説明

製麺用切出装置

【課題】カスリの掻き出し歯の破損やカスリの固定位置に麺線が引っ掛かることを抑制できる製麺用切出装置を提供する。
【解決手段】筐体50と、第1嵌入部16aを有する第1切刃ロール10aと、第2嵌入部16bを有する第2切刃ロール10bと、第1嵌入部16aに挿入配置される第1掻き出し歯32aを有すると共に筐体50に第1固定位置53aで固定される第1カスリ30aと、第2掻き出し歯42aを有する第2カスリ40aと、第3掻き出し歯32bを有すると共に筐体50に第2固定位置54aで固定される第3カスリ30bと、第4掻き出し歯42bを有する第4カスリ40bとを備え、第1カスリ30aは第1通過孔35aを有し、第3カスリ30bは第2通過孔35bを有し、第1固定位置53aは、第2歯先44aの位置よりも外側HXに位置し、第3固定位置53bは、第4歯先44bの位置よりも外側HXに位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類の製造において、切刃ロールによって麺帯を麺線に切り出すための切出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機械による麺線の切り出し方法は、対向して回転する一対の切刃ロールの間に、麺生地を圧延して薄く帯状にした麺帯を通し、線状に切り出す方法が主流である。この一対の切刃ロールそれぞれは、円周方向に形成される複数の刃と、刃同士の間に形成される複数の溝とを有する。切刃ロールには、切り出される麺線の形状や、刃先の形状によって角刃タイプ、丸刃タイプ、包丁刃タイプ等の複数のタイプが存在する。
【0003】
例えば、角刃タイプの切刃ロールは、一方の切刃ロールに形成される凸状の押込部(山ともいう)を、他方の切刃ロールの凹状の嵌入部(溝ともいう)に嵌入させることで麺帯を切断する。また、丸歯タイプや包丁刃タイプの切刃ロールは、一方の切刃ロールに形成される押込部(丸歯の場合細溝(浅溝)を有する部分)の先端部と、他方側の切刃ロールに形成される嵌入部(丸歯の場合太溝(深溝)を有する部分)の先端部とを当接させることで、麺帯を切断する。そして、いずれの場合でも、切断されて得られた麺線は、対向する切刃ロール同士の噛み合わせによってできた複数の空間部、すなわち、押込部と溝(嵌入部)とから形成される空間における溝側に、押し込まれた状態になる。
【0004】
溝に押し込まれた麺線は、溝の側面に密接しているため、切刃ロールの回転に伴って回転移動する。溝の側面に密接している麺線は、櫛状の歯を有するカスリ(「スクレパー」と呼ぶ場合もある)により、溝から掻き出される。具体的には、カスリに形成される複数の歯(掻き出し歯)における歯先を溝に挿入配置することで、切刃ロールの回転により回転移動されてくる麺線は、溝から掻き出される。このようにして切り出された麺線は、後工程において一定長に切断される。
【0005】
また、製麺時における問題点として、麺線同士の結着がある。麺線同士が結着すると、調理時や喫食時に麺がほぐれずに団子状になったり、麺を無理にほぐそうとして麺線が短く切れてしまったりするため、好ましくない。
【0006】
そこで、一方の切刃ロールにおいて、麺線を掻き出すカスリの歯先が配置される位置(切刃ロールの周方向の位置)を、隣り合う歯先でそれぞれ変えることにより、麺線を掻き出すタイミングを変えて、麺線同士の結着を抑制する技術が知られている。このような、カスリの隣り合う歯先の位置を切刃ロールの周方向の前後にずらす先行技術としては特許文献1から3に記載の技術がある。これらのうち、特許文献1及び2に記載の技術は、1個のカスリにおける掻き出し歯の長さを隣同士で異ならせることで、隣り合う櫛歯の歯先位置をずらしている。一方、特許文献3に記載の技術は、1本の切刃ロールに対してカスリを2個用い、それぞれのカスリにおける設置位置を切刃ロールの周方向の前後にずらすことで、隣り合う櫛歯の歯先位置をずらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−210924号公報
【特許文献2】特開平8−84554号公報
【特許文献3】実開昭57−203787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1及び2に記載の技術並びに特許文献3に記載の技術では、麺線同士の結着をある程度抑制できるものの、次の問題点を有する。
具体的には、特許文献1及び2に記載の技術では、1個のカスリにおける櫛歯(掻き出し歯)の長さを隣同士で異ならせているため、特に、長さの長い方の掻き出し歯において、金属疲労などにより、掻き出し歯が折れたり、曲がったりして破損するという問題点がある。
【0009】
一方、特許文献3の記載の技術では、1本の切刃ロールに対してカスリを2個配置し、それぞれのカスリにおける設置位置を前後にずらしているため、特許文献1及び2に記載の技術とは異なり、掻き出し歯の長さを特に長くする必要がない。従って、前述の掻き出し歯が破損するという問題点については抑制することができる。
【0010】
しかし、特許文献3の記載の技術においても、以下の問題点を有する。
具体的には、切刃ロール同士の噛合位置に近い位置に設置されているカスリが種々の障害となる。例えば、カスリにより切刃ロールから掻き出されて落下する麺線が噛合位置に近いカスリやその固定位置(カスリが筐体に固定される部分)に引っ掛かり、切り出された麺線を搬送するベルトコンベアなどに落下しなくなることがある。
【0011】
本発明は、麺線同士の結着を抑制できると共に、カスリの掻き出し歯の破損や、カスリの固定位置に麺線が引っ掛かることを抑制できる製麺用切出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、筐体と、第1回転軸を中心に第1回転方向へ回転可能であって、円周方向に形成された複数の第1押込部と前記複数の第1押込部同士の間にそれぞれ形成された複数の第1嵌入部とを有する第1切刃ロールと、前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に前記第1回転方向と反対の第2回転方向へ回転可能であって、円周方向に形成された複数の第2押込部と前記複数の第2押込部同士の間にそれぞれ形成された複数の第2嵌入部とを有すると共に、前記第1切刃ロールと噛合位置で噛み合うように配置された第2切刃ロールと、前記複数の第1嵌入部に挿入配置される複数の第1掻き出し歯を有すると共に前記筐体に第1固定位置において固定される第1カスリと、前記複数の第1掻き出し歯が挿入配置されない残りの第1嵌入部それぞれに挿入配置される複数の第2掻き出し歯を有すると共に、前記複数の第2掻き出し歯の第2歯先それぞれが前記複数の第1掻き出し歯の第