説明

複合容器

【課題】複数の容器体の上部を結合するとともに、これら容器体上部を覆うヘッド部材に、各容器体から注出口へ至る流路の流路面積を規制する回転盤を組み込むことで、簡単な操作で要領よく複数容器体からの注出物の量或いは比率を調整することができる複合容器を提案することを目的とする。
【解決手段】胴部4から口頸部6を起立する複数の容器体2の各上部を、主軸Oから各口頸部までの距離を一定として相互に連結するとともに、各上部を覆うヘッド部材12を設け、このヘッド部材12の一部として上記主軸Oを中心に回動可能な回動盤34を組み込み、上記各容器体2の口頸部6内からヘッド部材12の頂面に開口する注出口32に至る流路40の一部を、上記回動盤34を上下に貫く貫通路38で形成し、 上記回動盤34の回転により上記貫通路38と流路40他部との間での流路面積が変化することにより内容物の注出量を調整できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合容器、特に異種の内容物を収納するに適した複合容器であって、各内容物の注出量の調整が容易としたもの、或いは音出し機構を利用して注出量の調整を確実に行うことができるものに関する。
【0002】
尚、この明細書において、複合容器とは、別々の内容物を収納するための、複数の容器体を一体化してなる容器をいう。
【背景技術】
【0003】
この種の複合容器としては、複数の容器体の口頸部を結束具で束ねて一体化し、各口頸部上端から注出した液体を混合することができるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0004】
また、複合容器ではないが、コーヒーや菓子の補給機構(容器)であって、流量調整弁を備えたものも知られている(特許文献2の図7〜図10)。この容器は、容器体の胴部と底部との一つの稜を丸く形成して、この曲面に沿ってノズルの基端部がスライド可能とするとともに、曲面の下端に孔を空け、かつこの孔面とノズル基端部との間に弁板(調整フラップ)を介在させ、ノズルが上側にあるときには弁板が閉じ、ノズルを下側へスライドすると弁板が開くように構成している。
【0005】
更に複合容器ではないが、容器体の口頸部外面に嵌合させたキャップ状部材と、このキャップ状部材の上方に回動自在に支承されたノズルヘッドとを備え、このノズルヘッドの回動によりキャップ状部材の頂壁を貫通して容器体内部からノズルへ至る連通路を開閉可能とするとともに、開状態と閉状態とを切り替えるときにキャップ状部材の頂壁から起立した弾性片を、ノズルヘッドの適所に付設した固定片が乗り越え、クリック音を発生するようにしたものが知られている(特許文献3)。
【特許文献1】実開平3−86063号
【特許文献2】特表2001−517516号
【特許文献3】特開平8−072915号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の容器は、複数種の薬剤を混合することを目的としているため、各容器体からの液体の注出量を利用者が調整するようなことは想定されていない。
【0007】
しかし内容物の種類によっては、注出すべき複数種の内容物の注出量や割合を変えたい場合がある。例えば食べ物にケチャップ及びからしを同時に塗布したいときに、食べ物の量によって一押しで注出される薬味の量を増減したり、或いは、利用者の嗜好によりケチャップとからしの割合を変えたいということがあり、特許文献1の開示内容では、こうした要請に応えることができない。
【0008】
特に2種類の内容物の混合比を増減する操作の延長として、一方の内容物のみを簡単な動作に注出できるようにできると、例えば大人にはからし入りケチャップを、子供にはからし抜きのものをというように、かけ分けることができて大変便利であるが、そうしたことも、上記特許文献1のものでは期待できない。
【0009】
また特許文献2の流量調整弁は、一つの容器体の底部付近に取り付けられるものであり、複合容器に対して直ちに適用できる内容ではない。
【0010】
更にまた、特許文献3の容器は、クリック音の発生により液体注出路の開通状態と閉塞状態との切替を利用者に知らせるものに過ぎなかったが、複数の内容物の注出比率の変更に応じて発音するようにすると、いっそう使い勝手がよい。
【0011】
本発明の第1の目的は、複数の容器体の上部を結合するとともに、これら容器体上部を覆うヘッド部材に、各容器体から注出口へ至る流路の流路面積を規制する回動盤を組み込むことで、簡単な操作で要領よく複数容器体からの注出物の量或いは比率を調整することができる複合容器を提供することである。
【0012】
本発明の第2の目的は、その注出量の比率の調整と同様の操作により複数種類の内容物のうち一種類のみを注出する状態を容易に選択できる複数容器を提供することである。
【0013】
本発明の第3の目的は、各注出口からの注出量の比率又は総注出量の変更に応じて発音する音出し機構を備えた複合容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の手段は、
胴部4から口頸部6を起立する複数の容器体2の各上部を相互に連結するとともに、各上部を覆うヘッド部材12を設け、
このヘッド部材12の一部として垂直な主軸Oを中心に回動可能な回動盤34を組み込み、
上記各容器体2の口頸部6内からヘッド部材12の頂面に開口する注出口32に至る流路40の一部を、上記回動盤34を上下に貫く貫通路38で形成し、
上記回動盤34の回転により上記貫通路38と流路40他部との間での流路面積が変化することにより内容物の注出量を調整できるようにしている。
【0015】
