説明

製品及び方法

洗浄製品(1)は、洗浄剤(5)を充填し且つワイプが水にさらされるときに熱を生じる発熱剤(4)を充填したワイプの形の基体(2)から構成される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、無生物物体の表面を洗浄するのに使用し得る、基体、例えば、ワイプを含む洗浄製品に関する。
多くの洗浄作業は、冷水を用いて行われ、温水で行われる同様の操作と比較して性能は満足なものではない。一般に温度が各々10℃上昇した場合、化学的又は物理的洗浄操作の速度はほぼ2倍になることが知られている。更に、使用者に対する暖かさの感覚が効果的に洗浄するという安心を与える。しかしながら、洗浄時に温水源に近付くことは必ずしも可能でない。洗浄作業用熱源を与えるために発熱剤を含む洗浄製品を提供することが試みられてきた。しかしながら、そのような洗浄製品は構成が比較的複雑であった。例えば、断裂可能なポーチを使うものであり、コストに追加され、多くの洗浄作業のための適合性を減少させてしまう。従って、本発明は、使用中に、熱を生じる能力を有する簡単な構成の洗浄製品を提供することを目的とする。
本発明の第1態様によれば、洗浄剤と発熱剤を充填した基体を含む洗浄製品であって、洗浄製品が無生物物体の表面を洗浄するのに適応されており、発熱剤が水にさらされたときに熱を生じる、前記洗浄製品が提供される。
“洗浄剤を充填し且つ発熱剤を充填した基体”とは、それらの薬剤が基体の表面に適用され及び/又は基体の中に捕捉されることを意味する。例えば、基体はそれらの薬剤によって含浸されてもよい。従って、洗浄剤と発熱剤は、製造された洗浄製品が、前記薬剤が周囲環境と流体接触している状態、即ち、気体、蒸気又は液体によってその状態にあるように、洗浄剤と発熱剤が基体と接触している気体、蒸気又は液体の形で直ちに水に利用できるように配置されている。
それ故、使用者は、発熱の引き金となるいかなる特別な手段もとる必要がない。例えば、発熱剤を含有するポーチを断裂させる必要がない。水との単なる接触 - 例えば、浸漬による - は、発熱の引き金となるのに必要とされる唯一の工程である。
同様に、好ましくは、使用者は、洗浄剤を提供するか又は放出する、例えば、そのポーチを断裂させるいかなる特別な手段をとる必要がない。好ましくは、水との単なる接触−例えば、浸漬による−は、洗浄剤を提供するか又は放出するのに必要とされる唯一の工程である。
【0002】
使用の際、洗浄製品が水と接触し、次に、物体の標的面が洗浄製品と接触し、典型的には、表面全体に拭かれる。それによって洗浄製品が表面を洗浄する。
適切には、洗浄製品は、洗浄作業において製品を使うことが望まれるようなときまで実質的に密封してシールされた環境の中に入っている。洗浄製品は、実質的にシールされる容器において使用前に適切にシールされる。好ましくは、防水で気密になる。従って、発熱剤の早すぎる活性化を実質的に避けることができる。
液体又は蒸気の形であってもよい水にさらされるときに熱を生じるように発熱剤が配置される。好ましくは、液体水にさらされるときに熱を生じるように発熱剤が配置される。適切には、所望される場合に液体水が発熱剤に容易に接触することができるように発熱剤を基体に充填する。
熱が生じる量は、用いられる薬剤、水に対する利用しやすさ、洗浄製品のサイズと種類、水源と水量に従って異なる。各々の変数の限界を簡単な経験的試験によって発見すること、及びとにかく有効温度の増加を生じる基体を設計することは当業者の能力の範囲内である。
温度は、洗浄製品を水と最初に接触させた直後にポリスチレン容器スリーブによって熱損失から遮断され且つ遮断されたリッドを有する適切な大きさを示したガラスビーカーに入れることによって簡単に測定することができる。温度計は遮断されたリッドを通して定位置に保持されることができ、温度計の先端は洗浄製品と密接に接触して保持される。
適切には、一体の水に短時間に浸漬し及び/又は短時間流水下に置いて熱発生を開始させることができるように洗浄製品が配置される。適切には、使用者に知覚できる量だけ温度が上昇するがいかなる特別な予防措置もとらずに洗浄製品を保持するために使用者が安全である温度を超えないように水と接触した洗浄製品が配置される。適切には、温度上昇は洗浄製品が物体の表面を洗浄する効率を改善する。適切には、洗浄製品の温度上昇は、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも3℃、より好ましくは少なくとも5℃で、最も好ましくは8℃である。適切には、洗浄製品の最高温度は、55℃を超えず、好ましくは50℃を超えない。最も好ましくは、45℃を超えない。適切には、洗浄製品の温度上昇は、30℃を超えず、好ましくは20℃を超えない。
【0003】
