説明

複合シートの製造方法及び装置

【課題】長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形された領域を有するシートに凹凸形状が賦形されていない他のシートが接合された複合シート複合シートを精度よく、安定的に製造することができる複合シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の複合シートの製造方法は、周面部に互いに対向する凹凸部を有して回転する二つの回転体11、12の間に、連続する第1のシート2を供給して第1のシート2に凹凸形状を賦形した後、第1のシート2に重ねるように、毎葉の第2のシート3を所定間隔おきに供給し、両シートを接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合シートの製造方法及び装置に関わり、特に、生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品用のシートに好適な、複合シートの製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二枚のシートが部分的に接合されて多数の接合部が形成されているとともに、一方のシートには接合部以外の部分に、凸部が形成されている複合シートの製造方法に関して、出願人は、下記特許文献1に記載の技術を提案している。
【0003】
この技術は、周面部に凹凸を有する一対のロールを互いの凹部と凸部とが対向するように回転させながら両ロールの間に連続シートを供給して凹凸形状を全面的に賦形し、一方のロールの周囲に該シートを吸引保持し、該シートに重ね合わせるように凹凸形状が賦形されていない他の連続シートを供給して両シートを接合するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2004−174234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複合シートの用途や、その用途のための後工程での取り扱い、コスト等を考慮すると、シートの長さ方向に所定間隔をおいて凹凸形状が賦形されている領域を有するシートや、間欠的にシートを接合して製造するほうが好ましい場合もある。
【0006】
従って本発明は、長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形された領域を有するシートに凹凸形状が賦形されていない他のシートが接合された複合シートを安定的に製造することができる複合シートの製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、周面部に互いに対向する凹凸部を有して回転する二つの回転体の間に、連続する第1のシートを供給して第1のシートに凹凸形状を賦形した後、第1のシートに重ねるように、毎葉の第2のシートを所定間隔おきに供給し、両シートを接合する複合シートの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、周面部に互いに対向する凹凸部を有して回転する二つの回転体の間に、連続する第1のシートを供給して第1のシートに所定間隔おきに凹凸形状を賦形した後、第1のシートに重ねるように、連続する第2のシートを供給し、両シートを接合する複合シートの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0009】
また、本発明は、凹凸形状が賦形されている複合シートの製造装置であって、
周面部の少なくとも一部に凹凸部を有する第1回転体と、周面部の少なくとも一部に凹凸部を有し第1回転体との間で互いの凹部と凸部とが対向して回転するように配された第2回転体と、両回転体の間に第1のシートを供給する第1のシート供給手段と、凹凸形状が賦形された第1のシートに重ね合わせるように第2のシートを所定間隔おきに供給する第2のシート供給手段と、第1回転体とともに両シートを部分的に接合する接合手段とを備えている複合シートの製造装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合シートの製造方法及び装置によれば、長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形された領域を有するシートに凹凸形状が賦形されていない他のシートが接合された複合シートを精度よく、安定的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
まず、本発明に使用される複合シートの製造装置(以下、製造装置ともいう。)の一実施形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の製造装置10は、凹凸形状が賦形されている複合シート1の製造装置である。製造装置1において製造される複合シート1は、第1のシート(以下、シートともいう。)2と、第2のシート(以下、シートともいう。)3とが長さ方向(X方向)に所定間隔をおいて部分的に接合されて多数の凹状部1Bが形成されているとともに、シート2には凹状部1B以外の部分に凸状部1Aが形成されている。
