複合ミサイルノーズコーン
ミサイル(10)は、一体の複合材料の前部機体(11)を有するレドームシーカー機体アセンブリ(12)を含む。前部機体は、ほとんどまたはまったくアブレーションを伴わず熱に耐えることができる耐熱性の複合材料でできている。前部機体は、蛋形を有する前方部(26)と、円筒形を有する後方部(28)とを備える。前方部は、前部機体内に位置するシーカーに対してレドームとして動作する。パッチアンテナ(52,54)が、円筒形の後方部の内表面に取り付けられる。後方部は、パッチアンテナに対してレドームとして動作し、カットアウトを必要とすることなく、パッチアンテナにより信号を送信および受信することを可能にする。前部機体内にガイダンスシステムおよびシーカーを封止するために単一のシールを使用してもよく、前部機体内に機器を密閉封止することが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は一般にミサイルのノーズコーンに関し、特に、組み込まれたレーダーシステムおよび/またはアンテナを有するノーズコーンに関する。
【関連技術の説明】
【0002】
一般的な現在のミサイルの機体技術は、セラミックの前方のレドームと、金属のシーカーおよびガイダンスセクション胴体と、側面に取り付けられたアンテナのためのカットアウトおよびコンフォーマルレドームを有するアブレーション用の熱保護システムとに依拠する。図1ないし図3は、このような先行技術のミサイルの前方のセクション200の例を示し、前方のセクション200は、チタンのノーズ先端部204を有するセラミックの前部の蛋形レドーム202を備えたノーズコーン201を含む。レドーム202は、スリップキャストの石英ガラスでできている。セラミックのレドーム202の後部には、ガラス強化フェノール複合材料のスリーブ208と、ガイダンスセクションの胴体アセンブリ210と、ミサイル本体212とがある。アンテナガイダンスセクションの胴体210は、1対のカットアウト216および218を有するアルミニウムの胴体セクション214を含む。外部熱保護システムのインサート220および222は、アルミニウムの胴体214の外面上の凹部224に適合する。インサート220および222は、アルミニウムの胴体のカットアウト216および218に重なるそれぞれのカットアウト226および228を有する。1対のアンテナレドーム232および234は、アルミニウムのアンテナトレイ242および244に固着されており、1対のパッチアンテナ236および238をトレイ242および244で囲んでいる。アンテナレドーム232および234は、湾曲したプレートであり、アンテナ236および238に対して保護を提供する、熱保護システムとして機能を果たす、テフロン(登録商標)のようなポリマー材料でできている。アンテナ236および238は、アルミニウムの胴体214に対してアセンブリとして固定されているアンテナトレイにより所定の位置に保持される。パッチアンテナ236および238は、レドーム232および234を通して信号を送信および/または受信するために、カットアウト216/226および218/228に位置付けられている。ガイダンスセクション250は、ミサイルの前部内に位置しており、前方取付けリング252に結合されている。
【0003】
先行技術のミサイルは、多数のシールを有しており、それらは、セラミックのレドーム202とノーズ先端部204との間の固着ジョイント260、レドーム202とフェノールのスリーブ208との間の固着ジョイント266、アルミニウムの胴体214に沿ったさまざまな点におけるポリスルフィドのシール268、270、272、および274である。これらのシールのそれぞれは、可能性のあるリーク点を表す。
【0004】
このようなミサイルノーズの現状において改良の余地が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の観点にしたがうと、ミサイルは複合材料の前部機体を含む。
【0006】
本発明の別の観点にしたがうと、ミサイルは、前部機体内のシーカーに対してレドームとして動作する複合材料の前部機体を含む。
【0007】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルは、蛋形の前方部と実質的に円筒形の後方部とを有する複合材料の前部機体を含む。
【0008】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルは、耐熱性の樹脂を含む複合材料の前部機体を含む。
【0009】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルは、耐熱性の、樹脂およびガラスならびに/あるいは石英繊維を含む複合材料の前部機体を含む。
【0010】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、複合材料の前部機体は、内表面に沿って1つ以上のアンテナを有する。アンテナは、内表面と接触していてもよく、内表面に取り付けられていてもよい。アンテナは、パッチアンテナとすることができる。複合材料は、アンテナにより送信または受信されている信号を干渉しない材料でできている。
【0011】
本発明の別の観点にしたがうと、ミサイルのノーズセクションは、複合材料の前部機体と、前部機体内に密閉封止された機器とを含む。複合材料の外面または内面上のセラミックのレイヤーは、複合材料の前部機体を通るガスおよび/または湿気の進入を防ぐことにより、ノーズセクションの封止を助ける。
【0012】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルのノーズセクションは、一体の複合材料の前部機体と、少なくとも部分的に前部機体内の機器とを含む。前部機体は、蛋形の前方部と、実質的に円筒形の後方部とを含む。
【0013】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルのノーズセクションは、一体の複合材料の前部機体と、前部機体の内表面に沿って位置付けられた1つ以上のアンテナとを含む。
【0014】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルのノーズセクションは、複合材料の前部機体と、前部機体内の機器とを含む。機器は、前部機体内に密閉封止されている。
【0015】
上述および関連の目的の達成のために、本発明は、特許請求の範囲の中で完全に記述され、特に指摘された特徴を備える。以下の記述および添付図面は、本発明のいくつかの例示的な実施形態を詳細に示す。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理を用いるさまざまな方法のうちのほんのいくつかを示す。本発明の、他の目的や、利点や、新規な特徴は、図面とともに考慮したとき、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【0016】
添付図面において、図面は必ずしもスケーリングしない。
【詳細な説明】
【0017】
