説明

複合ケーブルおよび複合ケーブルの製造方法

【課題】各ケーブルを容易かつ確実に接続可能であるとともに、屈曲した場合でも確実な接続状態を保持する複合ケーブルおよび複合ケーブルの製造方法を提供すること。
【解決手段】基板1上に配置された複数の接続部に対してそれぞれ接続する複数のケーブル3と、複数のケーブル3を覆う外皮20とによって構成された複合ケーブル2であって、複数のケーブル3の長手方向を互いに平行な位置関係で固定した位置固定部21と、位置固定部21の端部から延びる複数のケーブル3を撚り合わせた撚合部22と、を備え、位置固定部21は、複数のケーブル3のケーブル端面Sにおける配置パターンが複数の接続部の配置パターン10と鏡像対称となるようにケーブル3を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のケーブルを一括して接続することができる複合ケーブルおよび複合ケーブルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の電子機器間を接続する際、その電子機器が備える接続部同士を、複数のケーブルが束ねられた複合ケーブルを用いて接続することが一般的に行われている。この複合ケーブルにおいて、例えば、所定長のツイスト部と所定長の非ツイスト部とを所定ピッチ毎に交互に備えたものを使用することで、電子機器のノイズに対する信頼性を向上する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−18813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の複合ケーブルは、各々のケーブルを電子機器が備える接続部に接続する際、接続面における各ケーブルの配置と接続部の電極配置とが一致していない場合がある。この場合には、そのケーブルを所定の順に並べる整線作業が必要となるため、作業工数がかかる上、電子機器側の接続部に対して間違ったケーブルを接続してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各ケーブルを容易かつ確実に接続可能である複合ケーブルおよび複合ケーブルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる複合ケーブルは、基板上に配置された複数の接続部に対してそれぞれ接続する複数のケーブルと、該複数のケーブルを覆う外皮とによって構成された複合ケーブルであって、前記複数のケーブルの長手方向を互いに平行な位置関係で固定した位置固定部と、前記位置固定部の端部から延びる前記複数のケーブルを撚り合わせた撚合部と、を備え、前記位置固定部は、前記複数のケーブルの前記長手方向と直交する断面における配置パターンが前記複数の接続部の配置パターンと鏡像対称であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる複合ケーブルは、上記の発明において、前記位置固定部の当該複合ケーブルが延びる方向に沿った長さは、前記撚合部の前記沿った長さと比して短いことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる複合ケーブルは、上記の発明において、前記位置固定部は、各ケーブルと前記外皮との間を固定する固定部材により、位置関係を固定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる複合ケーブルは、上記の発明において、前記外皮は、前記位置固定部に位置する表面の少なくとも一部に、該位置固定部であることを示す標識部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる複合ケーブルは、上記の発明において、前記複数のケーブルの一部からなるケーブル群を複数有し、前記撚合部は、前記ケーブル群を構成する複数のケーブル同士を互いに撚り合わせるとともに、複数の前記ケーブル群同士を互いに撚り合わせたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる複合ケーブルの製造方法は、基板上に配置された複数の接続部に対しそれぞれ接続する複数のケーブルと、該複数のケーブルを覆う外皮とによって構成された複合ケーブルの製造方法であって、前記複数のケーブルの前記長手方向と直交する断面における配置パターンを前記複数の接続部の配置パターンと鏡像対称とし、かつ前記複数のケーブルの長手方向を互いに平行な位置関係で固定する位置固定ステップと、前記位置固定部の端部から延びる前記複数のケーブルを撚り合わせる撚合ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配置パターンに対応した位置関係で固定された位置固定部と、ケーブル群および各ケーブルを撚り合わせた撚合部とを設けたので、各ケーブルを容易かつ確実に接続できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルを示す図である。
