ではTFPIを細胞表面上のGPI結合受容体(CPI anchored receptor)に結合させる機能を有することが示唆されている(文献3)。CTDはまた、細胞結合、ヘパリン結合および最適Xa阻害に関与する。
【0010】
「TFPI」は、本明細書において使用するとき、配列番号1に示す276アミノ酸残基、糖なしで約38,000ダルトンの分子量を有する成熟セリン糖タンパク質を意味する。天然タンパク質は、糖が存在するとき約45,400ダルトンの分子量を有する(文献4)TFPI cDNAのクローニングは文献5に記載されている。本発明で使用するTFPIは非糖化または糖化であり得る。
【0011】
「TFPIアナログ」は、1個以上、例えば1〜80個のアミノ酸付加または置換(一般的には、タンパク質の天然および好ましくは非KunitzドメインまたはC末端位置において保存的である)、1個以上、例えば1〜80個のアミノ酸欠失(例えばTFPIフラグメント)、または1個以上の化学基の1個以上のアミノ酸への添加で修飾したTFPIの誘導体であり、修飾はTFPIの生物学的活性を破壊しない。破壊されていない活性には、TFPIの抗凝血活性および/またはその抗細菌活性、ならびにそのプロトロンビンアッセイにおける活性が含まれ得る。
【0012】
好ましくはTFPIアナログは全3個のKunitzドメインを含む。TFPIおよびTFPIアナログは糖化または非糖化であってよい。
【0013】
抗細菌活性を維持するために、TFPIアナログがCTD(この領域が抗細菌活性を有する)を保持することが好ましい。典型的には、TFPIのほとんどの下流トロンビン切断部位の実質的に全てのアミノ酸下流を保持していることが好ましい(例えば、配列番号1のアミノ酸254の下流では残基254と255の間をトロンビンが切断する)。組成中TFPIアナログ分子の数の少なくとも50%(例えば≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧92%、≧94%、≧96%、≧98%、≧99%、またはそれ以上)がTFPIのアミノ酸254と255の間に存在するトロンビン切断部位で切断されるべきではない。
【0014】
好ましいTFPIアナログは、N−L−アラニル−TFPI(ala−TFPI)であり、このアミノ酸配列は配列番号2に示す。Ala−TFPIはまた、国際薬剤名「tifacogin」として知られている。ala−TFPIのアミノ末端アラニン残基をE.coli発現の改善のためにTFPI配列に設計した(文献6)。内因性TFPIは分泌され、そしてシグナルペプチドと発現される。アミノ末端メチオニンはシグナルペプチドの一部であり、成熟TFPIの一部ではない。他のTFPIアナログは文献7に記載されている。TFPIアナログは、生物学的活性アッセイによって測定したようにTFPIの活性の測定法をいくつか有する(例えば、下記文献8および9参照)。
【0015】
TFPIは3つのトロンビン切断部位を有する:(i)Lys 86とThr 87の間、K1とK2の間;(ii)Arg 107とGly 108の間(K2の因子Xaに対する反応部位);および(iii)C末端塩基領域のLys 254とThr 255の間。本発明者らはTFPIの抗細菌活性がCTD、とりわけ配列番号1のLys 254とThr 255の間のトロンビン切断部位の近位および/または下流領域に存在することを見出した。CTDを欠く切断TFPIは血液アッセイにおいてほとんど活性を有さないため、本発明は例えば部位指定突然変異生成によってこのトロンビン切断部位を除去したTFPIアナログを提供する。これらのアナログのCTDをトロンビンによって切断することはできず、その抗細菌活性を天然TFPIよりも長期間保持することができる分子を得る。
【0016】
かくして本発明は:(1)天然TFPIのC末端付近で見出されるトロンビン切断部位を欠くTFPIアナログ;(2)天然アミノ酸のアミノ酸Lys 254とThr255の間に存在するトロンビン切断部位を欠くTFPIアナログ;(3)(i)少なくとも1つのKunitzドメインおよび(ii)C末端領域を含むが、もっともC末端側のKunitzドメインとC末端領域の間にトロンビン切断部位を有さないTFPIアナログ;(4)Kunitzドメインを含むN末端ポリペプチドおよびKunitzドメインを含まないC末端ポリペプチドを与えるようにトロンビンによって切断され得ないTFPIアナログ;(5)2個未満(すなわち1または0)のLys Thrジペプチドを含むTFPIアナログを提供する。
【0017】
天然切断部位(Lys Thr)を様々な方法で除去することができる。例えばリシンおよび/またはトレオニンを異なるアミノ酸で置換してトロンビンによって認識されないジペプチドを得ることができる。あるいは、リシンおよび/またはトレオニンを除去することができる。さらに他には、1個以上のアミノ酸をリシンとトレオニンの間に挿入することができる。修飾を行った後、TFPIアナログをトロンビンと試験消化でインキュベートして天然C末端切断がもはや起こらないことを確認することができる。
【0018】
本発明はまた:(1)Kunitzドメイン3を含むがC末端ドメインを欠くTFPIアナログ;(2)C末端からアミノ酸をq個以下切断したTFPIであるTFPIアナログ(qは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40である)を提供する。TFPIのC末端切断は既に報告されているが、これは通常K3の欠失と組合せである。
【0019】
ポリペプチド
TFPIは3個のトロンビン切断部位を有する:(i)Lys 86とThr 87の間;(ii)Arg 107とGly 108の間;および(iii)Lys 254とThr 255の間。本発明者らはTFPIの抗細菌活性がC末端塩基領域、とりわけ配列番号1のLys 254とThr255の間のトロンビン切断部位の近くおよび/または下流に存在することを見出した。この部位での切断は抗細菌活性を有し、細菌LPSに結合することができる22アミノ酸ペプチド(配列番号3)を解放する。かくして本発明は、抗細菌剤として使用するための、細菌感染の処置法において使用するための、そしてかかる感染の処置用医薬の製造において使用するための、TFPIのCTDに基づくペプチドを提供する。本発明はさらに、抗微生物剤として使用するための、微生物感染の処置法において使用するための、そしてかかる感染の処置用医薬の製造において使用するための、TFPIのCTDに基づくペプチドを提供する。
【0020】
したがって本発明は:(1)配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド(ペプチド#1);(2)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド(ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない);(3)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド(存在するとき、配列番号3のN末端側のアミノ酸がLysではない);(4)配列番号3と少なくとも50%(例えば≧60%、≧70%、≧80%、≧85%、≧90%、≧92%、≧94%、≧96%、≧98%、またはそれ以上)同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(5)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド(配列番号3のアミノ酸の少なくとも1個がDアミノ酸である);(6)配列番号3のアミノ酸配列の少なくとも3(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21)連続アミノ酸のフラグメントを含むポリペプチド(当該ポリペプチドはTFPIではない);(7)配列番号1のアミノ酸配列のC末端から少なくとも3(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75またはそれ以上)アミノ酸を含むポリペプチド(当該ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない)を提供する。
【0021】
抗菌活性はまた、TFPIのもっともC末端側の残基を含まないがCTDに由来するペプチドにおいて見られる。したがって本発明は、配列番号5のアミノ酸配列の少なくとも3(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14)連続アミノ酸のフラグメントを含むポリペプチドを提供する。ポリペプチドは(例えば配列番号1の)TFPIまたはTFPIアナログのフラグメント自体であってもなくてもよい。
【0022】
本発明はまた、配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも3(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれ以上)連続アミノ酸のフラグメントを含むポリペプチドを提供する。ポリペプチドはm(例えば配列番号1の)TFPIのフラグメント自体であってもなくてもよい。好ましい配列番号6のフラグメントはまた、配列番号5のフラグメントである。
