説明

補助ホッパー付き部品整列供給装置

【課題】機構全体のコンパクト化を図ることができる補助ホッパー付き部品整列供給装置を提供すること。
【解決手段】補助ホッパー付き部品整列供給装置500は、装置本体部500Aに補助ホッパー500Bを一体に付加して構成され、装置本体部500Aの主ホッパー室7と補助ホッパー500Bの副ホッパー室502とを仕切る仕切板2と、仕切板2の下端部に設けられ、副ホッパー室502と主ホッパー室7とを連通する部品補給孔2aと、副ホッパー室502内のナット200を部品補給孔2aに案内する傾斜面部506〜508と、副ホッパー室502内のナット200を撹拌する撹拌回転体509とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助ホッパー付き部品整列供給装置、詳しくは、装置本体部(以下、パーツフィーダともいう。)に補助ホッパーを付加し、一度の補充でパーツフィーダから供給される溶接ナット等(以下、部品という。)の貯留量を増大させる補助ホッパー付き部品整列供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来からの振動方式に代わり、低騒音、小型化を目的とした磁気吸着方式のパーツフィーダが開示されている。
【0003】
このパーツフィーダは、小型化及び軽量化を図れるため、板金部品(以下、ワークという。)に部品を溶接する溶接装置等の側面に壁掛け状態で設置することができるという利点を有しているが、反面、小型化に伴い、一度の補充で貯留可能な部品の数量が制限されるという問題がある。
【0004】
近年、溶接作業環境の自動化、ロボット化が進み、ワークの搬送と溶接を連続的に行うことが可能になり、長時間の無人運転も可能になった。これに伴い、部品を供給するパーツフィーダの部品貯留量の不足が問題となり、部品の貯留量を増大できる軽量なホッパー装置が求められている。
【0005】
この種のホッパー装置として、特許文献2には、補助ホッパー内の傾斜した底面を滑り落ちてきた部品を補助シートで受け、補助シュートの下面に設けたバイブレータの振動で補助シートから送り出す技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、部品投入箱から落下する部品を水平受け皿で受け、水平受け皿を電磁振動させてパーツフィーダのボウルに供給する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、ホッパータンクの下面に傾斜して設けたホッパーシュートをその後部に接続した振動体で振動させて、ホッパータンク内の部品を送り出す技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−203555公報
【特許文献2】実開平01−062213号公報(第3図)
【特許文献3】実開平02−004820号公報(第2図)
【特許文献4】特開平06−107340号公報(図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2〜4に記載の技術は、補助ホッパーがパーツフィーダと別体であり、機構全体が大掛かりであるという問題がある。また、いずれも部品の送り出しに電磁振動を用いるため、シュートの振動が他の部材に干渉するなどして騒音が発生するほか、シュート上を搬送される部品の摺動音や振動体自体の作動音等の騒音が発生し、特許文献4に開示されるような防音措置が必要になる。また、電磁振動体を使用するため電力消費量が増大することや、振動コイル等の重量が大きく、支持部材の共振防止、強度補強により機構全体の形状が大きくなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点にかんがみ、機構全体のコンパクト化を図ることができる補助ホッパー付き部品整列供給装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、補助ホッパーに電磁振動を利用しない新たな方式を採用し、騒音の低減、電力消費量の減少などを図ることができる補助ホッパー付き部品整列供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の補助ホッパー付き部品整列供給装置は、装置本体部に補助ホッパーを一体に付加して構成される補助ホッパー付き部品整列供給装置であって、前記装置本体部の主ホッパー室と前記補助ホッパーの副ホッパー室とを仕切る仕切板と、該仕切板の下端部に設けられ、前記副ホッパー室と前記主ホッパー室とを連通する部品補給孔と、前記副ホッパー室内の部品を前記部品補給孔に案内する傾斜面部と、前記副ホッパー室内の部品を撹拌する撹拌回転体とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の補助ホッパー付き部品整列供給装置は、装置本体部に補助ホッパーを一体に付加して構成されるため、機構全体のコンパクト化を図ることができる。また、副ホッパー室内の部品は、撹拌回転体により撹拌されるため、副ホッパー室内で停留することなく部品補給孔まで円滑に案内され得る。また、撹拌回転体は電磁振動を発生しないため、騒音の低減、電力消費量の減少などを図ることができる。