本手段では、容器体の各部を締結するヘッド部材に、容器体全体の主軸の周りを回動可能な回動盤を組み込み、各容器体の口頸部からヘッド部材頂面の注出口に至る流出路がヘッド部材を通過するように設けている。そうすることで、回動盤の回動により各容器体の流路の流路面積を一度で調整することができる。また、前述の特許文献2の機構では、流出量を調整する際にノズルに触らなければならないので、そのノズルの先端にノズルが触れて不衛生となる可能性がある。しかし、本発明のように操作手段として回動盤を採用すると、操作部である回動盤の側面とヘッド部材の頂面にある注出口との間に適当な距離をとることができ、不衛生となることはない。
【0016】
「容器体」は、主軸方向に口頸部を起立した状態で複数個を束ねることが出来ればどのようなものでも良い。これら容器体は主軸から各口頸部(の中心)までの距離を一定にして相互に連結することが望ましい。主軸から好適な図示例では圧縮可能なチューブ容器を例にとっているが、これに限る訳ではない。容器体の本数は、2本以上の適数とする。数が多すぎると一つの注出口に割り当てられる回動範囲が狭くなるので、この点を考慮して適当数を選択すると良い。
【0017】
「主軸」は、各容器体の口頸部の筒軸と平行であり、かつこれら筒軸と主軸との距離がほぼ同じであれば足りる。
【0018】
「ヘッド部材」は、各容器体の上部(特に口頸部)を相互に連結して束ねる機能と、内容物の流路のうち回動盤の貫通路と残りの流路部分との間の流路抵抗を変化させる機能とを有しており、これらの機能を有していればどのような構造でも良い。後述の図示例では、上記貫通路の上端及び下端でそれぞれ流路抵抗が変化するが、少なくとも流路の何れか一箇所で流れが狭くなる構造であれば、本手段に該当する。
【0019】
「回動盤」は、主軸周りを回動可能に、即ち周方向へ正逆何れの方向へも回転可能に支持されており、この主軸を中心として各容器体口頸部の中心を通る円周上に貫通路を貫設している。後述の図示例では、回動盤は複雑な構造になっているが、単に一つの厚板(回転板)に貫通路を穿設したものでも良い。
【0020】
「貫通路」は、回動盤の回動に伴い、他の流路部分との間で流れがすぼまる(或いは広がる)ような形状に形成する。好適な図示例では、回動盤を一方に回動することにより、一つの貫通路の端部では流れがすぼまり、他の貫通路の端部では流れが広がるように形成しているが、これとは逆に、回動盤を一方に回動することにより、全ての貫通路で流れがすぼまるように形成してもよい。
【0021】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記ヘッド部材12は、上記各容器体2の口頸部6外面に嵌合する連結筒18を備えた基台14と、この基台14に対して一定間隔を存して回動不能に支持された頂板26とを更に有し、
この基台14と頂板26との間に上記回動盤34を液密に挿入するとともに回転自在に支持し、かつ上記各容器体2の口頸部6上方の頂板26部分に注出口32形成用の透孔を穿設している。
【0022】
本手段では、回動盤を保持するための具体的構造を示している。即ち、基台と頂板との間に回動盤を回動可能に支持している。これによって可動部である回動盤が他物との衝突などにより外れることを防止することができる。また注出口を穿設した頂板を回転不動としたから取り扱い易い。
【0023】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、
上記各貫通路38は、上記主軸Oを中心とする円周上をそれぞれ長く延びる長孔状に形成するとともに、その長手方向の一端から他端へ至るに従って次第に巾細となるように形成している。
【0024】
本手段では、各容器体に対応する貫通路を、上方から見て長孔状に形成することで、その長孔の長手方向の任意の箇所で孔の巾に応じた割合で内容物を注出することができ、位置合わせが不要である。また内容物の注出量を細かく調整することができる。
【0025】
第4の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ
上記各貫通路38は、上記主軸Oを中心とする円周上に配列され、周方向の一の方向に向かって次第に径が小さくなる複数の孔列として形成されている。
【0026】
本手段では、各容器体に対応する貫通路を、上方から見て離散的で径の異なる孔列としており、注出量を段階的に変化させることができるようにしている。孔列のうち所定の孔に素早く合わせることができるようにするため、回動盤と他のヘッド部材部分との間に位置合わせ用のリブを設けると良い。
【0027】
第5の手段は、第3の手段又は第4の手段を有し、かつ
上記各貫通路38のうち少なくとも一つの貫通路では、周方向の一方向に向かって孔の巾又は径が次第に小となるとともに、残りの貫通路では、周方向の反対方向に向かって孔の巾又は径が次第に小となるように形成することで、回動盤34の回動により各貫通路38からの注出量の比率を変更できるようにしている。
【0028】
本手段では、各貫通路の間で、長孔の巾が減少する向き或いは孔列の径が縮小する向きを逆向きとすることで、各注出口からの注出量の比率を変えることができるようにしている。3つ以上の容器体を設けるときには、対応する3つ以上の貫通路のうち2つに関して上記の関係を保てば良い。
【0029】
第6の手段は、第1の手段乃至第5の手段の何れかを有し、かつ
上記ヘッド部材12の頂面の各注出口32と、回動盤の貫通路38の一つとをそれぞれ一対一に対応させるために、回動盤34の回動範囲を規制する係合手段60、62を、回動盤と回動盤を除くヘッド部材部分との間に形成している。
【0030】
回動盤を自由に回転させることができると、貫通路を一つの注出口から隣の注出口まで回動させてしまったときに、異なる種類の内容物が当該注出口で混ざり合う可能性があるが、内容物の種類によっては混合することが好ましくない場合がある。そこで本手段は、回動盤の回動範囲を規制するための係合手段、例えば相互に噛み合う係合リブを設けることを提案している。
【0031】
第7の手段は、第1の手段乃至第6の手段の何れかを有し、かつ
