説明

複合ミラーおよび車両用サイドミラー

【課題】一般走行中の後続車の視認等の後方視認と、停車、駐車時に特に必要になる車体近くの低位置領域の視認の双方を、ミラーの姿勢調整を行うことなく良好に行えるようにすること。
【解決手段】上側部分を平面鏡16、平面鏡16の下縁に連続する下側部分を、鉛直面に対して下向きに傾斜した凸面鏡18とする。この複合ミラーは、上側部分が平面鏡で、当該平面鏡の下縁に連続する下側部分が鉛直面に対して下向きに傾斜した凸面鏡である。また、この発明による別の複合ミラーは、中央部分が平面鏡で、当該平面鏡の外周縁に連続する外周部分が凸面鏡である鏡面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複合ミラーおよび車両用サイドミラーに関し、特に、平面鏡と凸面鏡との組み合わせによる複合ミラーおよびそれを用いた車両用サイドミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に用いられるフェンダミラー、ドアミラー等の後方視認用のサイドミラーは、全面を平面鏡あるいは凸面鏡により構成されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−264129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のサイドミラーは、後続車の視認などの後方視認には適したものであるが、道路端への停車、駐車の際などに必要になる、側道際の障害物、溝への脱輪、路面上の小動物、落とし物等の視認には向いておらず、車体近くの低位置領域が死角になり易い。
【0004】
このことに対して、サイドミラーを下向き姿勢にすれば、車体近くの低位置領域の視認性がよくなるが、その反面、一般走行中の後続車の視認などは行い難くなる。また、凸面鏡の曲率半径を小さくして可視領域を大きくすることも考えられが、凸面鏡の曲率半径が小さいと、反射像が歪むとともに、全体に反射像が小さくなり、視認性が低下する傾向がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、自動車等の車両に用いられるサイドミラーにおいて、一般走行中の後続車の視認等の後方視認と、停車、駐車時に特に必要になる車体近くの低位置領域の視認の双方を、ミラーの姿勢調整を行うことなく良好に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による複合ミラーは、上側部分が平面鏡で、当該平面鏡の下縁に連続する下側部分が鉛直面に対して下向きに傾斜した凸面鏡である鏡面を有する。
【0007】
この発明による車両用サイドミラーは、上述の発明による複合ミラーを用いている。
【0008】
また、この発明による複合ミラーは、中央部分が平面鏡で、当該平面鏡の外周縁に連続する外周部分が凸面鏡である鏡面を有する。
【発明の効果】
【0009】
この発明による複合ミラーは、上側部分が平面鏡で、当該平面鏡の下縁に連続する下側部分が鉛直面に対して下向きに傾斜した凸面鏡であるから、上側部分の平面鏡によって一般走行中の後続車の視認等の後方視認を良好に行うことができると共に、下側部分の下向き傾斜の凸面鏡によって車体近くの低位置領域の視認とを良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明による複合ミラーおよび車両用サイドミラーの一つの実施形態を、図1,図2を参照して説明する。
【0011】
本実施形態の車両用サイドミラーは、車体への取付部12を有するハウジング10と、ハウジング10に、従来のものと同様の取付構造(図示省略)によって取り付けられた複合ミラー14とを有する。
【0012】
複合ミラー14は、上側部分が平面鏡16で、当該平面鏡16の下縁に連続する下側部分が鉛直面に対して下向きに傾斜した凸面鏡18である鏡面20を有する。
平面鏡16と凸面鏡18の割合は、鏡面20全体の上側2/3程度が平面鏡16で、下側1/3程度が凸面鏡18であればよい。平面鏡16は略鉛直面で、凸面鏡18の鉛直面に対する下向き傾斜角θは、10〜30度程度であればよい。
【0013】
平面鏡16と凸面鏡18とは境目なく滑らかに連続していることが好ましく、凸面鏡18は、複合曲率で、平面鏡16との境界側ほど、曲率半径が大きく平面鏡に近い凸面鏡で、平面鏡16との境界側より遠ざかる程、つまり下側ほど、曲率半径が小さく、凸面鏡傾向が強くなっていてよい。
【0014】
上述の構成による車両用サイドミラーは、上側部分の平面鏡18によって一般走行中の後続車の視認等の後方視認を良好に行うことができ、下側部分の下向き傾斜の凸面鏡18によって車体近くの低位置領域の視認とを良好に行うことができる。
【0015】
これにより、ミラーの姿勢調整を行うことなく後続車等の後方視認と、車体近くの低位置領域の視認とを両立することができ、双方の安全確認を的確に行えるようになる。
複合ミラー14は、従来のものと同様の取付構造によってハウジング10に取り付けることができるので、電動式のもの含む既存の車両用サイドミラーに、ハウジング側の変更なしで適用できる。
【0016】
図3、図4は、本発明による複合ミラーの他の実施形態を示している。
【0017】
本実施形態の複合ミラー30は、円形ミラーで、中央部分が円形の平面鏡32で、平面鏡32の外周縁に連続する外周部分が円環帯状の凸面鏡34である鏡面36になっている。
【0018】
この複合ミラー30によれば、中央部分では平面鏡32によって歪みのない鏡像を見ることができ、外周縁が円環帯状の凸面鏡34であることにより、視線を中央部分より外周部分へずらすだけで、広域を見ることができる。中央部分では平面鏡32によって歪みのない鏡像を見ることができるので、人が常に歪んで映ることがなく、人が常に歪んで映ることにより心理的に落ち着かなくなることを解消できる。
【0019】
この複合ミラー30は、広い空間スペースの部屋や、監視、管制室等の広い空間スペースを違和感なく見渡すことに適している。
【0020】
複合ミラー30は、円形に限られることなく、図5に示されているように、楕円形であってもよい。
【0021】
また、図6に示されているように、円弧帯状の凸面鏡38だけで、内側が開口40となっている中抜き形状でよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による複合ミラーおよび車両用サイドミラーの一つの実施形態を示す斜視図である。
【図2】実施形態による複合ミラーおよび車両用サイドミラーの断面図である。
【図3】本発明による複合ミラーの他の実施形態を示す正面図である。
【図4】他の実施形態による複合ミラーの断面図である。
【図5】本発明による複合ミラーの他の実施形態を示す正面図である。
【図6】本発明による複合ミラーの他の実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 ハウジング
14 複合ミラー
16 平面鏡1
18 凸面鏡
20 鏡面
30 複合ミラー
32 平面鏡
34 凸面鏡
36 鏡面
38 凸面鏡
40 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側部分が平面鏡で、当該平面鏡の下縁に連続する下側部分が鉛直面に対して下向きに傾斜した凸面鏡である鏡面を有する複合ミラー。
【請求項2】
請求項1に記載の複合ミラーを用いた車両用サイドミラー。
【請求項3】
中央部分が平面鏡で、当該平面鏡の外周縁に連続する外周部分が凸面鏡である鏡面を有する複合ミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−149272(P2009−149272A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331232(P2007−331232)
【出願日】平成19年12月23日(2007.12.23)
【出願人】(507420927)
【Fターム(参考)】