説明

製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置

【課題】ニーダーへ供給する穀粉の量を、回転板の外周部全周に均等間隔に配設した同一サイズの計量孔に充填することにより計量する機構を具有するホッパー装置であって、計量孔に充填されていた穀粉を、落下口部分において全量確実に落下させることができ、以て、安定した品質の麺の量産を可能にする、製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置を提供することを課題とする。
【解決手段】底部に攪拌機構2を備えるホッパー1と、攪拌機構2の下側に仕切板3を介して配置されて、攪拌機構2の回転動作に伴って回転する計量用回転板4と、攪拌機構2を支持し、ニーダー内に通じる落下口6を備えていてその上面に沿って計量回転板4が摺動回転するベース板5とから成り、仕切板3の落下口対応部とは反対側の縁部に穀粉供出孔6が形成され、また、計量用回転板4の周縁部に、外方に開口し且つ内周面が下方に向かって拡がる計量孔17が定間隔置きに多数形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置に関するものであり、より詳細には、うどんやそば等の麺類を量産する製麺ラインの始端部に配置され、原料穀粉をその下に配置されるニーダーに定量づつ供給するための、製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に麺類は、穀粉と水を混捏してドゥを生成し、ドゥを圧延して麺帯となし、麺帯を切り出して麺線を形成し、その後麺線の蒸し工程等を経て製品化される。ドゥは一般に、ニーダー内において、投入された穀粉を加湿しつつ攪拌軸で混捏することにより生成されるが、麺の品質は、このドゥの加水率、即ち、穀粉と水の混合比率によって変わってくる。そのため、安定した品質の麺を量産するためには、穀粉と水の混合比率の管理を厳格に行う必要があるが、水の供給量の管理は比較的容易であるのに対し、穀粉の供給量の管理は必ずしも容易ではない。
【0003】
従来、ホッパーからニーダーへの穀粉の定量供給には、例えば、攪拌棒が取り付けられたホッパーから供給される原料穀粉を、周縁部に貫通孔(計量孔)を設けた回転板を回転させつつ、その計量孔で計量する機構を備えたホッパー装置が用いられている。その装置は、例えば、穀粉を充填する計量孔が、外周部全周に均等間隔に配設された回転板と、前記計量孔に充填された穀粉の上部を摺切る摺切板とを用い、底板に設けられた落下口から穀粉を定量、自重落下させてニーダーへ送るように構成されていて、前記落下口上方および落下口近傍上方以外の任意箇所に貫通孔を複数個形成した仕切板を、前記攪拌棒と回転板の間に設けたことを特徴とするものである(特公平8−2229号公報参照)。
【0004】
このホッパー装置においては、穀粉が、回転板の外周部全周に均等間隔に配設した均一な大きさの計量孔に充填されることにより、例えば1食分づつ計量されて、回転板の回転に伴って自重で計量孔から脱落してニーダーに供給される。
【0005】
このホッパー装置の場合、計量孔に充填された穀粉が必ず全量落下するということであれば、ホッパーからニーダーへの穀粉供給量の管理が十分に可能である。しかし、実際は、特に穀粉が湿気を帯びているような場合に自重で固まったりすることがあり、そのような場合には、穀粉が計量孔の内周面に付着しやすくなるため、常に全量落下という訳にはいかない。このことは言うまでもなく、穀粉と水の混合比率が均一とはならず、多かれ少なかれ、麺の品質にばらつきが生ずることを意味するので、当然、そのような事態の発生は避けなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平8−2229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、ホッパーから供給される原料穀粉を、周縁部に計量孔を設けた回転板を回転させつつ、その計量孔で計量する機構を備えた従来のホッパー装置によって、穀粉を定量づつ自重落下させてニーダーへ送る方法の場合は、穀粉の一部が計量孔の内周面に付着して残って常時全量落下という訳にはいかないため、穀粉と水の混合比率を一定に保つことが難しく、多かれ少なかれ、品質にばらつきが生ずるおそれがあった。
【0008】
そこで本発明は、ニーダーへ供給する穀粉の量を、回転板の外周部全周に均等間隔に配設した同一サイズの計量孔に充填することにより計量する機構を具有するホッパー装置であって、計量孔に充填されていた穀粉を、落下口部分において全量確実に落下させることができ、以て、安定した品質の麺の量産を可能にする、製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、底部に攪拌機構を備えるホッパーと、前記攪拌機構の下側に仕切板を介して配置されて、前記攪拌機構の回転動作に伴って回転する計量用回転板と、前記攪拌機構を支持し、ニーダー内に通じる落下口を備えていてその上面に沿って前記計量回転板が摺動回転するベース板とから成り、前記仕切板の前記落下口対応部とは反対側の縁部に穀粉供出孔が形成され、また、前記計量用回転板の周縁部に、外方に開口し且つ内周面が下方に向かって拡がる計量孔が定間隔置きに多数形成されていることを特徴とする、製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置である。
【0010】
一実施形態においては、前記計量孔の内周面は、下方に向かって段階的に拡がるように形成され、あるいは、前記計量孔の内周面は、下方に向かって拡がるテーパ面に形成される。また、一実施形態においては、前記落下口付近において前記計量孔の開口部に向けて水平方向にエアを吹き付けるブロー機構が配備される。
【0011】
一実施形態においては、前記仕切板との間に前記攪拌機構の攪拌ロッドの通過間隙を保持して、前記穀粉供出孔を跨ぐように、粉押込み板が配備される。そして、前記粉押込み板の裏面は、前記攪拌ロッドの回転方向上流側から下流側に向かう下り傾斜面とされる。また、一実施形態においては、前記落下口の下側に振動筒が配備される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述したとおりであって、本発明に係る製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置の計量用回転板の周縁部に定間隔置きに多数形成される計量孔は、外方に開口し且つ内周面が下方に向かって拡がった形状とされるため、その内周面に穀粉が付着残存することが確実に防止され、以て、麺類の量産工程において、穀粉の定量づつの供給が可能となり、麺の品質の安定化と信頼性の確保が可能となる効果がある。
【0013】
請求項4乃至請求項6に記載の発明においては、穀粉が計量孔の内周面へ付着残存することが一層確実に防止される効果があり、請求項5及び請求項6に記載の発明においては更に、計量孔の容量を増やしたり、計量用回転板の回転速度を速めたりすることなく、ニーダー内への穀粉供給量を増大することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置の構成例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置の要部縦断面図である。
【図3】本発明に係る製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置における計量孔への穀粉充填部の構成を示す平面図である。
【図4】本発明に係る製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置における計量孔への穀粉充填部の構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明に係る製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置における計量孔からの穀粉落下部の構成を示す平面図である。
【図6】本発明に製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置の計量用回転板の計量孔の構成例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面に依拠して説明する。図1は、本発明に係る製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置の分解斜視図であり、そこに示されるように本装置は、底部に攪拌機構2を備えるホッパー1と、攪拌機構2の下側に仕切板3を介して配置されて、攪拌機構2の回転動作に伴って回転する計量用回転板4と、攪拌機構2を支持し、ニーダー内に通じる落下口6を備えていてその上面に沿って計量用回転板4が摺動回転するベース板5とを備えて構成される。
【0016】