【0012】
ここで、前記装置本体部は、前記主ホッパー室内の部品を磁気吸着するロータを備え、前記撹拌回転体は、前記ロータと同一のモータにより回転駆動される。このように撹拌回転体の駆動源としてロータのモータを兼用することにより、撹拌回転体専用の駆動源を別途設けなくて済み、部品点数の減少、小型化、軽量化、消費電力の節減などを図ることができる。
【0013】
また、前記撹拌回転体は、前記副ホッパー室内の部品を磁気吸着する永久磁石を備える。このように構成することにより、副ホッパー室内の部品は、撹拌回転体の基本的な回転動作に基づき撹拌されるだけでなく、撹拌回転体に磁気吸着されることに基づき撹拌されるようになり、副ホッパー室内での撹拌性能を向上させることができる。
【0014】
また、前記撹拌回転体に磁気吸着された部品を掻き落とす部品分離板を設けると、部品分離板によって部品が掻き落とされることによって部品の挙動を活発化させることができ、撹拌性能を更に向上させることができる。
【0015】
また、前記永久磁石は、磁気吸着した部品が前記部品分離板と当接しながら前記部品補給孔の上方へ接近可能なように螺旋状に配置される。このような配置パターンで永久磁石を配置することにより、撹拌回転体に磁気吸着された部品は、部品分離板と当接した後は、部品分離板と当接しながら部品補給孔の上方へと案内されて配置パターンの終端の永久磁石に磁気吸着され、撹拌回転体の回転動作に伴い終端の永久磁石が部品分離板を通過するとき、終端の永久磁石から離れ、落下する。したがって、部品補給孔から遠い位置にある部品を部品補給孔近くまで移動させることができ、副ホッパー室内の部品を良好に部品補給孔近くまで案内可能になる。
【0016】
また、前記主ホッパー室内に貯留されている部品の欠乏状態を検出する部品欠乏状態検出手段を設けると、部品の欠乏状態を認識し、部品の補給を行うことができるため、長時間無人運転させる溶接作業において、部品の欠乏による作業の中断を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る補助ホッパー付き部品整列供給装置の要部断面図であって図2図示I-I断面図、図2は、図1図示II−II断面図、図3は、図2図示III-III断面図、図4は、図1図示IV矢視図、図5は、図4図示V-V断面図、図6は、図2図示VI矢視図、図7は、図6図示VII-VII断面図、図8は、図7図示VIII-VIII断面図、図9は、図7図示IX-IX断面図、図10は、図7図示X-X断面図、図11は、図7図示XI矢視図、図12は、図6の説明図、図13は、図1図示XIII-XIII断面図、図14は、変形例に係る図1図示XIII-XIII断面図、図15は、他の変形例に係る図1図示XIII-XIII断面図、図16は、図1図示XVI-XVI断面図、図17は、補助ホッパー付き部品整列供給装置が組み込まれた溶接装置システムの構成図、図18は、溶接用ナットの説明図をそれぞれ示す。
【0019】
図17に示すように、溶接装置システムは、下部電極101と上下動可能な上部電極102とを有し、図示しないワークに、図18(A)又は(B)に示すような溶接用ナット(以下、単にナットという。)200を溶接する溶接機100を備える。溶接機100の側面100a側など所要の部位には、溶接機100に固定された支持ブロック103によって支持された支持金具104が配されている。支持金具104は、下部電極101にナット200をセットするための供給ヘッド300、及び、供給ヘッド300に接続された送給ホース400に対しナット200を供給するための補助ホッパー付き部品整列供給装置500を支持している。
【0020】
図1及び図3に示すように、補助ホッパー付き部品整列供給装置500は、支持ブロック105に固着された支持板106上に載置されている。支持ブロック105は、支持金具104に固定されている。支持金具104には支持アーム107が固定され、支持アーム107にホッパー固定板108が固着されている。ホッパー固定板108は支持板106の下方に配されている。ホッパー固定板108は、支持ブロック105に緩みが生じ支持板106が傾こうとしても支持板106を下方から支持することによって支持板106の姿勢を保持し、補助ホッパー付き部品整列供給装置500の転倒を防止するものである。