適切には、一体の液体水に浸漬したときに熱発生が開始するように洗浄製品が配置される。適切には、20℃の周囲温度である2リットルの容積を有する一体の水における浸漬時に少なくとも1℃、好ましくは少なくとも3℃のその温度上昇を引き起こすように洗浄製品が配置される。適切に、温度増加は40℃を超えず、好ましくは20℃を超えない。
適切には、その温度が、上昇した温度 - 好ましくは上記定義において明示された温度 - で少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、より好ましくは少なくとも20分間、例えば、30分間以上保たれるように浸漬されている洗浄製品及び/又は水が配置される。例えば、1好適実施態様においては、水がしみ込むが水に浸されてなく水がたれないように軽く絞られた洗浄製品は、少なくとも5℃の温度上昇を経験し、少なくとも10分間続く。
洗浄製品は、好ましくは、実質的に“線条がない”(目に見える付着物、例えば、しみがない)洗浄された物体を残すことが行われる洗浄作業を可能にする。
適切には、発熱剤が基体に付着したままであり且つ洗浄作業の間、物体に付着しないように、基体が発熱剤を有する。
適切には、洗浄製品は、洗浄製品によって残された残渣 - 特に発熱剤 - を除去するために洗浄された物体を続いてすすぐことを必要とせずに一段階洗浄工程において使うことができる。従って、適切には、発熱剤と洗浄剤を遊離せず、好ましくは、線条又は他の目に見える付着物を残さないタイプのものである。
発熱剤による熱の発生は、多くの化学的又は物理的工程のいずれかによる、例えば、水との発熱化学反応によるか又は物理化学的工程による、例えば、水和(水和熱)によるものであり得る。
好ましくは、発熱剤は水にほとんど溶解しない。“ほとんど水に溶解しない”とは、45℃において20mlの水に溶解するのが0.1g未満であることを意味する。好ましくは、発熱剤は、それ自体ではほとんど水に溶解せず、それは好ましいことであり、又は、直接又は間接的に、洗浄製品に結合することによって水にほとんど溶解しなくなる。
物理化学的工程を含む熱生成のためにの適切な発熱剤としては、水にさらされた際に熱を生じる脱水塩又は鉱物が含まれる。好ましい発熱剤は、脱水塩、鉱物又はそれらの混合物であり、アルミノケイ酸塩、例えば、ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、クレーが含まれる。“脱水”という用語は、部分的に水和されるが水和時に熱を生じることができる物質を含んでいる。
【0004】
好ましくは、塩又は鉱物は、直径約0.1-100ミクロンの粒径を有する。
本明細書に有用な好ましい合成アルミノケイ酸塩は、呼称ゼオライトA、ゼオライトP、ゼオライトXとして入手できる。方沸石、菱沸石、輝沸石、束沸石、鉄カンラン石、ソーダ沸石、ソムソン沸石を含む天然ゼオライトも用いることができる。特に好ましい実施態様においては、下記式の結晶アルミノケイ酸塩材料である。
Na12[(AlO2)12(SiO2)12]. xH2O
(式中、xは、約20から約30まで、特に約27である。)この材料はゼオライトAとして知られている。脱水ゼオライトは x = 0-10である。
下記一般式を有するアルカリ金属(好ましくはナトリウム)アルミノケイ酸塩も好ましい。
0.8-1.5 Na2O . Al2O3 . 0.8-6 SiO2
上記の式の範囲内の好ましいアルミノケイ酸ナトリウムは、1.5-3.0 SiO2単位を有する。非晶質と結晶質の両アルミノケイ酸塩は、文献に詳しく記載されるように、ケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウム間の反応によって調製することができる。
アルミノケイ酸ナトリウムは、例えば、英国特許第1429143号(Procter & Gamble)に記載されている。この種類の好ましいアルミノケイ酸ナトリウムは、周知の市販のゼオライトA及及びゼオライトX、並びにそれらの混合物である。欧州特許第384070号(Unilever)に記載されるゼオライトPも興味深い。
他の種類の化合物は、米国特許出願第4820439号及び欧州特許出願第551375号に開示されるような層をなしたケイ酸ナトリウムである。
下記一般式の層化結晶質ケイ酸ナトリウムであるこれらの材料は、米国特許出願第4820439号に定義されている。
NaMSixO2x+1 . YH2O
(式中、Mは、ナトリウム又は水素であり、xは1.9から4まであり、Yは0から15まである。)
このような材料の調製を記載している参考文献としては、lastechn. Ber. 37,194-200 (1964), Zeitschrift fur Kristallogr. 129, 396-404 (1969), Bull. Soc. Franc. Min. Crist., 95, 371-382 (1972) and Amer. Mineral, 62, 763-771 (1977)が含まれる。亜鉛塩又は上記のケイ酸塩のいずれかとイオン交換される他のあらゆる塩も含まれる。
