説明

製造手順情報作成システムおよび製造手順情報作成プログラム

【課題】設計変更等に起因する製造手順情報の変更作業に要する工数を削減する。
【解決手段】製造手順情報作成システム1の変更箇所検出部14は、製造部品表記憶部21に来歴データとして格納されている設計変更前の製造部品表50と、設計変更後の製品部品表データ20Rとを照合して製造手順情報60の変更箇所を特定し、変更内容処理部15は、図面訂正情報データ30と製造手順変更処理記憶部23の製造手順変更処理データ70とに基づいて自動または手動介入により製造手順情報60を更新して製造手順情報記憶部22に格納する。製造手順情報60の変更箇所が変更箇所検出部14によって自動的に特定されるので、設計変更に伴う製造手順情報60の変更作業に要する工数を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造手順情報作成システムおよび製造手順情報作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者による製品の組立作業において、説明図や作業の流れを表す記号を用いた製造手順書により、作業内容を指示あるいは教示することが一般的に行われている。
一方、複雑な製品の場合には、製造手順情報の量も多く、手作業による作成には多大な工数を要する。このため、コンピュータ支援による製造手順情報の作成技術が提案されている。
【0003】
たとえば、製品の部品表に基づいて製造手順情報を作成することで、製造手順情報の作成を容易にする方法として、特許文献1が提案されている。
【0004】
この特許文献1では、製品の構成品情報と工程情報とをツリー構造で記述して表示し、ユーザがツリー内の任意の工程を選択したときに、選択された工程に対応付けられた入力画面を提示し、当該工程に貼りつけられるべき画像および作業手順情報の入力域を表示してユーザによる編集作業を受け付けることで、作業手順書を簡単に作成しようとする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−265756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前述した特許文献1の技術では、たとえば設計変更等によって作業手順書の変更要求が発生した場合に、設計変更等に起因する作業手順書の変更が必要な箇所を特定することができないため、作業者が手作業で個々の変更箇所を探索して特定する必要があり、依然として多くの工数が必要とされる、という技術的課題があった。
【0007】
本発明の目的は、設計変更等に起因する製造手順情報の変更作業に要する工数を削減することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、製品の部品表と、前記製品の部品表に基づいて作成される製造部品表と、前記製造部品表に基づいて作成された製造手順情報と、前記製造部品表の来歴情報と、を保持する記憶手段と、
設計変更による前記製品の部品表の変更内容を含む図面訂正情報と前記来歴情報とに基づいて、前記製造手順情報の変更箇所を特定する変更箇所検出手段と、
を含む製造手順情報作成システムを提供する。
【0009】
本発明の第2の観点は、製品の部品表に基づいて作成され、製造手順情報の生成に用いられた製造部品表を来歴情報として記憶する第1ステップと、
設計変更による前記製品の部品表の変更内容を含む図面訂正情報と、前記製造部品表の前記来歴情報とに基づいて、前記製造手順情報の変更箇所を特定する第2ステップと、
をコンピュータに実行させる製造手順情報作成プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設計変更等に起因する製造手順情報の変更作業に要する工数を削減することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの構成例を示すブロック図である。
【図2A】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの構成および作用の一例を示す概念図である。
【図2B】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの構成および作用の一例を示す概念図である。
【図3】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの作用例を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの作用例を示す概念図である。
【図5】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムにおける図面訂正情報データの構成例を示す概念図である。
【図6】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムにおける製造手順変更処理データの構成例を示す概念図である。
