説明

複合容器

【課題】外側の透明樹脂外装体を介して内部の樹脂中空成形体を視認した場合に、樹脂中空成形体の外形、輪郭などを明瞭に識別することができ、これにより樹脂中空成形体による意匠性を十分に発揮することができるとともに、樹脂中空成形体と外側の透明樹脂外装体との組み合わせによる意匠性をも十分に発揮することのできる複合容器を提供すること。
【解決手段】内部が中空である樹脂製の中空成形体(a)と、前記中空成形体(a)の外側にオーバーモールドされて形成された高透明性樹脂外装体(b)と、から構成され、液状物を前記中空成形体(a)に収容して用いるための複合容器であって、前記高透明性樹脂外装体(b)の厚みは、前記複合容器の主要部における前記中空成形体(a)と前記高透明性樹脂外装体(b)とを横断する水平方向の断面において、前記高透明性樹脂外装体(b)の最小厚み(X)が0.1mm以上、かつ最大厚み(Y)と最小厚み(X)の差が2mm以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧水、薬品、飲料など流動性を有する液状物、または粉体などを収容する複合容器に関し、詳しくは、外側層が樹脂から形成された複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、化粧水、薬品、飲料などの液状物を収容する収容容器として、耐腐食性、気密性に優れた蓋付きの収容容器が広く使用されている。これらの収容容器は、ガラス製のものが一般的であるが、同様の効果を得るために合成樹脂製の収容容器も使用されている。
【0003】
ところで、ガラス製の収容容器は、重厚感、高級感があり、しかも透明体で内部の様子を確認できることから、特に化粧水の容器として好適に使用されている。しかしながら、ガラス製の収容容器は、搬送中の衝撃や使用中の落下などによって、破損し易いとともに、簡単な形状から成ることが多く、加飾性に乏しいという欠点がある。
【0004】
一方、合成樹脂製の収容容器は、重厚感に乏しく、高級感を醸し出すことが困難である。
なお、金属製の収容容器も知られているが、金属製の収容容器は、不透明体で内部の様子を確認できないことから、使用用途に限界がある。
【0005】
そこで、特許文献1では、ガラス製の収容容器の外側に、樹脂をオーバーモールディングし、さらには、内側あるいは外側の少なくともいずれか一方を透明体で形成することにより、意匠性を向上させた複合容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2004−527424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の複合容器のうち、内部の中空体がガラスから形成されたものであっても、落下などによる破損を防止することはできない。また外側にモールディングされた透明体からなる樹脂外装体を介して内部のガラス製中空体を視認した場合には、内部のガラス製中空体の形状、輪郭などを十分に識別することができず、意匠性が十分に発揮されていなかった。
【0008】
また、従来の複合容器では、透明性樹脂外装体を介して内部の中空体を視認できるようにするとともに、内部の中空体と外側の樹脂外装体とを異なる形状とすることで、2つの形状の組み合わせで生じる意匠性をも有しているが、内部の中空体の識別が十分でないことから、組み合わせによる意匠性も十分に発揮することができていない。
【0009】
本発明はこのような従来の実情に鑑み、外側の透明樹脂外装体を介して内部の樹脂中空成形体を視認した場合に、樹脂中空成形体の外形、輪郭などを明瞭に識別することができ、これにより樹脂中空成形体による意匠性を十分に発揮することができるとともに、樹脂中空成形体と外側の透明樹脂外装体との組み合わせによる意匠性をも十分に発揮することのできる複合容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の複合容器は、
内部が中空である樹脂製の中空成形体(a)(以下、単に樹脂中空成形体(a)という場合がある)と、前記樹脂中空成形体(a)の外側にオーバーモールドされて形成された高透明性樹脂外装体(b)(以下、単に樹脂外装体(b)という場合がある)と、から構成され、液状物を前記中空成形体(a)に収容して用いるための複合容器であって、
前記高透明性樹脂外装体(b)の厚みは、
前記複合容器の主要部における前記樹脂中空成形体(a)と前記高透明性樹脂外装体(b)とを横断する水平方向の断面において、
