説明

補助踏み台、補助踏み台付きの階段

【課題】格納位置で、蹴上げ高さHの階段として、使用位置で、補助踏み台35を使った歩行障害者用に蹴上げ高さ「2分の1」×Hの階段として、容易に切り替えられかつ安全に歩行できる。
【解決手段】階段基体1は、高さ(蹴上げ)Hで並べた踏板10をささら桁2ではさみ形成する。ささら桁2の内面3の回転軸31周りに回転自在に、補助踏み台35を取り付けて階段40とする。使用位置で、補助踏み台35は踏板10の上面11に載置され(実線図示)、ささら桁3に磁石で係止固定される。補助踏み台35と踏板10とを使い、蹴上げ高さ「2分の1」×Hの階段となる。格納位置では、固定を解除して、各補助踏み台35を、矢示42方向に回転して、上段側の踏板10の下方に格納し(鎖線図示)、磁石でささら桁2に係止固定される。踏板10のみで蹴上げ高さHの階段となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、階段の蹴上げ高さを調節して高齢者等の歩行に障害がある使用者に利用しやすくする為に使用する階段用の補助踏み台、及びこの補助踏み台を取付けた補助踏み台付きの階段に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物のバリアフリー化が求められており、水平方向に移動する際には段差を無くす為の、様々な工夫が成されていた。しかし、垂直方向の移動は、エレベータや階段を使用することが必要であり、とりわけ家庭では、エレベータは設置スペースを多く取り、また高価である為に、普通の家庭では、階段を使用するしか方策がなかった。
【0003】
この場合、高齢者等にとっては、階段傾斜をできるだけ緩くして、階段の蹴上げ高さを低くすれば、歩き易いものとなる。しかしこの場合、傾斜を緩くした場合には、階段の設置スペースを多く必要とし、現実的では無かった。また、傾斜を緩くした場合には、逆に、健常者にとっては昇降し難いという事態になっていた。
【0004】
そこで、通常の蹴上げ高さの階段に、蹴上げ高さが約半分の部分踏面を形成した階段が提案されている(特許文献1〜3)。この提案によれば、蹴上げを低くして歩行したい使用者は、通常の階段の踏み板と部分踏台の上面とを交互に使用して、蹴上げ高さが約半分の階段として使用できる。また、通常の蹴上げ高さの階段を好む使用者は、部分踏台を使用せずに、通常の踏板のみを使用することができる。
【特許文献1】特開2002−4530
【特許文献2】登録実用新案3011047
【特許文献3】特開平10−115062
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の技術で、補助踏み台付きの階段の場合、健常者にとっては、階段巾を狭くして蹴上げ高さを部分的に高くするものとなり、歩行し難いものとなっていた。
【0006】
また、一般に、事故や家族構成の変化により、歩行障害を有する使用者が生じた場合、通常の階段を補助踏み台付きの階段に切り替えることができなかった(特許文献1、特許文献3の第1第2実施例)。また、特許文献2の発明では、事後的に既設の階段に補助踏み台を載せ、あるいは接着し、又は嵌め込み部を形成した構造が提案されているが、安定性に欠け、安全を確保できなかった。更に、例えば、交通事故等のけがにより歩行障害が生じた場合、けがが完治した後には補助踏み台は不要なものとなり、前記のような接着による場合には事後的に補助踏み台を除去することが困難であった。
【0007】
また、特許文献3の第3実施例では、主階段に受入部を設けて補助踏み台を収容し、引き出して使用する旨の発明が提案されているが、引き出した踏み台は、両面テープ、接着剤、釘等の取付手段により主階段に取り付けるので、安全性に欠けあるいは撤去した際に跡が残り現実的ではなかった。
【0008】
また、特許文献1、3の発明では、補助踏み台を設置した際に、補助踏み台を設置した踏板の段鼻部分に隙間が生じるので、間違って段鼻部分に足を掛け、不慮の事故を生じるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
然るにこの発明は、回転軸を有する補助踏み台を階段基体に取付け、あるいは係止手段を有する補助踏み台を階段基体の表面側又は裏面側の被係止手段に取り付けて階段を構成したので、あるいは廻り階段の外周側に補助踏み台を設置したので、前記問題点を解決した。
【0010】