複数の貫通路38のうち一の貫通路を、周方向一方に向かって巾又は径が縮小する長孔又は孔列とするとともに、残余の貫通路を、周方向他方に向かって巾又は径が縮小する長孔又は孔列とし、
当該一の貫通路のうち最大巾の端部分又は最大径の端孔が、貫通路を除く流路部分と連通しているときに、残余の貫通路の最小巾の端部分又は最小径の端孔と隣接する回動盤部分で形成する閉塞部39が、当該貫通路を除く流路部分を液密に閉塞するようにしている。
【0032】
本願図4には、複数種類(図示例では2種類)の内容物の一方を最大量、他方を最小量として注出し、混合する構成を示している。本手段では、そうした構成の延長として、他方の注出量を零とし、一方の内容物のみを注出することが可能な複合容器を提案している。この提案を実現するための条件は、実施形態の欄で説明するが、簡単に言うと、図4の貫通路のレイアウトでは、回動盤を例えば図5(A)のように時計周りに回転させ、左側の注出口が左側の貫通路の最大巾端部分に重なるときに右側の注出口が右側の貫通路の最小巾端部分に重なるようにしているが、本手段では、図11に示す如く貫通路を周方向に短くして、図4で最小巾端部分があった場所を閉塞部とし、この閉塞部で注出口を密閉するようにすればよい。閉塞部の上下両面は流路を密閉可能な閉塞面となっている。
【0033】
第8の手段は、第1の手段から第7の手段の何れかを有し、
ヘッド部材12のうち可動部である回動盤34と不動部である回動盤以外の部分との一方に複数の第1突片162を、他方に第2突片164を付設し、回動盤の回転により第1突片162が第2突片164を乗り越えることで音を発生する音出し機構160を設け、
少なくとも一つの貫通路38において、当該貫通路を除く流路部分との重合箇所が、回動盤34が回転する過程で、貫通路38の周方向一端部から他端部へ移る間に複数の第1突片162が第2突片164を乗り越えることで一連の音を発生し、かつこれらの音のうち任意の一音の発生時と次の一音の発生時とで注出量の総量或は比率が異なるように設計している。
【0034】
本手段では、各注出口から注出される内容物の総量、或いはそれらの注出量の比率の変化に応じて音を発する複合容器を提案している。本発明では、総注出量又は注出量の比率が回動盤の回動量にリンクしているので、各容器体からの注出流路が開通している状態で回動盤の回動量に応じて音を生ずるようにすれば良い。
【0035】
「音出し機構」は、従来公知の原理で回動盤の回転による注出の総量又は比率の変化を音で知らせる機能を有する。例えば本願図5又は図6の貫通路に音出し機構を適用することで、各注出量の比率がX:1、1:1、1:Xのように変化する度に発音させるようにしてもよく(但しXは任意の実数)、また注出口全体からの総注出量が例えば最大注出量の0%、50%、100%の如く増加する(又は減少する)ごとに音を発生させてもよい。総注出量の大きさに応じて操作音を変化させる(大きくする)ことも可能である。また音出し機構は、回動盤の正逆何れの回転に対しても同じように音を発するものが望ましい。「これらの音のうち任意の一音の発生時と次の一音の発生時とで注出量の総量或は比率が異なるように設計した」という要件を課した理由は、可動部(回動盤)及び不動部の一方に、例えばラチェット機構の歯列を周設し、他方に当該機構の爪を付設したような構造を除外する意味である。注出量と無関係に徒に音を発しても意味がないからである。この要件に関しては発明の実施形態の欄で更に説明する。
【0036】
第9の手段は、第8の手段を有し、かつ
複数の貫通路38を、周方向に延びた長孔、或は周方向に配列された孔列とするとともに、当該方向に次第に縮巾又は縮径するように設け、
貫通路を除く流路部分との重合箇所が、長孔の周方向の一所から他所へ、或は孔列のうち一つの孔から隣りの孔へ移る度に第1突片162が第2突片164を乗り越えることで音を生ずるように形成した音出し機構160を形成している。
【0037】
本手段では、貫通路である孔列の各孔間距離に応じて回動盤を回す度に音を発する態様の他に、長孔の長手方向の複数適所の間に応じて音を発する態様を記載している。長孔の場合には、アナログ的に総注出量又は注出量の比率を調整し得るものであるが、長孔を比較的細かな間隔で(特に等間隔で)で分割して音を発するようにすることで使い易さを向上することができる。
【0038】
第10の手段は、第9の手段を有し、かつ
ヘッド部材12のうち可動部である回動盤34と不動部である回動盤以外の部分との間に、相互に嵌り合う凹凸状の位置決め手段170,172を設け、
各孔の穿設箇所又は長孔の周方向の複数箇所を定位置として、これら各定位置で位置決め手段170,172が嵌り合うようにするとともに、貫通路を除く流路部分との重合箇所が一の定位置から隣の定位置へ移る途中で音出し機構160が音を生ずるように形成している。
【0039】
回動盤を回転する過程で所定の注出量又は注出量比率のときに報知音を生じたとしても、音を生じた時点と、その音を聴いて利用者が回動を止めた時点との間にタイムギャップがあるとすると、所要の注出量又は比率の内容物を正確に注出することが難しい。そこで本手段では、音出し作用と位置決め作用とを交互に繰り返すことで機能の向上を図っている。なお、本手段において、「定位置」とは位置決め手段により決定された位置をいう。
【0040】
位置決め手段は、凹凸状の嵌合構造を有するので位置決めを確実にするとともに回動盤の付勢を促す機能も有する。即ち利用者が回動盤を回そうとすると、この回転に対して位置決め手段が抵抗するので、利用者は自然と抵抗を上回る回転力を回動盤に加えることとなり、そして位置決め手段の嵌合が急に外れることで回動盤に勢いがつき、この付勢状態で第1突片が第2突片に衝突するので、十分に大きな音を発生する。
【発明の効果】
【0041】
第1の手段に係る発明によれば次の効果を奏する。
○各注出口32からの注出量を回動盤34の操作によって調節できるから、内容物を過剰に取り出してしまうことを防止できる。