前記高透明性樹脂外装体(b)の最小厚み(X)が0.1mm以上、かつ最大厚み(Y)と最小厚み(X)の差が2mm以上であることを特徴とする。
【0011】
このような構成の複合容器であれば、樹脂外装体に高透明性合成樹脂を用いれば、樹脂外装体(b)を介して樹脂中空成形体(a)の外形、輪郭を目視できるとともに、高級感を醸し出すことができる。また、全体の外形、輪郭を明瞭とはいえずに視認する場合であっても、審美性、美観性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の複合容器は、
前記樹脂中空成形体(a)と、前記高透明性樹脂外装体(b)との形状が異なることが好ましい。
【0013】
このような構成であれば、高透明性樹脂外装体(b)の肉厚の薄い部分から内部を視認することにより、全体としてのコントラストを向上させ、結果として、樹脂中空成形体(a)を外側から明瞭に識別することができる。
【0014】
また、本発明の複合容器は、
前記高透明性樹脂外装体(b)が、全光線透過率(JIS K7105に準拠し、1mm厚のシートで測定)80%以上の高透明性合成樹脂からなることが好ましい。
【0015】
このように高透明性樹脂外装体(b)として、高透明性合成樹脂を用いれば、樹脂外装体(b)と樹脂中空成形体(a)との相乗効果でさらに高級感を醸し出すことができる。また、審美性、美観性についてもさらに向上させることができる。
【0016】
また、本発明の複合容器は、
前記高透明性合成樹脂が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーであることが好ましい。
【0017】
このような高透明性合成樹脂を用いれば、厚肉成形も良好に行うことができ、さらにガラスのような重厚感を得て高級感を醸し出すことができる。また、安価に複合容器を成形することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、樹脂中空成形体(a)と一体化された高透明性樹脂外装体(b)の厚みを所定の厚さとすることで、外側から内部を視認すると、樹脂中空成形体(a)の外形、輪郭などを明瞭に識別することができる。これにより、意匠性が向上する。さらに、コアとなる部分が樹脂製であるので複雑な形状とすることが可能であり、加飾性が良好で、2つの形状の組み合わせでも意匠性を良好に発揮することができる。また、破損の虞が全くない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施例による複合容器を示した斜視図である。
【図2】図2(A)は、図1に示した複合容器の縦方向の断面図、図2(B)は図2(A)のC−C線方向の断面図である。
【図3】図3は、本発明の他の実施例による複合容器の正面図である。
【図4】図4は、図3に示した複合容器の水平方向の断面図である。
【図5】図5は、本発明のさらに他の実施例による複合容器の水平方向の断面図である。
【図6】図6は、本発明のさらに他の実施例による複合容器の水平方向の断面図である。
【図7】図7は、本発明のさらに他の実施例による複合容器の水平方向の断面図である。
【図8】図8は、本発明のさらに他の実施例による複合容器の水平方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例による複合容器を示した斜視図、図2(A)は図1に示した複合容器の縦方向の断面図、図2(B)は図2(A)におけるC−C線方向の断面図である。
【0021】
この複合容器Aは、例えば化粧水、薬品、飲料など流動性を有する液状物を収容するためのものである。
図1に示したように、複合容器Aは、内容物を出し入れするための口部14を有する樹脂製の中空成形体(インナーボトル)aと、この樹脂中空成形体aの外側を一体的に覆うように形成された高透明性樹脂外装体bとから構成されている。すなわち、本発明における複合容器Aは、樹脂製の中空成形体aの外周側に高透明性樹脂外装体bがオーバーモールドされて形成されている。口部14を有する樹脂製の中空成形体(インナーボトル)aは化粧水、薬品、飲料など流動性を有する液状物や粉体等を収容することが出来る。
【0022】
本実施例では、内側の樹脂中空成形体aの形状が略円筒状であるのに対し、外側に構成される高透明性樹脂外装体bの形状は、三角形を多面的に組み合わせてなる球形である。
すなわち、内側の樹脂中空成形体aの形状と、高透明性樹脂外装体bとの形状は異なった形状であり、これらが組み合わされている。
【0023】
