説明

製菓製パン用材料及びそれを用いた穀粉加熱加工食品

【課題】糖類、澱粉、呈味原料を主原料に、澱粉量の添加量を高め、総水分量を少なく調整し乾燥時間を短縮した製菓製パン材料、及びそれを用いて低価格で、かつ見た目に鮮やかで、ジューシーな食感、風味の穀粉加熱加工食品を提供する。
【解決手段】
本発明は、糖類、5重量%より多くの澱粉、呈味原料を必須原料とし、前記原料を総水分量を12〜27重量%の範囲に調整し、押出し機、加圧ニーダー、プレス機などにより、1MPa/m以上の加圧下で混練し混合生地とし、前記混合生地を押出し機によるカット、整丸機、整粒機などで成型し、乾燥してなることを特徴とする製菓製パン材料の構成、及び前記製菓製パン材料を、穀粉加熱加工食品の生地に配合し、加熱することを特徴とする穀粉加熱加工食品の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖類と澱粉、或いは糖類と澱粉及び増粘多糖類と水分若しくはフルーツ原料、色素などの呈味原料を主原料として、造粒成型等の加工を施し、乾燥した製菓製パン材料に関し、また穀粉よりなる生地にその製菓製パン材料を添加、加熱し得られる今までにない全く新しい穀粉加熱加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで、穀粉とは、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉等およびその加工品、ミックス粉など)、大麦、ライ麦、米粉など一般に製菓・製パンの原料として使用されている穀物の粉であり、穀粉加熱加工品とは、それら穀粉を水、砂糖、塩、乳製品、油脂、卵、イーストや膨張剤などとともに、捏ねて作った生地を、オーブン、蒸気などにより加熱して得られる加工食品のことである。
【0003】
従来からパンや菓子等の穀粉加熱加工食品には、呈味、外観をよくするため、各種フィリングが採用されている。例えば、ジャム製品は製菓製パンのフィリングとして最も親しまれている。しかし、その利用方法はすでに加工完成されたジャムを生地の中に包み込み、或いはトッピングし焼成するもの、焼成後に注入、サンド、トッピングもしくは塗布して使用されることに限定されているのが現状である。
【0004】
当然のことながら小麦粉などの穀粉からなる生地にはじめから混練してもほとんど従来のジャムとしての役目は果たせず生地がほんのり色づき甘みや風味が増す程度であり、商品価値が増すまでには至りませんでした。
【0005】
また、生のフルーツ等の柔らかく水分の多いものは、これらの条件に耐えることができないため、生地成形後にトッピングしたり、焼成後にサンド又は飾り付けたりするなどして利用していた。
【0006】
その他、従来からパンや菓子等の穀粉加熱加工食品には、ドライフルーツ、クルミ、ゴマ、チョコレートチップなど生地に添加、焼成されたものが商品化されている。また、シート状のロールイン油脂或いはフラワーペーストをパン生地に折り込み、パンに年輪状の模様が現れる商品がある。
【0007】
穀粉加熱加工食品の生地に混練したその他の材料も、グルテン作用の影響を受けたり、大型ミキサーの大きな力により破砕したり、200℃を超える高温多湿にさらされたりと厳しい条件下では原型をとどめることは困難であった。そのような状況で、その形をとどめることができるのは、レーズン、クルミ、ゴマ等の一部のものに限られていた。
【0008】
一方、従来の糖類を主原料とする打錠製品として、特許文献1にフルーツ果汁を含有する打錠製品の製造方法が記載されており、錠剤化する際に、糖類や澱粉を混合することが記載されている。
【0009】
しかし、文献1の打錠製品は、直接食するもので、穀粉加熱加工食品の生地に添加、焼成されるものではない。この打錠製品を生地に混合した場合、ミキシング及び焼成時に生地に溶け出してしまうことになる。従って、いままで打錠製品を穀粉加熱加工食品の生地に混合し、焼成される糖類、澱粉、色素、更に増粘多糖類又はゲル化剤を必須原料とする製菓製パン材料は知られていなかった。
【特許文献1】特開平10−191949号公報
【0010】
そこで発明者は、製菓製パン用の打錠製品について、鋭意研究した結果、糖類、澱粉、増粘多糖類にフルーツ等を混練し、乾燥、打錠させる発明を提案し、小麦粉加工食品の生地に混合し、焼成する製菓製パン材料を開発し、既に特許出願(特願2007−150009号/小麦粉加工食品用打錠製品及びそれを利用した小麦粉加工食品(「以下、前発明という。」))をし、特許査定を得ている。
【0011】
前発明は、フルーツ、糖類及び5重量%より多く20重量%以下の澱粉を含む練り混ぜた混合生地を乾燥、打錠した又は打錠、乾燥したことを特徴とする小麦粉加工食品用打錠製品、また小麦粉加工食品用打錠製品を小麦粉加工食品の生地の全重量比に対し0.1重量%以上90重量%以下添加、混合、加熱したことを特徴とする小麦粉加工食品である。
【0012】
前発明は、小麦粉加工食品の生地に混合、焼成することによりジャム様化し、菓子、パン等の小麦粉加工食品に散りばめられ、見た目に鮮やかになり、ジューシーな食感を与えることができ、消費者の購買意欲を駆り立てることが可能となるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前発明では、打錠という形式で成型しているものであり、前発明に添加できる澱粉量に機械的な制限から限界(約20重量%)があること、一粒ずつ打錠するため製造効率が好ましくないこと、さらに装置が大掛かりで初期投資、ランニングコストが高いため最終製品の価格が高いこと、さらに高度の製造技術が要求されるなどの問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、糖類、澱粉、呈味原料を主原料に、添加できる澱粉量の上限を飛躍的に高め、総水分量を少なく調整し乾燥時間を短縮した製造効率が高く、かつ初期投資、ランニングコストを低廉に抑え、低価格で、穀粉加熱加工食品に見た目に鮮やかで、ジューシーな食感、風味を与える製菓製パン材料を提供すること、及びそれを穀粉加熱加工食品の生地に配合し、加熱するという製造上の特性を利用して、食感、外観に極めて新規で、特徴的な穀粉加熱加工食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するために、糖類、5重量%より多く80重量%以下の澱粉、及び呈味原料を必須原料とし、前記原料を混練し、混合生地とし、成型(打錠を除く)し、乾燥したことを特徴とする製菓製パン材料の構成、