【0021】
この溶接装置システムの動作を概略的に説明する。所定量のナット200を補助ホッパー付き部品整列供給装置500に投入した状態でシステムを起動すると、補助ホッパー付き部品整列供給装置500は、ナット200を選別、整列する。この選別、整列されたナット200は送給ホース400の内部を通って供給ヘッド300に供給される。供給ヘッド300は、下部電極101にワークがセットされた後、ナット200を下部電極101にセットする。その後、上部電極102を下降し、上部電極102と下部電極101とでナット200とワークを加圧し、この加圧状態下で通電を行ない、ナット200をワークに抵抗溶接する。ここで、供給ヘッド300に所定個数のナット200が溜まった場合には、ナット確認センサ600がオンして補助ホッパー付き部品整列供給装置500の動作を停止する。そして、ナット確認センサ600がオフにスイッチングすると、補助ホッパー付き部品整列供給装置500が動作を再開する。
【0022】
次に、補助ホッパー付き部品整列供給装置500の構成を説明する。
【0023】
補助ホッパー付き部品整列供給装置500は、装置本体部500Aと補助ホッパー500Bとからなる。
【0024】
A. 装置本体部500A
装置本体部500Aは、非磁性体からなる箱体1を備える。箱体1は、本体前板(仕切板)2と、本体後板3と、本体側板4(以下、本体左側板4という。)と、本体底板を兼ねる本体側板5(以下、本体右側板5という。)とを備える。
【0025】
本体右側板5の側面部と底面部とが交わる部位から上方へ本体中板6が配設されている。本体中板6は、非磁性体からなるロータ50の外リング12の半径と略同じ半径の半円形状をしており、その上端部は、箱体1の本体上板501つまりシュート27側の上面を塞ぎ主ホッパー室7内への異物の侵入を防止するための本体上板501に固定されている。本体中板6は、本体前板2、本体右側板5の側面部、本体後板3とともに主ホッパー室7を形成し、主ホッパー室7に所定量のナット200が投入及び貯留され、部品溜まり部7aが形成される。主ホッパー室7は、底に向かって断面積が減少する空間を形成し、ナット200が本体底面に向かって移動し易くしている。
【0026】
本体後板3の外面に、ロータ50を回転駆動するモータ9が固定されている。モータ9は、種類、型式は問わず、ギヤードモータ、サーボモータ、エアーモータ、DCモータ又はACモータなどいずれのモータであってもよい。
【0027】
モータ9の出力軸9aは、本体後板3の内面側に突出しており、この出力軸9aにブラケット10が外嵌固定されている。ブラケット10は、ロータ50の回転板11の中央部に固着されている。回転板11は、反時計方向aへ回転可能である。
【0028】
回転板11の外周端に、外リング12が本体後板3に向かって延びている。外リング12は、主ホッパー室7内のナット200を磁気吸着するナット吸着面として作用する。外リング12の内側に、同心状に内リング13が本体後板3に向かって延びている。外リング12の本体後板側端部と内リング13の本体後板側端部との間に、カバーリング14が固定されており、外リング12と内リング13とカバーリング14とによって筒リング15が形成されている。
【0029】
筒リング15には、所定の間隔例えば90°間隔で球状永久磁石16を収容する磁石収容室17が形成されている。図3に示すように、磁石収容室17は、筒リング15を一対の仕切板17a,17aで仕切ることによって形成されている。磁石収容室17は、球状永久磁石16が回転板11の円周方向へ移動できるよう形成されている。図10に示すように、磁石収容室17を形成する外リング12の肉厚t2は、回転板11の肉厚t1と比べて薄く形成されており、球状永久磁石16の磁力が外リング12の方向に強く作用するよう設定されている。
【0030】
カバーリング14と本体後板3との間隔は狭く形成されており、ナット200が回転板11の後側に回り込まないようにしている。図2及び図8〜図10に示すように、外リング12は、本体後板3側から回転板11側に向かうにしたがって縮径する傾斜角度α(図9)の傾斜面を形成しており、上端位置まで回転してきたとき、回転板11に向かって、換言すると本体前板2に向かって、下り坂を形成している。この下り坂により、外リング(ナット吸着面)12に吸着され上端位置まで搬送されてきたナット200は、本体前板2の方向へ滑落し易くなる。
【0031】
図3、図6、図7及び図8に示すように、外リング12の上方には、回転板11の回転方向に沿って、各々非磁性体からなるセパレータ18及び保持板19が本体後板3に固定されている。
【0032】