ミサイルは、一体の複合材料の前部機体を有する、レドームシーカー機体アセンブリを含み、一体の複合材料の前部機体は、ミサイルのミサイル本体に結合される。前部機体は、ほとんどまたはまったくアブレーションを伴わず熱に耐えることができる耐熱性の複合材料でできている。前部機体は、蛋形を有する前方部と、円筒形を有する後方部とを備える。前方部は、前部機体内に位置するシーカーに対してレドームとして動作する。パッチアンテナが、円筒形の後方部の内表面に取り付けられる。後方部は、パッチアンテナに対してレドームとして動作し、カットアウトを必要とすることなく、パッチアンテナにより信号を送信および受信することを可能にする。前部機体内にガイダンスシステムおよびシーカーを封止するために単一のシールを使用してもよく、これにより前部機体内にガイダンスシステムおよびシーカーを密閉封止することが可能になる。先行技術のシステムと比較して、前部機体は、部品の数や、製造の複雑さや、重量や、コストを低減させる。構造を堅固にすることと、複数の部品を機械的に固着するまたは取り付ける必要性を回避することにより、構造上の頑強性が改善される。前部機体を密封封止する能力により、封止特性が改善される。レドームシーカー機体アセンブリの後方部に位置する弾頭の、可能性のある過早点火を低減させることにより、材料のアブレーションの低減が、ミサイルの信頼性を向上させることもできる。
【0018】
図4は、レドームシーカー前方機体アセンブリ12を含むノーズセクション11を有するミサイル10を示す。レドームシーカー前方機体アセンブリ12は、ミサイル本体14に機械的に結合されている。前方機体アセンブリは、ノーズ先端部20を備えた前部機体18を有する。ノーズ先端部20は、チタンまたは耐食性スチール(CRES)のような、好適な金属でできている。代わりに、ノーズ先端部20は、好適なセラミックでできていてもよい。ノーズ先端部20は、前部機体18の内面に付着している取付け具24に接続することにより、前部機体18中の先端開口部22に取り付けられる。取付け具24は、先端開口部22より大きい。ノーズ先端部20に対する取付け具24の結合により、ノーズ先端部20は先端開口部22内の所定の位置に固定される。ミサイルの周りの流れのよどみ点が位置する、ミサイル10のまさに先端部において、ノーズ先端部20は、前方機体アセンブリ12の、強力で熱に耐性のあるコンポーネントを提供する。
【0019】
前部機体18は、蛋形の前方部26と円筒形の後方部28とを有する。前方部26は、先端開口部22から後ろに離れるにつれて直径が大きくなる。前方部26の形は、ミサイル10の空気抵抗を低減させるために流線型にされている。
【0020】
後方部28は円筒形であり、後方部28の内表面に沿って前方取付けリング32と後方取付けリング34を有する。取付けリング32および34は、前部機体18の内面に機器36を取り付けるために使用される。機器36は、レーダーまたは他のデータ収集機器、ナビゲーション機器、および/または通信機器を含んでいてもよい。図示した実施形態において、機器36は、平面アレー42を有するシーカー40と、ガイダンスシステム44とを含んでいる。
【0021】
前部機体18は、一体の複合材料でできている。複合材料の胴体は、蛋形の前方部26から円筒形の後方部28にかけて、なめらかに、かつ継ぎ目なく先細りになっている。複合材料は、すべての機器36に対して非アブレーション用の熱保護システムとしてだけでなく、シーカー40に対して前部およびコンフォーマルの放射透過性レドームとして機能するガラスまたは石英の強化積層物とすることができる。複合材料のための樹脂は、例えば、ビスマレイミド類(BMI)や、シアン酸エステル(CE)や、ポリイミド(PI)や、フタロニトリル(PN)や、籠型シルセスキオキサン(POSS)のうちの1つ以上のような、適切な熱硬化性樹脂とすることができる。代替として、樹脂は、適切な熱可塑性材料、またはポリシロキサンのような、非有機のシリコーンベースの材料であってもよい。さらに、以下でより詳細に説明するように、前部機体18の部品に対して構造上の補強を与えるために、グラファイト繊維が使用される。
【0022】
前部機体18を製作する際に、スレッド形態の繊維を使用してもよい。繊維は、前部機体18の、所望の形を有するフォームまたはマンドレルのまわりに巻き付けられる。次に、巻き付けられたスレッドの中および回りに樹脂が塗られる。樹脂を硬化させるために、構造が加熱される。前部機体18は、複数のレイヤーで積み重ねられていてもよく、レイヤーのそれぞれは、繊維のスレッドを巻き、樹脂を添加し、樹脂を硬化させることにより別々に形成される。例えば、グラファイト繊維を含むおよび含まない複合材料の部品を積み重ねるために、異なるステップを使用してもよい。代わりに、前部機体18は、単一のステップで組み立てられてもよく、異なるタイプの繊維でさえ、単一の硬化プロセスにおいて硬化されてもよい。取付けリング32および34は、前部機体18の残部が形成されるのと同じステップにおいて、前部機体18の一体化部品として形成かつ硬化される。代わりに、取付けリング32および34は、前部機体18の残部の前に、前もって形成されていてもよく、前部機体の残部が組み立てられるときに前部機体18の部品として固定されてもよい。
【0023】
複合材料物を形成する他の方法は、樹脂トランスファー成形と、テーププレースメントと、圧縮成形とを含む。詳細は複合材料物を製造するために使用されるプロセスとしてよく知られていることが理解されるだろう。複合材料物を製造する方法に関するさらなる詳細は、米国特許第5,483,894号、第5,824,404号、および第6,526,860号中に見出され、それらの詳細な説明および図面は、参照によりここに組み込まれている。
【0024】
上述したように、前部機体18は一体製造されてもよく、厚さおよび/または材料の組成におけるバリエーションは、例えば、最も大きな応力にさらされる部分において、より厚く、あるいは、グラファイト繊維のような、異なるまたは付加的な繊維を有する。一例を挙げると、前方部26において、および後方部28のさまざまな部分において、異なる繊維の組成および/または構成を使用してもよい。前部機体後方部28の外側部分46において、ガラスおよび/または石英の繊維を使用してもよい。前部機体後方部28の構造的により強い内側部分47において、グラファイト繊維を使用してもよい(説明図においては、部分46および47は、単一材料のシステムの部品として示されている。)。
【0025】
前部機体18は、耐熱性の複合樹脂を使用する複合材料でできており、耐熱性の複合樹脂は、フェノール樹脂を有する複合材料を含む先行技術のシステムと比較して、有利な熱性能を提供する。熱にさらされるとき、フェノール樹脂を有する複合材料は黒こげになり、外側にガラス状炭素レイヤーを発生させることがある。これらの炭素レイヤーは、RF信号に対して導電性があり、したがって炭素レイヤーの発生は、ミサイルのアンテナの動作に干渉することがある。さらに、先行技術のフェノールの複合材料は、加熱されると剥離することがあり、早すぎる弾頭点火において誤った信号指示を結果として生じさせることがある熱い残骸を発生させる。これらの問題は、前部機体18の耐熱性の複合材料により、低減または回避でき、耐熱性の複合材料は熱にさらされるとき、それらの品質をはるかに良好に維持する。
【0026】
前部機体18の外表面上にセラミック材料のレイヤー48を設けてもよい。セラミック材料のレイヤー48は、前部機体18を通る湿気および/またはガスの移動を防ぐ。これは、前部機体18内のボリュームを封止するのを助ける。セラミック材料のレイヤー48は、適切なセラミック材料でできており、前部機体18の外表面上に1ないし3ミルの厚さで堆積させる。セラミック材料のレイヤー48は、化学蒸着法または吹付けのような、適切な方法により堆積させてもよい。代替として、セラミック材料のレイヤー48は、もう一つの選択肢として、前部機体18の内表面上に位置していてもよい。