【図7】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの作用を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの作用を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの作用を説明する概念図である。
【図10】本発明の他の実施の形態である製造手順情報作成システムの作用を説明する概念図である。
【図11】本発明の他の実施の形態である製造手順情報作成システムの図面訂正情報データの構成例を説明する概念図である。
【図12】本発明のさらに他の実施の形態である製造手順情報作成システムの作用を説明する概念図である。
【図13】本発明のさらに他の実施の形態である製造手順情報作成システムの作用を説明する概念図である。
【図14】本発明の製造手順情報作成システムを構成するコンピュータシステムの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態では、一態様として、製品の部品表と、前記製品の部品表に基づいて作成され且つ個々の手順と部品との関連情報を持つ製造手順情報と、前記製品の部品表の来歴情報を保持するようにデータベースを構成し、前記製品の部品表と前記製造手順情報の編集機能を持つ製造手順情報作成システムにおいて、設計変更による前記製品の部品表の変更内容を含む図面訂正情報に基づいて、前記製造手順情報の変更する箇所を特定する製造手順情報作成システムを例示する。
【0013】
本態様の製造手順情報作成システムは、製品の部品表の変更時に図面訂正情報と対応する製造手順情報の変更箇所を自動的に特定し、さらに必要に応じて製造手順情報の自動的な変更や、作業者による変更入力を受け付けるように動作する。
【0014】
これにより、設計変更に対する製造手順情報の変更作業において、設計変更時に図面訂正情報を設定し、その情報に基づいて製造手順情報の変更箇所を特定することで、製造手順情報の変更に係る工数を削減することができる。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である製造手順情報作成方法および製造手順情報作成システムが実施される製造手順情報作成システムの構成例を示すブロック図である。
図2Aおよび図2Bは、本発明の一実施の形態である製造手順情報作成システムの構成および作用の一例を示す概念図である。
【0016】
まず、図1を参照して、本実施の形態の製造手順情報作成システムの構成例について説明する。
【0017】
本実施の形態の製造手順情報作成システム1は、一例として、製造部品表作成部11、工程設計部12、製造手順情報編集部13、変更箇所検出部14(変更箇所検出手段)、変更内容処理部15(変更内容処理手段)と、製造部品表記憶部21(記憶手段)、製造手順情報記憶部22(記憶手段)、製造手順変更処理記憶部23(記憶手段)を備えている。
【0018】
また、製造手順情報作成システム1には、表示装置2と、入力装置3と、出力装置4が接続されている。
表示装置2は、たとえば、情報を可視化して表示するディスプレイ等のユーザインタフェースである。
入力装置3は、たとえばキーボードやマウス等の情報入力手段からなるユーザインタフェースである。
出力装置4は、たとえば、印刷装置で構成され、製造手順情報作成システム1に生成される情報を紙媒体等に印刷して出力することができる。
【0019】
また、後述のように、製造手順情報作成システム1に対して情報ネットワーク401を介して製造手順情報閲覧端末400を接続し、情報ネットワーク401を介して、製造部品表記憶部21に格納されている製造手順情報60を送信し、画面上で製造手順書63として閲覧可能にすることもできる。
【0020】
このような本実施の形態の製造手順情報作成システム1は、たとえば、後述のようなコンピュータシステム100によって構成することができる。
その場合、製造部品表作成部11、工程設計部12、製造手順情報編集部13、変更箇所検出部14、変更内容処理部15の各部の機能は、たとえば、コンピュータシステム100において実行される製造手順情報作成プログラム10によって実現することができる。
【0021】
図2Aに示すように、本実施の形態の製造手順情報作成システム1において、製造部品表作成部11、工程設計部12、製造手順情報編集部13は、後述の製品部品表データ20(製品の部品表)から新規に製造手順情報60を作成する際に動作し、後述のように製造部品表記憶部21に製造部品表50(来歴情報)を出力し、製造手順情報記憶部22に、製造手順情報60を出力する処理を行う。
【0022】
また、図2Bに例示されるように、本実施の形態の製造手順情報作成システム1において、変更箇所検出部14は、設計変更時に、製品部品表データ20Rの入力を受けて動作し、製造部品表記憶部21に格納されている製造部品表50を読み出して変更箇所を自動的に検出し、変更箇所の情報を変更内容処理部15に出力する。