【0013】
本実施形態の製造装置10は、周面部の全面に凹凸部を有するロール(第1回転体)11と、周面部の一部に凹凸部を有しロール11との間で互いの凹部と凸部とが対向して回転するように配されたロール(第2回転体)12と、両ロールの間にシート2を供給する第1のシート供給手段(以下、供給手段ともいう。)13と、凹凸形状が賦形されたシート2に重ね合わせるようにシート3を所定間隔おきに供給する第2のシート供給手段(以下、供給手段ともいう。)14と、第1ロール11とともに両シートを部分的に接合する接合手段15とを備えている。また、製造装置10は、供給手段13から供給されるシート2の供給量を、シート2への凹凸形状の賦形に応じて調整する供給量調整手段16を備えている。
【0014】
図2及び図3に示すように、ロール11は、平歯車からなる歯車111と歯車状のスペーサー112を複数枚組み合わせ、これらを回転軸113に同心状に取り付けてロール状に形成したものである。歯車111とスペーサー112は何れも同じ歯幅を有している。歯車111及びスペーサー112はその中心が開口しており、その開口部に回転軸113が挿入される。歯車111及びスペーサー112並びに回転軸113にはそれぞれ切り欠き部(図示せず)が形成されており、該切り欠き部にキー(図示せず)が挿入される。これによって歯車111、スペーサー112の空回りが防止される。
【0015】
スペーサー112は、図3に示す様に、中心から放射状に延びる多数の突起であるビーム歯1121を有する形状となっている。スペーサー112における各ビーム歯1121は、その長さが何れも同じになっている。各ビーム歯1121の先端を結ぶことで仮想的に形成される円の直径を便宜的に歯先円直径と定義すると、該歯先円直径は、歯車1211の歯先円直径よりも小さくなっている。また歯車111の歯数はスペーサー112におけるビーム歯1121の整数倍となっている。具体的には、本実施形態に用いられるスペーサー112のビーム歯1121数が7であるのに対して、歯車111の歯数はその整数倍である21になっている。
【0016】
ロール11においては、1枚のスペーサー112に対してその両側にそれぞれ1枚ずつ歯車111が配されて、これらを一組とした歯車群110が複数組配されている。各歯車群110においては、歯車111及びスペーサー112は、それぞれの歯がロールの回転軸方向に並列するように配されている。これによって各歯車群110においては、ロール11の回転方向に沿って凸部11Aと凹部11Bとが交互に形成される。凸部11Aは、2枚の歯車及びスペーサーのそれぞれの歯がロール11の回転軸方向に並列して形成されたものであるか、或いは2枚の歯車111の歯がロールの回転軸方向に並列して形成されたものである。一方、凹部11Bは、2枚の歯車111の歯間で形成されたものである。凸部11Aの幅は、複合シート1の凹状部1BにおけるY方向の寸法を決定する。
【0017】
ロール11においては、歯車群110が二組以上用いられる。各歯車群110は、隣り合う歯車群110、110における凹凸部のピッチが互いに異なるように配される。本実施形態においては、隣り合う歯車群110どうしは凹凸部が半ピッチずれている。
【0018】
各歯車群110においては、2枚の歯車111間に、ロール11の回転方向に沿って、一定の間隔をおいて空隙部114が複数形成されている。各空隙部114は、2枚の歯車111と、これらの間に位置するスペーサー112とで形成されている。更に詳細には、各空隙部114は、2枚の歯車111の相対向する側面と、スペーサー112における隣り合う2つのビーム歯1121によって画定される。従って空隙部114は、スペーサー112の歯数と同数形成されることになる。空隙部114は、先に述べた凹部11Bにおいて外部に向かって開口している。
【0019】
本実施形態では、ロール11周面上でシート2を搬送している状態において、空隙部114がシート2の下に配される以外に、シート2の幅方向両側よりも外側にも配されるように、歯車群110が組み込まれている。これにより、後述するように空隙部114から吸引力が作用し、ロール11周面上でシート2の搬送保持及び凹凸形状が賦形された状態の保持の段階において、シート2の両側部の折れ曲がりが防止される。
【0020】
歯車111には、回転軸113が挿入される中心の開口部を取り囲むように複数の開口部115が形成されている。各開口部115は同径であり、歯車の中心からそれぞれ等距離の位置に形成されている。隣り合う開口部115どうしと歯車の中心とがなす角度は何れも等しくなっている。各歯車111における開口部115の個数は、スペーサー112の歯数と同数になっている。そして、各歯車群110を組み付ける場合には、各開口部115が、スペーサー112における隣り合うビーム歯1121間にそれぞれ位置するように、歯車111及びスペーサー112を配置する。つまり、開口部115を、隣り合う2つのビーム歯1121とスペーサー112の中心部1122とで画成される略V字形の領域内に位置させる。なお、図3では、前記の略V字形の領域内に開口部115の全域が包含されているが、これに代えて、略V字形の領域内に開口部115の一部のみが包含されてもよい。この部位は、歯車111に設けられた各開口部115をそれぞれ独立に区画する区画部となる。そして、上述の略V字形の部位が凹部11Bに通じている。このように各歯車群110を組み付け、更にそれぞれの歯車群110を凹凸部のピッチが互いに異なるように配した状態においては、それぞれの歯車111の開口115が、ロール11の回転軸方向に連なって、該回転軸方向に延びる複数の吸引路116がロール11の内部に形成される。そして各吸引路116は、先に述べた空隙部114と連通する。空隙部114は、吸引路116の一部を構成している。
