説明

補強板付きケーブルおよび補強板

【課題】 コネクタの小型化を容易にし、コネクタおよびフラットケーブルの低コスト化を可能にする補強板付きケーブルを提供する。
【解決手段】 補強板付きケーブル10は、フラットケーブル11と、その先端領域に固定して取り付けられた補強板12を有する。補強板12は、フラットケーブル11の表裏面の一方の面を支持する支持プレート12a、これに連結する弾性変形可能な係合アーム12bを備える。フラットケーブル11の前端部の他方の面に接続端子11aが形成される。係合アーム12bは、アーム前端部121b、アーム基端部122bおよびアーム側部123bを有する。係合アーム12bは、コネクタの外縁に係合し、フラットケーブル11の引っ張りによる抜脱やズレあるいは斜め挿し等に起因する接続不良を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに接続されるフラットケーブルに係わり、特に、コネクタの小型化とコネクタおよびフラットケーブルの強固な接続を容易にする補強板付きケーブルおよびその補強板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器内部における電装部品相互間の電気的接続では、例えばプリント配線基板(PCB:printed circuit board)のような主基板にフレキシブルフラットケーブル(FFC:flexible flat cable)やフレキシブルプリント基板(FPC:flexible printed circuit)等のフラットケーブルがケーブル用コネクタ(以下、単にコネクタという)を介し接続される。コネクタは主基板の回路配線に接続し、例えば表面実装により主基板に取り付けられている。そして、フラットケーブルはそのコネクタに例えば嵌合するように接続される。フラットケーブルは、その引っ張りによる抜脱やズレあるいは斜め挿し等に起因する接続不良を防止するために、コネクタに対して強固に接続することが必要となる。その上で更に、コネクタに対する着脱が容易になることが要求される。
【0003】
従来、上記条件を満たすためのフラットケーブルあるいはコネクタが種々に提案され、その一部は実用に供されている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に開示されているフレキシブル基板では、その先端領域の所定位置に係合部の穴が設けられ、ロータリ式のコネクタに設けられた被係合部の凸部が上記穴に嵌合するようになっている。また、特許文献2では、例えばフレキシブル基板の先端領域の両側端に係合部の凸状突起が形成されている。そして、スライド式のコネクタにおいて、上記フレキシブル基板が挿抜される開口部の両側端に被係合部の凹部が設けられている。ここで、被係合部は開口部の両外側方向に弾性変形してフレキシブル基板の凸状突起と係合するようになっている。
【0004】
いずれにしても、これまでに提示されているフラットケーブルあるいはコネクタは、コネクタとフラットケーブルの両方の構造がセットになった専用品として上述した条件を満足するようになっている。そして、コネクタ内部に被係合部が設けられるため、その被係合部の構造体が占める体積あるいはそのコネクタ構造がコネクタの小型化の阻害する一要因になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−147408号公報
【特許文献2】特開2007−234525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば携帯電話、携帯パソコン等の電子機器の小型化、軽量化あるいは高機能化は著しい。これらの電子機器の内部には、例えば主基板として複数のPCBが組み込まれ、各PCBは上記フレキシブル基板のようなフラットケーブル等により接続される。そして、このような電子機器の更なる小型化あるいは軽量化を可能にするために、従来のコネクタとフラットケーブルの主基板の表面における占有容積を小さくできるようにすることが大きな課題になってきている。
【0007】
