説明

製品ディスペンサ

1回の回転移動操作により、製品を接着アタッチメントから解放しかつディスペンサの内部から外部に移送できる製品ディスペンサを提供する。ディスペンサは、製品プラットフォームと、ストリップに接着された製品と、ベースとを有している。製品プラットフォームは、上面と、下面と、プラットフォームを貫通する開口とを有している。接着ストリップは2つの主面を有し、一方の主面には接着剤が存在せず、他方の主面の少なくとも一部には接着剤が設けられている。ベースは、上面と、下面と、ベースを貫通する開口とを有している。製品は、ストリップが製品プラットフォーム開口を通って移動するときに、接着ストリップから分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば補聴器に使用される亜鉛/空気セルを含む極小電池等の製品を収容かつ小出し(dispensing)するディスペンサに関する。本明細書で使用するとき、「電池(battery)」とは、1つ以上のセルを意味する。
【背景技術】
【0002】
極小電池は、そのサイズが小さいため取扱いが困難である。パッケージングから電池を取出し、電池を適正な方向で器具に挿入し、空気セルの場合には、セルに付着された何らかの個々のタブを使用前に除去するには、一般に、極小電池を直接物理的に取扱う必要がある。亜鉛/空気セルのような金属/空気セルには、通常、タブが付着される。タブは、セルハウジング内(カソード缶と呼ばれているものでは、セルの下面)に設けられた開口を覆うことにより、セルが使用されるときまで、セル内に酸素が侵入することを制限する。タブはまた、セル内へのまたはセルからの水蒸気の出入りを制限すべく機能し、かつセル内への二酸化炭素の侵入を制限する。一般に、タブは、1つ以上の上記開口または空気ポートを覆う接着剤を有している。タブを除去すると、ポートが周囲の酸素に露出され、これによりセルが活性化されて、補聴器等の器具に使用される。上記態様の極小電池を取扱うことのチャレンジは、手先の器用さを欠く使用者、視覚障害または他の肉体的疾患をもつ使用者の場合には一層困難になる。
【0003】
従来技術において、これらの問題点の幾つかに対処する努力が見られる。例えば米国特許第6,039,185号明細書(特許文献1)には、補聴器電池を補聴器内に挿入する器具が開示されている。この器具は、一体結合されたいわゆる「ペタル(petal)」を有し、該ペタルは、空気セルを各ペタル上に載せる多ペタル構造を形成している。個々のセルにはタブが付着されており、次に各タブがペタルに接着される。セルは、多ペタル構造体を掴むことにより、及び、セルがドア内に係合できるように補聴器電池のドアに近接させて適当なペタルを持上げることにより、補聴器内に挿入される。次にセルは、ペタルに接着されたタブを残したままにして、ワイピング運動により挿入器から分離される。上記特許文献1に開示されているように、セルをその関連タブおよび挿入器から分離する方法は、補聴器に応力を加え、補聴器にダメージを与える可能性がある。
【0004】
極小亜鉛/空気セルの一般的なパッケージングには、他の問題がある。例えば米国特許第4,593,700号明細書(特許文献2)には、極小亜鉛/空気セルの一般的なパッケージングが開示されている。この特許文献2に開示されたパッケージングは、厚紙カードに対して回転可能に取付けられた、熱成形または型成形されたブリスター(blister)からなる。ブリスターは多くの隔室を有し、各隔室は個々にタブが付着されたセルすなわち電池を収容している。電池は、ブリスターを回転させて、装填隔室と、カードの後方からアクセスできるトラップドアとを整合させることにより、パッケージから小出しされる。この小出し設計には、幾つかの欠点が付随している。例えば、トラップドアが搬送中に開いて、電池が落下してしまう。また多数回使用すると、トラップドアが弱くなって、機能しなくなる。また、ダイヤルのベースがカードから分離すなわち引き千切られて、電池が落下してしまう。最後に、使用者は、タブを除去し、器具のターミナルに対してセルを適正に配向し、電池がパッケージから取出された後に器具内にセルを挿入するためには、依然として電池を取扱わなくてはならない。
【0005】
或る使用者は、極小電池を器具内に装填するときに使用者を補助する別のツールを使用する。例えばこの目的のために、細長棒の一端に磁石が取付けられた器具が使用されている。ツールは置き違え易くかつ一般的な亜鉛/空気セルに付着される個々のタブの除去を補助するには殆ど役立たない。
【0006】