糖類、0.1〜5重量%の澱粉、0.01〜5重量%の粉末状増粘多糖類、及び呈味原料を必須原料とし、前記原料を混練し、混合生地とし、成型(打錠を除く)し、乾燥し、穀粉加熱加工食品の生地に配合され、加熱されることを特徴とする製菓製パン材料の構成、
糖類、澱粉、呈味原料を必須原料とし、前記原料を加圧下で混練し混合生地とし、前記混合生地を成型し、乾燥してなることを特徴とする製菓製パン材料の構成とした。
【0016】
また、前記澱粉が5重量%以上、或いは0.1〜5重量%の澱粉かつ0.01〜5重量%の粉末状増粘多糖類であることを特徴とする前記製菓製パン材料の構成、前記混合生地中の総水分量を12〜27重量%の範囲に調整し、混練することを特徴とする前記何れかに記載の製菓製パン材料の構成、前記混練が、1MPa/m以上の圧力下で加圧混練されることを特徴とする前記何れかに記載の製菓製パン材料の構成とした。
【0017】
さらに、前記加圧が、押出し機、加圧ニーダー、プレス機で行われることを特徴とする製菓製パン材料の構成、前記加圧混練の後に、混合生地を整丸機、整粒機で形状を整えることを特徴とする製菓製パン材料の構成とした。
【0018】
加えて、前記何れかに記載の製菓製パン材料を、穀粉加熱加工食品の生地に配合し、加熱することを特徴とする穀粉加熱加工食品の構成とした。具体的には、前記何れかに記載の製菓製パン材料を、穀粉生地に混合し、加熱してなることを特徴とする穀粉加熱加工食品の構成、前記何れかに記載の製菓製パン材料を、穀粉生地にトッピングし、さらに穀粉生地で覆い、加熱してなることを特徴とする穀粉加熱加工食品の構成、前記何れかに記載の製菓製パン材料を、穀粉生地にトッピングし、蒸気により蒸したことを特徴とする穀粉加熱加工食品の構成とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明である製菓製パン材料は、ジャムやグミ、ゼリー、寒天等の製品とは異なり、安定した形状、色彩、風味、食感及び栄養素をパン等の様々な穀粉加熱加工食品に付与することができる。また、本発明である製菓製パン材料は、生地のミキシングに耐え、高温多湿の厳しい環境を逆に利用した画期的な方法で全く新しい穀粉加熱加工製品をもたらすものである。
【0020】
この製菓製パン材料を用いた穀粉加熱加工食品の外観としては、穀粉加熱加工食品の撹拌混合シェアーに耐え、穀粉加熱加工食品の混合、折り込んだ生地内や生地表面に粒状のフィリングを留まらせることができる。
【0021】
そしてそれらが加熱されると、その熱や発生する水分、蒸気により、澱粉はα化し、澱粉の配合比率が10〜15重量%程度ではジャム様化する。これにより加熱後も穀粉加熱加工食品内に1mmから2cm程度の大きさで粒状に留まり、穀粉加熱加工食品にジューシーな食感を付与することができる。また、澱粉の配合比率が10重量%を下回り糖分の配合比率が高まると、生地にマーブル模様が描かれる傾向が強くなる。澱粉の配合比率が15重量%を超えるとα化した澱粉の成分が安定して生地の中に粒状として残り、ベト付きは少なくなる。
【0022】
その食感は、糖分と澱粉の割合を変更すること、粒の大きさを変更することで、ジャム状になったりグミ状のやや弾力のある食感に調整することが可能である。澱粉の配合を多くすること、或いはその形状を大きくすることでグミやゼリー、寒天等のプヨプヨとした食感になり、糖分が多い場合はジャムのようなジューシーな食感を得ることができる。パンの場合、どの部分を食べてもこの粒状に残った食感を楽しむことが可能である。
【0023】
その結果、従来のジャムやフラワーペーストなどではできなかった粒状の製品が生地の中に星が輝くように点在するように仕上がり、見た目にも美しく食欲を掻き立てる穀粉加熱加工食品の提供を可能にする。
【0024】
また、生のフルーツを穀粉加熱加工食品に使用する場合に比べ、作業面や衛生面などが著しく向上する。
【0025】
打錠による成型でないため、澱粉の添加量を格段に高めることができ、製造効率が高く、低価格で新規で、特徴的な食感、外観を有する穀粉加熱加工食品を提供することができる。
【0026】
混合生地の総水分量を12〜27重量%に限定し、押出し造粒、整丸・整粒、プレス加工で、加圧圧力を高くすることで、水分を糖分及び澱粉内、他組成物間に浸潤させ、所望の製菓製パン材料の形状に成型することができる。また、製菓製パン材料の乾燥時間を大幅に短縮することができ、製造コストが低く、かつ省スペースで製菓製パン材料を製造することができる。
【0027】
さらに、澱粉が5重量%以上であれば、色のスポットを形成し、極めて見た目に鮮やかで、食感の優れた穀粉加熱加工食品を提供することができる。
【0028】
混練時の圧力を、1MPa/m以上とすること、特に好ましくは2MPa/m〜10MPa/mとすることで、原材料の総水分量が12〜27重量%であっても、成型しやすい粘度に調整することができる。従って、混合生地の水分を低く抑えられ、乾燥時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、糖類、澱粉、呈味原料を主原料に、澱粉量の添加量を高め、総水分量を少なく調整し乾燥時間を短縮した為に低価格で、かつ穀粉加熱加工食品に見た目に鮮やかで、ジューシーな食感、風味を与える製菓製パン材料を提供する目的を、糖類、5重量%より多く80重量%以下の澱粉、呈味原料を必須原料とし、前記原料を総水分量を12〜27重量%の範囲に調整し、押出し機、加圧ニーダー、プレス機などにより、1MPa/m以上の加圧下で混練し混合生地とし、前記混合生地を押出し機によるカット、整丸機、整粒機などで成型し、乾燥してなることを特徴とする製菓製パン材料の構成とし、また、何れかに記載の製菓製パン材料を、穀粉加熱加工食品の生地に配合し、加熱することを特徴とする穀粉加熱加工食品の構成とすることにより実現した。
【0030】
ここで、「総水分量」とは、糖類、澱粉、呈味原料、その他添加される原料由来の水分、添加した水を含めた混合生地中のすべての水分の総合計のことであり、ハロゲン水分計等の水分計で計測し得た押出し造粒後の混合生地の水分量である。
