説明

複合体粒子

【課題】複合体粒子、複合体粒子を形成する方法、複合体粒子を含む感熱記録物質、および感熱記録物質を提供する方法を提供する。
【解決手段】本発明においては、100nm〜3.5ミクロンの直径を有し、コアおよびシェルを含み、コアは乾燥したときに少なくとも1つの空隙を含み、シェルポリマーは50℃を超える計算ガラス転移温度(Tg)を有する第1ポリマー粒子と;第1ポリマー粒子の表面に配置され、20℃を超える最低造膜温度を有する第2ポリマー粒子とを含み;第2ポリマー粒子の直径に対する第1ポリマー粒子の直径の割合が1〜50であり;第2ポリマー粒子の重量に対する第1ポリマー粒子の重量の割合が0.1〜40である;複合体粒子が提供される。特定の実施形態においては、複合体粒子は、複合体粒子の表面に配置されている10nm〜5ミクロンの直径を有する顔料粒子をさらに含み、複合体粒子の重量に対する顔料粒子の重量の割合が0.1〜10である。さらに提供されるのは、複合体粒子を形成する方法、複合体粒子を含む感熱記録物質、および感熱記録物質を提供する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥したときに空隙を含有し、乾燥組成物における不透明度および断熱(insulating)特性を提供するのに好適な複合体粒子に関する。より詳細には、本発明は、100nm〜3.5ミクロンの直径を有し、コアおよびシェルを含み、コアは乾燥したときに少なくとも1つの空隙を含有し、シェルポリマーは50℃を超える計算ガラス転移温度(Tg)を有する、第1ポリマー粒子;並びに、第1ポリマー粒子の表面に配置されており、20℃を超える最低造膜温度を有する第2ポリマー粒子を含み;第2ポリマー粒子の直径に対する第1ポリマー粒子の直径の割合が1〜50であり;第2ポリマー粒子の重量に対する第1ポリマー粒子の重量の割合が0.1〜40である;複合体粒子に関する。場合によっては、複合体粒子は、複合体粒子の重量に対する顔料粒子の重量の割合が0.1〜10で、10nm〜5ミクロンの直径を有する顔料粒子をさらに含むことができる。さらに、本発明は、複合体粒子を形成する方法、当該複合体粒子を含む感熱記録物質、および当該感熱物質を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第WO2008006474号は、ジカルボン酸およびジアミンに由来する溶液コポリマーのような好適な接着剤を媒体にして、有機中空球状顔料の表面に付着したナノスケール顔料粒子との複合体顔料の形態の中空球状顔料含む感熱記録物質を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2008006474号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらコーティングの有効性の改良は依然として求められていた。特に、これら顔料の使用においては、感熱コーティングにおいて使用されるワックスを感熱記録プロセスにおけるプリントヘッドに移すのを最低限にするように、これら顔料を含む断熱コーティングのワックス吸収における改良が望まれる。本発明の複合体粒子はこのような性能を有する断熱層を提供することが見いだされた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様においては、100nm〜3.5ミクロンの直径を有し、コアおよびシェルを含み、前記コアは乾燥したときに少なくとも1つの空隙を含有し、前記シェルポリマーは50℃を超える計算ガラス転移温度(Tg)を有する第1ポリマー粒子と;前記第1ポリマー粒子の表面に配置されており、20℃を超える最低造膜温度を有する第2ポリマー粒子とを含み;前記第2ポリマー粒子の直径に対する前記第1ポリマー粒子の直径の割合が1〜50であり;前記第2ポリマー粒子の重量に対する前記第1ポリマー粒子の重量の割合が0.1〜40である;複合体粒子が提供される。
【0006】
本発明の第2の態様においては、(a)100nm〜3.5ミクロンの直径を有し、コアおよびシェルを含み、第1の電荷を有し、前記コアは乾燥したときに少なくとも1つの空隙を含有し、前記シェルポリマーは50℃を超える計算ガラス転移温度(Tg)を有する第1ポリマー粒子を含む第1水性分散物を形成し;(b)前記第1ポリマー粒子の電荷と反対の電荷を有し、20℃を超える最低造膜温度を有する第2ポリマー粒子を含む第2水性分散物を形成し;並びに(c)前記第1水性分散物と前記第2水性分散物とを混合する;ことを含み、前記第2ポリマー粒子の直径に対する前記第1ポリマー粒子の直径の割合が1〜50であり;前記第2ポリマー粒子の重量に対する前記第1ポリマー粒子の重量の割合が0.1〜40である;複合体粒子を形成する方法が提供される。
【0007】
本発明の第3の態様においては、担体を含み、前記担体上に第1層を有し、前記第1層は上記の空隙を含有する複合体粒子を含み、および前記第1層上に感熱記録層を配置している、感熱記録物質が提供される。
【0008】