即ちこの発明は、第一の発明は、所定蹴上げ高さの階段基体の踏板に載せて使用する踏み台であって、該踏み台は、前記階段基体の蹴上げ高さより低い踏み面を有する補助踏み台本体に、縦方向の回動軸及び階段基体との取付手段を有することを特徴とする補助踏み台である。
【0011】
また、前記において、取付手段を蝶番として階段基体に取付けし、該蝶番の縦軸を回転軸とし、補助踏み台本体の一縦稜線に沿って前記回転軸を配置して、前記回転軸を挟み、隣り合う一面及び/又は他面に、ささら桁に仮止めできる仮止め手段を取り付けたことを特徴とする補助踏み台である。
【0012】
また、第二の発明は、所定蹴上げ高さの階段基体の踏板に載せて使用する踏み台であって、該踏み台は、前記階段基体の蹴上げ高さより低い踏み面を有する補助踏み台本体の踏み面面以外の面に、前記階段基体の表面及び裏面に選択的して仮止めできる、仮止め手段を形成したことを特徴とする補助踏み台である。
【0013】
また、第三の発明は、階段状に配置した踏板をささら桁の内面側で挟んでなる階段基体に、補助踏み台を取り付けて構成する階段であって、以下の構成としたことを特徴とする補助踏み台付き階段である。
(1) 前記補助踏み台は上面に踏み面を有し、階段基体との取付手段を介して前記階段基体に固定してなる。
(2) 前記取付手段は回転軸を有し、前記補助踏み台は前記回転軸廻りに回動して、使用状態と格納状態との二位置を取ることができる。
(3) 前記補助踏み台は、使用状態で、階段基体の基準段の踏板上に前記踏み面を位置させて、配置され保持される。
(4) 前記補助踏み台は、格納状態で、前記踏板上から他の位置に移動して格納され、前記ささら桁に当接して保持される。
【0014】
また、前記において、以下の構成としたことを特徴とする補助踏み台付き階段である。
(1) 前記補助踏み台は、使用状態で、階段基体の基準段の踏板上に載置され、前記ささら桁に当接して保持される。
(2) 前記補助踏み台は、格納状態で、回動して、前記基準段の上段の踏板の下方に格納され、前記ささら桁に当接して保持される。
【0015】
また、第四の発明は、直進階段又は廻り階段で、踏板を階段状に配置した階段基体に、補助踏み台を取り付けて構成する階段であって、以下の構成としたことを特徴とする補助踏み台付き階段である。
(1) 上面に踏み面を有する補助踏台で、前記上面以外の面に係止手段を取り付ける。
(2) 前記踏板の上面で、使用状態の前記補助踏台の位置に合わせて、前記係止手段に対応する第一被係止手段を形成した。
(3) 階段の裏面側に、前記係止手段に対応する位置に第二被係止手段を形成した。
【0016】
また、第五の発明は、階段状に配置した踏板を有する廻り階段からなる階段基体に、補助踏み台を取り付けて構成する階段であって、前記踏板の上面で、外周側に沿って補助踏台を固定したことを特徴とする補助踏み台付き階段である。
【0017】
前記における回転軸付きのささら桁取付手段は、リーフヒンジ等の蝶番が適するが、同様な機能を有する他の材料を使用することもできる。
【0018】
前記における仮止め手段は、例えば、ワンタッチ・オープン・キャッチが適するが、磁石を利用した他の手段を使用することもできる。
【0019】
前記における階段基体の「裏面側」とは、階段基体で歩行に使用しない位置をいい、階段歩行者の通常の歩行動作時に目視できない位置が望ましい。
【0020】
前記における補助踏み台は、踏み面を有すれば、中実・中空の箱形等構造は任意であり、例えば箱形として、内部に引き台や扉を設けて物品収容部を形成することもできる。
【発明の効果】
【0021】
この発明の補助踏み台は、回転軸を有し、あるいは仮止め手段を有するので、階段基体に取り付けた際に、回動して、使用状態及び格納状態の二位置を容易に変化させることができ、健常者用の通常の階段と歩行障害を有する者用の階段を容易に切り替えることができる効果がある。また、ささら桁との取付手段を設けた場合には、使用状態及び格納状態の二位置を確実に保持して、より安全な階段を構成できる。
【0022】
また、補助踏み台を、格納状態で、前記基準段の上段の踏板の下方に格納し、前記ささら桁に当接して保持した場合には、格納状態の補助踏み台が歩行の邪魔にならず、また歩行者から目視されない効果がある。
【0023】
また、廻り階段の外周側に外周に沿った補助踏台を固定した場合は、健常者にも歩行の障害が無い補助踏み台付き階段を構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(1) この発明の補助踏み台35付の階段40は、任意の階段基体1に、使用位置と格納位置との二位置を取ることができるように、外観直方体の補助踏み台35を取り付けて構成する。