【0031】
ここで、「糖類」とは、ブドウ糖、麦芽糖、果糖、ショ糖、乳糖、トレハロース、オリゴ糖、水飴、デキストリン、それら還元糖、それらの混合物、グラニュー糖、上白糖、粉糖など、一般に食品に使用できる糖類が使用できる。
【0032】
「澱粉」とは、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、浮粉澱粉、米澱粉、サツマイモ澱粉、又はくず澱粉、それらの架橋、α化などの加工澱粉等、一般に食品に利用できる澱粉が使用できる。特に老化、冷蔵、冷凍耐性のあるアミロペクチン比率の高いワキシーコーン、もち米、α化後に粘性のあるタピオカ、馬鈴薯由来の澱粉が好適である。
【0033】
「粉末状増粘多糖類」とは、未膨潤の粉末状のゲル化剤、増粘剤、セルロースなどがあり、ゲル化剤としては、寒天、ゼラチン、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸などが挙げられ、増粘剤としては、アラビアガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、それらを含む製剤などがあり、それらから選ばれる1種または2種以上を添加することができる。
【0034】
「呈味原料」とは、フルーツ原料、着色料、香料、酸味料、香辛料、ビーフエキス、ビーフパウダー、その他、バター、ミルク、ヨーグルト等の乳製品や乳加工品、チョコレート、ココアパウダー、抹茶、蜂蜜、メープルシロップなどが該当する。但しこれらに限定されない。さらに、副原料として、造粒、結着補助剤が添加されてもよい。補助剤として、乳化剤、光沢剤、保存料、防腐剤、pH調整剤、栄養強化剤などが挙げられる。
【0035】
「フルーツ原料」としては、フルーツを加工したもので、その形態は問わない。例えば、糖煮、フルーツ果汁、濃縮果汁、ピューレ、濃縮ピューレ、エキス、ジュース(清涼飲料水)、それらを粉末化させたものなどの加工品など挙げられる。但し、これらに限定さるものではない。
【0036】
「フルーツ」としては、ブルーベリー、ビルベリー、ストロベリー、クランベリー、リンゴンベリー、スグリ、レモン、ブドウ、オレンジ、リンゴ、トマト、バナナ、桃、さくらんぼ、マンゴー、メロン、スイカ、パイナップル、梨、グレープフルーツ等の一般に入手できる果物、野菜類などが挙げられ、単一、ミックスして使用することができる。但し、これらに限定されるものではない。
【0037】
水分を浸潤させるための「加圧混練」には、ニーダー内で生地を混合後、押出し機を利用すること、或いは混合しサラサラの生地を加圧だけするプレス機などを用いて行うことができる。圧力としては、1MPa/m以上かかればよい。特に好ましくは2MPa/m〜10MPa/mである。
【0038】
「成型」は、打錠を除き、加圧しながら混練し、成型する「押出し機」、加圧し水分を浸潤させる「プレス加工機」(別途成型が必要)、混合生地を加圧と別途成型する装置、例えば「整丸」、「整粒機」、など用いて行うことができる。
【0039】
「押出し機」とは、工業、食品などの分野で使用されており、図4に示すように、モーター4bに接続されたスクリュー4cを回転させ、ホッパー4aに投入された材料(混合生地5)を、スクリュー4cが挿入されたスクリューケース4dとスクリュー4cの間を移動させながら加圧混練し、スクリーン4eに穿設された孔4fから材料を押出し、成型(造粒)する機械である。その押出し出口に回転するカッター4gを配置することで、材料を所定の大きさに切断することもできる。
【0040】
押出し機には、上記スクリュー型押出し機の他、円筒型押出し機(バスケット型押出し機ともいう。)がある。例えば、深江パウテック株式会社、円筒型押出し造粒機(型番FG−250)などがある。
【0041】
円筒型押出し機は、羽根と呼ばれるものが、混合生地の入った円筒形の筒の中で、回転する事により、側面のスクリーンより造粒品が得られるというものである。この羽根は、混合生地をスクリーンに押し付け、押し出すための押出し羽根と、筒内の混合生地が外に逃げないように上から押え付けるための加圧羽根によって構成されている。
【0042】
一般に澱粉が15重量%以上の多い場合には、スクリーンの孔径が2mm以下だと滑ってしまい造粒しにくいが、2mmを超えるような比較的大きな孔径の場合は造粒が可能となる。
【0043】
しかし、スクリュー型押出し機と異なり、設定されたスクリーンの孔径よりも小さめの径の造粒品となる。これはスクリュー型押出し機が垂直に、しかも大きな圧力で混練された生地をところてんのように押し出すのに対し、円筒型押出し造粒機は回転する羽根がこすりつけるように押し出すことに起因する。
【0044】
図4では、一軸押出し機を示したが、押出し機には、スクリューの本数、配置により、二軸、二軸一軸などがあり、またその形状もテーパー形状など様々あり、それらが本発明の製菓製パン材料の混合生地の加圧混練に使用することができる。
【0045】
「整丸機」とは、機械上部にパンやうどんの生地のようにしっかり混練された生地を載せ、自重及びあらかじめ設けられた溝に順次ローラーにより溝に生地を押し込み、生地を角状に絞り出す。その後カットされた角状の生地は、左右にスライドする板の間に送り込まれ、ちょうど手のひらで粘土を丸める要領で、生地を丸く成型する装置である。なお、生地に糖分が多く添加されていると、機械に生地がくっついてしまい稼働時間が制限される。また、その清掃と清掃後の整丸機の乾燥に時間がかかり、成型効率は押出し機に比べあまりよくない。
【0046】
「整粒機」とは、造粒加工されたものを、円筒型状の筒の中に落とし、円筒型状の筒の底面には回転する円盤があり、造粒物は衝突を繰り返し、次第に角やバリが取れて、楕円や球形に加工する装置である。前記円盤はセンター部分がやや高くなる傾斜がついたり、筒内に熱風等の乾燥した風を送り込むことで、整型と乾燥を同時に行うことができるものもある。
【0047】
「プレス加工機」とは、うどん、そば、ラーメンなどの麺類の生地の成型に使用される装置で、装置上部に配置されたバットに生地を載せ、生地上部に板状の蓋を載せ、油圧機などにより、蓋が下がり、或いはバットが上昇し、生地を加圧する。その後生地をローラーで薄く延ばし、縦横からカットして、所望の形状に整形する装置である。但し、小麦粉主体の原料に比べ、糖分や澱粉が主体の生地は最低でも3〜4倍の圧力を掛ける必要がある。