【0023】
本発明はまた、配列番号1のフラグメントを含むポリペプチド((a)フラグメントは配列番号5のアミノ酸配列の少なくとも3(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14)連続アミノ酸を含み、(b)前記ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない)を提供する。
【0024】
本発明はまた:(1)配列番号7のアミノ酸配列からなるポリペプチド(ペプチド#3);(2)配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチド(当該ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない);(3)配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチド(存在するとき、配列番号7のN末端側のアミノ酸がLysではない);(4)配列番号7と少なくとも50%(例えば≧60%、≧70%、≧80%、≧85%、≧90%、≧92%、≧94%、≧96%、≧98%、またはそれ以上)同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド;(5)配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチド(配列番号7のアミノ酸の少なくとも1個がDアミノ酸である);(6)配列番号7のアミノ酸配列の少なくとも3(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21)連続アミノ酸のフラグメントを含むポリペプチド(当該ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない)を提供する。
【0025】
本発明はまた:(1)配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド(当該ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない);(3)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド(存在するとき、配列番号5のN末端側のアミノ酸がLysではない);(4)配列番号5と少なくとも50%(例えば≧60%、≧70%、≧80%、≧85%、≧90%、≧92%、≧94%、≧96%、≧98%、またはそれ以上)同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド;(5)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド(配列番号5のアミノ酸の少なくとも1個がDアミノ酸である);(6)配列番号5のアミノ酸配列の少なくとも3(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21)連続アミノ酸のフラグメントを含むポリペプチド(当該ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない)を提供する。
【0026】
本発明はまた:(1)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド(ペプチド#5);(2)配列番号10のアミノ酸配列を含むポリペプチド(当該ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない);(3)配列番号10のアミノ酸配列を含むポリペプチド(存在するとき、配列番号7のN末端側のアミノ酸がLysではない);(4)配列番号10と少なくとも50%(例えば≧60%、≧70%、≧80%、≧85%、≧90%、≧92%、≧94%、≧96%、≧98%、またはそれ以上)同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド;(5)配列番号10のアミノ酸配列を含むポリペプチド(配列番号10のアミノ酸の少なくとも1個がDアミノ酸である);(6)配列番号10のアミノ酸配列の少なくとも3(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21)連続アミノ酸のフラグメントを含むポリペプチド(当該ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではない)を提供する。
【0027】
これらのポリペプチドは、好ましくはLPSおよび/または細菌と結合することができる。これらのポリペプチドはまた、病原真菌の細胞壁において見出されるマンノタンパク質と結合することができる。ポリペプチドはまた、ウイルス粒子において見出されるタンパク質と結合することができる。
【0028】
ポリペプチドは好ましくは、250アミノ酸以下(例えば225、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6以下または5アミノ酸)からなる。5〜90アミノ酸からなるポリペプチドが好ましい(例えば5〜80、5〜70、5〜60アミノ酸など)。8〜25アミノ酸からなるポリペプチドがとりわけ好ましい。
【0029】
ポリペプチドは好ましくは、少なくとも3アミノ酸(例えば少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、または少なくとも50アミノ酸)からなる。
【0030】
本発明は式NH−A−B−C−COOH
〔式中:Aはaアミノ酸からなるポリペプチド配列であり;Cはcアミノ酸からなるポリペプチド配列であり;Bは配列番号3のアミノ酸配列から少なくともb連続アミノ酸のフラグメントであるポリペプチド配列であり、ここでbは3以上(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21)である〕
を有するポリペプチドを提供する。
【0031】
本発明は式NH−A−B−C−COOH
〔式中:Aはaアミノ酸からなるポリペプチド配列であり;Cはcアミノ酸からなるポリペプチド配列であり;Bは配列番号5のアミノ酸配列から少なくともb連続アミノ酸のフラグメントであるポリペプチド配列であり、ここでbは3以上(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21)である〕
を有するポリペプチドを提供する。
【0032】
本発明は式NH−A−B−C−COOH
〔式中:Aはaアミノ酸からなるポリペプチド配列であり;Cはcアミノ酸からなるポリペプチド配列であり;Bは配列番号7のアミノ酸配列から少なくともb連続アミノ酸のフラグメントであるポリペプチド配列であり、ここでbは3以上(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14)である〕
を有するポリペプチドを提供する。
【0033】
本発明は式NH−A−B−C−COOH
〔式中:Aはaアミノ酸からなるポリペプチド配列であり;Cはcアミノ酸からなるポリペプチド配列であり;Bは配列番号10のアミノ酸配列から少なくともb連続アミノ酸のフラグメントであるポリペプチド配列であり、ここでbは3以上(例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14)である〕
を有するポリペプチドを提供する。
【0034】
値aは一般的に少なくとも1(例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500等)である。値cは一般的に少なくとも1(例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500等)である。a+cの値は少なくとも1(例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500等)である。a+cの値が最大1000(例えば最大900、800、700、600、500、450、400、350、300、250、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2)であることが好ましい。
【0035】
−A−のアミノ酸配列は典型的に、配列番号2の配列−B−のN末端であるaアミノ酸とm%未満の配列同一を共有する。−C−のアミノ酸配列は典型的には、本発明の抗体の配列番号2可変領域(例えば配列番号2)の配列−B−のC末端であるbアミノ酸とn%未満配列同一を共有する。一般的に、値mおよびnはともに60未満(例えば50、40、30、20、10またはそれ未満)である。値mおよびnは互いに同一または異なっていてよい。
【0036】
本発明の態様において、ポリペプチドは配列番号4からならない、これはHembroughらによって文献10において抗腫瘍および抗血管形成活性を有するが抗細菌活性を有さないと記載されている。
【0037】