また、上記電子機器の低廉価化が要求される。その効果的な手段としては、コネクタの部品点数の低減と共に、コネクタおよびフラットケーブルの低コスト化が挙げられる。そのため、コネクタ構造の簡素化が必要になってきている。また、フラットケーブルは、従来の場合のような各コネクタにそれぞれに対応した専用品でなく、種々のコネクタに簡便に対応できる汎用品にできることが望まれている。このような汎用化が可能になれば、例えば占有容積の縮小化が容易になるスライド式コネクタにおいて、1種のフラットケーブルが種々のコネクタに接続できるようになる。このようにして、小型化あるいは高機能化する電子機器の更なる低廉化は可能になる。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、フラットケーブルのコネクタに対する強固な接続およびその着脱の容易性を確保し、さらにコネクタの小型化を容易にすることを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる補強板付きケーブルは、回路基板に表面実装されたコネクタに接続される補強板付きケーブルであって、複数の導体が絶縁体で被覆されて帯状に配設され、前記コネクタに接続する前記導体の接続端子が形成されたフラットケーブルと、前記接続端子が形成されているフラットケーブルの先端領域に固定して取り付けられた補強板と、を備え、前記補強板は、前記フラットケーブルの表裏面の一方の面を支持する支持プレートと、該支持プレートに連結し前記コネクタの外縁に係合する弾性変形可能な係合アームを有していることを特徴とする。
【0010】
そして、本発明にかかる補強板は、上述した補強板付きケーブルに備わっている補強板である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、コネクタの小型化を容易にすることができる。また、フラットケーブルのコネクタに対する強固な接続およびその着脱の容易性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる補強板付きケーブルの一例を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のX−X矢視断面図である。
【図2】同上補強板付きケーブルがコネクタに接続された状態を示す斜視図である。
【図3】同上補強板付きケーブルがコネクタに接続された状態の一例を簡略化して示した側断面図である。
【図4】同上補強板付きケーブルがコネクタに接続された状態の他例を簡略化して示した側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に使用される補強板の変形例を(a)〜(d)に示した斜視図である。
【図6】同上変形例を示す一部拡大図であり、(a)は図5(a)のVI a−VIa矢視断面図であり、(b)は図5(b)のVI b−VIb矢視断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる補強板付きケーブルがコネクタに接続された状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかる補強板付きケーブルがコネクタに接続された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態のいくつかについて図面を参照して説明する。以下、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる。なお、本明細書では、説明を統一的に判り易くするため、コネクタに対するフラットケーブルの挿抜方向(着脱方向)を基準にした用語に統一する。例えば、フラットケーブルの挿入方向に用語「前」、フラットケーブルの引き抜き方向に用語「後」をそれぞれ付す。また、コネクタが実装される主基板において、コネクタが位置する主基板の表面側に用語「上」、主基板の裏面側に用語「下」を付す。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる補強板付きケーブルおよびその補強板について図1ないし図6を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の補強板付きケーブル10は、例えばFFCからなるフラットケーブル11、およびフラットケーブル11の先端領域に固定して取り付けられた補強板12を有する。ここで、補強板12は、フラットケーブル11の表裏面の一方の面を支持する支持プレート12aと支持プレート12aに連結する弾性変形可能な係合アーム12bを備える。また、フラットケーブル11の前端部においては、その他方の面に例えば接続端子11aが形成されている。
【0015】
係合アーム12bは、後述するようにコネクタの前端部に係合するアーム前端部121bと、支持プレート12aの両側端から左右に突出するアーム基端部122bを有する。更に、アーム前端部121bおよびアーム基端部122bを連結しコネクタの側端部に係合できるアーム側部123bを有する。このような構造の係合アーム12bは、コネクタに対してその外側から係合する。すなわち、後述するようにコネクタの外縁に係合するようになる。そして、フラットケーブル11の引っ張りによる抜脱やズレあるいは斜め挿し等に起因する接続不良を防止する。
