説明

補間フレーム作成装置及び補間フレーム作成方法及び放送受信装置

【課題】この発明は補間フレームを作成用の動きベクトルを一層適切に選択又は作成でき動きベクトル検出が不定な領域についても良好な画像を提供する。
【解決手段】この発明は、動きベクトル検出部の判定部12a,12bにより大小のブロックを用いたフレーム間のブロックマッチング処理を行い動きベクトル候補を検出する。動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には該動きベクトル候補を取り出す。しかし動きベクトル候補が複数検出された場合には、判定部12cにより対応する補間ブロックに対しては補間フレームより前のフレームの画像の再描画を指示する指示情報を取り出す。補間画像作成部13にて、動きベクトル候補が特定された場合は対応する補間ブロックの動きベクトル対応画像を成生する。また前記再描画の指示情報に基づいて対応する補間ブロックに再描画を行なうとともに、前記指示情報の割合が設定されたエリア内で予め設定した値より多い場合には、前記動きベクトル対応画像の領域に対しても、結果的に前記再描画を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、補間フレーム作成装置及び補間フレーム作成方法及び放送受信装置に関し、動画像を構成するフレーム画像の間に補間フレームを作成し、挿入し、物体の動きを滑らかで自然な動きとして表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に動画像を表示する場合、LCDは例えば60フレーム/秒のレートでフレーム画像(以下単にフレームと記載する)を表示する。このフレームは例えば60フィールド/秒のインターレースを処理して得られる順次走査信号である。つまりLCDは、1フレームを1/60秒間表示し続ける。
【0003】
LCDに表示されたこのような映像が視聴される場合、人の目には1フレーム前の画像が残像として残る。このため、映像中の動いている物体がボケて見えるか、物体の動きが不自然に見えることがある。このような現象は、大画面になるほど顕著に表れる。
【0004】
動画像のこのようなボケを防止するために、連続する2つのフレームの間に、補間フレームを挿入して動画像を表示する方法が知られている。この方法では、前フレーム及び後フレームの2枚ないしそれ以上の入力フレーム間で、フレームを構成する画像ブロックのマッチング処理が実行され、各ブロックの動きベクトル(物体の動いた方向及び距離)が検出される。各ブロックの動きベクトルが利用され、入力フレーム間に位置する新たな補間フレームが作成される。補間フレームが2枚の入力フレーム間に挿入されることで、フレーム数が増加された動画像を表示することができる。
【0005】
上記ブロックマッチングとは、あるフレームにおける所定サイズの画像ブロックが、後のフレーム中のどの画像ブロックに一致するかを検出する方法である。前フレーム中の画像ブロックと、後フレーム中のいずれかの画像ブロックが選択され、次に、両ブロック間の互いに対応する画素間の差分が計算される。この差分結果を累積した値(SAD:Sum of Absolute Difference)が最小となる後フレーム中の画像ブロックが、前フレーム中の画像ブロックに最も類似する画像ブロックとして検出される。前フレームと後フレームで、最も類似する画像ブロックの位置の差が、動きベクトルとして検出される。
【0006】
SADを用いたブロックマッチングに基づいて動画の動きを推定する時、入力フレーム内に周期的パターンをもつ絵柄が存在する場合、該周期的パターン内の画像ブロックでは、正確な動きベクトルを推定できない。
【0007】
動きベクトルを得るための技術としてブロックサイズを可変する技術がある(特許文献1)。この文献の技術では、画像圧縮を行うために、小ブロックを利用して動きベクトルを検出して画像動き補償を行なう。動き補償を行なった画像と次のフレームの画像が比較されたとき、予測誤差が得られる。この予測誤差と閾値とが比較され、もし閾値がより予測誤差が大きいときは、小ブロックを結合した大きいブロックを利用して動きベクトルを検出する。検出した動きベクトルに基づいて画像動き補償を行う。そして、動き補償を行なった画像と次のフレームの画像が比較され予測誤差が得られる。この予測誤差が閾値より小さければ、現在のブロックサイズを用いた動きベクトル検出が行なわれる。
【0008】
しかし上記の特許文献の技術は、前フレームと後フレームの2枚の現存するフレーム間の画像が比較され、動きベクトルが検出され、前のフレームの画像を動きベクトルに従って予測画像として後のフレームの画像に近づける処理である。この処理は、圧縮情報量を少なくするための手法である。
【0009】
これに対して新たな補間フレームを作成し、この補間フレームが2枚の入力フレーム間に挿入する場合、単純に特許文献1の技術を適用できない。補間フレームは画像の動きを滑らかに表示する役割を持たなければならない。
【特許文献1】特開昭64−73985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は上記の事情に鑑み成されたもので、補間フレームを作成するために必要な動きベクトルを一層適切に選択又は作成することができ、動きベクトル検出が不定な領域についても良好な画像を提供できるようにした補間フレーム作成方法及び補間フレーム作成装置及び放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、複数の入力フレームの画像を用いて、前記複数の入力フレームの間に位置する新たな補間フレームの画像を作成する補間フレーム作成装置であって、前記入力フレーム間の探索エリア内のブロックマッチング処理により、前記補間フレーム内の補間ブロックのための動きベクトル候補を検出する動きベクトル検出部と、前記検出した動きベクトルを用いて前記補間フレーム内の各補間ブロックの画像を作成する補間画像作成部を含み、前記動きベクトル検出部は、サイズの異なる複数のブロックのうち小ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を判定結果とし取り出す第1の判定部と、前記小ブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、大ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を判定結果として取り出す第2の判定部と、前記大ブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、この大ブロックに対応した前記補間ブロックに対しては前記補間フレームより前のフレームの画像の再描画を指示する指示情報を判定結果として取り出す第3の判定部とを含み、前記補間画像作成部は、前記第1、第2の判定部が取り出した動きベクトル候補に基づいて、前記補間ブロックの画像を成生する第1の補間ブロック画像成生部と、前記第3の判定部で再描画を指示する指示情報に基づいて対応する補間ブロックに再描画を行なうとともに、前記指示情報の割合が設定されたエリア内で予め設定した値より多い場合には、前記第1の補間ブロック画像成生部で生成した補間ブロックの領域に対しても、結果的に前記再描画を行う第2の補間ブロック画像成生部を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記の手段によると、補間フレームを作成するために必要な動きベクトルを一層適切に選択又は作成し、補間フレーム内でのベクトル検出結果の分布適正化を行うことができる。よって、領域毎に秩序をもって適正化された高品位な動き画像を得ることが可能となる。そして動きベクトル検出が不定な領域についても良好な画像を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明による補間フレーム作成装置(フレーム数変換装置)の一実施形態を示すブロック構成図である。
【0014】
補間フレーム作成装置10は、フレームメモリ部11、動きベクトル検出部12、補間画像作成部13を含む。動きベクトル検出部12は、入力画像信号における例えば連続する2フレームから、動きベクトルをブロックマッチング処理にて検出する。入力画像信号のフレームレートは例えば60フレーム/秒である。
【0015】
補間画像作成部13は、動きベクトル検出部12の検出結果及び判定結果に基づいて補間フレームを作成し、前記2フレームの間に挿入する。補間フレームが挿入された出力画像信号のフレームレートは例えば120フレーム/秒である。動きベクトル検出部12及び補間画像作成部13は、それぞれ個別電子回路を用いたハードウエア、あるいはCPU(図示されず)にて実行されるソフトウエアとして構成できる。
【0016】
動きベクトル検出部12内には、後述するように第1、第2、第3の判定部12a,12b,12cが設けられ、動きベクトルの抽出するブロックを種々選択し、多面的に適切な動きベクトルを得られる。判定部の数はさらに増加されてもよい。補間画像作成部13は、第1の補間ブロック画像成生部13a,第2の補間ブロック画像成生部13bを含む。第1の補間ブロック画像成生部13aは、後述するブロックマッチング処理により採用する動きベクトルが特定された場合の補間ブロック画像を成生している。また第2の補間ブロック画像成生部13bは、採用する動きベクトルが特定されなかった場合に、設定されたエリア内の動きベクトル分布を判断し、動きベクトル分布の内容に応じて前記1の補間ブロック画像成生部13aで成生された間ブロック画像を修正することができる(詳細については後述する)。
【0017】
図2はブロックマッチング処理の一例を説明するための図である。前フレーム20と後フレーム22は、連続して入力されるフレームである。
【0018】
補間フレーム21の画像の挿入位置21Aを設定する。挿入位置21Aを中心にした点対象として、補間フレーム21を挟む前後2枚のフレーム20,22上でそれぞれ、所定形状の比較用ブロックが平行方向に順次に選定される。また前後2枚のフレーム20,22上でそれぞれ、所定形状の比較用ブロックが垂直方向に順次に選定される。このようにブロックの選定箇所は探索範囲内で平行に変遷移動される。
【0019】
対応する2つのブロックが選定されたとき、2つのブロック内の対応画素間の画素値の差分の絶対値がブロック内の画素全てについて計算され、これを累積した値(SAD:Sum of Absolute Difference)が求められ、このSAD値が最小となる方向が前フレームのブロックに対する画像動きベクトルとされる。
【0020】
即ち、例えば図3のように水平方向の各領域1−9のSADの極小値が求められる。実際には図2で示したように探索範囲内の各ブロックの極小値が求められるのであるが、ここでは説明をわかり易くするために水平方向の各領域1−9を代表して示している。今、SADの変化曲線SAD−1が得られたとする。ここで各領域の極小値のうち、予め設定している閾値内に存在するのは、領域3の極小値P1である。したがってこの場合は、この値P1が選択され、この値P1を得た領域の方向へ画像が動いているものとされる。つまりこの値P1が動きベクトルとして利用される。
【0021】
しかし、図3の例では都合よく1つの値P1が動きベクトルとして現われたが、映像のパターンあるいは絵柄によっては、図4に示すSADの変化曲線SAD−2のように、複数の極小値P0,P1、P2が現われることがある。このような場合にいずれの極小値を適切な動きベクトルとして採用すべきかは不定である。
【0022】
ブロックマッチングによる動きベクトル検出を精度良く行うために最適なブロックサイズは、映像の解像度や映像内に含まれる対象画像の動き方によって変わってくる。マッチングを行うためには対象画像の形状を識別できる画素値の変化がブロック内に含まれていることが必要であるが、ブロックサイズを大きくしすぎると、そのブロック内に複数の動きをした対象画像が含まれる可能性が大きくなるという問題が発生する。そこで、ブロックサイズはある程度の大きさに制限せざるを得ない。
【0023】
しかしながら、例えばこのブロックサイズの水平サイズよりも幅の広い、水平方向の周期パターンが対象画像に含まれている場合には、対象画像の動きと周期的な画像の繰り返しとが区別できず、正しい動きの検出が出来なくなる。
【0024】
