説明

製袋包装機

【課題】被包装物の充填率を上げるとともに、被包装物の被シール箇所への噛み込みを低減する。
【解決手段】製袋包装機は、筒状に成形された包材に第1の横シール部を形成し、包材に被包装物Cを充填した後、さらに第2の横シール部を形成して袋を製造し、袋を落下させる製袋包装機であって、振動機構59を備える。第1の横シール部は、包材の搬送方向と直交する向きに形成される。振動機構は、包材に被包装物が充填された後であって第2の横シール部が形成される前に、袋の落下経路の外側へ包材を傾けて、包材を振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
包材の内部に菓子類などの被包装物を充填しながら製袋包装する装置として、製袋包装機が用いられている。製袋包装機は、帯状の包材を縦シールして筒状の包材を形成し、その後、筒状の包材を横シールする。横シールされた筒状の包材は、その後カッターにより切断されて袋となる。ところで、袋に充填される被包装物がポテトチップスのように比重の小さい物品の集合体であった場合、物品は包材内部でまばらに溜まっていく。すなわち、包材内部で各物品が大きく隙間をあけて重なり合っていく。そのため、包材内部に充填される被包装物の量が少なくなり不都合である。そこで、特許文献1(特開2000−25721号公報)では、筒状の包材の側面に設けられた押圧部材で筒状の包材の側面を押圧することにより被包装物の嵩を調整する方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記文献で提案される技術では、包材内部の被包装物の嵩を調整することはできるものの、包材が横シールされる際の、被包装物(例えば、ポテトチップスの破片やポテトチップスに添加されているシーズニング等)の被シール箇所への噛み込みを十分に防ぐことができない。被包装物の被シール箇所への噛み込みは、袋の破損の原因となる。
【0004】
本発明の課題は、筒状の包材における被包装物の充填率を上げるとともに、被包装物の被シール箇所への噛み込みを低減することができる製袋包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る製袋包装機は、筒状に成形された包材に第1の横シール部を形成し、包材に被包装物を充填した後、さらに第2の横シール部を形成して袋を製造し、袋を落下させる製袋包装機であって、振動機構を備える。第1の横シール部は、包材の搬送方向と直交する向きに形成される。振動機構は、包材に被包装物が充填された後であって第2の横シール部が形成される前に、袋の落下経路の外側へ包材を傾けて、包材を振動させる。
【0006】
これにより、被包装物の充填率を上げるとともに、被包装物の被シール箇所への噛み込みを低減することができる。
【0007】
さらに、製袋包装機は、縦シール機構と、横シール機構とを備えることが好ましい。縦シール機構は、包材の幅方向両側を熱シールすることにより包材を筒状に成形する。横シール機構は、筒状の包材と直交する向きに筒状の包材を熱シールして被シール箇所を形成し、さらに、被シール箇所を切断して第1の横シール部および第2の横シール部を形成する。
【0008】
また、振動機構は、回転ブラシと、傾け部材とを含むことが好ましい。回転ブラシは、落下経路の外側である第1位置に配置される。傾け部材は、第2位置に配置される。第2位置は、落下経路の外側であって袋の落下経路を挟んで第1位置に対向する位置である。また、傾け部材は、落下経路に位置する第1の横シール部近傍を落下経路の外側へ傾け第1の横シール部近傍を回転ブラシに接触させることが好ましい。これにより、落下経路の外側に配置した回転ブラシによって袋を振動させることができる。
【0009】
また、傾け部材は、袋に接触する接触部分を有することが好ましい。接触部分は、本体部に第2の横シール部が形成される前に、第1の横シール部近傍に接触して第1の横シール部近傍を第1位置に向けて傾けることが好ましい。また、回転ブラシは、接触部分によって傾けられた第1の横シール部近傍に接触して振動を与えることが好ましい。これにより、下シール部近傍に確実に振動を与えることができる。
【0010】
さらに、回転ブラシは、第1部分と第2部分とを有することが好ましい。第1部分は、第1長さの毛が植えつけられている部分である。第2部分は、第1長さよりも長い第2長さの毛が植えつけられている部分である。これにより、下シール部近傍に大きな振動を与えることができる。
【0011】