【0005】
基体は、洗浄剤と発熱剤を充填することができるあらゆる材料であってもよく、構造が多孔質、吸収性及び/又は繊維状であってもよい。基体は、好ましくは、シート材料、好ましくは繊維状シート材料を含んでいる。シート材料は、繊維状ウェブ又はマットを含むことができる。
好ましくは、洗浄製品の基体は、布又はスポンジを含む。適切な布としては、一般にワイプと呼ばれる薄い布を含むことができる。
基体は、原則として織られたシートであり得るが、好ましくは不織である。適切な不織シート材料としては、溶融吹込み、コホーム、エアレイド、ボンデッドカードウェブ材料、ハイドロエンタングルメント材料及びそれらの組合わせが含まれてもよい。
適切なシート材料としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、(例えば、レーヨン、ビスコース)、ナイロン、又はその混合物が含まれてもよい。或いは、シート材料としては、例えば、天然繊維、例えば、綿、リネン、亜麻、ウール、又はそれらの混合物が含まれてもよい。シート材料は、合成繊維と天然繊維の混合物を含むことができる。
適切には、シート材料は、ウェブ、マット又は類似した可撓性シート形基体に形成された合成繊維から構成される。シート材料は、不織繊維、織られた繊維又は層が同じ又は異なる材料を含むことができるそれらの混合物の層の薄層複合材料であってもよい。しかしながら、好ましくは、シート材料は単層である。
好ましいシート材料は、ビスコースやレーヨンを含むポリエステル又はセルロールの繊維を含む。シート材料は、セルロール及び/又は合成ポリマー繊維を含む不織繊維状のシート材料であってもよい。シート材料は、複合繊維を含む不織繊維状シート材料であってもよい。複合繊維は、ポリエステルとポリアミドを含むことができる。
【0006】
好ましくは、基体は、セルロール又はポリマー繊維又はその双方の混合物から製造される不織シート材料である。好ましくは、脱水ケイ酸塩、好ましくはアルミノケイ酸塩が発熱剤として基体に結合される。このような洗浄製品の一例は、アルミノケイ酸塩、この場合にはゼオライトが水和されていることを除いて、ブリッジウォーター、英国のBFF Non-wovens Ltdによって供給される。いうまでもなく、脱水ケイ酸塩が充填された不織洗浄製品は、その製造の間、脱水ケイ酸塩を用いることと、その製造間の段階で、水分にさらされないことを確実にすることによって製造することができる。或いは、洗浄製品を製造し、製造後、洗浄製品を高温、適切には150℃より高い温度にさらすことによってケイ酸塩を脱水することができる。圧力を減少させる場合には、低い温度を用いることができる。次に、このような洗浄製品は、製造のすぐ後にシールされた容器に包装されて、使用前に早すぎる水和を防止する。
不織布又はワイプは、一般的には、同じ技術によって製造され、よって、繊維が横たわり、次に、共に固定される。繊維を横たえることは、通常は3つの技術、ドライレイド、スパンレイド又はウェットレイドの1つによるものである(布又はワイプが製造後、脱水されない限り、ウェットレイドは適切でないことは明らかである); 繊維の結合は、化学又は物理的手段、例えば、熱、圧力化学的に、摩擦又はそれらの組合わせによるものである。
適切には、製品は1質量%から80質量%まで、好ましくは5質量%から60質量%まで、より好ましくは10質量%から50質量%までの発熱剤を含む。
適切には、製品は0.0001質量%から5質量%までの洗浄剤、好ましくは0.0001から1%までを含む。
典型的には、シート又はワイプの形である場合の基板材料(乾燥)は、1平方メートルにつき10から150グラム(g/m2)まで、好ましくは20から80g/m2まで、より好ましくは30〜70g/m2、最も好ましくは40〜60g/m2の質量を有する。
製品は、好ましくは100〜1600cm2、より好ましくは225〜1225cm2の範囲の領域を有する。 製品が矩形シートである場合には、10〜40cm×10〜40cmの範囲、より好ましくは15〜35cm×15〜35cmの範囲にあってもよい。
【0007】
好ましくは、シート又はワイプの形である場合の基体の発熱剤の充填は、0.5〜160g/m2、好ましくは5〜130g/m2、好ましくは10〜90g/m2、より好ましくは250〜60g/m2、最も好ましくは30〜50g/m2の範囲にある。
好ましくは、シート又はワイプの形である場合の基体に対する洗浄剤の充填は、0.5〜160g/m2、好ましくは5〜130g/m2、好ましくは10〜90g/m2、より好ましくは25〜60g/m2、最も好ましくは30〜50g/m2の範囲にある。