1歯先それぞれよりも前記第1回転軸を中心に前記噛合位置から第1回転方向の下流側の位置に配置され、前記筐体に第2固定位置において固定される第2カスリと、前記複数の第2嵌入部に挿入配置される複数の第3掻き出し歯を有すると共に前記筐体に第3固定位置において固定される第3カスリと、前記複数の第3掻き出し歯が挿入配置されない残りの第2嵌入部それぞれに挿入配置される複数の第4掻き出し歯を有すると共に、前記複数の第4掻き出し歯の第4歯先それぞれが前記複数の第3掻き出し歯の第3歯先それぞれよりも前記第2回転軸を中心に前記噛合位置から第2回転方向の下流側の位置に配置され、前記筐体に第4固定位置において固定される第4カスリと、を備え、前記第1カスリは、前記第2カスリの複数の第2掻き出し歯により前記複数の第1嵌入部それぞれから掻き出されて落下する麺線を前記第1カスリの下方側に通過させる第1通過孔を有し、前記第3カスリは、前記第4カスリの複数の第4掻き出し歯により前記複数の第2嵌入部それぞれから掻き出されて落下する麺線を前記第3カスリの下方側に通過させる第2通過孔を有し、前記第1回転軸及び前記第2回転軸に直交する水平方向において前記噛合位置から離れる方向を水平方向外側という場合に、前記第1固定位置は、前記第2掻き出し歯の第2歯先の位置よりも水平方向外側に位置すると共に、前記第3固定位置は、前記第4掻き出し歯の第4歯先の位置よりも水平方向外側に位置する製麺用切出装置に関する。
【0013】
また、前記第2カスリは、前記第1通過孔を介して前記第1カスリにおける前記第1切刃ロールとは反対側から前記第1切り刃ロール側に亘って延びており、前記第4カスリは、前記第2通過孔を介して前記第3カスリにおける前記第2切刃ロールとは反対側から前記第2切り刃ロール側に亘って延びていることが好ましい。
【0014】
また、前記第2固定位置は、前記第1固定位置よりも水平方向外側に位置すると共に、前記第4固定位置は、前記第3固定位置よりも水平方向外側に位置することが好ましい。
【0015】
また、前記第2カスリは、前記第1回転軸に沿って複数配列され、前記第1通過孔は、前記複数の第2カスリに対応して前記第1回転軸に沿って複数設けられ、前記第1回転軸に沿って隣接する前記第1通過孔同士は、非連続となっており、前記第4カスリは、前記第2回転軸に沿って複数個配列され、前記第2通過孔は、前記複数の第4カスリに対応して前記第2回転軸に沿って複設けられ、前記第2回転軸に沿って隣接する前記第2通過孔同士は、非連続となっていることが好ましい。
【0016】
また、前記第2カスリは、前記第1カスリよりも前記第1切刃ロール側に位置しており、前記第4カスリは、前記第3カスリよりも前記第2切刃ロール側に位置していることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、麺線同士の結着を抑制できると共に、カスリの掻き出し歯の破損や、カスリの固定位置に麺線が引っ掛かることを抑制できる製麺用切出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の製麺用切出装置1の構造を説明する断面図である。
【図2】図1に示す製麺用切出装置1を下方から視た斜視図である。
【図3】第1切刃ロール10a及び第2切刃ロール10bを説明する平面図である。
【図4】第1切刃ロール10a及び第2切刃ロール10bの部分拡大図である。
【図5】第1切刃ロール10aと第2切刃ロール10bとの噛み合い状態を説明する図である。
【図6】第1カスリ30a及び第2カスリ40aの配置を説明する斜視図である。
【図7】第1カスリ30aと第2カスリ40aとを分離させた状態を示す斜視図である。
【図8A】第1カスリ30a及び第2カスリ40aにおける歯の配置を説明する図である。
【図8B】図8Aの部分拡大図である。
【図9A】第1カスリ30aにおける第1歯群36aの配置を説明する図である。
【図9B】第1カスリ30aにおける第2歯群37aの配置を説明する図である。
【図9C】第2カスリ40aにおける歯の配置を説明する図である。
【図10】仕切り部材100を示す斜視図である。
【図11】仕切り部材100が装着された状態を下方から視た斜視図である。
【図12】第1実施形態の製麺用切出装置1において複数の生麺線3が切り出される状態を説明する図である。
【図13A】第2実施形態における第1カスリ230a及び第2カスリ240aを示す底面図である。
【図13B】図13Aの部分拡大図である。
【図14A】第3実施形態における第1カスリ330a及び第2カスリ340aを示す底面図である。
【図14B】図14Aの部分拡大図である。
【図15】第4実施形態の製麺用切出装置401の構造を説明する断面図である。
【図16】第4実施形態の製麺用切出装置401において複数の生麺線3が切り出される状態を説明する図である。
【図17A】角刃の切刃ロールにおける第1カスリ630aにおける第1掻き出し歯632aの配置を説明する図である。
【図17B】角刃の切刃ロールにおける第2カスリ640aにおける第2掻き出し歯642aの配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の製麺用切出装置の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の製麺用切出装置1の構造を説明する断面図である。図2は、図1に示す製麺用切出装置1を下方から視た斜視図である。図3は、第1切刃ロール10a及び第2切刃ロール10bを説明する平面図である。図4は、第1切刃ロール10a及び第2切刃ロール10bの部分拡大図である。図5は、第1切刃ロール10aと第2切刃ロール10bとの噛み合い状態を説明する図である。図6は、第1カスリ30a及び第2カスリ40aの配置を説明する斜視図である。図7は、第1カスリ30aと第2カスリ40aとを分離させた状態を示す斜視図である。
【0020】
図8Aは、第1カスリ30a及び第2カスリ40aにおける歯の配置を説明する図である。図8Bは、図8Aの部分拡大図である。図9Aは、第1カスリ30aにおける第1歯群36aの配置を説明する図である。図9Bは、第1カスリ30aにおける第2歯群37aの配置を説明する図である。図9Cは、第2カスリ40aにおける歯の配置を説明する図である。図10は、仕切り部材100を示す斜視図である。図11は、仕切り部材100が装着された状態を下方から視た斜視図である。図12は、第1実施形態の製麺用切出装置1において複数の生麺線3が切り出される状態を説明する図である。
【0021】
図12に示すように、第1実施形態の製麺用切出装置1は、麺帯2を切り出して複数の生麺線3を形成する装置である。
まず、図1から図11により、第1実施形態の製麺用切出装置1の構成について説明する。
