説明

補機側ブラケットの固定構造

【課題】補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する際に、補機側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムースに、且つ簡単に行うことができる補機側ブラケットの固定構造を提供すること。
【解決手段】補機側ブラケット1の第2ブラケット本体21は、初期突き合わせ位置で、パネル側ブラケット3の第1ブラケット本体11に突き合わせた後、所定角度旋回させることで、第1ブラケット本体11に固定され、更に、車体側コネクタ41と補機側コネクタ31の少なくとも一方のコネクタは、相手コネクタとの嵌合部に、コネクタ相互の嵌合の進行に伴ってコネクタ相互の角度のずれを修正する嵌合誘導斜面を備えた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体パネルに取り付けられる車両用補機における補機側ブラケットの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、補機側ブラケットの固定構造の従来例を示したものである。
図7に示した補機側ブラケットの固定構造は、下記特許文献1に開示されたものである。図7に示した補機側ブラケット101は、車両用補機の一種である室内灯の一部を構成していて、室内灯を車体パネルに取り付けるために、車体パネル側に配置されるパネル側ブラケット111に取り付けられる。
【0003】
パネル側ブラケット111は、車体パネル側に配置される第1ブラケット本体110と、この第1ブラケット本体110に搭載される車体側コネクタ115とを備えている。第1ブラケット本体110には、補機側ブラケット101を取り付けるための補機取付用開口112が貫通形成されている。
【0004】
車体側コネクタ115は、補機取付用開口112から車室側に臨むように、第1ブラケット本体110に取り付けられている。また、車体側コネクタ115は、図7(a)に矢印Aで示す方向にスライド移動可能に、第1ブラケット本体110に組み付けられている。
【0005】
第1ブラケット本体110の室内側には、内装材であるトリム113が張られている。このトリム113には、補機取付用開口112と同寸法の補機取付用開口114が貫通形成されている。
【0006】
補機側ブラケット101は、第1ブラケット本体110の補機取付用開口112に車室側から取り付けられる第2ブラケット本体102と、該第2ブラケット本体102の一端側に設けられて補機取付用開口112の一側縁に係合するフック103と、第2ブラケット本体102の他端側に設けられたパネル固定用穴104と、第2ブラケット本体102に搭載された補機側コネクタ105と、を備えている。
【0007】
フック103は、第2ブラケット本体102との間に確保される隙間106に、補機取付用開口112の一側縁の第1ブラケット本体110及びトリム113を挟むことで、第2ブラケット本体102の一端側を第1ブラケット本体110に連結する。
【0008】
パネル固定用穴104は、図7(c)に示すように、ねじ部材107を挿通させる穴である。このパネル固定用穴104は、フック103を補機取付用開口112の一側縁に係合させて、第2ブラケット本体102の位置を補機取付用開口112に整合させたときに、第1ブラケット本体110側のねじ止め部(締結部)116に位置が整合するように設けられている。
【0009】
以上に説明した補機側ブラケット101は、図7に示す手順で、パネル側ブラケット111に固定する。
【0010】
まず、図7(a)に示すように、パネル側ブラケット111上の車体側コネクタ115を左側(矢印Aで示す移動方向とは逆側)に寄せた状態で、車体側コネクタ115の直下に補機側コネクタ105が位置するように、第2ブラケット本体102の位置を調整する。次いで、矢印Bで示すように補機側コネクタ105を車体側コネクタ115側に押し込むことで、図7(b)に示すように、補機側コネクタ105を車体側コネクタ115に接続した状態にする。
【0011】