【0027】
ここで、さらに図5および図6を参照すると、ガイダンスセクション胴体アセンブリ50が、取付けリング32と34との間で、前部機体18の後方部28の内表面に結合されている。ガイダンスセクション胴体アセンブリ50は、1対のデュロイド(登録商標)積層パッチアンテナ52および54を含む。アンテナ52および54は、アンテナトレイ56および58に固着され、アンテナトレイ56および58は、グラファイト構造60に固着されている。グラファイト構造60は、前部機体の後方部28の、グラファイト繊維を含む複合内側部分47である。グラファイト構造60は、アンテナトレイ56および58を受け取るために開口部62および64を有する。電気的に導電性の内部レイヤー70が、グラファイト構造60の内表面に沿って位置している。電気的に導電性のレイヤー70は、チタンまたは耐食性スチールの、フォイルの、適切なレイヤーとすることができる。
【0028】
グラファイト構造60は、前部機体18の残部とともに一体成形されてもよい。ここで使用する用語“グラファイト構造”は、グラファイトの繊維および樹脂を有する複合材料の部分を指す。石英繊維および/またはガラス繊維だけを有する、複合材料の前部機体18の他の部分と比較して、グラファイト繊維は、グラファイト構造60に対して付加的な構造上の強度を与える。グラファイト構造60は、前部機体18の全体の厚さの約50%の厚さを有していてもよい。グラファイト構造60の厚さは、約38mm(0.15インチ)とすることができる。
【0029】
アンテナトレイ56および58は、アルミニウムでできていてもよく、アンテナ52および54が前部機体18の内表面74に接するように、構造の開口部62および64に差し込まれていてもよい。アンテナトレイ56および58のアルミニウムが電気的に導電性のレイヤー70に接触するところでの電食を防ぐために、アンテナトレイ56および58のアルミニウムは、ニッケルのコーティングを有していてもよい。
【0030】
上述したように、導電性の内部レイヤー70は、チタンレイヤーや、耐食性スチールのレイヤーや、またはモリブデンのレイヤーのような、金属レイヤーとすることができる。金属レイヤーは、0.0254mmから0.254mmまで(0.001ないし0.010インチ)の厚さを有していてもよい。代わりに、導電性の内部レイヤー70は、グラファイト構造60の内表面に適用される、溶射レイヤーまたはスパッタレイヤーであってもよい。導電性の内部レイヤー70は、さもなければ機器36の適切な機能に干渉するかもしれない電磁干渉(EMI)に対する保護を与える。さらに、導電性の内部レイヤー70は、アンテナ52および54に対する接地平面を与えてもよい。
【0031】
アンテナ52および54の取付けは、ミサイル10の外部構造における何らかの種類のカットアウトに対する必要性を回避する。グラファイト構造60の外部にある、前部機体18の複合材料は、アンテナ52および54により送信または受信されるRF信号に干渉しない。先行技術のミサイル前方胴体200におけるカットアウト216および218(図1)のようなカットアウトに対する必要性を回避することにより、構造の品質が向上する。先行技術の構造により生じるかもしれない、アブレーション用の材料およびシーラント材料の破片のような飛び去る残骸を、複合材料の前部機体18において使用される樹脂は有利にも低減させ、または除去する。さらに、図4および図5の構成は、カットアウトに対してカバーを取り付ける接着剤または他の手段の、可能性がある失敗を回避する。さらに、カットアウトを通じての漏れの可能性が回避される。
【0032】
アンテナ52および54は、ミサイル10の外部にある、地上局または他の場所との通信を提供するための、通信リンクアンテナであってもよい。アンテナ52および54に対して他の可能性のある機能は、遠隔計測と、フライトターミネーションシステムと、全地球測位システムと、ターゲットビデオシステムとを含む。2つのこのようなアンテナを含むものとして実施形態を上述したが、より多いまたはより少ない数のアンテナを利用してもよく、複数のアンテナは、異なる構成および/または機能を有していてもよいことが理解される。
【0033】
図7および図8は、ガイダンスセクション胴体アセンブリ50の代替の実施形態において、アンテナ52および54を取り付ける代替の構成を図示する。インサート76および78が、グラファイト構造60および前部機体18と一体成形される。インサート76および78は、チタンまたは耐食性スチールのような、適切な金属でできていてもよい。インサート76および78は、アンテナトレイ86および88中の対応する穴84と整列するように構成されたねじ穴80を有する。アンテナトレイ86および88は、チタンまたは耐食性スチールでできているような、インサート76および78と同じ材料でできていてもよい。アンテナ52および54は、アンテナトレイ56および58(図5)に固着するのと同様の方法でアンテナトレイ86および88に固着される。ねじ留め具90は、アンテナトレイ86および88をインサート76および78に結合するために使用され、アンテナ52および54は、前部機体18の内表面74に接する。グラファイト構造60の内表面上の導電性の内部レイヤー70は、接地平面と、EMIに対する保護とを与える。
【0034】
図7および図8中で示したアンテナ取付け構成は、例えば、アンテナ52および54の、可能性のある交換または再加工のために、設置後にアンテナ52および54にアクセスできる利点を有する。図4ないし図6で示した構成は、基本的に永久的な固着であるが、有利にも、より少ない部品を使用し、重さがより少ないかもしれない。
【0035】
図9ないし図11は、ともに結合し、ノーズセクション11を封止する1つの構成を、前方機体12内の機器36とともに図示する。機器36は、機器36の後にある後方取付けプレート100とともに、前部機体18中に装填される。ねじボルト102が、後方取付けプレート100中の対応する穴104を通して差し込まれ、ガスケットによりそこで封止される。ボルト102は、前方取付けリング32の、内部にねじが切られた部分112とねじ係合される。前方取付けリング32のねじ切り部分112は、前方取付けリング32内にねじが切られたインサートであってもよく、ねじ切り部分112は、例えば、それらの回りに形成された複合材料により所定の位置に保持される、内部にねじが切られたスチールのインサートである。代わりに、ねじ切り部分112は、それ自身、複合材料内の、内部にねじが切られた穴であってもよい。
【0036】
取付けプレート100は、機器36と取付けプレート100が前部機体18内に設置されるとき後方取付けリング34と接触するOリングを保持する円周溝116を含む。Oリング118は、前部機体18と機器36との間で振動減衰を与える。Oリング118はまた、前部機体18と機器36との間のギャップに沿って密閉封止を与える。
【0037】
機器36は、取付けリング32および34の両方において前部機体18内にサポートされる。これは、機器36に対して、特にシーカー40に対して、しっかり固定した正確な取付けを与える。
【0038】
よく知られているように、前部機体18は、一連の、円周上で間隔が空けられた留め具120により、後部ミサイル本体14に結合される。前部機体18と後部ミサイル本体14との間のジョイント126においてシールを与えるために、Oリング124が使用される。ジョイント126におけるシールは、密封シールであってもよく、前部機体18の内部ボリューム128への湿気および他の汚染物質の進入を防ぐ。