第1実施形態の製麺用切出装置1は、丸刃の切刃ロール(切り出された麺線の断面が略円形になる切刃ロール)を有する丸刃タイプの装置における一例である。
【0022】
図1から図3に示すように、第1実施形態の製麺用切出装置1は、筐体50と、第1切刃ロール10aと、第2切刃ロール10bと、第1カスリ30aと、第2カスリ40aと、第3カスリ30bと、第4カスリ40bと、を備える。
筐体50は、第1矩形フレーム56(図3参照)と、第2矩形フレーム57(図3参照)と、第1横架部材51aと、第2横架部材52aと、第3横架部材51bと、第4横架部材52bと、を備える。また、筐体50は、第1切刃ロール10aの第1回転軸C1及び第2切刃ロール10bの第2回転軸C2の軸方向に延びる棒状又は板状(ブロック状)の部材、第1回転軸C1及び第2回転軸C2の軸方向と直交する方向に延びる棒状又は板状(ブロック状)の部材など(いずれも図示せず)を備える。
【0023】
第1矩形フレーム56及び第2矩形フレーム57は、第1切刃ロール10a及び第2切刃ロール10bそれぞれの軸部材が挿通される2対の貫通孔(図示せず)を備える。この2対の貫通孔により、第1切刃ロール10a及び第2切刃ロール10bが軸支される。
第1横架部材51a、第2横架部材52a、第3横架部材51b及び第4横架部材52bは、第1回転軸C1及び第2回転軸C2の軸方向に延びる棒状又は板状(ブロック状)の部材からなる。
第1カスリ30a、第2カスリ40a、第3カスリ30b及び第4カスリ40bは、それぞれ第1横架部材51a、第2横架部材52a、第3横架部材51b及び第4横架部材52bに取り付けられる。
筐体50の下方には、搬送コンベア500が配置される。
【0024】
図1から図5に示すように、第1切刃ロール10aは、第1回転軸C1を中心に第1回転方向R1へ回転可能に構成される。第1切刃ロール10aは、円周方向に形成された複数の第1押込部(丸歯の場合には通常細溝(浅溝)を有する箇所)15aと、複数の第1押込部15a同士の間にそれぞれ形成された複数の第1嵌入部(丸歯の場合には通常太溝(深溝)を有する箇所)16aとを有する。複数の第1押込部15aと複数の第1嵌入部16aとは、第1回転軸C1の軸方向にそれぞれ交互に並ぶように形成される。
【0025】
図3から図5に示すように、第1切刃ロール10aには、円周方向に形成される複数の刃部70aと、所定の刃部70aと一方側において隣り合う刃部70aとの間に形成される複数の太溝81aと、所定の刃部70aと他方側において隣り合う刃部70aとの間に形成される複数の細溝82aとが形成される。
【0026】
図5に示すように、刃部70aは、先端側に形成される一方側(図5における左側)の傾斜部71aと、他方側(図5における右側)の傾斜部72aとを有する。
また、複数の太溝81a及び複数の細溝82aそれぞれは、第1回転軸C1の軸方向において、交互に並ぶように形成される。
【0027】
ここで、第1押込部15aは、細溝82aと、細溝82aにおける先端側に側面と連続して形成される傾斜部71a及び傾斜部72aと、により構成される。
また、第1嵌入部16aは、太溝81aと、太溝81aにおける先端側に側面と連続して形成される傾斜部72a及び傾斜部71aと、により構成される。
【0028】
上述の通り、複数の第1押込部15aは、第1回転軸C1の軸方向に所定間隔で形成される。複数の第1押込部15aそれぞれは、複数の第1嵌入部16a同士の間に形成される。つまり、第1押込部15aと第1嵌入部16aは第1回転軸C1の軸方向に連続して交互に形成される。
【0029】
図1から図5に示すように、第2切刃ロール10bは、第1回転軸C1に平行な第2回転軸C2を中心に第1回転方向R1と反対の第2回転方向R2へ回転可能に構成される。第2切刃ロール10bは、円周方向に形成された複数の第2押込部15bと、複数の第2押込部15b同士の間にそれぞれ形成された複数の第2嵌入部16bとを有する。複数の第2押込部15bと複数の第2嵌入部16bとは、第2回転軸C2の軸方向にそれぞれ交互に並ぶように形成される。
【0030】
図3から図5に示すように、第2切刃ロール10bには、円周方向に形成される複数の刃部70bと、所定の刃部70bと一方側において隣り合う刃部70bとの間に形成される複数の太溝81bと、所定の刃部70bと他方側において隣り合う刃部70bとの間に形成される複数の細溝82bとが形成される。
【0031】
図5に示すように、刃部70bは、先端側に形成される一方側(図5における右側)の傾斜部71bと、他方側(図5における左側)の傾斜部72bとを有する。
また、複数の太溝81b及び複数の細溝82bそれぞれは、第2回転軸C2の軸方向において、交互に並ぶように形成される。
【0032】
ここで、第2押込部15bは、細溝82bと、細溝82bにおける先端側に側面と連続して形成される傾斜部71b及び傾斜部72bと、により構成される。
また、第2嵌入部16bは、太溝81bと、太溝81bにおける先端側に側面と連続して形成される傾斜部72b及び傾斜部71bと、により構成される。
【0033】
上述の通り、複数の第2押込部15bは、第2回転軸C2の軸方向に所定間隔で形成される。複数の第2押込部15bそれぞれは、複数の第2嵌入部16b同士の間に形成される。つまり、第2押込部15bと第2嵌入部16bは第2回転軸C2の軸方向に連続して交互に形成される。
【0034】
図1から図5に示すように、第2切刃ロール10bは、第1切刃ロール10aと所定の噛合位置10で噛み合うように配置される。噛合位置10は、第1回転軸C1と第2回転軸C2とを含む平面H上に形成される。
【0035】
図3及び図5に示すように、噛合位置10において、第1切刃ロール10aにおける複数の第1押込部15aそれぞれと、第2切刃ロール10bにおける複数の第2嵌入部16bそれぞれとは、噛み合った状態である。また、噛合位置10において、第2切刃ロール10bにおける複数の第2押込部15bそれぞれと、第1切刃ロール10aにおける複数の第1嵌入部16aそれぞれとは、噛み合った状態である。
【0036】
詳細には、噛合位置10において、第1切刃ロール10aにおける複数の刃部70aそれぞれと、第2切刃ロール10bにおける複数の刃部70bそれぞれとは、互いの傾斜部同士が近接又は当接した状態となる。
【0037】
更に詳細には、噛合位置10において、第1切刃ロール10aにおける太溝81aを構成する両側の刃部70a、70aの内側の傾斜部に対して、第2切刃ロール10bにおける細溝82bを構成する両側の刃部70b、70bの外側の傾斜部が当接するようにして、刃部70aと刃部70とは噛み合っている。