本発明のポリペプチドは配列番号3、5、6、7および10と同一の配列を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。これらのポリペプチドにはホモログ、オルトログ、対立遺伝子多型および突然変異が含まれる。ポリペプチド間の同一を、好ましくはMPSRCHプログラム(Oxford Molecular)に備えられているSmith Watermanホモロジーサーチアルゴリズムによって、ギャップオープンペナルティ=12およびギャップエクステンションペナルティ=1のパラメーターでアファインギャップサーチを使用して測定する。
【0038】
これらのポリペプチドは、配列番号3、5、6、7および10と比較して、1個以上(例えば1、2、3、4、5、6等)の連続アミノ酸置換、すなわち関連側鎖を有する他のものでの1アミノ酸置換を含んでいてもよい。遺伝的にコード化アミノ酸は一般に4つのファミリーに分けられる:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非電荷極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンはともに芳香族性アミノ酸と分類されることもある。一般に、これらのファミリー内での1アミノ酸置換は生物学的活性に大きな影響がない。さらに、ポリペプチドは標準配列と比較して1個以上(例えば1、2、3、4、5、6等)の1アミノ酸欠失を有し得る。さらに、ポリペプチドには標準配列と比較して1以上(例えば1、2、3、4、5、6等)の挿入を含み得る。
【0039】
本発明のポリペプチドを様々な方法、例えば化学合成(全体または一部)、プロテアーゼを使用したTFPIの消化、RNAからの翻訳、細胞培養物からの(例えば組換え発現からの)精製等によって製造することができる。<40アミノ酸長のペプチドの好ましい製造法にはインビトロ化学合成が含まれる(文献11、12)。tBocまたはFmoc化学に基づく方法(文献13)のような固相ペプチド合成がとりわけ好ましい。酵素的合成(文献14)はまた、一部または全体で使用することができる。化学合成に代えて、生物合成を使用することができる、例えばポリペプチドを翻訳によって製造することができる。これはインビトロまたはインビボで行うことができる。生物学的方法は、一般にL−アミノ酸を利用したポリペプチドの生産に限定されるが、翻訳機構の操作(例えばアミノアシルtRNA分子の)を使用してD−アミノ酸(または他の非天然アミノ酸、例えばヨードチロシンまたはメチルフェニルアラニン、アジドホモアラニン等)の導入を行うことができる(文献15)。しかし、D−アミノ酸が含まれる場合、化学合成を使用することがこの好ましい。本発明のポリペプチドはC末端および/またはN末端に共有結合修飾を有することがある。
【0040】
本発明のポリペプチドは様々な形態(例えば天然、融合、糖化、非糖化、脂質化、非脂質化、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化、非ミリストイル化、モノマー、マルチマー、粒子、変性等)を取り得る。
【0041】
本発明のポリペプチドは好ましくは、純粋または実質的に純粋な、すなわち実質的に他のポリペプチドを含まない(例えば天然由来のポリペプチドを含まない)形態で提供され、そして一般的に少なくとも約50%(重量)純粋、および通常少なくとも約90%純粋であり、すなわち約50%未満、より好ましくは約10%未満(例えば5%未満)の組成が他の発現ポリペプチドである。
【0042】
本発明のポリペプチドは固体支持体に結合し得る。本発明のポリペプチドは検出可能なラベル(例えば放射性または蛍光ラベル、またはビオチンラベル)を含み得る。
【0043】
「ポリペプチド」なる用語は任意の長さのアミノ酸ポリマーを意味する。ポリマーは直鎖、分枝鎖または環状であり得て、それは修飾アミノ酸を含んでいてもよく、そしてそれは非アミノ酸によって中断されていてもよい。この用語はまた、天然または介入によって;例えば、ジスルフィド結合形成、糖化、脂質化、アセチル化、リン酸化またはあらゆる他の操作または修飾、例えばラベリング成分との共役によって修飾されているアミノ酸ポリマーを含む。また、この定義に含まれるものは例えば、1個以上のアミノ酸のアナログ(例えば非天然アミノ酸等が含まれる)ならびに当業者に既知の他の修飾を含むポリペプチドである。ポリペプチドは一本鎖または関連鎖として存在し得る。
【0044】
本発明は1以上の配列−X−Y−または−Y−X−または−X−X−(式中、−X−は上記定義のアミノ酸配列であり、そして−Y−は上記定義の配列ではない)を含むポリペプチドを提供する、すなわち本発明は融合タンパク質を提供する。例えば本発明は、−X−Y−X−Y−、またはX−X−Yまたは−X−X−等を提供する。本発明の1つの態様において、Yは例えば配列番号14または15に見られるようなN末端リーダー配列である。さらなる態様においてYは配列番号16または17に見られるようなC末端Tヘルパー配列である。
【0045】
本発明は本発明のポリペプチドを生産するための方法であって、本発明の宿主細胞をポリペプチド発現を誘導する条件下で培養することを含む方法を提供する。
【0046】
本発明は本発明のポリペプチドを生産するための方法であって、ポリペプチドを一部または全部化学的方法を使用して合成することを含む方法を提供する。
【0047】
C末端ポリぺプチドとTFPIの組合せ
TFPIは抗凝固作用を有し、それはまた潜在的に有害な内毒素シグナル伝達を妨害する。さらに、本明細書に記載のとおり、それはC末端ドメインによって媒介される抗微生物効果、例えば抗細菌効果を有する。TFPIおよびTFPIアナログの抗真菌効果を増強するため、TFPI(またはTFPIアナログ)を上記定義のTFPIのC末端に由来するポリペプチドと共に投与することができる。あるいは、またはさらに、上記定義のTFPIのC末端に由来するポリペプチドの抗微生物効果を増強するために、それらをTFPIおよび/またはTFPIアナログと共に投与することができる。
【0048】
したがって本発明は:(1)TFPIまたはTFPIアナログ、および本発明の抗微生物ポリペプチドを含む医薬組成物;(2)同時、個別または逐次投与のためのTFPIまたはTFPIアナログ、および本発明の抗微生物ポリペプチド;(3)TFPIまたはTFPIアナログ、および本発明の抗微生物ポリペプチドの同時、個別または逐次投与を含む患者の処置法;(4)本発明の抗微生物ポリペプチドの投与を受けた患者にTFPIまたはTFPIアナログを投与することを含む患者の処置法;(4)TFPIまたはTFPIアナログの投与を受けた患者に本発明の抗微生物ポリペプチドを投与することを含む患者の処置法を提供する。抗微生物は好ましくは抗細菌である。
【0049】
したがって本発明は:(1)本発明の抗微生物ポリペプチド、およびTFPIまたはTFPIアナログを含む医薬組成物;(2)同時、個別または逐次投与のための本発明の抗微生物化合物、およびTFPIまたはTFPIアナログ;(3)本発明の抗微生物化合物、およびTFPIまたはTFPIアナログの同時、個別または逐次投与を含む患者の処置法;(4)本発明の抗微生物化合物の投与を受けた患者にTFPIまたはTFPIアナログを投与することを含む患者の処置法;(4)TFPIまたはTFPIアナログの投与を受けた患者に本発明の抗微生物化合物を投与することを含む患者の処置法を提供する。
【0050】
これらの組合せで使用されるTFPIアナログには、C末端由来抗微生物ポリペプチドまたは抗細菌ポリペプチドが含まれるか、または欠く。したがってTFPIは、上記の通り、q以下のC末端を欠く。
【0051】
薬剤設計およびペプチド模倣物
本発明のポリペプチドはそれら自体が抗微生物剤として有用である。しかし、それらは抗微生物学的活性を(一般的にまたは特異的に)改善するために、またはバイオアベイラビリティー、毒性、代謝性、薬物動力学等のような薬理学的に重要な特徴を改善するために精錬され得る。ポリペプチドはしたがって、さらなる研究および精錬のためのリード化合物として使用され得る。
【0052】
本発明のポリペプチドはペプチド模倣物分子を設計するために使用することができる(文献16〜21)。ペプチド模倣物技術はトロンビン阻害剤の設計に成功裏に使用された(文献22、23)。これらは典型的には、本発明のポリペプチドに対して等比体積であるが、それらのペプチド結合の1個以上を欠く。例えば、重要なアミノ酸副鎖を保持したままペプチド主鎖を非ペプチド主鎖で置換することができる。ペプチド模倣物分子には糖アミノ酸が含まれ得る(文献24)。ペプトイドを使用することができる。
【0053】
ペプチド模倣物分子の設計を補助するため、ファーマコフォア(すなわち活性に関する具体的な特徴を発現する化学的特徴および3D制約)をペプチドについて定義することができる。ファーマコフォアには好ましくは、表面アクセス可能な特徴、より好ましくは水素結合ドナーおよびアクセプター、荷電/イオン化基、および/または疎水性パッチを含む。これらは活性の付与における相対的な重要度に基づいて重み付けをすることができる(文献25)
【0054】