次いで、図7(b)に矢印Cで示すように補機側ブラケット101をパネル側ブラケット111に沿ってスライド移動させて、フック103を補機取付用開口112の一側縁に係合させて、図7(c)に示すように、パネル固定用穴104の位置をパネル側ブラケット111上のねじ止め部116に整合させ、ねじ部材107により第2ブラケット本体102の他端側をパネル側ブラケット111に固定すれば、補機側ブラケット101のパネル側ブラケット111への固定作業が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−002895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上記の特許文献1に記載の技術では、補機側ブラケット101をパネル側ブラケット111へ固定する手段として、ねじ止めを使用しているため、補機側ブラケット101の取り付け時には、ドライバ等のねじ締結用の工具が必要となり、更に、ねじ締め作業等に手間がかかるという問題があった。
【0014】
また、上記の特許文献1に記載の技術では、車体側コネクタ115と補機側コネクタ105とを嵌合させる際にコネクタ相互の角度のずれを修正する技術等は何ら示唆がなく、コネクタ相互の嵌合前にコネクタ相互の角度にずれが生じていると、嵌合部に無理な荷重が作用して、円滑にコネクタ相互を嵌合させることができなくなるおそれがあった。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する際に、ねじ締結用の工具が不要で、補機側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムースに、且つ簡単に行うことができる補機側ブラケットの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)車体パネルに取り付けられるパネル側ブラケットの第1ブラケット本体に車室側から取り付けられる第2ブラケット本体と、
前記第2ブラケット本体に搭載され、前記第2ブラケット本体の前記第1ブラケット本体への取り付け時に前記第1ブラケット本体に搭載されている車体側コネクタに接続される補機側コネクタと、
を備えて前記パネル側ブラケットに固定される補機側ブラケットの固定構造であって、
前記第2ブラケット本体は、予め設定した初期突き合わせ位置で、前記第1ブラケット本体に突き合わせた後、前記初期突き合わせ位置から突き合わせ面に沿って所定角度旋回させることで、第1ブラケット本体に固定され、
前記車体側コネクタ及び前記補機側コネクタは、前記第2ブラケット本体を前記初期突き合わせ位置で前記第1ブラケット本体に突き合わせたときにコネクタ相互の嵌合が完了するように、コネクタ相互の嵌合方向に沿う嵌合中心軸を第1ブラケット本体と第2ブラケット本体との突き合わせ方向に一致させて、それぞれのブラケット本体に取り付けられ、
更に、車体側コネクタと補機側コネクタの少なくとも一方のコネクタは、相手コネクタとの嵌合部に、コネクタ相互の嵌合の進行に伴ってコネクタ相互の角度のずれを修正する嵌合誘導斜面を備え、
更に、車体側コネクタと補機側コネクタの何れか一方のコネクタは、前記第2ブラケット本体の前記突き合わせ面に沿う旋回動作に追従して旋回するように、前記嵌合中心軸回りに所定角度旋回自在にブラケット本体に取り付けられる
ことを特徴とする補機側ブラケットの固定構造。
【0017】
上記(1)の構成によれば、補機側ブラケットの第2ブラケット本体を、予め設定した初期突き合わせ位置で、パネル側ブラケットの第1ブラケット本体に突き合わせると、第1ブラケット本体に搭載されている車体側コネクタと第2ブラケット本体に搭載されている補機側コネクタとが嵌合接続された状態になる。そして、第2ブラケット本体を、予め設定した初期突き合わせ位置で、前記第1ブラケット本体に突き合わせた後、初期突き合わせ位置から突き合わせ面に沿って所定角度旋回させることで、第2ブラケット本体が第1ブラケット本体に固定され、補機側ブラケットがパネル側ブラケットに固定された状態になる。
【0018】
即ち、補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する手段として、ねじ止めを使用していないため、補機側ブラケットの取り付け時には、ドライバ等のねじ締結用の工具が不要であり、また、手間のかかるねじ締め作業も不要である。
【0019】