本発明の第4の態様においては、上記の空隙を含有する複合体粒子を含む組成物を形成し;前記組成物の第1層を担体上に適用し;並びに、前記第1層上に感熱記録層を適用すること;を含む、感熱記録物質を提供する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、100nm〜3.5ミクロンの直径を有し、コアおよびシェルを含み、コアが乾燥したときに少なくとも1つの空隙を含有し;並びにシェルポリマーが50℃を超える計算ガラス転移温度(Tg)を有する、第1ポリマー粒子を含む複合体粒子に関する。乾燥したときに1以上の空隙を含有するポリマー粒子は、例えば、コポリマーの完全なもしくは部分的な加水分解および溶解によって、酸、塩基もしくは非イオン性有機物質でのコアポリマーの膨潤によって、そして限定されたその後の粒子の崩壊などを伴って、その空隙が生じたことが開示されてきた。好ましい実施形態においては、第1粒子は水性多段階乳化重合と、それに続く塩基での膨潤によって形成される。このような多段階プロセスは米国特許第4,427,836号;第4,468,498号;第4,469,825号;第4,594,363号;第4,677,003号;第4,910,229号;第4,920,160号;第4,970,241号;第5,157,084号;第5,494,971号;第5,510,422号;第6,139,961号;第6,632,531号;および第6,896,905号、並びに、欧州特許出願公開第EP267,726A号;第EP331,421A号および第EP915,108A号に開示されている。
【0010】
本発明の好ましい多段階第1ポリマー粒子の段階は、コア段階ポリマーおよびシェル段階ポリマーを含む。コアおよびシェルはそれぞれ独立して1より多い段階を含むことができる。1以上の中間段階も存在しうる。中間段階ポリマーは、存在する場合には、コアを部分的にまたは完全に封入し、かつそれ自体は第1シェルによって部分的にまたは完全に封入される。本明細書においては「タイコート(tiecoat)」と称される中間段階はコアの存在下で乳化重合を行うことにより製造されうる。シェルポリマーはコアポリマーおよび存在する場合にはタイコートポリマーを部分的または完全に封入する。
【0011】
好ましい多段階ポリマーのコアは、重合単位として、コアの重量を基準にして5重量%〜100重量%、好ましくは20重量%〜60重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%の少なくとも1種の親水性モノエチレン性不飽和モノマー、およびコア段階ポリマーの重量を基準にして0重量%〜95重量%の少なくとも1種の非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーを含むエマルションポリマーである。コアポリマーの全重量を基準にして少なくとも5重量%の少なくとも1種の親水性モノエチレン性不飽和モノマーを含むコアは、概して好適な膨潤度を生じさせるであろう。コアポリマーは単一の段階でもしくは多段階重合の工程で製造されうるか、または逐次的な複数の工程で製造されうる。この方法は、用語「親水性モノエチレン性不飽和モノマー」において、米国特許第4,880,842号に記載されるような、親水性コアポリマーにおける親水性モノエチレン性不飽和モノマーの代わりとして、疎水性シェルポリマーの重合前、重合中もしくは重合後にコアポリマーに吸収される少なくとも1つのカルボン酸基を含む非ポリマー系化合物の使用も意図し、含む。さらに、本発明は、用語「親水性モノエチレン性不飽和モノマー」において、米国特許第5,157,084号に記載されるような、親水性モノエチレン性不飽和モノマーを含まないが加水分解で親水性コアポリマーに膨潤可能な潜在的に親水性のコアポリマーの使用を意図し、含む。
【0012】
コアポリマーを製造するのに有用な好適な親水性モノエチレン性不飽和モノマーには、酸官能基を含むモノエチレン性不飽和モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸クロトン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどをはじめとする少なくとも1つのカルボン酸基を含むモノマーが挙げられる。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。好適な少なくとも1つのカルボン酸基を含む非ポリマー系化合物には、C−C12脂肪族または芳香族モノカルボン酸およびジカルボン酸、例えば、安息香酸、m−トルイル酸、p−クロロ安息香酸、o−アセトキシ安息香酸、アゼライン酸、セバシン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ラウリン酸およびフタル酸モノブチルなどが挙げられる。親水性コアポリマーを製造するのに好適な非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーには、スチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸の(C−C20)アルキルもしくは(C−C20)アルケニルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
【0013】
単一段階プロセスによって得られるかまたは複数の段階を伴うプロセスによって得られるかに関わらず、コアは、非膨潤条件での直径で、50nm〜1.0ミクロン、好ましくは100nm〜300nmの平均粒子サイズを有する。あらかじめ形成されたまたはシードポリマーからコアが得られる場合には、シードポリマーは好ましくは30nm〜200nmの平均粒子サイズを有する。
【0014】