また、回転ブラシは、筒状の包材が延びる方向と反対の方向に回転することが好ましい。これにより、下シール部近傍を効果的に振動させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製袋包装機によれば、被包装物の充填率を上げるとともに、被包装物の被シール箇所への噛み込みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機の外観斜視図である。
【図2】製袋包装機の概略側面図である。
【図3】製袋包装機の概略斜視図である。
【図4】横シール機構の概略図である。
【図5】シールジョーの軌跡の側面図である。
【図6】製袋包装機の制御ブロック図である。
【図7】振動機構の動きを示す図である。
【図8】振動機構の動きを示す図である。
【図9】振動機構の動きを示す図である。
【図10】フラットボトム型の袋の斜視図である。
【図11】フラットボトム型の袋の底面図である。
【図12】袋下部の底面図である。
【図13】変形例に係るピロー型の袋の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る製袋包装機100について説明する。なお、製袋包装機100の説明における「上」「下」「左」「右」「前」「後」は、図3で定義する通りである。
【0015】
(1)全体構成
図1および図2に、製袋包装機100の全体構成を示す。製袋包装機100は、物品Cを袋詰めした製品P(袋B1)を製造する機械である。本実施形態に係る製袋包装機100は、スナック菓子等の比重の軽い物品Cであって、シーズニング等を含む物品Cを袋詰めする。
【0016】
製袋包装機100は、製体包装ユニット5と、フィルム供給ユニット6と、制御ユニット7(図6参照)とを有する。製体包装ユニット5は、袋B1を形成しながら、物品Cを袋B1に詰める。フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5に、袋B1の素材となるフィルムFを供給する。制御ユニット7は、製袋包装機100全体の動作を制御する。製体包装ユニット5の上方には、組合せ計量器2が配置される。製体包装ユニット5では、組合せ計量器2によって計量された所定量の物品Cが袋詰めされる。
【0017】
製袋包装ユニット5の前方には、操作パネル8が配置される。操作パネル8は、液晶ディスプレイと、液晶ディスプレイを覆うタッチパネルとを有している。操作パネル8は、製袋包装機100の右側に立つ操作者に対し製袋包装機100の動作状態を示す。また、操作パネル8は、製袋包装機100に対する操作者からの様々な指令の入力を受け付ける。
【0018】
製袋包装機100は、フラットボトム型の袋B1を製造する。フラットボトム型の袋B1は、底部FBを有する自立型の袋である。図10に、フラットボトム型の袋B1の外観斜視図を示し、図11に、フラットボトム型の袋B1の底部FBを示す。袋B1は、物品Cを囲う袋本体部FLと、袋本体部FLの上側を閉じる上シール部(第2の横シール部)SL1(図10参照)と、袋本体部FLの下側を閉じる下シール部(第1の横シール部)SL2(図11参照)とを有する。袋B1の背面には、縦方向に延びる縦シール部LSPが形成されている。袋本体部FLは、縦シール部LSPを有する第1面S1と、第1面S1に対向する第2面S2と、第1面S1および第2面S2に挟まれる側面S3,S3とを有する。底部FBは、主として、下シール部SL2と、第1面S1の下部、第2面S2の下部および側面S3,S3の下部とからなる。
【0019】
製袋包装機100では、フィルム供給ユニット6によって供給されたシート状のフィルムFを筒状フィルムFcに成形する。製袋包装機100は、さらに、物品Cのかたまりを筒状フィルムFcに充填しながら筒状フィルムFcに下シール部SLを形成し、その後、下シール部SL2を変形して、筒状フィルムFcに底部FBを形成する。その後、製袋包装機100は、筒状フィルムFcに上シール部SL1を形成し、筒状フィルムFcから、上シール部SLと本体部FLと底部FBとを有するフラットボトム型の袋B1を切り離す。
【0020】
以下、製袋包装ユニットの構成を詳細に説明する。
【0021】
(2)製袋包装ユニット
製袋包装ユニット5は、図1から図3のいずれかに示すように、成形機構51と、プルダウンベルト機構52,52と、縦シール機構53と、ガイド機構54と、シャッタ機構55と、横シール機構56と、第1折り曲げ機構57と、第2折り曲げ機構58と、振動機構59と、これらの機構を支える支持フレーム12とを有する。
【0022】
(2−1)成形機構