【0048】
打錠機は、乾燥した原料(湿式の場合は水分をまだ多く含んでいる)を圧力により硬化させるが、押出し機、整丸、整粒機、プレス機による成型では水分を含んだ状態で、比較的軟状な原料であり、成型後乾燥により、結着、硬化させるものである。中でも、押出し機で造粒する場合は、総水分量が極めて低い状態で成型できるため、乾燥時間の短く、経済的である。
【0049】
「配合」とは、本発明である製菓製パン材料を、穀粉加熱加工食品の生地に、添加・混合、或いは生地に折り込み、生地で被覆し、さらに生地にトッピングなどすることが含まれる。「加熱」には、オーブン、マイクロ波による加熱、蒸気、油による加熱などがある。
【0050】
これにより、本発明である製菓製パン材料の混合生地において、総水分量を12〜27重量%の範囲に調整し、短時間の乾燥で製菓製パン材料を製造することができ、低価格で本発明である製菓製パン材料を提供することができる。なお、総水分量については、押出し造粒直後の混合生地の水分量であり、更に好ましくは13〜24重量%であり、最適には14〜20重量%である。
【0051】
混合生地における総水分量は、上記範囲内において、選択する機械適正、加圧圧力により、適時選択する。なお、手作業で、糖類又は糖類と澱粉による一塊の混合生地を作成する場合は、混合生地の総水分量が28〜38重量%程度ないとできない。
【0052】
何れの方法であっても、原料混練後、混合生地に圧力を掛けて水分を糖分と澱粉等との混合物に浸潤させる基本構成は同じであり、大幅に総水分量の配合を減らして、造粒に適した粘度の混合生地を得ることができ、打錠することなく簡便に本発明である製菓製パン材料を得ることができる。
【0053】
その後、小さな孔が穿設された金属等のスクリーンを通過させてカットした造粒物とするか、製丸や整粒等の成型加工を行うか、プレス機により水分が浸潤した混合生地をつくり、それをカットもしくは破砕、乾燥或いは乾燥、破砕するかは適宜選択することができる。
【0054】
なお、押出し機によって、加圧混練、押出し成型、カッターによる造粒が最も好ましい。他の造粒、成型は、押出し造粒に比べ、工程が多く、設備・ランニングコストにおいて、一段劣る。
【0055】
例えば、製丸機や整粒機で成型された製品は押出し造粒された製品に比べて芸術的な形状に成型することができるが、最終的にはパン菓子等の穀粉加熱加工食品の生地に混合され加熱によりα化し、一部糖分が溶け出し、その形状はそのままで残ることはなく、コストを優先させれば、そこまでの成型加工は特に要求されない。
【0056】
混合生地は、加圧することで水分が生地全体に行き渡り、一見するとサラサラの状態で、成型できないように見えますが、圧力を加えて混練し造粒や製丸、整粒、もしくはプレス成型した場合、水分が生地全体に浸潤し、本発明である製菓製パン材料の造粒、成型に適切である。何よりも数時間、場合によっては十数時間かかった手成形による製品に比べ乾燥・硬化工程が大幅に短縮することができる。
【0057】
従って、本発明である製菓製パン材料の製造方法としては、製造工程の少なさ、完成までの時間、即ち乾燥時間の短縮、設備にかかる投資費用、設置スペースの観点、日常におけるメンテナンスの容易さ、加工技術の難易度、配合の汎用性や使用添加物の削減の観点から、中でも押出し機を用いた加圧混練、押出し成型、それに続くカッターによる切断造粒方法が好適である。
【0058】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である製菓製パン材料、その製造方法及びそれを用いた穀粉加熱加工食品について詳細に説明する。
【実施例1】
【0059】
図1は、押出し造粒方法による製菓製パン材料の製造工程を示すフローチャートである。押出し造粒方法1は、混合工程1a、生地休め工程1b、再混合工程1c、加圧押出し工程1d、カット工程1e、乾燥工程1f、味付け工程1g、計量・包装工程1h、金属探知工程1i、及び梱包・保管工程1jからなる。他の成形に比べ、工程、設備が少なく、また生産性が良く極めて経済的である。
【0060】
混合工程1aは、本発明である製菓製パン材料の原料である糖類、澱粉、フルーツピューレ等の呈味原料、必要に応じ増粘多糖類、副原料を計量し、ニーダー(混練機)等投入し、1〜30分間混練する工程である。
【0061】
原料の配合は糖類を0.1〜90重量%、澱粉を0〜80重量%、呈味原料がフルーツ原料、例えばブルーベリーピューレであれば10〜40重量%(水分量5〜38重量%)の範囲で組み合わせることができる。さらに好ましくは、糖類を20〜80重量%、澱粉を10〜55重量%、ブルーベリーピューレを10〜20重量%(水分量5〜18重量%)である。尚、ピューレだけの水分で足りない場合は、水を補充して混合生地の総水分量が12〜27重量%に調整する。
【0062】
最も好ましくは糖類を50〜70重量%、澱粉を15〜35%、ブルーベリーピューレを15〜20%(水分量10〜18重量%)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル100、さらに好ましくはソルビタン脂肪エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが適度に混合されているものが好ましい。HLB値は7〜8.5程度で、具体的には、第一工業製薬(株)製のDKクリーマーなどが挙げられる。)0.3〜2.5重量%である。乳化剤を添加することにより、押出し造粒の造粒効率(生産性)を向上させ、さらに乾燥品の表面を滑らかにし、光沢を付与する。なお、この配合の場合、水分はピューレに含まれる量で十分である。
【0063】
生地休め工程1bは、ニーダーから別の容器に混合生地を移し替えて、混合生地を落ち着かせる。即ち、糖類や澱粉などと水分がなじむようする。具体的には半日から1日混合生地を休ませる。この際、混合生地が乾燥しないようにする。場合によっては混練後直ちに加圧押出し工程に移ってもよい。
【0064】
再混合工程1cは、生地休めを行った場合は、再度軽く混合してから加圧押出し工程に入る。この工程は省略することも可能である。
【0065】