【0016】
フラットケーブル11は、例えば数GHz〜数十GHzの高速デジタル信号を伝送する導体パターンがLVDS(Low Voltage Differential Signaling)に対応できる2本ペアに配設されたFFCである。さらに、電磁シールド層(グランド層)を設けてもよい。なお、フラットケーブル11は、FFCに限らず例えば上述したような高周波信号が伝送されるFPCであってもよい。フラットケーブル11の厚さは例えば150μm〜200μm程度である。フラットケーブル11は、これ等の導体パターン、グランド層あるいは導線が絶縁体に被覆された導体である。
【0017】
補強板は、支持プレート12aと係合アーム12bが一体構造に形成されたものでもよいし、これ等がそれぞれ別の基材の組み合わせ構造になっていてもよい。この基材としては、例えばステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料あるいは導電性材料からなる導体板が使用される。あるいは、例えばポリイミド樹脂等の樹脂材料からなる樹脂板が用いられてもよい。ここで、樹脂材料として熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂が使用される。
【0018】
例えば、上記導体板あるいは樹脂板は、その材質にも依存するがその厚さは例えば70μm〜100μm程度である。このような導体板あるいは樹脂板を打ち抜き加工、射出成形等により、支持プレート12a、アーム前端部121b、アーム基端部122bおよびアーム側部123bを有する補強板12が低コストに作製できる。
【0019】
そして、支持プレート12aが例えば10μm〜30μm程度の厚さになる接着剤、接着シート等を介してフラットケーブル11の先端領域に積層接着される。支持プレート12aはフラットケーブル11の前端部の剛性を高くし、フラットケーブル11をコネクタに接続するため挿入する際の作業性を向上させる。なお、支持プレート12aは、フラットケーブル11の前端部の形状に合致するように上面から見て矩形状に形成され、上記積層接着した際に、重なるようになっている。あるいは、フラットケーブル11の前端部の形状から多少外側にはみ出てもよく、多少内側に後退してもよい。
【0020】
ここで、補強板12全体あるいは支持プレート12aが導電性の基材により形成される場合には、支持プレート12aは、例えばFFCにおいて接地電位になる導体パターンあるいはグランド層に電気接続するように、フラットケーブル11に積層接着されるとよい。ここで、補強板12は導電性の接着剤あるいは導電性の接着シートによりフラットケーブル11に接着されると好適である。このように補強板12を接地電位に固定することにより、例えば導電性シェルの外縁において補強板12に接するコネクタも安定して接地電位に固定されるようになる。
【0021】
係合アーム12bにおいては、少なくともそのアーム基端部122bおよびアーム側部123b、あるいはアーム前端部121bは、弾性変形可能になるように形成される。そこで、支持プレート12aと係合アーム12bが一体構造になる場合には、所要の剛性をもつ支持プレート12aに比べて、係合アーム12bの厚さを低減し必要となる弾性を確保するようにしてもよい。それ等がそれぞれ別の基材からなる組み合わせ構造になる場合には、支持プレート12aには剛性のある基材が使用され、係合アーム12bには必要な弾性を有する基材が用いられる。なお、支持プレート12aおよび接合アーム12bはハンダ、接着剤等により強固に接合される。
【0022】
図2、図3あるいは図4に示すように、補強板付きケーブル10は、例えばPCBからなる主基板21に表面実装されている例えばスライド式のコネクタ22に接続される。図2に示すように、この接続において、フラットケーブル11の先端領域の下面に支持プレート12aが積層接着して取り付けられた補強板12は、その係合アーム12bがコネクタ22の外縁に係合する。
【0023】
すなわち、主基板21上のコネクタ22において、係合アーム12bは、アーム前端部121bがコネクタ前端部22aに係合し、アーム側部123bがコネクタ側端部22bに係合するようになっている。ここで、コネクタ22の後端に設けられたケーブル挿入口23からフラットケーブル11の先端が挿入されており、その接続端子11aがコネクタ22内で後述されるコネクタ端子に接続している。ここで、コネクタ前端部22a、コネクタ側端部22bあるいはコネクタ上端部22cはコネクタの外縁になる。