【0039】
図12ないし図14は、ともに結合し、ノーズセクション11を封止する1つの構成を図示する。長いねじボルト132が、後方取付けプレート100中の、内部にねじが切られた突起130に通される。より短いねじボルト133が、後方取付けプレート100中の穴104を貫通し、後方取付けリング34の穴134に係合する。上で論じた内部にねじが切られた部分112(図9)と同様に、内部にねじが切られた部分134は、ねじが切られたインサートであってもよく、複合材料中のねじが切られた穴であってもよい。ねじボルト133は、1つ以上の適切なガスケットにより穴104において封止されてもよい。Oリングまたは他の適切なシールが、後方取付けプレート100と後方取付けリング34との間に与えられていてもよい。
【0040】
機器36は、中にOリング144を備えた円周溝142を有する環状の突起140を具備している。Oリング144は前方取付けリング32を押し、機器36と前部機体18との間で振動減衰を与え、その一方で、前方取付けリング32が機器36を取り付けるためのサポートを与えることを可能にする。
【0041】
前部機体18と後部ミサイル本体14との間の結合は、上述した結合と同一であってもよく、その結合は、円周上で間隔が空けられた留め具120により与えられる結合により、かつ、前部機体18と後部ミサイル本体14との間のジョイントにおいて封止を与えるOリングによるものである。代替として、Oリング118は、後方取付けプレート100の回りに封止を与えてもよい。
【0042】
ここで記述したミサイルのノーズセクション11は、重量の、コストの、部品数の、封止ジョイントの、減少、および構造品質の、信頼性の、性能の、増加を含む、従来技術のノーズセクションに比べて多くの利点を提供する。製造は、簡単にされ、スピードアップされる。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態に関して本発明を示し、記述してきたが、本明細書および添付図面を読み、理解することにより、均等な変更および修正が当業者に生じることが明らかである。特に、上述した要素(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、組成、など)により実行されるさまざまな機能に関して、このような要素を記述するために使用される(“手段”に対する参照を含む)用語は、特に示していない限り、本発明のここで図示した例示的な実施形態における機能を実行する開示した構造に、構造的にたとえ均等でなくとも、記述した要素の指定された機能を実行する(すなわち、機能的に均等である)任意の要素に対応するように向けられている。さらに、本発明の特定の特徴は、いくつかの図示した実施形態のうちの1つ以上だけに関して上述したが、このような特徴は、いくつかの、所定のまたは特定の適用に対して望まれ、有利であるような、他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、先行技術のミサイルの前方部の側面の断面図である。
【図2】図2は、図1の先行技術のミサイル前方部の分解組立図である。
【図3】図3は、図1のミサイル前方部のパッチアンテナの取付けの詳細を示す、部分的な分解組立図である。
【図4】図4は、本発明にしたがう、ミサイルのノーズセクションの側面の断面図である。
【図5】図5は、アンテナアセンブリの詳細を示す、図4の図の一部分の拡大図である。
【図6】図6は、図5の部分の分解組立図である。
【図7】図7は、代替の構成のアンテナアセンブリを有するミサイルのノーズセクションの側面の断面図である。
【図8】図8は、代替の構成のアンテナアセンブリの詳細を示す、図7の図の一部分の分解組立図である。
【図9】図9は、本発明にしたがう、ミサイルのノーズセクションのパッケージングの第1の構成を示す側面の断面図である。
【図10】図10は、図9の第1のパッケージングの構成の分解組立図である。
【図11】図11は、第1のパッケージングの構成の封止の詳細を示す、図9の一部分の拡大図である。
【図12】図12は、本発明にしたがう、ミサイルのノーズセクションのパッケージングの第2の構成を示す、側面の断面図である。
【図13】図13は、図12の第2のパッケージングの構成の分解組立図である。
【図14】図14は、第2のパッケージングの構成の振動減衰の特徴の詳細を示す、図12の一部分の拡大図である。
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は一般にミサイルのノーズコーンに関し、特に、組み込まれたレーダーシステムおよび/またはアンテナを有するノーズコーンに関する。
【関連技術の説明】
【0002】
一般的な現在のミサイルの機体技術は、セラミックの前方のレドームと、金属のシーカーおよびガイダンスセクション胴体と、側面に取り付けられたアンテナのためのカットアウトおよびコンフォーマルレドームを有するアブレーション用の熱保護システムとに依拠する。図1ないし図3は、このような先行技術のミサイルの前方のセクション200の例を示し、前方のセクション200は、チタンのノーズ先端部204を有するセラミックの前部の蛋形レドーム202を備えたノーズコーン201を含む。レドーム202は、スリップキャストの石英ガラスでできている。セラミックのレドーム202の後部には、ガラス強化フェノール複合材料のスリーブ208と、ガイダンスセクションの胴体アセンブリ210と、ミサイル本体212とがある。アンテナガイダンスセクションの胴体210は、1対のカットアウト216および218を有するアルミニウムの胴体セクション214を含む。外部熱保護システムのインサート220および222は、アルミニウムの胴体214の外面上の凹部224に適合する。インサート220および222は、アルミニウムの胴体のカットアウト216および218に重なるそれぞれのカットアウト226および228を有する。1対のアンテナレドーム232および234は、アルミニウムのアンテナトレイ242および244に固着されており、1対のパッチアンテナ236および238をトレイ242および244で囲んでいる。アンテナレドーム232および234は、湾曲したプレートであり、アンテナ236および238に対して保護を提供する、熱保護システムとして機能を果たす、テフロン(登録商標)のようなポリマー材料でできている。アンテナ236および238は、アルミニウムの胴体214に対してアセンブリとして固定されているアンテナトレイにより所定の位置に保持される。パッチアンテナ236および238は、レドーム232および234を通して信号を送信および/または受信するために、カットアウト216/226および218/228に位置付けられている。ガイダンスセクション250は、ミサイルの前部内に位置しており、前方取付けリング252に結合されている。
【0003】
先行技術のミサイルは、多数のシールを有しており、それらは、セラミックのレドーム202とノーズ先端部204との間の固着ジョイント260、レドーム202とフェノールのスリーブ208との間の固着ジョイント266、アルミニウムの胴体214に沿ったさまざまな点におけるポリスルフィドのシール268、270、272、および274である。これらのシールのそれぞれは、可能性のあるリーク点を表す。
【0004】
このようなミサイルノーズの現状において改良の余地が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の観点にしたがうと、ミサイルは複合材料の前部機体を含む。