○流量調整の手段として容器の主軸の周りを回転する回動盤34を設けたから、一つの回動盤の操作で複数の容器体の注出量を調整できて便利である。
○注出口を形成したヘッド部材の頂面とは別の場所に、操作部である回動盤34の側面を設けたから、操作中に注出口を手で触ってしまうことがなく衛生的である。
【0042】
第2の手段に係る発明によれば、次の効果を奏する。
○基台14と頂板26との間に回動盤34を挿入させたから、回動盤34に他物が当たって抜け押したりすることを防止できる。
○注出口32を穿設した頂板26を回転不動としたから、回動盤34を操作しても注出口32の位置が変わらず、容器を持ち替える必要がないので、取り扱い易い。
【0043】
第3の手段に係る発明によれば、各貫通路を一端から他端へ次第に先細となる長孔としたから、流量の調整を連続的に行うことができる。
【0044】
第4の手段に係る発明によれば、各貫通路38を、次第に径が小となる離散的な孔の列で形成したから、注出の割合を一定としたいときに便利である。
【0045】
第5の手段に係る発明によれば、各貫通路38において孔の巾又は径が減少する方向を逆にしたから、各注出量の比率を変えることができ、便利である。
【0046】
第6の手段に係る発明によれば、注出口32に対応させて回動盤34の回動範囲を規制したから、各注出口において異なる種類の注出物が混ざり合うことを防止できる。
【0047】
第7の手段に係る発明によれば、2種類以上の内容物の注出量のうち一方の注出比率を絞るのと同じ操作でその種類の内容物の注出量を零にすることができるので、注出比率の選択の範囲が広がる。
【0048】
第8の手段に係る発明によれば、回動盤34の回転に伴い、貫通路38と残余の流路部分との重なり箇所の変化に伴って第1、第2突片162,164が音を生ずるようにしたから、注出量の比率の変化又は総注出量の変化に応じた報知音を生ずることができ、使い勝手がよい。
【0049】
第9の手段に係る発明によれば、貫通路を除く流路部分との重合箇所が、長孔の周方向の一所から他所へ、或は孔列のうち一つの孔から隣りの孔へ移る度に第1突片162が第2突片164を乗り越えるように音出し機構160を形成したから、注出量の比率の変化又は総注出量の変化にきめ細かく音で知らせることができる。
【0050】
第10の手段に係る発明によれば、次の効果を奏する。
○音出し機構160に加えて位置合わせ手段170,172を設けたから、所望の注出量又は比率の内容物を確実に取り出すことが容易となる。
○位置決め手段170,172は互いに嵌り合う凹凸構造なので、この嵌合を解除するための余剰の力を加えることで回動盤が付勢され、十分な音量の報知音が発生する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図1から図5は、本発明の第1実施形態に係る複合容器である。
【0052】
この複合容器は、左右一対の容器体2と、ヘッド部材12と、キャップ64とで構成されている。これら各部材は合成樹脂で形成することができる。
【0053】
容器体2は、圧縮可能な胴部4から肩部を介して円筒形の口頸部6を起立している。この口頸部の基部には逆止弁8を形成している。上記胴部は半筒形に形成されており、各胴部の平坦部を合わせると全体としてほぼ筒形になるように形成している。上記口頸部6の内面には内筒10を液密に嵌合している。
【0054】
ヘッド部材12は、基台14と、保持具24と、回動盤34とで形成されている。
【0055】
上記基台14は、円板状の水平な基板16の裏面から垂下した連結筒18を、両容器体2の口頸部6外面に嵌合させるとともに、この連結筒18内方に、上記内筒の筒孔とほぼ等径の第1透孔20穿設している。この第1透孔の孔縁からは短筒を垂下して上記内筒10の上部内面に嵌合させている。また上記基板16の中心から主軸Oに沿って軸筒22を起立している。この筒孔は基板の裏面へ貫通している。また上記基板16の外縁から外周壁15を垂下している。
【0056】
上記保持具24は、頂板26裏面の中央から垂下した棒部28を、上記軸筒22内に回動不動に嵌合させている。上記第1透孔20上方の頂板部分には、第1透孔とほぼ等径の円形の第2透孔30を穿設しており、この孔の上面を注出口32としている。
【0057】
上記回動盤34は、中央に軸受孔36を有する円盤状の部材である。この部材は、その軸受孔36内に上記軸筒22の外面を回動自在に嵌合して、上記基板16の上面と頂板26の裏面との間に密に挟持させている。回動盤34は操作し易いような厚さに形成している。
【0058】
上記回動盤34の左右両半部には、図4に示す如くその裏面から上面へ抜ける一対の貫通路38を左右対称に形成している。この貫通路は、上記主軸Oを中心とし、主軸と口頸部の筒軸との距離を半径とする円周に沿って緩く曲がった長孔形に形成されている。この長孔の巾は、上記円周を中心として、長手方向の一端から他端へ徐々に狭くなっており、その一端部は注出口32の半円部に重なる大きさとしている。更に長孔の長さは、回動盤34を90度回転させたときに、長孔の一端部から他端部へ注出口32が相対的に移動するように設定している。
【0059】
上記容器体の口頸部6と、第1透孔20と、貫通路38と、第2透孔30とで、内容物の流路40を形成している。
【0060】
図示例では、回動盤34は、貫通路38を含む主部品44と、操作部を含む補助部品50の2部品で構成されている。上記主部品44は、上記基板16の上に載置させた底板46の中央部に、上記軸受孔36の下端部を形成する第1の切欠きと、上記長孔に応じた形状及び配置を有する第2の切欠きとをそれぞれ穿設している。そして第1の切欠きの内面は上記軸筒22の下端部外面へ回動可能に嵌合している。第2の切欠きの周縁から貫通路形成用筒48を起立している。上記補助部品50は、図3に示す如く、軸筒への嵌合用の内筒52と、貫通路形成用筒48を囲う左右一対の囲成壁54と、操作部である外筒56とを有している。内筒52と外筒56とは2つの囲成壁54を介して連結している。また外筒56の下端部内面を主部品の底板46外縁に嵌着させている。