セルを収容し、セルをパッケージから小出しし、セルからタブを除去しかつセルを器具内に挿入する必要性に対処するための1つのアプローチが開発されている。このアプローチは本件出願人の所有に係る米国特許出願第09/658,201号明細書(特許文献3)、米国特許出願第09/764,579号明細書(特許文献4)、米国特許出願第09/837,046号明細書(特許文献5)に開示されており、これらの特許文献3〜5の全開示は本願に援用する。概略的にいえば、これらの特許文献3〜5のアプローチは、セルまたは他の製品を収容し、これらを一体ランディング上に小出し、かつこれらを器具内またはこれらが使用される他の場所に直接置く機能を有するディスペンサを提供するものである。このアプローチに開示されたディスペンサは、セルまたは付着タブを物理的に取扱う必要なくして、器具内に挿入する前にセルからタブを除去するものであり、従って、極小空気セルを補聴器等の電源として使用する際の容易性を顕著に向上させる。しかしながら、このアプローチのディスペンサは、セルまたは他の製品をランディング上に小出しするのに2つの別個の操作を必要とする。すなわち、セルを小出し位置に整合させるのに、ベースとカバーとを相対回転させなくてはならず、かつセルを除去して該セルをディスペンサの内部からランディング上に移送するのに、サムピース(thumbpiece)を操作しなくてはならない。
【0007】
ピル等の錠剤、キャンディ等の食品、ねじ等の部品(但しこれらに限定されない)を含む他の小型製品の取扱いは、これらのサイズが小さいため、特に手先が器用でない使用者、視覚その他の肉体的疾患のある使用者にとっては等しく困難である。本発明は極小セル、より詳しくは極小亜鉛/空気セルに関連して例示するが、本発明は、上記他の小型製品の搬送、貯蔵および小出しに関連して使用することもできる。本明細書で使用する用語「製品」は、極小セルまたは電池に限定されるものではなく、上記のような他の小型製品を全て含むものである。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,039,185号明細書
【特許文献2】米国特許第4,593,700号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/658,201号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/764,579号明細書
【特許文献5】米国特許出願第09/837,046号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の第一目的は、製品を収容しかつ搬送する構造的パッケージ、パッケージから製品を取出すディスペンサ、および製品を操作しかつ器具または他の目的使用場所内に配向する挿入器として機能する、多くの別個のディスペンサ操作を必要としない製品ディスペンサを提供することにある。
また本発明の目的は、器具または他の目的使用場所内に製品を挿入する前に製品を取扱う必要が全くない製品ディスペンサを提供することにある。
更に本発明の目的は、亜鉛/空気セルのような金属/空気セルの場合に、タブ材料の直接取扱いを不要にする製品ディスペンサを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、器具内への挿入前、挿入中または挿入後に、使用者がセルまたはタブ材料を取扱う必要がなく、空気セルの活性(タブ除去による)および小出しの両方を行う製品ディスペンサを提供することにある。
本発明の他の目的は、目的使用のための挿入または配置を行うべく製品を取扱いかつ配向するための別途ツールを必要としない製品ディスペンサを提供することにある。
本発明の他の目的は、ディスペンサからの意図しない小出しを防止できる製品ディスペンサを提供することにある。
本発明の他の目的は、このような製品ディスペンサ用の補充カートリッジを提供することにある。
本発明の他の目的は、使用済みカートリッジの除去後に、使用者が補充カートリッジを取付けることを任意に行い得る製品ディスペンサを提供することにある。
本発明の他の目的は、廃棄または材料回収目的で、使用者が使用済み製品を貯蔵できる製品ディスペンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、極小電池等の製品の貯蔵および小出しを行うための容易に使用できる製品ディスペンサを提供する。本発明のディスペンサは、小出しプロセス中または製品の目的使用のための製品の挿入または配置プロセス中の任意の時点で製品を取扱う必要性を無くすことができる。本発明のディスペンサは、1回の操作器具でこの結果を達成する。本発明のディスペンサは、該ディスペンサの1回操作により、製品を小出し位置に配向し、製品をディスペンサの内部から外部に移送し、亜鉛/空気セル製品の場合には製品のタブを除去しかつディスペンサの外部に製品を着脱可能に保持して、直接製品に触れることなく製品の最終配置を容易にする。
【0012】
この長所および他の長所を達成するため、および本明細書で具現されかつ説明された目的に従って、本発明は、製品プラットフォームと、接着ストリップと、ベースとを有する製品ディスペンサを提供する。製品プラットフォームは、上面と、下面と、プラットフォームを貫通する開口とを備えている。接着ストリップは2つの主面を有し、一方の主面には接着剤がなく、他方の主面の少なくとも一部には接着剤が付着されている。ベースは、上面と、下面と、ベースを貫通する開口とを有している。接着ストリップは、製品プラットフォームの開口およびベースの開口の両方に挿通され、ストリップの一端がベースの下面に取付け(貼り付け)られる。製品プラットフォームおよびベースは、製品プラットフォームの下面とベースの上面とが対面するようにして、共通軸線の回りで相対回転できるように一体に嵌合される。