図7に示すように、セパレータ18の下端から、回転板11の半径方向における外リング12までの距離は、ナット1個分の肉厚H(図18)に相当する距離よりも大きく、かつ、ナット2個分の肉厚2Hに相当する距離よりも小さく設定されている。セパレータ18は、図7に示すように、外リング(ナット吸着面)12に2個以上のナット200が重なって搬送されてきた場合に、ナット吸着面12に直接吸着されているナット200Aのみを通過させ、このナット200Aの上に重なっている他のナット200Bを落下させるとともに、ナット吸着面12に側面200a(図18)が吸着されて搬送されてきたナット200を落下させる。
【0033】
保持板19は、図12に示すように外リング12の上端部を覆うように形成され、図2及び図7〜図10に示すように、外リング12の外周面と平行に配されている。図2、図6〜図10及び図12に示すように、保持板19の下面における本体後板3寄りの部位には、保持板19に対して垂直な幅決め部20が回転板11の回転方向(反時計方向)aに沿って形成されている。幅決め部20は、図6に示すように、ナット吸着面12に表面200b又は裏面200c(図18)が吸着されて搬送されてきたナット200を、搬送方向(回転方向)aに対して正しい姿勢となるように整列させる作用をする。
【0034】
図3、図6、図8及び図12に示すように、保持板19の本体前板側端部でかつセパレータ18側の端部には、保持板19から下方へ鉛直に屈曲した板状の第1ガード部21が延設されている。第1ガード部21は、回転板11の前面近傍に配されている。第1ガード部21は、図8に示すように、回転板11の前面に吸着され搬送されてきたナット200を落下させる作用をする。
【0035】
図3、図6及び図12に示すように、第1ガード部21の後端部つまり回転板11の回転方向a側の端部には、本体前板2方向へ折れ曲がった排出板部22が延設されている。排出板部22は、図6に示すように、後述する選別バー23によって払い除けられたナット200つまり裏面200c側がナット吸着面12に吸着され搬送されてきたナット200を、本体前板2側へ排出し落下させるガイド板として作用する。
【0036】
図2、図3、図6、図7、図9及び図12に示すように、保持板19において、排出板部22の前方つまり回転板11の回転方向a側の部位であって、幅方向の中央部位には、選別バー23が垂直に設けられている。選別バー23の下端からナット吸着面12までの距離は、ナット200の肉厚Hに相当する距離よりも小さくかつナット200の溶接脚部200dを除いた部分の肉厚hに相当する距離よりも大きくなるように調整されている。したがって、搬送方向(回転方向)aに対して正しい姿勢で整列され搬送されてきたナット200のうち、裏面200cがナット吸着面12に吸着されているナット200は選別バー23の下端部に当たって払い除けられるようになり、一方、表面200bがナット吸着面12に吸着されているナット200は選別バー23の下端部に当たることなく通過することができる。
【0037】
図3、図6、図9及び図12に示すように、保持板19の本体前板2側端部において選別バー23よりも後方の部位には、保持板19から下方へ鉛直に屈曲した板状の第2ガード部24が延設されている。第2ガード部24は、選別バー23の下方を通過してきたナット200の落下を防止し、前方のワイパー25の方へ案内する作用をする。また、第2ガード部24の前端部24aを円筒形状にする(図6、12)ことにより、排出板部22で本体前板2側へ排出落下させるナット200の掛りを防止し排出が容易になる。
【0038】
図3、図6及び図10〜図12に示すように、保持板19の本体前板2側端部において、第2ガード部24の後端に、シュート分離部26が形成されている。シュート分離部26は、外リング12の本体前板2側端面に対し僅かな隙間をもち、かつ、図10に示すように、外リング(ナット吸着面)12に対してさらに角度βだけ本体前板2側に大きく傾斜した床部26aを備える。床部26aは、回転板11の回転方向aに向かって幅が拡大するように形成されている。床部26aの本体前板2側端部には、垂直壁部26bが延設されている。シュート分離部26は、ワイパー25に当たり本体前板2側へ移動方向が変わったナット200を本体前板2側において受け止めシュート27の内部まで滑落させる作用をする。また、シュート分離部26は、シュート27の幅よりも大きな幅に形成されており、複数のナット200を溜める作用もする。
【0039】