成形機構51は、上述のフィルム供給ユニット6から送られてくるシート状のフィルムFを筒状に成形する。成形機構51は、図2および図3に示すように、チューブ11aと、フォーマ11bとを有する。チューブ11aは、上下方向に延びる筒状の部材であり、上下端に開口を有する。チューブ11aは、支持フレーム12の天板29の中央の開口部分に配置され、図示しないブラケットを介してフォーマ11bと一体にされている。組合せ計量機2(図1参照)から所定量ずつ落下してくる物品Cは、図3に示すように、チューブ11aの開口から投入され、チューブ11aの内部を通過して落下する。フォーマ11bは、チューブ11aを取り囲むように配置されている。フォーマ11bの形状は、フィルムFがフォーマ11bとチューブ11aとの隙間を通り抜ける間にチューブ11aの外表面に巻き付けられ、シート状から筒状に成形されるような形状である。フォーマ11bも、図示しない支持部材を介して支持フレーム12に固定されている。
【0023】
(2−2)プルダウンベルト機構
プルダウンベルト機構52,52は、支持フレーム12の天板29から吊り下げられているサポート部材(図示せず)に支持されている。プルダウンベルト機構52,52は、図3に示すように、チューブ11aを挟んで左右対称に配置されている。プルダウンベルト機構52は、チューブ11aに沿って上下方向に延び、チューブ11aに巻きつけられた筒状フィルムFcを吸着しながら下方に搬送する。各プルダウンベルト機構52は、駆動ローラ21と、従動ローラ22と、吸着機能を有するベルト23とを有する。
【0024】
(2−3)縦シール機構
縦シール機構53は、支持フレーム12の天板29から吊り下げられているサポート部材(図示せず)に支持されており、チューブ11aに沿って上下方向に延びている。縦シール機構53は、チューブ11aに巻き付けられた筒状フィルムFcの重なり合う部分(筒状フィルムFcの幅方向両側)を、一定の加圧力でチューブ11aに押しつけながら加熱して縦方向に熱シールする。縦シール機構53は、ヒータおよびヒータベルトを有する。筒状フィルムFcの重なり合う部分は、ヒータにより加熱されたヒータベルトが接触することによって熱シールされる。
【0025】
(2−4)ガイド機構
ガイド機構54は、図3に示すように、チューブ11aの下方であって、横シール機構56の上方に配置されている。ガイド機構54は、筒状フィルムFcの下端を変形させる機構である。ガイド機構54は、筒状フィルムFcの内側に配置される一対のガイド部材41,41を有する。一対のガイド部材41,41は、チューブ11aの中心線を基準に前後対称に動作可能である。一対のガイド部材41,41は、上流側の一端を中心に回動する。ガイド機構54は、横シール機構56によって筒状フィルムFcに下シール部SL2が形成された後、ガイド部材41,41を動作させることにより、筒状フィルムFcをその内側から奥行方向(前後方向)に押し広げる。
【0026】
(2−5)シャッタ機構
シャッタ機構55は、図3に示すように、成形機構51、プルダウンベルト機構52,52、縦シール機構53、およびガイド機構54の下方であって、後述する横シール機構56の上方に配置され、支持フレーム12に支持されている。
【0027】
シャッタ機構55は、後述する横シール機構56によって形成される被シール箇所への物品Cの噛み込みを抑制する機構で有り、一対のシャッタ部材を有する。一対のシャッタ部材は、筒状フィルムFcの前後に配置される。一対のシャッタ部材は、筒状フィルムFcの上下方向に対して交差する方向に、筒状フィルムFcの寸法より長く延びる。
【0028】
シャッタ機構55は、第1動作と第2動作とを繰り返すことによって、被シール箇所への物品Cの噛み込みを防止する。第1動作は、シャッタ部材が筒状フィルムFcを挟んだ状態で所定距離下降する動作である。第2動作は、シャッタ部材が筒状フィルムFcから遠ざかり、さらに、筒状フィルムFcに接近して筒状フィルムFcを挟む動作である。
【0029】
シャッタ部材は、後述する横シール機構56のシールジョー61a,61bよりも早く筒状フィルムFcを挟み込み、筒状フィルムFcの横シール時に、被シール箇所の上方において被包装物の落下を抑制する。
【0030】
(2−6)横シール機構
横シール機構56は、図3に示すように、成形機構51、プルダウンベルト機構52,52、縦シール機構53、ガイド機構54、およびシャッタ機構55の下方に配置され、支持フレーム12に支持されている。
【0031】
横シール機構56は、筒状フィルムFcと直交する向きに筒状フィルムFcを熱シールして被シール箇所を形成する。さらに、横シール機構56は、被シール箇所を切断して上シール部SL1および下シール部SL2を形成する。横シール機構56は、図4に示すように、本体部63a,63bと、回転機構65a,65bと、水平移動機構60と、シールジョー61a,61bとを有する。
【0032】
(2−6−1)本体部