【0021】
吸引路116の少なくとも一端は、ブロワや真空ポンプなどの吸気源(図示せず)に通じている。従って、吸気源を作動させて吸引操作を行うと、空隙部114から吸引路116を通じて吸気が行われる。
【0022】
また、スペーサー112は、歯車111をその側面から支持してロール11に強度を付与する効果も有する。特に、目的とする複合シート1に形成される凸状部1Aのサイズを小さくしたい場合には、歯車111の厚みを小さくする必要があるが、そのため歯車111の強度低下を招く。このような場合に、スペーサー112のビーム歯1121が梁となり、歯車111の歪み防止としての有用性が顕著となる。
【0023】
本実施形態のロール11は特に小ピッチで小凸部を多数形成する場合に有効であり、小ピッチで且つ歯の大きさが小さい歯車である低モジュールな平歯車を用いても、スペーサーの112の歯幅を大きくしたり、また歯数を少なくしたりすることにより空隙部114を大きくできる。その結果、吸引孔の面積を充分に確保することができる。更に、歯車の組み合わせや幅を変更するだけの簡単な操作で、凸部のピッチや大きさを自由に変更できるという利点もある。
【0024】
ロール12は、ロール11の周面部の凹凸部に対応する凹凸部が形成されるように、ロール11と同様に複数の歯車群が組み合わされて形成されているが、各歯車及びスペーサーの歯先の円直径は、ロール11よりも小さく、その分歯の数が少なくなっている。なお、ロール12には、ロール11のような吸引路は形成されていない。
【0025】
本実施形態においては、ロール11の凹部11Bへのロール12の凸部12Aによるシート2の押し込み位置において、ロール12の凸部12Aの先端部は、ロール11の凹部11Bに接触しないように隙間を有して配置される。また、ロール11とロール12は、これ以外の部分においても、非接触状態で回転するように配置される。
【0026】
ロール12は、ロール11との間に供給されたシート2の長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形されるように、周面部の一部に凹凸部を有している。ロール12は、ロール11の周面部の前記凹凸部に対向する凹凸部が形成されるように、複数の歯車が組み合わされて形成されている。ロール11の各歯車の歯先の円直径は、ロール11よりも小さくされている。また、ロール12には、ロール11のような吸引路は形成されていない。
【0027】
上述のロール11とロール12の寸法や形状は、製造したい複合シートに応じて、自由に変更できる。例えば、ロール11を構成する各歯車111、各スペーサー112、及びロール12の各歯車の歯幅は、同じでなくてよく、ロールの幅方向に変化していてもよい。また、ロール11の歯車111の歯数は、スペーサー112の歯数の整数倍でなくてもよい。更に、ロール12の凹凸部の形成されている領域を大きくすることもできるし、該領域を複数設けることもできる。
【0028】
供給手段13は、シート2の原反ロールから連続的に繰り出されたシート2を、一定の速度でロール11、12の間に導く一対の搬送ロール131を備えている。搬送ロール131は、サーボモータで制御され、シート2を一定の速度で供給する。
【0029】
供給手段14は、シート3の原反ロールから連続的に繰り出されたシート3を、一定の速度でロール11、12の間に導く一対の搬送ロール141と、搬送ロール141から供給されるシート3を切断するカッターロール142と、カッターロール142を受けるアンビルロール143とを備えている。搬送ロール141は、サーボモータで制御され、一定の速度でシート2を供給する。
【0030】
アンビルロール143は、接合手段15としてのヒートロールを兼ねており、加熱手段(図示せず)を備えている。そしてこの加熱手段で加熱された状態のアンビルロール143の周面とロール11の歯111との間でシート2、3を挟持したときに、両シート2、3どうしが熱融着されて接合され、後述するように、一つの凹状部1Bに対して二つの接合部1C(図4参照)が形成される。
【0031】
供給量調整手段16は、水平軸161まわりに揺動する揺動ロール162を備えている。この揺動ロール162は、ロール11、12でシート2に凹凸形状が賦形されていないときは、下方に振れて搬送経路が広げられることにより、次に凹凸形状を賦形するためのシート2を貯蓄する。一方、ロール11、12でシート2に凹凸形状が賦形されているとき、揺動ロール162は上方に振れ、貯蓄されたシート2がロール11、12の間に供給されて消費される。