図3、図6、図7及び図10〜図12に示すように、保持板19の後方つまり回転板11の回転方向aの前方には、非磁性体からなるワイパー25が本体後板3に固定されている。ワイパー25の保持板19側の端部は、外リング(ナット吸着面)12からナット200の肉厚Hに相当する距離よりも小さい距離だけ離れて位置している。また、ワイパー25の保持板19側の端部は、回転板11の回転方向aにおいて本体後板3側の端部が本体前板2側の端部よりも後側になるよう斜めに形成されている。ワイパー25は、表面200bがナット吸着面12に吸着され搬送されてきたナット200を受け止め、シュート分離部26に案内する作用をする。
【0040】
図1、図3、図6、図11及び図12に示すように、シュート分離部26の先端部にシュート27が連設されている。シュート27は、ナット200が自走できる傾斜面27aを有し、本体左側板4に固定されている。図17に示すように、シュート27の先端部には、送給ホース400が連設されている。
【0041】
図13に示すように、部品溜まり部7aには、ナット200の欠乏状態を検出する部品欠乏状態検出手段700が設けられる。部品欠乏状態検出手段700は、中空部を有する絶縁ネジ701を有し、その中空部に、検出ヘッド702を有する検出軸703が挿通される。検出軸703は、固定用ナット704で絶縁ネジ701に固定される。絶縁ネジ701は、導電体からなる本体右側板5の底板部に設けられた貫通孔に挿通され、底板部の内側及び外側からナット705によって底板部に固定される。その際、絶縁ネジ701に対するナット705の位置を調整することにより、検出ヘッド702の高さ位置を設定することができる。検出軸703に検出線706が接続されると共に、導電体からなる本体後板3にアース線707が接続され、検出線706とアース線707との間に電圧源708を接続する。部品溜まり部7aのナット200が欠乏状態でないときには、検出ヘッド702がナット200と接触状態にあり、かつ検出ヘッド702と底板部との間の複数個のナット200が互いに接触状態となっている。このため、検出ヘッド702から複数個のナット200を介して底板部に微小電流が流れる。制御装置では、この微小電流を検出することで部品溜まり部7aのナット200が欠乏状態にないと判断することができる。一方、部品溜まり部7aのナット200が欠乏状態になると、検出ヘッド702がナット200と接触しなくなり、検出ヘッド702から底板部に微小電流が流れなくなる。制御装置では、この非通電状態を検出することで部品溜まり部7aがナット欠乏状態になったことを検出することができる。
【0042】
部品欠乏状態検出手段700は、図14に示すように、近接センサ709を本体右側板5の底板部に設けて構成するようにしてもよい。また、図15に示すように、近接センサ709を、副中央底板506の延長上に設けた取付板710に取り付けるようにしてもよい。さらに、図16に示すように、本体後板3の下端部にセンサ用孔3aを設け、このセンサ用孔3aを、磁気を通す銅製プレート711で塞ぎ、この銅製プレート711の外面に近接センサ709を配置するようにしてもよい。
【0043】
なお、箱体1が樹脂製の場合、図13図示の検出軸703と本体右側板5との絶縁は不要となるが、アース線707は、モータ9の出力軸9aなど金属部分に接続する必要がある。また、樹脂化により、図16図示の銅製プレート711は不要となり、本体後板3に直接近接センサ709を配置させることができる。また、部品溜まり部7aのナット200の動きが激しく、微小電流の検出が断続する可能性があるため、誤検出防止のために遅延回路を設けることが好ましい。
【0044】
B. 補助ホッパー500B
図1及び図2に示すように、補助ホッパー500Bは、副ホッパー室502を備える。副ホッパー室502は、本体前板を兼用する副後板(仕切板)2と、副前板503と、副左側板504と、副右側板505と、副前板503の下端から延びた副中央底板506と、副左側板504の下端から延びた副左底板507と、副右側板505の下端から延びた副右底板508とで構成される。副後板2の下部には、副ホッパー室502と主ホッパー室7とを連通する部品補給孔2aが形成されている。副中央底板506は、部品補給孔2aの下辺に向かって下る傾斜面を形成し、また、副左底板507は、副中央底板506に向かって下る傾斜面を形成し、また、副右底板508は、副中央底板506に向かって下る傾斜面を形成している。
【0045】
副ホッパー室502は、上記のような傾斜面部506〜508を有する構成であるため、副ホッパー室502内に投入されたナット200は、部品供給孔2aに向かって流れやすくなる。
【0046】
図1及び図2に示すように、副ホッパー室502内には、副ホッパー室502内に投入されたナット200を撹拌する、円錐台形状の撹拌回転体509が配設される。
【0047】
撹拌回転体509は、撹拌軸510によって回転駆動される。撹拌軸510の基端フランジ部510aは、ボルト(図示せず。)でロータ50の回転板11に固定され、ロータ50の回転と共に回転する。撹拌軸510の前部は、副後板2及び副前板503にそれぞれ配設された中間軸受511及び先端軸受512によって回転自在に保持される。