加圧押出し工程1dは、図4に示すような押出し機4によって、次のカット工程1eと連続的に行われる。ホッパー4aに投入された混合生地5は、押出し機4のモーター4bに接続したスクリュー4cの回転により、投入された混合生地5はスクリーン4eの直径0.3〜15mmの孔4fに押し込まれる。
【0066】
この際、混合生地5は回転するスクリュー4cやスクリューケース4dの間で加圧され、自然と混練された状態になる。ここでの圧力は、1MPa/m以上あることが望ましい。圧力は、スクリューケース4dに接続した圧力計6で測定し、調節する。その結果、サラサラ、パサパサ状態の混合生地5に水分が行き渡り成型可能な一塊の生地になる。混合生地が混練され最大に圧力がかかるのはスクリーン4eの直前である。
【0067】
スクリーン4eの孔4fの直径は、より好ましくは1〜10mmであり、使用される穀粉加熱加工食品により、適宜選択することができる。また、孔4f大きさ、数により、混合生地5にかかる圧力が異なることから、適切な圧力が得られるよう、スクリュー4cのスピード、即ちモーター4bの出力、混合生地の総水分量・温度、またスクリーン4eの厚さなどを考慮し適宜決定する。
【0068】
スクリーン4eの厚さが増すと、混練、造粒圧力、即ち、モーター4bの出力を大きくする必要がある。出力を大きくすることで細い穴の中を混合生地は水分を浸潤した状態で押し出される。しかし、モーターの出力を大きくしたり、スクリーンを厚くすると、混合生地の温度が高くなり、機械の発熱の原因になるため注意を要する。
【0069】
例えば、モーター4bが、3.7KWの場合では、スクリュー4cの直径50〜100mm程度、混合生地5と接する面(図5の点線)のスクリーン4eの直径60〜100mm程度、スクリーン4eの厚さ(孔4fの長さ)3〜10mm程度、スクリーン4eの孔4fの直径2〜10mm程度、孔4fの数20〜100個程度が、混合生地の総水分量12〜27重量%のとき好適である。このときスクリーン4e手前で混合生地5にかかる圧力は、1MPa/m以上となる。
【0070】
造粒物の硬さは、この比率に沿ったモーター4bとスクリーン4eの関係で対応することができる。即ち、同じスクリュー圧力(荷重)の場合、スクリーン4eにあけられた孔4fの開孔率により加圧混合時の混合生地にかかる圧力は決定される。また、スクリーン4eの厚さが増しても、造粒物に圧力が大きくかかり、しっかりした状態になる。
【0071】
但し、スクリーン4eの開口面積(孔の総面積)が極端に小さい場合は、いくら加圧圧力を高めても混合生地が熱を持ち、スクリュー4cと混合生地5は滑り初め、造粒(押出し)することはできない。
【0072】
一般にモーターの出力が大きい場合(単位面積当たりにかかる荷重圧力が大きい場合)は、混合生地5中の総水分量を少なくしても同じように、混合生地5に水分を浸潤させることができる。但し、混合生地5の総水分量の下限は重量比で12重量%未満程度である。この総水分量以下では、生地に浸潤する水分の絶対必要量以下であるので、加圧したとしても一塊の混合生地とすることはできない。
【0073】
カット工程1eは、加圧押し出し工程1dにより、湿潤し、押し出された混合生地5を、所望の大きさに切断し、造粒物7を成型する工程である。押出し機4を用いた場合は、スクリーン4eの出口に回転するカッター4gを配置することで、押し出された混合生地を所望の長さにカット成型し、加圧押出し工程に連続して行える。
【0074】
造粒物7の大きさは、直径2〜10mm、長さ2〜10mm程度が好ましく、使用される穀粉加熱加工食品により適宜変更することができる。造粒物7があまりに小さいと生地と同化して、混合されているか分からなく、大きすぎると加熱により、澱粉がα化しにくくなる。また、穀粉加熱加工食品の生地成形に支障をきたす。
【0075】
なお、敢えてカットせずに細長い造粒物を作り、ミキシング圧力により破砕させることも可能である。また、細長い造粒物のまま乾燥させ、長く伸ばしたパンなどの生地に載せ、パンなどを成形してもよい。
【0076】
乾燥工程1fは、カットされた造粒物を休ませつつ十分乾燥固化させる工程である。この際、湿度を低く保った乾燥室に放置する方法が簡便かつ低コストで行うことができる。また、送風機や流動層乾燥機等の各種乾燥機を利用する方法なども有効である。また、糖衣機のように、回転する壺に分割、カットされた造粒物を投入し、角を取る成型をしつつ送風機により風を吹きつけ乾燥する方法もある。これにより時間を短縮することができる。
【0077】
味付け工程1gは、前記乾燥工程1fにて、造粒物がしっかりと乾燥・硬化した後、ニーダー等の撹拌機に造粒物を投入し、所定量の香料等を添加し、軽く混合し、造粒物に風味付けする工程である。必要に応じ、味付け工程1gの前に、所定の大きさの造粒物を篩等で選別してもよい。
【0078】
その後、香料が造粒物に浸透すれば、本発明である製菓製パン材料が完成する。なお、混合工程1aにて、副原料として香料を添加してもよく、その場合は、乾燥工程1f後の味付け工程1gは不要である。また、フルーツなどの呈味原料のみにて風味不要する場合も、本工程は不要である。
【0079】
計量・包装工程1hは、本発明である製菓製パン材料を一定量ずつ容器、包装袋等に充填する工程である。例えば、1kgの業務用袋に入れたり、10kg等のバルク包装をする。外気が入らないようにしっかり包装材を封をする。包装材の中にシリカゲル等の吸湿剤を入れて、乾燥状態を維持することが望ましい。
【0080】
金属探知工程1iは、製菓製パン材料に対し、直径約0.5〜1.5mmまでのFe(鉄)、及び直径約1.5〜2.5mmまでのSUS(ステンレス)を検出できる精度の検査器を通して検査する工程である。
【0081】
梱包・保管工程1jは、包装袋などに包装されたダンボールなどに梱包し、製菓製パン材料を温度及び湿度を管理しながら保管する工程である。注文に応じ出荷する。開封しなければ冷暗所で1年は安定した品質を保つことができる。
【0082】
なお、縦型の押出し造粒機を利用した場合は、横型に比べ、水分が比較的多い混合生地を処理しても、垂直に造粒物が排出されるので、カット工程で造粒物同士が接触しにくく、作業性が良い。
【0083】
なお、実施例1がスクリュー型押出し機で、とても高い圧力が混合生地に掛かり、結果としてとてもしっかりした造粒物がより少ない水分で形成されるのに対し、スクリュー型押出し機に替え、円筒型押出し機を用いた場合は、スクリュー型押出し機に比べ格段にその加圧力は小さくなる。