【0025】
(2) 第一の発明では、階段基材のささら桁に回転軸31周りに回転自在に、補助踏み台35を取り付ける(図1〜図3)。一方の使用位置で、補助踏み台35は当該段の踏板10の上面11に載置する。この位置で、ささら桁3(鋼板製)と補助踏み台35とは磁石で係止固定され、補助踏み台35の踏み面23と踏板10の上面11とを使って、蹴上げ高さ「2分の1」×Hの階段として、安全に使用できる。
【0026】
また、他方の格納位置では、磁石での係止固定を解除して、各補助踏み台35を回転軸31周りに回転して、当該段の上段側の踏板10の下面12の下方に格納する。この位置の補助踏み台35は、磁石でささら桁2に係止固定され、踏板10のみを使用して、蹴上げ高さHの階段として安全に歩行できる。
【0027】
また、再度使用位置に戻す際には、格納位置の磁石でのささら桁2との係止固定を解除して、補助踏み台35を回転させて、使用位置に戻すことができる。
【0028】
(3) また、第二の発明では、二位置は、使用位置が当該段の踏板10の上面11で、格納位置が、当該段又は他の段の踏板10の下面12である(図4〜図8)。
【0029】
(4) また、第三の発明では、廻り階段に適用した実施例で、第三の発明は階段基体1の踏板10の上面11に固定して構成する(図9)。この場合、踏板10の外周側10aに補助踏み台35を取り付ければ、踏板10の内周側10bを使って、補助踏み台を使用しない歩行も安全にできるので、補助踏み台35は二位置を取らずに、固定したままとすることもできる。
【実施例1】
【0030】
図1〜図3に基づき、この発明の実施例を説明する。この実施例は、補助踏み台を回転軸廻りに回動することにより、使用状態と格納状態の二位置を取れるようにした実施例である。
【0031】
[1]階段基体1
【0032】
この発明の階段基体1に使用するささら桁2は、鋼板製で稲妻状に形成されている。この発明の階段基体1に使用する踏板10は、木製で、幅(長さ)L01、奥行き(幅)L02で形成されている。階段状に配置した踏板10、10の両端10a、10bをささら桁2、2で挟んで固定し、この発明に使用する階段基体1とする(図2、図3)。
【0033】
踏板10は、ささら桁2に固定した支持金物9、9により下面12を支持されている。また、踏板10の上面11は、ささら桁2の上縁4から距離Hだけ下方に位置し、踏板10の上面11とささら桁2の上縁4との間に、距離Hの間隙を形成し、この間隙が係止具25(摺動片26。マグネット)の保持部5、5を構成する。また、踏板10の下方は空隙15が形成されている(図2(b))。
【0034】
また、各寸法は、具体的には、例えば以下のように形成する。
・L01=907mm
・L02=237mm
・踏み面L03=220mm
・蹴上げ高さH= 216mm
・H= 17mm
【0035】
[2]補助踏み台35の実施例
【0036】
一辺L、L、高さHの直方体からなる補助踏み台本体16の一縦稜線17を挟んで隣り合う側面を、側面18、側面19とする。また、側面18の対向他面を側面20とし、側面19の対向他面を側面21とする。側面20の上縁20aが使用時に段鼻となる(図1(b))。
【0037】
また、補助踏み台本体16の一縦稜線17に沿って回転軸(縦軸)31が位置するように蝶番(ルーフヒンジ)30を配置し、蝶番30の一片32を側面18に固定する。蝶番30は高さH方向で、ほぼ中央に位置する。蝶番30の他片33はささら桁2に取り付けられるようになっている。即ち、蝶番30は、回転軸31周りに回転する一片21と他片33とからなる。
【0038】
側面19の下端部に、使用時にささら桁2に固定する際に使用するワンタッチ・オープン・キャッチからなる係止具25を取り付ける。また、側面18の下端部に、格納時にささら桁2に固定する際に使用するワンタッチ・オープン・キャッチからなる係止具27を取付ける。係止具(ワンタッチ・オープン・キャッチ)25、27は、夫々摺動片26、28が出没し、摺動片25、27の先端に磁石が露出している。そして、摺動片26、28の先端を押した状態で摺動片26、28が没してロックされる。また、摺動片26、28の先端を再度押すとロックが解除され、摺動片26、28が突出する。
【0039】
以上のようにして、この発明の補助踏み台35を構成する(図1(a)(b))。前記において、各寸法は以下のように形成する。
・H=H×(1/2)