図5(A)、図5(B)、図5(C)には、周期的な画像の繰り返しパターン50を有するフレーム上で、小ブロック51を用いて動きベクトルを検出する様子を示している。このような場合、図5(A)、図5(B)、図5(C)の小ブロック51の位置では、同じSAD値が得られ、複数の動きベクトルが検出されることになる。
【0025】
これに対して、図6(A)、図6(B)、図6(C)にはブロックサイズを大きくして大ブロック52を利用して動きベクトル検出を行なった場合を示している。この場合は、図6(A)、図6(B)、図6(C)の大ブロック52のそれぞれの位置で異なるSAD値が得られ、例えば1つの動きベクトルが得られる。動きベクトルが得られない場合もある。
【0026】
上記のようにSADの変化曲線は、周期パターンの含まれていない一般的な自然画像では、あるベクトルの方向においてただ一つの極小点(=最小点)を持つことが多いが、周期パターンが映像に含まれる場合には、SADの値が探索範囲内で複数のベクトル方向で極小点を持つという特徴がある。尚、この動きベクトル(大きさと方向を含む)は、図2では説明の都合上3次元のように示されているが、実際の処理においては、フレーム上の2次元で示されるベクトルである。
【0027】
図7には、同じ絵柄に対して、小ブロックによる動きベクトル検出、大ブロックによる動きベクトル検出を実施したときに得られる変化曲線SAD−2、SAD−3を示している。このような場合、選択される動きベクトルは、図8に示すフローチャートの如く設定される。
【0028】
即ち図8において、小ブロックを用いた動きベクトル検出において、
|最小値−極小値i|<閾値(TH) ・・・(1)、iは探索範囲内のブロックの番号
を満たすiが2個以上存在するかが判断される(ステップSA1)。存在しない場合にはSADの最小値で決まったベクトルを選択する(ステップSA2)。
【0029】
ステップSA1において、(1)式を満たすiが複数存在した場合には、大ブロックで求めたベクトルを参照する(ステップSA3)。そして、(1)式を満たす複数の極小値方向のベクトルの中で、大ブロックで求めたベクトルと最も距離が近いベクトルが選択される(ステップSA4)。
【0030】
上記したブロックマッチングにより動きベクトルの検出を行う補間フレーム作成方法は、大きさの異なるブロックを少なくとも2つ以上用いる手法である。通常時には該2つ以上のブロックのうち、小ブロックで検出した動きベクトルを採用する。しかし小ブロックでのベクトル検出時に、信頼し得る動きベクトルの候補が複数見つかった場合、小ブロックよりも大きい大ブロックを用いて検出されたベクトルを参照する。そして小ブロックにおいて検出された確からしい動きベクトルの中から、前記大ブロックで検出された動きベクトルに近い動きベクトルを採用する。これにより、ブロック内に含まれる細かい画像の動きベクトルの検出精度を落とすことなく、周期的なパターンを含んだ映像の動きベクトルの検出精度を向上させることができる。
【0031】
さらに大ブロックの動き検出を行う際のブロックサイズとして、どれほどの大きさにすれば周期的繰り返しパターンに惑わされずに大ブロックの動きベクトルが正しく検出できるかを検討した。周期的繰り返しパターン幅全てを包含するブロックサイズを適切に設定すれば良い事が分かった。
【0032】
すなわち、図5、図6に示したように小ブロック51では各々矩形領域内に同一の画像しか含まないため図5(A)−5(C)の状態を区別ができない。しかし図6(A)−図6(C)に示すように、周期的繰り返しパターン幅全てを包含するサイズの大ブロック52では各々の矩形領域内に含まれる画像は異なるため一意に正しい動きベクトルを検出することが可能である。
【0033】
この考え方に基づいて、大ブロックの動き検出時ブロックサイズとして、周期的繰り返しパターンに惑わされないほど十分な大きさを有し、かつ、必要以上に大きすぎてブロック内に複数の動きを持つ物体が入り込むことの無い大きさである、というブロックサイズ最適化する手法を実現することができる。
【0034】
なお、周期的繰り返しパターン幅の算出に関しては、(a)小ブロックでのベクトル検出時に、信頼し得る動きベクトルの候補が複数見つかった事象(つまりベクトルを一意に検出できず迷っている状態)の、連続発生回数を測定する。(b)入力画像のライン上での単位パターン繰り返し回数を測定する。等の手法が挙げられる。
【0035】
絵柄の動きによっては、大ブロックを駆使してもなお正しいベクトルを検出できない場合がある。このような場合、ベクトル検出を素直にあきらめて入力画像を再描画するという選択肢もある。
【0036】
図9は、小ブロック、可変長大ブロック、固定長大ブロックを利用して動きベクトル候補を見つけるときの動作を示すフローチャートである。この処理は、下記の結果A−Dをもたらすものである。尚、可変長大ブロックは、小ブロックが水平或いは垂直方向へ倍数分可変される領域をもつブロックである。固定長大ブロックは、小ブロックが水平或いは垂直方向へ倍数分拡大され、固定された領域のブロックである。
【0037】
結果A:小ブロック自身のベクトル検出結果が信用に足るので、小ブロックでのベクトル検出結果から最小SADの動きベクトルを選択する(ステップSB1−SB2−SB3の経路)。
【0038】
結果B:ついで、可変長大ブロックでのベクトル検出結果が信用に足るので、可変長大ブロックでのベクトル検出結果から最小SADのベクトルを選択し、その値に近い小ブロックでのベクトル検出極小点を選択する(ステップSB1−SB2−SB4−SB5−SB6の経路)。
【0039】
結果C:ついで、固定長大ブロックでのベクトル検出結果が信用に足るので、大ブロック(固定長)でのベクトル検出結果から最小SADのベクトルを選択し、その値に近い小ブロックでのベクトル検出極小点を選択する(ステップSB1−SB2−SB4−SB5−SB7−SB8−SB9の経路)。
【0040】
結果D:ついで、前記結果AからCまでのステップでは信用に足るベクトルが検出できなかったので、正しいベクトル検出は困難であるとあきらめて、補間画像作成部へ入力画像再描画指示を行うステップSB1−SB2−SB4−SB5−SB7−SB8−SB10の経路)。
【0041】
上記結果A,B,Cに基づき作成される画像は動きベクトル対応画像である。結果Dに基づき作成される画像は再描画指示に基づく画像である。しかし、結果Dの割合が探索エリア内で閾値(例えば、50%、或いは75%)を超えている場合には、後述するように動きベクトル対応画像が再描画用の画像とともにブレンドされることがある。