【0024】
図2に示した補強板付きケーブル10のコネクタ22への接続状態について、図3を参照して説明する。このコネクタ22は、例えば樹脂等の絶縁体から形成されたハウジング24を有し、その後端部にケーブル挿入口23が設けられ、ケーブル挿入口23に連通してケーブル収容部25が形成された構造になっている。ここで、例えばハウジング24の外壁が上述したコネクタ前端部22a、コネクタ側端部22bあるいはコネクタ上端部22cに相当している。しかし、実際の具体的なコネクタ構造では、上記外壁は凹凸形状になり、絶縁体のハウジング24の他に導電性シェルが取り付けられこの導電性シェルが外壁の一部を構成する場合がある。なお、コネクタ上端部22cの主基板21表面からの高さは1mm〜1.5mm程度である。
【0025】
ケーブル収容部25には、フラットケーブル11の接続端子11aに対応した複数のコンタクト端子26が所定ピッチに配列されている。そして、それぞれの接続端子11aは、コンタクト端子26の弾性端子部26aに弾性接触する。この弾性端子部26aは固定部26bに連通しハウジング24の外部に延出する半田付き固定部26cで主基板21の回路配線21aに接続している。
【0026】
このようにしてコネクタ22に接続された補強板付きケーブル10は、上述したように補強板12の係合アーム12bがコネクタ22の上記ハウジング24や導電性シェルからなる外縁に係合するようになる。そして、フラットケーブル11がその引っ張りによる抜脱やズレあるいは斜め挿し等に起因する接続不良を防止するように強固に接続する。
【0027】
図4に示すコネクタ32では、補強板付きケーブル10はその表裏面が逆さになるようにしてコネクタ32に挿入される。そして、フラットケーブル11の下面に位置する接続端子11aは、ハウジング24においてそのケーブル収容部25の下部に取り付けられているコンタクト端子26の弾性端子部26aに弾性接触する。その他は、図3で説明したのと同様である。
【0028】
次に、補強板付きケーブル10をコネクタ22に接続するための装着およびコネクタ22から取り外すための脱着について、図2および図3を参照して説明する。補強板付きケーブル10の装着では、例えば支持プレート12aの両側端部を掴み、図2に示すコネクタ22のコネクタ上端部22cにアーム前端部121bを押し付けるようにして、補強板付きケーブル10の前端部をケーブル挿入口23に近づける。
【0029】
ここで、係合アーム12bが弾性変形するために、フラットケーブル11の前端部は、容易にアーム前端部121bよりも下方に位置するように押し下げることができ、コネクタ上端部22cの下方に位置するケーブル挿入口23の高さ位置になる。その状態で、図2に示される矢印が示す着脱方向Mに沿って補強板付きケーブル10の前端部はケーブル挿入口23からケーブル収容部25に挿入される。この挿入において、係合アーム12bを構成するアーム基端部122bが挿入ストッパとして機能する。これは、アーム基端部122bが支持プレート12aの両側端から着脱方向Mに直交する方向に突出しているからである。また、コネクタ22のコネクタ側端部22bにガイドされるアーム側部123bはコネクタ22への斜め挿しを防止する。
【0030】
そして、コネクタ22の外縁すなわちコネクタ前端部22aあるいはコネクタ側端部22bが係合アーム12bに嵌合するように、補強板付きケーブル10がコネクタ22に装着される。このような装着により、例えば補強板付きケーブル10がコネクタ22から引き抜かれようとしても、アーム前端部121bがコネクタ前端部22bに係合し係止される。このようにして、補強板つきフラットケーブル10は、コネクタ10に対して、その引っ張りによる抜脱やズレあるいは斜め挿し等に起因する接続不良を防止するように強固に装着されることになる。
【0031】
そして、補強板付きケーブル10のコネクタ22からの脱着では、例えば支持プレート12の両側端部を掴み、図2に示すアーム前端部121bを少し上方に摘み上げて、図2に示される矢印の着脱方向Mに沿って補強板付きケーブル10を後方に引き出す。この引き出しにおいて、アーム前端部121bがコネクタ22のコネクタ上端部22c上にくれば、アーム前端部121bのつまみ上げは不要になる。そして、フラットケーブル11の前端部がコネクタ22のケーブル挿入口23から引き出されて、補強板付きケーブル10はコネクタ22から脱着され取り外される。
【0032】
