説明

補強用ネット

【課題】芯材の破損を低減することができる補強用ネットと得る。
【解決手段】補強用ネット10施工時には、補強用ネット10を配置させ、その上から盛土をまくため、盛土中の異物により、芯材12が破損する心配がある。しかし、芯材12を被覆しているゴム材18は、樹脂材料(例えば、ポリエチレン、アクリル、塩化ビニール等)に比べて、引き裂きや裂傷に対して強いため、ゴム材18が芯材12を保護することができ、これにより、芯材12の破損を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事において、例えば盛り土補強用、あるいは軟弱地盤の表面処理用として土中に埋設される補強用ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料で成形される補強用ネットの内部に長繊維で構成された芯材が埋設されるものがある(特許文献1)。
【0003】
これによると、長繊維で構成される芯材とそれを覆う樹脂材料を接着材で結合させることで補強用ネットの強度が向上している。
【特許文献1】特開2002−363962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、樹脂材料は、土中の異物と接触して破損しやすく、樹脂材料が破損することで芯材も破損することが考えられる。そして、芯材が破損すると土中へ埋設された補強用ネットの強度が低下する。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、芯材の破損を低減することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る補強用ネットは、一の方向へ並べられる複数本の第一繊維材と、前記一の方向に対し交差する二の方向に並べられる複数本の第二繊維材と、をメッシュ状に構成させた芯材と、前記芯材を被覆するゴム材と、と備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、第一繊維材と第二繊維材によって構成された芯材に、ゴム材が被覆されて補強用ネットが形成されている。
【0008】
ゴム材は樹脂材料に比べて引き裂きや裂傷に対して強いため耐久性に優れており、芯材に樹脂材料を被覆して形成された補強用ネットと比較すると、芯材に被覆されたゴム材が芯材を保護して土中の異物による芯材の破損を低減することができる。
【0009】
本発明の請求項2に係る補強用ネットは、請求項1記載において、前記第一繊維材の強度が、前記第二繊維材の強度より高いことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、第一繊維材の強度が、第二繊維材の強度より高い。第一繊維材を盛土の地滑り方向に対して沿わせるように補強用ネットを配置することで、地滑りしようとする荷重をゴム材及び第二繊維材を介して第一繊維材で受けることができ、さらに、第一繊維材の破断が強度を高くすることで防止されているため、効果的に盛土の崩落を防止することができる。
【0011】
本発明の請求項3に係る補強用ネットは、請求項1又は2記載において、前記ゴム材の層厚は、1mm以上であることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、ゴム材の層厚は、1mm以上である。このため、効果的に、ゴム材は盛土中の異物から芯材を保護することができる。
【0013】
本発明の請求項4に係る補強用ネットは、請求項1から3何れか1項記載において、前記ゴム材の表面には、凹凸が設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、ゴム材の表面には、凹凸が設けられている。このため、摩擦抵抗が増して土がゴム材の表面を滑るのを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、芯材の破損を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る補強用ネット10ついて図1、図2に基づいて説明する。
【0017】
図1に示されるように、補強用ネット10はゴム材18と、このゴム材18に埋設される芯材12(図2参照)を備えている。
【0018】
詳細には、図2に示されるように、補強用ネット10の芯材12は、一の方向へ並べられる複数本の第一繊維材14と、この一の方向と直交する方向に並べられる複数本の第二繊維材16とを交互に織編してメッシュ状に形成して構成されている。
【0019】
第一繊維材14、及び第二繊維材16は、例えば、パラ系アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維、アモルファス金属繊維、ボロン繊維、ポリアリレート繊維、ポリエステル繊維、アルミア繊維、及びポリアミド繊維などの撚り束を使用することができる。
【0020】
なお、強度を考慮すると、繊維の直径については、1mm以上15mm以下が好ましく、繊維の強度については、200kg/mm以上が好ましい。
【0021】