【0084】
また、スクリーンの厚さも薄いので、押出されて得られる造粒物はとてもやわらかく粘りの少ないものとなる。従って次のカット工程1eは特段に設けなくても自重により自然に適度な長さにカットされる。
【0085】
円筒型押出し機の場合、スクリーンの孔径は5〜8mm程度が限界であり、それ以上大きくしても得られる造粒品に、十分な圧力が掛からないので潰れてしまう。従って円筒型押出し機を利用して本発明品を作る場合は、比較的大きさの小さい1mm〜5mm程度のものに限られる。2mmより小さな本発明品の場合、パンや菓子の生地と同化してしまい目立たなくなりやすい。但しトッピング等での利用ではその限りでない。
【実施例2】
【0086】
図2は、整丸・整粒方法による製菓製パン材料の製造工程を示すフローチャートである。整丸・整粒方法2は、混合工程1a、生地休め工程1b、再混合工程1c、加圧混練工程2a、伸展分割カット工程2b、整丸・整粒工程2c、乾燥工程1f、味付け工程1g、計量・包装工程1h、金属探知工程1i、及び梱包・保管工程1jからなる。なお、実施例1同一の工程は、同一の名称、符号とした。
【0087】
加圧混練工程2aは、押出し機、混練機、プレス機など何れかを利用して、本発明である製菓製パン材料の混合生地に圧力を掛けて、混合生地全体に水分を十分浸潤させる工程である。この時の圧力は、1MPa/m以上かけることが望ましい。
【0088】
混練の段階ではサラサラの状態であった混合生地が、加圧混練工程2aを経ることで、完全な一塊の生地に変わり成型加工に順応できる状態になる。総水分量が多すぎると、べたべたで、成型に向かず、総水分量が少なすぎると絶対量が少なく加圧によっても適度な粘度を持った混合生地とすることはできない。従って、混合生地の総水分量を12〜27重量%にすることが望ましい。
【0089】
伸展分割カット工程2bは、一塊の混合生地を、次工程の整丸・整粒機で、成型するため適度な大きさに伸展し或いは分割する工程である。
【0090】
整丸・整粒工程2cは、整丸機、整粒機により、球形や、角のとれたほぼ同形の見た目のよい粒状に成型する工程である。その大きさは、直径2〜10mm程度が好ましく、使用される穀粉加熱加工食品により適宜変更することができる。なお、製丸機や整粒機使用する場合は、混合生地に5重量%程度のショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤やセルロース等を添加するとよい。機械通りが改善される。
【0091】
なお、これら一連の工程は一体型の機器により順次加工されても、各工程をバッチ的に進めてもよい。
【実施例3】
【0092】
図3は、プレス造粒方法による製菓製パン材料の製造工程を示すフローチャートである。プレス造粒方法3は、混合工程1a、生地休め工程1b、再混合工程1c、プレス工程3a、乾燥工程1f、破砕工程3b、選別工程3c、味付け工程1g、計量・包装工程1h、金属探知工程1i、及び梱包・保管工程1jからなる。
【0093】
又はプレス工程に続いて、伸展分割カット工程2、乾燥工程1f、先の選別工程3cに戻ることもできる。なお、実施例1、2同一の工程は、同一の名称、符号とした。
【0094】
プレス工程3aは、プレス機を利用し、本発明である混合生地に圧力をかけ、生地全体に水分を十分浸潤させる工程である。この時のその加圧圧力は、1MPa〜15MPa/m程度が最適である。プレスによる加圧圧力が大きいほど生地への浸潤効果は早まります。加圧は、10〜60秒与え、生地を折り込み、2〜3回プレスする。必要に応じて、プレスした混合生地を休ませる。
【0095】
その結果、混練の段階ではサラサラの状態であった混合生地が、プレス工程3aを経ることで、完全な一塊の混合生地に変わり成型加工に順応できる状態になる。なお、混合生地の機械通りを改善するため、混合生地に対して5重量%以下で、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤、増粘多糖類を添加するとよい。
【0096】
破砕工程3bは、乾燥工程1fを経たプレスされた混合生地を、粉砕機などを利用し、種々の大きさに粉砕する工程である。なお、混合生地を所望の大きさに分割、切断してから、乾燥・硬化してもよい。その場合は、粉砕工程3bを必要としない。
【0097】
選別工程3cは、粉砕機を利用した場合、粒の大きさを揃える場合に、篩などを用いて、所望の大きさの造粒物を選別する工程である。造粒物7の大きさは、直径2〜10mm、長さ2〜10mm程度が好ましく、使用される穀粉加熱加工食品により適宜変更することができる。
【0098】
以上のように、本発明である製菓製パン材料は、生地に圧力を掛け、生地全体に水分を行き渡らせ、適度の粘度の混合生地として、成型することで、乾燥時間を短縮することができる製菓製パン材料を成型することができる。
【実施例4】
【0099】
以下、本発明である製菓製パン材料を用いて、本発明である穀粉加熱加工食品の製造方法について説明する。なお、穀粉加熱加工食品の配合はそれらに限定されるものではない。本発明は、穀粉加熱加工食品の生地に対して、0.1〜90重量%添加することができる。視覚、味覚、原価の観点から、1〜20重量%程度が好適である。
【0100】
[菓子パン、食パンなど]
穀粉加熱加工食品には、原料、製造方法により種々の形態がある。先ず、小麦粉を主原料とし全重量比30〜70重量%、準主原料として水0〜40重量%、補助原料としてバター、マーガリン、動植物油脂、乳製品、卵製品、塩、砂糖、麦芽、大豆粉、生イースト、ドライイースト、酵母、膨張剤等から作られる穀粉加熱加工食品の製造方法について次に述べる。例えば、食パン、フランスパン、バターロール、菓子パン生地、ブリオッシュ、ベーグル、ドーナツ、イングリッシュマフィン等が該当する。
【0101】
上記、必要原料を所定量計量し、小麦粉のグルテンが最適になるまで小麦粉とその他の材料をミキシングした。ミキシングの最後に、本発明である製菓製パン材料を投入し、3秒〜5分程混合した。投入量は10重量%程度とした。
【0102】