本体部63a,63bは、図4に示すように、破線C0を挟んで配置され、図4の紙面に対して垂直方向に伸びる。本体部63a,63bは、シールジョー61a,61bを支持する。本体部63a,63bは、回転機構65a,65bの駆動により、破線C0を基準として反対方向に回転する。
【0033】
(2−6−2)回転機構
回転機構65a,65bは、図4の紙面に対して垂直に延びる中心軸C1,C2をそれぞれ有する。中心軸C1、C2は、本体部63a,63bの中心に設けられ、駆動モータによって回転させられる。中心軸C1、C2の回転により、図4において、本体部63aは時計回りに回転し、本体部63bは反時計回りに回転する。
【0034】
(2−6−3)水平移動機構
水平移動機構60は、本体部63a,63bの水平移動を可能にする機構である。具体的に、水平移動機構60は、本体部63a,63bを、図4の破線C0を基準として前後対称に互いに近接および離反させる機構である。水平移動機構60は、水平移動板64a,64bと、水平移動板駆動機構68と、駆動モータ80とを有する。水平移動板64a,64bは、それぞれ本体部63a,63bの左右方向(図4の紙面に垂直方向)の両端に取り付けられる。水平移動板駆動機構68は、駆動モータ80によって、水平移動板64a,64bを、互いに近接および離反するように水平移動させる。
【0035】
(2−6−4)シールジョー
シールジョー61a,61bは、本体部63aに取り付けられる。筒状フィルムFcは、図7に示す破線C0が筒状フィルムFcの幅方向中心となるような状態で、下方に搬送される。シールジョー61a,61b,・・・は、左右方向(すなわち、図4の紙面に垂直方向)に筒状フィルムFcの寸法より長く延びる。すなわち、シールジョー61a,61b,・・・は、筒状フィルムFcの長さ方向に対して交差する方向に配置される。シールジョー61a,61b,・・・は、筒状フィルムFcに接触するシール面を有する。また、シールジョー61a,61b,・・・は、それぞれ内部にヒータを有しており、ヒータによってシール面を加熱する。シールジョー61a,61b,・・・は、加熱されたシール面で筒状フィルムFcの一部を挟み込み、筒状フィルムFcに被シール箇所(上シール部SL1および下シール部SL2)を形成する。シールジョー61a,61b,・・・は、中心軸C1,C2を中心にして旋回しながら、筒状フィルムFcを横方向に熱シールする。具体的に、シールジョー61a,61b,・・・は、水平移動機構60による水平方向の往復動と、回転機構65a,65bによる回転運動との組み合わせにより、それぞれD字の軌跡を描く(図5参照)。シールジョー61a,61b,・・・は、水平方向に移動し筒状フィルムFcに最も近接した際に筒状フィルムFcを挟み込んで熱シールする。
【0036】
(2−7)第1折り曲げ機構
第1折り曲げ機構57は、底プレート50と、往復動アクチュエータの一種であるエアシリンダとを有する。底プレート50は、横シール機構56の上方に配置される(図3参照)。往復動アクチュエータは、スピードコントローラにより制御される。底プレート50は、水平方向に往復動し、筒状フィルムFcに対して近接および離反する。底プレート50は、筒状フィルムFcに最も近接した位置で、筒状フィルムFcの下部に接触し、下シール部SL2を下シール部SL2が延びる方向(左右方向)と交差する方向(前後方向)に押し倒す。これにより、下シール部SL2が袋本体部FLの下部に対し折り曲げられ、筒状フィルムFcに袋下部FA(図12参照)が形成される。袋下部FAは、袋B1の下シール部SL2と、第1面S1の下部、第2面S2の下部および側面S3,S3の下部とを含む部分である。袋下部FAは、その後、第2折り曲げ機構58,58によって変形されて底部FB(図11)になる。
【0037】
(2−8)第2折り曲げ機構
第2折り曲げ機構58,58は、図3に示すように、横シール機構56の上方に配置される。第2折り曲げ機構58,58は、チューブ11aの中心線を基準として右側および左側にそれぞれ配置される。第2折り曲げ機構58は、袋下部FAの側部EPを下シール部SL2が延びる方向(左右方向)に押し倒す機構である。各第2折り曲げ機構58,58は、チューブ11aの中心線を基準に、左右対称に動作する。
【0038】
第2折り曲げ機構58は、主として、サイドプレート81と、支持部材82とを有する。サイドプレート81は、筒状フィルムFcの奥行方向(前後方向)に所定長さを有する。サイドプレート81は、図示しない駆動部によって、上方側の一端を中心に回動可能な構成を有する。支持部材82は、サイドプレート81を支持する部材であって、エアシリンダ等により駆動される。エアシリンダ等は、図示しないスピードコントローラにより制御される。支持部材82は、エアシリンダの駆動により、斜め方向に往復動し、袋下部FAの側部EPに対してサイドプレート81を近接および離反させる。サイドプレート81は、底プレート50が筒状フィルムFcの下端に最も近接している状態で、上方向に回動し、袋下部FAの側部EPを、袋下部FAの近傍部CP1(図12参照)に対し折り曲げる。側部EPと近傍部CP1とは、下シール部SL2の有する予熱により熱溶着される。