【図2】図2は、図1に示す複合ケーブルの部分断面図である。
【図3】図3は、図2に示す複合ケーブルを模式的に示す模式図である。
【図4】図4は、図1に示す基板の接続部の配置パターンを模式的に示す模式図である。
【図5】図5は、図1に示す複合ケーブルの断面を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルのケーブル群を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルのケーブル群を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルのケーブル群を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルの製造方法の処理の概要を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルの製造方法を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルの製造方法を示す模式図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルの製造方法を示す模式図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルの製造方法を示す模式図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態の変形例1である複合ケーブルを示す模式図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態の変形例2である複合ケーブルを示す模式図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態の変形例3である複合ケーブルを示す模式図である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態の変形例4である複合ケーブルを示す模式図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態の変形例5である複合ケーブルを示す模式図である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明に係る複合ケーブルの実施の形態について説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルを示す図である。また、図2は、位置固定部21を形成する領域であって、図1に示す複合ケーブル2が延びる方向に垂直な平面を切断面とする部分断面図である。複合ケーブル2は、複数のケーブル3からなるケーブル群3A〜3Cを束ね、この束ねたケーブル群3A〜3Cを、外部シールドおよび樹脂などで実現され、外部シールドの外周を覆う外皮20によって固定する。この固定された状態で、複合ケーブル2の接続端面に対して研磨処理を施し、各ケーブル3の接続端部を含む接続端面を同一面に形成する。この接続端面を基板1に形成された複数の接続部を有する配置パターン10にケーブル3がそれぞれ当接することで、複合ケーブル2と基板1との間を電気的に接続する。本実施の形態において、複合ケーブル2は、例えば10本のケーブルからなるケーブル群で構成されている。この複合ケーブル2では、10本のケーブル中8本が信号入出力ラインとして使用され、1本のケーブルが電源ライン、1本のケーブルがGNDラインとしてそれぞれ使用されている。
【0016】
複合ケーブル2は、配置パターン10の各接続部にそれぞれ対応し、かつ複数のケーブル3の長手方向を互いに平行な位置関係で固定した位置固定部21と、位置固定部21の端部から延び、複数のケーブル3を撚り合わせた撚合部22と、を備える。なお、所定数のケーブル3が群をなすケーブル群3A〜3Cは、同一クロック等、電磁ノイズの影響が考慮されてまとめられている。
【0017】
各ケーブル3は、同一径の同軸ケーブルであり、芯線31の外周に内部絶縁体を介してシールド線が形成され、このシールド線の外周に外部絶縁体32が設けられている。
【0018】