【0023】
変更内容処理部15は、変更箇所の情報と図面訂正情報データ30(図面訂正情報)の入力を受けて動作し、製造手順変更処理記憶部23から製造手順変更処理データ70を読み出して、個々の変更箇所に関する変更処理の種別を判別しながら、変更処理を実行し、変更後の製造手順情報60を生成して、製造手順情報記憶部22に格納する。
【0024】
すなわち、製造部品表作成部11は、製品の製品部品表データ20から、製造に利用される単位で部品をツリー構造で表した製造部品表50を作成し、工程設計部12に入力する。
また、製造部品表作成部11は、製造部品表記憶部21に入力した製造部品表50を履歴データとして製造部品表記憶部21に保存する。
【0025】
図3は、製品部品表データ20から生成されて製造部品表記憶部21に格納される製造部品表50の構成の一例を示す概念図である。
製品部品表データ20は、部品の品名20a、個数20bを含んでいる。そして、この製品部品表データ20から製造に利用される単位で部品を抜粋して木構造で表したものが製造部品表50である。
【0026】
製造部品表50は、たとえば、製品名や部品名が格納されるノード51と、このノード51の組立等の階層関係を示すリンク52の情報を含んでいる。
また、製造部品表50のノード51の中には、複数の部品を製造工程上で便宜的にグループ化するために仮想的に挿入された「部組」が必要に応じて設定されている。
【0027】
なお、製造部品表50が来歴データとして、製品部品表データ20と比較される場合、「部組」のノード51は用いられない。
工程設計部12は、工程設計部12は、製品を構成する各部品について、製造の手順を製造場所や工数配分を元に組み合わせた工程として割当てを行ない、製造手順のまとまりの単位(工程)に分解する。
【0028】
製造手順情報編集部13は、作業図情報や作業の内容を表す記号を用いて記述された工程図情報を用いて、作業者等に作業内容をわかりやすく説明するための手順指示書としての製造手順情報60を作成し、製造手順情報記憶部22に格納する。
【0029】
製造手順情報記憶部22に格納された製造手順情報60は、たとえば、製造手順情報作成システム1に備えられた出力装置4としての印刷装置により、紙媒体等に製造手順書63として印刷して配布することができる。
また、情報ネットワーク401を介して、製造現場等に設置された製造手順情報閲覧端末400に製造手順情報60をオンラインで配布して、その表示画面200に製造手順書63として出力して閲覧させるようにしてもよい。
【0030】
図4は、製造部品表50から生成される製造手順情報60の構成例を示す概念図である。
本実施の形態では、製造手順情報60は、一例として、作業図情報61と工程図情報62で構成され、必要に応じて、表示装置2の表示画面200に表示出力される。
【0031】
本実施の形態の場合、工程図情報62は、一例として、個々の部品を示す部品記号62aと、組立手順等の作業内容を示す作業記号62bと、部品の流れを示す流線記号62cを用いて記述されている。
また、作業図情報61は、工程図情報62に記述された部品の外観図や構造図等で記述されている。
【0032】
変更箇所検出部14は、図面訂正を行った製品の製品部品表データ20Rに対し、製造部品表記憶部21に来歴デー夕として保存されている変更前の製造部品表50と比較し、変更箇所を検出する。
【0033】
また、変更内容処理部15は、図面訂正情報データ30に基づく変更処理に際して、製造手順変更処理記憶部23の製造手順変更処理データ70を参照し、図面訂正情報データ30の内容に応じた処理を行う。
製造部品表記憶部21は、製造部品表作成部11で入力した変更前の製造部品表50を来歴データとして記憶する。
【0034】
製造手順情報記憶部22は、製造手順情報作成システム1が最終的に出力した製造手順情報60を保存する。
製造手順変更処理記憶部23には、図面訂正情報データ30の図面訂正理由71に応じた製造手順の変更処理方法72が格納された製造手順変更処理データ70が予め設定されている。
【0035】
図5は、本実施の形態における図面訂正情報データ30の構成例を示す概念図である。
図面訂正情報データ30は、シリアル番号31、変更前部品名32、変更後部品名33、および図面訂正理由34が対応付けて設定されたテーブルである。
図6は、本実施の形態における製造手順変更処理データ70の構成例を示す概念図である。
【0036】
製造手順変更処理データ70は、一例として、上述の図面訂正理由34に対応する図面訂正理由71と、変更処理方法72が対応付けて格納されたテーブルである。
次に、本実施の形態1の作用について説明する。図7および図8は、本実施の形態1の作用を説明するフローチャートである。
【0037】
最初に、図7を参照して、新規に製造手順情報60を作成する処理を説明する。
【0038】