シート又はワイプの形である場合の基体に対する発熱剤と洗浄剤の組み合わせ充填は、好ましくは150g/m2を超えず、より好ましくは100g/m2を超えない。
基体は、好ましくはその質量の0.1〜6倍の水、より好ましくは0.5〜4倍吸収し、保持する。好ましくは、基体は、少なくともそれ自体の質量の水、好ましくはそれ自体の質量の1〜3倍、より好ましくは1.5〜2.5倍、最も好ましくは1.8〜2.2倍を吸収することができる。
適切には、基体が吸収することができる水量と反応するのに必要とされる発熱剤の量の0.01〜1倍である質量の発熱剤を基体に充填する。好ましくは、基体は、吸収することができる基体の水量の0.1〜0.8倍、好ましくは0.2〜0.6倍、より好ましくは間に0.3〜0.5倍に等しい量で発熱剤を有する。
発熱剤は、微粒子状で与えることができる。粒径は、選ばれる材料に左右されるものであるが、典型的には約0.1μm〜約300μm、好ましくは75μmまで好ましくは1μm以上、より好ましくは25μm以上であり、これらの値は適度な(平均)直径である。
発熱剤は、基体に結合することができる。適切には、使用中に、発熱剤の目こぼれが阻止され、好ましくは実質的に避けられる。“結合”という用語の使用には含浸が含まれる。含浸は、洗浄製品の製造の間に薬剤と繊維とを混合することによって、溶液として又は粉末として、洗浄製品に薬剤を噴霧することによって、又は不織物のあらゆるカレンダ工程の間に薬剤を導入することによって達成することができる。洗浄製品への薬剤の接着剤結合は、接着剤担体、例えば、ラテックスにより洗浄材料に薬剤を噴霧コーティングすることによるものであり得る。或はまた、2層以上、例えば、端が封止されている不織物の2層以上の間に保持されることによって薬剤を機械的に結合することができる。しかしながら、このような機械的結合は好ましくない。好ましい方法、例えば、含浸や接着剤結合、特に布又はワイプの繊維の中に発熱剤の固体粒子を機械的にからみ合わせることによる結合は、洗浄製品上に発熱剤の均一な分布を達成することができる。
【0008】
適切には、発熱剤は、好ましくは固着剤を用いて、シート材料の中に保持又は含浸され、それによって使用中に、発熱剤の目こぼれが阻止され、好ましくは実質的に避けられる。
適切には、固着剤が用いられ場合には、結合剤、好ましくは膜形成剤を含んでいる。適切な結合剤は、特に膜形成剤及び/又は消泡剤を含有するラテックス、例えば、アクリル又はスチレンブタジエンラテックス又は天然ゴムベースの結合剤を含む。膜形成剤という用語は、周囲温度と圧力で乾燥した場合に膜を形成することができる材料を意味する。適切な膜形成剤としては、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーの第四級アンモニウム塩が含まれる。
適切には、発熱剤を有するシート材料の含浸は、以下の方法:
都合の良い方法でしみ込ませることによる飽和、例えば、シート材料上にホースから適切な化学処理液の簡単な送達;
処理液の槽におけるシート材料の浸漬による含浸;
圧力下の液の適用によるシート材料への強制的含浸;
シート材料を浸すためにシート材料の次第に進んでいるウェブ上に位置するカーテンコーティング装置によるシート材料上に処理液の流し込み;
繊維状材料上に処理液を噴霧; 又は
シート材料のウェブ又はマットの等価処理
のいずれかの1以上によって発熱剤 - 好ましくは固着剤を含む液体を含有する - を用いて行われる。
適切には、固着剤が用いられる場合には製品の全質量の少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、更により好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも25%を含んでいる。
適切には、固着剤が用いられる場合には製品の全質量の60%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、最も好ましくは40%以下までを含んでいる。
【0009】
発熱剤を組み込んでいる基体は、国際出願第98/303026号(BFF)に記載されている通りであってもよく、その特許出願に記載された吸収材料が発熱剤によって置換される。