【0042】
以上のステップを順次経ることで、入力画像の絵柄に応じて部分部分で適応的に、結果AからDまでを柔軟に切り替えたベクトル検出処理が可能となり、結果として高品位な補間画像を生成するための動きベクトルを検出することができるようになった。
【0043】
図10(A)〜(D)は、図9に示した処理により、探索範囲内で小ブロック、可変長大ブロック、固定長大ブロックの動きベクトル候補が決まっていく様子を示している。小ブロックは縦5個横9個の例で示している。図10(A)は先の小ブロック単位でのブロックマッチング処理が得られるときの様子である。1補間画面内に均等に小ブロックが存在している。図10(B)は先の可変長大ブロック単位でのブロックマッチング処理が得られるときの様子である。先の小ブロックでのベクトル検出結果が信用に足らなかったため、1補間画面内に部分的に大ブロック(可変長)が構成されている。
【0044】
図10(C)は先の固定長大ブロック単位でのブロックマッチング処理が得られるときの様子を示している。先の小ブロックでのベクトル検出結果および大ブロック(可変長)でのベクトル検出結果が信用に足らなかったため、1補間画面内に部分的に大ブロック(固定長)が構成されている。そして図10(D)は、最終的に選択された結果A−Dの分布を示している。絵柄に応じて、1補間画面内で部分部分で適応的に、結果AからDまでを柔軟に切り替えたベクトル検出が行えることを示す一例である。このように、結果D(正しいベクトル検出は困難であるとあきらめて、補間画像作成部へ入力画像再描画指示を生成する)を適用する部分が新たに生じている。
【0045】
ここで本発明では、上述した多段階処理要素=結果A乃至Dを無秩序に切り替えるだけではなく、補間フレーム内での結果の分布を適正化する装置及び方法を提供する。すなわち、本発明は以下の処理を行う。
【0046】
1.直前の補間フレーム生成時の結果A乃至Dの出現頻度に基づき、今生成しようとしている補間フレーム内の結果A乃至Dの分布を適正化する。
【0047】
2.結果A乃至Dの分布適正化は、補間フレーム内で結果Dの出現頻度が多い場合に全ての結果を結果Dに揃える処理として実現する。
【0048】
3.結果A乃至Dの分布適正化は、時間方向の急激なベクトル変化を緩和すべく、複数の補間フレームに渡り段階的なαブレンド処理を行う。
【0049】
4.結果A乃至Dの分布適正化は、補間フレームをいくつかの領域に分割して、その個別領域毎に行う。
【0050】
上記の処理を行うことで、小ブロック単位で無秩序に結果A乃至Dが散乱する結果となっていたところを、本発明では、ある程度の大きさの領域毎に結果を揃える効果が発揮される。この結果として領域毎に秩序をもって適正化された高品位な動きベクトル検出結果を出力することが可能となる。以下順を追って詳細を説明する。
【0051】
まず、本発明の基本理念は、直前の補間フレーム生成時の結果A〜Dの出現頻度において結果Dの出現割合が所定の閾値より多かった場合には、今生成しようとしている補間フレーム内の結果の全てを、結果的には結果Dに揃えたいということである。
【0052】
この理由は、結果A乃至Cはなんとか頑張って動きベクトルを検出した結果であり、一方結果Dはあきらめてしまった結果であるため、この異質な結果A乃至Dが補間フレーム内で無秩序に入り乱れている状態を改善するものである。結果Dが集中している補間フレームを特定し結果を揃えることで、補間フレーム毎に秩序をもって適正化された高品位な結果を出力することが可能となると考えるからである。
【0053】
具体的な処理例としては、図11(A),図11(B)に示す通り、1画面内のベクトル分布に結果D(2度振り;再描画指示)出現比率が多い場合に、1画面内全てを結果Dに揃える処理となる。同図においては、図9のフローチャートで判断した4段階の結果A乃至Dをそのまま出力した補間フレーム(状態S1とする:図11(A))があり、その状態S1において結果Dの出現頻度が閾値(たとえば50%等)を超えているような場合、次の補間フレーム生成時に1画面内を全て結果Dに揃えた補間フレーム(状態S2とする:図11(B))へ処理が切り替わることを示す。
【0054】
ここで状態S1から状態S2への変化において、1フレーム時間で急激に行われると好ましくない場合があるため、両状態の間を滑らかにつなぐ状態S3を定義している。
【0055】
図12(A),図12(B)、図12(C)に示す通り、状態S3においては複数の補間フレームに渡り段階的に変化するα値を用いたαブレンド処理を行うことになる。このαブレンド処理は次の計算式で定義される。
【0056】
最終出画要素=多段階処理要素*(1−α)+総2度振り要素*α
多段階処理要素は、結果A,B,Cに基づく描画要素(画像データ)であり、総2度振り要素は、結果Dのときの再描画要素(画像データ)に相当する。
【0057】
図12(A)に示すような分布が数フレーム連続する場合、最初の補間フレームでは、図12(A)に示すように、結果A、B、Cに対応する補間ブロックの画像を成生する場合、
最終出画要素=多段階処理要素*0.75+総2度振り要素*0.25
の計算で画像が成生される。
【0058】
次の補間フレームでは、、図12(B)に示すように、結果A、B、Cに対応する補間ブロックの画像を成生する場合、
最終出画要素=多段階処理要素*0.5+総2度振り要素*0.5
の計算で画像が成生される。
【0059】
更に次の次の補間フレームでは、、図12(C)に示すように、結果A、B、Cに対応する補間ブロックの画像を成生する場合、
最終出画要素=多段階処理要素*0.25+総2度振り要素*0.75
の計算で画像が成生される。
【0060】
上記のように、最初のフレームで、α=0.25(25%)で、多段階処理要素が75%、総2度振り要素が25%の比率でブレンドされている。次の補間フレームでは、α=0.50(50%)で、多段階処理要素が50%、総2度振り要素が50%の比率でブレンドされている。更に次のフレームでα=0.75(75%)で、多段階処理要素が25%、総2度振り要素が75%比率でブレンドされている。
【0061】