製造手順情報作成システム1において、処理が開始されると製造部品表作成部11は、図3に例示されるように製品を構成する部品を列挙した製品部品表データ20から、製造に利用される単位で部品の構成を木構造で表した製造部品表50を作成し、後段の工程設計部12に出力するとともに製造部品表記憶部21に来歴データとして格納する(ステップS11(第1ステップ))。
【0039】
次に、工程設計部12は製造部品表作成部11で作成した製造部品表50を、製造手順のまとまりに分解した工程データを作成する(ステップS12)。
【0040】
次に、製造手順情報作成システム1の製造手順情報編集部13は、製造部品表50から、工程データに基づいて各工程に分割された部品データから、図4のように部品の組付け方などを図で示した作業図情報61、および作業の流れ等を表す上述の各種の記号を使用することにより作成された工程図情報62を含む製造手順情報60を作成し、製造手順情報記憶部22に保存する(ステップS13)。
【0041】
製造手順情報記憶部22に保存された製造手順情報60は、必要に応じて、表示装置2の表示画面200に表示させることができる。
また、製造手順情報60は、情報ネットワーク401を介して外部の製造手順情報閲覧端末400からアクセスされ、製造手順書63として各現場の作業者等によって閲覧される。
【0042】
次に、図8のフローチャートを参照して、本実施の形態1において、設計変更により製造手順情報60を変更する処理の一例を説明する。
【0043】
製造手順情報作成システム1において、処理が開始されると、変更箇所検出部14は、設計変更された製品に関する製品部品表データ20Rと、来歴データとして既に製造部品表記憶部21に記憶されている以前のバージョンの製造部品表50と比較し、相違点を検出する(ステップS21(第2ステップ))。
【0044】
次に、製造手順情報作成システム1の変更内容処理部15は、設計変更時に、図5のように変更対象の部品データ(変更前部品名32、変更後部品名33)とともに図面訂正理由34を記した図面訂正情報データ30と、図6のように図面訂正理由71に対する変更処理方法72を記録した製造手順変更処理データ70の内容を照合する。
【0045】
変更内容処理部15は、図面訂正情報データ30の図面訂正理由34に対応する製造手順変更処理データ70の図面訂正理由71に結び付けられている変更処理方法72の内容に従って、誤記や材質の変更や互換性部品への変更など製造手順情報60の変更において、作業図情報61や作業手順を示す工程図情報62の変更が必要のない変更に対して自動で製造手順情報60を変更するか、確認画面を表示しながら手動で作業図情報61や製造手順を示す工程図情報62を変更するか、のどちらかの処理を選択する(ステップS22)。本実施形態では一例として、部品の形が変化したり作業手順の変更が必要なものに対しては手動が選択され、誤記や材質の変更や互換性部品への変更など製造手順情報60の変更において、作業図情報61や作業手順を示す工程図情報62の変更が必要のない変更に対して自動が選択されるように、変更処理方法72が設定されている。
【0046】
変更内容処理部15は、ステップS22で、自動で修正を行うと判定された場合は、ステップS21で検出した変更箇所について、製造手順情報60から変更前の部品(変更前部品名32)を検索し、図面訂正情報データ30で設定された変更後の部品(変更後部品名33)の内容に、図9の処理動作301のように影響箇所を表示することなく自動で変更し、必要に応じて、変更後の製造手順情報60を表示画面210に表示する(ステップS23a)。
【0047】
一方、変更内容処理部15は、ステップS22で、手動で修正を行うと判定された場合は、ステップS21で検出した変更箇所について、製造手順情報60から変更前の部品(変更前部品名32)を検索し、その変更前部品名32の構造図が使用されている作業図情報61の箇所(影響箇所)と、その変更前部品名32を使用している工程図情報(影響箇所)62を、図9の処理動作302のように製造手順情報60の表示画面220上に指示枠221をつけて強調表示し、確認画面230を作業者に提示しながら(ステップS23b)、手動による作業図情報61や作業手順を示す工程図情報62の内容を変更するための修正入力を受け付ける(ステップS23c)。
【0048】
この処理を、全ての設計変更された部品に対して行う(ステップS24)。
【0049】
このように、本実施の形態の場合には、製品の設計変更に伴って、製品部品表データ20から製品部品表データ20Rに変化した場合に、変更箇所検出部14が、製品部品表データ20Rの変更箇所を示す図面訂正情報データ30に基づいて変更前の製造手順情報60を検索することにより、製造手順情報作成システム1が自動的に特定し、特定された変更箇所に対して変更内容処理部15が変更処理を行うので、作業者が製造手順情報60の変更箇所を手作業で探索する必要がなく、変更工数が大幅に削減される。
【0050】
また、設計変更に伴う製造手順情報60の変更に要する時間も短縮され、設計変更に伴う製造工程の遅滞が防止されるとともに、設計変更を迅速かつ正確に製造現場に反映させることができる。