【0039】
(2−9)振動機構
振動機構59は、図3に示すように、成形機構51、プルダウンベルト機構52,52、縦シール機構53、ガイド機構54、シャッタ機構55、および横シール機構56の下方に配置される。振動機構59は、筒状フィルムFcの下端に振動を与える機構である。具体的には、振動機構59は、下シール部SL2が形成された後であって、上シール部SL1が形成される前の筒状フィルムFcに対して、筒状フィルムFcの下シール部SL2近傍に振動を伝える機構である。
【0040】
振動機構59は、主として、エアシリンダ591と、円筒状のブラシ(回転ブラシ)592と、ブラシ592を回転させるモータ(図示なし)とから構成されている(図3等参照)。エアシリンダ591およびブラシ592は、図3および図7から図9に示すように、袋B1の落下経路FPを空けて配置される。落下経路FPとは、横シール機構56によって筒状フィルムFcの被シール箇所が切断された後、袋B1が落下する経路である。また、落下経路FPは、筒状フィルムFcの搬送経路と一致する。すなわち、エアシリンダ591およびブラシ592は、袋B1の落下を妨げない位置に配置されている。具体的に、エアシリンダ591は、筒状フィルムFcの奥行き方向前側に配置されている。ブラシ592は、筒状フィルムFcの奥行き方向後側に配置されている。すなわち、ブラシ592は、落下経路を挟んでエアシリンダ591と対向する位置(第1位置に相当)に配置されている。
【0041】
(2−9−1)エアシリンダ
エアシリンダ591は、往復動アクチュエータの一種であり、図示しないスピードコントローラにより制御される。エアシリンダ591は、接触部591aを有する。接触部591aは、待機位置と前進位置とを往復する(図7〜図9参照)。待機位置は、筒状フィルムFcの奥行き方向前側(落下経路FPの外側)の位置であり(図7および図9参照)、前進位置は、筒状フィルムFcの奥行き方向後側に向かって待機位置よりも前進した位置である(図8参照)。エアシリンダ591は、所定の時間間隔で待機位置および前進位置の間で往復移動する。エアシリンダ591は、前進位置の手前で、筒状フィルムFcの下シール部SL2近傍に接触し、前進位置で、筒状フィルムFcの下端を筒状フィルムFcの奥行き方向後側に傾ける。言い換えると、エアシリンダ591は、落下経路FP内にある筒状フィルムFcの下シール部SL2近傍に接触し、下シール部SL2近傍を落下経路FPの外側へ傾け、さらに、ブラシ592に接触させる。エアシリンダ591は、筒状フィルムFcの下シール部SL2近傍を、所定時間ブラシ592に接触させた後、接触部591aを待機位置へ退避させる(図8および図9参照)。エアシリンダ591は、筒状フィルムFcに物品Cが充填された後であって、筒状フィルムFcに上シール部SL1が形成される前に、筒状フィルムFcの下端を落下経路FPの外側へ傾け、筒状フィルムFcの下端をブラシ592に接触させる。
【0042】
(2−9−2)ブラシ
ブラシ592は、図7に示すように、円筒状の芯592aに樹脂製の毛592b,592cが植えつけられている。芯592aは、ジョイントを介してモータの回転軸に取り付けられる(図示なし)。ブラシ592は、モータの駆動により回転する。また、ブラシ592は、筒状フィルムFcの下シール部SL2の近傍に対して、筒状フィルムFcの流れ方向下流側から上流側に向けて接触するように回転される。具体的には、ブラシ592は、矢印R1で示す方向(時計回り)に回転する(図7および図8参照)。ブラシ592の回転によって、筒状フィルムFcには筒状フィルムFcの下端から振動が与えられる。毛592b,592cには、異なる長さの毛が含まれる。具体的に、毛592b,592cには、第1の長さを有する毛592bと、第1の長さよりも短い第2の長さを有する毛592cとが含まれる。第1の長さを有する毛592bと、第2の長さを有する毛592cとは、ブラシ592が筒状フィルムFcの下シール部SL2近傍に接触しながら回転する際、筒状フィルムFcに大きな振動を与えるように配置されている。具体的には、芯592aは、第1の長さを有する毛592bが植えつけられる第1領域と、第2の長さを有する毛592cが植えつけられる第2領域とを有する。また、第1領域と第2領域とは、隣り合うように設けられる。図7から図9では、側面視で第1領域と第2領域とが隣り合う位置であって、かつ、第1領域が他の第1領域と対向する位置、第2領域が他の第2領域と対向する位置に配置される。ブラシ592によって筒状フィルムFcに振動が与えられることにより、筒状フィルムFc内部でまばらに積み重なった物品Cおよび筒状フィルムFcの内壁に付着した物品Cの欠片およびシーズニング等は、筒状フィルムFcの搬送方向下方に落下して集合する。なお、筒状フィルムFcの下端は、エアシリンダ591が前進位置に移動した際、第1領域の毛592bおよび第2領域の毛592cの少なくともいずれかに接触するように傾けられる。