同様に、噛合位置10において、第2切刃ロール10bにおける太溝81bを構成する両側の刃部70b、70bの内側の傾斜部に対して、第1切刃ロール10aにおける細溝82aを構成する両側の刃部70a、70aの外側の傾斜部が当接するようにして、刃部70aと刃部70とは噛み合っている。
【0038】
上述のような噛み合い状態が形成されることで、麺帯2(図12参照)は、図5に示すように、複数の生麺線3にせん断される。具体的には、麺帯2は、せん断されて複数の生麺線3に形成され、形成された生麺線3は、第1切刃ロール10aにおける第1押込部15aにより第2切刃ロール10bにおける第2嵌入部16bに押し込まれ、また、第2切刃ロール10bにおける第2押込部15bにより第1切刃ロール10aにおける第1嵌入部16aに押し込まれる。
各嵌入部に押し込まれた生麺線3は、断面が円形又は円形に近い形状に形成される。そして、各嵌入部に押し込まれた生麺線3は、後述する各カスリにより掻き出される。
【0039】
なお、上述の説明においては、刃部70a、70bにおける先端に形成される一方側の傾斜部71a、71bと、他方側の傾斜部72a、72bとは、同じ角度であると説明しているが、これに限定されない。2つの傾斜部は、角度が異なるように構成されていてもよい。例えば、押込部15a、15bを構成する傾斜部の角度を大きく(傾斜を緩くする)し、嵌入部16a、16bを形成する傾斜部の角度を小さく(傾斜を急にする)こともできる。この場合、押込部15a、15bを構成する2つの傾斜部の角度が大きくなるので、(麺帯2を切断してなる)生麺線3を嵌入部16b、16aに好適に押し込むことができる。
【0040】
図1及び図2に示すように、第1カスリ30a及び第2カスリ40aは、第1切刃ロール10aに対応して設けられる。第3カスリ30b及び第4カスリ40bは、第2切刃ロール10bに対応して設けられる。それぞれのカスリは、その歯先が挿入される切刃ロールに対する接線と歯先とが成す角度(接触角)が約10°〜60°の範囲となるように、筐体50に取り付けられる。また、この範囲において、麺線を掻き出しやすく、かつ、カスリの歯先ができるだけ磨り減らないような位置を適宜設定することが好ましい。
【0041】
第2切刃ロール10bに対応する第3カスリ30b及び第4カスリ40bにおける配置や形状等は、それぞれ第1切刃ロール10aに対応する第1カスリ30a及び第2カスリ40aにおける配置や形状等と同じである。従って、第1カスリ30aに関する説明及び第2カスリ40aに関する説明は、符号の末尾の「a」を「b」に置き換えた上で(例えば、「32a」を「32b」に置き換える)、それぞれ第3カスリ30b及び第4カスリ40bの説明に援用される。
【0042】
次に、各カスリ30a,40a,30b,40bについて説明する。
図1、図2及び図6から図8Bに示すように、各カスリ30a,40a,30b,40bは、略矩形状を有する板状の部材からなり、1本又は複数本(本実施形態では2本)の屈曲部において屈曲した略弧状の形状を有する。
【0043】
図8Aから図9Bに示すように、第1カスリ30aは、一端部に、第1歯群36aと第2歯群37aとを備える。第1歯群36aは、第1回転軸C1の軸方向に1つおきの第1嵌入部16aに挿入配置される複数の第1掻き出し歯32aからなる。第2歯群37aは、第1回転軸C1の軸方向に各第1嵌入部16aに挿入配置される複数の第1掻き出し歯32aと、第1押込部15aを構成する細溝82aに挿入される第1清掃歯33aとが、交互に配列してなる。第1歯群36aは、第1通過孔35a(第2カスリ40a)に対応する位置に配置される。第2歯群37aは、第1通過孔35aに対応しない位置(梁状片38aを含む)に配置される。つまり、第1歯群36aと第2歯群37aとは、第1回転軸C1の軸方向に交互に配列する。
【0044】
ここで、複数の第1掻き出し歯32a及び後述する第2掻き出し歯42aそれぞれは、複数の第1嵌入部16a(太溝81a)それぞれに押し込まれて内面に密接している生麺線3を掻き出すための歯である。第1清掃歯33a及び後述する第2清掃歯43aは、押込部を構成する細溝に入り込んだ切りカスを取り出すための歯であり、麺線を掻き出すための歯ではない。
【0045】
第1カスリ30aは、複数個(本実施形態では3個)の第1通過孔35aを有する。第1通過孔35aは、第2カスリ40aの複数の第2掻き出し歯42aにより複数の第1嵌入部16aそれぞれから掻き出されて落下する生麺線3を、第1カスリ30aの下方側に通過させるために設けられる孔部である。また、第1通過孔35aは、第2カスリ40aを挿通させるための孔部である。
【0046】
図8A、図8B及び図9Cに示すように、第2カスリ40aは、一端部に、第3歯群46aを備える。第3歯群46aは、第1カスリ30a及び第2カスリ40aが筐体50に取り付けられた状態において、第1カスリ30aにおける複数の第1掻き出し歯32aが挿入配置されていない残りの第1嵌入部16aそれぞれに挿入配置される複数の第2掻き出し歯42aと、第1押込部15aを構成する細溝82aに挿入される第2清掃歯43aとが、配列してなる。
【0047】
なお、第1カスリ30aにおける第1掻き出し歯32aと第2カスリ40aにおける第2掻き出し歯42aとが同じ第1嵌入部16aに挿入配置されるように、第1掻き出し歯32a及び第2掻き出し歯42aを設けてもよい。この場合、第1嵌入部16aは、第1掻き出し歯32a又は第2掻き出し歯42aのいずれか一方により麺線が掻き出されるため、第1掻き出し歯32a又は第2掻き出し歯42aのいずれか他方は、麺線を掻き出すためではなく、太溝内に残った切りカスの清掃用として機能する。
また、第1カスリ30a及び第2カスリ40aにおいて、掻き出し歯及び清掃歯の配列は、麺線の掻き出し及び切りカスの清掃ができれば、特に制限されない。
【0048】
図1及び図2に示すように、第1カスリ30aは、筐体50における第1固定位置53aにおいて固定される。本実施形態における第1固定位置53aは、第1横架部材51aである。第2カスリ40aは、筐体50における第2固定位置54aにおいて固定される。本実施形態における第2固定位置54aは、第2横架部材52aである。第2横架部材52aは、噛合位置10よりも水平方向外側HXに配置される。
【0049】
ここで、「水平方向外側」とは、第1回転軸C1及び第2回転軸C2に直交する水平方向Hにおいて噛合位置10から離れる方向をいう。
第1カスリ30aは、第1横架部材51aに固定ボルトB1により固定される。第1横架部材51aと固定ボルトB1との間には、ワッシャー部材B11が介在される。第2カスリ40aは、第2横架部材52aに固定ボルトB2により固定される。第2横架部材52aと固定ボルトB2との間には、ワッシャー部材B21が介在される。
【0050】