【0061】
また、上記軸筒22の外面と軸受孔36の内面(又は内筒52の内面)とには、係合手段60、62として係合横溝と係合凸部とを形成している。係合横溝は、注出口32が回動盤の貫通路が一つの注出口32から離脱しないように所要の長さのみに形成する。
【0062】
キャップ64は、上記基台14の外周壁15に螺合させている。
【0063】
上記構成において、図4の状態では、左右の注出口32、32から同等の割合で内容物が注出される。この状態から回動盤34を時計回りに回すと、図5Aのように左側の注出口32からの注出量の割合がある所要の程度に(図示例では7:3程度に)増大する。また図4の状態から回動盤34を反時計周りに回転すると図5Bのように右側の注出口32からの注出量の割合が同様に増大する。
【0064】
以下、本発明の他の実施形態又は実施例を説明する。これらにおいて、第1の実施形態と同じ構成については同一の符号を付することで説明を省略する。
【0065】
図6及び図7は、本発明の第2の実施形態に係る複合容器を示している。本実施形態では、第1図の長孔形の貫通路38に代えて、複数個の孔38A、38B、38Cの列からなる貫通路としている。それら各孔は、第1実施形態の図1に示す如くそれぞれ回動盤34を別々に貫通している。大・中・小の孔の面積比は図示例では7:5:3程度であり、最も大きい孔は注出口と同じサイズである。図示例では3つの孔の列で形成しているが、その数を適宜変更することは自由である。
【0066】
図6の状態では、左右の注出口からの注出量は同じである。図6から回動盤34を時計回りに回すと、図7Aのように左側の注出口32からの注出量の割合がある所要の程度に(図示例では7:3程度に)増大する。また図6の状態から回動盤34を反時計周りに回転すると図7Bのように右側の注出口32からの注出量の割合が同様に増大する。
【0067】
図8及び図9は、第1、第2実施形態の変形例であり、各貫通路において、孔の巾又は径が縮小する向きを同じとしたものである。この場合には、注出量の比率を変えずに注出量を増減することができる。
【0068】
図10は、三つの注出口を設けた例であり、本願図4と図8とを組み合わせたものである。
【0069】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る複合容器の平面図を一部を切り欠いて示している。切欠き箇所に現れるべき回動盤上面の細部の構造は省略する。本実施形態は、一方の液体の注出量を最大に、他方の液体の注出量を最小にして、混合する第1実施形態の図4例(或いは第2実施形態の図9例)を発展させたものである。即ち、注出比率の調整するのと同様の操作で、他方の液体の注出量を零とすることができる。
【0070】
図11において、点A、A‘は貫通路38である長孔の最大巾端部eの中心を表しており、点B、B’はOをはさんで点A、A‘とは点対称な位置にある。図4の例ではこの点B、B’の位置に長孔の最小幅端部eを置いているが、本実施形態ではこの点B、B’に閉塞部39を確保するために最小巾端部eを最大巾端部e側へ移動させている。閉塞部39は上方側から見て貫通路(図示例では長孔)の端部に周方向に連なる回動盤部分であって、貫通路の回りの部分と表裏両面を面一に連続した無孔の部分である。この実施形態において、閉塞部39の半径rは、最大巾端部e、注出口32及び第1透孔20の各半径rより若干大きくしている。なお、この閉塞部という概念は、既述の如く複数の注出口の一つが貫通路の一端と重なるときに、他の注出口が閉塞されるための下記の条件を説明するために導入したのであって、図面に点線で描く閉塞部の輪郭は仮想的なものである。
【0071】
図4及び図9のように一の貫通路の最大巾(径)部分を、他の貫通路の最小巾(径)部分に対応させるためには、N個の容器体の口頸部が回転対称の位置にあることを前提として、一の貫通路を360/N度回転した位置に仮想的に移動するとともに、必要により、この位置にて貫通路が縮巾又は縮径する向きを周方向に逆転させるように各貫通路の配置をアレンジすればよいのであるが、本実施形態の場合には、各貫通路とこれに連なる閉塞部とをセットとして、上述の仮想の回転操作を行い、回転した位置で貫通路及び閉塞部の順序を周方向に入れ替える(と同時に貫通路の縮巾・縮径の向きも入れ替える)とよい。
【0072】
上記構成によれば、図11の状態では、左右一対の何れの流路でも、各注出口32及び長孔状の貫通路38との重なり範囲は同じであるので、同量の内容物が注出される。この状態から回動盤34を例えば時計回りに回転させると左側の注出口では貫通路との重なり部分が増加し、逆に右側の注出口では重なり部分が減少する。最終的には左側の注出口と対応する貫通路の最大巾部分とが重なり、最大注出量となるとともに、右側の注出口は閉塞部39と重なり、注出が停止する。
【0073】
図示例では長孔状の貫通路について説明したが、孔列状の貫通路については、その説明中の最大(小)巾部分を最大(小)径端部に置き換えればよい。なお、図示例とは逆に最大側端部を最小巾端部の方へ移動させることもできるが、それでは一方の注出口が閉塞部で塞がれている状態で、他方の注出口と最小巾端部とが連通することになり、特に少量注出の必要がある場合を除くと適当ではない。
【0074】
本実施形態においては、図11に示すように2つの貫通路38のうち一方の貫通路を、周方向一方に向かって巾が縮小するように、残りの貫通路を、周方向他方に向かって巾が縮小するようにしている。このようにした理由は、注出量をゼロ→少ない→中→やや多い→多いの5段階に分けると、一方の貫通路からの注出量が「やや多い」→「多い」となるように回動盤を回転させたときに、他方の貫通路からの注出量が「少ない」→「零」となるからである。従って注出量の比率の調整する操作から単一内容物の注出するモードにスムーズに移行できる。