コアは場合によっては、コアの全重量を基準にして、0.1重量%〜20重量%、あるいは0.1重量%〜10重量%の多エチレン性不飽和モノマーも含むことができ、使用される量は、概して、使用される親水性モノエチレン性不飽和モノマーの量にほぼ直接比例し;言い換えれば、親水性モノマーの相対量が増加するにつれて、多エチレン性不飽和モノマーの量を増加させることが許容される。あるいは、コアポリマーはコアポリマーの全重量を基準にして0.1重量%〜60重量%のブタジエンを含むことができる。
【0015】
好適な多エチレン性不飽和モノマーには、2〜6つのエステル基を含む多価アルコールのアルファ,ベータエチレン性不飽和モノカルボン酸エステルが挙げられる。このようなコモノマーには、アルキレングリコールジアクリラートおよびジメタクリラート、例えば、エチレングリコールジアクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、1,3−ブチレングリコールジアクリラート、1,4−ブチレングリコールジアクリラート、プロピレングリコールジアクリラートおよびトリエチレングリコールジメチルアクリラート;1,3−グリセロールジメタクリラート;1,1,1−トリメチロールプロパンジメタクリラート;1,1,1−トリメチロールエタンジアクリラート;ペンタエリスリトールトリメタクリラート;1,2,6−ヘキサントリアクリラート;ソルビトールペンタメタクリラート;メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、アクリル酸ビニル、ビニルアセチレン、トリビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、ジビニルアセチレン、ジビニルエタン、ジビニルスルフィド、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルシアナミド、エチレングリコールジビニルエーテル、フタル酸ジアリル、ジビニルジメチルシラン、グリセロールトリビニルエーテル、アジピン酸ジビニル;ジシクロペンテニル(メタ)アクリラート;ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリラート;グリコールモノジシクロペンテニルエーテルの不飽和エステル;末端エチレン性不飽和を有するアルファ,ベータ−不飽和モノ−およびジ−カルボン酸のアリルエステル、例えばメタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、イタコン酸ジアリルなどが挙げられる。
【0016】
多段階ポリマーのシェルポリマーは50℃を超えるTgを有し、重合単位として、第1シェルポリマーの重量を基準にして0.3重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%の多エチレン性不飽和モノマーを含み;好適な多エチレン性不飽和モノマーには、コアポリマーにおける任意的な使用のために本明細書に開示されるものがある。スチレンが好ましいコモノマーである。シェルポリマーを形成するのに使用されうる他の好適なモノマーには、親水性および非イオン性であり、本明細書においてコアポリマーの製造のために開示されるようなモノエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。複数のシェル段階が使用される場合には、ここでのシェルの組成はその複数シェルの全ての全体的組成としてここで採用される。
【0017】
本明細書におけるポリマーのTgはフォックス式(Fox equation)すなわち、例えば、モノマーM1およびM2のコポリマーのTgを計算するには、
【0018】
【数1】

【0019】
Tg(計算)はコポリマーについて計算されたガラス転移温度である;
w(M1)はコポリマー中のモノマーM1の重量分率である;
w(M2)はコポリマー中のモノマーM2の重量分率である;
Tg(M1)はM1のホモポリマーのガラス転移温度である;
Tg(M2)はM2のホモポリマーのガラス転移温度である;
全ての温度は°K単位である:を用いてここで計算されるものである(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.,Volume 1,Issue No.3,ページ123(1956))。
【0020】
ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」J.BrandrupおよびE.H.Immergut編Interscience Publishersに見いだされうる。
【0021】
シェルにおいて使用されるモノマーおよびその相対比率は、コアを膨潤させうる水性または気体状揮発性または不揮発性塩基に対してそれらが透過性であるべきである。シェルは重合単位として、シェルの重量を基準にして0重量%〜35重量%、好ましくは0重量%〜10重量%、およびより好ましくは0.1重量%〜10重量%の、酸官能基を含むモノエチレン性不飽和モノマーの1種以上、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどを含むことができる。(メタ)アクリル酸が好ましい。好ましくはシェルポリマーにおける酸官能性モノエチレン性不飽和モノマーの割合は、コアポリマーにおけるその割合の1/3を超えない。
【0022】