【0048】
撹拌回転体509は、中空筒状部509aと、この中空筒状部509aの両端部を支持する大径支持プレート509b及び小径支持プレート509cとにより構成され、中空筒状部509aには、図2及び図4に示すように、螺旋状に永久磁石513が配設される。ここで螺旋の向きは、仮想的な右ネジの頭部を図1及び図3の紙面の奥に配しかつ右ネジの脚部を紙面と垂直に配したときの右ネジのネジ山又はネジ溝の配置パターンと同じ向きに設定される。
【0049】
撹拌回転体509の左側方には、一端部が副後板2に固定された部品分離板514が配される。部品分離板514は、撹拌回転体509の外周面から僅かな距離だけ離れて位置する。
【0050】
次に、補助ホッパー付き部品整列供給装置500の動作を説明する。
【0051】
主ホッパー室7及び副ホッパー室502に所定量のナット200を投入し、システムを起動する。
【0052】
A. 装置本体部500Aにおける動作
システムを起動すると、モータ9が回転し、回転板11が反時計方向へ回転する。回転板11の回転時、通常、4個の球状永久磁石16は、それぞれ、主ホッパー室7内のナット200を磁気吸着するようになる。ナット200は磁石収容室17周辺の外リング12と回転板11に吸着されるが、上述したように、外リング12の肉厚t2が回転板11の肉厚t1よりも薄いため、主に外リング12に吸着される。
【0053】
外リング12に吸着されるナット200の個数及びナット200の姿勢は、球状永久磁石16の磁力の強さなどによって様々であるが、例えば、2個以上のナット200が重なって外リング12に吸着されている場合は、これらのナット200がセパレータ18の位置まで搬送されてきたとき、外リング12に直接吸着されているナット200A以外のナット200Bがセパレータ18に当たることによって落下するようになる。また、側面200aが外リング12に吸着されているナット200も、セパレータ18に当たることによって落下するようになる。また、回転板11に吸着されたナット200は、第1ガード部21の位置まで搬送されてきたとき、第1ガード部21に当たることによって落下するようになる。回転板11面の磁力は外リング12面より弱く作用するので、第1ガード部21で回転板11側に吸着されたナット200を払い落とすときに、外リング12側に吸着されたナット200まで引き摺り、位置をずらしたり同時に落下するような不具合の発生を防止することが可能である。
【0054】
したがって、表面200a又は裏面200cが外リング12に吸着されているナット200のみが保持板19の入口を通過できるようになるが、このときのナット200の姿勢は、幅決め部20によって正しい姿勢に直された上で搬送されてゆく。
【0055】
保持板19の下方に進入してきた正しい姿勢のナット200のうち、裏面200cが外リング12に吸着されているナット200は、選別バー23に当たるようになり、このナット200を磁気吸着していた球状永久磁石16が選別バー23の位置から離れるようになると、外リング12の傾斜面を滑落し排出板部22に案内されて落下するようになる。
【0056】
一方、表面200bが外リング12に吸着されているナット200は、選別バー23に当たらないため、球状永久磁石16に磁気吸着されたまま選別バー23の下方を通過する。
【0057】
そして、第2ガード部24に案内された後、ワイパー25の先端部に当たり回転方向aへの移動が阻止されるようになると、このナット200を磁気吸着していた球状永久磁石16がワイパー25の先端部の位置から離れ、磁力が及ばなくなったとき、外リング12の傾斜面を滑落してシュート分離部26まで移動する。ここで、シュート分離部26は、外リング12の傾斜角度αの傾斜面よりさらに角度βだけ傾斜の大きい床部26aを有しているため、ナット200は、シュート分離部26の床部26aを円滑に滑落してシュート27の内部に案内される。シュート27内部に案内されたナット200は、シュート27の傾斜面27aを滑落し、その後送給ホース400を経て供給ヘッド300に供給される。
【0058】
このように、装置本体部500Aは、表面200bが外リング12に吸着されたナット200のみを供給ヘッド300に供給する。そして、外リング12及び回転板11に吸着された余分なナット200は、セパレータ18、第1ガード部21及び選別バー23によって落下される。
【0059】
また、ナット溜まり部7aのナット貯留量が十分なときは、制御装置は、検出線706からの微小電流を検出し、あるいは、近接センサ709からの検出信号を受信し、ナット貯留量が十分であると判断する。