【0006】
本発明の別の観点にしたがうと、ミサイルは、前部機体内のシーカーに対してレドームとして動作する複合材料の前部機体を含む。
【0007】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルは、蛋形の前方部と実質的に円筒形の後方部とを有する複合材料の前部機体を含む。
【0008】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルは、耐熱性の樹脂を含む複合材料の前部機体を含む。
【0009】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルは、耐熱性の、樹脂およびガラスならびに/あるいは石英繊維を含む複合材料の前部機体を含む。
【0010】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、複合材料の前部機体は、内表面に沿って1つ以上のアンテナを有する。アンテナは、内表面と接触していてもよく、内表面に取り付けられていてもよい。アンテナは、パッチアンテナとすることができる。複合材料は、アンテナにより送信または受信されている信号を干渉しない材料でできている。
【0011】
本発明の別の観点にしたがうと、ミサイルのノーズセクションは、複合材料の前部機体と、前部機体内に密閉封止された機器とを含む。複合材料の外面または内面上のセラミックのレイヤーは、複合材料の前部機体を通るガスおよび/または湿気の進入を防ぐことにより、ノーズセクションの封止を助ける。
【0012】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルのノーズセクションは、一体の複合材料の前部機体と、少なくとも部分的に前部機体内の機器とを含む。前部機体は、蛋形の前方部と、実質的に円筒形の後方部とを含む。
【0013】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルのノーズセクションは、一体の複合材料の前部機体と、前部機体の内表面に沿って位置付けられた1つ以上のアンテナとを含む。
【0014】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、ミサイルのノーズセクションは、複合材料の前部機体と、前部機体内の機器とを含む。機器は、前部機体内に密閉封止されている。
【0015】
上述および関連の目的の達成のために、本発明は、特許請求の範囲の中で完全に記述され、特に指摘された特徴を備える。以下の記述および添付図面は、本発明のいくつかの例示的な実施形態を詳細に示す。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理を用いるさまざまな方法のうちのほんのいくつかを示す。本発明の、他の目的や、利点や、新規な特徴は、図面とともに考慮したとき、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【0016】
添付図面において、図面は必ずしもスケーリングしない。
【詳細な説明】
【0017】
ミサイルは、一体の複合材料の前部機体を有する、レドームシーカー機体アセンブリを含み、一体の複合材料の前部機体は、ミサイルのミサイル本体に結合される。前部機体は、ほとんどまたはまったくアブレーションを伴わず熱に耐えることができる耐熱性の複合材料でできている。前部機体は、蛋形を有する前方部と、円筒形を有する後方部とを備える。前方部は、前部機体内に位置するシーカーに対してレドームとして動作する。パッチアンテナが、円筒形の後方部の内表面に取り付けられる。後方部は、パッチアンテナに対してレドームとして動作し、カットアウトを必要とすることなく、パッチアンテナにより信号を送信および受信することを可能にする。前部機体内にガイダンスシステムおよびシーカーを封止するために単一のシールを使用してもよく、これにより前部機体内にガイダンスシステムおよびシーカーを密閉封止することが可能になる。先行技術のシステムと比較して、前部機体は、部品の数や、製造の複雑さや、重量や、コストを低減させる。構造を堅固にすることと、複数の部品を機械的に固着するまたは取り付ける必要性を回避することにより、構造上の頑強性が改善される。前部機体を密封封止する能力により、封止特性が改善される。レドームシーカー機体アセンブリの後方部に位置する弾頭の、可能性のある過早点火を低減させることにより、材料のアブレーションの低減が、ミサイルの信頼性を向上させることもできる。
【0018】
図4は、レドームシーカー前方機体アセンブリ12を含むノーズセクション11を有するミサイル10を示す。レドームシーカー前方機体アセンブリ12は、ミサイル本体14に機械的に結合されている。前方機体アセンブリは、ノーズ先端部20を備えた前部機体18を有する。ノーズ先端部20は、チタンまたは耐食性スチール(CRES)のような、好適な金属でできている。代わりに、ノーズ先端部20は、好適なセラミックでできていてもよい。ノーズ先端部20は、前部機体18の内面に付着している取付け具24に接続することにより、前部機体18中の先端開口部22に取り付けられる。取付け具24は、先端開口部22より大きい。ノーズ先端部20に対する取付け具24の結合により、ノーズ先端部20は先端開口部22内の所定の位置に固定される。ミサイルの周りの流れのよどみ点が位置する、ミサイル10のまさに先端部において、ノーズ先端部20は、前方機体アセンブリ12の、強力で熱に耐性のあるコンポーネントを提供する。
【0019】
前部機体18は、蛋形の前方部26と円筒形の後方部28とを有する。前方部26は、先端開口部22から後ろに離れるにつれて直径が大きくなる。前方部26の形は、ミサイル10の空気抵抗を低減させるために流線型にされている。
【0020】
後方部28は円筒形であり、後方部28の内表面に沿って前方取付けリング32と後方取付けリング34を有する。取付けリング32および34は、前部機体18の内面に機器36を取り付けるために使用される。機器36は、レーダーまたは他のデータ収集機器、ナビゲーション機器、および/または通信機器を含んでいてもよい。図示した実施形態において、機器36は、平面アレー42を有するシーカー40と、ガイダンスシステム44とを含んでいる。
【0021】
前部機体18は、一体の複合材料でできている。複合材料の胴体は、蛋形の前方部26から円筒形の後方部28にかけて、なめらかに、かつ継ぎ目なく先細りになっている。複合材料は、すべての機器36に対して非アブレーション用の熱保護システムとしてだけでなく、シーカー40に対して前部およびコンフォーマルの放射透過性レドームとして機能するガラスまたは石英の強化積層物とすることができる。複合材料のための樹脂は、例えば、ビスマレイミド類(BMI)や、シアン酸エステル(CE)や、ポリイミド(PI)や、フタロニトリル(PN)や、籠型シルセスキオキサン(POSS)のうちの1つ以上のような、適切な熱硬化性樹脂とすることができる。代替として、樹脂は、適切な熱可塑性材料、またはポリシロキサンのような、非有機のシリコーンベースの材料であってもよい。さらに、以下でより詳細に説明するように、前部機体18の部品に対して構造上の補強を与えるために、グラファイト繊維が使用される。
【0022】