洗浄製品は、固定化発熱剤微粒子を充填した複合繊維マトリックスを有する基体を含むことができる。複合繊維は、同心鞘芯繊維を含むことができる。或はまた、複合繊維は、偏心鞘芯繊維又は並んでいる構造を有する繊維を含むことができ、このような繊維は二成分又は混合繊維の繊維として知られている。適切には、上文に記載されるように発熱剤はゼオライトを含んでいる。適切には、発熱剤は、3次元における繊維構造の内部において分配され、複合繊維の低融点成分に融和する。このことは、発熱剤の利用できる表面積を実質的に減少させずに達成することができる。適切には、固定しているマトリックス又はウェブは、発熱剤の閉じ込めに開放されている。ウェブは、通常は均一であってもよく、発熱剤は、上下面にほとんど伸びずにウェブ内で3次元に分配されてもよい。適切には、発熱剤の粒子は、個々の繊維の交差位置で熱的に結合されるウェブ構造の間隔に入り込む。このようにして、ウェブからの粒子の移行は、実質的に排除されてしまう。
基体は、熱的に結合した微粒子含有ウェブと接触してマイクロファイバウェブを更に含むことができる。複合基体は、適切には、構造形成成分と熱的に結合可能な高分子成分を含んでいる。
適切には、構造形成成分は発熱剤微粒子を高度に充填した場合でさえ構造的完全性が高く、熱的に結合可能な成分は繊維状マトリックスへの発熱剤微粒子の融合結合の結合能力が高い。
基体は、米国特許第5486410号に記載されるように、固定化粒子を充填した繊維マトリックスを含むことができる。
繊維構造の基体については、繊維構造はドライホーミングすることができる。ドライホーミングは、ブローン又はメルトブローン繊維から形成されたウェブ構造と比較して、大体均一な構造を形成する際に有利である。従って、“大体均一な”とは、ブローン又はメルトブローン繊維から形成されたランダムに収集されたウェブより均一性の大きい構造を意味する。更に、収集されたメルトブローンウェブは、圧力降下がかなり大きく、それ故、繊維マトリックスとしての使用に通常は望ましくない。
【0010】
そのうえ、ウェットホーミングは、有利には、異なる物質、例えば、発熱剤の制御された導入、間隔及び固定化を、空気又は液体の流れの微粒子が充填された構造の蛇行経路において与えることができる。別法は上述の結果を達成するためには有益なものではないが他のためには有用であり、これらはウェットホーミングやスパンボンディングであってもよい。
発熱剤を組み込んでいる基体は、繊維構造を製造するドライホーミング法において形成することができ、梳毛機が圧着した複合物繊維を梳き、無端移動ベルト上に第1不織ウェブを形成する。次に、不織のマイクロファイバウェブをウェブに付着させることができる。マイクロファイバウェブは、ロールから適用することができ又は第1ウェブ上に形成することもできる。その後、追加の圧着した複合繊維を梳くことができ、第2不織ウェブをマイクロファイバウェブ上に形成することができる。
発熱剤は、例えば、振盪機から第1ウェブに適用することができる。ウェブは、適切な程度に開放され、発熱剤は、ウェブの内部に入り込むのに適切なサイズと質量を有する。また、発熱剤の分布と閉じ込めに影響するのはウェブの繊維のデニールである。粒子状物質は、加熱されても冷たくてもよい。傾斜したランプを用いることができ、ウェブ内の発熱剤の濃度は支持ランプの角度を調整することによって制御することができる。
その後、追加の圧着した複合繊維を梳いて微粒子充填ウェブに第3不織ウェブを形成することができる。発熱剤を第3ウェブに適用し、入り込んでいる。1を超える層に発熱剤を添加すると、典型的には分布の均一性が改善される。続いて、追加の圧着した複合繊維を梳くことができ、第4不織ウェブが第3微粒子充填ウェブ上にそれから形成することができる。所望により、ウェブを更に予備形成することができる。
熱結合は、存在する構造的な繊維成分と粒子状物質の融点未満の充分な高温で熱結合可能な成分を融解させるとともに熱結合可能な成分の充分な流れを与えて結合接着剤として作用するのに適切な時間行うことができる。比較的高い熱結合温度の選択が、通常は比較的短い露出時間を必要とするが、比較的低い温度の選択が、通常は比較的長い露出時間を必要とする。熱結合可能な成分のあまりに多くの流れ又は構造的な分解を生じる処理条件は避けるべきである。その後、構造は、熱結合可能な成分の再凝固又は軟化温度より低い温度まで冷却されて、結合を生じる。
【0011】
次に、赤外放射線として“送達される”熱は、構造全体に適用されて、複合繊維マトリックスの溶融結合とマトリックス構造に微粒子の融合を与えることができる。単一構造の形成も、有利には達成される。他の熱源は、例えば、接触 - 例えば、カレンダー操作によって又は対流 - 例えば、温風幅出操作によって用いることができる。
洗浄剤は、1つ以上の界面活性剤(親水性ヘッド基と疎水性テール基を含む分子を意味する)、漂白剤、酵素、抗真菌剤、殺菌剤を含む。洗浄剤は、また、当業者に公知の、土壌除去及び湿潤性や表面特性を改善するための薬剤、例えば、トリポリリン酸ナトリウム又はEDTAであってもよい。洗浄剤は、また、水を含まない溶媒であってもよい(0.1質量%未満の水を含むことを意味する)。適切な溶媒としては、低級アルコール、例えば、エタノール又はイソプロピルアルコール、グリコールエーテル及び炭化水素、例えば、アルカンが挙げられる。任意に、追加成分、例えば、pH緩衝剤、消泡剤、ヒドロトロープ、抗酸化剤、耐食剤又は他のあらゆる有益な物質も洗浄剤とともに製品に含まれてもよい。