以上のようにして、補強板つきフラットケーブル10は、コネクタ22への装着およびコネクタ22から脱着が極めて容易にできるようになる。上記補強板付きケーブル10は、スライド式コネクタに替えてロータリ式コネクタであっても略同様に着脱が容易にできる。但し、ロータリ式コネクタでは、そのコネクタ上端部22cが上方に高くなることから、それに対応できるように、係合アーム12bはスライド式コネクタの場合よりも弾性変形の大きい基材からなる。
【0033】
次に、図5および図6を参照して補強板12の変形例について説明を加える。以下、図1で説明した補強板12の場合の構造と異なるところを主に説明する。
【0034】
図5(a)に示す変形例では、補強板13は、補強板12で説明したのと同様の機能をもつ支持プレート13aおよび係合アーム13bからなる。そして、係合アーム13bはアーム前端部131b、アーム基端部132bおよびアーム側部133bを有する。ここで、アーム前端部131bは、図6(a)に示すように、その先端が上方に反り上がる湾曲部134bを有している。このような湾曲部134bが形成されていると、上述した補強板付きケーブル10のコネクタ22への装着が簡便になる。すなわち、図2に示される矢印が示す着脱方向Mに沿うままに、補強板付きケーブル10の前端部はケーブル挿入口23からケーブル収容部25に挿入できる。この挿入において、アーム前端部131bは、湾曲部134bがコネクタ22のケーブル挿入口23からコネクタ上端部22cに円滑に乗り上がり、コネクタ前端部22aの方に移動する。
【0035】
図5(b)に示す変形例では、補強板14は、補強板12で説明したのと同様の機能をもつ支持プレート14aおよび係合アーム14bからなる。そして、係合アーム14bはアーム前端部141b、アーム基端部142bおよびアーム側部143bを有する。ここで、アーム基端部142bは、図6(b)に示すように、窪み段部144bを有している。この窪み段部144bは、その深さが例えばフラットケーブル11の厚さと同程度あるいはそれ以下になるように形成される。支持プレート14aとフラットケーブル11の積層接着において、フラットケーブル11の先端領域は、窪み段部144bに沿って重ね合わせの位置決めが容易になされる。
【0036】
図5(c)に示す変形例では、補強板15は、補強板12で説明したのと同様の機能をもつ支持プレート15aおよび係合アーム15bからなる。そして、係合アーム15bはアーム前端部151b、アーム基端部152bおよびアーム側部153bを有する。ここで、アーム側部153bには、突起部154bが形成されている。この突起部154bは、補強板付きケーブル10のコネクタ22への装着において、コネクタ側端部22bに圧接することにより装着を極めて強固にする。なお、突起部154bは、コネクタ側端部22bに当接する縁辺がアーム前端部151bの方向に向かって八字状に開いていると好適である。上記装着におけるコネクタ22への挿入のための補強板付きケーブル10の移動が円滑にできるからである。
【0037】
そして、図5(d)に示す変形例では、補強板16は、補強板12で説明したのと同様の機能をもつ支持プレート16aおよび係合アーム16bからなる。そして、係合アーム16bはアーム前端部161b、アーム基端部162bおよびアーム側部163bを有する。ここで、アーム前端部161bには、その中央領域に把持部164bが設けられている。補強板付きケーブル10の脱着において、この把持部164bを掴んでアーム前端部121bを上方に摘み上げ、図2に示される矢印の着脱方向Mに沿って補強板付きケーブル10を後方に引き出すことが容易になる。
【0038】
本実施形態では、主基板に実装されているコネクタに接続されるフラットケーブルは、コネクタの外側から係合するようになっている係合アームを有する補強板がその先端領域に取り付けられている。そして、この補強板付きケーブルのコネクタへの装着では、補強板の係合アームがコネクタに対してその外縁に係合する。そのために、従来技術においてコネクタに設けられていたフラットケーブルに係合される格別な被係合部は不要になり、コネクタの小型化が容易になる。そして、小型化する携帯用の電子機器における信号配線の接続に充分に対応できるようになる。
【0039】
また、本実施形態では、コネクタの部品点数の低減が容易になる。更に、フラットケーブルは、従来の場合のように各コネクタに対応して取り付けられる係合部と被係合部の制約がなくなり、コネクタの専用品でなくすることが容易になる。フラットケーブルは、種々のコネクタに適する補強板を取り付けることにより、種々のコネクタに簡便に自在に対応できる汎用品にすることが容易になる。このようにして、小型化し高性能化する電子機器の低コスト化が可能になる。
【0040】