【0032】
図には示していないが、製造装置10は、ロール11、12を所定の回転速度で回転駆動させる駆動装置、及び製造装置10を後述するように動作させるシーケンサーを備えた制御部を備えている。
【0033】
次に、本発明の複合シートの製造方法(以下、製造方法ともいう。)を、前記製造装置10を使用した一実施形態に基づいて説明する。
【0034】
図4に示すように、本実施形態の製造方法によって製造される複合シート1は、長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形された領域を有するシート2に凹凸形状が形成されていないシート3が部分的に接合されて多数の凹状部1Bが形成されているとともに、シート2には凹状部1B以外の部分に凸状部1Aが形成されている。本実施形態においては、このような凹状部1B及び凸状部1Aが形成されている領域が所定間隔おきに設けられる。
【0035】
凸状部1Aは、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっている。凸状部1Aはその高さHが、0.5〜2.5mm、特に1.0〜2.0mmであることが好ましい。また、シート長さ方向(X方向)における凸状部1Aの底部寸法(L)は0.5〜2.0mm、特に1.0〜1.5mmであることが好ましく、シート幅方向(Y方向)における底部寸法(W)は0.5〜2.0mm、特に1.0〜1.5mmであることが好ましい。凸状部1Aの底面積は0.25〜4.0mm2、特に1.0〜2.25mm2であることが好ましい。
【0036】
凹状部1Bの形態は、平面視してほぼ矩形となっている。凹状部1Bの底面部にはロール11の歯111の先端面に対応した接合部1Cが形成されている。本実施形態では、一つの凹状部1Bに対して二つの接合部1Cが形成されている。
【0037】
複合シート1においては、凸状部1Aと凹状部1Bとがシートの長さ方向(X方向)の列において交互に現れ、隣り合う列においては、凸状部1Aどうしは、半ピッチずつシートの長さ方向(X方向)にずれた千鳥配列となっている。凹状部1Bも、半ピッチずつシートの長さ方向にずれた千鳥配列となっている。このシートの長さ方向は、製造装置10による複合シート1の製造工程における流れ方向と一致しており、流れ方向はロール11の回転方向である。
【0038】
複合シート1を構成するシート2及び3に、特に制限はないが、吸収性物品の構成材料として使用される不織布、フイルム、不織布とフイルムのラミネートシート等のシート等が挙げられる。不織布としては、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布等を用いることができる。
【0039】
上記シート2及び3を使用した複合シート1の製造に当たっては、まず、製造装置10において、ロール11及びロール12を互いの凹凸部が対向するように所定の回転速度で回転させ、それらの間に供給手段13によってシート2を供給する。そして、シート2に凹凸形状を賦形した後、ロール11の周面に前記吸引路を通じた吸引力によってシート2を吸引保持した状態でアンビルロール143の周面まで移送する。この際、図5に示すように、搬送ロール131によるシート2の供給速度V2は一定とする。この供給速度V2は、ロール11、12による凹凸形状の賦形時におけるシート2の最高搬送速度と最低搬送速度の間の速度に設定する。V2'は、ロール11、12の間におけるシート2の搬送速度であり、ロール11、12がシート2に凹凸形状を賦形していない場合には、V2より低速となる。このときの、V2−V2'の差によってシート2の余剰分が生じ、揺動ロール162が下方に振れてシート2がストックされる。ロール11、l12がシート2に凹凸形状を賦形しているときは、V2’はV2よりも速度が高速となり、V2−V2'がマイナスとなってシート2が不足するため、ストックされたシート2が消費されて、揺動ロール162が上方に振れる。このようにして、ロール11、12間に供給されるシートの供給量が調整され、ロール11、12よる凹凸形状の賦形の有無に応じたシート2の需要と供給バランスが保たれている。
【0040】
ロール11とロール12の間に供給されたシート2には、ロール11とロール12の凹凸部によって、シート2に凹凸形状が賦形され、ロール12周面部の凹凸部を有しない領域では、ロール11と対向しても、シート2に凹凸形状は賦形されない。このようにして、シート2に所定間隔おきに凹凸形状が賦形される。
【0041】
そして、搬送ロール141によってシート3をカッターロール142とアンビルロール143との間に供給して切断した後、シート2の凹凸形状に重ね合わせるように所定間隔おきにシート3を供給し、ロール11とアンビルロール143との間でこれら両シートを熱融着させて部分的に接合する。
【0042】
製造装置10では、このようなシート2、3の接合が繰り返し行われ、長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形された領域を有するシート2に、凹凸形状が賦形されていない毎葉のシート3が接合された複合シート1が精度よく、安定的に製造される。