図示してないが、通例、ホッパー1には、穀粉の残量を検出して自動補充する機構が組み込まれる。また、穀粉残量を目視可能にするために、ホッパー1の周面の全体又は一部を透視可能にすることもある。図2に示されるように、攪拌機構2は、その中心に配置される被動軸12と、被動軸12に取り付けられる1又は複数の攪拌ロッド13とから成り、攪拌ロッド13は、被動軸12がベース板5の裏面に配設されるモータ10の駆動軸11に直結されることにより、回転駆動される。計量用回転板4は、被動軸12に固定されることにより、攪拌ロッド13と同一方向に同速度にて回転駆動される。
【0017】
仕切板3は、その周縁部が、ベース板5上に定置される受け枠14と受け枠14の上に配置されるホッパー受け15との間に挟持され、ホッパー受け15がベース板5上に配備された締板支柱21の上面に固定ネジ23でネジ止めされた締板22で締め付けられることにより、ホッパー受け15及び受け枠14と共に、固定ベース5上に確固と保持固定される。仕切板3は、ホッパー1内に投入された穀粉をダイレクトに受けるもので、その落下口6対応位置とは反対側の縁部に、穀粉供出孔16が透設される。穀粉供出孔16は、通例、図示したような円弧状のものとされるが、円孔を円弧状に配列したものであってもよい。
【0018】
穀粉供出孔16の中程を跨ぐようにして、粉押込み板7が設置される(図3、図4参照)。粉押込み板7はホッパー受け15に設けられる。粉押込み板7と仕切板3との間には、攪拌機構2の攪拌ロッド13が通過し得る間隙が保持される。通例、粉押込み板7の裏面は、攪拌ロッド13の回転方向上流側から下流側に向かって上記間隙が次第に狭くなるように、攪拌ロッド13の回転方向上流側から下流側に向かう下り傾斜面とされる(図4参照)。
【0019】
計量用回転板4は、その周縁部に、外方に開口する半円形状又はU字形状の計量孔17が、定間隔置きに多数形成されたものである。本発明における計量孔17は、内周面が下方に向かって拡がるように形成される。そのために計量孔17の内周面は、例えば、下方に向かって段階的に拡がるように形成され(図6(A))、あるいは、下方に向かって拡がるテーパ面とされる(図6(B))。
【0020】
このように、計量孔17の内周面を下方に向かって拡がるように形成することとしたのは、そこに穀粉が付着残留しにくくするためである。計量孔17からの穀粉の脱落は穀粉の自重によるが、計量孔17の内周面に穀粉が付着残留することをより確実に防止するために、好ましい実施形態においては、受け枠14に、計量孔17の開口部に向けて水平方向にエアを吹き付けるブロー機構19が設置される(図5参照)。ブロー機構19を設置した場合は、穀粉の計量孔17の内周面からの剥離が一層促進される。
【0021】
通例、落下口6の下側には、ニーダーの内部に通じる振動筒25が配備される。振動筒25は、ベース板5の裏面に設置された振動用モータ26の動作に伴って振動し、落下口6から落下してくる穀粉が筒内周面へ付着することを防止する。
【0022】
上記構成において、ホッパー1内に穀粉が投入されると、穀粉は仕切り板3上に堆積する。そこでモーター10を稼働させると、仕切板3上に堆積した穀粉は、攪拌機構2の攪拌ロッド13の回転に伴い、攪拌されながら穀粉供出孔16から仕切板3の裏面側に導入され、仕切板3の裏面側において回転している計量用回転板4の計量孔17を充填する。
【0023】
ここにおいて、粉押込み板7の作用についてより詳細に説明する。この粉押込み板7は、湿気及び穀粉残量の多寡によって粉層下部にかかる圧力差に起因して生ずる、計量上の大きなばらつきを防止するためのものである。即ち、湿気が多い場合には穀粉は固まりやすくなるが、その固まった穀粉は攪拌ロッド13に押されて回転してしまい、穀粉供出孔16に落ち切らない結果、計量孔17内に収まる粉量に大きなばらつきが生ずるおそれがある。また、ホッパー1内の穀粉の残量が多い場合と少ない場合とでは、粉層下部にかかる圧力差が異なるために、やはり、計量に大きなばらつきが生ずるおそれがあるのである。この計量のばらつきは、換言すれば、穀粉の計量孔17内への充填密度のばらつきである。
【0024】
しかるに、本発明に係る装置においては、穀粉供出孔16の中程を跨ぐようにして、粉押込み板7が設置されている。この場合は、たとえ湿気が多くて穀粉が固まる傾向にあっても、攪拌ロッド13に押送されてホッパー受け15の内周面に沿って移動してくる穀粉は、粉押し込み板7に当たるに至り、粉押し込み板7の天面の傾斜面に沿って強制的に下方に押し込まれつつ移動して穀粉供出孔16から落下し、その下で回転する計量用回転板4の計量孔17にほぼ定量づつ、換言すれば、同じ充填密度にて充填されていく。
【0025】
計量孔17内に充填された穀粉は、計量孔17の内周面と受け枠14の内周面、並びに、仕切板3の裏面とベース板5の上面とに囲まれたスペース内に閉じ込められたまま押送されて落下口6上に到来し、そこにおいて計量孔17内の穀粉はすべて、自重で脱落してニーダー内に落ち、混捏に供される。