【0043】
(2−10)制御ユニット
制御ユニット7は、CPU、ROM、RAMおよびハードディスク等からなり、製袋包装機100の各部を制御するためのプログラムを読み出して実行する。制御ユニット7は、図6に示すように、フィルム供給ユニット6、プルダウンベルト機構52、縦シール機構53、ガイド機構54、横シール機構56、第1折り曲げ機構57、第2折り曲げ機構58、振動機構59および操作パネル8に接続されている。
【0044】
(3)製袋包装機の動作
(3−1)底部が形成されるまでの動作
プルダウンベルト機構52,52の駆動に併せて、シート状のフィルムFがフィルム供給ユニット6のフィルムロールから繰り出され、成形機構51に送られる。成形機構51に送られたシート状のフィルムFは、フォーマ11bとチューブ11aとの隙間を通り抜ける間にチューブ11aの外表面に巻き付けられ、フィルムFの幅方向両側部が重ね合わせられる。幅方向両側部が重ね合わされたフィルムFは、プルダウンベルト機構52,52により、チューブ11aの外表面に沿って下方へと搬送される。また、フィルムFの重ね合わせられた部分は、縦シール機構53によって縦方向に熱シールされ、シート状のフィルムFは、筒状フィルムFcとなる。
【0045】
次に、筒状フィルムFcは、シールジョー61a,61bによって熱シールされ、被シール箇所が形成される。被シール箇所は、シールジョー61a,61bのいずれかに内蔵されているカッターにより切断されて、先行する袋B1の上シール部SL1および筒状フィルム(後続の袋B1)の下シール部SL2となる。すなわち、シールジョー61a,61bによって、先行する袋B1と筒状フィルムFc(後続の袋B1)とが切り離される(図9参照)。
【0046】
筒状フィルムFcから、先行する袋B1が切り離された後、筒状フィルムFc(後続の袋B1)に底部FBが形成される。具体的には、筒状フィルムFcは、ガイド機構54により下端が前後方向に押し広げられる。その後、第1折り曲げ機構57の底プレート50が、筒状フィルムFcに対して近づき、下シール部SL2を下シール部SL2が延びる方向(左右方向)と交差する方向(前後方向)に押し倒す。これにより、筒状フィルムFcに袋下部FAが形成される。さらに、第2折り曲げ機構58,58が、袋下部FAの側部EP,EPを下シール部SL2が延びる方向(左右方向)に押し倒す。側部EP,EPは、下シール部SL2の余熱により、近傍部CP1,CP1と熱溶着される。これにより、筒状フィルムFcに底部FBが形成される。
【0047】
物品Cの固まりは、底部FBが形成される直前または、底部FBが形成された直後、組合せ計量機2から落下する。
【0048】
(3−2)底部が形成された後の動作
振動機構59は、底部FBが形成された筒状フィルムFcが搬送方向下流に送られるタイミングに併せて動作する。図7に示すように、筒状フィルムFcの下端がシールジョー61a,61bよりも上流側に位置するとき、エアシリンダ591は、接触部591aを待機位置で待機させ、ブラシ592も回転せず待機している。次に、図8に示すように、筒状フィルムFcが搬送方向下流側に所定量送られ、筒状フィルムFcの下端が振動機構59の近傍に位置するタイミングで、エアシリンダ591は、接触部591aを前進位置に向けて移動させる。接触部591aは、筒状フィルムFcの下端近傍に接触して筒状フィルムFcの下端を落下経路FPの外側へ傾け、さらに、筒状フィルムFcの下端近傍をブラシ592に接触させる。ブラシ592は、筒状フィルムFcの搬送方向下流側から上流側に向けて筒状フィルムFcの下端に接触するように回転し、筒状フィルムFcの下端に振動を与える。筒状フィルムFcの下端近傍に所定時間振動が加えられると、図9に示すように、エアシリンダ591は、接触部591aを待機位置へ退避させる。これにより、筒状フィルムFcの下端は、落下経路FPの外側から落下経路FPの内側に戻り、筒状フィルムFcの傾きがなくなる。その後、シールジョー61a,61bによって筒状フィルムFcにさらに被シール箇所が形成される。すなわち、筒状フィルムFcに、先行する袋B1の上シール部SL1と後続の袋B1の下シール部SL2とになる箇所が形成される。被シール箇所は、シールジョー61a,61bのいずれかに内蔵されているカッターにより切断されて、先行する袋B1の上シール部SL1および後続の袋B1の下シール部SL2となる。すなわち、シールジョー61a,61bによって、先行する袋B1と筒状フィルムFc(後続の袋B1)とが切り離される(図9参照)。袋B1は、筒状フィルムFcと切り離されて、落下経路FPを落下する。