【0075】
図12から図18は、本発明の第4実施形態を示している。本実施形態は、既出の構成に音出し機構及び位置決め手段を組み込んだものである。まず音出し機構及び位置決め手段以外の構造を説明する。
【0076】
まず基台14は、外周壁15と連結筒18との間の基板部分を陥没させて、陥没部100を形成し、また基板16の中央部を有頂筒形に隆起させて、筒体102を形成している。またこの筒体102の頂壁中央部裏面からは、下端閉塞で筒形の軸筒22を、かつ頂壁の左右両部に穿設した第1透孔20、20の各孔縁からは一対の流路筒104をそれぞれ垂下している。図示例では、各流路筒の左右の側壁をそれぞれ筒体102の周壁の左右両部及び軸筒22の左右両面に連続させて形成している。また上記流路筒104は、基板16及び基板と同じ高さの軸筒22の底壁よりも下方に延長し、容器体の口頸部6内に嵌合され、内筒10上端に突き当てている。上記軸筒22の内面左右両部には保持具回り止め用の係止溝106を縦設し、また筒体102の外周面上部には回動盤抜止め用の係合リブ108を周設している。この係合リブ下方の筒体左右両面からは、下端を基板16に連結させた横板状の第1係合手段60を、図左右外方へ突出している。これら係合手段は、中心軸Oを通る線分Lからややずれている。これは後述の第2係合手段の回動エリアを180度内に規制するためである。
【0077】
保持具24は、左右一対の第2透孔30を穿設した頂板26裏面から、軸筒22内への挿入用の中空筒形の棒部28を垂下している。棒部28の外面上部には上記係止溝106内に嵌合する一対の縦リブ120を付設している。また棒部の外面下部と筒軸の内面下部とには、保持具抜止め用突条及び嵌合溝を周設している。更に頂板26の外周部前後方向一側には、図13に示すように注出量の比率(或は総注出量)を表す複数のマーク122を付設している。これらのマークは、図13に点線で描いた大・中・小の孔及び閉塞部に対応し、より具体的には、「1」は(一の貫通路からの)注出量が大であることを、「2」は注出量中を、「3」は注出量小を、「4」は注出量零をそれぞれ表している。聴覚的にのみならず、視覚的にも注出量に係る状態を利用者に知らしめるためである。マークの使い方については後述する。
【0078】
回動盤34は、貫通路38を穿設した一枚の回動板140の外周部から、内周筒142と、この内周筒よりも長い外周筒144とを相互に隙間を存して垂下している。
【0079】
回動板140の中央部には、上記棒部28の外径に対応した軸受孔36を、回動板140の内周部の前後両側には、貫通路38として周方向に配列した3つの孔38A、38B、38Cからなる2列の孔列を、更に回動板の前後左右には、周方向に湾曲した4つの型抜き孔146を、それぞれ穿設している。
【0080】
各貫通路38の各孔38A、38B、38Cは、図16に描いた回動盤の中心軸Oから等角度で放射状に延びる10本の補助線(想像線)のうち、L上に最大径端孔38Aを、L上に中径孔38Bを、L上に最小径端孔38Cをそれぞれ穿設している。またL上に既述閉塞部39を確保している。またこの図示例では、L及びL上にも閉塞部と同様に第1、第2透孔を閉塞する機能を有する無孔の回動板部分を確保している。
【0081】
上記型抜き孔146は、後述の内周筒下端の係合突条の形に対応して、この係合突条の輪郭を形成する金型の上側部分を抜くために穿設されている。
【0082】
内周筒142は、筒体102の係合リブ108下面よりもやや下方まで垂下しており、内周筒142の内周面前後左右部分に係合突条148を間欠的に横設している。この係合突条148は上記係合リブ108の下面に回動自在に係止しており、基台14からの回動盤34の抜出しを防止している。
【0083】
外周筒144は、基台14の陥没部100上面まで垂下しており、この陥没部に対応する外周筒の下端部分を大内径部150に形成している。この大内径部のうち一箇所(上記補助線Lに重なる右側部)には、第2の係合手段62として突起を設けている。この突起は図13の状態では、右側の第1の係合手段60に当接しており、回動盤の回転とともに移動して、回動盤が180度回転したところで図19の行程(4)の如く左側の第1係合手段60に突き当たって回転範囲を規制する。また外周筒144の外面には上方から見て上記補助線L〜Lに重なるように外リブ152を縦設している。
【0084】
音出し機構160は、振動部である第1突片162と、この第1突片を振動させるための第2突片164とからなり、可動部(回動盤)と不動部(基台又は保持具)との対向面にそれぞれ付設されている。図示の例では第1突片162を回動盤34に、また第2突片164を基台14にそれぞれ付設しているが、これとは反対に第2突片を回動盤に、また第1突片を基台にそれぞれ付設してもよく、また基台に代えて保持具24に第1突片又は第2突片を付設しても構わない。この音出し機構の機能は、総注出量又は注出比率が所定値となったことを利用者に知らせるということであるが、この機能は、音出し機構自体の構造よりも周囲の構造との関係に依存している。即ち、図13に示すように孔列状(或いは長孔状)の貫通路が周方向に徐々に或いは段階的に径又は巾を変化させて延びていることが重要であり、その変化している場所に貫通路が重なったときに音を発生するように音出し機構が構成されている。
【0085】
図示例において、上記第1突片162は、回動盤34の内周筒142に下端面に上方から見て上記補助線L〜Lに重なるように等間隔で付設している。各第1突片162は、周方向に振動し易い薄板状(或いは舌片状)であって、その板の法線を周方向に、また巾を放射方向に向けて内周筒下端面から下方へ突設している。もっともその形状は適宜変更することができる。第1突片は第2突片を乗り越えることができる程度の弾性とその乗り越えにより十分な大きさの音を発生するだけの強度とを有する。
【0086】