【0026】
各計量孔17は、外方に開口し且つ内周面が下方に向かって拡がった形状とされているために、穀粉はその内周面から確実に剥離し、そこに付着残存することはない。ここにおいて、付着残存することなく全量落下することは、上記のとおり、粉押込み板7の作用で穀粉が計量孔17内に高密度に充填されることによって一層助長される。また、ブロー機構19を設けて計量孔17に向けてエアを吹き付けるようにした場合には、その剥離作用が助長され、穀粉が計量孔17の内周面に付着残存することが一層確実に防止される。
【0027】
なお、ニーダー内への穀粉の供給量を多くするためには、計量回転板4を厚くして計量孔17の容量を増やすか、計量回転板4の回転速度を速める必要がある。しかるに、本発明に係る装置においては、上記のように、粉押込み板7の作用で穀粉を計量孔17内に高密度に充填するようにしているため、計量回転板4を厚くすることなく、且つ、計量回転板4の回転速度を速めることなく、ニーダー内への穀粉の供給量を増やすことができる。
【0028】
かくして、本発明に係る装置を用いた場合には、麺類の量産工程において、穀粉のニーダーへの定量づつの供給が可能となり、麺の品質の安定化と信頼性の確保が可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1 ホッパー
2 攪拌機構
3 仕切板
4 計量用回転板
5 ベース板
6 落下口
7 粉押込み板
8 蓋
10 モータ
11 駆動軸
12 被動軸
13 攪拌ロッド
14 受け枠
15 ホッパー受け
16 穀粉供出孔
17 計量孔
21 締板支柱
22 締板
23 固定ネジ
25 振動筒





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に攪拌機構を備えるホッパーと、前記攪拌機構の下側に仕切板を介して配置されて、前記攪拌機構の回転動作に伴って回転する計量用回転板と、前記攪拌機構を支持し、ニーダー内に通じる落下口を備えていてその上面に沿って前記計量回転板が摺動回転するベース板とから成り、
前記仕切板の前記落下口対応部とは反対側の縁部に穀粉供出孔が形成され、また、前記計量用回転板の周縁部に、外方に開口し且つ内周面が下方に向かって拡がる計量孔が定間隔置きに多数形成されていることを特徴とする、製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置。
【請求項2】
前記計量孔の内周面は、下方に向かって段階的に拡がるように形成されている、請求項1に記載の製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置。
【請求項3】
前記計量孔の内周面は、下方に向かって拡がるテーパ面に形成されている、請求項1に記載の製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置。
【請求項4】
前記落下口付近において前記計量孔の開口部に向けて水平方向にエアを吹き付けるブロー機構が配備された、請求項1乃至3のいずれかに記載の製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置。
【請求項5】
前記仕切板との間に前記攪拌機構の攪拌ロッドの通過間隙を保持して、前記穀粉供出孔を跨ぐように、粉押込み板が配備されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置。
【請求項6】
前記粉押込み板の裏面は、前記攪拌ロッドの回転方向上流側から下流側に向かう下り傾斜面とされている、請求項5に記載の製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置。
【請求項7】
前記落下口の下側に振動筒が配備されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の製麺装置における穀粉供給用ホッパー装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−165714(P2012−165714A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30705(P2011−30705)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(399131677)トーキョーメンキ株式会社 (5)
【出願人】(511041651)株式会社めんでる (2)
【Fターム(参考)】