ファーマコフォアをCATALYST(HypoGenまたはHipHopを含む)、CERIUSのようなソフトウェアを使用するか、または本発明のポリペプチドの既知のコンホメーションから手で構成することによって決定することができる。ファーマコフォアを使用して、CATALYSTのようなプログラムを使用して構造ライブラリをスクリーニングすることができる。受容体と相互作用する化学基と最大の空間的一致を得る構造データベースにおける候補分子の方向を調査するCLIXプログラムを使用することもできる。
【0055】
結合表面またはファーマコフォアを官能基(例えばプロトン、ヒドロキシル基、アミン基、疎水性基)または小分子フラグメントの好ましい相互作用位置をマッピングするために使用することができる。対応する官能基が本発明のポリペプチドと実質的に同じ空間的関係に位置する化合物を新規に設計することができる。
【0056】
官能基は正しいサイズおよび構造を有する架橋フラグメントまたは官能基を好ましい方向に支持するフレームワークを使用して一つの化合物に結合することができ、したがって本発明のペプチド模倣物化合物を提供する。この方法での官能基の結合を手作業で行うことができるので、おそらくQUANTAまたはSYBYLのようなソフトウェアの助けによって、自動または半自動新規設計アプローチを使用することもできる、例えば:
−MCSS/HOOK(文献26、27)、これは複数の官能基をデータベースから得た分子テンプレートと結合する。
【0057】
−LUDI(文献28)、これは理想的にはリガンドによって満たされる相互作用のポイントを計算し、受容体と相互作用するそれらの能力に基づいて結合部位にフラグメントを位置させ、そしてそれらをリガンドを製造するために連結する。
【0058】
−MCDLNG(文献29)、これは受容体結合部位を一般原子の最密充てん配置で満たし、そして原子タイプ、位置、結合配列および他の特徴をランダムに変化させてMonte Carlo法を使用する。
【0059】
−GROW(文献30)これは最初の“種”フラグメント(手動または自動で置く)で開始してリガンドを外側へ成長させる。
【0060】
−SPROUT(文献31)、このセットには:結合ポケット中の好ましい水素結合および疎水性領域を同定するモジュール(HIPPOモジュール);構造生成のための出発フラグメントを形成するため、標的部位で官能基およびそれらの位置を選択するモジュール(EleFAnT);増殖スペーサーフラグメントによって出発フラグメントでの結合ポケットの立体障害を満たす骨格を生成し、得られた部分骨格を結合するモジュール(SPIDeR);ヘテロ原子を骨格に置換して受容体部位のものと相補的な静電気的特徴を有する分子を生成するモジュール(MARABOU)が含まれる。解をALLigaTORモジュールを使用して集合させ、採点することができる。
【0061】
−CAVEAT(文献32)、これは結合ユニットを設計して非環式分子を抑制する。
【0062】
−LEAPFROG(文献33)、これは小さい段階的な構造の変化を作成し、新規化合物の結合エネルギーを速やかに評価することによってリガンドを評価する。変化は結合エネルギーの変化に基づいて継続または廃棄され、そして構造は受容体との相互エネルギーを増加させ続ける。
【0063】
−GROUPBUILD(文献34)、これは一般的な有機テンプレートのライブラリーおよびリガンドと受容体間の非結合相互作用の完全な経験的力場の描写を使用して、化学的に合理的な構造を有し、かつ受容体結合部位に立体的および静電気的に相補的特徴を有するリガンドを構築する。
【0064】
−RASSE(文献35)
【0065】
これらの方法は関連化合物を同定する。これらの化合物を新規に設計することができ、既知の化合物であり得て、または既知の化合物に基づくものであり得る。化合物はそれ自体有用であってもよく、またはそれらは、結合親和性または他の薬理学的に重要な特徴(例えばバイオアベイラビリティー、毒性、代謝性、薬物動力学等)を改善するためのさらなる医薬的精錬に使用することができるプロトタイプ(すなわちリード化合物)であり得る。
【0066】
個々に有用な化合物同様、構造ベース設計技術によってin silicoで設計されたペプチド模倣物も“伝統的な”in vitroまたはin vivoスクリーニング法のための化合物ライブラリーを示唆するために使用することができる。リガンドにおいて重要な医薬的主題を同定し、抗微生物学的活性についてスクリーニングするための化合物ライブラリ(例えばコンビナトリアルライブラリ)において模倣することができる。
【0067】
本発明は:(i)これらの薬剤設計法を使用して同定された化合物;(ii)医薬として使用するための、これらの薬剤設計法を使用して同定された化合物(iii)抗細菌のような抗微生物剤の製造における、これらの薬剤設計法を使用して同定された化合物の使用;および(iv)細菌のような微生物感染を有する患者の処置法であって、有効量のこれらの薬剤設計法を使用して同定された化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0068】
治療法および組成物
本発明は:(a)本発明の化合物、ポリペプチド、および/またはペプチド模倣物;および(b)薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。本発明の組成物は微生物感染を発症する危険があるかまたは有すると診断された患者の処置に、あるいは患者の1人または群の、感染を重度の感染に進行させる危険を低減するために使用する。
【0069】
成分(a)は組成物の有効成分であり、そしてこれは治療上有効量、すなわち患者内での微生物の増殖および/または生存を阻害するのに有効な量、および好ましくは微生物感染を削除するのに有効な量で存在する。正確な患者にとって有効な量は、体格および健康状態、感染の性質および程度、および投与に選択する組成物または組成物の組合せに依存する。有効量を通常の実験によって決定することができ、医師の判断のうちである。本発明の目的のために、有効な投与量は一般的に、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、または約0.01mg/kg〜約50mg/kg、または約0.05mg/kg〜約10mg/kgである。ポリペプチドを利用した医薬組成物は、当該技術分野で既知である。ポリペプチドは塩形および/またはエステルの組成物を含み得る。
【0070】
「薬学的に許容される担体」には、それ自体組成物を投与される固体に有害な抗体の生産を誘導しないあらゆる担体が含まれる。適当な担体は、典型的には、巨大な、緩やかに代謝されるマクロ分子、例えばタンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、ショ糖、トレハロース、ラクトースおよび脂質凝集体(例えば油滴またはリポソーム)である。かかる担体は当業者に周知である。
【0071】
医薬組成物を当該技術分野で既知の方法で投与することができる。これには、限定されないが、局所投与および静脈内、エアロゾル、皮下、および筋肉内経路が含まれていてよい。医薬組成物を1個の用量または複数用量で得ることができる。
【0072】
微生物感染は、1種の微生物で、または複数種の微生物であり得る。2種以上の細菌、ウイルスまたは真菌のいずれかによる感染の組合せであり得る。微生物感染が細菌からもたらされるとき、それはグラム陽性菌および/またはグラム陰性菌であり得る。典型的な重度の感染に関与するグラム陰性菌には、Escherichia coli、Bacteroides fragilis、Pseudomonas aeruginosa、Klebsiella種、Enterobacter種、およびProteus種が含まれる。典型的な重度の感染に関与するグラム陽性には、Streptococcus Pneumoniae、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus種、Streptococcus agalactiaeおよびStreptococcus pyogenesが含まれる。重度の真菌感染には、Candida albicans、Candida glabrata、Aspergillus fumigatus、Aspergillus niger、Cryptococcus neoformansおよびFusarium種が含まれる。ウィルス感染はヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペス、ヒト乳頭腫ウイルス、肝炎ウイルス、レオウイルス、アデノウイルス、インフルエンザ、およびヒトT細胞白血病ウイルスが関与し得る。寄生原虫感染は、Trypanosoma cruzi、およびLeishmania、Giardia、EntamoebaおよびPlasmodium種が関与し得る。
【0073】
微生物感染には例えば、肺炎、耳感染、下痢、尿路感染、皮膚障害、局所および粘膜ならびに播種性侵襲性真菌感染が含まれる。
【0074】
本発明の組成物はさらに、とりわけ複数の投与フォーマットにパッケージされているとき、さらなる抗菌剤を含んでいてもよい。
【0075】
