説明

製氷機に搭載される制御ユニットの検査方法および当該検査方法を実行可能な制御ユニット

【課題】制御ユニットを製氷機に搭載する前に、制御ユニット内の制御基板の取り付け間違いを発見することができる検査方法を提供する。
【解決手段】制御ユニット1は、製氷機の構成部品を制御する制御手段3が実装される制御基板4と、制御基板4を内部に収容する筐体2と、筐体2の外面に取り付けられると共に制御手段3からの制御信号が出力される複数の端子6a〜6fを有する出力コネクタ6とを備える。制御ユニット1の制御手段3は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号を出力コネクタ6の端子6a〜6fに出力し、検査ユニット30は、制御ユニット1の出力コネクタ6の端子6a〜6fに出力される信号によって表される機種番号を確認することによって、制御ユニット1に正しい制御基板4が取り付けられているか否かを検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製氷機に搭載される制御ユニットの検査方法に関する。また、この発明は、当該検査方法を実行可能な制御ユニットにも関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な製氷機の内部には、製氷機の各種構成部品を制御するための制御ユニットが搭載されている。制御ユニットの筐体内には、マイクロコンピュータ等によって構成される制御手段が実装された制御基板が収容されており、制御手段が出力する制御信号によって各種構成部品が制御されることによって製氷機が動作する。1つのメーカが製造する製氷機にも様々な機種が存在し、それぞれ制御内容が異なるため、制御ユニット内に収容される制御基板も各機種に対応してそれぞれ異なるものが使用される。
【0003】
従来、制御ユニットの検査は、製氷機の組み立て終了後に実際に製氷機を動作させることによって行われている。そのため、制御ユニットの組み立ての際に何らかの理由によって制御基板の取り付け間違いが発生してそれが検査段階で発見された場合、正しい制御基板に付け替えるためには一度組み立てた製氷機を分解して制御ユニットを取り出さなければならず、これには多大な工数を要する。
【0004】
特許文献1には、電子部品が収容された部品供給ユニットから電子部品を逐次取り出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、作業員が部品供給ユニットを付け替えた際にはそのユニットに記載されたバーコードをセンサで読取り、読取り結果を管理コンピュータ内のデータと照合することによって、電子部品の取り付け間違いを未然に防止する事項が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−183679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は電子部品の取り付け間違いを未然に防止することを目的としているため、この方法を製氷機の制御ユニットの組み立てに適用したとしても、何らかの理由によって取り付け間違いが発生した場合には、それが発見されるのはやはり検査が行われる製氷機の組み立て終了後、すなわち制御ユニットを製氷機内に搭載した後である。そのため、正しい制御基板に付け替えるためには、製氷機を分解して制御ユニットを取り出さなければならない。
【0007】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、制御ユニットを製氷機に搭載する前に、制御ユニット内の制御基板の取り付け間違いを発見することができる検査方法を提供することを目的とする。また、この発明は、そのような検査方法を実行可能な制御ユニットを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係る製氷機に搭載される制御ユニットの検査方法では、制御ユニットは、製氷機の構成部品を制御する制御手段が実装される制御基板と、制御基板を内部に収容する筐体と、筐体の外面に取り付けられると共に制御手段からの制御信号が出力される複数の端子を有するコネクタとを備え、当該検査方法は、制御ユニットが製氷機に搭載される前に実行され、制御ユニットの制御手段は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号をコネクタの端子に出力し、検査ユニットは、制御ユニットのコネクタの端子に出力される信号によって表される機種番号を確認することによって、制御ユニットに正しい制御基板が取り付けられているか否かを検査することを特徴とする。
これにより、制御ユニットを製氷機に搭載する前に、制御ユニット内の制御基板の取り付け間違いを発見することができる。
【0009】
制御ユニットの制御手段は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号をコネクタの端子に出力するのに先だって、コネクタの各端子の信号を1つずつ順次オン状態にしていき、検査ユニットは、制御ユニットのコネクタの各端子の信号が1つずつ順次オン状態になっていくことを確認することによって、制御ユニットのコネクタが正常に機能するか否かを検査してもよい。
これにより、制御ユニット内の制御基板の取り付け間違いを、より確実に発見することができる。
【0010】