好ましくは、洗浄剤は界面活性剤を含んでいる。
適切な界面活性剤としては、以下の化合物が含まれる。
a) 炭素原子約6から約12までの直鎖又は分枝鎖アルキルを有するアルキルフェノールと、エチレンオキシドとのポリエチレンオキシド縮合物、ここで、存在するエチレンオキシドの量はアルキルフェノールの1モルにつき約3から約25モルまでである;
(b) 脂肪族アルコールと式R*O(C2 H4 O)n H (式中、R*は、炭素原子約8から約22までを有する直鎖又は分枝鎖アルキルであり、nは、3〜40である。)のエチレンオキシドとの縮合生成物;
(c) ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;
(d) フッ素化界面活性剤、例えば、商標ZONYL.TM.例えば、ZONYL.TM. FSK、両性フルオロ界面活性剤、ZONYL.TM. FSN、フルオロ界面活性剤、ZONYL.TM. FSJ、アニオンフルオロ界面活性剤、ZONYL.TM. FSC、カチオンフルオロ界面活性剤としてE. I. Dupont de Nemours and Companyから市販されたアニオンフルオロ界面活性剤、非イオン性フルオロ界面活性剤、カチオンフルオロ界面活性剤、両性フルオロ界面活性剤。
【0012】
上記のこのような界面活性剤は、洗浄製品が硬質面に用いられる場合には線条を残さない傾向があるので特に好ましい。
洗浄剤が界面活性剤を含む場合、使われる界面活性剤の好ましい量は、水を除いて用いられる全ての薬剤を充填した、0.0001から約1質量パーセントまで、より好ましくは0.0006から約0.03質量パーセントまで、最も好ましくは0.003から0.012質量パーセントまでの洗浄製品である。
土壌除去を改善する薬剤は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールのメチルエーテルやエチルエーテルのようなグリコールエーテルを含むことができる。このような薬剤は、液体組成物の約2質量パーセントまで含むことができる。使うことができる湿潤性を改善するための薬剤としては、例えば、エチレングリコールやジプロピレングリコールのような低分子量グリコールを含み、液体組成物の約1質量パーセントまでの量でにおいて使うことができる。表面特性を改善するための薬剤は、部分的エステル化樹脂のような膜形成剤を含むことができる。このような薬剤は、水を除いて用いられる全ての薬剤の約1質量パーセントまでの量で使うことができる。
特に好ましい洗浄剤は、殺菌力を有するカチオン界面活性剤化合物であり、幅広い抗菌機能若しくは殺菌機能を提供するものである。これらの要求を満たすあらゆるカチオン界面活性剤を用いることができ、発明の範囲内であるとみなされ、2つ以上のカチオン表面活性剤、即ち、カチオン界面活性剤の混合物も用いることができる。カチオン界面活性剤は周知であり、有用なカチオン界面活性剤は、例えば、McCutcheon's Detergents and Emulsifiers, North American Edition, 1998; Kirk-Othmer, Encyclopaedia of Chemical Technology, 4th Ed., Vol. 23, pp. 478-541に記載されたものの1つ以上であってもよく、この文献の内容は本願明細書に含まれるものとする。
洗浄製品は、更に、我々が感覚増強剤と呼ぶことができるものを充填することができる。これは、例えば、着色剤、色変化剤、香料、芳香剤、又は香料担体、保湿剤(使用者の手のため)又は使用中、音、例えば、ぱちぱちと音を立てる音を生じる薬剤であってもよい。
【0013】
第2態様によれば、本発明は、好ましくは再シール可能な開口部を有し且つ第1態様の洗浄製品を含有する、実質的に防水の容器を含む包装製品であって、洗浄作業に製品を使うことが要求されるまで容器が乾燥環境において洗浄製品を収容するように配置されている前記包装製品を提供する。
適切には、容器は複数の洗浄製品を含んでいる。適切には、容器は、気密で、水蒸気を通さず、防水である。
容器は、タブ又はポーチ(以後“ラップ”)の形のソフトパックであってもよい。好ましくは、容器は複数の洗浄製品を含む。適切には、製品はワイプを含み、ワイプは積み重ねにおいて大体折りたたまれた構造で配置されるので各々のワイプは一つずつ容器から取り出すことができる。このような折りたたまれた構造は当業者に周知であり、C折りたたみ、Z折りたたみ、四分の一折りたたみ構造などを含んでいる。各ワイプは、ワイプの積み重ねにおいてすぐ上と下にワイプを折り込むことができるので、1つのワイプを引き出す動作がその下のワイプの一部を上げて、その取り出しを援助する。或はまた、ワイプは、はさまれることのない積み重ねにおいて相互に載せることができる。