上記の例は、αが暫時増えていく様子を説明したが、αが減少していく場合もある。これは、今まで結果Dであったブロックが結果A,或いはB,或いはCと判定された場合である。
【0062】
図13には補間フレーム1.5、2.5、3,5・・・・5.5までが係数αが順次増えていく状態S3の特性を示し、補間フレーム5.5、6.5、7.5、8.5までが状態S2の特性を示し、補間フレーム8.5,9.5・・・・12.5までが係数αが順次減少していく状態S3の特性を示している。状態S1は、4段階の結果A乃至Dをそのまま出力した補間フレーム、状態S2は、1画面内を全て結果Dに揃えた補間フレーム、および、状態S3は、状態S1と状態S2の間をαブレンドで滑らかにつなぐ補間フレーム生成モードである。
【0063】
図14は、さらに上記の状態SA1,SA2,SA3の変遷経路を示している。状態S3には、状態S1又は状態S2から変遷することができる。
【0064】
図15には、状態S1にあるときの処理フロー、図16には、状態S2にあるときの処理フローを示している。図15の状態S1にあるときは、直前の補間フレーム成生時の結果A−Dの出現頻度において、結果Dの出現割合が所定に閾値より多かったか否かを判定し(ステップSE1)、多かった場合は状態S3に移行する(ステップSE3)が、少なかった場合状態S1にととどまる。図16の状態S2にあるときは、直前の補間フレーム成生時の結果A−Dの出現頻度において、結果Dの出現割合が所定の閾値より少なかったかどうかを判定する。結果Dの出現割合が所定の閾値より少なかった場合、状態S3へ遷移する。逆に結果Dの出現割合が所定の閾値より多かった場合、状態S2へとどまる。
【0065】
図16には、状態S3における動作を示すフローチャートである。状態S3へ至った経路が状態S1から遷移してきたかどうかを判定する(ステップSG1)。NO(いいえ)であれば、状態S2から遷移してきたことであり、YES(はい)であれば状態S1から遷移してきたことである。
【0066】
NOの場合、ステップSG2において直前の補間フレーム成生時の結果A−Dの出現頻度において結果Dの出現割合が所定の閾値TH1より多かったかどうかを判定している。結果Dの出現頻度が少なかった場合(NOの場合)、図13に示したフレーム番号8.5から9.5、10.5とαが減少するする特性となる。ここで、ステップSG4において、α値をさらに減少させると、0.0に到達するか否かの判定を行なう。0.0に到達するようであれば、α値を0として(ステップSG7)、状態S1へ遷移する(ステップSG8)。ステップSG4において、α値をさらに減少させても、0.0に到達しない場合は、α値を減少させ(ステップSG5)、状態S3にとどまる(ステップSG6)。
【0067】
先のステップSG1において、YES(はい)であれば状態S1から遷移してきたことであり、ステップSG3に移行する。ステップSG3において直前の補間フレーム成生時の結果A−Dの出現頻度において結果Dの出現割合が所定の閾値TH2より少なかったかどうかを判定している。結果Dの出現頻度が多かった場合(NOの場合)、図13に示したフレーム番号1.5から3.5、4.5とαが増大する特性となる。
【0068】
ここで、ステップSG10において、α値をさらに増大させると、1.0に到達するか否かの判定を行なう。1.0に到達するようであれば、α値を1として(ステップSG12)、状態S2へ遷移する(ステップSG13)。ステップSG10において、α値をさらに増大させても、1.0に到達しない場合は、α値を増加させ(ステップSG11)、状態S3にとどまる(ステップSG6)。
【0069】
ステップSG3からステップSG4に移行することは、図13の状態S3でαが増加傾向にある途中で、αが減少傾向に向かうことを意味する。逆にステップSG2からステップSG10に移行することは、図13の状態S3でαが減少傾向にある途中で、αが増加傾向に向かうことを意味する。
【0070】
状態S1から状態S3へ遷移するための条件判断閾値TH1、状態S2から状態S3へ遷移するための条件判断閾値TH2、および、同条件判断閾値TH1/TH2は、ヒステリシス特性を持たせるために異なっていても良い。
【0071】
この発明は上記の実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態は、判定結果A−Dの分布を調査する範囲として探索範囲全体を選んだ。しかしながら、探索範囲あるいは1画面を複数の領域に分割して本発明を適用してもよい。
【0072】
上述した説明では今生成しようとしている補間フレーム内の結果A乃至Dの分布を適正化する概念として示したが、適正化する単位は補間フレーム1枚全面に限定する必要はなく、たとえば図18(A),図18(B)に示すとおり補間フレームを水平方向の3領域に分割し、それぞれの領域内で個別に本発明を適用し結果A−Dの分布を適正化してもよい。
【0073】
図18(A)、図18(B)は探索範囲(又は1画面)を水平方向に3つに分割した例である。領域18A,18B,18Cを見ると、領域18A,18Cにおいては結果Dの出現率が大きい。そこで、図18(B)に示すように、領域18Bはそのままにし、領域18A,18Cは結果D以外の部分を結果Dに置き換えている。
【0074】
なお分割形状は水平方向3領域にのみ限定するものではなくたとえば水平方向3領域かつ垂直方向3領域の計9領域に分割することも可能であり、また、複数の分割形状パターンを用意しておき結果A〜Cと結果Dとの分離特性がより良くなる形状を適応的に切り替えつつ処理を進めることも可能である。
【0075】
上記したようにこの発明によれば補間フレーム内でのベクトル検出結果の分布適正化を行い、領域毎に秩序をもって適正化された高品位な動きベクトル検出結果を出力することが可能となる。
【0076】
上記説明では、画像の水平方向への周期パターンに対する動きベクトル検出精度向上策として説明があったが、画像の垂直方向への周期パターンに対する動きベクトル検出精度向上策としても同様に効果がある。
【0077】
上記説明では、固定長大ブロックの大きさを1例にして、簡素化して説明を行ったが、最終的に動きベクトルを求めたい小さいブロックに到達するまでに、複数段階のより大きいブロックすなわち複数サイズのより大きい固定長ブロックが存在しても良い。
【0078】