また、コネクタ相互の嵌合前にコネクタ相互の角度にずれが生じていても、車体側コネクタと補機側コネクタの少なくとも一方のコネクタの相手コネクタとの嵌合部に備えられた嵌合誘導斜面が、コネクタ相互の嵌合の進行に伴ってコネクタ相互の角度のずれを修正するため、コネクタ相互の角度にずれの影響で嵌合部に無理な荷重が作用することがなく、円滑にコネクタ相互を嵌合させることができる。
【0020】
従って、補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する際に、補機側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムースに、且つ簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるブラケット固定構造によれば、補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する手段として、ねじ止めを使用していないため、補機側ブラケットの取り付け時には、ドライバ等のねじ締結用の工具が不要であり、また、手間のかかるねじ締め作業も不要である。
【0022】
また、コネクタ相互の嵌合前にコネクタ相互の角度にずれが生じていても、車体側コネクタと補機側コネクタの少なくとも一方のコネクタの相手コネクタとの嵌合部に備えられた嵌合誘導斜面が、コネクタ相互の嵌合の進行に伴ってコネクタ相互の角度のずれを修正するため、コネクタ相互の角度にずれの影響で嵌合部に無理な荷重が作用することがなく、円滑にコネクタ相互を嵌合させることができる。
【0023】
従って、補機側ブラケットをパネル側ブラケットへ固定する際に、補機側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムースに、且つ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した車体側コネクタの相手コネクタとの嵌合部に備えられた嵌合誘導斜面の説明図である。
【図3】図1に示したパネル側ブラケットの組立状態の斜視図である。
【図4】図3に示したパネル側ブラケットの側面図である。
【図5】図1の補機側ブラケットが初期突き合わせ位置で図3に示したパネル側ブラケットに突き合された状態の斜視図である。
【図6】図5に示した状態から第2ブラケット本体が突き合わせ面に沿って所定角度旋回させられて、第2ブラケット本体が第1ブラケット本体に固定された状態を示す斜視図である。
【図7】従来の補機側ブラケットの固定構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1〜図6は本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の一実施形態を示したもので、図1は本発明に係る補機側ブラケットの固定構造の一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した車体側コネクタの相手コネクタとの嵌合部に備えられた嵌合誘導斜面の説明図、図3は図1に示したパネル側ブラケットの組立状態の斜視図、図4は図3に示したパネル側ブラケットの側面図、図5は図1の補機側ブラケットが初期突き合わせ位置で図3に示したパネル側ブラケットに突き合された状態の斜視図、図6は図5に示した状態から第2ブラケット本体が突き合わせ面に沿って所定角度旋回させられて、第2ブラケット本体が第1ブラケット本体に固定された状態を示す斜視図である。
【0027】
この一実施形態の補機側ブラケットの固定構造は、車両用補機の一部を構成する補機側ブラケット1を、車室側からパネル側ブラケット3に固定する構造である。パネル側ブラケット3は、車体パネルとしてのルーフトリム4に取り付けられる。
【0028】
本実施形態の場合、補機側ブラケット1は、車両用補機としてのサンバイザーが取り付けられる基台として使用される。
【0029】
補機側ブラケット1は、ルーフトリム4に取り付けられるパネル側ブラケット3の第1ブラケット本体11に車室側から取り付けられる第2ブラケット本体21と、第2ブラケット本体21に搭載される補機側コネクタ31とを備えている。
【0030】
補機側コネクタ31は、第2ブラケット本体21の第1ブラケット本体11への取り付け時に、第1ブラケット本体11に搭載されている車体側コネクタ41に嵌合接続されるコネクタである。