接着ストリップは、該ストリップの非接着面が製品プラットフォームの上面と接触するようにして配置される。例えば亜鉛/空気セルのような製品は、ストリップの接着面に接着剤により取付け(貼り付け)られる。亜鉛/空気セルの場合には、接着ストリップは、セルが付勢および使用のためにタブの除去準備が整うまで、タブとして機能する。ベースまたは製品プラットフォーム間に相対移動を生じさせるためにベースまたは製品プラットフォームの一方を回転させると、接着ストリップが製品プラットフォームの開口を通って移動するので、製品は、製品プラットフォームの開口に向かって前進される。ストリップは製品プラットフォームの開口を通って移動するのに対して、製品は反対の移動経路に従動するため、製品は接着ストリップから分離される。接着ストリップから分離した後は、製品は、ディスペンサの内部から外部へと移送される。
【0013】
好ましい実施形態ではディスペンサカバーも設けられ、該カバーは、貯蔵および搬送中に製品を保護する補助をなし、かつ製品小出し位置に製品を位置決めすることおよび製品をディスペンサの内部から外部に移送することを容易にする。この実施形態では、ディスペンサの外部で製品を着脱可能に保持し、使用者が、器具内への最終挿入または他の目的使用のために製品を配向する間に、製品自体ではなく、より大型でかつ操作し易いディスペンサをグリップすることを可能にする。
【0014】
他の実施形態では、ベースの底面には、廃棄または材料回収を目的として使用済み製品を貯蔵する貯蔵領域が設けられている。ディスペンサ全体は、材料回収のために処理されるか、さもなくばリサイクルされる。カバーとベースとが分離可能であれば、ベースのみを処理して材料を回収するか、さもなくばリサイクルできる。
他の実施形態では、カバーは半透明材料で作られ、ベースまたはカバーまたはこれらの両方は、サイズのような種々の製品特性を表示すべくカラーコード化できる。
他の実施形態では、カバーは更に、製品プラットフォームに対するベースの回転を制御するハンドルを有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の上記および他の目的は、以下の説明および添付図面から完全に明らかになるであろう。
本発明の上記および他の特徴、長所および目的は、明細書の以下の記載、特許請求の範囲の記載および添付図面を参照することにより、当業者には更に明瞭に理解されよう。
添付図面に示しかつ明細書で以下に説明する特定実施形態は、特許請求の範囲に記載の本発明の概念を示す簡単な例示実施形態である。従って、本願に開示する特定実施形態に関する特定寸法および物理的特徴は、特許請求の範囲に記載されたものでない限り、限定的なものであると考えてはならない。
【0016】
本発明のディスペンサ10の好ましい実施形態は、製品プラットフォーム14と、接着ストリップ16と、内部ベース18とを有している。接着ストリップ16は、2つの対向主面20、22を有している。一方の面20は接着面であり、該面20上に、本願で亜鉛/空気セルとして例示する製品24が貼り付け(affix)られる。他方のストリップ面22には、接着剤が存在しない。ストリップ16は、製品プラットフォーム14の周囲形状に一致するように形成されている。図示のように、製品プラットフォームは円形であり、接着ストリップ16は、製品プラットフォーム14の周囲の主要部の回りにストリップを位置決めできるように形成されている。ストリップ16は、この面22が製品プラットフォーム14に対面するようにして、製品プラットフォーム14の上面上に置かれる。従ってストリップ16は、製品プラットフォーム14の上面に接着されることはなく、ストリップ16と製品プラットフォーム14との間の相対移動が可能である。
【0017】
接着ストリップ16の先端部26(本明細書では、小出しすべき最初のセルに最も近い端部をいう)は、製品プラットフォーム14の開口28に挿通される。製品プラットフォーム14と接着ストリップ16との組立体は、製品プラットフォーム14と内部ベース18との間に相対移動を可能にする態様で、共通回転軸線の回りで内部ベース18に結合される。ストリップ16の先端部26はまた、内部ベース18の開口30を通って供給される。ストリップ26の先端部26は、内部ベース18の下面に常に貼り付けられる。
【0018】
製品24が貼り付けられたストリップ16と、製品プラットフォーム14と、内部ベース18とのこの組立体は、製品を接着ストリップから解放(リリース)でき、従って、単一操作で製品を小出しする。ここで、より詳細に説明すると、ストリップ16の先端部26に最も近い製品24が開口28に出合うように、内部ベース18に対して製品プラットフォーム14を回転(または、逆に、製品プラットフォーム14に対して内部ベース18を回転)させることにより、製品24がストリップ16の接着面20から解放される。
【0019】