本発明はまた、微生物感染を発症する危険があるか、または有すると診断された患者の処置用医薬の製造における本発明の化合物およびポリペプチドの使用を提供する。
【0076】
処置に好ましい患者は子供(例えば幼児または乳児)、10代および大人を含むヒトである。
【0077】
一般
「含む」なる用語は、「含んでいる」および「からなる」を包含し、例えばXを「含む」組成物は排他的にXからなることもあり、あるいは別のものを含む、例えばX+Yであり得る。
【0078】
数値xに関する「約」なる用語は例えばx±10%を意味する。必要であれば、用語「約」を削除することができる。
【0079】
「実質的」なる用語は、「完全な」を排除しない、例えばYを「実質的に含まない」組成物はYを完全に含まなくてもよい。必要であれば、「実質的」なる用語を本発明の定義から削除することができる。
【0080】
配列の同一割合はSmith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムを使用して、ギャップオープンペナルティーを12、そしてギャップエクステンションペナルティを2、BLOSUMマトリックスを62としてアフィンギャップサーチを使用して、決定することができる。Smith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムは文献36に記載されている。
【0081】
上記のとおり、本発明の核酸およびポリペプチドには以下の配列が含まれ得る:
(a)配列表に記載の配列と同一(すなわち同一率100%)のもの;
(b)配列表に記載の配列と同一の配列を共有するもの;
(c)(a)または(b)と比較して、離れた位置または連続して、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の1ヌクレオチドまたはアミノ酸置換(欠失、挿入、置換)を有するもの;および
(d)対アラインメントアルゴリズムを用いて配列表から特定の配列を整列させたとき、最初(N末端または5’)から終わり(C末端または3’)まで移動するxモノマー(アミノ酸またはヌクレオチド)の移動窓を、(p>xのとき)pモノマーに伸長するアラインメントについてp−x+1が当該窓に存在するように、各窓が少なくともx・y同一整列モノマーを有する:ここでxは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30から選択され、yは0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され;そしてx・yが整数ではないときそれは最も近い整数に切り上げる。好ましい対アラインメントアルゴリズムは初期パラメーター(例えばGapオープニングペナルティ=10.0、およびGapエクステンションペナルティ=0.5、EBLOSUM62をスコアするマトリックスを使用する)を用いたNeedleman−Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム(文献37)である。このアルゴリズムは簡便には、EMBOSSパッケージのニードルツールで実行される。
【0082】
本発明の核酸およびポリペプチドはさらに、これらの配列(a)〜(d)のN末端/5’および/またはC末端/3’にさらなる配列を有し得る。
【0083】
「微生物性」および「微生物」なる用語は、細菌、ウイルスおよび真菌を含む全ての微生物を包含する。
【0084】
「動物」なる用語はヒトを含むあらゆる動物界のメンバーを意味する。本発明の化合物は補体系を有する動物に有用である。
【0085】
本発明の実施には、別段の指示がない限り、当該技術分野に含まれる常套の化学的、生物学的、分子生物学的、免疫学的、および薬学的方法を使用する。かかる技術は文献に十分に説明されており、例えば文献39〜46等を参照する。
【0086】
補体系は、標的細胞の細胞膜を破壊することによって、またはオプソニン化を増加させることによって微生物性病原を生物から排除する手助けをする、免疫系の生化学カスケードである。古典的な補体経路はC1複合体(C1q、C1rおよびC1sからなる)の活性化によって開始される。活性化にはC1q分子のコンホメーション変化を含んでいてもよく、これはC1rセリンプロテアーゼ分子の活性化および続くC1sの切断を導く。得られたC1複合体はC2およびC4に結合し、C2bおよびC4bを切断によって製造することができる。別の補体経路は直接病原の表面でのC3加水分解によって開始される。レクチン補体経路は古典的な経路と類似であるが、オプソニン、マンナン結合レクチン(MBL)およびフィコリンをC1qの代わりに有する。補体の細胞溶解最終生成物はC5b、C6、C7、C8およびC9からなる膜攻撃複合体(MAC)である。MACは標的細胞の浸透溶解を引き起こす膜透過チャンネルを形成する。本発明の化合物は補体またはC1qのようなその成分と相互作用することができる。
【0087】
図面の簡単な説明
図1はタンパク質分解性消化TFPIの全血中での細菌殺傷活性を示す。TFPIをプラスミン、トロンビン(1A)、エラスターゼ(1B)またはカテプシンG(1C)でタンパク質分解した。カテプシンGでタンパク質分解したTFPIは、カテプシンG単独または全TFPIと比較して最も高い抗菌活性を示した。
【0088】
図2はタンパク質分解のインキュベーション時間の増加が抗細菌活性の上昇をもたらすことを示す。2Aは時間に対するタンパク質分解消化物のSDS−PAGE画像を示し、2Bは消化物の抗細菌活性の上昇を示す。2Cは殺傷がカテプシンGによるものではないことを示す。
【0089】
図3は消化によって生じた主要なプロトリティック(protolytic)フラグメントを示す。TFPIをカテプシンGで消化し、ゲルろ過フラクションを回収した。
【0090】
図4はTFPIタンパク質分解後ゲルろ過フラクションの抗細菌活性を示す。
【0091】
図5はゲルろ過を1MのNaClの存在下で行ったときのゲルろ過フラクションを示す。
【0092】
図6は脱塩後1M NaClゲルろ過フラクションを示し(6A)、そしてカラムからの抗細菌活性の快復を示す(6B)。6Cは6Aに示した純粋なTFPIフラグメントの抗細菌活性を示す。
【0093】
図7はN末端配列および抗細菌活性を有するゲルろ過フラクションのバンドからの質量分析について選択したペプチドを示す。
【0094】
図8は抗細菌活性が活性な補体に依存することを示す。8Aおよび8Bは熱不活性化あるいは血漿(A)または血清(B)によって殺傷活性が減少することを示す。8Cはコブラ毒因子によっても殺傷活性が減少することを示す。8Dは血清中のペプチドの殺傷活性が全血におけるそれと類似していることを示す。
【0095】
図9は古典的な補体経路がTFPIペプチドの抗細菌活性に必須であることを示す。
【0096】
図10は蛍光ラベルペプチドの細菌への結合を示し、そして結合がヘパリンの存在によって阻害されることを示す。図10A−10Dは1000×、蛍光;図10E−10Hは1000×、白色光である。
【0097】
図11はTFPIの抗細菌活性にとってTFPIのC末端領域の重要性を示す。
【実施例】
【0098】
実施例
本発明はとりわけ有利な態様を記載している下記実施例の説明によって例示する。しかし、これらの態様は例示であって、いかなる方法においても本発明を限定するように構成されていない。
【0099】
下記実施例において、全ての外来性TFPIはTFPIアナログ、ala−TFPIである。
【0100】
実施例1. タンパク質分解性TFPIの抗菌効果
実験I
TFPIをα−トロンビン、プラスミン、エラスターゼおよびカテプシンGと、10%血液中でインキュベートし、下記のとおり大腸菌O18:K1:H7に対する細菌殺傷活性について試験した。組換えTFPI 5μM(別段の指示がない限り)をプラスミン(100nM、レーン3)およびα−トロンビン(100nM、レーン7;1μM、レーン8)(A)、エラスターゼ(100nM、レーン3および4)(B)、ならびにカテプシンG(100nM、レーン4;1μM、レーン5、6および7)と、(C)全体積180μlで処理した。TFPIを含む反応物をフェノールレッドなしRPMI 1640、25mM Hepes、pH7.5(RPMI)、40μl PBS中3000CFU 大腸菌O18:K1:H7および20μl RPMI中希釈酵素で希釈した。体積をRPMIで調節した。サンプルを15〜30分間プレインキュベートした後、最終体積200μlまで抗凝固剤を含まない新鮮な血液を加えた。対照はRPMI中10%血液、TFPI 1、2および5μM、およびそれぞれの濃度で酵素のみであった。サンプルを4時間、37℃で5%COと湿潤インキュベーター中でインキュベートし、連続希釈物をTryptase大豆カンテンプレートに播種した。細菌コロニー数を、一晩37℃でインキュベーション後に測定した。全実験条件は2連で行う。データは平均のコロニー数を示す。
【0101】
実験II
TFPIをカテプシンGを使用してタンパク質分解的に消化し、下記の通り10%血液の存在下での大腸菌O18:K1:H7に対する細菌殺傷活性について試験した。製剤バッファー(300mM L−アルギニン、5mM メチオニン、20mM クエン酸ナトリウム、pH5.5)中10mg/mlのTFPI(1.2mg)をカテプシンG(150mM NaCl、50mM 酢酸ナトリウム、pH5.5中)10μMで処理し、1μlおよび18μlのアリコートを5日にわたって取った。1μlアリコートを10〜20%グリシンゲルでのSDS−PAGEゲル電気泳動で分析した。