上述した複合ケーブル2は、位置固定部21のケーブル端面Sを配置パターン10が形成された基板1に接続して、基板1と複合ケーブル2の他方の端部との間を電気的に導通する。なお、複合ケーブル2と基板1とは、例えば二視野光学系等を用いて複合ケーブル2のケーブル端面Sにおける配置パターンおよび基板1の接続部の配置パターン10が画像認識された後、半田等で接合される。また、複合ケーブル2と基板1との間にACFなどの異方性導電性樹脂材料を挟み込み、この異方性導電性樹脂を熱圧着することによって複合ケーブル2と基板1とを接合してもよい。
【0019】
ここで、複合ケーブル2のケーブル3の配置パターンと基板1の配置パターン10とについて図3〜6に示す模式図を用いて説明する。図3は、図2に示す複合ケーブル2を模式的に示す模式図である。図4は、基板1の接続部の配置パターン10を模式的に示す模式図である。図5は、撚合部22を形成する領域であって、図1に示す複合ケーブル2が延びる方向に垂直な平面を切断面とする模式図である。また、図6は、複合ケーブル2のケーブル群3A〜3Cを示す模式図である。なお、図3,5に示す模式図では、切断面に対する複合ケーブル2の上下方向が紙面の上下方向と一致しているものとして説明する。
【0020】
複合ケーブル2の位置固定部21では、図3に示すケーブル端面S1(複合ケーブル2の長手方向と直交する断面)において、ケーブル3a〜3jの接続対象先である接続部10a〜10jの配置パターン10(図4参照)と鏡像対称な位置関係となるようにケーブル3a〜3jが固定配置されている。また、ケーブル3a〜3d、3e〜3gおよび3h〜3jは、電磁ノイズの影響を抑えることができるようにケーブル群3A〜3Cにそれぞれ分けられている。ケーブル群3A〜3Cは、図6に示すように、複合ケーブル2の長手方向に対して互いに平行な位置関係で固定されて延びている。
【0021】
このように、基板1における各接続部10a〜10jの配置パターン10とケーブル3a〜3jの配置パターンとが互いに向かい合う面で鏡像対称な位置関係で固定されているため、実装基板に対して複合ケーブル2を接続する際に、容易に、且つ各配線の配置を間違えることなく、確実に接続することが可能となる。
【0022】
また、撚合部22では、図5,6に示すように、ケーブル群3A〜3Cがそれぞれ撚り合わされて交差した状態をなす。また、後述するように、各ケーブル3a〜3jは、ケーブル群3A〜3Cごとにそれぞれ撚り合わされて交差した状態をなす。図5に示すケーブル端面S2における各ケーブル3a〜3jの位置関係は、撚り合わせによって配置パターン10とは異なっている。撚合部22は、ケーブル群3A〜3Cを撚り合わせることで複合ケーブル2の屈曲に対する強度を向上させる。
【0023】
なお、撚合部22は、位置固定部21の長手方向の長さと比して長く形成される。これは、撚り合わせによって屈曲強度をできる限り向上させるためである。本実施の形態としては、位置固定部21の長さは基板接続のために行う端面処理に必要な長さだけあればよく、例えば数ミリ以下の長さで構成される。また、撚合部22は複合ケーブル2により接続される機器間(接続間)と同等以上あればよく、例えば数センチから数メートルの長さで構成される。
【0024】
つぎに、各ケーブル群3A〜3Cについて図7,8を参照して説明する。図7は、本実施の形態にかかる複合ケーブルのケーブル群3Aを示す模式図である。図8は、本実施の形態にかかる複合ケーブルのケーブル群3B(3C)を示す模式図である。
【0025】
ケーブル群3Aは、図7に示すように、ケーブル3a〜3dを、位置固定部21aに対応させて複合ケーブル2の長手方向に平行に固定するとともに、撚合部22aに対応させて4本のケーブル3a〜3dを撚り合わせる。
【0026】
ケーブル群3B(3C)は、図8に示すように、ケーブル3e〜3g(3h〜3j)を、位置固定部21aに対応させて複合ケーブル2の長手方向に平行に固定するとともに、撚合部22aに対応させて3本のケーブル3e〜3g(3h〜3j)を撚り合わせる。
【0027】
つぎに、複合ケーブル2の製造方法について、図9〜13を参照して説明する。図9は、本発明の実施の形態にかかる複合ケーブルの製造方法の概要を示すフローチャートである。複合ケーブル2を製造する際には、まず順次送り出される複数のケーブル3a〜3jに対して、ケーブル3a〜3jの配置パターンを形成する(ステップS102)。具体的には、この配置パターン形成工程において、複数のケーブル3a〜3jを用いることにより、位置固定部21と撚合部22とを交互に形成する。
【0028】