【0051】
さらに、製造手順情報作成システム1が自動で変更可能な箇所に関しては、作業者の介入を必要とすることなく、自動的に製造手順情報60の修正が行われ、作業者の介入の必要な場合についてのみ、作業者からの変更入力を受け付けるので、作業者の介入作業が最小限に抑制され、さらに変更工数が削減される。
【0052】
また、変更内容処理部15の制御下における作業者の介入による製造手順情報60の変更に際しては、製造手順情報60の変更箇所が、製造手順情報60が表示される表示画面220内に指示枠221で強調表示されるので、表示画面220内に表示される複数の部品を作業者が探す必要がなく、作業者の変更入力における労力も大幅に軽減される。
【0053】
また、変更箇所が自動的に特定されるとともに強調表示されるので変更漏れ等も発生しにくくなり、手動による製造手順情報60の変更作業を正確に行わせることができる。
【0054】
この結果、設計変更後の正確な製造手順情報60を、製造手順書63として迅速に製造現場に配布して製造作業を促進できるとともに、製造手順情報60の修正漏れ等に起因する製品不良の発生も防止され、製品の生産工程における生産性が向上する。
【0055】
すなわち、本実施の形態1によれば、設計変更に伴う製品部品表データ20の変更によって影響を受ける製造手順情報60の箇所を効率的に特定することができ、また、設計者の意図に基づいた自動での修正が行われることにより、設計変更に伴う製造手順情報60の改訂作業における業務効率を向上させることが可能になる。
【0056】
次に、図10および図11を参照して、本発明の他の実施の形態2について説明する。この実施の形態2における製造手順情報作成システムの構成は、上述の実施の形態1と同様である。
【0057】
この実施形態2では、設計変更後の製品部品表データ20Rを作成する際に、製造手順情報記憶部22の製造手順情報60に含まれている治工具等に関する付加情報の内容を参照し、図面訂正情報データ30の一部を作成する例を示す。
【0058】
例として、図10に示すように、製造手順情報60で治工具Aを使用している作業において、手順P1で工程図情報62に部品aに対して治工具Aを使用することが記録されている場合、部品と、使用している治工具との対応関係を示すデータを部品−治工具対応表80として作成する。
【0059】
この部品−治工具対応表80には、製品名81と、手順名82と、部品名83と、治工具名84が対応付けられて格納されている。
手順名82は、製造手順情報60における作業記号62bで示される作業内容(この場合、手順P1)に対応している。
【0060】
特定の部品(部品名83)において設計変更を行う場合、前記の部品−治工具対応表80から使用する治工具の情報(治工具名84)を得る。
製品の設計者は治工具の情報(治工具名84)を取得し、図11のように、図面訂正情報データ30に設けられた治工具変更情報35に治工具変更が必要か否かを記録する。
【0061】
これにより、たとえば、製造工程の設計者は、製造手順情報60の変更時に図面訂正情報データ30に含まれた治工具変更情報35を参照することにより、予め、治工具(治工具名84)の修正内容を把握することができる。
【0062】
すなわち、実施の形態2によれば、設計変更時に製造手順情報60を参照することで、予め製造手順に対する部品以外の影響範囲を認識することができるため、製造手順情報60の改訂作業に無駄がなくなり、製造手順情報60の改訂作業における業務効率を向上させることが可能になる。
【0063】
次に、図12および図13を参照して、本発明のさらに他の実施の形態3について説明する。この実施の形態3における製造手順情報作成システム1の構成は、上述の実施の形態1と同様である。
【0064】
この実施形態3では、変更内容処理部15が、変更内容を強調表示する際に、製造手順情報60に含まれている治工具や乙材等に関するデータから治工具や乙材情報に対応する部品の情報を一覧として表示する機能を備えるようにしたものである。
【0065】
ここで、本実施の形態の場合、乙材とは、たとえば、部品の組立に用いられる接着材や汎用ねじ等の、いわゆる副資材を意味し、治工具と同様に製品部品表データ20や製造部品表50には現れない物品を意味する。
【0066】
変更内容処理部15は、前述した製造手順情報60から作成された図11の部品−治工具対応表80の治工具名84に基づいて、図12のように特定の治工具や乙材が使用されている製品に関する製造手順情報60から、治工具や乙材、製品および手順の一覧表を、治工具・乙材−手順対応表90として作成する。
【0067】
この治工具・乙材−手順対応表90には、治工具・乙材名91、製品名92、手順名93が対応付けて格納されている。
作成した治工具・乙材−手順対応表90により、変更内容処理部15は、図13のような製造手順書63(製造手順情報60)の該当部の一覧である、製造手順情報抜粋一覧画面240を表示する。
【0068】