好ましい実施形態では、製品プラットフォーム14と、ストリップ16と、製品24と、内部ベース18との組立体は、次に、外部ベース32内に配置される。外部ベース32は、ディスペンサ10をグリップしかつ製品プラットフォーム14と内部ベース18との間に相対移動させる便利な構造を与える機能を有している。製品プラットフォーム14および外部ベース32は、これらが一体的に移動するように結合される。例えば、外部ベース32には、製品プラットフォーム14の凸部36が嵌合する1つ以上の内部凹部34を設けることができる。これにより、製品プラットフォーム14および外部ベース32は、内部ベース18に対して同じ相対移動を受ける。任意であるが、外部ベース32には、ディスペンサのグリップ、作動および操作が容易に行えるようにするため、外周部に沿って凹部を設けることができる。
【0020】
外部ベース32、製品プラットフォーム14および内部ベース18に適した材料として、当業者に知られている型成形可能な耐久性ポリマー材料がある。接着ストリップ16は、貯蔵および輸送中に、製品を、ディスペンサ内で、ストリップ上の所定位置に保持するのに適した任意の接着材料で形成できる。亜鉛/空気セル28の場合には、接着ストリップ16は、亜鉛/空気セルの製造に使用されている適当なタブ材料が好ましい。適当な接着剤の選択は、接着ストリップに接着される製品の特性および製品に予想される貯蔵、取扱いおよび輸送の経験により少なくとも一部が決定されることは理解されよう。
【0021】
好ましい実施形態では、ディスペンサは更にカバー12を有している。カバー12は、該カバーの内部天井から延びている壁40により形成された1つ以上の製品チャンバ38を有している。カバー12が、接着ストリップ16および製品24が所定位置に配置された製品プラットフォーム14上に置かれると、小出しすべき各製品が、1つの製品チャンバ38内に入ることは理解されよう。カバー12および内部ベース18は、これらが一緒に移動するように結合される。例えば、カバー12には、内部ベース18に設けられた協働キー孔44内に嵌合される突出キー42を設けることができる。これにより、カバー12および内部ベース18は、製品プラットフォーム14および外部ベース32に対して同じ相対移動を受ける。
【0022】
カバーに適した材料として、当業者に知られている、耐久性のある任意の型成形可能なポリマー材料がある。カバーの少なくとも一部は透明に形成して、ディスペンサ内に収容された製品を使用者が見ることができるようにするのが好ましい。
【0023】
製品プラットフォーム14および外部ベース32に対してカバー12および内部ベース18を回転させる間に、製品24は、製品プラットフォーム14の開口28に出合う。ストリップ16は開口28を通って、製品24から剥離される。この剥離作用は、ストリップ16が開口28を通るときにストリップの移動経路を反転させることにより起こり、これによりストリップは、開口28の近位側縁部58上の位置から、該近位側縁部58の周囲を通り、開口28の近位側縁部58の下の位置へと移動する。図7Aには、丁度解放されたばかりの製品24A、解放すべき製品24B、およびストリップ16の移動経路が示されている。
【0024】
ひとたび製品24がストリップ16から解放されると、製品は、ディスペンサの内部から外部へと移送することにより、小出しで製品を入手できるようになる。上記連続回転により、解放された製品が、製品チャンバ壁40に出合うようにされる。チャンバ壁40は、解放された製品24を、相対回転移動中に、製品プラットフォーム14上の所定の製品小出し位置46に向けて移動させるように構成されることは理解されよう。チャンバ壁40の形状は、一部は、小出しすべき製品に基いて、並びに、接着ストリップから解放された接着ストリップから解放された後に製品が移動すべき距離に基いて変えることができる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、製品プラットフォーム14は更に製品ガイド48および移送ランディング50を有し、外部ベース32は外部ランディング52を有している。上記1回の相対回転移動により、接着ストリップ16から解放すべき製品24が、製品小出し位置46から移送ランディング50上に移動され、かつ移送ランディング50から外部ランディング52上に移動され、これにより、製品がディスペンサの内部から外部に移送される。製品ガイド48は、チャンバ壁40と協働して、解放された製品を適当な位置に移動させる。移送ランディング50は製品プラットフォーム14と一体であるのが好ましく、かつ外部ベース32の側壁の開口を通って突出し、これにより、製品プラットフォーム14と外部ベース32との間の相対移動を更に防止する。
【0026】
外部ランディング52には、磁石部品54を固定するのが好ましい。磁石部品54は、使用者が器具内での最終配置または他の配置のために製品を配向する間に、亜鉛/空気電池等の金属製品をランディング52上でコントロールしかつ着脱可能に保持する補助を行う。或いは、当業者には明白であろうが、製品によっては、製品をランディング52上でコントロールしかつ着脱可能に保持するのに、面ファスナ(velcro)または接着剤等の他の面または材料を使用できる。これらの他の面または材料は、ランディング52の全体をこれらの表または材料で形成するか、接着剤または他の固定方法によりランディング52に固定することもできる。また、磁石部品54は平坦形状または他の形状にすることができるし、ランディングから露出させることも、ランディング内に埋設することもできる。製品の使用および配置に余裕がある場合には、ランディング52の遠位端にストップ壁(図示せず)を更に設けて、製品がディスペンサの内部からランディング52上に移送されるときに製品の前進移動をコントロールするように構成できる。