また上記第2突片164は、回動盤の回動に伴う第1突片162の移動を妨げる邪魔板として、図13に示すように筒体102外方の基板部分の前後両側から起立している。より具体的には、前述の補助線L〜Lのうち隣り合う補助線同士の間に配置しており、回動盤34が一の補助線から隣の補助線まで回転する途中で発音するように設計する。図12では、第1突片に対する第2突片164の高さの関係を示すために、第2突片を周方向の実際とは異なる位置に想像線で描いており、第2突片の上端は第1突片の下端よりも僅かに上方に位置している。これにより、回動盤を回転させたときに第1突片が第2突片の上端部に軽く当たって乗り越えるので、回動盤を回転させるときの抵抗が過剰となることはない。しかし、この構成は適宜変更することができる。
【0087】
位置決め手段170、172もまた、回動盤34である可動部(回動盤34)と保持具又は基台である可動部との対向部分に形成する。もっとも位置決め手段相互の間にはある程度の大きさの力が作用するので、保持具よりも図示例のように基台側に付設することが望ましい。
【0088】
第1の位置決め手段170は、図17に示すように回動盤34の大内径部150内に形成する。具体的には、この大内径部150の周面のうち補助線L〜Lと重なる位置(上記上記外リブ152と反対の位置)に横断面半円形の内リブ174を縦設して、隣接する2つの内リブの間に形成される凹部を第1の位置決め手段170としている。第1の係合手段を大内径部に形成した理由は、外周筒の他部より薄肉であるため、内リブが第2位置決め手段の上に乗り上げるときに大内径部が弾性的に拡開するので、乗り上げが容易だからである。
【0089】
第2の位置決め手段172は、基台14の陥没部100の周面を外方へ突設して、上記第1の位置決め手段170内に嵌合する巾広凸部としている。この第2位置決め手段は、周方向の回転対照位置に複数個所(図示例では3箇所)設けると、回動時の回動盤のバランスをとる上で好適であるが、例えば1つだけでも構わない。第2位置決め手段である凸部の外側面はほぼ垂直面となっており、またこの外側面のうち周方向端面は図14に示す如く陥没部の周面に対して(好ましくは鈍角的に)傾斜した傾斜面176となっている。上記凸部の周方向端面が周面に直角になっている場合と比べると、回動盤の回転の際に内リブが傾斜面を乗り越え易く、他方、この乗り越えの際に力を蓄え、乗り越えた後に回動盤が勢い良く回るので、この付勢状態で音出し機構の第1突片162が第2突片164に衝突するから、十分に大きな音を生ずることができる。
【0090】
上記構成において、回動盤34を回転させて使用する行程の作用を図18、図19を利用して説明する。まず図18の行程(1)において回動盤34の外面のうちマーク「1」の隣りの外リブに指を合せて回動盤34の外周筒を摘み、時計回りに力を加えると、第2位置決め手段172が、第1位置決め手段170の間の内リブ174の下に潜り込むことで回動盤34が回転し始める。隣接する2本の補助線間の角度の半分を回転すると、図18の行程(2)に示す如く、第1突片162が第2突片164に衝突して乗り越えるとともに、音を発し、さらに回動盤34が回転して図19の行程(3)に至ると、図面の右側の注出口32が貫通路の最大径端孔38Aに重なるとともに図面の左側の注出口32が閉塞部39で閉塞される状態となり、第2位置決め手段172が隣りの第1位置決め手段170内に嵌合する。これにより、回動盤34は注出口32と最大径端孔38Aとが重なった状態で位置決めされる。これと同時に予め外周筒144を押えた指が保持具の「1」マークの位置に移動するので、孔列の1孔分を回動盤が回転したことが判る。もし回動盤を回すときに勢い余って孔列の2孔分を回してしまうとすれば、その間に2度音がなり、また指も「2」マークのところまで移動するので、聴覚及び視覚の両方で回転量を利用者に知らせることができる。同様の操作を繰り返して回動盤34が180度回転すると、係合手段62が左側の係合手段60に突き当たって回転を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1実施形態に係る複合容器の縦断面図である。
【図2】図1の複合容器の正面図である。
【図3】図1の複合容器の拡大縦断面図である。
【図4】図1の複合容器の平面図である。
【図5】図1の複合容器の作用説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る複合容器の平面図である。
【図7】図6の複合容器の作用説明図である。
【図8】本発明の一の実施例の平面図である。
【図9】本発明の他の実施例の平面図である。
【図10】本発明の更に他の実施例の平面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る複合容器の、キャップを外した状態での平面図(一部切欠き図)である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る複合容器の縦断面図である。
【図13】図12の複合容器の、キャップを外した状態での平面図である。
【図14】図12の複合容器の一の要部(基台)の平面図である。
【図15】図12の複合容器の他の要部(保持具)の平面図である。
【図16】図12の複合容器の更に他の要部(回動盤)の平面図である。
【図17】図16の要部の底面図である。
【図18】図12の複合容器の回動行程の第1、第2段階の説明図である。
【図19】同じく回動行程の第3、第4段階の説明図である
【符号の説明】
【0092】
2…容器体 4…胴部 6…口頸部 8…逆止弁 10…内筒
12…ヘッド部材 14…基台 15…外周壁 16…基板
18…連結筒 20…第1透孔 22…軸筒 24…保持具 26…頂板
28…棒部 30…第2透孔
32…注出口 34…回動盤 36…軸受孔 38…貫通路 39…閉塞部
40…流路 44…主部品 46…底板 48…貫通路形成用筒 50…補助部品