【0031】
第2ブラケット本体21は、略長方形の薄皿状を成しており、ルーフトリム4側に面した上面22の中央部に、補機側コネクタ31が取り付けられている。また、第2ブラケット本体21の上面22には、サンバイザーの軸部を保持する軸受状のサンバイザー保持部23が設けられている。
【0032】
第2ブラケット本体21上の補機側コネクタ31は、コネクタ相互の嵌合方向に沿う嵌合中心軸C31が、上面22に直交するように、第2ブラケット本体21に固定されている。
【0033】
第2ブラケット本体21の上面22側の周縁部22aは、第2ブラケット本体21を第1ブラケット本体11に取り付ける際に、第1ブラケット本体11の下面(車室側の面)に突き合わせる突き合わせ面になっている。
【0034】
また、第2ブラケット本体21の周縁部22aの対向する一対の短辺24,24には、第2ブラケット本体21を第1ブラケット本体11に連結固定するためのフック25が設けられている。このフック25は、周縁部22aから突き合わせ方向(上面22に垂直な方向)に沿って突出した立ち上げ軸部25aと、この立ち上げ軸部25aの先端(上端)から第2ブラケット本体21の長手方向外方に向かって延出した係止腕部25bとを備えている。
【0035】
本実施形態の場合、パネル側ブラケット3は、車室側とは逆側からルーフトリム4に固定される略平板状の第1ブラケット本体11と、該第1ブラケット本体11に装着されるコネクタ位置決め用の環状プレート51と、第1ブラケット本体11に搭載される車体側コネクタ41とを、備えている。
【0036】
第1ブラケット本体11は、第2ブラケット本体21と同様の長方形の平板状に形成されている。第1ブラケット本体11は、車体側コネクタ41を取り付けるためのコネクタ取付孔13と、第2ブラケット本体21のフック25が係合するフック係止部15と、第1ブラケット本体11をルーフトリム4に固定するための弾性係止片16と、環状プレート51を係止するプレート係止部17と、を備えている。
【0037】
コネクタ取付孔13は、車体側コネクタ41が旋回自在に嵌合する円形の孔で、第1ブラケット本体11の中央部に形成されている。
【0038】
フック係止部15は、第2ブラケット本体21上のフック25の配置に対応して、コネクタ取付孔13を挟む2箇所に設けられている。
【0039】
フック係止部15は、第2ブラケット本体21を予め設定した初期突き合わせ位置で第1ブラケット本体11に突き合わせたときにフック25の係止腕部25bが挿通するフック挿通孔15aと、該フック挿通孔15aに連通する切り欠き溝15bと、第2ブラケット本体21の旋回を規制するためのロック突起15cと、を備えている。
【0040】
上記の予め設定した初期突き合わせ位置とは、第2ブラケット本体21上の一対のフック25,25の位置が、第1ブラケット本体11上の一対のフック挿通孔15aの位置に整合する位置である。
【0041】
切り欠き溝15bは、図5に示すようにフック挿通孔15aにフック25が挿通している状態で、第2ブラケット本体21を第1ブラケット本体11に対して突き合わせ面に沿って所定角度旋回させたときに、第2ブラケット本体21の旋回に伴って、立ち上げ軸部25aが移動する溝である。この切り欠き溝15bは、フック挿通孔15aよりも狭い幅で、第2ブラケット本体21の旋回に伴う立ち上げ軸部25aの移動軌跡に沿って形成されている。
【0042】
第2ブラケット本体21の旋回操作によって、図6に示すように立ち上げ軸部25aが切り欠き溝15bに移動すると、係止腕部25bが切り欠き溝15bの外縁15dに乗り上げて、切り欠き溝15bの外縁15dに係合した状態となる。フック25が、切り欠き溝15bの外縁15dに係合した状態となることで、第2ブラケット本体21の突き合わせ方向と逆側(離脱方向)への移動が規制される。
【0043】
ロック突起15cは、切り欠き溝15bの外縁15dに設けられている。ロック突起15cは、第2ブラケット本体21の旋回操作によってフック25が切り欠き溝15bに沿って移動するとき、図6に示すように、係止腕部25bが乗り越えることで、フック25がフック挿通孔15a側に戻ることを規制する。
【0044】
即ち、ロック突起15cは、第2ブラケット本体21の旋回の戻りを防止して、係止腕部25bが切り欠き溝15bの縁に係合した状態を維持する。