上記説明では、複数考えられるベクトル検出手法に対して、小さいブロック自身でベクトルを決定→可変長大ブロックを利用してベクトルを決定→固定長大ブロックを利用してベクトルを決定→あきらめて入力フレーム画像を再描画、という順序で優先度を付けて切り替える説明を行ったが、優先度の判断に関しては本順序のみに限定される必要は無い。
【0079】
上記説明では、結果Dとは入力フレーム画像を再描画と表現したが、具体的な動作としては次のいずれかの動作が可能である。(A)入力フレームの前フレーム側画像を再描画、(B)入力フレームの後フレーム側画像を再描画、(C)入力フレームの前フレーム側画像と後フレーム側画像との平均値を再描画する。
【0080】
上記説明では、状態遷移の判断条件として直前の補間フレーム1枚分生成時の情報を使用したが、状態遷移の判断条件として直前の補間フレーム1枚分生成時の情報に限定するものではない。たとえば、状態遷移の安定性を重視するならば、直前の補間フレーム複数枚分生成時の情報を総合して判断することも好適である。
【0081】
上記説明では、αブレンド係数変化グラフの例として単純な線形形状を示したが、αブレンド係数変化グラフはその他の形状も取りえる。また、異なる形状の係数変化パターンを複数用意し、たとえば結果Dの出現比率に応じて適応的に切り替えながら処理を進めることも可能である。
【0082】
上記説明では、状態遷移の判断条件として直前の補間フレーム生成時の結果Dの出現割合を使用したが、状態遷移の判断条件として直前の補間フレーム生成時の結果Dの出現割合にのみ限定するものではない。たとえば、結果Cと結果Dの両者の出現割合を合計した値により判断することも可能である。
【0083】
また絵柄に応じて、小さいブロック自身でベクトルを決定→大きいブロック(可変長)を利用してベクトルを決定→大きいブロック(固定長)を利用してベクトルを決定→あきらめて入力フレーム画像を再描画、という柔軟なベクトル検出手法切り替えを行いつつ、補間フレーム内でのベクトル検出結果の分布適正化を行い、領域毎に秩序をもって適正化された高品位な動きベクトル検出結果を出力することが可能となる。
【0084】
本発明の一実施形態に係る補間フレーム生成装置を適用した放送受信装置の一実施形態であるデジタルテレビジョン装置一例を図19に示す。図19において、放送受信装置100は、図11に示すように一例としてテレビジョン装置であり、制御部130は全体の動作を司るべくデータバスを介して各部に接続されている。放送受信装置100は、再生側を構成するMPEGデコーダ部116と、装置本体の動作を制御する制御部130とを主たる構成要素としている。放送受信装置100は、入力側のセレクタ部114と出力側のセレクタ部120とを有しており、入力側のセレクタ部114には、BS/CS/地上波デジタルチューナ部112と、BS/地上波アナログチューナ部113が接続される。また、LAN等やメール機能をもった通信部111がデータバスに接続されて設けられている。
【0085】
放送受信装置100は、更に、BS/CS/地上波デジタルチューナ部112からの復調信号を一時格納するバッファ部115と、格納された復調信号であるパケットを種類別に分離する分離部117と、分離部117から供給された映像音声用のパケットにMPEGデコード処理を施し映像音声信号を出力するMPEGデコーダ部116と、操作情報等を重畳するための映像信号を生成し映像信号に重畳するOSD(On Screen Display)重畳部134を有している。放送受信装置100は、更に、MPEGデコーダ部116からの音声信号に増幅処理等を施す音声処理部118と、MPEGデコーダ部116から映像信号を受けて、所望の映像処理を施す映像処理部119と、上述した本発明の一実施形態に係る補間フレーム生成部10と、OSD重畳部134と、音声信号及び映像信号の出力先を選択するセレクタ部120と、音声処理部118からの音声信号に応じて音声を出力するスピーカ部121と、セレクタ部120に接続されて与えられた映像信号に応じた映像を液晶表示画面等に表示する表示部122と、外部装置との通信を行うインタフェース部123を有する。
【0086】
放送受信装置100は、更に、BS/CS/地上波デジタルチューナ部112及びBS/地上波アナログチューナ部113からの映像情報等を適宜記録する記憶部135と、放送信号等から電子番組情報を取得して画面表示等を行なう電子番組情報処理部136を有しており、これらは、データバスを介して制御部130に接続されている。放送受信装置100は、更に、データバスを介して制御部130に接続されユーザの操作やリモコンRの操作を受ける操作部132及び操作信号を表示する表示部133を有している。ここで、リモコンRは、放送受信装置100の本体に設けられる操作部132とほぼ同等の操作を可能とするものであり、チューナの操作等、各種設定が可能である。
【0087】
このような構成をもった放送受信装置100は、放送信号が受信アンテナからBS/CS/地上波デジタルチューナ部112等に入力され、ここで選局が行われる。選局され復調されたパケット形式の復調信号は、分離部117により、種類別のパケットに分離され、音声映像用パケットがMPEGデコーダ部116等でデコード処理されて映像音声信号となって、音声処理部118及び映像処理部119に供給される。
【0088】
映像処理部119は、与えられた映像信号について、例えば、IP変換部141によりインターレース信号をプログレッシブに変換等の画像処理を行う。更に、上述した補間フレーム生成部10により上述したように、検出困難な動きベクトルの影響を排して安定した補間画像を提供することができるものであり、処理された信号がセレクタ部120に供給される。
【0089】
セレクタ部120は、制御部130の制御信号に応じて例えば表示部122に映像信号を供給し、これにより映像信号に応じた映像が表示部122に表示される。また、音声処理部118からの音声信号に応じた音声がスピーカ部121から出力される。
【0090】
また、OSD重畳部134で生成された各種の操作情報や字幕情報等が放送信号に応じた映像信号に重畳され、映像処理部119を経てこれに応じた映像が表示部122に表示される。