【0049】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係る製袋包装機100は、ポテトチップス等のように、比重が小さい物品Cを包装する。比重の小さい物品Cは、チューブ11aの上方から投下されると、包材内部で大きな隙間を空けて積み重なっていく。すなわち、物品Cは、筒状フィルムFcの内部で嵩高になり易い。
【0050】
しかし、本実施形態に係る製袋包装機100は、物品Cが筒状フィルムFcに充填された後、筒状フィルムFcに上シール部SL1が形成される前に、振動機構59によって、筒状フィルムFcの下端に振動が与えられる。振動によって、筒状フィルムFc内部では、物品C同士の間に形成される隙間が小さくなるように、物品Cが移動する。すなわち、筒状フィルムFcの内部で物品Cが集合し、嵩高が解消される。また、嵩高の解消に伴って、筒状フィルムFcの内部の物品Cの充填率を上げることができる。さらに、筒状フィルムFcに与えられる振動により、筒状フィルムFcの内部表面に付着した物品Cの欠片やシーズニングを落下させ、被シール箇所への物品Cの噛み込みを低減することができる。
【0051】
(4−2)
さらに、本実施形態に係る製袋包装機100は、振動機構59が、エアシリンダ591およびブラシ592により構成されている。エアシリンダ591およびブラシ592は、袋B1の落下経路(筒状フィルムFcの搬送経路)FPの外側に配置されている。言い換えると、エアシリンダ591およびブラシ592は、袋B1の落下を妨げない場所に配置されている。これにより、袋B1を落下させるために必要な時間を低減させることができ、全体として、製袋包装機100による袋B1の生産効率を向上させることができる。
【0052】
(4−3)
また、本実施形態に係る製袋包装機100では、エアシリンダ591の接触部591aが待機位置から前進位置に移動することで、接触部591aが筒状フィルムFcの下端に接触して筒状フィルムFcの下端を落下経路FPの外側に移動させる。すなわち、筒状フィルムFcは、エアシリンダ591の動作により、下端が落下経路FPの外側に傾けられる。筒状フィルムFcの下端はブラシ592に接触可能な位置に移動し、筒状フィルムFcの下端はブラシ592によって振動が与えられる。これにより、筒状フィルムFcの下シール部SL2の近傍に確実に振動を与えることができる。また、下シール部SL2近傍に振動を与えることによって、筒状フィルムFc内部の物品を効果的に移動させることができる。
【0053】
(4−4)
また、本実施形態におけるブラシ592は、芯592aと、芯592aに植えられた二種類の異なる長さの毛592b,592cとを有する。芯592aは、第1の長さを有する毛592bが植えつけられる第1領域と、第2の長さを有する毛592cが植えつけられる第2領域とを有し、第1領域と第2領域とは、芯592aに交互に設けられる。すなわち、第1領域と第2領域とが隣り合うように設けられる。ブラシ592は、回転しながら筒状フィルムFcの下端に接触するため、筒状フィルムFcの下端には、第1の長さを有する毛592bと、第2の長さを有する毛592cとが交互に接触することになる。これにより、ブラシ592によって筒状フィルムFcの下端に、より大きな振動を与えることができる。
【0054】
(4−5)
さらに、ブラシ592は、筒状フィルムFcに対して、筒状フィルムFcの搬送方向下側から上側に向けて接触するように回転される。したがって、筒状フィルムFc内部の物品は、一端落下方向と逆の方向(上方向)に若干移動し、そこから再度落下する。したがって、筒状フィルムFc内部で物品同士の隙間を効果的に減らすことができる。
【0055】
(5)変形例
(5−1)
上記実施形態に係る製袋包装機100では連続的に製体包装が可能な横シール機構が設けられたが、上記横シール機構に代えて間欠運転が可能な横シール機構が設けられていてもよい。
【0056】
(5−2)