【0045】
図6に示すように、第2ブラケット本体21の旋回操作によって係止腕部25bがロック突起15cを乗り越えると、第2ブラケット本体21が第1ブラケット本体11に固定された状態である。
【0046】
従って、本実施形態における第2ブラケット本体21は、図5に示すように、予め設定した初期突き合わせ位置で、第1ブラケット本体11に突き合わせて、フック25の係止腕部25bを第1ブラケット本体11のフック挿通孔15aに挿通させた後、図6に示すように、突き合わせ位置から突き合わせ面に沿って所定角度旋回させることで、第1ブラケット本体11に固定される。
【0047】
弾性係止片16は、第1ブラケット本体11のルーフトリム4側の面に突設されている。弾性係止片16は、第1ブラケット本体11をルーフトリム4の押し付けると、ルーフトリム4に装備されているブラケット係止孔61に係合して、第1ブラケット本体11をルーフトリム4に固定する。
【0048】
ルーフトリム4は、第1ブラケット本体11に突き合わせる第2ブラケット本体21が挿通可能な取付孔63が開口している。
【0049】
プレート係止部17は、環状プレート51を係止するための窪みで、コネクタ取付孔13の周囲の2箇所に装備されている。
【0050】
環状プレート51は、第1ブラケット本体11のコネクタ取付孔13の外周縁に重ねられる環状の板材である。環状プレート51の第1ブラケット本体11に当接する面には、プレート係止部17に係合するプレート固定突起52が設けられている。環状プレート51は、プレート固定突起52をプレート係止部17に係合させることにより、第1ブラケット本体11に対して、該第1ブラケット本体11の表面に沿う方向の相対移動が規制される。
【0051】
環状プレート51の上面には、周上の2箇所に、旋回範囲規制突起対54が設けられている。この旋回範囲規制突起対54は、後述する車体側コネクタ41の旋回可能範囲を規制するもので、環状プレート51の周方向に離間した一対の突起54a,54bから構成されている。
【0052】
車体側コネクタ41は、第1ブラケット本体11のコネクタ取付孔13に旋回自在に嵌合する円筒部43と、該円筒部43の上端側に連なるコネクタ本体44とを備えている。
円筒部43の外周には、円筒部43をコネクタ取付孔13に嵌合させた際に、コネクタ取付孔13の周縁部を挟持する本体挟持部45が設けられている。この本体挟持部45は、円筒部43の外周の2箇所に設けられている。
【0053】
各本体挟持部45は、図3及び図4に示すように、第1ブラケット本体11に環状プレート51を取り付けた状態で車体側コネクタ41の円筒部43を第1ブラケット本体11の車室側からコネクタ取付孔13に嵌合させた際に、第1ブラケット本体11の車室側の面に当接する第1の挟持片46と、コネクタ取付孔13を挿通して環状プレート51の上面に係合する第2の挟持片47と、を備えている。第2の挟持片47の上面47aは、コネクタ取付孔13や環状プレート51を通過し易いように、テーパ面になっている。
【0054】
本体挟持部45は、図4に示すように、第1ブラケット本体11と環状プレート51とを共締め状態に挟持することで、車体側コネクタ41を、第1ブラケット本体11に結合させる。
【0055】
更に詳しく説明すると、車体側コネクタ41は、本体挟持部45により第1ブラケット本体11に結合された状態では、図4に示すように、コネクタ相互の嵌合方向に沿う嵌合中心軸C41が、第2ブラケット本体21が突き合わせられる第1ブラケット本体11の下面11aに直交する向きとなっている。
【0056】
換言すると、本実施形態の場合、車体側コネクタ41及び補機側コネクタ31は、第2ブラケット本体21を初期突き合わせ位置で第1ブラケット本体11に突き合わせたときにコネクタ相互の嵌合が完了するように、コネクタ相互の嵌合方向に沿う嵌合中心軸を第1ブラケット本体11と第2ブラケット本体21との突き合わせ方向に一致させて、それぞれのブラケット本体11,21に取り付けられている。
【0057】