第1固定位置53aは、第2掻き出し歯42aの第2歯先44aの位置よりも水平方向外側HXに位置する。水平方向Hにおいて、第2掻き出し歯42aの第2歯先44aの位置から第1固定位置53aの距離は、第2カスリ40aの第2掻き出し歯42aにより第1切刃ロール10aから掻き出された麺線が移動する軌跡などに基づいて、適宜設定される。第1固定位置53aは、第1切刃ロール10aよりも下方に位置する。
【0051】
第2カスリ40aは、第1回転軸C1に沿って複数個(本実施形態では3個)配列される。
第1カスリ30aにおいて、第1通過孔35aは、複数個(本実施形態では3個)の第2カスリ40aに対応して、第1回転軸C1に沿って複数個(本実施形態では3個)設けられる。第1回転軸C1に沿って隣接する第1通過孔35a,35aの間には、梁状片38aが設けられる。この梁状片38aが設けられることにより、第1通過孔35aを設けることによる第1カスリ30aの強度の低下を低減する(補強する)ことができる。また、梁状片38aが設けられることで、隣接する第1通過孔35a,35a同士は、非連続となっている。
【0052】
第2固定位置54aは、第1固定位置53aよりも水平方向外側HXに位置する。第2カスリ40aは、第2固定位置54aにおいて第1カスリ30aよりも第1切刃ロール10aから離間している。また、第2カスリ40aは、第2掻き出し歯42a側が第1通過孔35aを介して第1カスリ30aにおける第1切刃ロール10aとは反対側から第1切り刃ロール10a側に亘って延びている。つまり、第2カスリ40aは、第1通過孔35を介して、第1カスリ30aと交差している。
また、第2カスリ40aは、第1通過孔35aにおける水平方向外側HXの端縁近傍の位置を通過する。これにより、第1通過孔35aの開口面積を最大限確保することができる。
【0053】
図1に示すように、第1カスリ30aは、複数の第1掻き出し歯32aそれぞれにおける歯先である複数の第1歯先34aそれぞれが第1回転軸C1を中心に噛合位置10から第1回転方向R1へ5°〜90°、好ましくは30°〜60°の位置(11a)に配置される。
【0054】
また、第2カスリ40aは、複数の第2掻き出し歯42aそれぞれにおける歯先である複数の第2歯先44aそれぞれが第1回転軸C1を中心に噛合位置10から第1回転方向R1へ30°〜90°、好ましくは45°〜60°の位置(12a)に配置される。
【0055】
また、第2カスリ40aは、第2歯先44aの位置12aが第1歯先34aの位置11aから第1回転軸C1を中心に第1回転方向R1へ30°以上離れるように離間して配置されることが好ましい。
ここで、歯先位置は、各嵌入部の底面における歯先が対向した位置である。
【0056】
前述したように、第1カスリ30a及び第2カスリ40aに関する説明は、それぞれ第3カスリ30b及び第4カスリ40bの説明に援用されるが、第3カスリ30b及び第4カスリ40bにおける主な構成について、以下に説明する。
第3カスリ30b及び第4カスリ40bは、第1カスリ30a及び第2カスリ40aと同様の位置関係で、第2切刃ロール10bに対して配置される。この場合、回転軸は第2回転軸C2であり、回転方向は第2回転方向R2である。
【0057】
第3カスリ30bは、第2通過孔35bを有する。第2通過孔35bは、第4カスリ40bの複数の第4掻き出し歯42bにより複数の第2嵌入部16bそれぞれから掻き出されて落下する生麺線3を、第3カスリ30bの下方側に通過させるために設けられる孔部である。
【0058】
第4カスリ40bは、第2回転軸C2に沿って複数個(3個)配列される。
第3カスリ30bにおいて、第2通過孔35bは、複数の第4カスリ40bに対応して第2回転軸C2に沿って複数個(3個)設けられる。第2回転軸C2に沿って隣接する第2通過孔35b,35b同士は、非連続となっている。
第3固定位置53bは、第4掻き出し歯42bの第4歯先44bの位置よりも水平方向外側HXに位置する。第4固定位置54bは、第2切刃ロール10bよりも下方に位置する。
【0059】
第4固定位置54bは、第3固定位置53bよりも水平方向外側HXに位置する。第4カスリ40bは、第4固定位置54bにおいて第3カスリ30bよりも第2切刃ロール10bから離間している。第4カスリ40bは、第4掻き出し歯42b側が第2通過孔35bを介して第3カスリ30bにおける第2切刃ロール10bとは反対側から第2切り刃ロール10b側に亘って延びている。第4カスリ40bは、第2通過孔35bにおける水平方向外側HXの端縁近傍の位置を通過する。
【0060】
次に、仕切り部材100について説明する。仕切り部材100は、両切刃ロール10a,10bにより切り出され且つ各カスリ30a,40a,30b,40bにより掻き出された麺線3を所定の幅(量)に仕切るために用いられる。
詳述すると、図10に示すように、仕切り部材100は、平行に配列する複数の仕切り板110と、複数の仕切り板110を連結する連結部材120と、連結部材120を筐体50に固定させる仕切り固定部材130と、を備える。
【0061】
仕切り固定部材130を介して仕切り部材100を筐体50に固定すると、図11に示すように、複数の仕切り板110は、両回転軸C1,C2と直交するように配列する。そして、複数の仕切り板110により、筐体50の下部の空間、特に各カスリ30a,40a,30b,40bの下部の空間を、両回転軸C1,C2に沿って配列する複数の空間150に仕切ることができる。
複数の仕切り板110の間隔などを適宜設定することにより、カスリにより掻き出された麺線3を所定の幅(量)に仕切ることができる。
【0062】
続けて、図12により、製麺用切出装置1の動作について説明する。
図12に示すように、製麺用切出装置1における第1切刃ロール10aと第2切刃ロール10bとの噛合位置10に投入された麺帯2は、噛合位置10においてせん断(切断)され、複数の生麺線3が形成される。
【0063】
せん断(切断)されて形成された複数の生麺線3は、第1切刃ロール10aにおける複数の第1嵌入部16aと、第2切刃ロール10bにおける複数の第2嵌入部16bとに嵌入される。
【0064】
複数の生麺線3を第1嵌入部16aに嵌入した第1切刃ロール10aは、第1回転軸C1を中心に第1回転方向R1に回転される。第1切刃ロール10aの回転に伴って回転移動された生麺線3の一部は、まず、第1カスリ30aにより掻き出される。第1カスリ30aにより掻き出された生麺線3は、ほぼ垂直下方向に垂れ下がり、第1カスリ30aと第3カスリ30bとの間を介して、搬送コンベア500の上に落下する。
【0065】
そして、第1切刃ロール10aの更なる回転に伴って回転移動された残りの生麺線3は、第2カスリ40aにより掻き出される。第2カスリ40aにより掻き出された生麺線3は、ほぼ垂直下方向に垂れ下がり、第1カスリ30aの第1通過孔35aを通過して、搬送コンベア500の上に落下する。