図10は、配置パターン形成工程で使用する配置パターン形成装置要部の構成および位置固定部21の形成工程の概要を示す模式図である。図10に示すように、配置パターン形成装置は、ケーブル3a〜3jをそれぞれ挿通して保持する10個のコマ41を有する。10個のコマ41は、ケーブル3a〜3jを互いに平行に挿通しており、ケーブル3a〜3jの長手方向に沿って同じ位置に設けられている。4本のケーブル3a〜3dをそれぞれ挿通する4つのコマ41は、コマ群40aを構成する。コマ群40aを構成する4つのコマ41のケーブル挿通口の配置パターンは、ケーブル群3Aの長手方向と直交する断面におけるケーブルの配置パターンと同じである。また、3本のケーブル3e〜3gをそれぞれ挿通する3つのコマ41は、コマ群40bを構成する。コマ群40bを構成する3つのコマ41のケーブル挿通口の配置パターンは、ケーブル群3Bの長手方向と直交する断面におけるケーブルの配置パターンと同じである。また、3本のケーブル3h〜3jをそれぞれ挿通する3つのコマ41は、コマ群40cを構成する。コマ群40cを構成する3つのコマ41のケーブル挿通口の配置パターンは、ケーブル群3Cの長手方向と直交する断面におけるケーブルの配置パターンと同じである。
【0029】
コマ群40aの長手方向の下流側(図10の下方)には、コマ群40aによって形成されたケーブル群3Aを挿通して保持するコマ42aが設けられている。また、コマ群40bの長手方向の下流側には、コマ群40bによって形成されたケーブル群3Bを挿通して保持するコマ42bが設けられている。また、コマ群40cの長手方向下流側には、コマ群40cによって形成されたケーブル群3Cを挿通して保持するコマ42cが設けられている。
【0030】
コマ群40aとコマ42aは、長手方向の中心軸が常に一致しており、コマ群40aはその中心軸の回りに回転可能である。また、コマ群40bとコマ42bも長手方向の中心軸が常に一致しており、コマ群40bはその中心軸の回りに回転可能である。また、コマ群40cとコマ42cも長手方向の中心軸が常に一致しており、コマ群40cはその中心軸の回りに回転可能である。コマ群40a〜40cの回転方向は互いに同じである。
【0031】
コマ群40aとコマ42aの長手方向の中心軸、コマ群40bとコマ42bの長手方向の中心軸、およびコマ群40cとコマ42cの長手方向の中心軸は互いに平行であり、かつ各々の長手方向と直交する平面において同一円周上を通過する。コマ群40a〜40cおよびコマ42a〜42cは、上述した円周の中心を通過して長手方向と平行な軸を回転中心として回転可能である。以下、この回転を公転という。なお、公転方向は、上述したコマ群40a〜40cの回転方向と同じである。
【0032】
以上説明したコマ群40a〜40cの回転ならびにコマ群40a〜40cおよびコマ42a〜42cの公転は、複数のモータを適宜用いることによって実現される。
【0033】
配置パターン形成装置は、ケーブル3a〜3jを長手方向の上流側(図10の上方)から下流側(図10の下方)へ送り出す送り機構を有する(図示せず)。
【0034】
次に、以上の構成を有する配置パターン形成装置を用いて行う位置固定部21の形成工程について説明する。位置固定部21を形成する際には、まずコマ41および42a〜42cを静止させ、送り機構によってケーブル3a〜3jを長手方向の上流側から下流側へ向けて送り出し、それぞれ対応するコマ41およびコマ42a〜42cへ挿通する。その後、コマ群40a〜40cおよびコマ42a〜42cを静止させた状態を維持しながら、送り機構によってケーブル3a〜3jを長手方向の上流側から下流側へ所定の長さ分だけ送り出す。これにより、位置固定部21が形成される。
【0035】
図11は、撚合部22の形成工程の概要を示す模式図である。撚合部22を形成する際には、まずコマ41および42a〜42cを静止させ、送り機構によってケーブル3a〜3jを長手方向の上流側から下流側へ向けて送り出し、それぞれ対応するコマ41およびコマ42a〜42cへ挿通する。その後、コマ群40a〜40cを回転させるとともに、コマ群40a〜40cおよびコマ42a〜42cを公転させながら、送り機構によってケーブル3a〜3jを長手方向の上流側から下流側へ所定の長さ分だけ送り出す。これにより、ケーブル3a〜3jがケーブル群3A〜3Cごとに撚合部22aとして撚り合わせられ、撚り合わせられたケーブル群3A〜3Cがさらに撚り合わせられて撚合部22が形成される。
【0036】
以上説明した位置固定部21の形成工程と撚合部22の形成工程を交互に繰り返ことにより、複数の位置固定部21と撚合部22を交互に連続して形成することができる。位置固定部21および撚合部22の長さは、ケーブル3a〜3jを送り出す速度や時間等を制御することによって適宜変更することができる。
【0037】