前部機体18を製作する際に、スレッド形態の繊維を使用してもよい。繊維は、前部機体18の、所望の形を有するフォームまたはマンドレルのまわりに巻き付けられる。次に、巻き付けられたスレッドの中および回りに樹脂が塗られる。樹脂を硬化させるために、構造が加熱される。前部機体18は、複数のレイヤーで積み重ねられていてもよく、レイヤーのそれぞれは、繊維のスレッドを巻き、樹脂を添加し、樹脂を硬化させることにより別々に形成される。例えば、グラファイト繊維を含むおよび含まない複合材料の部品を積み重ねるために、異なるステップを使用してもよい。代わりに、前部機体18は、単一のステップで組み立てられてもよく、異なるタイプの繊維でさえ、単一の硬化プロセスにおいて硬化されてもよい。取付けリング32および34は、前部機体18の残部が形成されるのと同じステップにおいて、前部機体18の一体化部品として形成かつ硬化される。代わりに、取付けリング32および34は、前部機体18の残部の前に、前もって形成されていてもよく、前部機体の残部が組み立てられるときに前部機体18の部品として固定されてもよい。
【0023】
複合材料物を形成する他の方法は、樹脂トランスファー成形と、テーププレースメントと、圧縮成形とを含む。詳細は複合材料物を製造するために使用されるプロセスとしてよく知られていることが理解されるだろう。複合材料物を製造する方法に関するさらなる詳細は、米国特許第5,483,894号、第5,824,404号、および第6,526,860号中に見出され、それらの詳細な説明および図面は、参照によりここに組み込まれている。
【0024】
上述したように、前部機体18は一体製造されてもよく、厚さおよび/または材料の組成におけるバリエーションは、例えば、最も大きな応力にさらされる部分において、より厚く、あるいは、グラファイト繊維のような、異なるまたは付加的な繊維を有する。一例を挙げると、前方部26において、および後方部28のさまざまな部分において、異なる繊維の組成および/または構成を使用してもよい。前部機体後方部28の外側部分46において、ガラスおよび/または石英の繊維を使用してもよい。前部機体後方部28の構造的により強い内側部分47において、グラファイト繊維を使用してもよい(説明図においては、部分46および47は、単一材料のシステムの部品として示されている。)。
【0025】
前部機体18は、耐熱性の複合樹脂を使用する複合材料でできており、耐熱性の複合樹脂は、フェノール樹脂を有する複合材料を含む先行技術のシステムと比較して、有利な熱性能を提供する。熱にさらされるとき、フェノール樹脂を有する複合材料は黒こげになり、外側にガラス状炭素レイヤーを発生させることがある。これらの炭素レイヤーは、RF信号に対して導電性があり、したがって炭素レイヤーの発生は、ミサイルのアンテナの動作に干渉することがある。さらに、先行技術のフェノールの複合材料は、加熱されると剥離することがあり、早すぎる弾頭点火において誤った信号指示を結果として生じさせることがある熱い残骸を発生させる。これらの問題は、前部機体18の耐熱性の複合材料により、低減または回避でき、耐熱性の複合材料は熱にさらされるとき、それらの品質をはるかに良好に維持する。
【0026】
前部機体18の外表面上にセラミック材料のレイヤー48を設けてもよい。セラミック材料のレイヤー48は、前部機体18を通る湿気および/またはガスの移動を防ぐ。これは、前部機体18内のボリュームを封止するのを助ける。セラミック材料のレイヤー48は、適切なセラミック材料でできており、前部機体18の外表面上に1ないし3ミルの厚さで堆積させる。セラミック材料のレイヤー48は、化学蒸着法または吹付けのような、適切な方法により堆積させてもよい。代替として、セラミック材料のレイヤー48は、もう一つの選択肢として、前部機体18の内表面上に位置していてもよい。
【0027】
ここで、さらに図5および図6を参照すると、ガイダンスセクション胴体アセンブリ50が、取付けリング32と34との間で、前部機体18の後方部28の内表面に結合されている。ガイダンスセクション胴体アセンブリ50は、1対のデュロイド(登録商標)積層パッチアンテナ52および54を含む。アンテナ52および54は、アンテナトレイ56および58に固着され、アンテナトレイ56および58は、グラファイト構造60に固着されている。グラファイト構造60は、前部機体の後方部28の、グラファイト繊維を含む複合内側部分47である。グラファイト構造60は、アンテナトレイ56および58を受け取るために開口部62および64を有する。電気的に導電性の内部レイヤー70が、グラファイト構造60の内表面に沿って位置している。電気的に導電性のレイヤー70は、チタンまたは耐食性スチールの、フォイルの、適切なレイヤーとすることができる。
【0028】
グラファイト構造60は、前部機体18の残部とともに一体成形されてもよい。ここで使用する用語“グラファイト構造”は、グラファイトの繊維および樹脂を有する複合材料の部分を指す。石英繊維および/またはガラス繊維だけを有する、複合材料の前部機体18の他の部分と比較して、グラファイト繊維は、グラファイト構造60に対して付加的な構造上の強度を与える。グラファイト構造60は、前部機体18の全体の厚さの約50%の厚さを有していてもよい。グラファイト構造60の厚さは、約38mm(0.15インチ)とすることができる。
【0029】
アンテナトレイ56および58は、アルミニウムでできていてもよく、アンテナ52および54が前部機体18の内表面74に接するように、構造の開口部62および64に差し込まれていてもよい。アンテナトレイ56および58のアルミニウムが電気的に導電性のレイヤー70に接触するところでの電食を防ぐために、アンテナトレイ56および58のアルミニウムは、ニッケルのコーティングを有していてもよい。
【0030】
上述したように、導電性の内部レイヤー70は、チタンレイヤーや、耐食性スチールのレイヤーや、またはモリブデンのレイヤーのような、金属レイヤーとすることができる。金属レイヤーは、0.0254mmから0.254mmまで(0.001ないし0.010インチ)の厚さを有していてもよい。代わりに、導電性の内部レイヤー70は、グラファイト構造60の内表面に適用される、溶射レイヤーまたはスパッタレイヤーであってもよい。導電性の内部レイヤー70は、さもなければ機器36の適切な機能に干渉するかもしれない電磁干渉(EMI)に対する保護を与える。さらに、導電性の内部レイヤー70は、アンテナ52および54に対する接地平面を与えてもよい。
【0031】
アンテナ52および54の取付けは、ミサイル10の外部構造における何らかの種類のカットアウトに対する必要性を回避する。グラファイト構造60の外部にある、前部機体18の複合材料は、アンテナ52および54により送信または受信されるRF信号に干渉しない。先行技術のミサイル前方胴体200におけるカットアウト216および218(図1)のようなカットアウトに対する必要性を回避することにより、構造の品質が向上する。先行技術の構造により生じるかもしれない、アブレーション用の材料およびシーラント材料の破片のような飛び去る残骸を、複合材料の前部機体18において使用される樹脂は有利にも低減させ、または除去する。さらに、図4および図5の構成は、カットアウトに対してカバーを取り付ける接着剤または他の手段の、可能性がある失敗を回避する。さらに、カットアウトを通じての漏れの可能性が回避される。
【0032】