或はまた、ワイプはロールとして巻かれることができ且つミシン目を入れた引裂区域によって分離され、容器はワイプが引っ張られる開口部を有するタブであり得る。
都合の良いことに、洗浄製品は、シールされた高分子膜被覆において、フローラップされ、又は形成・充填・シール法を用いてラップされる。好ましくは、液体の形でも蒸気の形でも膜は水を通さない。
或はまた、複数の洗浄製品は防水リッドを有する単一の容器において保持されてもよい。適切には、リッドも気密である。このような容器は、成形によって、適切には射出成形又は吹込み成形によって、容器とリッドを製造することができ、好ましくは空気、水蒸気、水の密封であり、例えば、リッド及び/又は容器に取付けられたシリコーンゴムによって製造される。
【0014】
本発明の第3態様によれば、洗浄製品による無生物物体の表面を洗浄する方法であって、洗浄製品が、水にさらされるときに熱を生じるように配置された、洗浄剤と発熱剤を有する基体を含み、洗浄製品が実質的に防水再シール可能な容器において提供され、方法が容器から洗浄製品を取り出すこと、洗浄製品と水とを接触させて、発熱剤によって熱発生を開始させること、及び続いて無生物物体の表面を製品で拭くことを含む、前記方法が提供される。
実質的に防水再シール可能な容器とは、シールした容器を液体水の進入なしで容器の先端より上に1cmの水深で1分間水に浸漬することができること且つ容器が水蒸気の進入なしで20℃で75%の相対湿度で8週間貯蔵することができることを意味する。
適切には、洗浄製品は、第1態様に従って洗浄製品を構成している。適切には、洗浄製品は、第2態様に従って包装製品として提供される。
本方法は、製品と水とを簡単に接触させて、熱発生を開始させることを含むことができる。製品を流水の流れに置くことによって、例えば、蛇口の下に置くことによって水と接触させることができる。或はまた、製品は、水量に短時間に浸漬することができる。例えば、製品は10秒間又はそれより短時間浸漬することができる。
本方法は、水全体が使用者によって知覚できる程度まで加熱されるようにしばらくの間製品を水量に浸漬することを含むことができる。適切には、このために製品は10秒を超える間、例えば、20秒間又はそれ以上の間浸漬することができる。適切には、洗浄作業において更に効率的に使うことができるように水が温められる。適切には、製品は、一体の温水を生じ、次に、温水の貯蔵を生じ、洗浄製品の基体が余水を取込むことができる。次に、余水を使って物体を洗浄するとともにほこり付着物をそれから取り去ることができる。表面を拭くために使われた後、余水は基体から絞り出すことができ、余水の新しい供給量が、一体の水から取込まれるとともに使われて、物体を洗浄することができる。
“余水”とは、熱の発生を引き起こすために、発熱剤と反応するのに及び/又はそれを水和するのに必要とされる水に追加する基体が取込むあらゆる水を意味する。即ち、余水は、物体上に付着せず及び/又は物体からほこり付着物を取込まない水である。
【0015】
適切には、一旦洗浄製品で物体を拭くと、清潔な外観を有し、その後のすすぎ作業を必要としない。
好ましくは、物体は家具製品を含んでいる。或はまた、物体は、建物、例えば、窓又は窓台の一部を構成してもよい。適切に、表面は硬質面を含んでいる。適切には、洗浄製品は、ガラス、木、プラスチック等の表面を洗浄するために用いられる。
ここで、以下の限定的でない実施例によって本発明を更に記載する。
図1で示されるように、洗浄製品1は、複数の混ざり合ったポリエステル繊維3を含む基体2を含み、基体質量は50g/m2である。発熱剤のゼオライト物質粒子4が基体の中に捕捉され、前記粒子が機械的にからみ合って、また、固着剤の使用によって保持されて、基体から落ちない。また、基体が固体の洗浄剤を膜付着として又は粒子5として、又はそれらの双方として有する。一部の粒子は基体の外面6上に載せられ、一部は基体の中に捕捉されている。捕捉された洗浄剤粒子5は、洗浄作業の間、基体から落ちることができるように有してもよい。
洗浄作業を行うために、製品は水の流れの下で保持され又は水に浸漬され、基体が水を吸収し、水が発熱剤粒子4に接触し、ゼオライトが水和されて、熱の発生が引き起こされることができる。次に、加熱された洗浄製品で、洗浄すべき物体の表面全体を拭くことができる。
温度の上昇は、洗浄製品に提供されるゼオライトの量や洗浄製品が吸収するように配置される水量に左右される。有益には、温度上昇は比較的長く続いていることがわかった。