この製造手順情報抜粋一覧画面240は、タイトル表示領域241と、製造手順情報表示領域242からなる。
タイトル表示領域241には、変更対象の部品コード241aと、関係する治工具の治工具コード241bが表示されている。
【0069】
また、製造手順情報表示領域242には、当該治工具に関係する全ての製造手順情報60(作業図情報61および工程図情報62)が、縦横に配列されて一覧表示されている。
【0070】
この実施の形態3によれば、設計変更により、製造手順情報60の変更された部品等のデータが特定の治工具や乙材を使用している場合、その使用箇所を一覧で表示することにより、影響範囲や修正箇所を容易に把握することが可能になり、製造手順情報60の改訂作業における業務効率を向上させることが可能になる。また、治工具や乙材のより適切な選定が可能になる。
次に、図14を参照して、上述の各実施の形態における製造手順情報作成システム1を構成するコンピュータシステム100の一例について説明する。
図14は、本発明の各実施の形態における製造手順情報作成システムを構成するコンピュータシステムの一例を示す概念図である。
【0071】
本実施の形態のコンピュータシステム100は、一例として、中央処理装置(CPU)110、主記憶120、データベースとしての記憶装置130、表示装置140、入力装置150、ネットワークインタフェース160およびこれらを接続する情報伝送路170を備えている。
【0072】
中央処理装置110は、たとえばマイクロプロセッサ等で構成され、後述の主記憶120に格納された製造手順情報作成プログラム10を実行することで、コンピュータシステム100を制御することにより、上述の製造部品表作成部11、工程設計部12、製造手順情報編集部13、変更箇所検出部14、変更内容処理部15の各々の機能を実現する。
【0073】
主記憶120は、たとえば半導体メモリで構成され、製造手順情報作成プログラム10や、製造手順情報作成プログラム10がアクセスするデータが後述のデータベース等から読み込まれて格納される。
【0074】
記憶装置130は、たとえば不揮発性記憶装置で構成され、製造部品表記憶部21、製造手順情報記憶部22、製造手順変更処理記憶部23が設定されるデータベースを構成している。
また、記憶装置130には、上述の製品部品表データ20、製品部品表データ20R、図面訂正情報データ30、等の情報をファイルやテーブルとして格納することができる。
【0075】
表示装置140は、たとえば、情報を可視化して表示するディスプレイ等のユーザインタフェースである。
入力装置150は、たとえばキーボードやマウス等の情報入力手段からなるユーザインタフェースである。
【0076】
ネットワークインタフェース160は、たとえば、外部の製品製造現場等に設置された製造手順情報閲覧端末400に対して、情報ネットワーク401を介して、製造部品表記憶部21に格納されている製造手順情報60を送信し、製造手順書63として閲覧可能にする。
【0077】
以上説明したように、本発明の各実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)設計変更に伴う製品の部品表の変更によって影響を受ける製造手順情報の箇所を効率的に特定することができ、また、設計者の意図に基づいた自動での修正が行われることにより、設計変更に伴う製造手順情報の改訂作業における業務効率を向上させることが可能になる。
【0078】
(2)設計変更時に製造手順情報を参照することで、予め製造手順に対する影響範囲を認識することができるため、製造手順情報の改訂作業に無駄がなくなり、製造手順情報の改訂作業における業務効率を向上させることが可能になる。
【0079】
(3)設計変更により、製造手順情報の変更されたデータが特定の治工具や乙材を使用している場合、その使用箇所を一覧で表示することにより、影響範囲や修正箇所を容易に把握することが可能になり、製造手順情報の改訂作業における業務効率を向上させることが可能になる。
【0080】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0081】
(付記1)
製品の部品表と、前記製品の部品表に基づいて作成された製造部品表に基づいて作成され且つ個々の手順と部品との関連情報を持つ製造手順情報と、前記製造部品表の来歴情報を保持するようにデータベースを構成し、前記製造部品表と前記製造手順情報の編集機能を持つ製造手順情報作成プログラムにおいて、設計変更による前記製品の部品表の変更内容に応じた図面訂正情報に基づいて、前記製造手順情報の変更する箇所を特定する、ことを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【0082】
(付記2)
付記1記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、前記設計変更による前記製品の部品表の変更内容と変更理由を結びつけた情報、および前記変更理由に対応する前記製造手順情報の変更処理方法を結びつけた情報とを保持するように前記データベースを構成し、前記製造手順情報の変更を自動で行うか、手動で行うか判断する、ことを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【0083】