・L02より若干小さく形成する。
・L 「L01−L」で法定の階段巾を確保できるように形成する。
【0040】
また、各寸法は、具体的には、例えば以下のように形成する。
・H:108mm
・L:220mm
・L:150mm
【0041】
[3]補助踏み台35付きの階段40
【0042】
一方のささら桁2に沿って、踏板10の上面11に補助踏み台35を設置する。この際、蝶番30の回転軸31がささら桁2の内面(踏板10の端縁10a側)2付近に位置し、使用状態で、補助踏み台35の側面20の下縁20bが踏板10の段鼻13の先端13aに位置するように配置する。また、この状態で、蝶番30の他片33をささら桁2の内面(踏板10の端縁10a側)3に固定する。この際、蝶番30の他片33は、その段の踏段10の段鼻13の反対側の縁14より奥側に位置し、かつ上段の踏板10の段鼻13の先端13aより奥側に位置しているので、階段の使用者は蝶番30を目視できない。
【0043】
以上のようにして、この発明の補助踏み台付きの階段40を構成する(図2(a)(b))。
【0044】
[4]階段40の使用
【0045】
(1) 補助踏み台35を使用する際には、前記のように、補助踏み台35の側面20の下縁20bが踏板10の段鼻13の端縁13aに位置するように配置する(図2(b))。この状態で、蝶番30の両片32、33は略直角に配置され、前記のように、蝶番30の他片33は階段使用者から見えず、更に蝶番30の一片32を固定した側面18及び蝶番30の回転軸31は、踏板10の段鼻13の反対側の縁14より奥側に位置し、かつ直上の踏板10の段鼻13の先端13aより奥側に位置しているので、側面18を目視することができない。よって、蝶番30は使用者から見えない。
【0046】
また、この状態で、係止具25の摺動片26は没した状態にあり、摺動片26の先端の磁石がささら桁2の内面3に当接してロックされ、補助踏み台35は、側面19がささら桁2の内面3に対面した状態で、移動を規制される。
【0047】
また、この際、歩行障害を有する使用者は、階段基体1の踏板10の上面11と、補助踏み台35の踏み面(上面)23とを交互に使用して、蹴上げ高さ「2分の1」×Hの階段として使用することができる。この際、補助踏み台35の側面20の下縁20bと踏板10の段鼻13の先端13aとが重なっているので、誤って、補助踏み台35の側面20の下方の踏板10の段鼻13に触れることなく、確実に踏板10と補助踏み台35を使って安全に歩行できる。また、階段使用者が、補助踏み台35の段鼻20a側(側面20)をつま先で押す場合もあるが、このような動作によっては、補助踏み台35は移動しないので安全に歩行できる。
【0048】
また、踏板10及び補助踏み台35を使用する時に、保持に使用していない係止具27の摺動片28が歩行の邪魔になることはない(図2(b))。
【0049】
(2) 次に、補助踏み台35が不要になった場合には、補助踏み台35を踏板10の下方の空隙15に格納できる。即ち、補助踏み台35の係止具25(摺動片26がささら桁2の内面3に固定されている)を取り付けた側面19の反対の側面21を押さえると、摺動片26が押されてロックが解除され、摺動片26が突出し、摺動片26とささら桁2との磁石による固定が解除される。従って、補助踏み台35は、平面視で、回転軸31の廻りに矢示42方向に回転する(図2(a))。
【0050】
補助踏み台35を更に矢示42方向に90度回転させると、側面18の係止具27の摺動片28の先端がささら桁2の内面3で、蝶番30の他片33の下方に当接し、磁石により固定される。更に係止具27の反対側の側面20をささら桁2に向けて押すと係止具27の摺動片28は没して、ロックされ、補助踏み台35はその位置に保持される(図3)。この際、蝶番30の両片32、33は、角度がなく並列される。
【0051】
また、この状態で、補助踏み台35は上段側の踏板10の下面12の下方の空隙15に位置し、平面視で、補助踏み台35を目視できない。
【0052】
階段使用者35は通常の階段として、踏板10を使って、蹴上げ高さHの階段として使用できる。また、使用者が、誤って、補助階踏み台35の側面19をつま先で押した場合であっても補助踏み台35のロックが解除されるおそれがないので、安全に歩行できる。
【0053】
また、この状態で、踏板10の上面11には、補助踏み台35を固定する手段を何ら形成していないので、補助踏み台35を収納した状態で、何ら補修をすることなく踏み面を確保できる。
【0054】