本発明の第1ポリマー粒子を形成する場合、水可溶性フリーラジカル開始剤が水性乳化重合において典型的に使用される。好適な水可溶性フリーラジカル開始剤には、過酸化水素;tert−ブチルペルオキシド;アルカリ金属過硫酸塩、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸リチウム;過硫酸アンモニウム;およびこのような開始剤と還元剤との混合物が挙げられる。還元剤には、亜硫酸塩、例えば、アルカリ金属メタ重亜硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩および次亜硫酸塩;ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム;並びに還元糖、例えば、アスコルビン酸およびイソアスコルビン酸が挙げられる。開始剤の量は好ましくは、モノマーの全量を基準にして、0.01重量%〜3重量%、およびレドックス系においては還元剤の量は好ましくは、モノマーの全量を基準にして、0.01重量%〜3重量%である。開始剤の種類および量は、多段階重合の様々な段階において同じであってもよく、または異なっていてもよい。多段階重合の様々な段階における温度は典型的には、約10℃〜100℃の範囲である。過硫酸塩系の場合には、その温度は典型的には60℃〜90℃の範囲である。レドックス系では、その温度は典型的には30℃〜70℃の範囲である。
【0023】
1種以上の非イオン性またはアニオン性乳化剤または界面活性剤が、単独でまたは一緒に使用されうる。好適な非イオン性乳化剤の例としては、tert−オクチルフェノキシエチルポリ(39)−エトキシエタノール、ドデシルオキシポリ(10)エトキシエタノール、ノニルフェノキシエチル−ポリ(40)エトキシエタノール、ポリエチレングリコール2000モノオレアート、エトキシ化ひまし油、フッ素化アルキルエステルおよびアルコキシラート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート、スクロースモノココアート、ジ(2−ブチル)フェノキシポリ(20)エトキシエタノール、ヒドロキシエチルセルロースポリブチルアクリラートグラフトコポリマー、ジメチルシリコーンポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)ポリ(ブチルアクリラート)ブロックコポリマー、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマー、30モルのエチレンオキシドでエトキシ化された2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、N−ポリオキシエチレン(20)ラウラミド、N−ラウリル−N−ポリオキシエチレン(3)アミン、およびポリ(10)エチレングリコールドデシルチオエーテルが挙げられる。好適なアニオン性乳化剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、ノニルフェノキシエチルポリ(1)エトキシエチル硫酸アンモニウム塩、スチレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルアリルスルホコハク酸ナトリウム、亜麻仁油脂肪酸、エトキシ化ノニルフェノールのリン酸エステルのナトリウムまたはアンモニウム塩、オクトキシノール−3−スルホン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、1−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、アルファ−オレフィン(C14−C16)スルホン酸ナトリウム、ヒドロキシアルカノール硫酸、N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホスクシンアミド酸テトラナトリウム、N−オクタデシルスルホスクシンアミド酸ジナトリウム、アルキルアミドポリエトキシスルホコハク酸ジナトリウム、スルホコハク酸のエトキシ化ノニルフェノールハーフエステルジナトリウムおよびtert−オクチルフェノキシエトキシポリ(39)−エトキシエチル硫酸のナトリウム塩が挙げられる。1種以上の界面活性剤は、多段階ポリマーの重量を基準にして、0〜3%の量で概して使用される。1種以上の界面活性剤はモノマー投入物の添加前に、モノマー投入物の添加中に、またはこれらの組み合わせで添加されうる。
【0024】
多段階第1ポリマー粒子の全直径は、非膨潤条件で(すなわち、pHを約6以上に上昇させる中和の前に)、典型的には100nm〜3.5ミクロン、より好ましくは200nm〜2.0ミクロンである。親水性コアポリマーが完全に封入される場合には、それは1時間の分析条件下、室温で、アルカリ金属塩基で滴定しない。封入の程度は、シェル重合の過程中にサンプルを取り出して水酸化ナトリウムで滴定することにより決定されうる。
【0025】