上記実施形態に係る製袋包装機100では、フラットボトム型の袋B1を製造したが、製造される袋の形状は、フラットボトム型の袋B1に限られない。例えば、製袋包装機100は、ピロー型の袋B2(図13参照)を製造しても構わない。ピロー型の袋B2は、物品Cを囲う袋本体部FLと袋本体部FLの上下に位置する上シール部SL1および下シール部SL2とからなる。袋B2の背面には、縦方向に延びる縦シール部LSPが形成されている。ピロー型の袋B2を製造する場合には、上記実施形態に係る製袋包装機100の構成のうち、第1折り曲げ機構57および第2折り曲げ機構58を取り除く。これにより、ピロー型の袋B2についても、物品の充填率を向上させ、さらに、上シール部SL1および下シール部SL2に噛み込まれる物品を低減させることができる。
【0057】
(5−3)
上記実施形態に係る製袋包装機100において、ブラシ592の形状は、図3,図7から図9で例示した形状に限られない。例えば、ブラシ592の芯592aに設けられる第1領域および第2領域の数は、それぞれ二つに限られず、三つ以上であっても構わない。また、ブラシ592の毛の長さを一定にし、芯592aに植えつけられる毛の密度を部分的に変更することで、筒状フィルムFcに伝える振動を複雑にしてもよい。さらに、ブラシ592が偏心モータにより駆動されていてもよい。すなわち、エアシリンダ591の動作により筒状フィルムFcの下端がブラシ592に押し当てられたとき、筒状フィルムFcの下端に対してブラシ592から効果的に振動を与えることができる態様であれば、ブラシ592の態様は如何なる態様であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
2 組合せ計量ユニット
5 製体包装ユニット
6 フィルム供給ユニット
7 制御ユニット
51 成形機構
52 プルダウンベルト機構
53 縦シール機構
54 ガイド機構
55 シャッタ機構
56 横シール機構
57 第1折り曲げ機構
58 第2折り曲げ機構
59 振動機構
100 製袋包装機
591 シリンダ
591a 接触部
592 ブラシ
B1 フラットボトム型の袋
SL1 上シール部
SL2 下シール部
FA 袋下部
FB 底部
EP 側部
CP1 近傍部
FP 落下経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2000−25721号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に成形された包材に、前記包材の搬送方向と直交する向きの第1の横シール部を形成し、前記包材に被包装物を充填した後、さらに第2の横シール部を形成して袋を製造し、前記袋を落下させる製袋包装機であって、
前記包材に前記被包装物が充填された後であって前記第2の横シール部が形成される前に、前記袋の落下経路の外側へ前記包材を傾けて、前記包材を振動させる振動機構
を備える、
製袋包装機。
【請求項2】
前記包材の幅方向両側を熱シールすることにより前記包材を筒状に成形する縦シール機構と、
前記筒状の包材と直交する向きに前記筒状の包材を熱シールして被シール箇所を形成し、さらに、前記被シール箇所を切断して前記第1の横シール部および前記第2の横シール部を形成する横シール機構と、
をさらに備える、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記振動機構は、
前記落下経路の外側である第1位置に配置された回転ブラシと、
前記落下経路の外側であって前記袋の落下経路を挟んで前記第1位置に対向する第2位置に配置された傾け部材と、
を含み、
前記傾け部材は、前記落下経路に位置する前記第1の横シール部近傍を前記落下経路の外側へ傾け前記第1の横シール部近傍を前記回転ブラシに接触させる、
請求項1または2に記載の製袋包装機。
【請求項4】
前記傾け部材は、
前記袋に接触する接触部分を有し、
前記接触部分は、前記第2の横シール部が形成される前に、前記第1の横シール部近傍に接触して前記第1の横シール部近傍を前記第1位置に向けて傾け、
前記回転ブラシは、前記接触部分によって傾けられた前記第1の横シール部近傍に接触して振動を与える、
請求項3に記載の製袋包装機。
【請求項5】
前記回転ブラシは、
第1長さの毛が植えつけられている第1部分と、
前記第1長さよりも長い第2長さの毛が植えつけられている第2部分と
を有する、
請求項3または4に記載の製袋包装機。
【請求項6】
前記回転ブラシは、前記筒状の包材が延びる方向と反対の方向に回転する、
請求項3から5のいずれか記載の製袋包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−56675(P2013−56675A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194926(P2011−194926)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】