(3) また、再度、補助踏み台35を使用する場合には、補助踏み台35の側面20(ささら桁2と平行な面=係止具27の他側の面)を押すと、係止具27の摺動片28が押されて、ロックが解除され、摺動片28が突出して、更に補助踏み台35を引けば、補助踏み台35は回転軸31廻りに矢示43方向に回転して(図3(a))、側面18がささら桁2の内面3から離れる。
【0055】
更に補助踏み台35を矢示方向43に回動して、補助踏み台35を踏板10の下方の空隙15から引き出し、補助踏み台35の側面20の下縁20bを踏板10の段鼻13の先端13aと一致させ、係止具25の摺動片26をささら桁2の内面3に当接させて、磁石で固定し、没状態にしてロックして、この位置で補助踏み台35を保持する。
【0056】
[5]他の実施例
【0057】
(1) また、前記実施例の階段基体1の構造は、踏板11の下面12の下方の空隙15に、補助踏み台35を収容するスペースを確保し、更にささら桁2に磁石を固定できる保持部5を確保できれば、構造は任意である。また、磁石を使用した係止具25、27を用いる場合には、鋼板のささら桁2が望ましいが、アルミニウムや木製等の材料として、係止具25、27の摺動片26、28が当接する位置に鋼板片を固定することもできる(図示していない)。
【0058】
(2) また、前記実施例において、階段基体1の踏板10の一端10a側(一方のささら桁2)にのみ、補助踏み台35を取り付けたが、有効階段巾を確保できれば、踏板11の両端10a、10b側(図2(a))に取付けることもできる(図示していない)。
【0059】
(3) また、前記実施例において、係止具25、27として、ワンタッチ・オープン・キャッチを使用したので、保持状態と解除状態の切替が容易となるが、他の係止手段を使用することもできる。例えば、磁石のみを用いたり、鈎状の係止具等を使用することもできる(図示していない)。
【0060】
(4) また、前記実施例において、回転軸31を縦軸としたが、横軸として、補助踏み台35を板状に形成し、使用状態で、踏板10の上面11の上方に並行に位置させ、格納状態で、回転軸廻りに回動して、ささら桁2の内面3に沿って配置して保持することもできる(図示していない)。
【0061】
(5) また、前記実施例において、階段基体1との取付手段を蝶番30としたが、回転軸を有し、補助踏み台35を使用状態・格納状態の二位置とすることができる構造であれば、任意であり、また階段基体1と固定する位置もささら桁2、踏板10等任意である。例えば、縦稜線17に下方に突出する回転軸を直接に取付けし、回転軸の下端部を踏板10の上面11に軸止して補助踏み台35を回転自在とすることもできる(図示していない)。
【0062】
(6) また、前記実施例において、予め補助踏み台35を固定した新設の階段に適用する場合のほか、前記階段基体1の条件を満たせば、既設の階段のささら桁2の内面3に、補助踏み台35の蝶番30の他片33を固定して、この発明の補助踏み台付きの階段を構成することもできる(図示していない)。
【実施例2】
【0063】
次に、図4〜図8に基づきこの発明の他の実施例を説明する。この実施例は、補助踏み台35をボルト48を使用して、階段基体1の表裏に夫々形成したねじ穴45、46を選択的に使用して、使用状態又は格納状態の二位置をとることができる実施例である。
【0064】
[1]階段基体1
【0065】
この発明の階段基体1に使用するささら桁2は、実施例1と同様に、鋼板製で稲妻状に形成されている。この発明の階段基体1に使用する踏板10、10は、木製で、幅(長さ)L01、奥行き(幅)L02で形成されている。階段状に配置した踏板10の両端10a、10bをささら桁2、2で挟んで固定し、この発明に使用する階段基体1とする(図4(a)(b))。ささら桁2の近傍で、補助踏み台35を載置する位置で、踏板10の上面11及び下面12に、補助踏み台35を固定する為のねじ穴45、ねじ穴46を夫々形成する。
【0066】
階段基体1の各踏板10、10は蹴上げ高さHで配置されている。
【0067】
[2]補助踏み台35
【0068】
一辺L、L、高さHの直方体からなる補助踏み台本体16で、踏み面(上面)23から底面(下面)22に向けて、ボルト48を挿通する縦孔37、37を穿設する。縦孔37の間隔・位置は、踏板10の上面11及び下面12のねじ穴45、46の間隔・位置と一致している。
【0069】
前記において、各寸法は以下のように形成する。
・H : H=H×(1/2)
・L : L01=L