また、この発明に係る製氷機に搭載される制御ユニットは、製氷機の構成部品を制御する制御手段が実装される制御基板と、制御基板を内部に収容する筐体と、筐体の外面に取り付けられると共に制御手段からの制御信号が出力される複数の端子を有するコネクタとを備え、制御手段は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号をコネクタの端子に出力する機能を有することを特徴とする。
【0011】
制御手段は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号をコネクタの端子に出力するのに先立って、コネクタの各端子の信号を1つずつ順次オン状態にする機能を有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る製氷機によれば、制御ユニットを製氷機に搭載する前に、制御ユニット内の制御基板の取り付け間違いを発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態に係る製氷機に搭載される制御ユニットの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る製氷機に搭載される制御ユニットの検査方法を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る製氷機に搭載される制御ユニットの検査方法の状態遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態に係る製氷機に搭載される制御ユニット1の構成を図1に模式的に示す。
製氷機の内部に搭載される制御ユニット1は、製氷機の各種構成部品を制御することによって製氷機の動作を制御するものであり、制御ユニット1の筐体2の内部には、マイクロコンピュータ等によって構成される制御手段3が実装された制御基板4が収容されている。
【0015】
制御ユニット1の筐体2の外面には、4つの端子5a〜5dを有する入力コネクタ5と、6つの端子6a〜6fを有する出力コネクタ6とが取り付けられている。入力コネクタ5の各端子5a〜5dには、製氷機の構成部品である圧力スイッチ11、貯氷スイッチ12、フロートスイッチ13、および温度センサ14からの検知信号がそれぞれ入力され、制御手段3に伝えられる。また、出力コネクタ6の各端子6a〜6fには、制御手段3からの制御信号がそれぞれ出力され、これらの制御信号は、同じく製氷機の構成部品である排水バルブ21、給水バルブ22、水放出バルブ23、ギヤドモータ24、コンプレッサモータ25、およびサービスバルブ26にそれぞれ伝えられる。
【0016】
制御手段3は、入力コネクタ5の各端子5a〜5dを介して入力される各種検知信号に基づいて出力コネクタ6の各端子6a〜6fに所定の制御信号を出力し、排水バルブ21、給水バルブ22、水放出バルブ23、ギヤドモータ24、コンプレッサモータ25、およびサービスバルブ26等の各種構成部品を制御することによって、製氷機の動作を制御する。
【0017】
次に、この実施の形態に係る製氷機に搭載される制御ユニット1の検査方法について説明する。尚、この検査は、制御ユニット1の組み立てが完了した段階で、制御ユニット1を製氷機の内部に搭載する前に行われる。
図2に示されるように、制御ユニット1の入力コネクタ5および出力コネクタ6は、検査ユニット30の出力コネクタ31および入力コネクタ32にそれぞれ接続される。検査ユニット30は、スイッチAを備えており、検査担当者によってスイッチAが押下されるごとに、出力コネクタ31から所定の指令信号を出力して制御ユニット1の入力コネクタ5に入力する。
【0018】
制御ユニット1の制御手段3には、検査用プログラムが記憶されており、検査ユニット30から所定の指令信号が入力されると、この検査用プログラムの実行が開始される。そして、入力コネクタ5に所定の指令信号が入力されるごとに、出力コネクタ6の各端子6a〜6fに出力する制御信号を所定の順序で変化させていく。検査ユニット30は、自身が制御ユニット1に入力した指令信号に応答して制御ユニット1から正しい制御信号が出力されるか否かを確認することによって、制御ユニット1の検査を行う。
【0019】
図3の状態遷移図には、検査用プログラムの実行によって行われる検査の詳細が示されている。制御ユニット1は、検査ユニット30から所定の指令信号が入力されると、検査用プログラムの実行を開始し、まず、状態S0において出力コネクタ6の各端子6a〜6fの信号を全てオフ状態にする待機状態に遷移する。その後、指令信号が入力されるごとに、出力コネクタ6の各端子6a〜6fの信号を1つずつ順次オン状態にしていく。すなわち、状態S1においては、端子6aの信号のみをオン状態にして他の端子6b〜6fの信号はオフ状態にする。次に、状態S2においては、端子6bの信号のみをオン状態にして他の端子6a,6c〜6fの信号はオフ状態にする。以下同様に、状態S3〜S6において、端子6c、端子6d、端子6e、端子6fの各信号を1つずつ順次オン状態にして他をオフ状態にしていく。検査ユニット30は、指令信号を入力するごとに制御ユニット1の各端子6a〜6fの信号が1つずつ順次オン状態になっていくことを確認することによって、制御ユニット1の出力コネクタ6が正常に機能するか否かの検査を行うことができる。
【0020】