そして、樹脂中空成形体aの口部14に閉栓部材18を装着することで、口部14が封止され、これにより液状物、粉体などが外気に触れることが防止されるとともに、塵埃などの侵入、外方への飛散が防止される。なお、本実施例においては、口部14に閉栓部材18が螺子接合されているが、これに限定されるものではなく、口部14に閉栓部材18が嵌合される構造であっても良い。
【0024】
複合容器A内に収容される液状物としては、例えば、化粧水、薬品、飲料など流動性を有する液状物を例示できるが、粉体などでも良い。また、液状物とはペースト状のものも含んでいる。
【0025】
このような内容物が収容される複合容器Aは、図2(A)に示したように、樹脂製の中空成形体aの口部14の下側全体が樹脂外装体bにより被覆されている。
本発明の複合容器Aにおいて、高透明性樹脂外装体bの厚みは、図2(B)に示したように、複合容器Aの主要部における樹脂中空成形体aと高透明性樹脂外装体bとを横断するC−C方向の断面において、樹脂外装体bの最小厚みXが0.1mm以上、かつ樹脂外装体bの最大厚みYと最小厚みXの差が2mm以上であることが好ましい。
【0026】
ここで複合容器の「主要部」とは、例えば円筒あるいは角柱形の複合容器Aの垂直方向における容器中央部のように、複合容器Aの本体部(複合容器Aの水平方向の断面における樹脂外装体bの寸法、形状がほぼ一定に保たれている領域)をいい、口部14付近や複合容器A底面は除く領域である。すなわち、図2(A)におけるC−C線方向の断面である図2(B)に表される領域である。
【0027】
このように複合容器Aの主要部における樹脂外装体bの樹脂厚が設定されていれば、内部を視認した場合に、樹脂の薄い部分と樹脂の厚い部分との差により、コントラストが明瞭に表れる。また、最小厚みXから最大厚みYに至る間は、厚さが漸次厚くなるようにすることが好ましい。
【0028】
高透明性樹脂外装体bの材料として高透明性合成樹脂を用いることが好ましく、好ましくは全光線透過率(JIS K7105に準拠し、1mm厚のシートで測定)が80%から100%、より好ましくは全光線透過率が85%から100%の合成樹脂を用いることが望ましい。
【0029】
上記範囲を満たす高透明性合成樹脂の材質としては、例えばアイオノマー樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂(スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂、スチレン・メチルメタクリレート共重合体樹脂など)を用いることができ、好ましくはアイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、より好ましくは、アイオノマー樹脂を用いることができる。
【0030】
アイオノマー樹脂としては、例えば不飽和カルボン酸含量が1〜40重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部、通常0モル%を超え、かつ100モル%以下、好ましくは90モル%以下を金属イオンで中和したものを使用することができる。
【0031】
アイオノマー樹脂のベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸、さらに任意に他の極性モノマーを共重合して得られるものである。ここに不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどを例示することができるが、特にメタクリル酸が好ましい。
【0032】
また共重合成分となり得る極性モノマーとしては、任意に酢酸ビニル、ピロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などであり、特に不飽和カルボン酸エステルは好適な共重合成分である。
【0033】
また金属イオンとしては、1〜3価の原子価を有する金属イオン、特に元素周期律表におけるIA、IIA、IIIA、IVAおよびVIII族の1〜3価の原子価を有する金属イオンであり、具体的には、Na+、K+、Li+、Cs+、Ag+、Hg+、Cu+、Be++、Mg++、Ca++、Sr++、Ba++、Cu++、Cd++、Hg++、Sn++、Pb++、Fe++、Co++、Ni++、Zn++、Al+++、Sc+++、Fe+++、Y+++などが挙げられる。
【0034】
これらの材質は、透明性、耐衝撃性、耐擦傷性に優れており、また厚肉成形が可能であるとともに、ガラスのような重厚感を得ることができるため、樹脂外装体bの材料として好適である。
【0035】