ここで、第一繊維材14の直径が、第二繊維材16の直径より大きくされており、これにより、第一繊維材14の強度が、第二繊維材16の強度より高くなっている。
【0022】
なお、強度の第一繊維材14と第二繊維材16の強度の比率は、コストを考慮すると2対1程度が好ましい。
【0023】
図1に示されるように、この芯材12には、ゴム材18が被覆されており、ゴム材18の層厚は、一番薄い部位でも1mm以上とされている。さらに、第一繊維材14、及び第二繊維材16が交差する部位のゴム材18表面には、半球状の突起部20が設けられている。
【0024】
ここで、ゴム材18の材料としては、イソプレンゴム,クロロプレンゴム,エピクロルヒドリンゴム,ブチルゴム,ウレタンゴム,シリコーンゴム,フッ素ゴム,SBR,NBR,EPDM,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、これらのブレンドゴム等が挙げられる。
【0025】
さらに、ゴム材18の材料としては、耐薬・耐候性に優れたものが望ましい。
【0026】
また、この補強用ネット10を施工する場合は、補強用ネット10の上から盛土をまくため、盛土中の異物により、芯材12が破損する心配がある。しかし、芯材12を被覆しているゴム材18は、樹脂材料(例えば、ポリエチレン、アクリル、塩化ビニール等)に比べて、引き裂きや裂傷に対して強いため、ゴム材18が芯材12を保護することができ、これにより、芯材12の破損を低減することができる。
【0027】
また、第二繊維材16より強度が高い第一繊維材14を盛土の地滑り方向に対して沿わせるように補強用ネット10を配置することで、盛土の地滑りによる荷重を第一繊維材14で受けることができ、効果的に盛土の崩落を防止することができる。
【0028】
また、ゴム材18の層厚は、1mm以上であるため、効果的に、ゴム材18は盛土中の異物から芯材12を保護することができる。これにより、補強用ネット10の耐久性を向上させることができる。なお、ゴム材18の層厚は、加硫時間等を短くするために10mm以下であることが好ましい。
【0029】
また、ゴム材18の表面には、球状の突起部20が設けられているため、摩擦抵抗が増して盛土がゴム材18の表面を滑るのを防止することができる。
【0030】
また、第一繊維材14、及び第二繊維材16をゴム材18で被覆することで、樹脂材料を被覆するタイプのものと比較して、補強用ネット10の柔軟性が向上し、補強用ネット10の形状の自由度が増す。これにより、補強用ネット10の工場出荷時の荷姿をロール状にすることができ、ハンドリング性能を向上させることができる。
【0031】
なお、ハンドリング性能を十分に向上させるため、ゴム材18の硬度は、50〜80度(JIS・A)が好ましい。
【0032】
また、補強用ネット10の形状の自由度が増すことで、施工の簡易性を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、ゴム材18の表面に、球状の突起部20を設けて盛土の滑りを防止したが、ゴム材18の表面に球状の凹部等を設けて盛土の滑りを防止してもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、第二繊維材16より強度が高い第一繊維材14を盛土の地滑り方向に対して沿わせるように補強用ネット10を配置することで、盛土の地滑りによる荷重を第一繊維材14で受けることができ、効果的に盛土の崩落を防止したが、第一繊維材14の強度と第二繊維材16の強度を同等にして、軟弱地盤の造成、埋め立て等を行って、軟弱地盤を改良してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る補強用ネットを示した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る補強用ネットを構成する芯材を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 補強用ネット
12 芯材
14 第一繊維材
16 第二繊維材
18 ゴム材
20 突起部(凹凸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の方向へ並べられる複数本の第一繊維材と、前記一の方向に対し交差する二の方向に並べられる複数本の第二繊維材と、をメッシュ状に構成させた芯材と、
前記芯材を被覆するゴム材と、
を備えることを特徴とする補強用ネット。
【請求項2】
前記第一繊維材の強度が、前記第二繊維材の強度より高いことを特徴とする請求項1記載の補強用ネット。
【請求項3】
前記ゴム材の層厚は、1mm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の補強用ネット。
【請求項4】
前記ゴム材の表面には、凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1から3何れか1項に記載された補強用ネット。

【図1】
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【図2】
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