【0066】
一方、複数の生麺線3を第2嵌入部16bに嵌入した第2切刃ロール10bは、第2回転軸C2を中心に第2回転方向R2に回転される。第2切刃ロール10bの回転に伴って回転移動された生麺線3の一部は、まず、第3カスリ30bにより掻き出される。第3カスリ30bにより掻き出された生麺線3は、ほぼ垂直下方向に垂れ下がり、第1カスリ30aと第3カスリ30bとの間を介して、搬送コンベア500の上に落下する。
【0067】
そして、第2切刃ロール10bの更なる回転に伴って回転移動された残りの生麺線3は、第4カスリ40bにより掻き出される。第4カスリ40bにより掻き出された生麺線3は、ほぼ垂直下方向に垂れ下がり、第3カスリ30bの第2通過孔35bを通過して、搬送コンベア500の上に落下する。
【0068】
製麺用切出装置1により形成された複数の生麺線3は、搬送コンベア500における後述するベルト510上に切り出される。本実施形態において、第1カスリ30a、第2カスリ40a、第3カスリ30b及び第4カスリ40bそれぞれにより掻き出された生麺線3は、掻き出された順番に下側に層をなすようにベルト510上に載置されていき、概ね4層に重なった状態で搬送される。
切り出された複数の生麺線3は、ベルト510の移動に伴って、後工程に搬送される。
【0069】
第1実施形態の製麺用切出装置1による麺線の切り出し工程の前後には、その他の工程が適宜設けられる。
前工程としては、例えば、麺生地を圧延して麺帯を形成する麺帯形成工程が挙げられる。
後工程としては、例えば、生麺線の蒸煮工程、蒸煮された麺線の冷却工程、麺線の引き伸ばし工程、麺線の長さ方向のカット工程、麺の乾燥工程、麺の包装工程が挙げられる。
【0070】
第1実施形態の製麺用切出装置1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
第1実施形態における製麺用切出装置1においては、第1カスリ30aの第1固定位置53aは、第2掻き出し歯42aの第2歯先44aの位置よりも水平方向外側HXに位置すると共に、第3カスリ30bの第3固定位置53bは、第4掻き出し歯42bの第4歯先44bの位置よりも水平方向外側HXに位置する。従って、麺線同士の結着やカスリの掻き出し歯の破損を抑制することができると共に、例えば、特許文献3に記載の装置に比して、例えば、カスリにより切刃ロールから掻き出されて落下する麺線が切刃ロール同士の噛合位置に近いカスリやその固定位置に引っ掛かり、切り出された麺線を搬送するベルトコンベアなどに落下しなくなること等の障害を抑制することができる。
【0071】
また、第1実施形態における製麺用切出装置1においては、第1カスリ30aは第1通過孔35aを有し、第3カスリ30bは第2通過孔35bを有している。そのため、第2カスリ40aの複数の第2掻き出し歯42aにより複数の第1嵌入部16aそれぞれから掻き出されて落下する生麺線3を第1カスリ30aの下方側に通過させることができる。また、第4カスリ40bの複数の第4掻き出し歯42bにより複数の第2嵌入部16bそれぞれから掻き出されて落下する生麺線3を第3カスリの下方側に通過させることができる。
【0072】
また、第1実施形態における製麺用切出装置1においては、第2カスリ40aは第1通過孔35aを介して第1カスリ30aと交差しており、また、第4カスリ40bは第2通過孔35bを介して第3カスリ30bと交差している。そのため、カスリの歯先が挿入される切刃ロールに対する接線と歯先とが成す角度(接触角)などの影響により歯先の摩耗が大きく、交換頻度が高い第2カスリ40a及び第4カスリ40bを、交換頻度の低い第1カスリ30a及び第3カスリ30bを外すことなく、交換することができる。そのため、カスリの交換に関するメンテナンス作業を効率化することができる。
【0073】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号又は所定の数字を加算した符号を付し、詳しい説明を省略する。加算する所定の数字は、後述する第2実施形態から第4実施形態において、それぞれ「200」、「300」及び「400」である。例えば、第1実施形態における「第1カスリ30a」に対して、第2実施形態においては、「第1カスリ230a」とする。
他の実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、他の実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0074】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図13Aは、第2実施形態における第1カスリ230a及び第2カスリ240aを示す底面図である。図13Bは、図13Aの部分拡大図である。
図13A及び図13Bに示すように、第2実施形態の製麺用切出装置は、第1実施形態の製麺用切出装置1に比して、主として、1個の第1通過孔235aに配置される第2カスリ240aの個数が異なる。
【0075】
具体的には、第2実施形態においては、1個の第1カスリ230aに1個の第1通過孔235aが設けられている。従って、第1カスリ230aは、第1実施形態における梁状片38aを備えていない。第1カスリ230aは、梁状片38aに対応して設けられる第2歯群37aを備えていない。
第2実施形態における第1通過孔235aの長さは、例えば、第1実施形態における第1通過孔35aの長さの約3倍である。第2実施形態においては、1個の第1カスリ230aの第1通過孔235aに対して3個の第2カスリ240aが配置される。3個の第2カスリ40aは、第1回転軸C1の軸方向に実質的に隙間無く配列している。
【0076】
このように、第2実施形態においては、3個の第2カスリ240aが第1回転軸C1の軸方向に実質的に隙間無く配列しているため、第1実施形態のように、第1掻き出し歯32aと第1清掃歯33aとが交互に配列してなる第2歯群37aを、梁状片38aに対応した位置に設ける必要がない。従って、第2歯群37aにおいて麺線の結着が発生しやすい第1実施形態に比して、麺線の結着の発生を抑制することができる。
【0077】
また、1個の第1カスリ230aの第1通過孔235aに対して3個の第2カスリ240aが配置されるため、例えば、1個の第2カスリ240aが破損した場合、その破損した1個の第2カスリ240aのみを交換すれば足り、第2カスリ240aを効率的に交換することができる。
【0078】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図14Aは、第3実施形態における第1カスリ330a及び第2カスリ340aを示す底面図である。図14Bは、図14Aの部分拡大図である。