なお、本実施形態で説明したような補強板付きケーブルは、コネクタとの強固な接続と簡便な着脱が可能である。そして、フラットケーブルの引っ張りによる抜脱やズレあるいは斜め挿し等に起因するコネクタとの接続不良は防止できるようになっている。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる補強板付きケーブルについて図7を参照して説明する。第2の実施形態は、補強板における係合アームの形状が第1の実施形態のようなループ状と異なる場合である。
【0042】
図7に示すように、本実施形態の補強板付きケーブルでは、第1の実施形態で説明したのと同様に、フラットケーブル11の先端領域に取補強板42が固定して取り付けられている。ここで、補強板42は、フラットケーブル11の表裏面の一方の面を支持する支持プレート42aと支持プレート42aに連結する弾性変形可能な係合アーム42bを備えている。
【0043】
そして、係合アーム42bは、主基板21に表面実装されたコネクタ22のコネクタ前端部22aおよびコネクタ側端部22bに係合するように、第1のアーム片421bと第2のアーム片422bを有している。ここで、第1のアーム片421bと第2のアーム片422bは、それぞれ第1のアーム基端部423bおよび第2のアーム基端部424bにより支持プレート42aの両側端から左右に連結している。このような構造の係合アーム42bは、第1の実施形態の場合と同じように、コネクタ22の外縁に係合する。そして、フラットケーブル11の引っ張りによる抜脱やズレあるいは斜め挿し等に起因する接続不良を防止する。
【0044】
第2の実施形態において、第1の実施形態で説明した変形例の補強板を組み合わせるようにしてもよい。上記第1のアーム片421bおよび第2のアーム片422bは、第1の実施形態で説明した係合アーム12bにおけるアーム前端部121bをその中央領域で分割したのと同じ構造になる。そこで、図5(a)〜(d)で説明した係合アームのアーム前端部をその中央領域で分割した構造の係合アームを用いる。
【0045】
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したのと同様の効果が奏される。また、本実施形態では、第1のアーム片421bと第2のアーム片422bは、上述したように、第1の実施形態で説明した係合アーム12bにおけるアーム前端部121bをその中央領域で分割したのと同じような構造になる。このために、係合アーム42bは、係合アーム12bと同じ基材により作製されても、弾性変形し易くコネクタ22への装着が第1の実施形態の場合よりも容易になる。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる補強板付きケーブルについて図8を参照して説明する。第3の実施形態は、補強板における係合アームが第1の実施形態と異なりコネクタの上端部に一部覆い接する構造になる場合である。
【0047】
図8に示すように、本実施形態の補強板付きケーブルでは、第1の実施形態で説明したのと同様に、フラットケーブル11の先端領域に取補強板52が固定して取り付けられる。補強板52は、フラットケーブル11の表裏面の一方の面を支持する支持プレート52aと支持プレート52aに連結する弾性変形可能な係合アーム52bを備える。
【0048】
係合アーム52bは、コネクタ22のコネクタ前端部22aに係合できるアーム前端部521bと、支持プレート52aの両側端から左右に突出するアーム基端部522bを有する。また、アーム前端部521bおよびアーム基端部522bを連結しコネクタの側端に係合できるアーム側部523bを有する。そして、アーム側部523bから上方に延出し、コネクタ22のコネクタ上端部22cの一部に覆い接するように第1の接触片524bと第2の接触片525bが取り付けられている。このような構造の係合アーム52bは、コネクタ22に対してその外縁の前端部、側端部および上端部から係合する。そして、フラットケーブル11の引っ張りによる抜脱やズレあるいは斜め挿し等に起因する接続不良を防止する。
【0049】
第3の実施形態において、係合アーム52bは、第1の接触片524bあるいは第2の接触片525bのいずれか一方が形成された構造になっていてもよい。そして、第1の実施形態で説明した変形例の補強板を組み合わせるようにしてもよい。すなわち、図5(a)〜(d)で説明した係合アームのアーム側部から上方に延在しコネクタ上端部22cに一部に接する接触片が設けられた構造になっていても構わない。
【0050】