52…内筒 54…囲成壁 56…外筒 60、62…係合手段
64…キャップ
100…陥没部 102…筒体
104…流路筒 106…係止溝 108…係合リブ
120…縦リブ 122…マーク
140…回動板 142…内周筒 144…外周筒 146…型抜き孔
148…係合突条 150…大内径部 152…外リブ
160…音出し機構 162…第2突片164…第2突片
170…第1位置決め手段 172…第2位置決め手段 174…内リブ
176…傾斜面
〜L…補助線 e…最大巾端部 e…最小幅端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部4から口頸部6を起立する複数の容器体2の各上部を相互に連結するとともに、各上部を覆うヘッド部材12を設け、
このヘッド部材12の一部として垂直な主軸Oを中心に回動可能な回動盤34を組み込み、
上記各容器体2の口頸部6内からヘッド部材12の頂面に開口する注出口32に至る流路40の一部を、上記回動盤34を上下に貫く貫通路38で形成し、
上記回動盤34の回転により上記貫通路38と流路40他部との間での流路面積が変化することにより内容物の注出量を調整できるようにしたことを特徴とする、複合容器。
【請求項2】
上記ヘッド部材12は、上記各容器体2の口頸部6外面に嵌合する連結筒18を備えた基台14と、この基台14に対して一定間隔を存して回動不能に支持された頂板26とを更に有し、
この基台14と頂板26との間に上記回動盤34を液密に挿入するとともに回転自在に支持し、かつ上記各容器体2の口頸部6上方の頂板26部分に注出口32形成用の透孔を穿設したことを特徴とする、請求項1記載の複合容器。
【請求項3】
上記各貫通路38は、上記主軸Oを中心とする円周上をそれぞれ長く延びる長孔状に形成するとともに、その長手方向の一端から他端へ至るに従って次第に巾細となるように形成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の複合容器。
【請求項4】
上記各貫通路38は、上記主軸Oを中心とする円周上に配列され、周方向の一の方向に向かって次第に径が小さくなる複数の孔列として形成されたことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の複合容器。
【請求項5】
上記各貫通路38のうち少なくとも一つの貫通路では、周方向の一方向に向かって孔の巾又は径が次第に小となるとともに、残りの貫通路では、周方向の反対方向に向かって孔の巾又は径が次第に小となるように形成することで、回動盤34の回動により各貫通路38からの注出量の比率を変更できるようにしたことを特徴とする、請求項3又は請求項4記載の複合容器。
【請求項6】
上記ヘッド部材12の頂面の各注出口32と、回動盤の貫通路38の一つとをそれぞれ一対一に対応させるために、回動盤34の回動範囲を規制する係合手段60、62を、回動盤と回動盤を除くヘッド部材部分との間に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の複合容器。
【請求項7】
複数の貫通路38のうち一の貫通路を、周方向一方に向かって巾又は径が縮小する長孔又は孔列とするとともに、残余の貫通路を、周方向他方に向かって巾又は径が縮小する長孔又は孔列とし、
当該一の貫通路のうち最大巾の端部分又は最大径の端孔が、貫通路を除く流路部分と連通しているときに、残余の貫通路の最小巾の端部分又は最小径の端孔と隣接する回動盤部分で形成する閉塞部39が、当該貫通路を除く流路部分を液密に閉塞するようにしたことを特徴とする、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の複合容器。
【請求項8】
ヘッド部材12のうち可動部である回動盤34と不動部である回動盤以外の部分との一方に複数の第1突片162を、他方に第2突片164を付設し、回動盤の回転により第1突片162が第2突片164を乗り越えることで音を発生する音出し機構160を設け、
少なくとも一つの貫通路38において、当該貫通路を除く流路部分との重合箇所が、回動盤34が回転する過程で、貫通路38の周方向一端部から他端部へ移る間に複数の第1突片162が第2突片164を乗り越えることで一連の音を発生し、かつこれらの音のうち任意の一音の発生時と次の一音の発生時とで注出量の総量或は比率が異なるように設計したことを特徴とする、請求項1から請求項7の何れかに記載の複合容器。
【請求項9】
複数の貫通路38を、周方向に延びた長孔、或は周方向に配列された孔列とするとともに、当該方向に次第に縮巾又は縮径するように設け、当該方向に次第に縮巾又は縮径するように設け、
貫通路を除く流路部分との重合箇所が、長孔の周方向の一所から他所へ、或は孔列のうち一つの孔から隣りの孔へ移る度に第1突片162が第2突片164を乗り越えるように音出し機構160を形成したことを特徴とする、請求項8に記載の複合容器。
【請求項10】
ヘッド部材12のうち可動部である回動盤34と不動部である回動盤以外の部分との間に、相互に嵌り合う凹凸状の位置決め手段170,172を設け、
各孔の穿設箇所又は長孔の周方向の複数箇所を定位置として、これら各定位置で位置決め手段170,172が嵌り合うようにするとともに、
貫通路を除く流路部分との重合箇所が一の定位置から隣の定位置へ移る途中で音出し機構160が音を生ずるように形成したことを特徴とする、請求項9記載の複合容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2008−133045(P2008−133045A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120267(P2007−120267)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】