その後、室温25〜40度の場所で、30−120分間、元の生地の大きさから2〜3倍になるまで一次発酵をした。このとき生地が乾燥しないようにケースに入れて蓋をすると良い。その後生地内のガスを抜くために生地を分割し丸め直す。
【0103】
再度、室温25〜40度の場所で、30〜90分間生地を発酵させた後、生地を分割し10〜30分間休ませた。その後成形し、又はフィリングを詰めたり、型に入れたりして約10〜60分間生地の大きさが1.5〜3倍になるまで二次発酵をした。
【0104】
発酵後160〜250度のオーブンに入れ、10〜60分間かけて焼き上げた。食パンなどの型に入れ、フタをして焼いたものは焼成直後に軽くショックを与えて生地内のガスを抜くと型崩れを防ぐことができる。
【0105】
ドーナツの場合は、発酵後150〜200度の油温で2〜10分間ほど、ひっくり返しながらフライする。中華まんの場合は、発酵後、蒸気のあがったセイロや蒸し器を利用し10〜20分間蒸し上げる。
【0106】
いずれの商品もその製品の表面やカットされた断面に美しいフルーツ果汁やエキスの入った粒(スポット)を見ることができる。従来のジャムなどと異なりフルーツの添加された粒がその形をとどめ一部やや溶け出すように生地の中に残り光沢を放ち食欲をそそる風味を醸し出している。
【0107】
なお、本発明である製菓製パン材料の澱粉の配合比率が高い場合、粒が大きい場合は、ミキシングのはじめの段階から投入しても構わない。幾分、後から添加した場合に比べて、焼成後のスポットの大きさは小さくなるものの、生地全体をうっすらと色づかせることができる。一方、糖類の配合比率が高い場合は、ミキシングのはじめから投入すると、全く成型品が残らなくなる場合があるので注意が必要である。
【0108】
[メロンパン]
次に、メロンパンの皮に本発明である製菓製パン材料を用いる場合について説明する。メロンパンの皮10個分の材料目安は、本発明である製菓製パン材料を40〜60g、他にバター40g、砂糖100g、 溶き卵40g、 薄力粉200g、 重曹4g、 水20g、ブランデー少々である。
【0109】
ボウルにバターもしくはマーガリン等を入れ泡だて器でクリーム状になるまで練り、砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜた。次に薄力粉、膨張剤、水、場合によってはブランデーなども少々加えて手早くさっくりと混ぜ合わせた。このときメロン皮生地の1〜25重量%相当の本発明である製菓製パン材料を加え混合する。ひとまとめにしてメロンパンの本体生地ができるまで冷蔵庫で休ませる。
【0110】
本体生地とは先の菓子パンに属すものであり、一次発酵が終えた生地を分割、丸めなおした後、前記メロン皮を平たく延ばしたもので、本体生地をしっかり覆った。その後メロン皮に模様を刻んだりグラニュー糖などをまぶしても良い。
【0111】
それから30〜40分間二次発酵を取って、上火をかけないで170度前後のオーブンで15分間ほど焼成した。焼き上がった直後に天板に軽くショックを与えて生地内のガスを抜くと形崩れしない。
【0112】
なお、本発明である製菓製パン材料を成形後のメロン皮の上に単純にトッピングするだけだと溶け残りが心配される。生地と接触する面が限定され、かつオーブン内の乾燥した空気に直接さらされるため、水分の吸収が悪いことに起因する。従って、メロン皮生地とよく混合させることが好ましい。
【0113】
また、メロン皮の応用として、菓子パン生地を適量分割した後、その上に本発明である製菓製パン材料を載せ、更にその上に一般的なメロン皮やビスケット生地を被せてもよい。
【0114】
焼成時に菓子パンやメロン皮、ビスケット生地から発生する水分や蒸気により、本発明である製菓製パン材料は、澱粉がα化し、ジャム様化する。糖分が多い場合にはメロン皮やビスケット生地の間からジューシーな糖液が流れ、澱粉が多い配合の場合は、しっかりした、粘度、弾力のある粒状になって残る。
【0115】
[デニッシュ、クロワッサン、パイ製品など]
小麦粉、砂糖、バター、マーガリン、植物油、水、卵、牛乳、塩およびイースト等の材料を所定量を計量し、混合し最適な小麦グルテンが得られるまでミキシングした。通常のパンに比べ軽く混合する。
【0116】
このミキシングの最後の1〜2分で本発明である製菓製パン材料を対生地5〜20重量%を加えた。約20〜23度の場所で、約30分間乾燥しないようにケースに入れて蓋をして一次発酵を取った。その後、延ばして1〜3時間冷凍庫の中で休ませた。
【0117】
なお、他の菓子パン生地と比べてバター等の油分が多く添加されているので発酵による膨らみは少ない。その後生地を取り出してバター等をはさみ何層かに折り込む。再度、折りたたんだ生地を冷凍庫の中で1〜2時間、長い場合は冷蔵庫で1〜2日間休ませてから、二等辺三角形や正方形等にカットし、さらに丸めたり、具材を乗せたり、サンドしたりする。
【0118】
焼成は、約28度の場所で約25〜45分間二次発酵を取り、つや出し用の卵を表面に塗り190〜220度で、10〜15分間行った。バターを使う場合は融点が27度〜28度と低いため、温度の高い場所での作業は極力注意しないとバターが溶け出してきてしまう。
【0119】
なお、パイ生地の場合はイーストは配合されていないので本発明である製菓製パン材料を投入し、ミキシング後生地を一旦休めてから薄く延ばし冷凍庫へ1-3時間入れる。その後取り出した生地にバター等をはさみ何層かに折込む。
【0120】
再度冷凍庫の中で1〜2時間休ませた後、カットして成形したり具を挟んだりしつや出し卵を塗って約200〜220度で15〜35分間焼成する。普通のパン加工と異なり生地を何層にも折り込むので当発明品のサイズは小さなもののほうが適する。
【0121】
なお、デニッシュやクロワッサン、パイ生地は、折りたたんだ生地の場合は、生地そのものに混合するだけでなく、生地を折り込む際に一緒に本発明である製菓製パン材料をサンドし、折りたたんでも問題はない。
【0122】
[菓子など]
これらには、パウンドケーキ、アメリカンマフィン、クッキー、ビスケット、ワッフル、スコーン、ホットケーキシュークリーム皮、スポンジ、カステラ、ケーキドーナツ、蒸しパン、中華まん等が含まれる。
【0123】
小麦粉、砂糖、バター、マーガリン、植物油、水、卵、牛乳、塩、ベーキングパウダー等の膨張剤やイーストを所定の分量で組み合わせ、ダマができないようにミキシングした。