【0027】
また、非金属製品のランディング52上での着脱可能な保持は、ランディング52の上方に延びかつ製品24に対して下向きの圧力を加える張出し挟み部(pincher:図示せず)を設けるか、製品24がランディング上に小出しされたときに製品と干渉する挟み部(図示せず)をランディング自体に設けることにより達成できる。
【0028】
任意であるが、従来技術で知られているように、本発明の範囲内で、割出し位置をディスペンサの設計に採用することができる。このような割出し位置は、接着ストリップから製品を解放しかつ製品をディスペンサの内部から外部に移送するのに充分な所要回転の機械的停止位置を使用者に与える。任意であるが、ベースの下面には、使用済み製品を貯蔵しておくための貯蔵隔室(図示せず)を設けることができる。
【0029】
本発明のこの実施形態の他の態様では、全ての製品24が完全に小出しされたならば、製品プラットフォーム14と、ストリップ16と、内部ベース18とからなる組立体の全部または一部を廃棄することにより、ディスペンサを再使用することができる。元のカバー12および外部ベース32に使用するための、小出しすべき新しい製品を備えた、製品プラットフォームと、ストリップと、内部ベースと、製品とからなる予め組立てられた組立体をなす補充キットが提供される。
【0030】
本発明のディスペンサを使用する他の方法では、接着ストリップが製品24から剥離されない。製品は、接着ストリップから剥離されるのではなく、掻き取られる。この方法では、一方のカバー12及び内部ベース18と、他方の製品プラットフォーム14及び外部ベース32との相対回転移動が反対方向に続けられ、このため、製品プラットフォームの開口28を通るときのストリップ16の移動経路は、開口28を通る前のストリップの移動経路と同じである。かくして、回転移動によりストリップが開口28を通るときに、開口28の前縁部56がストリップ16と製品24との間に入り込む。前述の剥離解放メカニズムとは異なり、ストリップ16は、開口28の近位側縁部58の回りおよび下面を通るのではなく、近位側縁部58の上面の位置から、遠位側縁部56の下面の位置へと移動する。図7Bには、解放された直後の製品24A、解放すべき製品24B、およびストリップ16の移動経路が示されている。
【0031】
以上、本発明の幾つかの実施形態のみを説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく多くの変更を行うことができる。本明細書は、これらの変更が特許請求の範囲またはこの均等物に含まれるものである限り、これらの変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるディスペンサを示す斜視図である。
【図2】本発明によるディスペンサの製品プラットフォームを示す斜視図である。
【図3】本発明によるディスペンサのベースを示す斜視図である。
【図4】本発明によるディスペンサの外部ベースを示す斜視図である。
【図5A】本発明によるディスペンサのカバーを示す斜視図である。
【図5B】図5Aのカバーの底面図である。
【図6】本発明によるディスペンサを示す分解図である。
【図7A】本発明の一態様による製品プラットフォームおよび接着ストリップを示す断面図である。
【図7B】本発明の他の態様による製品プラットフォームおよび接着ストリップを示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を搬送し収容しかつ小出しするディスペンサにおいて、
貫通開口を備えた製品プラットフォームと、
先端部および2つの主面を備えそれらの2つの主面のうちの一方の主面の少なくとも一部に接着剤が設けられた接着ストリップと、
貫通開口を備えたベースと、を有し、
前記接着ストリップの先端部は、製品プラットフォームの前記開口および前記ベースの開口を通って前記ベースに取付けられることを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
前記製品プラットフォームおよび前記ベースは、共通軸線の回りで相対回転することを特徴とする請求項1記載のディスペンサ。
【請求項3】
側壁を備えた外部ベースを更に有し、該外部ベースは、前記製品プラットフォームと一緒に回転するように前記製品プラットフォームに連結されることを特徴とする請求項2記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記側壁は開口を有していることを特徴とする請求項3記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記外部ベースは、前記側壁の開口に隣接する外部ランディングを更に有していることを特徴とする請求項4記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記外部ランディングは、磁石を更に有していることを特徴とする請求項5記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記外部ランディングは1つ以上の挟み部を更に有し、該挟み部は、小出しされた製品との間に干渉をつくることを特徴とする請求項5記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記製品は、1つ以上の極小亜鉛/空気セルであることを特徴とする請求項6記載のディスペンサ。