ラテックスポリマー粒子の空隙は好ましくは、シェルを透過してコアを膨張させる水性塩基性膨潤剤で酸含有コアを膨潤させることにより生じる。この膨張は、コアの外周がシェルの内周の孔に部分的に融合すること、並びにシェルおよび粒子全体の部分的な巨大化もしくは膨隆を伴うことができる。膨潤剤が乾燥によって除去される場合には、コアの収縮が微小空隙を生じさせ、その程度はシェルがその従前のサイズに復元することに対する抵抗性に依存する。コアのための好適な膨潤剤には、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)、アミノアルコール、揮発性低級脂肪族アミン(例えば、トリメチルアミンおよびトリエチルアミン)並びにこれらの混合物が挙げられる。膨潤工程は、いずれかの多段階シェル重合工程中に、いずれかの段階化重合工程と段階化重合工程との間に、または多段階重合プロセスの終わりに起こりうる。モノマーの実質的な重合がない条件下で、多段階エマルションポリマー、モノマーおよび膨潤剤を提供することは、米国特許第6,020,435号および第6,252,004号に教示されるような多段階エマルションポリマーの膨潤の程度を向上させうる。
【0026】
コアの中間段階またはタイコート(存在する場合には)に対する重量比は、典型的には、1:0.5〜1:10の範囲であり、好ましくは1:1〜1:7の範囲である。コアのシェルに対する重量比は、典型的には1:5〜1:20の範囲であり、好ましくは1:8〜1:15の範囲である。
【0027】
本発明の複合体粒子は、第1ポリマー粒子の表面に配置されている第2ポリマー粒子をさらに含み、第2ポリマー粒子は20℃を超える最低造膜温度を有し;第2ポリマー粒子の直径に対する第1ポリマー粒子の直径の割合は1〜50、好ましくは1〜20、より好ましくは3〜18であり;第2ポリマー粒子の重量に対する第1ポリマー粒子の重量の割合は0.1〜40、好ましくは0.3〜20、より好ましくは0.5〜10である。本明細書における「第1ポリマー粒子の表面に配置されている」とは、第1ポリマー粒子の表面の組成とは異なる組成を有することにより区別される第2ポリマー粒子が、第1粒子の表面に近接した力によって、第1粒子の表面と接触して、例えば、表面に触れて、表面上に分散させられて、または表面に埋め込まれて、第1ポリマー粒子の表面領域に結合させられ、すなわち、保持されることを意味する。例えば、SEMは、より大きな中心粒子の上に配置されている、複数のより小さな粒子を含む本発明の複合体粒子を示す。
【0028】
本明細書において「最低造膜温度(minimum film−forming temperature)」は、膜を温度勾配プレート(ICI Sheen MFFT bar SS−3300)上で試験することによって、膜のひび割れおよび/または粉体状の外観が視覚的にないこと、並びに膜の一体性によって証明されるうような連続膜をエマルションポリマーが形成する最低の温度を意味し、膜の靱性については、膜がさらなるひび割れに対して抵抗している、すなわち、連続性を維持している間、膜に対して木材またはプラスチックの片(金属プレートを引っ掻かないように)を押しつけることによる。
【0029】
第2ポリマー粒子は、典型的には乳化重合により製造される。第2ポリマー粒子は典型的には、少なくとも1種の共重合されたエチレン性不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリルエステルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、ウレイド−官能性(メタ)アクリラートおよび(メタ)アクリル酸のアセトアセタート、アセトアミドまたはシアノアセタート;スチレンまたは置換スチレン;ビニルトルエン;ブタジエン;酢酸ビニルまたは他のビニルエステル;ビニルモノマー、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、N−ビニルピロリドン;(メタ)アクリロニトリル;およびN−アルキロール(メタ)アクリルアミドが挙げられる。別の用語に続く用語「(メタ)」の使用、例えば、(メタ)アクリラートまたは(メタ)アクリルアミドは、本開示を通じて使用される場合、アクリラートまたはアクリルアミド、およびメタクリラートおよびメタクリルアミドをそれぞれ意味する。特定の実施形態においては、エマルションポリマーは、ポリマーの重量を基準にして、5重量%未満、あるいは0.1重量%未満の共重合された多エチレン性不飽和モノマーを含む。多エチレン性不飽和モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラートおよびジビニルベンゼンが挙げられる。
【0030】
ポリマーは共重合されたモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーを含むことができる。カルボン酸モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、無水マレイン酸、硫黄系酸(sulfur acid)モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸スルホエチル、リン系酸(phosphorus acid)モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸2−ホスホエチル、(メタ)アクリル酸2−ホスホプロピル、(メタ)アクリル酸3−ホスホプロピルおよび(メタ)アクリル酸3−ホスホ−2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0031】
ポリマーは共重合されたアミノまたは第4級アミン官能性モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルまたは第4級化アミンモノマーを含むことができる。