【0070】
縦孔37の上方(補助踏み台本体16の踏み面23側)からに、ボルト48を挿入して、この発明の補助踏み台35を構成する(図5)。ボルト48の先端49は補助踏み台本体16の底面22から突出し、ボルト48の頭50は縦孔37の大径部38に収納される。
【0071】
また、各寸法は、具体的には、例えば以下のように形成する。
・H:108mm
・L:220mm
・L:150mm
【0072】
[3]補助踏み台35付きの階段40の構成及び使用
【0073】
(1) 階段基体1の踏板10、10の端部10aに、補助踏み台35を載せ、ボルト48の先端49を踏板10の上面11のねじ穴45、45に挿入し、ボルト48を螺合緊結して、補助踏み台35を踏板10、10に固定して、この発明の補助踏み台付きの階段を構成する(図4、図5実線図示)。
【0074】
前記において、補助踏み台の前側の側面20の下端20b(底面20の前側の端)が、踏板の段鼻部13の先端13aに一致する。また、補助踏み台の後側の側面18、一つ上の段の踏板10の段鼻部13の先端13aよりの奥側に位置している。
【0075】
(2) この場合、前記実施例1と同様に、歩行障害を有する使用者は、階段基体1の踏板10の上面11と、補助踏み台10の踏み面(上面)23とを交互に使用して、蹴上げ高さ「2分の1」×Hの階段として使用することができる。この際、補助踏み台35の側面20の下縁20bと踏板10の段鼻13の先端13aとが重なっているので、誤って、補助踏み台35の側面20の下方の踏板10の段鼻13に触れることなく、確実に踏板10と補助踏み台35を使って安全に歩行できる。また、階段使用者が、補助踏み台35の段鼻20a側(側面20)をつま先で押す場合もあるが、このような動作によっては、補助踏み台35は移動しないので安全に歩行できる。
【0076】
(3) 補助踏み台35を使用しない場合には容易に格納状態に変化させることができる。即ち、ボルト48を緩め、踏板10から補助踏み台35を取り外し(図5鎖線図示35b)、続いて、補助踏み台35を踏板10の下面12側に位置させ(図5図示35c)、踏板10の下面12のねじ穴46にボルト48の先端49を合わせて、ボルト48を螺合緊結して、踏板10の下面12に、一時的に補助踏み35を固定する(図5鎖線図示35a)。
【0077】
この状態で、補助踏み台35は、踏板10の下面12に固定されるので、歩行者からは目視できない。
【0078】
また、この際、踏板10の上面のねじ穴45に各種の塞ぎ材料を嵌挿して、踏板10の上面を整えておくこともできる。また、塞ぎ材料に替えて、踏板10の上面に各種シートで覆うこともできる(図示していない)。
【0079】
(4) 格納状態から使用状態にする場合には、格納状態でボルト48を緩め、踏板10の下面12から補助踏み台35を取り外し、踏板10の上面11に補助踏み台35を載置して、容易に使用状態とすることができる。
【0080】
[4]他の実施例
【0081】
(1) 前記実施例において、踏板10の下面12側の格納用のねじ穴46の位置は、着脱作業を考慮すれば、踏板10の上面11のねじ穴45(補助踏み台を固定した位置)に対応した位置が望ましいが、踏板10の下面12で補助踏み台35を格納できる位置であればねじ穴46の位置は任意である。
【0082】
(2) また、前記実施例において、格納状態で、踏板10の下面12にねじ穴46を設けたが、踏板10の下面12側で、ささら桁2の内面3にねじ穴46、46を形成することもできる(図示していない)。
【0083】
(3) また、前記実施例において、補助踏み台35に縦孔37を形成し、ボルト48により補助踏み台35を踏板10に固定したが、補助踏み台35に横穴を形成して、ささら桁2にねじ穴45を形成することもできる(図示していない)。この場合、横穴に挿入したボルト48の先端をささら桁2に形成したねじ穴45に螺合緊結し、補助踏み台35をささら桁2に固定する。格納状態は、前記実施例と同様に、踏板10の下面12・踏板10の下面12側のささら桁2等の階段基体1の裏側に収容する。
【0084】
(4) また、前記実施例において、直進型の階段以外で、折り返し型の階段に使用することもできる(図6〜図8)。
【0085】