なお、位置固定部21の形成を行なう際、位置センサや回転センサ等の検知手段を用いることによってコマ群40a〜40cおよびコマ42a〜42cの静止位置を確認するようにしてもよい。例えば、モータの回転を検知することによってコマ群40a〜40cおよびコマ42a〜42cの静止位置を確認してもよいし、コマ群40a〜40cおよびコマ42a〜42cの形状および/または色彩を互いに異なるものとしておき、画像認識によってコマ群40a〜40cおよびコマ42a〜42cの静止位置を確認するようにしてもよい。このように検知手段を用いることにより、ケーブル相互の位置関係をより正確に保つことができる。
【0038】
また、位置固定部21と撚合部22とをそれぞれ形成する際のケーブルの送り出し速度を同一の速度としてもよいし、異なる速度としてもよい。
【0039】
ステップS102で複数のケーブル3a〜3jの配置パターンを形成した後、外部シールドの形成(ステップS104)および外皮20の形成(ステップS106)を続けて行なう。図12は、外部シールド23および外皮20の形成工程の概要を示す模式図である。撚り合わせられたケーブル群3A〜3Cは、図12に示すように、図中下方向に順次送られ、撚り合わせられたケーブル群3A〜3Cの外周表面に対し、コマ群43の各コマ44によってシールド線23aを巻回して網状の外部シールド23を形成する。
【0040】
その後、外部シールド23が形成されたケーブル群3A〜3Cに対して、外皮20の形成を行なう。外部シールド23が形成されたケーブル群3A〜3Cは、炉45に送り出される。炉45は、絶縁性の樹脂材を溶解された状態で保持し、外部シールド23の外表面に絶縁性の樹脂材を塗布する。炉45を通過した絶縁性の樹脂材は、外部雰囲気によって固化し、外部シールド23を被覆して外皮20となる。
【0041】
外皮20を形成後、外皮20の所定位置に標識部を形成する(ステップS108)。図13は、標識部の製造方法を示す模式図である。図13に示すように、複合ケーブル2は、図中下方向に順次送られ、複合ケーブル2の位置固定部21に対応する位置に対して標識部としてのペンキMが塗布される。複合ケーブル2の外皮20は、スタンプ46a,46bの複合ケーブル2への押圧動作によって位置固定部21に対応する位置で凹部47a,47bに塗布されたペンキMが外皮20に転写される。なお、凹部47a,47bは、外皮20の表面に対応した弧状をなす。
【0042】
上述した本実施の形態によって、長手方向と直交する断面における配置パターンが基板の配置パターンと鏡像対称な位置関係で固定された位置固定部と、ケーブル群および各ケーブルを撚り合わせた撚合部とを有するため、基板に対して端面接続を行なう際に、端面と基板との間に補助的な部材を介在させることなく接続可能であるとともに、撚合部によって、複合ケーブルの屈曲性を確保させることができる。また、位置固定部を複数設けることによって、複合ケーブルの長さの調節が可能である。この場合、ペンキMが塗布された領域を切断することで、容易に対応できる。
【0043】
なお、図1に示す位置固定部21のケーブル端面S(S1)において、外皮20と各ケーブル3との間に固定部材等を充填してもよい。図14に示す変形例1のように、固定部材24によって外皮20と各ケーブル3との間を固定することで、一段とケーブルの位置を固定させ、ケーブルの位置ずれを防止することが可能となり、基板1へ複合ケーブル2を接続する際の接続性が更に良好となる。
【0044】
また、本発明の実施の形態の変形例2である複合ケーブルを示す模式図を図15に示す。図15に示す変形例2のように、位置固定部21に対応する外皮20の外周を固定部材25によって固定してもよい。この固定部材25によって外皮20が硬化されるため、外部から加わる力に対するケーブルの位置固定の効果を向上させることができる。
【0045】
上述した固定部材24,25は、例えば熱硬化性またはUV硬化性である樹脂等の接着剤によって実現され、少なくとも位置固定部21の基板1と接続する端面を固定する。また、外皮20と各ケーブル3との間への固定部材24の塗布は、ケーブル3を切断した後に位置固定部21に対応する箇所に充填してもよく、図12に示す外部シールド23形成時に行なってもよい。ケーブル3を切断後に固定部材24を塗布する場合、外皮20が固定部材25によって固定されていればより好ましい。なお、固定部材24,25を両方用いて複合ケーブル2を固定してもよい。また、固定部材24および/または25を充填・塗布後、ケーブル端面Sをめっき処理によって保護することで、ケーブル端面の腐食等を防止するようにしてもよい。
【0046】
図16は、本発明の実施の形態の変形例3である複合ケーブル2aを示す模式図である。図16に示す複合ケーブル2aは、外皮20に位置固定部であることを示す標識部としてのペンキM1およびM2が塗布される。ペンキM1およびM2は、材質および/または色が異なるものが用いられる。特に、ペンキM2は、複合ケーブル2aの長手方向に沿った線状をなし、所定位置に塗布されることによって所定ケーブルの位置が把握可能となるとともに、接続する際に、複合ケーブルの基板に対する位置決め効果を奏する。なお、標識部は、ペンキのほか、凹凸形状をなすものであってもよい。