図14A及び図14Bに示すように、第3実施形態の製麺用切出装置は、第2実施形態の製麺用切出装置に比して、主として、1個の第1カスリ330aに1個の第1通過孔335aが設けられ、1個の第1通過孔335aに1個の第2カスリ340aが配置される点が異なる。
【0079】
具体的には、第3実施形態においては、第2実施形態と同様に、1個の第1カスリ330aに1個の第1通過孔335aが設けられている。また、第3実施形態における第1通過孔335aの長さは、例えば、第1実施形態における第1通過孔35aの長さの約3倍である。
一方、第3実施形態においては、1個の第1カスリ330aの第1通過孔335aに対して1個の第2カスリ340aが挿通される。第3実施形態における第2カスリ340aの長さは、例えば、第1実施形態における第2カスリ40aの長さの約3倍である。
第3実施形態によれば、カスリの個数を抑制することができる。
【0080】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図15は、第4実施形態の製麺用切出装置401の構造を説明する断面図である。図16は、第4実施形態の製麺用切出装置401において複数の生麺線3が切り出される状態を説明する図である。
図15に示すように、第4実施形態の製麺用切出装置401は、第1実施形態の製麺用切出装置1に比して、主として、第2カスリ440aが第1カスリ430aの第1通過孔435aを挿通していないと共に、第4カスリ440bが第3カスリ430bの第2通過孔435bを挿通していない点が異なる。
【0081】
詳述すると、第2固定位置454aは、第1固定位置453aよりも水平方向外側HXに位置する。第2カスリ440aは、第2固定位置454aにおいて第1カスリ430aよりも第1切刃ロール410aに接近している。そのため、第2カスリ440aは、第1カスリ430aの第1通過孔435aを挿通しなくても、第1カスリ430aよりも第1切刃ロール410a側に位置する。
【0082】
同様に、第4固定位置454bは、第3固定位置453bよりも水平方向外側HXに位置する。第4カスリ440bは、第4固定位置454bにおいて第3カスリ430bよりも第2切刃ロール410bに接近している。そのため、第4カスリ440bは、第3カスリ430bの第2通過孔435bを挿通しなくても、第3カスリ430bよりも第2切刃ロール410b側に位置する。
【0083】
詳述すると、第4実施形態においては、第1カスリ430aの第1通過孔435aは、第2カスリ440aの複数の第2掻き出し歯442aにより複数の第1嵌入部416aそれぞれから掻き出されて落下する生麺線3を、第1カスリ430aの下方側に通過させるためのみに設けられる。同様に、第3カスリ430bの第2通過孔435bは、第4カスリ440bの複数の第2掻き出し歯442bにより複数の第2嵌入部416bそれぞれから掻き出されて落下する生麺線3を、第3カスリ430bの下方側に通過させるためのみに設けられる。
【0084】
詳述しないが、図16に示すように、第4実施形態の製麺用切出装置401は、主として、第1カスリ430aと第2カスリ440aとの配置関係及び第3カスリ430bと第4カスリ440bとの配置関係が異なる点を除き、第1実施形態の製麺用切出装置1と同様に動作する。
【0085】
前述の各実施形態の製麺用切出装置は、麺線の切断面が略円形となる丸刃タイプの装置であるが、これに限定されない。本発明の製麺用切出装置は、例えば、断面が四角になる角刃タイプや包丁刃タイプ、その他のタイプの装置にも適用することができる。
【0086】
以下に、図17A及び図17Bにより、切刃ロールが角刃タイプの場合について簡単に説明する。図17Aは、角刃の切刃ロールにおける第1カスリ630aにおける第1掻き出し歯632aの配置を説明する図である。図17Bは、角刃の切刃ロールにおける第2カスリ640aにおける第2掻き出し歯642aの配置を説明する図である。
【0087】
図17A及び図17Bに示すように、角歯タイプの切刃ロール610aには、断面矩形の凸部(山部)と凹部(溝部)とが不図示の回転軸方向に交互に連続して形成される。角歯タイプの製麺用切出装置において、上述の第1実施形態の製麺用切出装置1(丸刃タイプ)の押込部15a(細溝を含む部分)に相当する箇所が凸部615aであり、嵌入部(太溝を含む部分)16aに相当する箇所が凹部616aである。
角刃タイプの場合、押込部は丸刃タイプにおける細溝を有さない。このため、各カスリは、細溝部の清掃用歯を有さず、掻き出し歯632a、642aのみを有する。
【0088】
また、切刃ロール610aにおける回転軸に対して垂直方向の断面は、丸刃タイプの製麺用切出装置1に係る図1に示す断面とほぼ同じである。
丸刃タイプの装置と同様に、角歯タイプの製麺用切出装置は、第1切刃ロールと第2切刃ロールとが噛合位置で噛み合うと共に、押込部(凸部615a)が相手方ロールの嵌入部(凹部616a)に薄い麺帯を押し込んで線状にせん断して、麺線を形成する。嵌入部(凹部616a)に押し込まれた麺帯(麺線)は、第1切刃ロール610aに対して配置された第1カスリ630a及び第2カスリ640a、第2切刃ロールに対して配置された第3カスリ及び第4カスリそれぞれの掻き出し歯によって、掻き出されて切り出される。
【0089】
第1カスリ630aの掻き出し歯632aは、第1切刃ロール610aの嵌入部(凹部616a)に不図示の第1回転軸方向において1つおきに挿入配置され、第2カスリ640aの掻き出し歯642aは、掻き出し歯632aが挿入されていない嵌入部(凹部616a)に挿入配置される。第1カスリ630a及び第2カスリ630bがこのように配置されることで、第1切刃ロール610aの回転に伴って、麺線は、第1カスリ630a、第2カスリ640aの順でそれぞれ掻き出し歯632a、642aによって掻き出され、それぞれ分かれて切り出される。第2切刃ロールにおいても、麺線は、第3カスリ及び第4カスリによって同様に分かれて切り出される。そして、その後については上述の丸刃の場合と同様である。
【0090】
なお、第2カスリ640a(第4カスリ)の掻き出し歯642aについては、丸刃の場合と同様に、全ての嵌入部(凹部616a)に挿入配置される構造(図17Bの破線部により表される掻き出し歯を有する構造)とし、既に第1カスリ630aで掻き出した後の嵌入部(凹部616a)を掃除する清掃用の歯を有する構造としてもよい。
【0091】