アンテナ52および54は、ミサイル10の外部にある、地上局または他の場所との通信を提供するための、通信リンクアンテナであってもよい。アンテナ52および54に対して他の可能性のある機能は、遠隔計測と、フライトターミネーションシステムと、全地球測位システムと、ターゲットビデオシステムとを含む。2つのこのようなアンテナを含むものとして実施形態を上述したが、より多いまたはより少ない数のアンテナを利用してもよく、複数のアンテナは、異なる構成および/または機能を有していてもよいことが理解される。
【0033】
図7および図8は、ガイダンスセクション胴体アセンブリ50の代替の実施形態において、アンテナ52および54を取り付ける代替の構成を図示する。インサート76および78が、グラファイト構造60および前部機体18と一体成形される。インサート76および78は、チタンまたは耐食性スチールのような、適切な金属でできていてもよい。インサート76および78は、アンテナトレイ86および88中の対応する穴84と整列するように構成されたねじ穴80を有する。アンテナトレイ86および88は、チタンまたは耐食性スチールでできているような、インサート76および78と同じ材料でできていてもよい。アンテナ52および54は、アンテナトレイ56および58(図5)に固着するのと同様の方法でアンテナトレイ86および88に固着される。ねじ留め具90は、アンテナトレイ86および88をインサート76および78に結合するために使用され、アンテナ52および54は、前部機体18の内表面74に接する。グラファイト構造60の内表面上の導電性の内部レイヤー70は、接地平面と、EMIに対する保護とを与える。
【0034】
図7および図8中で示したアンテナ取付け構成は、例えば、アンテナ52および54の、可能性のある交換または再加工のために、設置後にアンテナ52および54にアクセスできる利点を有する。図4ないし図6で示した構成は、基本的に永久的な固着であるが、有利にも、より少ない部品を使用し、重さがより少ないかもしれない。
【0035】
図9ないし図11は、ともに結合し、ノーズセクション11を封止する1つの構成を、前方機体12内の機器36とともに図示する。機器36は、機器36の後にある後方取付けプレート100とともに、前部機体18中に装填される。ねじボルト102が、後方取付けプレート100中の対応する穴104を通して差し込まれ、ガスケットによりそこで封止される。ボルト102は、前方取付けリング32の、内部にねじが切られた部分112とねじ係合される。前方取付けリング32のねじ切り部分112は、前方取付けリング32内にねじが切られたインサートであってもよく、ねじ切り部分112は、例えば、それらの回りに形成された複合材料により所定の位置に保持される、内部にねじが切られたスチールのインサートである。代わりに、ねじ切り部分112は、それ自身、複合材料内の、内部にねじが切られた穴であってもよい。
【0036】
取付けプレート100は、機器36と取付けプレート100が前部機体18内に設置されるとき後方取付けリング34と接触するOリングを保持する円周溝116を含む。Oリング118は、前部機体18と機器36との間で振動減衰を与える。Oリング118はまた、前部機体18と機器36との間のギャップに沿って密閉封止を与える。
【0037】
機器36は、取付けリング32および34の両方において前部機体18内にサポートされる。これは、機器36に対して、特にシーカー40に対して、しっかり固定した正確な取付けを与える。
【0038】
よく知られているように、前部機体18は、一連の、円周上で間隔が空けられた留め具120により、後部ミサイル本体14に結合される。前部機体18と後部ミサイル本体14との間のジョイント126においてシールを与えるために、Oリング124が使用される。ジョイント126におけるシールは、密封シールであってもよく、前部機体18の内部ボリューム128への湿気および他の汚染物質の進入を防ぐ。
【0039】
図12ないし図14は、ともに結合し、ノーズセクション11を封止する1つの構成を図示する。長いねじボルト132が、後方取付けプレート100中の、内部にねじが切られた突起130に通される。より短いねじボルト133が、後方取付けプレート100中の穴104を貫通し、後方取付けリング34の穴134に係合する。上で論じた内部にねじが切られた部分112(図9)と同様に、内部にねじが切られた部分134は、ねじが切られたインサートであってもよく、複合材料中のねじが切られた穴であってもよい。ねじボルト133は、1つ以上の適切なガスケットにより穴104において封止されてもよい。Oリングまたは他の適切なシールが、後方取付けプレート100と後方取付けリング34との間に与えられていてもよい。
【0040】
機器36は、中にOリング144を備えた円周溝142を有する環状の突起140を具備している。Oリング144は前方取付けリング32を押し、機器36と前部機体18との間で振動減衰を与え、その一方で、前方取付けリング32が機器36を取り付けるためのサポートを与えることを可能にする。
【0041】
前部機体18と後部ミサイル本体14との間の結合は、上述した結合と同一であってもよく、その結合は、円周上で間隔が空けられた留め具120により与えられる結合により、かつ、前部機体18と後部ミサイル本体14との間のジョイントにおいて封止を与えるOリングによるものである。代替として、Oリング118は、後方取付けプレート100の回りに封止を与えてもよい。
【0042】
ここで記述したミサイルのノーズセクション11は、重量の、コストの、部品数の、封止ジョイントの、減少、および構造品質の、信頼性の、性能の、増加を含む、従来技術のノーズセクションに比べて多くの利点を提供する。製造は、簡単にされ、スピードアップされる。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態に関して本発明を示し、記述してきたが、本明細書および添付図面を読み、理解することにより、均等な変更および修正が当業者に生じることが明らかである。特に、上述した要素(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、組成、など)により実行されるさまざまな機能に関して、このような要素を記述するために使用される(“手段”に対する参照を含む)用語は、特に示していない限り、本発明のここで図示した例示的な実施形態における機能を実行する開示した構造に、構造的にたとえ均等でなくとも、記述した要素の指定された機能を実行する(すなわち、機能的に均等である)任意の要素に対応するように向けられている。さらに、本発明の特定の特徴は、いくつかの図示した実施形態のうちの1つ以上だけに関して上述したが、このような特徴は、いくつかの、所定のまたは特定の適用に対して望まれ、有利であるような、他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、先行技術のミサイルの前方部の側面の断面図である。
【図2】図2は、図1の先行技術のミサイル前方部の分解組立図である。
【図3】図3は、図1のミサイル前方部のパッチアンテナの取付けの詳細を示す、部分的な分解組立図である。
【図4】図4は、本発明にしたがう、ミサイルのノーズセクションの側面の断面図である。
【図5】図5は、アンテナアセンブリの詳細を示す、図4の図の一部分の拡大図である。
【図6】図6は、図5の部分の分解組立図である。
【図7】図7は、代替の構成のアンテナアセンブリを有するミサイルのノーズセクションの側面の断面図である。
【図8】図8は、代替の構成のアンテナアセンブリの詳細を示す、図7の図の一部分の分解組立図である。