【0060】
一方、ナット溜まり部7aのナット貯留量が減少してゆき、欠乏状態になると、制御装置は、検出線706からの微小電流を検出しなくなり、あるいは、近接センサ709からの検出信号を受信しなくなることから、ナット貯留量が欠乏状態になったことを検出し、作業者に対してその旨を報知する。ナット欠乏状態を知った作業者は、主ホッパー室7内にナットを補給すると共に、副ホッパー室502にもナットを補給する。
【0061】
この装置本体部500Aによると、本体中板6をロータ50の外リング12の半径と略同じ半径の半円形状に構成したため、主ホッパー室7の容積が増大し、ナット200の貯留量を増大させることができる。また、ナット欠乏状態を検出し、作業者にその旨が報知されるため、ナット200の補給を行うことにより、長時間無人運転させる溶接作業において、ナット200の欠乏による作業の中断を回避することが可能となる。
【0062】
B. 補助ホッパー500Bにおける動作
システムが起動すると、回転板11の回転に伴い撹拌軸510を介して撹拌回転体509が反時計方向aへ回転する。撹拌回転体509が回転すると、撹拌回転体509自体の回転によって副ホッパー室502内のナット200が撹拌される。また、撹拌回転体509の回転に伴い永久磁石513が副ホッパー室502内のナット200を磁気吸着しながら回転する。永久磁石513に磁気吸着されたナット200の一部は、部品分離板514まで到達し、永久磁石513が螺旋状に配置されていることから、部品分離板514によって回転を規制されながら永久磁石513の上を部品補給孔2aの上方へ向かって移動してゆき、永久磁石513の部品補給孔2a側の端部との磁気吸着が解除されたとき、部品分離板514によって掻き落とされるようになる。
【0063】
従って、副ホッパー室502内のナット200は、永久磁石513の配置パターンにより、部品補給孔2aから遠い位置から部品補給孔2a近くまで移動されるようになり、副ホッパー室502内のナット200は良好に部品補給孔2a近くに案内され得る。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の補助ホッパー付き部品整列供給装置500は、装置本体部500Aに補助ホッパー500Bを一体に付加して構成され、装置本体部500Aの主ホッパー室7と補助ホッパー500Bの副ホッパー室502とを仕切る仕切板2と、仕切板2の下端部に設けられ、副ホッパー室502と主ホッパー室7とを連通する部品補給孔2aと、副ホッパー室502内のナット200を部品補給孔2aに案内する傾斜面部506〜508と、副ホッパー室502内のナットを撹拌する撹拌回転体509とを備える。
【0065】
本実施形態の補助ホッパー付き部品整列供給装置500は、装置本体部500Aに補助ホッパー500Bを一体に付加して構成されるため、機構全体のコンパクト化を図ることができる。また、副ホッパー室502内のナット200は、撹拌回転体509により撹拌されるため、副ホッパー室502内で停留することなく部品補給孔2aまで円滑に案内され得る。また、撹拌回転体509は電磁振動を発生しないため、騒音の低減、電力消費量の減少などを図ることができる。
【0066】
また、装置本体部500Aは、主ホッパー室7内のナット200を磁気吸着するロータ50を備え、撹拌回転体509は、ロータ50と同一のモータ9により回転駆動される。このように撹拌回転体509の駆動源としてロータ50のモータ9を兼用することにより、撹拌回転体509専用の駆動源を別途設けなくて済み、部品点数の減少、小型化、軽量化、消費電力の節減などを図ることができる。
【0067】
また、撹拌回転体509は、副ホッパー室502内のナット200を磁気吸着する永久磁石513を備える。このように構成することにより、副ホッパー室502内のナット200は、撹拌回転体509の基本的な回転動作に基づき撹拌されるだけでなく、撹拌回転体509に磁気吸着されることに基づき撹拌されるようになり、副ホッパー室502内での撹拌性能を向上させることができる。
【0068】
また、撹拌回転体509に磁気吸着されたナット200を掻き落とす部品分離板514を設けたため、部品分離板514によってナット200が掻き落とされることによってナット200の挙動を活発化させることができ、撹拌性能を更に向上させることができる。
【0069】