【0043】
次に、本発明の製造方法の他の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。
なお、これらの図において、前記実施形態と共通する部分については、同一符号を付している。よって、特に説明のない部分については、前記実施形態における説明が適宜適用される。
【0044】
図6に示す実施形態の製造装置10’は、シート3の供給手段14にカッターロールを備えていない以外は、前記実施形態の製造装置10と同じ構成である。
【0045】
本実施形態の製造装置10’による複合シート1’の製造方法においては、前記実施形態におけると同様にして、ロール11、12によって、シート2に長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形された領域が形成された後、ロール11とアンビルロール143によって、当該シート2と、凹凸形状が賦形されていない連続したシート3とが接合される。ロール11とアンビルロール143によるシート2とシート3の接合は、シート2の凹凸形状が賦形された領域と賦形されていない領域の両領域において行われる。
【0046】
本実施形態の製造装置10’による複合シート1’の製造方法によれば、長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形された領域を有するシート2に、凹凸形状が賦形されていない連続したシート3が接合された複合シート1’ が精度よく、安定的に製造される。
【0047】
図7に示す実施形態の製造装置10’は、ロール12の周面部の全面に凹凸部が設けられ、シート3の供給手段14が接着剤塗工装置144を備え、接合手段15がシート3の供給手段14とは独立してアンビルロール151を備え、さらに、シート2、3が接合された後に、シート2のみを伸張させる伸張手段17を備えている以外は、前記実施形態の製造装置10と同様の構成である。
【0048】
本実施形態の製造装置10’による複合シート1’の製造方法においては、ロール11、12によってシート2に全面に凹凸形状が賦形される。その一方で、接着剤塗工装置143によってシート3の流れ方向の両端部に仮止め用の接着剤が塗工された後、カッターロール142によって所定長さに切断される。そして、ロール11の周面で毎葉のシート3が凹凸形状の賦形されたシート2に合流され、両シートが前記接着剤で仮止めされた状態でロール11によって接合用ヒートロール151に移送される。そして、ロール11とヒートロール151によって、両シートがヒートシールによって接合された後、伸張手段17のロール171、172の間で、シート2のみが伸張され、シート3の接合されていない領域においてシート2の凹凸形状が引き延ばされる。なお、接着剤塗工装置143及びこれによる仮止めは、必要に応じて省略することができる。
このようにして、長さ方向に所定間隔おきに凹凸形状が賦形された領域を有するシート2に凹凸形状が賦形されていない毎葉のシート3が接合された複合シートが精度よく安定的に製造される。
【0049】
本発明は前記実施形態に制限されない。
例えば、前記実施形態では、凸状部の高さがシートの長手方向及び幅方向に一定に揃った凹凸形状が賦形された複合シートを製造したが、ロール12を構成する歯車の歯先の円直径を周方向で変えて組み合わせたり、幅方向に代えて組み合わせたり、或いはこれらの両方向で変えて組み合わせることによって、シートの長さ方向及び幅方向にも任意の高さのパターンを有する凹凸形状が賦形された複合シートを製造することができる。例えば、図8に示すロール12’のように、歯先の円直径を周方向で徐々に変化させ、得られる複合シートにグラデーション的に凹凸部が形成されるようにすることもできる。
【0050】
また、前記実施形態では、凹凸形状を賦形する各ロールを、複数の歯車が組み合わされたロールで構成したが、予め一体的に形成されたロールで構成することもできる。
【0051】
また、前記実施形態では、凹凸形状を賦形する各ロールは、凹凸部が千鳥配置となるように歯車が組み合わされているが、歯車の歯がロールの幅方向に揃うように組み合わせることもできる。
【0052】
また、前記実施形態の製造装置では、第1及び第2回転体を周面部に凹凸部を有するロールで構成したが、これらに代えて、図9に示すように、ベルト181、191の表面に凹凸部を有する一対の無端コンベア18、19で構成し、これらの間に供給されたシート2に凹凸形状を賦形した後に、一方の無端コンベア18と接合用ヒートロール151との間シート3と接合するようにすることもできる。
【0053】
また、第1回転体は、前記実施形態のように、吸引路を備えていることが好ましいが、吸引路は必要に応じて省略することもできる。
【0054】
また、供給量調整手段として、揺動ロールを揺動させてシート2の供給量を調整するようにしたが、エアーの吸引力を作用させて該吸引力を調整することによって、シート2の供給量を調整することもできる。
【0055】