【0032】
水性エマルションポリマーを製造するために典型的に使用される乳化重合技術は、例えば、米国特許第4,325,856号、第4,654,397号、および第4,814,373号に開示されるように当該技術分野において周知である。従来の界面活性剤、例えば、アニオン性および/または非イオン性乳化剤、例えば、アルカリ金属またはアンモニウムアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸、脂肪酸およびオキシエチル化アルキルフェノールが使用されうる。使用される界面活性剤の量は通常は、全モノマーの重量を基準にして0.1重量%〜6重量%である。熱またはレドックス開始プロセスが使用されうる。従来のフリーラジカル開始剤、例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、アンモニウムおよび/またはアルカリ過硫酸塩が、典型的には、全モノマーの重量を基準にして0.01重量%〜3.0重量%の量で使用されうる。好適な還元剤、例えば、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、硫酸ヒドロキシルアミンおよび重亜硫酸ナトリウムと共に同じ開始剤を使用するレドックス系が同様の量で、場合によっては、鉄および銅のような金属イオンと組み合わせて、場合によっては金属のための錯化剤をさらに含んで使用されることができる。ポリマーの分子量を小さくするためにメルカプタンのような連鎖移動剤が使用されうる。モノマー混合物はそのままでまたは水中のエマルションとして添加されうる。モノマー混合物は、単回の添加でまたは複数回の添加で、または反応期間にわたって均一なもしくは変化する組成を用いて連続的に添加されうる。追加の成分、例えば、フリーラジカル開始剤、酸化剤、還元剤、連鎖移動剤、中和剤、界面活性剤および分散剤が、いずれかの段階のまえに、いずれかの段階中に、またはいずれかの段階の後に添加されうる。米国特許第4,384,056号および第4,539,361号に開示されるような多モード粒子サイズ分布生成プロセスが、例えば、使用されうる。ここで、第2ポリマー粒子の組成として、様々な組成のポリマー粒子の組成のポリマーを組み入れる多段階プロセスによって第2ポリマー粒子が製造される場合には、粒子の全体の組成として計算Tgが採用される。
【0033】
本発明の複合体粒子を形成する方法においては、(a)第1ポリマー粒子を含む第1水性分散物が形成され、前記第1ポリマー粒子は100nm〜3.5ミクロンの直径を有し、前記第1粒子はコアおよびシェルを含み、前記第1ポリマー粒子は第1の電荷を有し、前記コアは乾燥したときに少なくとも1つの空隙を含有し、前記シェルポリマーは50℃を超える計算ガラス転移温度(Tg)を有する;(b)第2ポリマー粒子を含む第2水性分散物が形成され、前記第2ポリマー粒子は前記第1ポリマー粒子の電荷と反対の電荷を有し、前記第2ポリマー粒子のポリマーは20℃を超える最低造膜温度を有する;並びに(c)前記第1水性分散物と前記第2水性分散物とが混合され;前記第2ポリマー粒子の直径に対する前記第1ポリマー粒子の直径の割合が1〜50であり;かつ、前記第2ポリマー粒子の重量に対する前記第1ポリマー粒子の重量の割合が0.1〜40である。
【0034】
第1ポリマー粒子の電荷および第2ポリマー粒子の反対電荷は、水性媒体中のそれぞれのポリマーの特定の官能基によって生じる電荷によって生じることができ;例えば、共重合されたカルボキシラート基が負の電荷に寄与することができ、そして特定の共重合された第4級アミノ基が粒子に対して正の電荷に寄与しうる。さらに、粒子の電荷は、共重合または吸着された界面活性剤分子、分散剤などによって生じうる。粒子の正味電荷は複合体粒子の形成に関与する電荷である。水性媒体中の粒子の正味電荷は、当該技術分野で公知で、かつ例えば米国特許第5,663,224号に開示されているゼータ電位を測定することにより決定されうる。複合体粒子を一緒に保つイオン力に加えて、ある場合には、例えば、ファンデルワールス力、水素結合力、および双極子−双極子相互作用のような力が作用することができる。
【0035】
本発明のある実施形態においては、第1および第2ポリマー粒子を含む複合体粒子は、さらに10nm〜5ミクロンの直径を有する顔料粒子の水性分散物と接触させられ、前記顔料粒子は複合体粒子の電荷と反対の電荷を有し;複合体粒子の重量に対する顔料粒子の重量の割合は0.1〜10である。形成された複合体粒子の正味電荷と反対であるような、正の電荷または負の電荷を水性分散物中で有することができる好適な顔料粒子には、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、クレイ、焼成クレイ、長石、霞石閃長岩、珪灰石、珪藻土、アルミナシリケート、タルクおよびこれらの混合物が挙げられる。これら無機粒子は10nm〜5ミクロン、好ましくは10nm〜3ミクロンの粒子直径を有することができる。
【0036】
本発明の複合体粒子を含むコーティング組成物で、基体、例えば、紙、厚紙、木材、金属およびポリマーが被覆されうることが意図される。複合体粒子に含まれる空隙は不透明性、断熱特性およびコーティングに対するワックス抵抗(wax holdout)を提供するように機能する。
【0037】