【0102】
図2Aに示すとおり、5日間TFPIのカテプシンGでのインキュベーションは部分消化をもたらした(M, Prestained Standard; S, start of digestion)。
【0103】
18μlのアリコートを10μM TFPIに、445μlのフェノールレッドなしRPMI 1640、25mM Hepes、pH7.5(RPMI)で希釈し、40μl PBS、10%非凝固血液中3000CFU 大腸菌を含む200μlの反応物中5μMの最終濃度でアッセイし、RPMIで最終体積に調節した。陰性対照はRPMI中10%血液、TFPI 5μMおよびカテプシンG 400nMであった。抗凝固剤を含まない血液を新たに抜き取り、最終成分として反応物に加えた。サンプルを上記の通り操作した。
【0104】
図1および2に示すとおり、消化したTFPIは細菌増殖を阻害し、時間に対して活性が増加した。カテプシンGおよび未消化TFPIは同様の活性を示さなかった。したがって、TFPIのフラグメンテーションは新規活性の解放をもたらす。
【0105】
実験III
TFPIタンパク質分解性フラグメントの活性領域を定義するために、TFPIを分取スケールで消化し、下記のとおりRPMI中ゲルろ過に供した。TFPI(12mgまたは23mg)を上記の通りカテプシンGで2日間消化し、平行サンプルをHiload Superdex 30 16/60カラムでRPMI中、あるいは最終濃度1Mとなるように固体として加えたNaClを含むRPMI中で、ゲルろ過によって分画した。1ml分画を回収し、16%トリシンゲルでのSDS−PAGEゲル電気泳動によって分析した。
【0106】
図3および5はRPMIおよび1M NaClを含むRPMIでそれぞれ得られた分離物を示す。図3と図5を比較すると理解できるように、フラグメント1〜フラグメント3の改善された分離物が1M NaCl中で得られ、フラグメント2が1M NaCl中フラクションの定義の数中のみで溶出する。
【0107】
分画を下記の通り細菌殺傷活性について試験した:RPMI中ゲルろ過に由来する分画のアリコート 100μlを、上記の通り反応物 200μlに直接加え、細菌コロニーの増殖に対する効果をアッセイした。1M NaClを含む分画を、1KDaのカットオフを有するCentrifugal Devicesを使用してRPMI中で約155mMのNaCl、および600μlの分画サイズに脱塩した。図6Aに示すものは1M NaCl中ゲルろ過に由来する分画である。アリコート 25μlまたは100μlの分画を上記の通り反応物 200μlに加えて、細菌生存に対する効果をアッセイした。
【0108】
図4から理解できるとおり、RPMI中でゲルろ過した後、アッセイした全分画は細菌殺傷アッセイにおいてごくわずかな活性のみを示す。対照的に、図6Bに示すとおり、1M NaCl中ゲルろ過に由来する分画のいくつかは強力な細菌殺傷活性を示す。最高の活性は分画21および22において見られる。分画27および28は高濃度で加えたとき(4倍増加分画体積)弱い活性を示した。このデータは消化したTFPIは抗菌活性を含むことを示す。
【0109】
実験IV
図6Aに示したフラグメント1、2および3をさらに精製した。簡潔に述べると、Mono−Sカラムを50mM Hepes中0.5M〜1M NaClグラジエント、pH7でのカチオン交換のために使用して、フラグメント1および2を精製した。Mono−Qカラムを50mM〜1M NaClグラジエントでのアニオン交換のために使用してフラグメント3を精製した。1mlの分画を回収し、SDS−PAGEゲル電気泳動で上記の通り分析した。精製フラグメントを上記の通りRPMIにバッファー交換し、細菌殺傷活性についてアッセイした。
【0110】
図6Cに示すとおり、TFPIのC末端由来の精製したフラグメントは細菌殺傷活性を有する。低濃度(1:2希釈)のフラグメント1(aa161/165−276と同定;レーン1、2、3)は低い活性レベルを示した。フラグメント2(183−269/276と同定、レーン4)はフラグメント1(レーン2、比較SDS−PAGEゲル電気泳動によって決定)と同じ濃度で同様の活性を示す。フラグメント3(aa1−90と同定)は活性がない。
【0111】
実施例2. TFPIタンパク質分解性フラグメントのN末端配列決定
【0112】
生物学的に活性なフラグメントの分子同一性を同定するために、ゲルろ過分画21、23および25に由来する特定のタンパク質分解性バンドを単離し、下記のとおりN末端配列決定に供した。分画のアリコートを16%トリシンゲルのSDS−PAGE電気泳動で分離し、10mM CAPS、10%メタノール、(pH11)中でPVDF膜にブロッティングした。膜を40% メタノール中0.025% Coomassie Brilliant Blue Gで1分間染色し、50%メタノールの複数回交換で30分間脱染色し、興味のあるバンドを図7の箱に記載の通りに切り出した。質量分析をLC−ESI−MSを使用してこれらの分画に対して行った。
【0113】
N末端配列決定の結果は、抗細菌活性を有する分画はTFPIのC末端領域に由来するフラグメントを含んでいることを示した。結果は下記の通りである:分画21のN末端配列決定によって同定した主要な種はアミノ酸161および165で開始しており、分画23はアミノ酸1で開始しており、そして分画25ではアミノ酸183で開始している。これらの結果および質量分析によって同定した種を要約する。
【0114】
示した結果を合わせて考えると、活性な分画中の主要なタンパク質種はTFPIのC末端ドメインに由来し、アミノ酸161−269、アミノ酸165−269、アミノ酸183−276およびアミノ酸183−269を含む。TFPIのN末端に由来するフラグメント(アミノ酸1−90)はまた、同じ分画中で見出されるが不活性である。
【表1】

【0115】
実施例3: TFPIのC末端領域の重要性
LPSの存在下でIL−6分泌を誘導するTFPIの能力を、TFPIならびに(i)TFPIの1〜161残基を有するTFPI1−161;(ii)変異K1を有するTFPI;(iii)変異K2を有するTFPI;(iv)変異K1およびK2を有するTFPIを含むTFPIアナログを使用して試験した。
【0116】
希釈し、新たに採血した全血をグラム陰性菌の細胞壁由来のLPSとインキュベートすると、サイトカインカスケードが数時間以内に誘導される。図11aに示すとおり、K2ドメインまたは162〜276アミノ酸(C末端ドメインを含む領域)の欠失はIL−6分泌誘導能の喪失をもたらす。このことから、K2ドメインおよびTFPIのC末端1/3部分がこの活性に必要であると結論づけられる。
【0117】
図11bは同様の実験の結果を示す。ala−TFPIのIL−6誘導能はK3ドメインのみを欠失しているDes−K3−TFPIと極めてよく似ている。対照的に、161aaまたは252aaを残すC末端の切断によって陰性対照である緑蛍光タンパク質と同様のIL−6誘導プロファイルを有する分子を得る。したがって、IL−6誘導能はTFPIのC末端である残基252の下流のアミノ酸に含まれ得る。
【0118】
TFPIの22末端アミノ酸(すなわち配列番号3)からなるペプチドをLPSの存在下におけるIL−6アッセイで試験した。図11cに示すとおり、ペプチド含有物はペプチドおよびLPS用量依存方法において、LPSのサイトカイン生産効果を完全に逆転する。したがって、このペプチドはLPSの内毒素活性を中和することができる。
【0119】
図11dは22マーを大腸菌O18ac:K1:H7(ATCC)とインキュベートした結果を示す。IL−6誘導アッセイにおいて、生存細菌の接種材料を希釈した全血に加えた。22マーは用量依存的に細菌生存を減少させた。このことは細菌コロニーの増殖の抑制の抑制によって示された。300nMのペプチドで全細菌を殺害した。
【0120】
したがって、22マーはLPSを中和することができ、そして生存細菌に対する直接殺菌効果を有する。これらの活性は、細菌感染に対する防御の先天性免疫応答の一部であり得る。アッセイはTFPIの作用メカニズムの局面を明らかにし、そして内毒素を中和し、血清と細胞受容体の相互作用を妨げることによって細菌感染の進行を調節することができる分子としてのTFPIおよびそのアナログを示す。この活性は敗血症の初期段階、または抗菌剤での処置後の内毒素放出の後に、重要な役割を果たし得る。LPSの高血清レベルは感染性ショックを有する患者の致命的な結果と関連している(文献47)。
【0121】
実施例4. TFPIのC末端ペプチドの抗菌効果
実験I
TFPIのC末端ドメインに存在する殺菌活性について試験するためにペプチドを設計した。活性をグラム陰性(大腸菌O18:K1:H7. ATCC 700973)菌に対して、10%血液の存在下で上記の通り測定した。対照は10%血液および100nMのチファコギンを有するRPMIであった。生物学的活性を細菌コロニーの減少から、上記のとおり測定した。
【0122】