また、本発明の複合シートの製造方法は、前記実施形態におけるような、両シートを熱融着によって接合することに代えて、接着剤による接着や超音波接合によってこれらのシートどうしを接合して接合部を形成してもよいし、これらの各接合を組み合わせてもよい。例えば、シート3に仮止め用のホットメルト接着剤等の接着剤を塗布して両シートを当該接着剤で仮止めした後に、熱融着や超音波接合よってさらに接合することもできる。
【0056】
本発明の複合シートは、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の表面シート、吸収性物品の外装材、使い捨ての着衣用のシートとしても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の複合シートの製造装置の一実施形態における要部を複合シートの製造方法とともに示す模式図である。
【図2】図1に示す複合シートの製造装置における第1のロールの一形態を示す斜視図である。
【図3】図2に示す第1のロールの歯車群の一形態を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の複合シートの製造方法において製造される複合シートの一形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の複合シートの製造方法の一実施形態における第1のシートの供給速度及びストック量と時間との関係を示す図である。
【図6】本発明の複合シートの製造装置の他の実施形態における要部を複合シートの製造方法とともに示す模式図である。
【図7】本発明の複合シートの製造装置の他の実施形態における要部を複合シートの製造方法とともに示す模式図である。
【図8】本発明の複合シートの製造方法及び装置において使用される第2回転体の他の実施形態を示す模式図である。
【図9】本発明の複合シートの製造方法及び装置において使用される第1、第2回転体の他の実施形態を、製造工程の一部とともに示す模式図である。
【符号の説明】
【0058】
1、1’ 複合シート
1A 凸状部
1B 凹状部
1C 接合部
2 第1のシート
3 第2のシート
10、10’ 複合シートの製造装置
11 第1ロール(第1回転体)
112 凹部
12 第2ロール(第2回転体)
122 凸部
13 第1のシート供給手段
14 第2のシート供給手段
15 接合手段
16 供給量調整手段
17 伸張手段
18 無端コンベア(第1回転体)
19 無端コンベア(第2回転体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面部に互いに対向する凹凸部を有して回転する二つの回転体の間に、連続する第1のシートを供給して第1のシートに凹凸形状を賦形した後、第1のシートに重ねるように、毎葉の第2のシートを所定間隔おきに供給し、両シートを接合する複合シートの製造方法。
【請求項2】
第1のシートの長さ方向に間欠的に凹凸形状を賦形する請求項1に記載の複合シートの製造方法。
【請求項3】
第1のシートに全面に凹凸形状を賦形しておき、両シートを接合した後に、第1のシートに張力を加えて第2のシートの重ね合わされていない部分の凹凸形状を伸長させる請求項1又は2に記載の複合シートの製造方法。
【請求項4】
周面部に互いに対向する凹凸部を有して回転する二つの回転体の間に、連続する第1のシートを供給して第1のシートに所定間隔おきに凹凸形状を賦形した後、第1のシートに重ねるように、連続する第2のシートを供給し、両シートを接合する複合シートの製造方法。
【請求項5】
第1のシートの供給量を、第1のシートへの凹凸形状の賦形に応じて調整する請求項1〜4の何れかに記載の複合シートの製造方法。
【請求項6】
第1のシートの繰り出しを、凹凸形状の賦形時における第1のシートの最高搬送速度と最低搬送速度の間の速度で行う請求項1〜5の何れかに記載の複合シートの製造方法。
【請求項7】
凹凸形状が賦形されている複合シートの製造装置であって、
周面部の少なくとも一部に凹凸部を有する第1回転体と、周面部の少なくとも一部に凹凸部を有し第1回転体との間で互いの凹部と凸部とが対向して回転するように配された第2回転体と、両回転体の間に第1のシートを供給する第1のシート供給手段と、凹凸形状が賦形された第1のシートに重ね合わせるように第2のシートを所定間隔おきに供給する第2のシート供給手段と、第1回転体とともに両シートを部分的に接合する接合手段とを備えている複合シートの製造装置。
【請求項8】
第1のシート供給手段から供給される第1のシートの供給量を、第1のシートへの凹凸形状の賦形に応じて調整する供給量調整手段を備えている請求項7に記載の複合シートの製造装置。
【請求項9】
第1回転体及び第2回転体が、複数の歯車が組み合わされたロールで構成されている請求項7又は8に記載の複合シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−202506(P2009−202506A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48987(P2008−48987)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】