本発明においては、感熱記録物質および感熱記録物質を形成する方法が提供される。担体、典型的には紙と、感熱記録層との間の断熱層に本発明の複合体粒子が組み込まれる。感熱記録物質を形成するための技術は、例えば、米国特許第4,925,827号;第4,929,590号;第6,780,820号および国際公開第2008006474号に記載されている。しかし、従来開示されてきた感熱記録物質はプリントヘッド上での不適切なワックス蓄積の場合がある。理論に拘束されるものではないが、断熱層の向上したワックス吸収が感熱記録層の表面におけるワックスの低下をもたらし、それにより、望まれる低いメンテナンス要求をもたらすプリントヘッド上のワックス蓄積を低下させると考えられる。
次の実施例は本発明の実施形態を例示する。
【実施例】
【0038】
実施例1 複合体粒子の製造
Ropaque(商標)AF−1055エマルションポリマー(1ミクロンの直径を有し、乾燥時に少なくとも1つの空隙を含むコアと、50℃を超える計算Tgのシェルポリマーとを有する第1ポリマー粒子)および水の混合物に、カチオン性Primal(商標)PR−26(第4級アンモニウム官能性カチオン性エマルションポリマー、全固形分=30%、粒子直径=0.1ミクロン、20℃を超える最低造膜温度を有する)またはAcryjet(商標)−3826(ポリマー骨格に結合した第4級アミン基を有するアクリル系ラテックス;粒子直径=0.1ミクロン、20℃を超える最低造膜温度を有する)が、ベンチトップミキサーを用いて一定の撹拌をしつつ、滴下添加された。添加の初期相は混合物の粘稠をもたらしたが、混合しつつ、10〜15分間、Primal(商標)PR−26またはAcryjet(商標)−3826の添加を継続すると、粘度が低減し、注ぐことができる液体を得た。サンプル1−A(Primal(商標)PR−26を使用)の場合には、Acumer(商標)9400が添加され、撹拌をさらに15分間継続した。生成物AおよびBの双方が、さらなる混合のためにローラーミル上に一晩置かれた。サンプル1−Aおよび1−Bの走査型電子顕微鏡写真(SEM)は、より大きな中心球状粒子と、その上に配置されている、小さな複数の球状粒子とからなる複合体粒子を示した。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例2 Kymene(商標)溶液ポリマー接着剤を使用する、比較のRopaque(商標)AF−1055/鉱物顔料共構造(co−structure)の製造:
Ropaque(商標)AF−1055エマルションポリマーおよび水の混合物に、Kymene(商標)G3 Xcelが、一定の撹拌をしつつ、滴下添加された。Kymene(商標)の添加はRopaque(商標)AF−1055エマルションポリマーの極度の粘稠(非常に粘稠のペーストの稠度)をもたらし、ミキサーブレードの低速化さらには停止をもたらした。上記混合物に、鉱物顔料スラリーがゆっくりと、ゆっくりとしたのを助け、連続的に混合しつつ添加された。約10〜15分混合した後、Acumer(商標)9400が添加され、撹拌/混合をさらに10〜15分間継続し、続いて、ローラーミル上で一晩混合された。沈降炭酸カルシウム(Jetcoat(商標)−30)を用いて製造された共構造2−Dは、粘稠な、クリーム様の稠度を示した。ナノコロイドシリカを用いて製造された共構造2−Cは粘稠でない、液体様の稠度のままであった。
【0041】
【表2】

【0042】
実施例3 コーティング剤の製造
コーティング剤ドローダウン手順:複合体粒子または他の顔料スラリー、例えば、Jetcoat(商標)−30、Ropaque(商標)AF−1055などが少量のラテックスバインダー(基体への良好な接着のために3〜5グラムのスラリーに対して2〜3滴のラテックスバインダー)と混合され、ワイヤ巻きロッド(#3−5)を用いて紙またはMylar(商標)シート上にハンドドローされ、30〜60秒間、81℃のオーブン中で乾燥させられた。乾燥したコーティング剤サンプルはSEM分析およびワックス吸収試験のために使用された。
【0043】
実施例4 紙コーティング剤配合物の製造およびコーティング剤ドローダウン:
Ropaque(商標)AF−1055を用いて紙コーティング剤配合物が製造され、その複合体粒子は次の表4.1および4.2に従っていた。これらコーティング剤は、ワイヤ巻きコーティングロッド(#5)を用いて紙基体上にハンドドローされ(6×9平方インチ;フリーシート、基本重量:60 lbs/3300平方フィート)、81℃のオーブン中で1分間乾燥させられた。これら被覆されたシートの被覆重量は約1.5〜3 lbs/3300平方フィート(多量の中空球状顔料を有するこの種のコーティング剤についての典型的な範囲:そのSEMは紙の表面が充分にそのコーティング剤で覆われており、コーティングの厚みは7〜9ミクロンの範囲であり、この種のコーティング剤および被覆重量について全く典型的であった)であった。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
実施例5 ワックス吸収試験