【0091】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態に係る補間フレーム生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る補間フレーム生成装置のブロックマッチング処理の一例を示す説明図である。
【図3】ブロックマッチング処理時に得られる動きベクトル候補の変遷例を示す説明図である。
【図4】ブロックマッチング処理時に得られる動きベクトル候補の他の変遷例を示す説明図である。
【図5】ブロックマッチング処理を行うときの小ブロックの例を示す説明図である。
【図6】ブロックマッチング処理を行うときの大ブロックの例を示す説明図である。
【図7】ブロックマッチング処理時に得られる動きベクトル候補の他の変遷例を示す説明図である。
【図8】小ブロックと大ブロックを利用して動きベクトル候補を求める際の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】小ブロックと可変領域大ブロック及び固定領域大ブロックを利用して動きベクトル候補を求める際の動作、及び再描画指示を出す際の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9に示したフローチャートで示した小ブロック、可変領域大ブロック、及び固定領域大ブロックと、各ブロックにおける動きベクトル判定結果の説明図である。
【図11】各ブロックにおける動きベクトル判定結果の分布例と、その分布を強制的に制御した例を示す説明図である。
【図12】各ブロックにおける動きベクトルの判定結果の分布例と、判定結果A−Cに基づく画像データと再描画用の画像データとをαブレンドにより可変するときの説明図である。
【図13】各ブロックにおける動きベクトルの判定結果A−Cに基づく画像データと再描画用の画像データとをαブレンドにより可変するときに移行する状態S1、S2,S3の説明図である。
【図14】図13の各状態S1、S2,S3の移行経路を示す説明図である。
【図15】図14の状態1における補間フレーム成生装置の動作例を示すフローチャートである。
【図16】図14の状態2における補間フレーム成生装置の動作例を示すフローチャートである。
【図17】図14の状態3における補間フレーム成生装置の動作例を示すフローチャートである。
【図18】この発明の変形例を説明するために示した各ブロックの動きベクトルの分布例を示す図である。
【図19】この発明の補間フレーム成生装置が受信装置に適用された様子を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0093】
10・・・補間フレーム作成装置、11・・・フレームメモリ部、12・・・動きベクトル検出部、12a,12b,12c・・・第1、第2、第3の判定部、13・・・補間画像作成部、13a,13b・・・第1、第2の補間ブロック画像成生部、100・・・放送受信装置、112・・・BS/CS/地上波デジタルチューナ部、113・・・BS/地上波アナログチューナ部、114・・・セレクタ部、115・・・バッファ部、116・・・MPEGデコーダ部、117・・・分離部、118・・・音声処理部、119・・・映像処理部、122・・・表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力フレームの画像を用いて、前記複数の入力フレームの間に位置する新たな補間フレームの画像を作成する補間フレーム作成装置であって、
前記入力フレーム間の探索エリア内のブロックマッチング処理により、前記補間フレーム内の補間ブロックのための動きベクトル候補を検出する動きベクトル検出部と、
前記検出した動きベクトルを用いて前記補間フレーム内の各補間ブロックの画像を作成する補間画像作成部を含み、
前記動きベクトル検出部は、
サイズの異なる複数のブロックのうち小ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を判定結果とし取り出す第1の判定部と、
前記小ブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、大ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を判定結果として取り出す第2の判定部と、
前記大ブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、この大ブロックに対応した前記補間ブロックに対しては前記補間フレームより前のフレームの画像の再描画を指示する指示情報を判定結果として取り出す第3の判定部とを含み、
前記補間画像作成部は、
前記第1、第2の判定部が取り出した動きベクトル候補に基づいて、前記補間ブロックの画像を成生する第1の補間ブロック画像成生部と、
前記第3の判定部で再描画を指示する指示情報に基づいて対応する補間ブロックに再描画を行なうとともに、前記指示情報の割合が設定されたエリア内で予め設定した値より多い場合には、前記第1の補間ブロック画像成生部で生成した補間ブロックの領域に対しても、結果的に前記再描画を行う第2の補間ブロック画像成生部とを含む
ことを特徴とする補間フレーム作成装置。
【請求項2】
前記第3の判定部は、第4と第5の判定部を含み、
前記第4の判定部が用いる大ブロックは、前記小ブロックを複数集合した可変長大ブロックであり、前記第5の判定部が用いる大ブロックは、前記探索エリア内を区分した固定長大ブロックであり、
前記第4の判定部は、可変長大ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を判定結果として選択し、
前記第5の判定部は、前記可変長ブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合に、前記固定長大ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を判定結果として選択し、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、この固定長大ブロックに対応した前記補間ブロックに対しては前記補間フレームより前のフレームの画像の再描画を指示することを特徴とする請求項1記載の補間フレーム作成装置。
【請求項3】