表1は、約1gのゼオライトを充填した上記の1cm×1cmの基体がまず最初に室温で5mlの水に浸漬されたときに、示された時間後に生じた温度を示すものである。水/基体の温度は、共に1から60分後までの間隔で測定された。
【0016】
表1

【0017】
異なる量の水の温度に対するゼオライト充填基体の添加の効果を図2に示す。
ゼオライト水和と温度との関係を図3に示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】洗浄製品の断面図である。
【図2】水の温度に対してゼオライトを添加する効果を示すグラフである。
【図3】ゼオライトの水和と温度との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄剤及び発熱剤を充填した基体を含む洗浄製品であって、該洗浄製品が、無生物物体の表面を洗浄するために適応されており、前記発熱剤が、水にさらされると、熱を生じることを特徴とする洗浄製品。
【請求項2】
所望される場合に液体水が容易に接触することができるように、前記発熱剤が、前記基体に適用され及び/又は前記基体内に捕捉されており、前記発熱剤が、水との反応の結果として熱を生じる、請求項1記載の洗浄製品。
【請求項3】
前記洗浄製品が、一体の水に短時間浸漬し及び/又は流水下に短時間置かれて、熱発生を開始させることができる、請求項1又は2記載の洗浄製品。
【請求項4】
前記発熱剤が、前記基体に付着されたままでありかつ洗浄作業の間、対象物の上に堆積していないように、前記基体が、前記発熱剤を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄製品。
【請求項5】
前記基体が、織りシート又は不織シート又はスポンジである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄製品。
【請求項6】
1%から80質量%の前記発熱剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄製品。
【請求項7】
0.0001%から5質量%の前記洗浄剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄製品。
【請求項8】
前記洗浄剤が、界面活性剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の洗浄製品。
【請求項9】
前記界面活性剤が、殺菌カチオン界面活性剤である、請求項8記載の洗浄剤。
【請求項10】
前記基体が、不織ワイプである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の洗浄製品。
【請求項11】
前記発熱剤が、脱水塩、他の鉱物又はそれらの混合物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の洗浄製品。
【請求項12】
前記発熱剤が、脱水アルミノケイ酸塩である、請求項10記載の洗浄製品。
【請求項13】
前記発熱剤が、脱水ゼオライトである、請求項11記載の洗浄製品。
【請求項14】
前記発熱剤が、基体に結合されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の洗浄製品。
【請求項15】
好ましくは再シール可能な開口部を有しかつ請求項1〜14のいずれか1項に記載の洗浄製品を含有する実質的に防水の容器を含む包装製品であって、
洗浄作業において製品を使うことが要求されるまで容器が乾燥環境において洗浄製品を収容するように配置されている包装製品。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の洗浄製品で無生物物体の表面を洗浄する方法であって、
洗浄製品が実質的に防水の再シール可能な容器において提供され、方法が容器から洗浄製品を取り出すこと、洗浄製品と水と接触させて、前記発熱剤が、熱発生を開始させること及び続いて無生物物体の表面を製品で拭くことを含むことを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−510439(P2007−510439A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530550(P2006−530550)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003900
【国際公開番号】WO2005/041740
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(501164056)レキット ベンキサー (ユーケイ) リミテッド (30)
【Fターム(参考)】