【0124】
ミキシングの最後の3秒〜2分間に、生地に対して、5〜20重量%の本発明である製菓製パン材料を加えて混ぜ込んだ。生地をしばらく休ませた後、カップや型に入れ、或いは型でくり抜いたり、手で形作ったりして焼き上げた。
【0125】
ケーキドーナツの場合は、150〜200℃の油温で、2〜10分間程、ひっくり返しながらフライする。
【0126】
蒸しパンの場合は、生地を休ませた後、イーストを配合した場合は発酵後、蒸気の上がったセイロや蒸し器を利用して15〜25分間蒸し上げた。本発明である製菓製パン材料は、生地に混合された場合、焼成時の熱や水分、蒸気を享受し、ジャム様化および澱粉のα化が行われる。
【0127】
なお、蒸しパンや中華まんの場合は、生地に混合することなく、焼成前に生地上にトッピングしてもよい。加熱の手段が蒸気によるものなので、単純にトッピングしても焼け残りや溶け残りの心配はない。
【0128】
ただしこの場合あまり生地自体がゆるいと混入或いはトッピングした本発明である製菓製パン材料が生地下方へ沈んでしまい期待した生地表面や生地内にとどめることができない。従って適度な生地の比重があることが要求される。
【0129】
但し、スポンジ生地の場合は、本発明である製菓製パン材料が沈み込み、スポンジ生地の下方に敷いた敷紙まで達しても構わない。スポンジの場合は、商品として販売されるとき、焼成時の底の敷紙をはずして、底を上に陳列されるためである。
【0130】
また、アメリカンマフィン等で生地をカップに入れてから、本発明である製菓製パン材料を生地にトッピングした場合、溶け残ることがある。従って、マフィン等にトッピングする場合は、トッピングした後、指などで本発明である製菓製パン材料を生地内に押し込むようにし、生地となじませることで解消できる。
【0131】
小型のクッキーやビスケットを作る場合は小さめの本発明である製菓製パン材料を使用するのが好適である。クッキーやビスケットの場合、生地は小型で薄く、短時間で焼成されるので通常作る場合より幾分水分を多めにしたり、生地を厚めに調整し、本発明である製菓製パン材料が生地の中に包み込まれるようにすることで、ジューシーな食感に仕上げることができる。特に、トッピングの成形には注意しないと溶け残りが心配される。
【0132】
なお、本発明である製菓製パン材料を用いた穀粉加熱加工食品は、焼成品としてではなく、半焼成品、冷凍生地、冷蔵生地、ミックス粉等のいずれの形態であっても、市場に提供できる。
【0133】
以上のように、本発明である製菓製パン材料を用いた穀粉加熱加工食品は、製菓製パン材料が、生地中に点在し、或いは流れた模様を描き見た目に鮮やかで、その食感はジューシー〜弾力のある食感で、いままでにない全く新しい食品である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】押出し造粒方法による製菓製パン材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】整丸・整粒方法による製菓製パン材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図3】プレス方法による製菓製パン材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図4】押出し機による造粒方法を示す図である。
【図5】スクリーンの正面図である。
【符号の説明】
【0135】
1 押出し造粒方法による製菓製パン材料の製造工程
1a 混合工程
1b 生地休め工程
1c 再混合工程
1d 加圧押出し工程
1e カット工程
1f 乾燥工程
1g 味付け工程
1h 計量・包装工程
1i 金属探知工程
1j 梱包・保管工程
2 製丸・整粒方法による製菓製パン材料の製造工程
2a 加圧混練工程
2b 伸展分割カット工程
2c 整丸・整粒工程
3 プレス方法による製菓製パン材料の製造工程
3a プレス工程
3b 破砕工程
3c 選別工程
3d 分割カット工程
4 押出し機
4a ホッパー
4b モーター
4c 混合加圧通路
4d スクリュー
4e スクリーン
4f 孔
4g カッター
5 混合生地
6 圧力計
7 造粒物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類と、5重量%より多く80重量%以下の澱粉、或いは0.1〜5重量%の澱粉及び0.01〜5重量%の粉末状増粘多糖類と、呈味原料とを必須原料とし、前記原料を混練し、混合生地とし、成型(打錠を除く)し、乾燥したことを特徴とする製菓製パン材料。
【請求項2】
糖類、澱粉、呈味原料を必須原料とし、前記原料を加圧下で混練し混合生地とし、成型し、乾燥してなることを特徴とする製菓製パン材料。
【請求項3】
前記澱粉が5重量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の製菓製パン材料。
【請求項4】
前記混合生地中の総水分量を12〜27重量%の範囲に調整し、混練することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の製菓製パン材料。
【請求項5】
前記混練が、1MPa/m以上の圧力下で加圧混練されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の製菓製パン材料。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の製菓製パン材料を、穀粉加熱加工食品の生地に配合し、加熱することを特徴とする穀粉加熱加工食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−201423(P2009−201423A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47854(P2008−47854)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【特許番号】特許第4258784号(P4258784)
【特許公報発行日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(304025068)
【Fターム(参考)】