キャンドルワックス(mp:70℃)が約75℃で加熱され、溶けたキャンドルワックスの液滴が被覆された紙サンプル(2×2平方インチ)上に室温で置かれた。幾分熱いので、溶けたワックスは塗膜表面に浸透し、ワックス液滴は素早く冷却して固化し、紙に固着した。固化したワックス液滴は室温で約3分間平衡化させられて、固くなり、次いでそれはスパチュラを用いて紙の表面から除かれた。ワックス液滴の下にあるワックスのしみはワックス浸透の程度を示した:しみまたはスポットがより暗いとワックスの浸透がより多い。目視の観察に加えて、携帯型色濃度計(X−Rite(商標)418)を用いて、しみの暗/明外観が定量化され:より暗いしみ/スポットは、より明るいしみまたは紙のバックグラウンド自体に対して、より高い光学濃度数を与えた:ここで報告される光学濃度数はワックスのしみの光学濃度と紙のバックグラウンドの光学濃度との差である。表5.1および5.2は光学濃度数を示す。
【0047】
【表5】

【0048】
複合体粒子1−Aを含むコーティング剤は、比較の粒子2−Cおよび2−D、または第1ポリマー粒子(Ropaque(商標)AF−1055)だけを含むコーティング剤のワックス吸収と比較して、より優れたワックス吸収を示す。
【0049】
【表6】

【0050】
実施例6 鉱物顔料を有する複合体粒子の製造
サンプル1−Bおよび水の混合物に、ベンチトップミキサーを用いて一定に撹拌しつつ、鉱物顔料スラリーJetcoat(商標)−30がゆっくりと添加された。添加の初期相は混合物の粘稠をもたらしたが、顔料を添加して10〜15分間混合を継続したら、双方の場合において、結果的に粘度が低下して、注ぐことができる粘稠でない液体を生じさせた。混合は維持され、さらに15分間続けられた。生成物6−1は、SEM分析のためのMyler(商標)上を被覆する前に、ローラーミル上に一晩の間さらに置かれた。サンプル6−1のSEMは、より大きな中心球状粒子と、その上に配置されている複数の小さな粒子とからなる複合体粒子を示した。
【0051】
【表7】

【0052】
Ropaque(商標)AF−1055、Primal(商標)PR−26、Acryjet(商標)−3826、Acumer(商標)−9400、Rhoplex(商標)P−308は全てロームアンドハースカンパニーの製品であった。Kymene(商標)はHercules,Inc.(米国、デラウエア州)から得られた。JetCoat(商標)−30スラリー(PCC−沈降炭酸カルシウム)はSpeciality Materials Inc.(米国、ペンシルベニア州)から得られた。Genflo(商標)−557(スチレン−ブタジエンラテックスバインダー)はOmnova Solutions(米国、オハイオ州)から得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
100nm〜3.5ミクロンの直径を有し、コアおよびシェルを含み、前記コアは乾燥したときに少なくとも1つの空隙を含有し、前記シェルポリマーは50℃を超える計算ガラス転移温度(Tg)を有する第1ポリマー粒子と;
前記第1ポリマー粒子の表面に配置されており、20℃を超える最低造膜温度を有する第2ポリマー粒子;とを含み、
前記第2ポリマー粒子の直径に対する前記第1ポリマー粒子の直径の割合が1〜50であり;
前記第2ポリマー粒子の重量に対する前記第1ポリマー粒子の重量の割合が0.1〜40である;
複合体粒子。
【請求項2】
水性媒体中に分散された前記第1ポリマー粒子が、水性媒体中に分散された前記第2ポリマー粒子の電荷と反対の電荷を有する、請求項1に記載の複合体粒子。
【請求項3】
前記複合体粒子の表面に配置されている、10nm〜5ミクロンの直径を有する顔料粒子をさらに含み、前記複合体粒子の重量に対する前記顔料粒子の重量の割合が0.1〜10である、請求項1に記載の複合体粒子。
【請求項4】
(a)100nm〜3.5ミクロンの直径を有し、コアおよびシェルを含み、第1の電荷を有し、前記コアは乾燥したときに少なくとも1つの空隙を含有し、前記シェルポリマーは50℃を超える計算Tgを有する第1ポリマー粒子を含む、第1水性分散物を形成し;
(b)前記第1ポリマー粒子の電荷と反対の電荷を有し、20℃を超える最低造膜温度を有する第2ポリマー粒子を含む第2水性分散物を形成し;並びに
(c)前記第1水性分散物と前記第2水性分散物とを混合する;ことを含み、
前記第2ポリマー粒子の直径に対する前記第1ポリマー粒子の直径の割合が1〜50であり;
前記第2ポリマー粒子の重量に対する前記第1ポリマー粒子の重量の割合が0.1〜40である;
複合体粒子を形成する方法。
【請求項5】
(d)次いで、10nm〜5ミクロンの直径を有し、前記混合物の複合体粒子の電荷と反対の電荷を有する顔料粒子の水性分散物を前記混合物と接触させることをさらに含み;前記複合体粒子の重量に対する前記顔料粒子の重量の割合が0.1〜10である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
担体を含み、前記担体上に第1層を有し、前記第1層は請求項1または3に記載の空隙を含有する複合体粒子を含み、前記第1層上に第2感熱記録層を配置している感熱記録物質。
【請求項7】
請求項1または3に記載の空隙を含有する複合体粒子を含む組成物を形成し;
前記組成物の第1層を担体上に適用し;並びに
前記第1層上に第2感熱記録層を適用する;
ことを含む、感熱記録物質を提供する方法。

【公開番号】特開2010−90374(P2010−90374A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−217134(P2009−217134)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】