(付記3)
付記2記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、前記製造手順情報の変更を手動で行うと判断した場合に、前記変更の影響箇所を強調表示する、ことを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【0084】
(付記4)
付記3記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、前記製造手順情報での前記影響箇所について、変更部品の名称や前記変更部品を表示した図を検索し特定する、ことを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【0085】
(付記5)
付記1記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、前記設計変更時に関連する前記製造手順情報を得ることで、前記製造部品表の変更処理とともに前記製造手順情報の影響情報を設定することを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【0086】
(付記6)
付記1記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、治工具や乙材情報が付加された前記製造手順情報に対し部品データとともに手順データを保持することにより、前記設計変更の対象部品に対する治工具や乙材の前記製造手順情報を一覧で表示することを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【符号の説明】
【0087】
1 製造手順情報作成システム
2 表示装置
3 入力装置
4 出力装置
10 製造手順情報作成プログラム
11 製造部品表作成部
12 工程設計部
13 製造手順情報編集部
14 変更箇所検出部
15 変更内容処理部
20 製品部品表データ
20R 製品部品表データ
20a 品名
20b 個数
21 製造部品表記憶部
22 製造手順情報記憶部
23 製造手順変更処理記憶部
30 図面訂正情報データ
31 シリアル番号
32 変更前部品名
33 変更後部品名
34 図面訂正理由
35 治工具変更情報
50 製造部品表
51 ノード
52 リンク
60 製造手順情報
61 作業図情報
62 工程図情報
62a 部品記号
62b 作業記号
62c 流線記号
63 製造手順書
70 製造手順変更処理データ
71 図面訂正理由
72 変更処理方法
80 部品−治工具対応表
81 製品名
82 手順名
83 部品名
84 治工具名
90 治工具・乙材−手順対応表
91 治工具・乙材名
92 製品名
93 手順名
100 製造手順情報作成システム
110 中央処理装置
120 主記憶
130 記憶装置
140 表示装置
150 入力装置
160 ネットワークインタフェース
170 情報伝送路
200 表示画面
210 表示画面
220 表示画面
221 指示枠
230 確認画面
240 製造手順情報抜粋一覧画面
241 タイトル表示領域
241a 部品コード
241b 治工具コード
242 製造手順情報表示領域
301 処理動作
302 処理動作
400 製造手順情報閲覧端末
401 情報ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の部品表と、前記製品の部品表に基づいて作成される製造部品表と、前記製造部品表に基づいて作成された製造手順情報と、前記製造部品表の来歴情報と、を保持する記憶手段と、
設計変更による前記製品の部品表の変更内容を含む図面訂正情報と前記来歴情報とに基づいて、前記製造手順情報の変更箇所を特定する変更箇所検出手段と、
を含むことを特徴とする製造手順情報作成システム。
【請求項2】
請求項1記載の製造手順情報作成システムにおいて、
前記図面訂正情報には、さらに前記設計変更による前記製品の部品表の前記変更内容に対応した変更理由が格納され、
前記記憶手段には、前記変更理由に対応する前記製造手順情報の変更処理方法を結びつけた製造手順変更処理情報が保持され、
前記図面訂正情報の前記変更理由と、前記製造手順変更処理情報とに基づいて、前記製造手順情報の変更を自動で行うか、手動で行うか、を判断する変更内容処理手段を備え、
前記変更内容処理手段は、
自動で行うと判断したときには、自動で前記製造手順情報の変更を行い、
手動で行うと判断したときには、手動による前記製造手順情報の入力を受付け、製造手順情報を変更することを特徴とする製造手順情報作成システム。
【請求項3】
請求項2記載の製造手順情報作成システムにおいて、