前記第2の補間ブロック画像成生部は、
前記第1の補間ブロック画像成生部で生成した補間ブロックの領域に対して前記再描画を行う場合、前記第1補間ブロック画像成生部で作成した補間ブロックの画像と再描画用の画像との混合画像を成生することを特徴とする請求項1記載の補間フレーム作成装置。
【請求項4】
前記第2の補間ブロック画像成生部は、
前記補間ブロックの画像と再描画用の画像との混合画像に対して、混合割合をフレーム毎に可変することを特徴とする請求項3記載の補間フレーム作成装置。
【請求項5】
前記第2の補間ブロック画像成生部は、
前記補間ブロックの画像の位置に対して、前記再描画を行う場合、前記補間ブロックの画像と前記再描画用の画像との混合割合をフレーム毎に可変し、前記指示情報の割合が増加する方向では再描画の画像割合を増加させ、前記指示情報の割合が減少する方向では前記補間ブロックの画像の割合を増加させることを特徴とする請求項3記載の補間フレーム作成装置。
【請求項6】
前記探索エリア内が複数の領域に区分されており、
前記第2の補間ブロック画像成生部は、区分された複数の領域のうち、再描画を指示する判定結果の割合が予め設定した値より多い領域の補間ブロックに対して結果的に前記再描画を行うことを特徴とする請求項1記載の補間フレーム作成装置。
【請求項7】
複数の入力フレームの画像を用いて、前記複数の入力フレームの間に位置する新たな補間フレームの画像を作成するために、前記入力フレーム間の探索エリア内のブロックマッチング処理により、前記補間フレーム内の補間ブロックの動きベクトル候補を検出する動きベクトル検出部と、前記検出した動きベクトルを用いて前記補間フレームの画像を作成する補間画像作成部を用いる補間フレーム作成方法において、
前記動きベクトル検出部及び前記補間画像作成部では、
サイズの異なる複数のブロックのうち小ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を採用動きベクトルとし取り出し、
前記小ブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、大ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を採用動きベクトルとして取り出し、
前記大ブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、この大ブロックに対応した前記補間ブロックに対しては前記補間フレームより前のフレームの画像の再描画を指示する指示情報を判定結果として取り出し、
前記採用動きベクトルに基づいて前記補間ブロックの動きベクトル対応画像を成生し、
前記再描画を指示する指示情報に基づいて対応する補間ブロックに再描画を行なうとともに、前記指示情報の割合が設定されたエリア内で予め設定した値より多い場合には、前記動きベクトル対応画像の位置に対しても、結果的に前記再描画を行うことを特徴とする補間フレーム作成方法。
【請求項8】
前記動きベクトル対応画像の位置に対して、前記再描画を行う場合、前記動きベクトル対応画像と前記再描画用の画像との混合割合がフレーム毎に可変されることを特徴とする請求項7記載の補間フレーム作成方法。
【請求項9】
前記動きベクトル対応画像の位置に対して、前記再描画を行う場合、前記動きベクトル対応画像と前記再描画用の画像との混合割合がフレーム毎に可変され、前記指示情報の割合が増加する方向では再描画の画像割合が増加し、前記指示情報の割合が減少する方向では前記動きベクトル対応画像の割合が増加することを特徴とする請求項7記載の補間フレーム作成方法。
【請求項10】
放送信号を選局するチューナ部と、前記チューナ部からの放送信号をデコードして映像信号を出力するデコーダ部と、前記デコーダ部から出力される複数の入力フレームの間に位置する新たな補間フレームの画像を作成する補間フレーム作成装置と、前記補間フレーム作成装置からの前記補間フレームの画像が挿入された連続フレーム画像に基づいて、映像を画面表示する表示部と、を有し、
前記補間フレーム作成装置は、
前記入力フレーム間の探索エリア内のブロックマッチング処理により、前記補間フレーム内の補間ブロックの動きベクトル候補を検出するフレーム内の画像の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、前記検出した動きベクトルを用いて前記補間フレームの画像を作成する補間画像作成部を含み、
前記動きベクトル検出部は、
サイズの異なる複数のブロックのうち小ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を判定結果とし取り出す第1の判定部と、
前記小さいブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、大ブロックを用いて動きベクトル候補を検出し、動きベクトル候補が1つのみ検出された場合には、該動きベクトル候補を判定結果として取り出す第2の判定部と、
前記大ブロックを用いたブロックマッチング処理において、前記動きベクトル候補が複数検出された場合には、この大ブロックに対応した前記補間ブロックに対しては前記補間フレームより前のフレームの画像の再描画を指示する指示情報を判定結果として取り出す第3の判定部とを含み、
前記補間画像作成部は、
前記第1、第2の判定部が取り出した動きベクトル候補に基づいて、前記補間ブロックの画像を成生する第1の補間ブロック画像成生部と、
前記第3の判定部で再描画を指示する指示情報に基づいて対応する補間ブロックに再描画を行なうとともに、前記指示情報の割合が設定されたエリア内で予め設定した値より多い場合には、前記第1の補間ブロック画像成生部で生成した補間ブロックの領域に対しても、結果的に前記再描画を行う第2の補間ブロック画像成生部とを含むことを特徴とする放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−290803(P2009−290803A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143885(P2008−143885)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】