また、車体側コネクタ41は、本体挟持部45により第1ブラケット本体11に結合された状態では、コネクタ取付孔13の周方向に旋回可能である。但し、第2の挟持片47は、環状プレート51上の旋回範囲規制突起対54の間に位置するように、環状プレート51の上面に係合していて、旋回範囲規制突起対54によって、車体側コネクタ41の旋回可能な範囲が規制される。旋回範囲規制突起対54による位置規制によって第2の挟持片47が旋回可能な範囲は、第2ブラケット本体21を第1ブラケット本体11に固定する際の第2ブラケット本体21の旋回範囲に対応して設定されている。
【0058】
車体側コネクタ41は、この旋回範囲規制突起対54によって旋回可能な範囲が規制されることによって、嵌合中心軸C41回りに所定角度旋回自在に第1ブラケット本体11に取り付けられており、第2ブラケット本体21を第1ブラケット本体11に固定する際には、第2ブラケット本体21の突き合わせ面に沿う旋回動作に追従して旋回する。
【0059】
また、本実施形態の場合、図2に示すように、車体側コネクタ41は、補機側コネクタ31との嵌合部48に、コネクタ相互の嵌合の進行に伴ってコネクタ相互の角度のずれを修正する嵌合誘導斜面49を備えている。
【0060】
この嵌合誘導斜面49は、第2ブラケット本体21と第1ブラケット本体11との突き合わせ操作によって、補機側コネクタ31と車体側コネクタ41とが嵌合するときに、両者の嵌合中心軸C31,C41に角度のずれがあれば、相互の角度のずれが無くなるように、補機側コネクタ31の角度を修正する。
【0061】
以上に説明した一実施形態の補機側ブラケットの固定構造では、次の手順で、補機側ブラケット1をパネル側ブラケット3に取り付ける。
【0062】
まず、第1ブラケット本体11に環状プレート51を取り付けた状態で、第1ブラケット本体11に対して車体側コネクタ41の組み付けを行い、更に、第1ブラケット本体11をルーフトリム4に固定して、図3及び図4に示すように、ルーフトリム4にパネル側ブラケット3が固定された状態を得る。
【0063】
図3及び図4に示したパネル側ブラケット3では、第1ブラケット本体11に対して、車体側コネクタ41が嵌合中心軸C41の回りに所定角度旋回自在になっている。
【0064】
次いで、補機側ブラケット1の第2ブラケット本体21を、予め設定した初期突き合わせ位置で、パネル側ブラケット3の第1ブラケット本体11に突き合わせて、補機側コネクタ31と車体側コネクタ41とを嵌合接続させると共に、図5に示すように、第2ブラケット本体21の係止腕部25bを、第1ブラケット本体11のフック挿通孔15aに挿通させる。
【0065】
次いで、第2ブラケット本体21を第1ブラケット本体11に突き合わせた状態のまま、第2ブラケット本体21を初期突き合わせ位置から突き合わせ面に沿って所定角度旋回させることで、図6に示すように、フック係止部15を切り欠き溝15bに移動させ、係止腕部25bが切り欠き溝15bの外縁15dのロック突起15cを乗り越えた状態にする。
以上により、補機側ブラケット1のパネル側ブラケット3への取り付けが完了する。
【0066】
以上に説明した一実施形態の補機側ブラケットの固定構造では、補機側ブラケット1の第2ブラケット本体21を、予め設定した初期突き合わせ位置で、パネル側ブラケット3の第1ブラケット本体11に突き合わせると、第1ブラケット本体11に搭載されている車体側コネクタ41と第2ブラケット本体21に搭載されている補機側コネクタ31とが嵌合接続された状態になる。
【0067】
そして、第2ブラケット本体21を、予め設定した初期突き合わせ位置で、第1ブラケット本体11に突き合わせた後、初期突き合わせ位置から突き合わせ面に沿って所定角度旋回させることで、第2ブラケット本体21が第1ブラケット本体11に固定され、補機側ブラケット1がパネル側ブラケット3に固定された状態になる。
【0068】
即ち、補機側ブラケット1をパネル側ブラケット3へ固定する手段として、ねじ止めを使用していないため、補機側ブラケット1の取り付け時には、ドライバ等のねじ締結用の工具が不要であり、また、手間のかかるねじ締め作業も不要である。
【0069】
また、コネクタ相互の嵌合前にコネクタ相互の角度にずれが生じていても、一実施形態の補機側ブラケットの固定構造では、車体側コネクタ41の嵌合部48に備えられた嵌合誘導斜面49が、コネクタ相互の嵌合の進行に伴ってコネクタ相互の角度のずれを修正するため、コネクタ相互の角度にずれの影響で嵌合部48に無理な荷重が作用することがなく、円滑にコネクタ相互を嵌合させることができる。
【0070】