【0047】
また、図17に示す変形例4のように、複合ケーブル2bの外皮20に標識部としてペンキM2のみを塗布してもよい。もちろん、図18に示す変形例5のように、複合ケーブル2cの外皮20に標識部としてペンキM1のみを塗布することも可能である。上述した変形例4,5は、変形例1と同様の効果を奏するとともに、一方のペンキのみの使用となるため、ペンキにかかるコスト削減およびペンキの塗布にかかる作業工程の低減が可能となる。
【0048】
なお、位置固定部21の形成領域は、少なくとも複合ケーブルの長手方向に対して基板との接続に必要な長さd1以上であるように形成されていることが好ましい。特に、図19に示すように、位置固定部21の長さが、長さd1の2倍の長さd2となっていることが好ましい。長さd2の場合、位置固定部21の端部からd1の長さで切断すると、切断した両端部の位置固定部21の長さがd1となり、切断した両端部で基板と接続が可能となる。ここで、切断すべき箇所を示す標識部として、ペンキM3を線状に塗布してもよい。
【0049】
以上のように、本発明にかかる複合ケーブルおよび複合ケーブルの製造方法は、基板上の複数の電極と接続し、電気信号を導通させるものに有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 基板
2,2a,2b,2c 複合ケーブル
3,3a〜3j ケーブル
3A〜3C ケーブル群
10 配置パターン
10a〜10j 接続部
20 外皮
21,21a 位置固定部
22,22a 撚合部
23 外部シールド
24,25 固定部材
40a〜40c,43 コマ群
41,42a〜42c,44 コマ
45 炉
46a,46b スタンプ
47a,47b 凹部
M,M1,M2 ペンキ
S,S1,S2 ケーブル端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された複数の接続部に対してそれぞれ接続する複数のケーブルと、該複数のケーブルを覆う外皮とによって構成された複合ケーブルであって、
前記複数のケーブルの長手方向を互いに平行な位置関係で固定した位置固定部と、
前記位置固定部の端部から延びる前記複数のケーブルを撚り合わせた撚合部と、
を備え、
前記位置固定部は、前記複数のケーブルの前記長手方向と直交する断面における配置パターンが前記複数の接続部の配置パターンと鏡像対称であることを特徴とする複合ケーブル。
【請求項2】
前記位置固定部の長さは、前記撚合部の長さと比して短いことを特徴とする請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項3】
前記位置固定部は、各ケーブルと前記外皮との間を固定する固定部材により、位置関係を固定することを特徴とする請求項1または2に記載の複合ケーブル。
【請求項4】
前記外皮は、前記位置固定部に位置する表面の少なくとも一部に、該位置固定部であることを示す標識部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の複合ケーブル。
【請求項5】
前記複数のケーブルの一部からなるケーブル群を複数有し、
前記撚合部は、前記ケーブル群を構成する複数のケーブル同士を互いに撚り合わせるとともに、複数の前記ケーブル群同士を互いに撚り合わせたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の複合ケーブル。
【請求項6】
基板上に配置された複数の接続部に対しそれぞれ接続する複数のケーブルと、該複数のケーブルを覆う外皮とによって構成された複合ケーブルの製造方法であって、
前記複数のケーブルの前記長手方向と直交する断面における配置パターンを前記複数の接続部の配置パターンと鏡像対称とし、かつ前記複数のケーブルの長手方向を互いに平行な位置関係で固定する位置固定ステップと、
前記位置固定部の端部から延びる前記複数のケーブルを撚り合わせる撚合ステップと、
を含むことを特徴とする複合ケーブルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−258521(P2011−258521A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134216(P2010−134216)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】