次に、制御ユニット1は、状態S7において、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す制御信号の組み合わせを出力コネクタ6の各端子6a〜6fに出力する。すなわち、図3に示される例では、自身が搭載される製氷機の機種番号は「000001」であり、端子6a〜6eの信号をオフ状態にして端子6fの信号のみをオン状態にする。検査ユニット30は、制御ユニット1の各端子6a〜6fに出力される制御信号の組み合わせによって表される機種番号を確認することによって、制御ユニット1に正しい制御基板4が取り付けられているか否かの検査を行うことができる。
【0021】
最後に、制御ユニット1は、状態S8に遷移して、出力コネクタ6の各端子6a〜6fの信号を全てオフ状態にする待機状態に戻る。
【0022】
以上説明したように、この実施の形態に係る製氷機に搭載される制御ユニット1の検査方法は、制御ユニット1が製氷機に搭載される前に実行され、制御ユニット1の制御手段3は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号を出力コネクタ6に出力し、検査ユニット30は、制御ユニット1の出力コネクタ6に出力される信号によって表される機種番号を確認することによって、制御ユニット1に正しい制御基板4が取り付けられているか否かを検査する。これにより、制御ユニット1を組み立てる際に制御基板4を取り付け間違えたとしても、制御ユニット1を製氷機に搭載する前に、制御ユニット1内の制御基板4の取り付け間違いを発見することができる。
【0023】
また、制御ユニット1の制御手段3は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号を出力コネクタ6に出力するのに先だって、出力コネクタ6の各端子6a〜6fの信号を1つずつ順次オン状態にしていき、検査ユニット30は、制御ユニットの1の出力コネクタ6の各端子6a〜6fの信号が1つずつ順次オン状態になっていくことを確認することによって、制御ユニット1の出力コネクタ6が正常に機能するか否かを検査する。これにより、制御ユニット1内の制御基板4の取り付け間違いを、より確実に発見することができる。
【0024】
さらに、制御ユニット1は、上記の検査を実行する際に、検査ユニット30から所定の指令信号を入力する手段として、製氷機の各種センサ類11〜14からの検知信号を入力する既存の入力コネクタ5を使用し、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号を出力する手段として、製氷機の各種負荷21〜26に制御信号を出力するための既存の出力コネクタ6を使用する。そのため、上記の検査を実行するために、制御ユニット1に新たなコネクタを追加する必要はない。
【符号の説明】
【0025】
1 制御ユニット、2 筐体、3 制御手段、4 制御基板、5 入力コネクタ、5a〜5d 入力コネクタの端子、6 出力コネクタ(コネクタ)、6a〜6f 出力コネクタの端子(コネクタの端子)、30 検査ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷機に搭載される制御ユニットの検査方法であって、
前記制御ユニットは、前記製氷機の構成部品を制御する制御手段が実装される制御基板と、該制御基板を内部に収容する筐体と、該筐体の外面に取り付けられると共に前記制御手段からの制御信号が出力される複数の端子を有するコネクタとを備え、
当該検査方法は、前記制御ユニットが前記製氷機に搭載される前に実行され、
前記制御ユニットの前記制御手段は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号を前記コネクタの端子に出力し、
前記検査ユニットは、前記制御ユニットの前記コネクタの端子に出力される信号によって表される機種番号を確認することによって、前記制御ユニットに正しい制御基板が取り付けられているか否かを検査することを特徴とする、製氷機に搭載される制御ユニットの検査方法。
【請求項2】
前記制御ユニットの前記制御手段は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号を前記コネクタの端子に出力するのに先だって、前記コネクタの各端子の信号を1つずつ順次オン状態にしていき、
前記検査ユニットは、前記制御ユニットの前記コネクタの各端子の信号が1つずつ順次オン状態になっていくのを確認することによって、前記制御ユニットの前記コネクタが正常に機能するか否かを検査することを特徴とする、請求項1に記載の製氷機に搭載される制御ユニットの検査方法。
【請求項3】
製氷機に搭載される制御ユニットであって、
前記製氷機の構成部品を制御する制御手段が実装される制御基板と、
前記制御基板を内部に収容する筐体と、
前記筐体の外面に取り付けられると共に前記制御手段からの制御信号が出力される複数の端子を有するコネクタと
を備え、
前記制御手段は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号を前記コネクタの端子に出力する機能を有することを特徴とする、製氷機に搭載される制御ユニット。
【請求項4】
前記制御手段は、自身が搭載される製氷機の機種番号を表す信号を前記コネクタの端子に出力するのに先立って、前記コネクタの各端子の信号を1つずつ順次オン状態にする機能を有することを特徴とする、請求項3に記載の製氷機に搭載される制御ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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