また、永久磁石513は、磁気吸着したナット200が部品分離板514と当接しながら部品補給孔2aの上方へ接近可能なように螺旋状に配置される。このような配置パターンで永久磁石513を配置することにより、撹拌回転体509に磁気吸着されたナット200は、部品分離板514と当接した後は、部品分離板514と当接しながら部品補給孔2aの上方へと案内されて配置パターンの終端の永久磁石513に磁気吸着され、撹拌回転体509の回転動作に伴い終端の永久磁石513が部品分離板514を通過するとき、終端の永久磁石514から離れ、落下する。したがって、部品補給孔2aから遠い位置にあるナット200を部品補給孔2a近くまで移動させることができ、副ホッパー室502内のナット200を良好に部品補給孔2a近くまで案内可能になる。
【0070】
また、主ホッパー室7内に貯留されているナット200の欠乏状態を検出する部品欠乏状態検出手段700を設けたため、ナット200の欠乏状態を認識し、ナット200の補給を行うことができるため、長時間無人運転させる溶接作業において、ナット200の欠乏による作業の中断を回避することが可能となる。
【0071】
なお、本実施形態は、ナット200以外の部品に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品整列供給装置の要部断面図であって図2図示I-I断面図である。
【図2】図1図示II−II断面図である。
【図3】図2図示III-III断面図である。
【図4】図1図示IV矢視図である。
【図5】図4図示V-V断面図である。
【図6】図2図示VI矢視図である。
【図7】図6図示VII-VII断面図である。
【図8】図7図示VIII-VIII断面図である。
【図9】図7図示IX-IX断面図である。
【図10】図7図示X-X断面図である。
【図11】図7図示XI矢視図である。
【図12】図6の説明図である。
【図13】図1図示XIII-XIII断面図である。
【図14】変形例に係る図1図示XIII-XIII断面図である。
【図15】他の変形例に係る図1図示XIII-XIII断面図である。
【図16】図1図示XVI-XVI断面図である。
【図17】補助ホッパー付き部品整列供給装置が組み込まれた溶接装置システムの構成図である。
【図18】溶接用ナットの説明図である。
【符号の説明】
【0073】
200 ナット(部品)
500 補助ホッパー付き部品整列供給装置
500A 装置本体部
500B 補助ホッパー
2 本体前板、副後板(仕切板)
2a 部品補給孔
7 主ホッパー室
9 モータ
50 ロータ
502 副ホッパー室
506 副中央底板(傾斜面部)
507 副左底板(傾斜面部)
508 副右底板(傾斜面部)
509 撹拌回転体
513 永久磁石
514 部品分離板
700 部品欠乏状態検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体部に補助ホッパーを一体に付加して構成される補助ホッパー付き部品整列供給装置であって、
前記装置本体部の主ホッパー室と前記補助ホッパーの副ホッパー室とを仕切る仕切板と、
該仕切板の下端部に設けられ、前記副ホッパー室と前記主ホッパー室とを連通する部品補給孔と、
前記副ホッパー室内の部品を前記部品補給孔に案内する傾斜面部と、
前記副ホッパー室内の部品を撹拌する撹拌回転体と
を備えることを特徴とする補助ホッパー付き部品整列供給装置。
【請求項2】
前記装置本体部は、前記主ホッパー室内の部品を磁気吸着するロータを備え、前記撹拌回転体は、前記ロータと同一のモータにより回転駆動されることを特徴とする請求項1に記載の補助ホッパー付き部品整列供給装置。
【請求項3】
前記撹拌回転体は、前記副ホッパー室内の部品を磁気吸着する永久磁石を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の補助ホッパー付き部品整列供給装置。
【請求項4】
前記撹拌回転体に磁気吸着された部品を掻き落とす部品分離板を備えることを特徴とする請求項3に記載の補助ホッパー付き部品整列供給装置。
【請求項5】
前記永久磁石は、磁気吸着した部品が前記部品分離板と当接しながら前記部品補給孔の上方へ接近可能なように螺旋状に配置されることを特徴とする請求項4に記載の補助ホッパー付き部品整列供給装置。
【請求項6】
前記主ホッパー室内に貯留されている部品の欠乏状態を検出する部品欠乏状態検出手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の補助ホッパー付き部品整列供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−114970(P2008−114970A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299094(P2006−299094)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(593038000)矢島技研株式会社 (13)
【Fターム(参考)】