前記変更内容処理手段は、前記製造手順情報の変更を手動で行うと判断した場合に、前記変更の影響箇所を強調表示することを特徴とする製造手順情報作成システム。
【請求項4】
請求項3記載の製造手順情報作成システムにおいて、
前記製造手順情報は、部品の名称を用いて記述された工程図情報と、前記部品の構造図を用いて記述された作業図情報を含み、
前記変更箇所検出手段は、前記製造手順情報の前記工程図情報における変更対象の前記部品の名称、および前記作業図情報における変更対象の前記部品の構造図を検索して前記影響箇所として特定することを特徴とする製造手順情報作成システム。
【請求項5】
請求項1記載の製造手順情報作成システムにおいて、
前記変更内容処理手段は、前記設計変更に関連する前記製造手順情報に基づいて、前記製造部品表の変更処理とともに、前記製造手順情報の影響情報を前記図面訂正情報に設定することを特徴とする製造手順情報作成システム。
【請求項6】
請求項1記載の製造手順情報作成システムにおいて、
前記製造手順情報の前記来歴情報には、前記製品の部品表に記載された部品に用いられる治工具および前記部品以外の副資材の情報が付加され、
前記変更内容処理手段は、前記設計変更の対象の前記部品に用いられる前記治工具や前記副資材が関係する複数の前記製造手順情報を一覧で表示することを特徴とする製造手順情報作成システム。
【請求項7】
製品の部品表に基づいて作成され、製造手順情報の生成に用いられた製造部品表を来歴情報として記憶する第1ステップと、
設計変更による前記製品の部品表の変更内容を含む図面訂正情報と、前記製造部品表の前記来歴情報とに基づいて、前記製造手順情報の変更箇所を特定する第2ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【請求項8】
請求項7記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、
前記変更箇所の変更を行う第3ステップをする処理を前記コンピュータに実行させ、
前記図面訂正情報は、前記製品の部品表の前記変更内容に対応した変更理由を含み、
前記第2ステップでは、前記変更理由と当該変更理由に対応する前記製造手順情報の変更処理方法とを結びつけた情報を用いて、前記製造手順情報の変更を自動で行うか、手動で行うかを決定し、
前記第3ステップでは、自動で行うと判断したときには、自動で前記製造手順情報の変更を行い、手動で行うと判断したときには、手動による前記製造手順情報の入力を受付け、製造手順情報を変更する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【請求項9】
請求項8記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、
前記第2ステップで、前記製造手順情報の変更を手動で行うと判断した場合に、前記製造手順情報における前記変更の影響箇所を強調表示する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【請求項10】
請求項9記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、
前記製造手順情報は、部品の名称を用いて記述された工程図情報と、前記部品の構造図を用いて記述された作業図情報を含み、
前記製造手順情報の前記工程図情報における変更対象の前記部品の名称、および前記作業図情報における変更対象の前記部品の構造図を検索して前記影響箇所として特定する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【請求項11】
請求項7記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、
前記第2ステップでは、前記設計変更に関連する前記製造手順情報に基づいて、前記製造部品表の変更処理とともに、前記製造手順情報の影響情報を前記図面訂正情報に設定する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする製造手順情報作成プログラム。
【請求項12】
請求項7記載の製造手順情報作成プログラムにおいて、
前記製造手順情報の前記来歴情報に、前記製品の部品表に記載された部品に用いられる治工具および前記部品以外の副資材の情報が付加され、
前記第2ステップでは、前記設計変更の対象の前記部品に用いられる前記治工具や前記副資材が関係する複数の前記製造手順情報を一覧で表示する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする製造手順情報作成プログラム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図14】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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