22マー(配列番号3;ペプチド#1)の抗菌効果をスクランブル対照ペプチド(配列番号8;ペプチド#2)、ならびに13アミノ酸がさらに上流にシフトしたN末端および8アミノ酸が上流にシフトしたC末端を有するTFPIフラグメント(すなわち配列番号7;ペプチド#3)と比較した。ペプチド#3は天然TFPIの配列番号3の上流に位置するトロンビン切断部位に含まれる。ペプチド#1と#3の14マーオーバーラップは配列番号5である。ペプチド#5(配列番号10)はペプチド#3のアミノ酸およびさらにペプチド#1のC末端8アミノ酸を含む。配列およびそれらの対応するペプチド数を下記に示す:
【表2】

【0123】
#1、#2、および#3の3つのペプチドを水で最終アッセイ濃度である10倍に希釈し、細菌と4時間、3μM、300nM、100nMおよび10nMの最終濃度でインキュベートした。大腸菌を3000CFU/200μlで使用した。生存コロニー数を上記実施例1のとおりに測定した。表1に示すとおり、ペプチド#1および#3は共に、O18ac:K1:H7大腸菌株に対して活性であった。ペプチド#3はペプチド#1よりも、3000nMで血液とインキュベートしたとき得られる細菌の合計殺傷において良好な活性を示し、これはトロンビン切断部位での切断が不活性化であることを示唆した。全長TFPIはこれらのアッセイで試験した濃度ではグラム陰性菌に対して活性を有さない。表2はペプチド#3およびペプチド#5の300nM、100nMおよび10nMに連続希釈した後の生物学的活性を示す。ペプチド#5の活性は同様であるが、ペプチド#3と比較してわずかに減少する。
【0124】
【表3】

N.D.=検出不可
【表4】

N.D.=検出不可
【0125】
実験II
ペプチド#3を通常ヒト血清を対照として使用して大腸菌のさらなる株について3μMでの活性について試験した。表3に示すとおり、大腸菌O2a、2b:K5(L):H4(ATCC 23500)およびO7:K1(L):NM (ATCC 23503)はペプチド#3によって、大腸菌O18:K1:H7と同様の方法で影響された。
【表5】

N.D.=検出不可
【0126】
実験III
ペプチド#1、#3および#4を、血液なしでの大腸菌O18:K1:H7に対する活性について試験した。ペプチドを3μMでアッセイした。同じ血液およびTFPI対照が実験Iに含まれている。
【表6】

N.D.=検出不可
【0127】
血液なしでは、ペプチドは大腸菌O18:K1:H7にほとんど抗菌活性を示さなかった。表4に示すとおり、大腸菌生存に対するペプチドの影響は、3000nMであっても増殖培地のみのものと同様であった。対照的に、既知の抗菌ペプチドLL37(ペプチド#4;配列番号9)はこの濃度で細菌の完全阻害を示した。したがって、TFPI由来ペプチドは、血液中に見出される因子と共に作用してそれらの抗菌効果を得ることができる。
【0128】
実験IV
ペプチド#1(配列番号3)、ペプチド#2(配列番号8)、ペプチド#3(配列番号7)およびペプチド#4(配列番号9)の抗菌効果を下記アッセイでさらに評価した。
【0129】
時間依存性:ペプチドを3000CFUの大腸菌O18:K1:H7と、記載の最終濃度で10%血液の存在下で200μlの反応を3つ平行して、上記の通りインキュベートした。10%血液を含むRPMIを陰性対照として使用した。1、3または5時間インキュベーションした後、連続希釈物をカンテンプレートに播き、サンプルを細菌性増光かについてアッセイした。表5は、クリアランスが1時間では見られなかったが3および5時間後のペプチド#1、#3および#4によって示されたように、細菌クリアランスの時間依存性を示す。ペプチドの細菌生存に対する効果は試験した時間によって増加する。また、ペプチド#3はインキュベーションの3および5時間の両方でペプチド#1よりも高い活性を示した。
【表7】

N.D.=検出不可
【0130】
ペプチド#1(配列番号3)、ペプチド#2(配列番号8)、ペプチド#3(配列番号7)およびペプチド#4(配列番号9)の抗菌効果をさらに下記アッセイで評価した。
【0131】
キャパシティー:表6は細菌滴定による細菌クリアランスのキャパシティーを示す。これらの実験では様々な濃度の大腸菌O18:K1:H7(3×10、3×10または3×10CFU/200μl)を3μMまたは100nMペプチド#3で、RPMI/10%血液中で試み、希釈前3または5時間インキュベートし、播種した。簡潔に述べると、細菌を記載の40μl PBS中CFUに希釈し、反応を200μlの最終体積で上記のとおり評価し、37℃でインキュベートした。反応物の連続希釈液を播き、一晩インキュベーション後のコロニー数を測定した。3時間で、ペプチド#3は使用した全CFUで効果を示した。5時間で、高CFU培養物に対する効果が認識できず、殺傷活性の滴定およびキャパシティーを超える高CFU培養物であることを示す。
【表8】

N.D.=検出不可
【0132】
実施例5. 細菌殺傷活性は活性成分に依存する
実験I
図8Aに示すとおり、TFPIのC末端ペプチドは、血液の無細胞分画(血漿または血清)と組み合わせたときにグラム陰性菌グラム陰性(大腸菌O17:K1:H7)に対する生物学的活性を有する。図8A、8Bおよび8Cは活性が血漿または血清を56℃で30分間熱処理することによって、およびコブラ毒因子(CVF)で処理することによって消失し得ることを示す。CVFは全ての終末補体成分の減少によって溶解作用を媒介する補体を血清から枯渇させる(文献48)。図8Cにおいて、この結果は血清を10Uまたは1UのCVFで下記の通りに処理した実験について示している:100U/mlおよび10U/mlのCVFの原液をPBSで希釈して製造した。血清を室温で30分間、10:1の比でCVF原液で処理した。対照反応として、RPMIを10U/ml CVFで処理し、血清をCVFなしで室温で平行してインキュベートした。処理した血清を上記の10%血液の全反応体積で使用した。未処理血清の反応物に10%CVF処理RPMIを補った。対照はペプチド#3が未処理血清または30分室温でCVFなしでインキュベートした血清において活性であることを示す。ペプチド#3の活性は10U/mlのCVFで処理した血清において消失し、したがって溶解活性を媒介する補体が消失した。1U/mlのCVFで、ペプチド#3との組合せでの殺傷活性はなお存在しており、このことは低濃度は補体活性を消失させるのには十分ではないことを示唆している。
【0133】
大腸菌O18:K1:H7は補体媒介殺傷に抵抗性を付与すると考えられているポリシアル酸K1カプセルを有する(文献49)。このデータはTFPI由来のカチオン性ペプチドが抵抗性を変化させることができることを示す。
【0134】
実験II
血清中の細菌殺傷活性が血液中のものを代理するかどうかを評価するため、ペプチド#1、#2、#3、および#5を3μM、300nMおよび30nMに連続希釈した。対照として、血清および300nM TFPIを含む血清を含めた。図8Dに示すとおり、ペプチド#3は血清と組み合わせてもっとも強い効果を有し、次いでペプチド#5、そしてペプチド#1は顕著に減少した活性を有する。ペプチド#2は不活性である。血清中のペプチド活性は血液中で観察されたもの(実施例4、実験I、表2参照)と同じ程度である。
【0135】
実験III
カテプシンG消化rTFPIが血清成分と組合せで作用するかどうかを評価するため、5μMの最終濃度の消化したrTFPIを血液20μlまたは血清40μlでの細菌殺傷アッセイに参加させた。ペプチド#3を平行サンプルとして使用した。対照レーンはペプチドまたはrTFPIの添加なしでの血液または血清サンプルを示す。表7に示すとおり、プロテアーゼ消化TFPIは、TFPIのC末端ペプチドと同様に、血清成分と共に作用する。
【表9】

【0136】
実施例6. 細菌殺傷活性に含まれる補体因子の同定
実験I
ペプチド#3との相乗効果の具体的な標的を同定するため、一つの補体成分を損耗したか欠く血清を使用して細菌殺傷実験を行った。C3、C1q−、C2−、C6−、およびC9を欠くヒト血清、C4を欠くモルモット血清(遺伝的欠失動物由来)および通常ヒト血清を購入した。実験を上記の通り行った。図9A〜Dは補体因子C1q、C3、C6、C2、C9を欠くか、またはC4を欠く血清を個別に試験した実験結果を示す。これらの実験は上記補体因子の除去または欠損はペプチド#3の細菌殺傷活性の喪失をもたらすことを示した。注目すべきことに、ほとんどの欠失血清はわずかに殺傷活性が残っているが、C4欠損血清は完全に細菌殺傷活性を失っており、このことは補体因子の不完全な除去が活性の残存を引き起こし得ることを示唆している。さらに、精製C1タンパク質複合体または因子C4をそれぞれの反応物に適当な生理的濃度でもどすと、殺傷活性が回復する(図9CおよびD)。C1qについて117μg/ml、およびC4について310μg/mlの推定血清濃度で、反応を2.34μgのC1複合体および6μgの因子C4をそれぞれ補った。因子C1qは伝統的補体経路のイニシエーターである(文献50)。因子C6(C6b、C6の酵素的切断の後C6aおよびC6bに)およびC9は膜攻撃複合体の構造成分であり、これは補体による食作用から独立した殺傷に関与する溶解孔を形成する。したがって、ペプチド#3はいくつかの方法で伝統的補体経路と相互作用し、そしてペプチド#3関連補体殺傷は膜攻撃複合体の形成に依存していると考えられる。