本発明の製麺用切出装置は、特に結着が起こりやすく、強固に結着する蒸し麺や、蒸し麺を乾燥させた即席麺に最も有効に使用されるが、それ以外の麺においても好適に使用することができる。例えば、生麺の場合でも充分な打粉をしなければ結着するし、茹で麺の場合でも、連続した麺線のまま搬送しつつで茹でるようなときには、隣り合う麺線同士が結着する場合が多く見られるので、このような場合にも、本発明の製麺用切出装置は有効である。
【0092】
また、上述の第1実施形態においては、第1切刃ロール10aが搬送コンベア500の下流側、第2切刃ロール10bが搬送コンベア500の上流側に配置されているが、これに限定されず、互いに反対側に配置されていてもよい。また、第1切刃ロール10aと第2切刃ロール10bは、上述の第1実施形態においては水平に配列しているが、これに制限されず、両ロールの回転軸を結ぶ平面Hが水平方向に対して45°以下程度傾いた状態で、配列してもよい。
【0093】
また、上述の第1実施形態においては、第1切刃ロール10a及び第2切刃ロール10bに対し、それぞれのカスリの位置は、両切刃ロールの回転軸に垂直な平面において左右対称に配置しているが、左右対称に配置しなくてもよい。例えば、第1カスリ30aの歯先と第3カスリ30bの歯先における噛合位置10からの角度をそれぞれ異ならせて配置してもよく、また、第2カスリ40aの歯先と第4カスリ40bの歯先における噛合位置10からの角度をそれぞれ異ならせて配置してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 製麺用切出装置
10 噛合位置
10a 第1切刃ロール
10b 第2切刃ロール
15a 第1押込部
15b 第2押込部
16a 第1嵌入部
16b 第2嵌入部
30a 第1カスリ
40a 第2カスリ
30b 第3カスリ
40b 第4カスリ
32a 第1掻き出し歯
42a 第2掻き出し歯
32b 第3掻き出し歯
42b 第4掻き出し歯
34a 第1歯先
44a 第2歯先
34b 第3歯先
44b 第4歯先
35a 第1通過孔
35b 第2通過孔
53a 第1固定位置
54a 第2固定位置
53b 第3固定位置
54b 第4固定位置
C1 第1回転軸
C2 第2回転軸
HX 水平方向外側
R1 第1回転方向
R2 第2回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
第1回転軸を中心に第1回転方向へ回転可能であって、円周方向に形成された複数の第1押込部と前記複数の第1押込部同士の間にそれぞれ形成された複数の第1嵌入部とを有する第1切刃ロールと、
前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に前記第1回転方向と反対の第2回転方向へ回転可能であって、円周方向に形成された複数の第2押込部と前記複数の第2押込部同士の間にそれぞれ形成された複数の第2嵌入部とを有すると共に、前記第1切刃ロールと噛合位置で噛み合うように配置された第2切刃ロールと、
前記複数の第1嵌入部に挿入配置される複数の第1掻き出し歯を有すると共に前記筐体に第1固定位置において固定される第1カスリと、
前記複数の第1掻き出し歯が挿入配置されない残りの第1嵌入部それぞれに挿入配置される複数の第2掻き出し歯を有すると共に、前記複数の第2掻き出し歯の第2歯先それぞれが前記複数の第1掻き出し歯の第1歯先それぞれよりも前記第1回転軸を中心に前記噛合位置から第1回転方向の下流側の位置に配置され、前記筐体に第2固定位置において固定される第2カスリと、
前記複数の第2嵌入部に挿入配置される複数の第3掻き出し歯を有すると共に前記筐体に第3固定位置において固定される第3カスリと、
前記複数の第3掻き出し歯が挿入配置されない残りの第2嵌入部それぞれに挿入配置される複数の第4掻き出し歯を有すると共に、前記複数の第4掻き出し歯の第4歯先それぞれが前記複数の第3掻き出し歯の第3歯先それぞれよりも前記第2回転軸を中心に前記噛合位置から第2回転方向の下流側の位置に配置され、前記筐体に第4固定位置において固定される第4カスリと、を備え、
前記第1カスリは、前記第2カスリの複数の第2掻き出し歯により前記複数の第1嵌入部それぞれから掻き出されて落下する麺線を前記第1カスリの下方側に通過させる第1通過孔を有し、
前記第3カスリは、前記第4カスリの複数の第4掻き出し歯により前記複数の第2嵌入部それぞれから掻き出されて落下する麺線を前記第3カスリの下方側に通過させる第2通過孔を有し、
前記第1回転軸及び前記第2回転軸に直交する水平方向において前記噛合位置から離れる方向を水平方向外側という場合に、
前記第1固定位置は、前記第2掻き出し歯の第2歯先の位置よりも水平方向外側に位置すると共に、前記第3固定位置は、前記第4掻き出し歯の第4歯先の位置よりも水平方向外側に位置する
製麺用切出装置。
【請求項2】
前記第2カスリは、前記第1通過孔を介して前記第1カスリにおける前記第1切刃ロールとは反対側から前記第1切り刃ロール側に亘って延びており、
前記第4カスリは、前記第2通過孔を介して前記第3カスリにおける前記第2切刃ロールとは反対側から前記第2切り刃ロール側に亘って延びている
請求項1に記載の製麺用切出装置。
【請求項3】
前記第2固定位置は、前記第1固定位置よりも水平方向外側に位置すると共に、
前記第4固定位置は、前記第3固定位置よりも水平方向外側に位置する
請求項2に記載の製麺用切出装置。
【請求項4】
前記第2カスリは、前記第1回転軸に沿って複数配列され、
前記第1通過孔は、前記複数の第2カスリに対応して前記第1回転軸に沿って複数設けられ、前記第1回転軸に沿って隣接する前記第1通過孔同士は、非連続となっており、
前記第4カスリは、前記第2回転軸に沿って複数個配列され、
前記第2通過孔は、前記複数の第4カスリに対応して前記第2回転軸に沿って複設けられ、前記第2回転軸に沿って隣接する前記第2通過孔同士は、非連続となっている
請求項2又は3に記載の製麺用切出装置。
【請求項5】
前記第2カスリは、前記第1カスリよりも前記第1切刃ロール側に位置しており、
前記第4カスリは、前記第3カスリよりも前記第2切刃ロール側に位置している
請求項1に記載の製麺用切出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【公開番号】特開2011−1(P2011−1A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143020(P2009−143020)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【特許番号】特許第4438018号(P4438018)
【特許公報発行日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000226976)日清食品ホールディングス株式会社 (127)
【Fターム(参考)】