なお、樹脂製の中空成形体aや閉栓部材18については、如何なる樹脂材料を用いても良いものであり、例えばポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル(PET(ポリエチレンテレフタレート)、PETG、PCTG、PCT(ポリシクロヘキサン・ジメチル・テレフタレート)、PCTA、PEN(ポリエチレン・ナフタレート)など)、アクリル樹脂、スチレン系樹脂(スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂、スチレン・メチルメタクリレート共重合体樹脂など)、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、アイオノマー樹脂、およびPAN(ポリアクリロニトリル)を用いることができるが、上記の樹脂外装体bと同じ材質を用いることで樹脂外装体bとの相乗効果を得て、複合容器Aの高級感や美観性、審美性をさらに高めることができる。
【0036】
しかしながら、樹脂中空成形体aについては、金型内に樹脂中空成形体aをセットした状態で、外表面上に溶融樹脂を流入させて樹脂外装体bを形成するため、高透明性合成樹脂を用いる場合には、溶融温度が比較的高いポリエステルやポリアミドなどを使用することが好ましい。
【0037】
また、樹脂中空成形体aに収容される液状物が薬品の場合には、高透明性合成樹脂の中でも比較的耐薬品性に優れたポリエチレンやポリプロピレンなどを使用することが好ましい。
【0038】
また、バリアー特性を向上させるために、いくつかの層からなり、それらのうちの一つがバリアー層である樹脂中空成形体aを使用することが可能であり好ましい。
バリアー層に用いられる材料として、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリアミドなどがある。
【0039】
また、高透明性樹脂外装体bに対すると同様に、その他の層に対するバリアー層の接着性を向上するための接着剤層を有することも可能である。
さらに閉栓部材18についても、部分的に薬品と接触する場合もあるため、上記の樹脂中空成形体aと同様、高透明性合成樹脂の中でも比較的耐薬品性に優れたポリエチレンやアイオノマー樹脂などを使用することが好ましい。
【0040】
このような高透明性合成樹脂は、有色であっても無色であっても良く、さらに樹脂中空成形体a、高透明性樹脂外装体b、閉栓部材18でそれぞれ色を変えることもできる。
有色の場合において、例えばアイオノマーにHeliogen Blue K6911D(BASF社製)を含有させた青色の高透明性合成樹脂を用いて成形を行えば、青色とすることができる。
【0041】
このような高透明性合成樹脂を使用することによって、樹脂中空成形体aの表面に文字や図形が施されていたとしても、高透明性樹脂外装体bの外側から確実に文字や図形を目視することができる。
【0042】
また、高透明性合成樹脂に光反射粉(図示せず)を分散させれば、光反射粉に光が反射して輝き、さらに高級感を醸し出すことができる。
このような光反射粉としては、光反射粉のコアとなるマイカ(雲母)の表面に金属または金属酸化物が被覆された光反射粉から構成することが好ましい。
【0043】
さらに、本実施例では、樹脂中空成形体aと高透明性樹脂外装体bの両方が樹脂製であるため、廃棄の際には互いに分離する必要もなく、リサイクル性が極めて良好である。
さらに、コアとなる樹脂中空成形体aを樹脂製とし、さらに樹脂外装体bを高透明性合成樹脂とすれば、高級感、審美性、美観性の極めて高い複合容器Aを得ることができる。
【0044】
なお、樹脂中空成形体aは、例えばブロー成形や、予め2つに分割した成形体を用意し、振動溶着で溶着させることで製造することができるが、製造方法は特に限定されない。また、樹脂中空成形体aの外側に樹脂外装体bを一体化させるには、一対の金型内に樹脂中空成形体aをセットし、閉栓部材18を装着した状態でオーバーモールドすれば良い。高透明性樹脂外装体bを外側に一体化する方法も何ら限定されない。
図3および図4は本発明に係る複合容器の他の実施例を示したものである。
【0045】
なお、図1、図2と実質的に同一要素は同一符号を付して説明を省略する。
図3および図4に示した複合容器Bは、内側の樹脂中空成形体aが円筒状であり、樹脂外装体bの外形状が、水平方向の断面において八角形を呈している。すなわち、樹脂中空成形体aと、樹脂外装体bとの水平方向の断面形状が異なっている。
【0046】
樹脂外装体bの主要部での最小厚みXは0.1mm以上、特に1mm以上であることが好ましい。また、最大厚みYは50mm以下、特に30mm以下であることが好ましい。