【0137】
実験II
C1複合体の活性化はC1rおよびC1sのCa2+依存的結合に依存しているが、レクチンおよび他の経路はCa2+から独立しており、全補体経路はMg2+に依存している。観察された細菌殺傷活性のメディエーターとしての伝統的補体経路の同定をさらに支持するため、5mMのMgClを補った10mMのEGTA中でキレート化実験を行った。表8に示すとおり、ペプチド#3は10mM EGTAおよび5mM MgClを含む血清中での細菌殺傷活性を有さないが、単純血清中の対照実験では活性であった。
【表10】

N.D.=検出不可
【0138】
実施例7. ペプチド結合部位の同定
実験I
2つのヘパリン結合部位はTFPIのC末端に位置し、ヘパリン相互作用は臨床研究で発見されている(文献51)。したがって、ヘパリンと細菌殺傷活性の関係について評価するために実験を設計した。ペプチド#1および#3を、上記のとおり3μMで、ヘパリンまたは低分子量ヘパリン 3U/mlおよび0.3U/mlの存在下または非存在下で使用した。さらに、対照は平行反応で同じ条件で処理した血液であった。未断片化ヘパリン 0.3U/mlはペプチドの細菌殺傷活性の一部消失(データ示さず)、および3U/mlはこの活性を消失させた(表9参照)。表9のデータは0.3U/mLの低分子量ヘパリンの存在下では強く妨げ、そして3U/mLでは殺傷活性が消失することを示す。これはTFPIのC末端のヘパリン結合部位の相互作用がペプチドの生物学的活性に必要であることを示唆している。
【表11】

N.D.=検出不可
【0139】
実験II
TFPIのC末端とLPSの相互作用は記載されている(文献52)。ペプチド#3と細菌細胞表面の直接相互作用を示すため、蛍光標識ペプチドを増殖細菌株と、増殖濃度のヘパリンの存在下または非存在下でインキュベートした。実験の詳細は下記の通りである:大腸菌O18:K1:H7(1×10CFU/ml)の凍結株を1:5でLB増殖培地で希釈し、40分間37℃でインキュベートした。アリコート 0.7ml(3×10CFU)を10mM Tris(pH7.5)で2回洗浄し、10%熱活性化血清を含む10mM Tris(pH7.5)100μlで再懸濁した。未断片化ヘパリンを10倍の濃度で加え、30、3および0.3U/mlとするか、または除き、そしてサンプルを30分間室温でインキュベートした。Hilyte Fluor(商標)555 Dye−タグ化ペプチド#3を100倍(1μl)濃度で加えて300nMとし、そして暗所で5分間インキュベートした。サンプルを10mM Tris(pH7.5)で2回洗浄し、4%パラホルムアルデヒド200μlで再懸濁し、暗所で15分間インキュベートした。10mM Tris(pH7.5)で洗浄した後、サンプルを100〜300μlで再懸濁し、10μlをカバーグラスに乗せ、空気乾燥した。カバーグラスにスライドグラスを、マウント培地と共に乗せた。顕微鏡分析を、AxioCamカメラを備えたZeiss Axiovert 200反転蛍光顕微鏡を使用して行った。
【0140】
図10に示すとおり、蛍光標識ペプチド#3とヘパリンなしでインキュベートした細菌は結合を示す(A)。0.3U/ml ヘパリンでは、蛍光シグナルが減少し(B)、30および3U/ml ヘパリンでは結合が消失する(CおよびD)。図10E〜10Hは対応するNomarskiイメージを示す。
【0141】
引用文献(内容を参照により本明細書の一部とする)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物表面に結合し、動物中に存在する補体系の成分と相互作用して当該微生物を殺す、補体系を有する動物における微生物感染の処置用化合物。
【請求項2】
該化合物が補体系の成分と相乗的に作用する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
該化合物が動物中に存在する補体系の成分と相乗的に作用して微生物をオプソニン化する、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
該化合物が動物中に存在する補体系の成分と相乗的に作用して辺生物の溶菌を起こす、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
微生物が細菌、真菌およびウイルスからなる群のいずれか1個から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
微生物がグラム陰性菌である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
化合物が補体系のC1q成分と相乗的に作用する、請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項8】
配列番号3、5、7および10から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドまたは配列番号3、5、7および10のいずれかと少なくとも80%同一性を有するペプチド(ただし、ポリペプチドはTFPIではない)を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
配列番号3、5、7および10から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号3、5、7および10のいずれかと少なくとも80%同一性を有するペプチド(ただし、ポリペプチドはTFPIまたはTFPIアナログではなく、配列番号3、5、7および10のN末端アミノ酸はLysではない)を含むポリペプチド。
【請求項10】
LPSおよび/または細菌と結合することができる、請求項9に記載のポリペプチド。
【請求項11】
50アミノ酸以下の請求項9に記載のポリペプチド。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物または請求項9〜11のいずれかに記載のポリペプチドを、薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物。
【請求項13】
さらに抗生物質を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
さらにTFPIまたはTFPIアナログを、薬学的に許容される担体と共に含む、請求項12または13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
TFPIまたはTFPIアナログ、および請求項9〜11のいずれかに記載のポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項16】
医薬として使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物または請求項9〜11のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項17】
哺乳類対象における微生物感染の処置用医薬の製造における、有効量の請求項9〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項18】
微生物感染が細菌感染である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
血液を請求項9〜11のいずれかに記載のポリペプチドおよび細菌性微生物と培養する、微生物クリアランス活性のスクリーニング法。
【請求項20】
天然TFPIのC末端付近のトロンビン切断部位を欠く、TFPIアナログ。
【請求項21】
天然TFPIのアミノ酸Lys 254とThr 255の間に存在するトロンビン切断部位を欠く、TFPIアナログ。
【請求項22】
(i)少なくとも1個のKunitzドメインおよび(ii)C末端領域を含み、C末端側のKunitzドメインとC末端領域の間にトロンビン切断部位を有していないTFPIアナログ。
【請求項23】
Kunitzドメインを含むN末端ポリペプチドおよびKunitzドメインを含まないC末端ポリペプチド与えるように、トロンビンによって切断され得ないTFPIアナログ。
【請求項24】
2個未満のLys Thrジペプチドを含むTFPIアナログ。
【請求項25】
TFPIのKunitzドメイン3を含み、TFPIのC末端ドメインを欠くTFPIアナログ。
【請求項26】
C末端から23アミノ酸以下を切断したTFPIである、TFPIアナログ。

【公表番号】特表2009−502810(P2009−502810A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523045(P2008−523045)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/028804
【国際公開番号】WO2007/014199
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】