【図9】図9は、本発明にしたがう、ミサイルのノーズセクションのパッケージングの第1の構成を示す側面の断面図である。
【図10】図10は、図9の第1のパッケージングの構成の分解組立図である。
【図11】図11は、第1のパッケージングの構成の封止の詳細を示す、図9の一部分の拡大図である。
【図12】図12は、本発明にしたがう、ミサイルのノーズセクションのパッケージングの第2の構成を示す、側面の断面図である。
【図13】図13は、図12の第2のパッケージングの構成の分解組立図である。
【図14】図14は、第2のパッケージングの構成の振動減衰の特徴の詳細を示す、図12の一部分の拡大図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミサイルのノーズセクション(11)において、
一体複合材料前部機体(18)と、
少なくとも部分的に前記前部機体内の機器(36)とを具備し、
前記前部機体は、蛋形の前方部(26)と、実質的に円筒形の後方部(28)とを含むミサイルのノーズセクション。
【請求項2】
前記前部機体の内表面に沿って位置付けられた1つ以上のアンテナ(52,54)をさらに具備し、
前記1つ以上のアンテナは、前記前部機体の後方部に沿って位置付けられている請求項1記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項3】
前記1つ以上のアンテナは、前記後方部の内表面に沿ったグラファイト構造(60)における1つ以上の各開口部(62,64)中に取り付けられている請求項2記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項4】
前記1つ以上のアンテナは、前記前部機体に結合されているそれぞれのアンテナトレイ(56,58)に固着されている請求項2または請求項3記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項5】
前記1つ以上のアンテナは、前記前部機体の内表面に接触している請求項2ないし4のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項6】
前記1つ以上のアンテナは、パッチアンテナである請求項2ないし5のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項7】
前記前部機体は、前方取付けリング(32)と、前記後方部の内表面に沿った後方取付けリング(34)とを含み、
前記1つ以上のアンテナは、前記前方取付けリングと前記後方取付けリングとの間にあり、
前記取付けリングは、前記機器を構造的にサポートする請求項2ないし6のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項8】
前記機器の後部の取付けプレート(100)をさらに具備し、
前記取付けプレートは、前記取付けリングのうちの1つのねじ部に、ねじ留め具により結合されている請求項7記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項9】
前記複合材料は、
前記蛋形の前方部と、前記円筒形の後方部の外側部分との両方における、1つ以上のガラス繊維および石英繊維と、
前記円筒形の後方部の内側部分におけるグラファイト繊維とをさらに含む請求項1ないし8のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項10】
前記機器は、前記前部機体内に密閉封止されている請求項1ないし9のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項1】
ミサイルのノーズセクション(11)において、
一体複合材料前部機体(18)と、
少なくとも部分的に前記前部機体内の機器(36)とを具備し、
前記前部機体は、蛋形の前方部(26)と、実質的に円筒形の後方部(28)とを含むミサイルのノーズセクション。
【請求項2】
前記前部機体の内表面に沿って位置付けられた1つ以上のアンテナ(52,54)をさらに具備し、
前記1つ以上のアンテナは、前記前部機体の後方部に沿って位置付けられている請求項1記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項3】
前記1つ以上のアンテナは、前記後方部の内表面に沿ったグラファイト構造(60)における1つ以上の各開口部(62,64)中に取り付けられている請求項2記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項4】
前記1つ以上のアンテナは、前記前部機体に結合されているそれぞれのアンテナトレイ(56,58)に固着されている請求項2または請求項3記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項5】
前記1つ以上のアンテナは、前記前部機体の内表面に接触している請求項2ないし4のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項6】
前記1つ以上のアンテナは、パッチアンテナである請求項2ないし5のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項7】
前記前部機体は、前方取付けリング(32)と、前記後方部の内表面に沿った後方取付けリング(34)とを含み、
前記1つ以上のアンテナは、前記前方取付けリングと前記後方取付けリングとの間にあり、
前記取付けリングは、前記機器を構造的にサポートする請求項2ないし6のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項8】
前記機器の後部の取付けプレート(100)をさらに具備し、
前記取付けプレートは、前記取付けリングのうちの1つのねじ部に、ねじ留め具により結合されている請求項7記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項9】
前記複合材料は、
前記蛋形の前方部と、前記円筒形の後方部の外側部分との両方における、1つ以上のガラス繊維および石英繊維と、
前記円筒形の後方部の内側部分におけるグラファイト繊維とをさらに含む請求項1ないし8のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【請求項10】
前記機器は、前記前部機体内に密閉封止されている請求項1ないし9のいずれか1項記載のミサイルのノーズセクション。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−532251(P2009−532251A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502772(P2009−502772)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/002101
【国際公開番号】WO2008/045125
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/002101
【国際公開番号】WO2008/045125
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】
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