第3の実施形態では、第1の実施形態で説明した場合よりも高い効果が奏される。また、本実施形態では、第1の接触片524bおよび第2の接触片525bがコネクタ上端部22cに接触することから、補強板52が導電性の基材で作製されると、コネクタ22も接地電位に固定され易くなり、電気的に安定したコネクタとフラットケーブルの接続が可能になる。そして、安定した高周波信号の伝送に充分に対応できるようになる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
【0052】
例えば、本発明の補強板付きケーブルのコネクタへの接続において、係合アームのアーム前端部が主基板21にテープ付け、半田付けあるいは樹脂封止等により固定されるようになっていてもよい。通常、主基板上のコネクタに接続されたフラットケーブルはほとんど脱着されないまま使用されるからである。また上記説明したフラットケーブルとしてFFCやFPCのほか、リボンケーブルなどコネクタとの接続部が平坦になっていて補強板と平面接着できるものを含むものである。
【符号の説明】
【0053】
10…補強板付きケーブル,11…フラットケーブル,11a…接続端子,12…補強板,12a,13a,14a,15a,16a,42a,52a…支持プレート,12b,13b,14b,15b,16b,42b,52b…係合アーム,121b,131b,141b,151b,161b,521b…アーム前端部,122b,132b,142b,152b,162b,522b…アーム基端部、123b,133b,143b,153b,163b,523b…アーム側部,134b…湾曲部,144b…窪み段部,154b…突起部,164b…把持部,21…主基板,21a…回路配線,22,32…コネクタ,22a…コネクタ前端部,22b…コネクタ側端部,22c…コネクタ上端部,23…ケーブル挿入口,24…ハウジング,25…ケーブル収容部,26…コンタクト端子,26a…弾性端子部,26b…固定部,26c…半田付き固定部,421b…第1のアーム片,422b…第2のアーム片,423b…第1の基端部,424b…第2の基端部,524b…第1の接触片,525b…第2の接触片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に表面実装されたコネクタに接続される補強板付きケーブルであって、
複数の導体が絶縁体で被覆されて帯状に配設され、前記コネクタに接続する前記導体の接続端子が形成されたフラットケーブルと、
前記接続端子が形成されているフラットケーブルの先端領域に固定して取り付けられた補強板と、を備え、
前記補強板は、前記フラットケーブルの表裏面の一方の面を支持する支持プレートと、該支持プレートに連結し前記コネクタの外縁に係合する弾性変形可能な係合アームを有していることを特徴とする補強板付きケーブル。
【請求項2】
前記係合アームは、前記コネクタの前端部に係合するアーム前端部と、前記支持プレートの両側端から左右に突出するアーム基端部と、前記アーム前端部と前記アーム基端部を連結し前記コネクタの側端部に係合できるアーム側部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の補強板付きケーブル。
【請求項3】
前記補強板は導電性を有し、前記フラットケーブルにおいて接地電位になっている前記導体に電気的に接続していることを特徴とする請求項1又は2に記載の補強板付きケーブル。
【請求項4】
前記係合アームは、前記コネクタに電気的に接続していることを特徴とする請求項3に記載の補強板付きケーブル。
【請求項5】
前記係合アームのアーム側部には、前記コネクタの側端部に圧接する突起部が形成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の補強板付きケーブル。
【請求項6】
前記係合アームのアーム側部には、前記コネクタの上端部に接する接触片が形成されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一項に記載の補強板付きケーブル。
【請求項7】
前記係合アームの前端部には、上方に突出する把持部が形成されていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一項に記載の補強板付きケーブル。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の補強板付きケーブルに備わっている補強板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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