【請求項9】
カバーを更に有することを特徴とする請求項5記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記カバーは、製品チャンバを更に有していることを特徴とする請求項9記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記製品プラットフォームは、製品ガイドを更に有していることを特徴とする請求項10記載のディスペンサ。
【請求項12】
製品ディスペンサから製品を小出しする方法において、
製品プラットフォームと、第一端部および第二端部を備えた接着ストリップに接着された製品と、内部ベースとを設ける段階と、前記プラットフォームおよび前記ベースに開口を設ける段階と、前記ストリップの第一端部を前記プラットフォームの開口および前記ベースの開口に挿通しかつ第一端部を前記ベースに固定する段階と、製品が取付けられたストリップを製品プラットフォームの一表面上に配置する段階と、前記プラットフォームおよび前記ベースが共通軸線の回りで相対回転できるように前記プラットフォームと前記ベースとを結合する段階と、前記製品が前記接着ストリップから解放されるまで、前記ベースに対して前記プラットフォームを回転させる段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記製品は、前記接着ストリップから製品を剥離することにより接着ストリップから解放されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記製品は、該製品と前記接着ストリップとの間に一縁部を入り込ませることにより前記接着ストリップから解放させることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記製品プラットフォームと一緒に移動できるように前記製品プラットフォームに結合される外部ベースを設ける段階を更に有し、前記ベースは、側壁と、該側壁の開口と、該開口に隣接する外部ランディングとを更に有していることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記ストリップから解放された製品を前記ディスペンサの内部から前記外部ランディング上に移動させるための1つ以上の製品チャンバを備えたカバーを設ける段階を更に有することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記製品プラットフォームと一緒に移動できるように前記製品プラットフォームに結合される外部ベースを設ける段階を更に有し、前記ベースは、側壁と、該側壁の開口と、該開口に隣接する外部ランディングとを更に有していることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記ストリップから解放された製品を前記ディスペンサの内部から前記外部ランディング上に移動させるための1つ以上の製品チャンバを備えたカバーを設ける段階を更に有することを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
製品プラットフォームと、第一端部および第二端部を備えた接着ストリップに接着された製品と、内部ベースとを有し、前記プラットフォームおよび前記ベースの各々は開口を備え、前記ストリップは前記開口に挿通されかつ前記ストリップの第一端部は前記ベースに取付けられ、製品が取付けられた前記ストリップは前記製品プラットフォームの一表面上に配置され、前記プラットフォームおよび前記ベースが共通軸線の回りで相対回転できるように前記プラットフォームと前記ベースとが結合されることを特徴とする製品ディスペンサ用の補充キット。
【請求項20】
前記製品は、極小亜鉛/空気セルであることを特徴とする請求項19記載の補充キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−513931(P2006−513931A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566579(P2004−566579)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/040671
【国際公開番号】WO2004/064179
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
VELCRO
【出願人】(504288351)エヴァレディ・バッテリー・カンパニー・インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】