このように樹脂中空成形体aと、樹脂外装体bとの形状が異なることにより、最小厚みXの部分と、最大厚みYの部分とが明瞭になるため、外方から内方の樹脂中空成形体aを明瞭に識別することができる。また、樹脂中空成形体aの中に、例えば、青色、乳白色などの液体が貯留されている場合は、その色が透明体を介して外方に露呈するので、樹脂中空成形体aの外形、輪郭などがより明瞭になる。
【0047】
図5はさらに他の実施例による複合容器Cの要部を断面で示したものである。
この実施例の複合容器Cは、水平方向の断面が四角形である樹脂中空成形体aと、同じく水平方向の断面が四角形の高透明性樹脂外装体bとにより構成されている。
【0048】
そして、樹脂中空成形体aと、樹脂外装体bとを45°角度を変えて配置することにより、主要部での最小厚みXと最大厚みYとが構成されている。
また、図6に示した複合容器Dでは、四角形の樹脂中空成形体aと円筒形の高透明性樹脂外装体bとの組み合わせで構成された例である。
【0049】
図7に示した複合容器Eは、四角形の樹脂中空成形体aと、八角形の高透明性樹脂外装体bとの組み合わせで構成された例で、図8に示した複合容器Fは、三角形の樹脂中空成形体aと円筒形の高透明性樹脂外装体bの組み合わせで構成された例を示している。
【0050】
このようにいずれの実施例においても、主要部での高透明性樹脂外装体bの最小厚みXが0.1mm以上、かつ主要部での高透明性樹脂外装体bの最大厚みYと最小厚みXの差が2mm以上に設定されている。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはない。樹脂中空成形体aと高透明性樹脂外装体bの形状は、ユーザの使用目的、使用用途によりどのような形状でもよく、またどのような形状の組み合わせであっても良い。また、内部に収容される物品も何ら限定されない。
【0052】
要は、樹脂中空成形体aを高透明性樹脂外装体bを介して容易に識別できる形状の組み合わせであれば、いかなる形状であっても良く、内容物の色にも限定されない。例えば、円筒体の樹脂中空成形体aに、円筒体の高透明性樹脂外装体bを組み合わせても良く、内外容器の中芯部分をずらして、片側で樹脂外装体bの厚みを厚くし、反対側で薄くしても良い。
【符号の説明】
【0053】
A,B,C,D,E,F 複合容器
a 樹脂製の中空成形体(樹脂中空成形体)
b 高透明性樹脂外装体(樹脂外装体)
14 口部
18 閉栓部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空である樹脂製の中空成形体(a)と、前記中空成形体(a)の外側にオーバーモールドされて形成された高透明性樹脂外装体(b)と、から構成され、液状物を前記中空成形体(a)に収容して用いるための複合容器であって、
前記高透明性樹脂外装体(b)の厚みは、
前記複合容器の主要部における前記中空成形体(a)と前記高透明性樹脂外装体(b)とを横断する水平方向の断面において、
前記高透明性樹脂外装体(b)の最小厚み(X)が0.1mm以上、かつ最大厚み(Y)と最小厚み(X)の差が2mm以上であることを特徴とする複合容器。
【請求項2】
前記中空成形体(a)と、前記高透明性樹脂外装体(b)との形状が異なることを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記高透明性樹脂外装体(b)が、全光線透過率(JIS K7105に準拠し、1mm厚のシートで測定)80%以上の高透明性合成樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の複合容器。
【請求項4】
前記高透明性合成樹脂が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーであることを特徴とする請求項3に記載の複合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−201318(P2011−201318A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136280(P2011−136280)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【分割の表示】特願2009−541139(P2009−541139)の分割
【原出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】