この場合、階段基体1は、折り返し部分7に、角度45度の扇形の踏板10A、10Aを使用し、外周のささら桁2は折り返し部分7では平面視半円状に屈曲される(図6)。補助踏み台35は、階段基体1の外周側に設置され、扇形の踏板10Aに設置する補助踏み台35は、直方体ではなく、外周側がささら桁2に沿った「半径が大きな曲面」で、内周側が「半径が小さな曲面」に形成される。また、折り返し部分7の補助踏み台36は長くなる(踏板10の外周側に取り付ける為)ので、階段の裏面側への格納し易いように2つの補助踏み台35A、35Aに分割できるようになっている(図6(a)(b))。
【0086】
前記実施例と同様に、この実施例でも、使用状態では、踏板10、10Aの上面11に補助踏み台35を設置し、ボルト48で踏板10、10Aのねじ穴45、45に固定し(図6(b)、図7(b)、図8(b))、格納状態では、補助踏み台35を、踏板10、10Aの下面12のねじ穴46、46にボルト48、48で固定する(図6(a)、図7(a)、図8(a))。
【0087】
尚、ここで、折り返し部分7のささら桁2を平面視で曲面状としたが、直線状に屈折した形状とすることもできる(図示していない)。また、折り返し部分7を中間踊り場とすることもできる。中間踊り場に段差を設ける場合には、中間踊り場の段差部分に、同様に補助踏み台35を設置する(図示していない)。
【0088】
(5) また、前記実施例において、予め補助踏み台35を固定した新設の階段に適用する場合のほか、前記階段基体1の条件を満たせば、既設の階段の踏板10等にねじ穴45、46を形成すれば、補助踏み台35のボルト48をねじ穴45又はねじ穴46に、螺合して、この発明の補助踏み台付きの階段40を構成することもできる。
【0089】
(6) また、前記実施例において、ボルト48とねじ穴45、46とで、補助踏み台35を着脱したが、「ピン」と「ピンを嵌合できる嵌合穴」とで補助踏み台35を着脱可能に階段基体1に設置することもできる(図示していない)。
【実施例3】
【0090】
次に、図9に基づき、この発明の他の実施例を説明する。この実施例は、階段基体を廻り階段とした場合で、補助踏み台を固定し、着脱不能とした実施例である。
【0091】
(1) 階段基体1は、支柱の廻りに、階段状に並べた踏板10A、10Aの端10bを固定し、踏板10A、10Aの端10a側にささら桁2を固定して、構成する。蹴上げ高さはHに形成する。
【0092】
(2) 補助踏み台35(補助踏み台基体16)は、階段基体1の外周側に設置できるように、平面視で外周側がささら桁2に沿った「半径が大きな曲面」からなる側面、内周側が「半径が小さな曲面」からなる側面を形成する。補助踏み台35の踏み面23の高さHは、H=H×「2分の1」、で形成する。
【0093】
(3) 階段基体1の踏板10の外周側10aに補助踏み台35を配置して、補助踏み台35を踏板10の上面又はささら桁2の内面3に固定して、この発明の補助踏み台付きの階段40を構成する(図9)。
【0094】
(4) この際、歩行障害を有する使用者は、踏板10Aの上面11と、補助踏み台35の踏み面(上面)23とを交互に使用して、蹴上げ高さ「2分の1」×Hの階段として使用することができる。この際、補助踏み台35の側面20の下縁20bと踏板10の段鼻13の先端13aとが重なっているので、誤って、補助踏み台35の側面20の下方の踏板10の段鼻13に触れることなく、確実に踏板10と補助踏み台35を使って安全に歩行できる。
【0095】
また、補助踏み台35を使用しない使用者は、階段巾が狭くなった影響をうけることなく、階段の内周側を使用して歩行できるので、使用に支障がない。
【0096】
(5) また、前記実施例において、通常の廻り階段と同様に、踏板10Aを支柱52に安定して固定できれば、ささら桁2は不要である(図示していない)。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】この発明の第1の実施例の補助踏み台の斜視図である。
【図2】同じく第1の実施例の補助踏み台の使用した階段で、(a)は一部平面図、(b)は一部正面図である。
【図3】同じく補助踏み台を格納した階段で、(a)は一部平面図、(b)は一部正面図である。
【図4】この発明の第2の実施例で、(a)は補助踏み台を使用した階段の一部平面図、(b)は(a)のA−A断面図
【図5】同じく第2の実施例の補助踏み台縦断面図である。
【図6】この発明の第2の実施例の他の階段(廻り階段)の平面図で(a)は補助踏み台の格納状態、(b)は装着状態を夫々表す。
【図7】同じく他の階段の縦断面図で(a)は補助踏み台の格納状態、(b)は装着状態を夫々表す。
【図8】同じく他の階段の他の縦断面図で(a)は補助踏み台の格納状態、(b)は装着状態を夫々表す。