従って、補機側ブラケット1をパネル側ブラケット3へ固定する際に、補機側コネクタ31と車体側コネクタ41との接続をスムースに、且つ簡単に行うことができる。
【0071】
なお、本発明のブラケット固定構造は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0072】
例えば、コネクタ相互の嵌合時にコネクタ相互の角度のずれを修正する嵌合誘導斜面49は、車体側コネクタ41に設けたが、車体側コネクタ41ではなく補機側コネクタ31に設けるようにしても良く、また補機側コネクタ31と車体側コネクタ41の双方の嵌合部に設けるようにしても良い。
【0073】
また、上記の一実施形態では、パネル側ブラケット3に搭載される車体側コネクタ41を、第1ブラケット本体11に対して所定角度旋回可能に車体側コネクタ41に取り付けたが、代わりに、補機側ブラケット1に搭載される補機側コネクタ31を第2ブラケット本体21に対して所定角度旋回可能に第2ブラケット本体21に取り付けるようにしても良い。
【0074】
更に上記一実施形態では、環状プレート51が第1ブラケット本体11と別体であったが、環状プレート51を第1ブラケット本体11に一体形成した構成とすることも可能である。
【0075】
また、第1ブラケット本体11をルーフトリム4に固定する弾性係止片16の装備位置や装備数も適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 補機側ブラケット
3 パネル側ブラケット
4 ルーフトリム(車体パネル)
11 第1ブラケット本体
13 コネクタ取付孔
15 フック係止部
15a フック挿通孔
15b 切り欠き溝
15c ロック突起
15d 外縁
16 弾性係止片
17 プレート係止部
21 第2ブラケット本体
22 上面
22a 周縁部
24 短辺
25 フック
25a 立ち上げ軸部
25b 係止腕部
31 補機側コネクタ
41 車体側コネクタ
43 円筒部
45 本体挟持部
46 第1の挟持片
47 第2の挟持片
48 嵌合部
49 嵌合誘導斜面
51 環状プレート
52 プレート固定突起
54 旋回範囲規制突起対
61 ブラケット係止孔
63 取付孔
C31 嵌合中心軸
C41 嵌合中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルに取り付けられるパネル側ブラケットの第1ブラケット本体に車室側から取り付けられる第2ブラケット本体と、
前記第2ブラケット本体に搭載され、前記第2ブラケット本体の前記第1ブラケット本体への取り付け時に前記第1ブラケット本体に搭載されている車体側コネクタに接続される補機側コネクタと、
を備えて前記パネル側ブラケットに固定される補機側ブラケットの固定構造であって、
前記第2ブラケット本体は、予め設定した初期突き合わせ位置で、前記第1ブラケット本体に突き合わせた後、前記初期突き合わせ位置から突き合わせ面に沿って所定角度旋回させることで、第1ブラケット本体に固定され、
前記車体側コネクタ及び前記補機側コネクタは、前記第2ブラケット本体を前記初期突き合わせ位置で前記第1ブラケット本体に突き合わせたときにコネクタ相互の嵌合が完了するように、コネクタ相互の嵌合方向に沿う嵌合中心軸を第1ブラケット本体と第2ブラケット本体との突き合わせ方向に一致させて、それぞれのブラケット本体に取り付けられ、
更に、車体側コネクタと補機側コネクタの少なくとも一方のコネクタは、相手コネクタとの嵌合部に、コネクタ相互の嵌合の進行に伴ってコネクタ相互の角度のずれを修正する嵌合誘導斜面を備え、
更に、車体側コネクタと補機側コネクタの何れか一方のコネクタは、前記第2ブラケット本体の前記突き合わせ面に沿う旋回動作に追従して旋回するように、前記嵌合中心軸回りに所定角度旋回自在にブラケット本体に取り付けられる
ことを特徴とする補機側ブラケットの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−196481(P2011−196481A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64909(P2010−64909)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】