【図9】この発明の第3の実施例の階段で、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線における断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 階段基体
2 ささら桁
3 ささら桁の内面
4 ささら桁の上縁
5 ささら桁の保持部
10 踏板
11 踏板の上面
12 踏板の下面
13 踏板の段鼻部
13a 踏板の段鼻部の先端
14 踏板の段鼻部と反対の縁
15 踏板下方の空隙
16 補助踏み台本体
17 補助踏み台本体の一縦稜線
18 踏板の側面
19 踏板の側面
20 踏板の側面
20a 踏板の段鼻
20b 踏板の側面20の下縁
21 踏板の側面
22 踏板の底面
23 踏板の踏み面(上面)
25 係止具(使用時)
26 係止具の摺動片
27 係止具(格納時)
28 係止具の摺動片
30 蝶番
31 蝶番の回転軸(縦軸)
32 蝶番の一片
33 蝶番の他片
35 補助踏み台
40 補助踏み台付きの階段
45 踏板の上面のねじ穴
46 踏板の下面のねじ穴
48 ボルト
52 階段基体の支柱


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定蹴上げ高さの階段基体の踏板に載せて使用する踏み台であって、該踏み台は、前記階段基体の蹴上げ高さより低い踏み面を有する補助踏み台本体に、縦方向の回動軸及び階段基体との取付手段を有することを特徴とする補助踏み台。
【請求項2】
取付手段を蝶番として階段基体に取付けし、該蝶番の縦軸を回転軸とし、補助踏み台本体の一縦稜線に沿って前記回転軸を配置して、前記回転軸を挟み、隣り合う一面及び/又は他面に、ささら桁に仮止めできる仮止め手段を取り付けたことを特徴とする前記請求項1記載の補助踏み台。
【請求項3】
所定蹴上げ高さの階段基体の踏板に載せて使用する踏み台であって、該踏み台は、前記階段基体の蹴上げ高さより低い踏み面を有する補助踏み台本体の踏み面面以外の面に、前記階段基体の表面及び裏面に選択的して仮止めできる、仮止め手段を形成したことを特徴とする補助踏み台。
【請求項4】
階段状に配置した踏板をささら桁の内面側で挟んでなる階段基体に、補助踏み台を取り付けて構成する階段であって、以下の構成としたことを特徴とする補助踏み台付き階段。
(1) 前記補助踏み台は上面に踏み面を有し、階段基体との取付手段を介して前記階段基体に固定してなる。
(2) 前記取付手段は回転軸を有し、前記補助踏み台は前記回転軸廻りに回動して、使用状態と格納状態との二位置を取ることができる。
(3) 前記補助踏み台は、使用状態で、階段基体の基準段の踏板上に前記踏み面を位置させて、配置され保持される。
(4) 前記補助踏み台は、格納状態で、前記踏板上から他の位置に移動して格納され、前記ささら桁に当接して保持される。
【請求項5】
以下の構成としたことを特徴とする請求項4記載の補助踏み台付き階段。
(1) 前記補助踏み台は、使用状態で、階段基体の基準段の踏板上に載置され、前記ささら桁に当接して保持される。
(2) 前記補助踏み台は、格納状態で、回動して、前記基準段の上段の踏板の下方に格納され、前記ささら桁に当接して保持される。
【請求項6】
直進階段又は廻り階段で、踏板を階段状に配置した階段基体に、補助踏み台を取り付けて構成する階段であって、以下の構成としたことを特徴とする補助踏み台付き階段。
(1) 上面に踏み面を有する補助踏台で、前記上面以外の面に係止手段を取り付ける。
(2) 前記踏板の上面で、使用状態の前記補助踏台の位置に合わせて、前記係止手段に対応する第一被係止手段を形成した。
(3) 階段の裏面側に、前記係止手段に対応する位置に第二被係止手段を形成した。
【請求項7】
階段状に配置した踏板を有する廻り階段からなる階段基体に、補助踏み台を取り付けて構成する階段であって、前記踏板の上面で、外周側に沿って補助踏台を固定したことを特徴とする補助踏み台付き階段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−342509(P2006−342509A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166667(P2005−166667)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(390010065)株式会社横森製作所 (11)
【Fターム(参考)】